特許拒絶査定不服審判
2022-003392
電子ベイピング装置およびキット
- 審判番号
- 2022-003392
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-552195
- 請求日
- 2022年03月07日
- 審決日
- 2022年10月26日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
- 【請求人代理人】田中 伸一郎
- 【請求人代理人】須田 洋之
- 【請求人代理人】大塚 文昭
- 【請求人代理人】西島 孝喜
- 【請求人代理人】上杉 浩
- 【請求人代理人】近藤 直樹
- 【請求人代理人】那須 威夫
- 【請求人代理人】鈴木 信彦
- 審判長/審判官
- 審判長 松下 聡
- 審判官 間中 耕治
- 審判官 マキロイ 寛済
- 分類
- P18 .121-Z (A24F) / P18 .113-Z (A24F) / P18 .575-Z (A24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-552195「電子ベイピング装置およびキット」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月12日国際公開、WO2017/174595、令和 1年 5月30日国内公表、特表2019-513374〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願は、2017(平成29)年4月4日(優先権主張外国庁受理 2016年4月4日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成30年10月25日に手続補正書が提出され、令和3年3月19日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月24日に意見書が提出されたが、同年10月27日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)された。
これに対して令和4年3月7日に審判請求書が提出されると同時に手続補正され、同年4月27日に当該審判請求書が手続補正され、同年8月15に上申書が提出されたものである。
第2 令和4年3月7日にした手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年3月7日にした手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「 【請求項1】
電子ベイピング装置用のカートリッジであって、
長手方向に延在し、口側の端および接続端を含むハウジングと、
プレベイパー製剤を収容し、前記ハウジング内にある貯蔵部と、
前記ハウジング内にある発熱体であって、前記貯蔵部と流体連通し、蒸気を発生するように構成される、発熱体と、
巻かれた材料の複数の層を含み、それを通って長手方向に延在するチャネルを有する材料のロールであって、前記材料のロールが、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、前記蒸気のうちの少なくとも一部が前記材料のロールを通り抜けるように、前記ハウジング内に位置付けられ、前記カートリッジから取り外し可能である、材料のロールと、を備え、
前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを有する複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有し、
前記複数のカプセルが、前記材料のロールに含侵され、被覆され、又は含侵かつ被覆される、カートリッジ。
【請求項2】
前記材料のロールが、高分子フィルム、紙、および再生たばこ材料のフィルムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記材料のロールが、前記発熱体と前記ハウジングの前記口側の端との間に位置付けられる、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記添加剤が、風味剤、pH調整剤、ベイパー形成体、たばこ材料、およびニコチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1、2または3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記材料のロールが、前記被覆および前記含浸材料を含み、前記被覆および前記含浸材料が、異なる添加剤を含む、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記カプセルに封入された添加剤が、熱および湿気のうち1つ以上に反応して、前記添加剤を放出するように構成される、請求項1~5のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのシェル層および前記内側コアのうちの少なくとも1つが、前記添加剤を含む、請求項1~6のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なるポリマーで形成される、請求項1~7のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記カプセルに封入された添加剤が、たばこおよび少なくとも1つのポリマーを含み、前記ポリマーが、微結晶セルロース、ペクチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびアルギン酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記プレベイパー製剤がニコチンを含まず、前記添加剤がニコチンを含む、請求項1~9のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項11】
電子ベイピング装置のカートリッジ内に巻かれて配置されるように構成される、複数の材料のシートを備え、前記複数の材料のシートのそれぞれが、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、
前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを有する複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有し、
前記複数のカプセルが、前記材料のロールに含侵され、被覆され、又は含侵かつ被覆される、キット。
【請求項12】
前記複数の材料のシートのそれぞれが、高分子フィルム、紙、および再生たばこ材料のフィルムのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
前記添加剤が、風味剤、pH調整剤、ベイパー形成体、たばこ材料、およびニコチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項11または12に記載のキット。
【請求項14】
前記複数の材料のシートのうちの少なくとも1つが、前記被覆および前記含浸材料を含み、前記被覆および前記含浸材料が、異なる添加剤を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記カプセルに封入された添加剤が、熱および湿気のうちの少なくとも1つに反応して、前記添加剤を放出するように構成され、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを含む、請求項11~14のいずれかに記載のキット。
【請求項16】
電子ベイピング装置内への配置の前に、前記カプセルに封入された添加剤から香味を放出するように構成される、ローラーをさらに備える、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記複数のシートのそれぞれが、異なる添加剤を含む、請求項11~16のいずれかに記載のキット。
【請求項18】
前記複数のシートのそれぞれが、同じ添加剤を含む、請求項11~16のいずれかに記載のキット。
【請求項19】
前記シートを巻くことを補助し、また前記シートを巻かれた状態に維持するように構成され、非可撓性である、ガイドをさらに備える、請求項11~18のいずれかに記載のキット。
【請求項20】
電子ベイピング装置の蒸気を強化する方法であって、
材料のシートを巻いて、前記材料のシートの複数の層を含む巻かれた材料のシートを形成することであって、前記材料のシートが、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを有する複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有し、前記複数のカプセルが、前記材料のロールに含侵され、被覆され、又は含侵かつ被覆される、形成することと、
ヒーターとカートリッジの口側の端との間に、前記巻かれた材料のシートを挿入することと、を含む、方法。
【請求項21】
前記材料のシートが、高分子フィルム、紙、および再生たばこ材料のフィルムのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記添加剤が、風味剤、pH調整剤、ベイパー形成体、たばこ材料、およびニコチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項20または21に記載の方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は、平成30年10月25日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の記載によって特定される次のとおりである。
「 【請求項1】
電子ベイピング装置用のカートリッジであって、
長手方向に延在し、口側の端および接続端を含むハウジングと、
プレベイパー製剤を収容し、前記ハウジング内にある貯蔵部と、
前記ハウジング内にある発熱体であって、前記貯蔵部と流体連通し、蒸気を発生するように構成される、発熱体と、
巻かれた材料の複数の層を含み、それを通って長手方向に延在するチャネルを有する材料のロールであって、前記材料のロールが、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、前記蒸気のうちの少なくとも一部が前記材料のロールを通り抜けるように、前記ハウジング内に位置付けられ、前記カートリッジから取り外し可能である、材料のロールと、を備える、カートリッジ。
【請求項2】
前記材料のロールが、高分子フィルム、紙、および再生たばこ材料のフィルムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記材料のロールが、前記発熱体と前記ハウジングの前記口側の端との間に位置付けられる、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記被覆および前記含浸材料がそれぞれ、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、風味剤、pH調整剤、ベイパー形成体、たばこ材料、およびニコチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項1、2または3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記材料のロールが、前記被覆および前記含浸材料を含み、前記被覆および前記含浸材料が、異なる添加剤を含む、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを含む、請求項4または5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記カプセルに封入された添加剤が、熱および湿気のうち1つ以上に反応して、前記添加剤を放出するように構成される、請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのシェル層および前記内側コアのうちの少なくとも1つが、前記添加剤を含む、請求項6または7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記カプセルに封入された添加剤が、複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有する、請求項6、7または8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記カプセルに封入された添加剤が、複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なるポリマーで形成される、請求項6~9のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記カプセルに封入された添加剤が、複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルが、同時に前記添加剤を放出する、請求項6、7または8に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記カプセルに封入された添加剤が、たばこおよび少なくとも1つのポリマーを含み、前記ポリマーが、微結晶セルロース、ペクチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびアルギン酸ナトリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項6~11のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記プレベイパー製剤がニコチンを含まず、前記添加剤がニコチンを含む、請求項4~12のいずれかに記載のカートリッジ。
【請求項14】
電子ベイピング装置のカートリッジ内に巻かれて配置されるように構成される、複数の材料のシートを備え、前記複数の材料のシートのそれぞれが、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含む、キット。
【請求項15】
前記複数の材料のシートのそれぞれが、高分子フィルム、紙、および再生たばこ材料のフィルムのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記被覆および前記含浸材料がそれぞれ、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、風味剤、pH調整剤、ベイパー形成体、たばこ材料、およびニコチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項14または15に記載のキット。
【請求項17】
前記複数の材料のシートのうちの少なくとも1つが、前記被覆および前記含浸材料を含み、前記被覆および前記含浸材料が、異なる添加剤を含む、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、熱および湿気のうちの少なくとも1つに反応して、前記添加剤を放出するように構成され、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを含む、請求項16または17に記載のキット。
【請求項19】
電子ベイピング装置内への配置の前に、前記カプセルに封入された添加剤から香味を放出するように構成される、ローラーをさらに備える、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記複数のシートのそれぞれが、異なる添加剤を含む、請求項16~19のいずれかに記載のキット。
【請求項21】
前記複数のシートのそれぞれが、同じ添加剤を含む、請求項16~19のいずれかに記載のキット。
【請求項22】
前記シートを巻くことを補助し、また前記シートを巻かれた状態に維持するように構成され、非可撓性である、ガイドをさらに備える、請求項14~21のいずれかに記載のキット。
【請求項23】
電子ベイピング装置の蒸気を強化する方法であって、
材料のシートを巻いて、前記材料のシートの複数の層を含む巻かれた材料のシートを形成することであって、前記材料のシートが、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含む、形成することと、
ヒーターとカートリッジの口側の端との間に、前記巻かれた材料のシートを挿入することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記材料のシートが、高分子フィルム、紙、および再生たばこ材料のフィルムのうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記被覆および前記含浸材料がそれぞれ、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、風味剤、pH調整剤、ベイパー形成体、たばこ材料、およびニコチンのうちの少なくとも1つを含む、請求項23または24に記載の方法。」
(3)本件補正の適否
ア 請求項1~10について
本件補正は、請求項1における「被覆および含浸材料」に対して、「前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを有する複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有し、
前記複数のカプセルが、前記材料のロールに含侵され、被覆され、又は含侵かつ被覆される」ことを限定するものであって、本件補正前の請求項1に係る発明と本件補正後の請求項1に係る発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の【請求項4】、【請求項6】、【請求項9】、【図6】及び【図7】に記載されているので、新規事項を追加するものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、同法第17条の2第3項の規定に適合するものである。
イ 請求項11~19について
本件補正は、請求項11における「被覆および含浸材料」に対して、「前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを有する複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有し、
前記複数のカプセルが、前記材料のロールに含侵され、被覆され、又は含侵かつ被覆される」ことを限定するものであって、本件補正前の請求項14に係る発明と本件補正後の請求項11に係る発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の【請求項4】、【請求項6】、【請求項9】、【図6】及び【図7】に記載されているので、新規事項を追加するものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、同法第17条の2第3項の規定に適合するものである。
ウ 請求項20~22について
本件補正は、請求項20における「被覆および含浸材料」に対して、「前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを有する複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有し、前記複数のカプセルが、前記材料のロールに含侵され、被覆され、又は含侵かつ被覆される」ことを限定するものであって、本件補正前の請求項23に係る発明と本件補正後の請求項20に係る発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の【請求項4】、【請求項6】、【請求項9】、【図6】及び【図7】に記載されているので、新規事項を追加するものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、同法第17条の2第3項の規定に適合するものである。
エ 以上のとおり本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
2. 独立特許要件について
2-1 本件補正発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」いう。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記1.(1)に記載したとおりのものである。
2-2 引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である米国特許出願公開第2015/0027468号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「
[図:0001395960000001.jpg]
」
(当審訳)
「[0002] 本明細書に開示される実施形態の多くは、液体供給源からヒータに液体を送達するように動作可能な電子喫煙物品を含む。 ヒータは液体を揮発させてエアロゾルを形成します。」
イ「
[図:0001395960000002.jpg]
[図:0001395960000003.jpg]
」
(当審訳)
「[0014] 好ましくは図2、3、4、6、および8を参照すると、電子喫煙物品60は、交換可能なカートリッジ(または第1のセクション)70および再利用可能な取付具(または第2のセクション)72を含み、これらはねじ込みジョイント74で、または他の便宜によって結合される。 スナッグフィット、スナップフィット、戻り止め、クランプおよび/またはクラスプなど。
[0015] 図3に示されるように、第1のセクション70は、マウスエンドインサート20、フィルタセグメント600、キャピラリ(キャピラリチューブ)18を含むキャピラリエアロゾル発生器、キャピラリ18の少なくとも一部を加熱するためのヒータ19、リザーバ14を収容することができる。任意に弁40を含む。図4に示されるように、第1のセクション70は、以下でさらに詳細に議論されるように、マウスエンドインサート20、フィルタセグメント600、ヒータ319、柔軟なフィラメント状ウィック328、およびリザーバ314を収容することができる。」
ウ「
[図:0001395960000004.jpg]
」
(当審訳)
「[0018] 好ましくは、第1のセクション70、第2のセクション72、およびオプションの第3のセクション73は、電子喫煙物品60の長さに沿って長手方向に延びる外側円筒形ハウジング22を含む。一実施形態では、中間セクション73は使い捨て可能であり、第1のセクション70および/または第2のセクション72は再利用可能である。別の実施形態では、キャピラリ18および/またはヒータ19を洗浄する必要を回避するために、リザーバ14を使い切ったとき、第1のセクション70も交換可能とすることができる。」
エ「
[図:0001395960000005.jpg]
[図:0001395960000006.jpg]
」
(当審訳)
「[0033] この実施形態では、リザーバ314は、内側チューブ362と外側ケーシング22との間、および上流ガスケット320と下流ガスケット310との間の環に含まれる。したがって、リザーバ314は、中央空気通路321を少なくとも部分的に取り囲む。リザーバ314は、液体材料と、任意に、その中に液体材料を貯蔵するように動作可能な液体貯蔵媒体(図示せず)とを含む。
[0034] 内側チューブ362は、内部チューブ362を通って延びる中央空気通路321を有し、ヒータ319を収容する。ヒータ319は、フィラメント状ウィック328と接触し、これは、リザーバ314の対向するセクション間に延びることが好ましく、液体エアロゾル調合物をリザーバ314から送達し、リザーバをヒータ319に接続する。」
オ「
[図:0001395960000007.jpg]
」
(当審訳)
「[0040] 図2、3、4、6、8および9において、電子喫煙物品60は、ヒータ19、319の下流の位置にフィルタセグメント600を含む。一実施形態では、フィルタセグメント600は、ポリ乳酸繊維から構成される。ポリ乳酸繊維は互いに平行に配置されているため、エアロゾルは最小限の抵抗で繊維間のチャネルを流れる。別の実施形態では、フィルタセグメント600は、エアロゾルの流れの方向に平行に延びる中空チャネルを有するクリンプされたポリ乳酸フィルムから構築され、吸引に対する抵抗を最小限にし、エアロゾルの濾過を最小限にすることができる。したがって、フィルタセグメント600は、エアロゾルから粒子および/またはエアロゾル成分を濾過するのではなく、風味および揮発性酸などの他の添加物をエアロゾルに送達するように主に設計された超低効率フィルタである。他の実施形態では、フィルタセグメント600は、熱可塑性ポリマーの押出成形から作られた他のフィルムまたは平面構造、紙、または圧着されてその中に中空チャネルを有するフィルタセグメントを効果的にもたらすことができる堅い不織布構造から形成され得る。」
カ「
[図:0001395960000008.jpg]
[図:0001395960000009.jpg]
[図:0001395960000010.jpg]
[図:0001395960000011.jpg]
[図:0001395960000012.jpg]
」
(当審訳)
「[0045] 好ましい実施形態では、フレーバー、ニコチン、揮発性酸、および/またはエアロゾル改質剤を含む添加剤をフィルタセグメント600に塗布して、エアロゾルが通過するときに添加剤がエアロゾルに溶出されるようにすることができる。適切な添加剤には、同時係属中の特許出願第09/011,006号に開示されているものが含まれる。2013年1月31日に出願された米国特許出願第13/755616を参照する。フィルタセグメント600に含まれる任意の添加剤も、液体エアロゾル製剤に含めることができる。あるいは、異なる添加剤がフィルタセグメント600および液体エアロゾル配合物に含まれる。
[0046] 好ましい添加剤には揮発性酸も含まれる。揮発性酸がエアロゾルに溶出すると、エアロゾルのpHが低下し、揮発性酸が気相ニコチンと反応して、エアロゾルの知覚される粗さを軽減する。一実施形態では、エアロゾル中のニコチンは酸と反応して、エアロゾルの粒子相中にニコチン塩を形成することができる。
[0047] 例えば、添加剤をフィルタセグメント600の外面にコーティング606(図8に示す)として適用することができ、またはフレーバーおよび/またはエアゾール改質剤をフィルタセグメント600に含浸させることができる。添加剤はマイクロカプセル化することができる。一定期間にわたって添加剤の制御された放出を提供するように、さまざまなレベルの水溶性を有する水溶性材料を使用する。さらに、添加物は、好ましいフレーバープロファイルを提供するように選択することができる。フィルタセグメント606がコーティング606を含み、添加剤が含浸されている場合、コーティング606は、フィルタセグメント600に含浸されたものと同じ添加剤または異なる添加剤を含む。フィルタセグメント600に含浸された添加剤と共に添加剤含有コーティング606を含むことにより、添加剤の放出は、喫煙(ベーピング)中にずらすことができ、および/または複数の添加剤を送達することができる。
[0048] 本明細書で使用される「添加剤」という用語は、電子喫煙物品60が喫煙される(ベープされる)ときに電子喫煙物品60の特性を変更する任意の材料または成分を意味する。 フィルタセグメント600には、任意の適切な添加材料または材料の組み合わせを含めることができる。そのような添加材料には、香味材料、芳香材料、pH調整剤、揮発性酸、冷却剤および加温剤を含む化学作用剤、二酸化炭素形成剤、市販の香味剤システム、液体、塩または粉末形態のニコチン、およびその他の煙調整剤が含まれる。
[0049] 捲縮されたPLAフィルムから形成される場合、フィルタセグメント600は、捲縮される前に添加剤でコーティングされ得る。添加剤は、液体または粒子の形態であり得、例えば噴霧によって促進される添加剤の含浸または注入によって、圧着の前または後にフィルタセグメント600に添加され得る。液体添加物は、毛細管力によってクリンプされたフィルタセグメント600のプリーツに保持することができる。添加剤はまた、フレーバー付きおよび/または添加剤を含んだフィルタセグメント600を形成する前に、PLAなどの押し出し可能なポリマーと溶液または混合物で組み合わせることができる。」
キ「
[図:0001395960000013.jpg]
」
(当審訳)
「[0060] 喫煙中、エアロゾルがフィルタセグメント600を通って移動するとき、フィルタセグメントに含浸および/またはコーティングされた添加剤は、喫煙者に送達するためにエアロゾルに少なくとも部分的に溶出することができる。フィルタセグメント600中の添加剤の濃度は、香味および/または添加剤の所望の強度に応じて変えることができる。さらに、フィルタセグメント600のチャネル内に同伴された添加剤は、エアロゾルの流れにおいて物理的な除去および同伴を受ける可能性がある。」
ク「
[図:0001395960000014.jpg]
」
ケ 摘記事項イの段落[0014]から、「第1のセクション70」は、「カートリッジ70」と同義と解される。
コ FIG.4(図4)から、「カートリッジ70」は、「外側円筒形ハウジング22」の一方の端部に「マウスエンドインサート20」を備え、他方の端部に「第2のセクション72」が接続されていることが看取できるから、「外側円筒形ハウジング22」は、口側の端および接続端を含むものと認められる。
以上の摘記事項ア~ク及び認定事項ケ~コから、引用文献1には、次の発明が記載されているといえる(以下、「引用発明」という。)。
(引用発明)
「電子喫煙物品60に含まれる、交換可能なカートリッジ70であって、
長手方向に延びる口側の端および接続端を含む外側円筒形ハウジング22を有し、
カートリッジ70は、フィルタセグメント600,ヒータ319、柔軟なフィラメント状ウィック328、およびリザーバ314を収容することができ、
ヒータ319は、液体エアロゾル調合物をリザーバ314から送達し、リザーバ314をヒータ319に接続するフィラメント状ウィック328と接触し、
フィルタセグメント600は、エアロゾルの流れの方向に平行に延びる中空チャネルを有するクリンプされたポリ乳酸フィルムから構築され、吸引に対する抵抗を最小限にし、エアロゾルの濾過を最小限にし、フレーバー、ニコチン、揮発性酸、および/またはエアロゾル改質剤を含む添加剤をフィルタセグメント600に塗布して、エアロゾルが通過するときに添加剤がエアロゾルに溶出されるようにすることができ、
添加剤をフィルタセグメント600の外面にコーティング606として適用することができ、またはフレーバーおよび/またはエアゾール改質剤をフィルタセグメント600に含浸させることができ、添加剤はマイクロカプセル化することができ、
フィルタセグメント600に含浸された添加剤と共に添加剤含有コーティング606を含むことにより、添加剤の放出は、喫煙(ベーピング)中にずらすことができ、および/または複数の添加剤を送達することができる、カートリッジ70。」
(2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である米国特許出願公開第2015/0223515号明細書(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「
[図:0001395960000015.jpg]
[図:0001395960000016.jpg]
[図:0001395960000017.jpg]
」
(当審訳)
「[0076] 図7Aは、1つまたは複数の薬物成分を抽出および精製し、1つまたは複数の薬物成分を基材上にコーティングするために、上記の技術または当技術分野で一般的に知られている技術を使用して形成することができる、本開示の薬物コーティングされた基材700の例を示す。薬物被覆基材700は、基材構成要素710、基材構成要素710上に被覆された薬物構成要素720、および基材構成要素710または薬物構成要素720上に位置するスペーサ722を含むことができる。一例では、スペーサ722は、基材上に位置することができる。基板コンポーネント710がコーティングされる前のコンポーネント710。一例では、スペーサ722は、基材構成要素710がコーティングされた後、薬物構成要素720上に配置することができる。
[0077] 図7Bは、薬物コーティングされた基材700が、薬物送達カートリッジ702として使用するために構成された三次元構造に変換され得る例を示す。一例では、複数のスペーサ722を構造要素として使用して、薬物送達カートリッジ702の層の間にチャネル724を維持して、加熱された空気の通過を可能にすることができる。薬物送達カートリッジ702は、任意の数の層を含むことができる。
[0078] 薬物送達カートリッジ702は、薬物送達デバイスと共に使用することができ、その例は、以下に記載され、図7に示される。一例では、薬物送達デバイスは、気化器、電子タバコ、ボンベ、または水道管を含むことができるが、これらに限定されない。あるいは、薬物送達カートリッジ702は、薬物送達カートリッジ702から薬物を揮発させるために、薬物送達カートリッジ702に加熱空気を直接適用することによって使用することができる。加熱プロセスまたは加熱装置には、電子タバコ、ボンベ、水道管、および気化装置が含まれますが、これらに限定されません。一例において、加熱された空気は、薬物送達カートリッジ702から薬物を揮発させるために、チャネル724を通して導かれ得る。」
イ「
[図:0001395960000018.jpg]
」
ウ 摘記事項イのFIG.7Bから、「薬物送達カートリッジ702」は、「基材構成要素710」上に被覆された「薬物構成要素720」からなる「薬物被覆基材700」が巻かれており、巻かれた「薬物被覆基材700」が複数の層を含むロールを構成し、当該層の間に「チャネル724」が形成されていることが看取できる。
エ 摘記事項アの「・・・薬物送達カートリッジ702は、薬物送達カートリッジ702から薬物を揮発させるために、薬物送達カートリッジ702に加熱空気を直接適用することによって使用することができる。加熱プロセスまたは加熱装置には、電子タバコ、ボンベ、水道管、および気化装置が含まれます・・・」との記載から、「薬物送達カートリッジ702」は、「電子タバコ」で加熱された「加熱空気」を直接適用することによって「薬物を揮発させる」ものと認められる。
以上の認定事項ウ、エから、引用文献2には次の技術が記載されているといえる(以下、「引用文献2記載事項」という。)
(引用文献2記載事項)
「基材構成要素710上に被覆された薬物構成要素720からなる薬物被覆基材700が巻かれており、巻かれた薬物被覆基材700が複数の層を含むロールを構成し、当該層の間にチャネル724が形成された薬物送達カートリッジ702であって、薬物送達カートリッジ702は、電子タバコで加熱された加熱空気を直接適用することによって薬物を揮発させること。」
(3)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特表2013-527026号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「【技術分野】
【0001】
種々の幾何学的形状のコア/シェルカプセルの製造及びその後の処理に関する。」
イ「【0021】
一実施形態において、第1の液体香味料組成物と第1のシェル形成ポリマー材料とを共押出して、第1の液体香味料組成物を含む内部コアと第1のシェル形成ポリマー材料を含む外層とを含んだコア-シェル液滴を形成することによって、液体香味料組成物をカプセル化する方法が提供される。」
ウ「【0030】
図2は、カプセル化された第1の液体香味料組成物及び硬化した第1のポリマー材料の内側シェルを含んだカプセルが次に、どのように第2のシェル形成ポリマー材料を含む1つ又はそれ以上の被覆層で被覆されて多重シェルカプセルが形成されるかの例証的な例を示す。この多重シェルカプセルは、コアを囲む硬化したシェル形成ポリマー材料のシェルを有する。カーテンコーティング、コアセルベーションなどの、カプセルを被覆するための様々なプロセスが満足な結果をもたらすであろうが、本明細書では例示的な1つの被覆プロセスを説明し、図2に示す。
・・・
【0032】
ひとたび被覆カプセルが形成されると、被覆層内の第2のシェル形成ポリマー材料を硬化させて、硬化した第2のシェル形成ポリマー材料の外側シェルで内側シェルが囲まれたカプセルを含む多重シェルカプセルが形成される。硬化は、第2のシェル形成ポリマー材料を適切な架橋剤に接触させることによって達成することができる。例えば、第2のシェル形成ポリマー材料がアルギン酸ナトリウムを含む場合、カルシウムイオンの溶液を加えて被覆層を硬化させることができる。内側シェルが架橋アルギン酸塩を含む場合には、追加のカルシウムを必要とせずに、被覆内へと移動して架橋を起こさせるのに十分な残留遊離カルシウムイオンが内側シェル内に存在し得る。硬化は、好ましくは被覆ステップ中に、例えば被覆ステップ中の内側シェル内の残留カルシウムイオンによる架橋によって、開始することができる。」
エ「【0043】
「喫煙物品及び無煙タバコ」
タバコ喫煙物品と共に用いられる例えばメントールなどの香味料は、メントールが、添加されたタバコから喫煙物品の他の部分に移動する可能性があり、又は完全に喫煙物品の外部に移動する可能性がある。このことが、物品が消費されるときに有効な香味料のレベルを低下させるので、物品に添加する香味料のレベルを増やすことがしばしば必要となる。添加する香味料の量を増やすことは、望ましくない製造コストの追加を意味する。本明細書で説明するカプセル化された香味料を使用することでこれらの問題を克服することができる。
・・・
【0045】
別の例において、第1の液体香味料組成物内の香味料として1つの香味料、例えばメントールを含み、第2の液体香味料組成物内の香味料として異なる香味料、例えばタバコ抽出物を含む1つ又はそれ以上のカプセルを、紙巻きタバコのタバコロッド及び/又はフィルタ内に組み込むことができる。紙巻きタバコを喫煙するときに、湿り気のある熱い主流煙内で外側シェルが分解し、タバコの風味を放出し、それにより紙巻きタバコ内のタバコによってもたらされるタバコの風味が強められる。喫煙が続くと、内側シェルが分解して主流煙内にメントールの風味を放出することができる。
・・・
【0047】
別の実施形態において、内側及び外側シェルの厚さ及び他の機械的性質を変えることにより、異なるカプセルからの香味料の放出速度を変えることが可能である。このことは、物品内の異なる位置に対してカプセルを設計し、それにより経時的に香味料の放出を制御することを可能にする。例えば、比較的厚いシェルを有するカプセルをフィルタ内部又はその近傍に配置することができ、他方、比較的薄いシェルを有するカプセルを、紙巻きたばこのタバコロッド内の着火端部の近傍に配置することができる。厚いシェルのカプセルは、主流煙にさらされたときに、より長時間にわたってその香味料を保持するので、消費者は喫煙経験中の後期まで香味料放出を経験し続ける。カプセル化された香味料を含む紙巻きタバコは、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる特許文献1及び特許文献2に記載されている。」
摘記事項イ~エから、引用文献3には次の技術が記載されているといえる(以下、「引用文献3記載事項」という。)
(引用文献3記載事項)
「第1の液体香味料組成物を含む内部コアと第1のシェル形成ポリマー材料を含む外層とを含んだ液体香味料組成物をカプセル化し、次に、第2のシェル形成ポリマー材料の被覆層で被覆した多重シェルカプセルであって、第1の液体香味料組成物内の香味料としてメントールを含み、第2の液体香味料組成物内の香味料としてタバコ抽出物を含む1つ又はそれ以上のカプセルを、紙巻きタバコのタバコロッド及び/又はフィルタ内に組み込み、内側及び外側シェルの厚さ及び他の機械的性質を変えることにより異なるカプセルからの香味料の放出速度を変えること。」
2-3 対比・判断
(1)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「電子喫煙物品60」、「カートリッジ70」は、それぞれ本件補正発明の「電子ベイピング装置」、「カートリッジ」に相当するから、引用発明の「電子喫煙物品60に含まれる交換可能なカートリッジ70」は、本件補正発明の「電子ベイピング装置用のカートリッジ」に相当する。
引用発明の「長手方向に延びる」、「口側の端」、「接続端」、「外側円筒形ハウジング22」は、それぞれ本件補正発明の「長手方向に延在」、「口側の端」、「接続端」、「ハウジング」に相当する。
引用発明の「液体エアロゾル調合物」、「リザーバ314」、「ヒータ319」は、それぞれ本件補正発明の「プレベイパー製剤」、「貯蔵部」、「発熱体」に相当する。
引用発明の「リザーバ314」は、「カートリッジ70」に収容されており、「フィラメント状ウィック328」により「液体エアロゾル調合物をリザーバ314から送達」されるものであるから、「液体エアロゾル調合物」を収容し、外側円筒形ハウジング22内にあるものと認められる。
また、引用発明の「ヒータ319」は、「リザーバ314をヒータ319に接続するフィラメント状ウィック328」により「液体エアロゾル調合物をリザーバ314から送達」され「フィラメント状ウィック328と接触」するのであるから、「フィラメント状ウィック328」を介して「リザーバ314と流体連通」して、「フィラメント状ウィック328」に接触することでエアロゾルを発生するように構成されているものと認められる。
してみると、引用発明の「カートリッジ70は、フィルタセグメント600、ヒータ319、柔軟なフィラメント状ウィック328、およびリザーバ314を収容することができ」、「液体エアロゾル調合物をリザーバ314から送達し、リザーバ314をヒータ319に接続するフィラメント状ウィック328と接触」する「ヒータ319」を有することは、本件補正発明の「プレベイパー製剤を収容し、前記ハウジング内にある貯蔵部」と「前記ハウジング内にある発熱体であって、前記貯蔵部と流体連通し、蒸気を発生するように構成される、発熱体」を有することに相当する。
引用発明の「エアロゾルの流れの方向に平行に延びる中空チャネル」、「クリンプされたポリ乳酸フィルム」は、本件補正発明の「長手方向に延在するチャネル」、「材料」に相当する。
そして、引用発明の「フィルタセグメント600」は、「カートリッジ70」に収容され、「エアロゾルの流れの方向に平行に延びる中空チャネルを有するクリンプされたポリ乳酸フィルムから構築され、吸引に対する抵抗を最小限にし、エアロゾルの濾過を最小限」にするのであるから、エアロゾルが中空チャネルを通り抜けるように外側円筒形ハウジング22内に位置づけられているものといえる。
また、引用発明の「フレーバー、ニコチン、揮発性酸、および/またはエアロゾル改質剤を含む添加剤」は、「フィルタセグメント600に塗布して」いるのであるから、本件補正発明の「被覆および含浸材料」に相当する。
してみると、引用発明の「フィルタセグメント600は、エアロゾルの流れの方向に平行に延びる中空チャネルを有するクリンプされたポリ乳酸フィルムから構築され、吸引に対する抵抗を最小限にし、エアロゾルの濾過を最小限にし、フレーバー、ニコチン、揮発性酸、および/またはエアロゾル改質剤を含む添加剤をフィルタセグメント600に塗布して、エアロゾルが通過するときに添加剤がエアロゾルに溶出されるようにすることができ」ることは、「長手方向に延在するチャネルを有する材料であって、前記材料が、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、前記蒸気のうちの少なくとも一部が前記材料を通り抜けるように、前記ハウジング内に位置付けられる材料と、を備え」ることの限りにおいて、本件補正発明の「巻かれた材料の複数の層を含み、それを通って長手方向に延在するチャネルを有する材料のロールであって、前記材料のロールが、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、前記蒸気のうちの少なくとも一部が前記材料のロールを通り抜けるように、前記ハウジング内に位置付けられ、前記カートリッジから取り外し可能である、材料のロールと、を備え」ることと一致する。
引用発明の「添加剤をフィルタセグメント600の外面にコーティング606として適用することができ、またはフレーバーおよび/またはエアゾール改質剤をフィルタセグメント600に含浸させることができ、添加剤はマイクロカプセル化することができ」ることは、本件補正発明の「前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であ」ることに相当する。
してみると、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点)
電子ベイピング装置用のカートリッジであって
長手方向に延在し、口側の端および接続端を含むハウジングと、
プレベイパー製剤を収容し、前記ハウジング内にある貯蔵部と、
前記ハウジング内にある発熱体であって、前記貯蔵部と流体連通し、蒸気を発生するように構成される、発熱体と、
長手方向に延在するチャネルを有する材料であって、前記材料が、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、前記蒸気のうちの少なくとも一部が前記材料を通り抜けるように、前記ハウジング内に位置付けられ、材料と、を備え、
前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤である、カートリッジ。」
(相違点1)
「長手方向に延在するチャネルを有する材料であって、前記材料が、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、前記蒸気のうちの少なくとも一部が前記材料を通り抜けるように、前記ハウジング内に位置付けられる材料と、を備え」ることに関して、
本件補正発明は、「巻かれた材料の複数の層を含み、それを通って長手方向に延在するチャネルを有する材料のロールであって、前記材料のロールが、被覆および含浸材料のうちの少なくとも1つを含み、前記蒸気のうちの少なくとも一部が前記材料のロールを通り抜けるように、前記ハウジング内に位置付けられ」、「前記カートリッジから取り外し可能である」、「材料のロール」を備えるのに対して、
引用発明では、「フィルタセグメント600は、エアロゾルの流れの方向に平行に延びる中空チャネルを有するクリンプされたポリ乳酸フィルムから構築され、吸引に対する抵抗を最小限にし、エアロゾルの濾過を最小限にし、フレーバー、ニコチン、揮発性酸、および/またはエアロゾル改質剤を含む添加剤をフィルタセグメント600に塗布して、エアロゾルが通過するときに添加剤がエアロゾルに溶出されるようにすることができ」るよう構成されている点。
(相違点2)
本件補正発明では、「前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを有する複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有」するのに対して、
引用発明では、「フィルタセグメント600に含浸された添加剤と共に添加剤含有コーティング606を含むことにより、添加剤の放出は、喫煙(ベーピング)中にずらすことができ、および/または複数の添加剤を送達することができる」よう構成されている点。
(相違点3)
本件補正発明では、「前記複数のカプセルが、前記材料のロールに含侵され、被覆され、又は含侵かつ被覆される」のに対して、引用発明では、そのような構成がない点。
(2)当審の判断
相違点1について検討する。
上記2-2(2)で示したように、引用文献2には、「基材構成要素710上に被覆された薬物構成要素720からなる薬物被覆基材700が巻かれており、巻かれた薬物被覆基材700が複数の層を含むロールを構成し、当該層の間にチャネル724が形成された薬物送達カートリッジ702であって、薬物送達カートリッジ702は、電子タバコで加熱された加熱空気を直接適用することによって薬物を揮発させること。」が記載されている。
ここで、引用文献2記載事項の「薬物送達カートリッジ702」は、「基材構成要素710上に被覆された薬物構成要素720からなる薬物被覆基材700が巻かれており、巻かれた薬物被覆基材700が複数の層を含むロールを構成し、当該層の間にチャネル724が形成された」ものであるから、「巻かれた材料の複数の層を含み、それを通って長手方向に延在するチャネルを有する材料のロール」であるということができる。
また、引用文献2記載事項の「薬物送達カートリッジ」は、自体が「カートリッジ」であるから、電子パイプに対して取り外し可能であることが明らかである。
そして、引用文献2記載事項が適用される「電子パイプ」は、引用発明の「電子喫煙物品」と共通する用途であって、喫煙者に薬物を送達する意味において共通する機能、作用を奏するものといえるから、引用発明のフィルタセグメントを構成する「エアロゾルの流れの方向に平行に延びる中空チャネルを有するクリンプされたポリ乳酸フィルム」を巻いて、引用文献2記載事項のように複数の層を含むロールとして構成し、当該層の間にチャネルが形成されるよう構成するとともに取り外し可能とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
次に相違点2について検討する。
上記2-2(3)で示したとおり、引用文献3には、「第1の液体香味料組成物を含む内部コアと第1のシェル形成ポリマー材料を含む外層とを含んだ液体香味料組成物をカプセル化し、次に、第2のシェル形成ポリマー材料の被覆層で被覆した多重シェルカプセルであって、第1の液体香味料組成物内の香味料としてメントールを含み、第2の液体香味料組成物内の香味料としてタバコ抽出物を含む1つ又はそれ以上のカプセルを、紙巻きタバコのタバコロッド及び/又はフィルタ内に組み込み、内側及び外側シェルの厚さ及び他の機械的性質を変えることにより異なるカプセルからの香味料の放出速度を変えること。」が記載されている。
ここで、引用文献3記載事項の「多重シェルカプセル」は、「第1の液体香味料組成物を含む内部コア」と「第1のシェル形成ポリマー材料を含む外層」と「第2のシェル形成ポリマー材料の被覆層」からなり、「内側及び外側シェルの厚さ及び他の機械的性質を変えることにより異なるカプセルからの香味料の放出速度を変える」ものであるから、カプセルに封入された第1の液体香味料組成物が、第1のシェル形成ポリマー材料を含む外層と第2のシェル形成ポリマー材料の被覆層の2層からなるシェル層および内側コアを有するものと認められる。
また、引用文献3記載事項は、その多重シェルカプセルについて「内側及び外側シェルの厚さ及び他の機械的性質を変えることにより異なるカプセルからの香味料の放出速度を変える」ものであるから、異なる時間に香味料を放出するように複数のカプセルのシェル層の厚さが異なるよう構成しているといえる。
そして、引用文献3記載事項は、「紙巻きタバコ」の「フィルタ内」に組み込むものであるから、引用発明の「電子喫煙物品」と関連する技術分野に属するものであって、引用発明の「カプセルに封入された添加剤」により「フィルタセグメント600に含浸された添加剤と共に添加剤含有コーティング606を含むことにより、添加剤の放出は、喫煙(ベーピング)中にずらすことができ、および/または複数の添加剤を送達することができる」ことと同様の作用・機能を奏するものであるから、引用発明の「カプセル」を、引用文献3記載事項の「多重シェルカプセル」に置換して、カプセルに封入された添加剤が少なくとも1つのシェル層および内側コア層を有する複数のカプセルを含み、複数のカプセルのいくつかのうち少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に添加剤を放出するように、複数のカプセルのその他のうちの少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有するよう構成することは、当業者が容易に想到し得たことといえる。
最後の相違点3について検討する。
そもそも引用発明は、「添加剤をフィルタセグメント600の外面にコーティング606として適用することができ、またはフレーバーおよび/またはエアゾール改質剤をフィルタセグメント600に含浸させることができ、添加剤はマイクロカプセル化することができ」るのであるから、引用発明におけるフィルタセグメント600の外面にコーティング606として適用した添加剤を引用文献3記載事項の多重シェルカプセルとするとともに、フィルタセグメント600を引用文献2記載事項のように複数の層を含むロールとして構成する際に、引用文献3記載事項の「多重シェルカプセル」を引用文献2記載事項の「複数の層を含むロール」に含浸、被覆又は含浸かつ被覆するよう構成することは、技術思想の具現化にあたって当業者が容易に想到し得たことである。
また、相違点3に係る構成による作用効果についても、引用発明の「添加剤をフィルタセグメント600の外面にコーティング606として適用することができ、またはフレーバーおよび/またはエアゾール改質剤をフィルタセグメント600に含浸させることができ、添加剤はマイクロカプセル化することができ」ることによる作用効果と、引用文献2、3記載事項それぞれの作用効果から予測可能なものであって、進歩性が肯定される方向に働く引用発明と比較した有利な効果であるということはできない。
(3)審判請求人の主張
審判請求人は、令和4年4月27日にした手続補正で補正された同年3月7日に提出した審判請求書の3.(5)において、「引用文献1には、フィルタセグメント600に使用される材料が「被覆」又は「含浸」されているという事項を何ら開示しておりません。」と主張する。
また、審判請求人は、審判請求書の3.(7)において「引用文献1には、「添加剤」を含むフィルタセグメント600の開示はなく、被覆又は含浸材料の部分である添加剤の開示はありません。・・・引用文献1には、「カプセルに封入された添加剤」を含むフィルタセグメント600の開示はなく、「少なくとも1つのシェル層および内部コアを有する複数のカプセル」を含むカプセルに封入された添加剤の開示はありません。」と主張する。
しかしながら、引用文献1の[0047]には、「例えば、添加剤をフィルタセグメント600の外面にコーティング606(図8に示す)として適用することができ、またはフレーバーおよび/またはエアゾール改質剤をフィルタセグメント600に含浸させることができる。添加剤はマイクロカプセル化することができる。」と記載されているのであるから、審判請求人の主張は的を射ないものであるといわざるを得ない。
さらに審判請求人は、審判請求書の3.(10)において、「・・・引用文献2には、被覆の形態であろうと、含浸またはその他の形態であろうと、複数のカプセルを薬物送達カートリッジ(702)に統合することについての教示はありません。・・・引用文献3は、カプセルを多層材料ロールの一部として統合することについて教示するものではありません。」と主張する。
また、審判請求人は、令和4年8月15に提出した上申書において、「審判請求書で述べたように、本発明において、異なるカプセルのシェル層が異なる厚さを有する複数のカプセルの使用は、使用中の添加剤の放出のより良い制御を可能にし、カプセルを材料の多層ロールに統合することにより、材料のロールの複数の層を通過する気流への添加剤の送達を強化し、それによって、添加剤を含むエアロゾルのユーザーへの送達を強化し、ユーザーの経験を強化します。これは、請求項1によって取り組まれる技術的課題を定義しております。
そのため、引用文献1に記載されていない請求項1の特徴は、相乗的な利点を有するものであります。・・・」と主張する。
しかしながら、上記(2)でも論じたとおり、そもそも引用発明が「添加剤をフィルタセグメント600の外面にコーティング606として適用することができ、またはフレーバーおよび/またはエアゾール改質剤をフィルタセグメント600に含浸させることができ、添加剤はマイクロカプセル化することができ」るのであるから、引用発明に引用文献2、3記載事項をそれぞれ適用する際、引用文献3記載事項の「多重シェルカプセル」を引用文献2記載事項の「複数の層を含むロール」に含浸、被覆又は含浸かつ被覆するよう構成することは、技術思想の具現化にあたって当業者が容易に想到し得たことであるといわざるを得ない。
また、相違点3に係る構成による作用効果についても、引用発明の作用効果と、引用文献2、3記載事項それぞれの作用効果から予測可能なものであって、進歩性が肯定される方向に働く引用発明と比較した有利な効果であるということができないから、審判請求人の主張を採用することは、できないものである。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明に引用文献2、3記載事項を適用して、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けられない。
3.本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~25に係る発明は、平成30年10月25日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~25に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、以下のとおりである。
理由1.(新規性)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.(進歩性)
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
●理由1、理由2
・請求項14
・引用文献等2
●理由2
・請求項1-5、14-17、20-25
・引用文献等1-2
・請求項6-13、18
・引用文献等1-3
請求項19に係る発明については、拒絶の理由を発見しない。
<引用文献等一覧>
引用文献1.米国特許出願公開第2015/0027468号明細書
引用文献2.米国特許出願公開第2015/0223515号明細書
引用文献3.特表2013-527026号公報
3.引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~3に記載された事項は、前記第2の[理由]2.2-2(1)~(3)に記載したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、「被覆および含浸材料」に対する「前記被覆および前記含浸材料のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの添加剤を含み、前記添加剤が、カプセルに封入された添加剤であり、前記カプセルに封入された添加剤が、少なくとも1つのシェル層および内側コアを有する複数のカプセルを含み、前記複数のカプセルのいくつかのうちの前記少なくとも1つのシェル層が、異なる時間に前記添加剤を放出するように、前記複数のカプセルのその他のうちの前記少なくとも1つのシェル層とは異なる厚さを有し、
前記複数のカプセルが、前記材料のロールに含侵され、被覆され、又は含侵かつ被覆される」という限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記の限定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2.2-3に記載したとおり、引用発明、引用文献2、3記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、引用文献3記載事項は、本件補正で追加された限定事項に対応するものであるから、本願発明は、引用発明、引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-003392