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特許拒絶査定不服審判

2022-003007

光エネルギー利用装置

審判番号
2022-003007
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-194516
請求日
2022年02月28日
審決日
2023年07月03日
公報発行日
2023年09月29日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社豊田中央研究所
  • 【請求人代理人】弁理士法人YKI国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 粟野 正明
  • 審判官 山口 大志
  • 審判官 土屋 知久
分類
P18 .113-WZ (C25B) / P18 .121-WZ (C25B) / P18 .537-WZ (C25B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-194516「光エネルギー利用装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月25日出願公開、特開2019- 65367〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願(以下、「本願」という。)は、平成29年10月 4日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 3年 7月27日付け 拒絶理由通知書 同年 9月16日 意見書、手続補正書の提出 同年11月30日付け 拒絶査定 令和 4年 2月28日 審判請求書、手続補正書の提出 同年12月 5日付け 拒絶理由通知書 令和 5年 1月23日 意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1~5に係る発明は、令和 5年 1月23日に提出された手続補正書(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)によって補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 光エネルギーを利用して、原料キャリアから合成物を生成する光エネルギー利用装置において、 入口と出口を有し、原料キャリアを流通する容器と、 容器の外側に配置され、入射してくる光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池と、 容器の内側に形成され、原料キャリアと接触する陽極および陰極であって、太陽電池の+出力が接続される陽極と、-出力が接続される陰極を含み、太陽電池からの出力を陽極と陰極の間に印加して、陰極に接触する、二酸化炭素を含む原料キャリアから、二酸化炭素を還元した合成物を生成する合成部と、 を有し、 陽極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの水から酸素を生成する面積、または陰極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの二酸化炭素を還元した合成物を生成する面積が、太陽電池の受光面積より大きい、 光エネルギー利用装置。」 第3 当審における拒絶の理由 令和 4年12月 5日付けで当審において通知した拒絶理由には、次のものが含まれる。 理由1(明確性)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 1 本願の請求項1における「陽極または陰極の面積」が、「陽極または陰極」におけるどのような定義の面積を意味しているのかは、本願の願書に添付した明細書の記載及び本願出願時の技術常識を参酌しても、明確であるとはいえない。 2 本願の請求項3における「陽極または陰極の面積は、太陽電池の受光面積の2倍以上である」との特定事項における「陽極または陰極の面積」との記載についても上記1と同様の不備が指摘される。 理由2(進歩性)本願の請求項1~5に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2015-218380号公報 引用文献2:国際公開第2017/110217号 第4 当審の判断 以下に述べるとおり、当審は、本願発明は、本願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1~2に記載された発明に基いて、その出願日前に当業者が容易に発明をすることができたものでもあるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないと判断する。 1 引用文献1、2の記載及び引用発明、引用文献2に記載の技術的事項 (1)引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審で付した。「・・・」により記載の省略を示す。以下同様である。)。 「【0003】 太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する装置としては、光起電力部と電解部とを一体化させた光電気化学反応装置が知られている。・・・」 「【0010】 (第1の実施形態) 図1ないし図4は第1の実施形態による光電気化学反応装置を示す図である。図1は光電気化学反応装置の平面図、図2は図1のA-A線に沿った断面図、図3は図1のB-B線に沿った断面図、図4は図1の電気的な接続状態を示す図である。第1の実施形態の光電気化学反応装置1は、第1光起電力セル2A、第2光起電力セル2B、第1反応電極対3A、第2反応電極対3B、および電解槽4を具備している。第1および第2光起電力セル2A、2Bは、それぞれ第1電極11と、第2電極21と、これら電極11、21間に設けられ、光エネルギーにより電荷分離を行う光起電力層31とを備えている。第1および第2光起電力セル2A、2Bは、電解槽4を外側に配置されている。 【0011】 第1および第2反応電極対3A、3Bは、それぞれ第3電極41と、第3電極41と対向するように配置された第4電極42とを備えている。第1および第2反応電極対3A、3Bは、電解槽4内に配置されている。電解槽4は、第3電極41が浸漬される第1電解液51を収容する第1収容部52と、第4電極42が浸漬される第2電解液53を収容する第2収容部54と、第1電解液51と第2電解液53とを分離しつつ、イオンを移動させるイオン移動層(分離壁を兼ねるイオン移動層)55とを備える。第3電極41および第4電極42の一方で酸化反応が生起され、第3電極41および第4電極42の他方で還元反応が生起される。すなわち、光起電力セル2A、2Bに太陽光等を照射して発生させた光起電力によって、反応電極対3A、3Bで酸化還元反応を生じさせる。 【0012】 図4に示すように、第1光起電力セル2Aの第1電極11は、第1反応電極対3Aの第3電極41と接続部材6Aを介して電気的に接続されており、第1光起電力セル2Aの第2電極21は、第1反応電極対3Aの第4電極42と接続部材6Bを介して電気的に接続されている。同様に、第2光起電力セル2Bの第1電極11は、第2反応電極対3Bの第3電極41と接続部材6Cを介して電気的に接続されており、第2光起電力セル2Bの第2電極21は、第2反応電極対3Bの第4電極42と接続部材6Dを介して電気的に接続されている。光起電力セル2と反応電極対3とを1組として電気的に接続することによって、1つの光起電力セル2に不具合が生じた場合においても、他の光起電力セル2と反応電極対3との組み合わせに悪影響を及ぼすことがない。従って、光電気化学反応装置1による光エネルギーから化学エネルギーへの変換効率を維持することができる。」 「【0014】 第1の実施形態の光電気化学反応装置1の構成について詳述する。光起電力セル2は、第1方向および第1方向と直交する第2方向に広がる平板形状を有し、例えば第2電極21を基材とし、その上に光起電力層31および第1電極11を順に形成することにより構成される。ここでは、光照射側を表面(上面)とし、光照射側の反対側を裏面(下面)として説明する。・・・」 「【0022】 図6に示す光起電力セル(シリコン系太陽電池を用いた光電気化学セル)201において、照射光は第1電極11を通過して光起電力層311に到達する。光照射側(図6では上側)に配置される第1電極11は、照射光に対して光透過性を有している。・・・」 「【0030】 ・・・第4電極42は、できるだけ第3電極41の近くに配置されていることが好ましい。電極41、42間の距離は500mm以下が好ましく、さらに好ましくは100mm以下である。イオン移動層55を配置するために、電極41、42間の距離は100μm以上が好ましい。」 「【0034】 図8および図9に示すように、第3電極41は第1触媒層43を有していてもよく、第4電極41は第2触媒層44を有していてもよい。触媒層43、44は、図8および図9に示すように電極41、42の両面に設けてもよいし、片面に設けてもよい。図6に示す光起電力セル201を使用した場合、正孔が第1電極11側に分離すると共に、電子が第2電極21側に分離するため、第3電極41付近で酸化反応が生起され、第4電極42付近で還元反応が生起される。従って、第1触媒層43には酸化反応を促進する触媒が用いられ、第2触媒層44には還元反応を促進する触媒が用いられる。 【0035】 第1電解液51としてH2Oを含む溶液(水溶液)を用いた場合、第3電極41はH2Oを酸化してO2とH+を生成する。このため、第1触媒層43はH2Oを酸化するための活性化エネルギーを減少させる材料で構成される。第1触媒層43は、H2Oを酸化してO2とH+を生成する際の過電圧を低下させる材料で構成される。そのような材料としては、酸化マンガン(Mn-O)、酸化イリジウム(Ir-O)、酸化ニッケル(Ni-O)、酸化コバルト(Co-O)、酸化鉄(Fe-O)、酸化スズ(Sn-O)、酸化インジウム(In-O)、酸化ルテニウム(Ru-O)等の二元系金属酸化物、Ni-Co-O、Ni-Fe-O、La-Co-O、Ni-La-O、Sr-Fe-O等の三元系金属酸化物、Pb-Ru-Ir-O、La-Sr-Co-O等の四元系金属酸化物、もしくはRu錯体やFe錯体等の金属錯体が挙げられる。第1触媒層43の形状は薄膜状に限らず、島状、格子状、粒子状、ワイヤ状であってもよい。 【0036】 第2電解液53としてCO2を含む水溶液を用いた場合、第4電極42はCO2を還元して炭素化合物(CO、HCOOH、CH4、CH3OH、C2H5OH、C2H4等)を生成する。このため、第2触媒層44はCO2を還元するための活性化エネルギーを減少させる材料で構成される。第2触媒層44は、CO2を還元して炭素化合物を生成する際の過電圧を低下させる材料で構成される。そのような材料としては、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、Zn等の金属、それら金属を少なくとも1つ含む合金、炭素(C)、グラフェン、CNT(carbon nanotube)、フラーレン、ケッチェンブラック等の炭素系材料、Ru錯体やRe錯体等の金属錯体が挙げられる。」 「【0040】 電解槽4は、第1電解液51を収容する第1収容部52と、第2電解液53を収容する第2収容部54とを備えている。第3電極41は、第1電解液51が収容された第1収容部52内に配置されている。第4電極42は、第2電解液53が収容された第2収容部54内に配置されている。第1および第2電解液51、53のうち、一方は例えばH2Oを含む溶液であり、他方は例えばCO2を含む溶液である。CO2を含む溶液に代えて、H2Oを含む溶液を用いてもよい。図6に示す光起電力セル201を用いた場合、第1電解液51としてH2Oを含む溶液が用いられ、第2電解液53としてCO2を含む溶液が用いられる。・・・」 「【0044】 次に、光電気化学反応装置1の動作原理について、図4の電気的な接続図を参照して説明する。ここでは、図6に示す光起電力セル(光起電力層としてシリコン半導体系太陽電池を用いた光電気化学セル)201を用いた場合の極性を例として動作を説明する。また、第4電極42が浸漬される第2電解液53として、CO2が吸収された吸収液を用いた場合について説明する。・・・ 【0045】 第1および第2光起電力セル2A、2Bの上方から光が照射されると、照射光は第1電極11を通過して光起電力層31に到達する。光起電力層31において、光を吸収すると電子およびそれと対になる正孔を生成し、それらを分離する。すなわち、光起電力層31を構成する第1光起電力層33、第2光起電力層34、および第3光起電力層35において、内蔵電位によりn型の半導体層側(第2電極21側)に電子が移動し、p型の半導体層側(第1電極11側)に電子の対として発生した正孔が移動することによって、電荷分離が生じる。これによって、光起電力層31に起電力が発生する。 【0046】 第1および第2光起電力セル2A、2Bにおいて、各光起電力層31内で発生した正孔は、それぞれの第1電極11に移動する。正孔は、接続部材6A、6Cおよび第3電極41を介して、第3電極41付近で生起される酸化反応により生じた電子と結合する。第2電極21に移動した電子は、接続部材6B、6Dおよび第4電極42を介して、第4電極42付近で生起される還元反応に使用される。具体的には、第1電解液51に接する第3電極41付近では、下記の(1)式の反応が生じる。第2電解液53に接する第4電極42付近では、下記の(2)式の反応が生じる。 2H2O → 4H++O2+4e- ・・・(1) 2CO2+4H++4e- → 2CO+2H2O ・・・(2) 【0047】 第3電極41付近では、(1)式に示すように、第1電解液51に含まれるH2Oが酸化されて(電子を失い)O2とH+が生成される。第3電極41側で生成されたH+は、イオン移動層55を介して第4電極42側に移動する。第4電極42付近では、(2)式に示すように、第2電解液53に含まれるCO2が還元される(電子を得る)。具体的には、第2電解液53に含まれるCO2と第3電極41から第4電極42に移動したH+と第4電極42に移動した電子とが反応し、例えばCOとH2Oとが生成される。 ・・・ 【0049】 第4電極42付近においては、(2)式に示すCO2からCOへの還元反応だけでなく、CO2からギ酸(HCOOH)、メタン(CH4)、エチレン(C2H4)、メタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)、酢酸(CH3COOH)等への還元反応を生じさせることができる。第2電解液53に用いたH2Oの還元反応を生じさせ、H2を発生させることも可能である。第2電解液53中の水分(H2O)量を変えることによって、生成されるCO2の還元物質を変えることができる。例えば、CO、HCOOH、CH4、C2H4、CH3OH、C2H5OH、CH3COOH、H2等の生成割合を変えることができる。」 「【図1】 [図:0001401038000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001401038000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001401038000003.jpg] 」 「【図4】 [図:0001401038000004.jpg] 」 「【図6】 [図:0001401038000005.jpg] 」 「【図8】 [図:0001401038000006.jpg] 」 「【図9】 [図:0001401038000007.jpg] 」 (2)引用文献1に記載された発明 ア 引用文献1に記載された光電気化学反応装置1は、太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換する装置であり(段落【0003】)、第1および第2光起電力セル2A、2Bに上方から光が照射されると、照射光は、各光起電力層31に到達し、吸収され、正孔が第1電極(陽極)11側に移動し、電子が第2電極(陰極)21側に移動する電荷分離が生じることによって各光起電力層31に起電力が発生し、それにより、第1および第2反応電極対3A、3Bの各第3電極41付近では、H2Oを含む溶液が用いられる第1電解液51のH2Oが酸化されてO2が生成し、第1および第2反応電極対3A、3Bの各第4電極42付近では、CO2を含む水溶液が用いられる第2電解液53のCO2が還元されてCO、HCOOH、CH4、CH3OH、C2H5OH、又はC2H4である炭素化合物を生成するものである(段落【0036】、【0044】~【0049】及び図1~図4、図6)。 イ 引用文献1の図1~3は模式図ではあるが、これらより、光電気化学反応装置1が以下の態様を備えることを看取することができる。 (ア)光が照射される上方からの視野における平面視(図1)において、矩形である第1光起電力セル2Aが視認され、第1光起電力セル2Aの下部の第3電極41及び第4電極42は露出しない態様であること。 (イ)上記平面視における一の方向に沿った断面(図2)において、第1光起電力セル2Aの第1電極11、光起電力層31及び第2電極21の幅方向の長さが、第1反応電極対3Aの第3電極41及び第4電極42の幅方向の長さと同等である態様であること。 (ウ)上記平面視における上記一の方向と略直交する方向に沿った断面(図3)において、第1反応電極対3Aの第3電極41及び第4電極42の幅方向の長さが、第1光起電力セル2Aの第1電極11、光起電力層31及び第2電極21の幅方向の長さよりも長い態様であること。 ウ 第1触媒層43は、「H2Oを酸化してO2とH+を生成する際の過電圧を低下させる材料で構成され」ているから(段落【0035】)、陽極として機能する第3電極41の触媒作用をもつものと認められ、第1触媒層43の形成されている箇所において、H2Oを含む第1電解液51からO2が生成されるものである(段落【0047】)。そして、第1触媒層43は第3電極41の両面に設けられているから(段落【0034】)、上記イの事項と合わせて考慮すると、第1触媒層43が第1電解液51と接触し、O2を生成する面積は、第1電極11の面積の2倍程度であると認められる。 また、第2触媒層44は、「CO2を還元して炭素化合物を生成する際の過電圧を低下させる材料で構成され」ているから(段落【0036】)、陰極として機能する第4電極42の触媒作用をもつものと認められ、第2触媒層44の形成されている箇所において、第2電解液53に含まれるCO2を還元して炭素化合物が生成されるものである(段落【0047】)。そして、第2触媒層44についても、第4電極42の両面に設けられているから(段落【0034】)、上記と同様に、第2触媒層44が第2電解液53と接触し、CO2を還元した炭素化合物を生成する面積は、第1電極11の面積の2倍程度であると認められる。 エ そうすると、上記(1)に摘記した記載事項、及び上記ア~ウを総合勘案し、特に、図1~4、図6、図8~9に示される第1の実施形態に着目すると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。(なお、用語の後に図1~4、図6、図8~9で使用されている図番を記載している。) <引用発明> 太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換し、CO2を含む水溶液が用いられる第2電解液53からCO、HCOOH、CH4、CH3OH、C2H5OH、又はC2H4である炭素化合物を生成する光電気化学反応装置1であって、 第1光起電力セル2A、第2光起電力セル2B、第1反応電極対3A、第2反応電極対3B、及び電解槽4を具備し、 電解槽4は、第3電極41が浸漬される第1電解液51を収容する第1収容部52と、第4電極42が浸漬される前記第2電解液53を収容する第2収容部54と、前記第1電解液51と前記第2電解液53とを分離しつつ、イオンを移動させるイオン移動層55とを備え、 第1および第2光起電力セル2A、2Bは、それぞれ第1電極11と、第2電極21と、これら電極11、21間に設けられ、光エネルギーにより電荷分離を行う光起電力層31とを備え、第1および第2光起電力セル2A、2Bは、電解槽4の外側に配置されており、 第1および第2反応電極対3A、3Bは、それぞれ第3電極41と、第3電極41と対向するように配置された第4電極42とを備え、第1および第2反応電極対3A、3Bは、電解槽4内に配置されており、 第1光起電力セル2Aの第1電極11は、前記第1反応電極対3Aの第3電極41と接続部材6Aを介して電気的に接続されており、第1光起電力セル2Aの第2電極21は、第1反応電極対3Aの第4電極42と接続部材6Bを介して電気的に接続されており、第2光起電力セル2Bの第1電極11は、第2反応電極対3Bの第3電極41と接続部材6Cを介して電気的に接続されており、第2光起電力セル2Bの第2電極21は、第2反応電極対3Bの第4電極42と接続部材6Dを介して電気的に接続されており、 第1および第2光起電力セル2A、2Bに上方から光が照射されると、照射光は、第1および第2光起電力セル2A、2Bの各光起電力層31に到達し、吸収され、正孔が第1電極11側に移動し、電子が第2電極21側に移動する電荷分離が生じることによって各光起電力層31に起電力が発生し、それにより、第1及び第2反応電極対3A、3Bの各第3電極41付近では、H2Oを含む溶液が用いられる前記第1電解液51のH2Oが酸化されてO2が生成し、第1および第2反応電極対3A、3Bの各第4電極42付近では、前記第2電解液53のCO2が還元されてCO、HCOOH、CH4、CH3OH、C2H5OH、又はC2H4である炭素化合物を生成し、 前記第3電極41の両面には、H2Oを酸化してO2とH+を生成する際の過電圧を低下させる材料で構成された第1触媒層43が設けられ、前記第1触媒層43が接触する前記第1電解液51のH2OからO2を生成する面積は前記第1光起電力セル2Aの第1電極11の面積の2倍程度であるとともに、前記第4電極42の両面には、CO2を還元して炭素化合物を生成する際の過電圧を低下させる材料で構成された第2触媒層44が設けられ、前記第2触媒層44が接触する前記第2電解液53のCO2を還元した炭素化合物を生成する面積が、前記第1光起電力セル2Aの第1電極11の面積の2倍程度であり、以下の態様i)~iii)を備える、光電気化学反応装置1。 i)光が照射される上方からの視野における平面視において、矩形である第1光起電力セル2Aが視認され、第1光起電力セル2Aの下部の第3電極41及び第4電極42は露出していない態様。 ii)上記平面視における一の方向に沿った断面において、第1光起電力セル2Aの第1電極11、光起電力層31及び第2電極21の幅方向の長さが、第1反応電極対3Aの第3電極41及び第4電極42の幅方向の長さと同等である態様。 iii)上記平面視における上記一の方向と略直交する方向に沿った断面において、第1反応電極対3Aの第3電極41及び第4電極42の幅方向の長さが、第1光起電力セル2Aの第1電極11、光起電力層31及び第2電極21の幅方向の長さよりも長い態様。 (3)引用文献2には、以下の記載がある。 「[0014] 図1は本発明の実施形態の光触媒電極の第1の例を示す模式的断面図であり、図2は本発明の実施形態の光触媒電極の第1の例を示す模式的平面図である。 図1に示すように、光触媒電極10は、基板12と、基板12の表面12aに設けられた導電層14と、導電層14の表面14a上に設けられた光触媒層16と、光触媒層16を覆う透明導電層18とを有する。基板12と導電層14と光触媒層16と透明導電層18で積層体19が構成される。光触媒電極10は、積層体19と電気的に接続された第1助触媒20を有する。なお、積層体19は後述するように、透明導電層18がない構成も含まれる。透明導電層18を設けることで、光触媒層16で生成したキャリアの経路を確保できる。 [0015] 光触媒電極10では光触媒層16の表面16a側から光Lが入射される。光触媒層16の表面16aおよびその上方において光Lが入射される領域を第1の領域S1とし、この第1の領域S1以外の領域を第2の領域S2とする。光触媒電極10では、第2の領域S2に第1助触媒20が設けられている。具体的には、第1助触媒20は、基板12の透明導電層18とは反対側の裏面12b側の透明導電層18上に設けられている。第1助触媒20は、例えば、複数の助触媒粒子21で構成されている。複数の助触媒粒子21は、透明導電層18等の導電体に形成されていない場合には、互いに電気的に接続されている。光触媒電極10では、第1助触媒20が積層体19と一体に設けられている。 なお、基板12の透明導電層18とは反対側の裏面12b上および裏面12bに対向する領域も上述の第2の領域S2である。 [0016] 基板12は、導電層14と光触媒層16と透明導電層18を支持するものであり、電気絶縁性である。なお、電気絶縁性としては、光触媒電極10の使用に際に、短絡等が発生しないことが要求される。 光触媒層16は、光Lが照射されるとキャリアが生成されるものである。第1助触媒20は、光触媒層16で生成されたキャリアを基にして水を分解して気体を発生させる。 透明導電層18は、光触媒層16と第1助触媒20とを電気的に接続するものである。ここで、透明とは、光透過率が光触媒層16の受光波長域において、少なくとも60%以上のことであり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上のことである。 基板12、導電層14、光触媒層16、透明導電層18および第1助触媒20については後に詳細に説明する。 [0017] 光触媒電極10では、水に浸漬した状態で、光触媒層16に光Lが入射されると、キャリアが発生し、第1助触媒20により水が分解されて気体が発生する。第1助触媒20が反応場として機能する。ここで、キャリアとは、例えば、電子と正孔である。」 「[0026] 基材25は、配線24と同様に導電性を有するものである。光触媒層16で生成されたキャリアは配線24および基材25を経て助触媒粒子21に達して、水の分解がなされる。基材25は、平板状のものに限定されるものではなく、網目状でも、多孔質状でもよく、また、平板状の2次元構造以外に3次元構造でもよい。3次元構造としては、網目状のもので3次元構造を構成してもよく、織られたもので3次元構造を構成してもよい。」 「[0051] 次に、本発明の光触媒電極を用いた人工光合成モジュールについて説明する。 図18は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第1の例を示す模式的断面図であり、図19は本発明の実施形態の人工光合成モジュールの第2の例を示す模式的断面図である。 図18および図19において、図1および図2に示す光触媒電極10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。 [0052] 図18に示す人工光合成モジュール50aは、電解水溶液AQを光により分解して水素と酸素を発生させるものである。人工光合成モジュール50aは、容器40内に、光触媒電極10を底面42b側にして、光触媒電極10と酸素発生用の光触媒電極52が対向して設けられている。光触媒電極10は水素発生用の光触媒電極として機能するものである。光触媒電極10と光触媒電極52は電気的に接続されている。この構成とすることで、外部から電圧等を印加することなく、電解水溶液AQを分解させることができる。容器40は、上述の図16および図17に示す容器40と同じである。・・・ [0054] 人工光合成モジュール50aでは、供給管46を介して容器40内に電解水溶液AQを供給し、光Lを透明部材44側から入射させることで、光触媒電極52からは酸素ガスが発生し、光触媒電極10からは水素ガスが発生する。そして、水素ガス、酸素ガスを含む電解水溶液AQが排出管48から排出され、排出された水素ガス、酸素ガスを含む電解水溶液AQから水素ガスおよび酸素ガスが回収される。 光触媒電極10では、上述のように第1助触媒20を基板12の裏面12b側に設けており、光触媒層16の表面16aで光Lが入射される第1の領域S1に配置していない。これにより、光触媒電極10の設置面積を増大させることなく、反応効率を高くすることができる。 また、第1助触媒20は、光触媒層16の表面16aへの光Lの入射を妨げないため、発生した気体が気泡の形態で滞留しても反応効率に与える影響が小さい。また、第1助触媒20は光触媒層16の表面16aへの光Lの入射を妨げないため、光Lの利用効率を高くすることができる。なお、光触媒電極10は、電解水溶液AQの流れを妨げないように、例えば、平板状の基板12とし、光触媒電極10全体を平板状にする。 [0055] 図19に示す人工光合成モジュール50bでは、容器40内に隔膜43が設けられており、透明部材44側の第1の区画43aと、底面42b側の第2の区画43bが生じる。第1の区画43aに光触媒電極52が配置され、第2の区画43bに光触媒電極10が配置されている。光触媒電極10と光触媒電極52とは電気的に接続されている。 [0056] 第1の区画43aには、供給管46aと排出管48aが設けられている。第2の区画43bには、供給管46bと排出管48bが設けられている。供給管46aと供給管46bから電解水溶液AQが供給される。排出管48aから酸素ガスを含む電解水溶液AQが排出され、酸素ガスが回収される。排出管48bから水素ガスを含む電解水溶液AQが排出され、水素ガスが回収される。・・・ [0059] 図19に示す人工光合成モジュール50bも、図18に示す人工光合成モジュール50aと同じ効果を得ることができる。・・・」 「[0065]<光触媒層> 光触媒層16は電位を発生するものである。光触媒層16は、p型半導体層17aとn型半導体層17bとを有し、p型半導体層17aは、n型半導体層17bとの界面でpn接合を形成する。 光触媒層16では、透明導電層18およびn型半導体層17bを透過して到達した光を吸収して、p側に正孔を、n側に電子を生じさせる層である。p型半導体層17aは、光電変換機能を有する。p型半導体層17aでは、pn接合で生じた正孔をp型半導体層17aから導電層14側に移動させ、pn接合で生じた電子をn型半導体層17bから透明導電層18側に移動させる。p型半導体層17aの膜厚は、好ましくは1000~3000nmである。」 「[0069] 光触媒層16については、無機半導体からなるpn接合を形成でき、水の光分解反応を生じさせ、水素を発生させることができれば、その構成は特に限定されるものではない。 例えば、太陽電池を構成する太陽電池セルに用いられる光電変換素子が好ましく用いられる。このような光電変換素子としては、上述のCIGS化合物半導体、またはCu2ZnSnS4等のCZTS化合物半導体を用いたもの以外に、薄膜シリコン系薄膜型光電変換素子、CdTe系薄膜型光電変換素子、色素増感系薄膜型光電変換素子、または有機系薄膜型光電変換素子を用いることができる。」 「[図18] [図:0001401038000008.jpg] 」 「[図19] [図:0001401038000009.jpg] 」 (4)引用文献2に記載の技術的事項 ア 引用文献2には、上記(3)に摘記した記載から、特に図19の実施形態に注目すると、電解水溶液AQを光により分解して水素と酸素を発生させる人工光合成モジュール50bにおいて、容器40内の第1の区画43aに酸素発生用の光触媒電極52を備え、かつ、同容器40内の第2の区画43bに水素発生用の光触媒電極として機能する光触媒電極10を備え、特に、前記第2の区画43bに、電解水溶液AQが供給される供給管46bと、水素ガスを含む電解水溶液AQが排出される排出管48bと、を設けることが記載されている。 また、上記光触媒電極10が光電変換機能を有する光触媒層16を含み(段落[0014])、照射され、到達した光を前記光触媒層16が吸収することにより、電位が生じ、それにより電解水溶液AQの分解が生じ、水素と酸素が発生する(段落[0016]、[0065]、[0069])と解される。 イ そして、引用文献2に記載の容器40には、電解水溶液AQを供給するための供給管46bと、水素ガスを含む電解水溶液AQを排出するための排出管48bが設けられているから(段落[0056])、図19と合わせて参酌すると、供給管46b及び排出管48bがそれぞれ電解水溶液AQの入口及び出口として機能し、供給管46bから供給された電解水溶液AQが排出管48bから排出されるまでの間、容器40内を流通するように構成されていることは明らかである。 ウ 上記ア、イから、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2に記載の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。 「光エネルギーを利用して電解液を分解する装置において、容器に入口及び出口を設け、両者の間で原料キャリアが流通するように構成する」技術。 2 対比・判断 (1)本願発明と引用発明との一致点・相違点 ア 引用発明の「太陽光エネルギー」、「第1電解液51」及び「CO2を含む水溶液が用いられる第2電解液53」、「CO、HCOOH、CH4、CH3OH、C2H5OH、又はC2H4である炭素化合物」、「光電気化学反応装置1」は、本願発明の「光エネルギー」、「原料キャリア」、「合成物」、「光エネルギー利用装置」に相当する。 そして、引用発明の「光電気化学反応装置1」は、「太陽光エネルギーを化学エネルギーに変換し、CO2を含む水溶液が用いられる第2電解液53からCO、HCOOH、CH4、CH3OH、C2H5OH、又はC2H4である炭素化合物を生成する」から、「光エネルギーを利用して、原料キャリアから合成物を生成する」機能を有する。 イ 引用発明の「電解槽4」は、本願発明の「容器」に相当する。 ウ 引用発明の「第1光起電力セル2A」は、「電解槽4の外側に配置されており」、「上方から光が照射されると、照射光は、」「光起電力層31に到達し、吸収され、正孔が第1電極11側に移動し、電子が第2電極21側に移動する電荷分離が生じることによって」、「光起電力層31に起電力が発生」するものであるから、本願発明の「容器の外側に配置され、入射してくる光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池」に相当する。 エ 引用発明の第1光起電力セル2Aの「第3電極41」は、電解槽4の「第1収容部52」において、第1電解液51に「浸漬され」るものであるから、電解槽4の内側に形成され、(第1触媒層43を介して)第1電解液51と接触することは明らかである。 また、引用発明において、「照射光は、第1光起電力セル2A」の「光起電力層31に到達し、吸収され、正孔が第1電極11側に移動」することから、前記第1電極11は、第1光起電力セル2Aの「+出力」といえ、当該第1電極11に「接続部材6Aを介して電気的に接続され」る第3電極41及びその両面に設けられた「第1触媒層43」は、前記第1光起電力セル2Aの陽極として機能する。 してみれば、引用発明の「第3電極41」及び「第1触媒層43」は、本願発明の「容器の内側に形成され、原料キャリアと接触する陽極」であって、「太陽電池の+出力が接続される陽極」に相当する。 オ 引用発明の第1光起電力セル2Aの「第4電極42」は、電解槽4の「第2収容部54」において、第2電解液53に「浸漬され」るものであるから、電解槽4の内側に形成され、(第2触媒層44を介して)第2電解液53と接することは明らかである。 また、引用発明において、「照射光は、第1光起電力セル2A」の「光起電力層31に到達し、吸収され」、「電子が第2電極21側に移動する」ことから、前記第2電極21は、第1光起電力セル2Aの「-出力」といえ、当該第2電極21に「接続部材6Bを介して電気的に接続され」る第4電極42及びその両面に設けられた「第2触媒層44」は、第1光起電力セル2Aの陰極として機能する。 してみれば、引用発明の「第4電極42」及び「第2触媒層44」は、本願発明の「容器の内側に形成され、原料キャリアと接触する」陰極であって、太陽電池の「-出力が接続される陰極」に相当する。 カ 引用発明では、第2電解液53に「CO2を含む水溶液が用いられる」ところ、第1および第2光起電力セル2A、2Bの各光起電力層31に発生した起電力を、第3電極41と第4電極42の間に印加することにより、「第1、2反応電極対3A、3Bの各第4電極42付近」において、第4電極42と接触する「前記第2電解液53のCO2が還元されてCO、HCOOH、CH4、CH3OH、C2H5OH、又はC2H4である炭素化合物を生成」していることは明らかである。 してみれば、引用発明の「第1および第2反応電極対3A、3Bの各第4電極42付近」は、本願発明の「太陽電池からの出力を陽極と陰極の間に印加して、陰極に接触する、二酸化炭素を含む原料キャリアから、二酸化炭素を還元した合成物を生成する合成部」に相当する。 キ 引用発明では、第1触媒層43は、「H2Oを酸化してO2とH+を生成する際の過電圧を低下させる材料で構成され」ているから、陽極として機能する第3電極41の触媒作用をもつものと認められ、第1触媒層43の形成されている箇所において、H2Oを含む第1電解液51からO2が生成されるから、この箇所は、本願発明の「陽極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの水から酸素を生成する」箇所に相当する。 同様に、第2触媒層44は、「CO2を還元して炭素化合物を生成する際の過電圧を低下させる材料で構成され」ているから、陰極として機能する第4電極42の触媒作用をもつものと認められ、第2触媒層44の形成されている箇所において、第2電解液53に含まれるCO2を還元して炭素化合物が生成されるから、この箇所は、本願発明の「陰極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの二酸化炭素を還元した合成物を生成する」箇所に相当する。 ク 本願発明の「太陽電池の受光面積」については、明確な定義は見当たらないが、本願の願書に添付した明細書(以下、「本願明細書」という。)の段落【0018】の「太陽電池1は、容器5の外側に配置されている。太陽電池1には、例えば結晶シリコン太陽電池を用いることができる。外側面が受光面であり、外部から太陽光(光エネルギー)が入射し、光エネルギーを電気エネルギーに変換し、電気エネルギーを出力する。・・・」といった記載や、段落【0024】~【0025】等の記載を参酌すると、太陽光(光エネルギー)が入射する面(受光面)を入射方向から見た外形の面積と解される。 してみれば、引用発明の第1光起電力セル2Aは、図6でみたときの上方(第1電極11側)から照射光が照射される構成であるから(引用文献1の段落【0014】、【0022】、【0045】)、第1電極11が「受光面」であり、引用発明における第1光起電力セル2Aの第1電極11の面積(図1において「2A」で示される部分の面積)は、本願発明の「太陽電池の受光面積」に相当する。 ケ 引用発明では、態様iii)に示されるように、光が照射される上方からの視野における、平面視における一の方向と略直交する方向に沿った断面において、第1反応電極対3Aの第3電極41及び第4電極42の幅方向の長さが、第1光起電力セル2Aの第1電極11、光起電力層31及び第2電極21の幅方向の長さよりも長く、さらに、第1触媒層43が「第3電極41の両面」に設けられているから、第1電解液51と接触し、O2を生成する面積は、第1電極11(図1において「2A」で示される部分の面積)の面積の2倍程度であり、第1電極11の面積より大きいのは明らかである。同様に、第2触媒層44が第2電解液53と接触し、CO2を還元した炭素化合物を生成する面積が、第1電極11の面積より大きいのも明らかである。 コ 以上から、本願発明と引用発明とは、以下の一致点において一致するとともに、以下の相違点1において相違する。 <一致点> 「光エネルギーを利用して、原料キャリアから合成物を生成する光エネルギー利用装置において、 容器と、 容器の外側に配置され、入射してくる光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池と、 容器の内側に形成され、原料キャリアと接触する陽極および陰極であって、太陽電池の+出力が接続される陽極と、-出力が接続される陰極を含み、太陽電池からの出力を陽極と陰極の間に印加して、陰極に接触する、二酸化炭素を含む原料キャリアから、二酸化炭素を還元した合成物を生成する合成部と、 を有し、 陽極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの水から酸素を生成する面積、または陰極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの二酸化炭素を還元した合成物を生成する面積が、太陽電池の受光面積より大きい、 光エネルギー利用装置。」 <相違点1> 容器について、本願発明では「入口と出口を有し、原料キャリアを流通する」ことが特定されているのに対し、引用発明では「第1電解液51」及び「CO2を含む水溶液が用いられる第2電解液53」を収容するが、「入口と出口を有し、原料キャリアを流通する」ものかが不明な点。 (2)上記相違点1についての検討 引用発明について、引用文献1には記載されていないものの、電解槽4内の第2収容部54に「第2電解液53を収容する」ために、第2電解液53を供給及び排出するための何らかの手段が必要であることは、当業者に自明の事項であるから、引用発明において、引用文献2に記載の技術的事項を適用して、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項を備えたものとすることは、当業者が容易になし得たことである。 また、本願発明の効果は、「陽極または/かつ陰極での単位面積当たりの電流値が性能低下を起こすある一定以上にならないように、陽極または/かつ陰極性能の面積を増やすことで、太陽エネルギー利用システムの性能低下を抑止できる(段落【0032】)」ことであると認められる。しかし、第1触媒層43及び第2触媒層44の面積が、第1電極11の面積の2倍程度である引用発明において、第1触媒層43及び第2触媒層44が電解液と接触する部分における電流密度がある程度低減できることや、触媒の劣化が抑えられることは、当業者であれば予測可能な範囲のものと認められる。 よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)請求人の主張について ア 請求人は、令和 5年 1月23日に提出された意見書において、「図1-4における光起電力セル2は、簡略化して記載した図であり、具体的には図6-7に記載されているような構成をとるとされています。・・・引用文献1の3つの光起電力層は、それぞれが異なる波長の光を吸収して独立して起電力を発生する別々の太陽電池と考えられます。従って、引用文献1の太陽電池の受光面積は投影面積の3倍と考えるのが妥当であり、少なくとも容器内の陰極または陽極の面積に比べて大きいと判断されます。」と主張している。 イ しかし、図6の光起電力セル201は、引用文献1の段落【0018】~【0020】に記載されているように、太陽光の入射方向に沿って積層されており、3つ光起電力層33~35が一体となって一つの太陽電池を構成しているから、「受光面積」は、第1光起電力セル2Aの第1電極11の面積(図1において「2A」で示される部分の面積)と解される。図7の光起電力セル202も、段落【0026】~【0027】に記載されているように、太陽光の入射方向に沿って積層される構造であるから同様である。 また、段落【0024】には「積層構造の光起電力層31に代えて、1つの光起電力層31を用いてもよい。」と記載されていることからも、引用発明は、あくまで、平面視(図1)における第2光起電力セル2A、2Bの設置部分に照射される光エネルギーを電力に変換する構成であって、その受光面積は、2(1)クに説示したとおり、第1光起電力セル2Aの第1電極11の面積(図1において「2A」で示される部分の面積)と解するのが妥当である。 そして、本願明細書にも、太陽電池の光起電力層の構造から受光面積を定義するような記載は見当たらないから、上記アの主張は採用できない。 ウ 次に、請求人は、上記意見書において、「引用文献1には、太陽電池の受光面積と、容器内の電極の面積について、具体的な記載はありません。単に、模式的な構成を記載する、図1-4、特に図3を見ると、太陽電池の方が容器内の電極より小さく書いてあるだけです。」と主張している。 エ この点について検討するに、本件補正により、「陽極または陰極の面積」が「陽極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの水から酸素を生成する面積、または陰極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの二酸化炭素を還元した合成物を生成する面積」と補正された。 してみると、上記2(1)キにおいて示したとおり、引用発明における第1触媒層43が本願発明における「陽極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの水から酸素を生成する」部分に、第2触媒層44が「陰極の触媒作用を持ち接触する原料キャリアの二酸化炭素を還元した合成物を生成する」部分にそれぞれ相当し、引用発明においては、これらが、第3電極41あるいは第4電極42の両面に設けられているから、第1光起電力セル2Aの受光面積よりも大きいことは明らかである。 オ また、仮にこれらの面積を平面視(図1)からの面積で比較するとしても、引用発明は、「光が照射される上方からの視野における」「平面視における上記一の方向と略直交する方向に沿った断面において、第1反応電極対3Aの第3電極41及び第4電極42の幅方向の長さが、第1光起電力セル2Aの第1電極11、光起電力層31及び第2電極21の幅方向の長さよりも長い」ので、第2光起電力セル2Aの受光面積よりも第1触媒層43及び第2触媒層44の面積の方が大きいと認められる。したがって、上記ウの主張も採用できない。 カ 上記のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用できない。 4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明1及び引用文献2に記載の技術的事項に基づいて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-003007

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