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特許拒絶査定不服審判

2022-003004

携帯用端末機の軟性ディスプレイ装置

審判番号
2022-003004
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-206362外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月28日
審決日
2022年11月07日
公報発行日
2023年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (G09F) / P18 .121-Z (G09F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第44条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-206362「携帯用端末機の軟性ディスプレイ装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月 5日出願公開、特開2020- 34947〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 分割出願の経緯の概略 本願は、令和元年11月14日にされた特許法44条1項の規定による特許出願であって、2009年(平成21年)11月24日を国際出願日とする特願2011-537372号(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年11月24日、韓国、2009年11月24日、韓国)を最先の出願とする、いわゆる第3世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の提出日を示す。 最先の出願 :特願2011-537372号(平成21年11月24日) 第1世代分割:特願2014- 75481号(平成26年 4月 1日) 第2世代分割:特願2016-136341号(平成28年 7月 8日) 本願 :特願2019-206362号(令和 元年11月14日) 2 本願の手続の経緯の概略 本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。 令和2年10月14日付け:拒絶理由通知書 令和3年 4月20日 :意見書、手続補正書の提出 同年10月19日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) (同月26日 :原査定の謄本の送達) 令和4年 2月28日 :審判請求書の提出 同年 4月13日 :手続補正書(方式)の提出 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年4月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1の記載は、次のとおりである。 「 【請求項1】 フォルダ型携帯端末機用軟性ディスプレイ装置において、 互いにフォルディング可能に結合された第1フォルディング部及び第2フォルディング部と、 物理的に露出された部分を含む軟性ディスプレイ部とを含み、 前記第1フォルディング部及び第2フォルディング部はそれぞれ第1外部面及び第2外部面を有し、前記第1外部面及び第2外部面は互いに反対方向を向け、 前記第1フォルディング部及び第2フォルディング部が互いにフォルディングされる時、前記第1フォルディング部の第1外部面と第2フォルディング部の第1外部面が互いに当接し、 前記露出された部分は第1フォルディング部の第2外部面及び第2フォルディング部の第2外部面に亘って配置され、 フォルディング時、第2外部面の露出された部分は第1フォルディング部と第2フォルディング部を囲む形態であることを特徴とする軟性ディスプレイ装置。」 第3 原査定の拒絶の理由の概要 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由1(新規性の欠如)及び理由2(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。 1 理由1(新規性)本願発明は、本願の最先の優先権主張の日である2008年11月24日(以下「優先日」という。)より前に発行された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 2 理由2(進歩性)本願発明は、本願の優先日前に発行された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 1.特開2008-182289号公報 第4 当審の判断 1 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定 (1) 引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に発行された前記引用文献1には、以下の事項が記載されている。下線は当合議体が付したものである。 ア 【実施例1】 「【0043】 先ず、本発明の一つの実施形態である携帯電話機の実施例1について説明を行う。 本実施例1による携帯電話機10の構造を図1及び図2に示す。因みに、図1は、本発明の特徴である表示部の内側筐体と外側筐体を展開した状態を示す説明図である。同図において、図(1a)は携帯電話機10の操作パネル方向から見た正面図を表し、図(1b)がその側面図を表している。また、図(1c)は携帯電話機10の上方向(アンテナ取付方向)から見た平面図を表している。 【0044】 一方、図2は、表示部の内側筐体と外側筐体とを折畳んだ状態を示す説明図である。図2において、図(2a)は上記の図(1a)と同様にその正面図を表し、図(2b)がその側面図を表している。また、図(2c)はその平面図を表している。 【0045】 図1及び2に基づいて携帯電話機10の構成を説明する。携帯電話機10は、表示部11、ヒンジ部12、及び操作部13から構成されている。表示部11と操作部13とは互いにヒンジ部12によって連接されており、ヒンジ部12を回動軸として自在に折畳み・展開が可能な構造となっている。かかるヒンジ部による回動機構によって、携帯電話機10の不使用時には、表示部11と操作部13とは折畳まれた状態となる。一方、その使用時には表示部11と操作部13の各々がほぼ180度の方向(水平方向)に展開された状態となる。なお、図1及び図2は、ともに携帯電話機10の使用状態、すなわち、表示部11と操作部13とが水平方向に展開された状態を示すものである。 【0046】 表示部11は、さらに内側筐体11a、外側筐体11b、及びヒンジ部11cから構成されている。内側筐体11aと外側筐体11bとはヒンジ部11cを介して互いに連接されており、ヒンジ部11cを回動軸として折畳み可能な構造となっている。すなわち、図1では外側筐体11bが内側筐体11aの右側に開帳されており、図2では外側筐体11bが内側筐体11aの背面に折畳まれた状態となっている。なお、本実施例1ではヒンジ部11cが内側筐体11aの右側に設けられているが、本発明の実施はかかる事例に限定されるものではなく、例えば、ヒンジ部11cを内側筐体11aの左側に設ける構成であっても良い。 …(中略)… 【0050】 外側筐体11bは、図2に示されるように通常は内側筐体11aの背面に当接されて折畳まれているが、必要に応じて、図1に示すようにヒンジ部11cを回動軸としてその右側(ヒンジ部11cを内側筐体11aの左側に設けた場合はその左側)に開帳することができる。また、外側筐体11bの表面、即ち携帯電話機10の背面には外側表示画面11bdが設けられている。 (後略)」 イ 【図1】 「 [図:0001395945000001.jpg] 」 ウ 【図2】 「 [図:0001395945000002.jpg] 」 エ 【実施例8】 「【0122】 次に、本発明の他の実施形態である実施例8について説明を行う。なお、本実施例8による携帯電話機は、前述した各実施例に示す携帯電話機とその構造が類似するため、上記の各実施例と同一の構成要素に関しては、前述の各図面と同一の符号を付することによってその説明を省略する。 【0123】 本実施例8による携帯電話機106の構成を図18及び19に基づいて説明する。 因みに図(18a)は、携帯電話機106の内側筐体11aと外側筐体11bとを折畳んだ状態における表示部11の正面図とその断面図を示すものである。また、図(18b)は、外側筐体11bを開帳した場合の表示部11の正面図及びその断面図を示すものである。さらに、図19は、外側筐体11bを開帳した場合の携帯電話機106の斜視図、並びに外側筐体11bの断面図を示すものである。 【0124】 本実施例8において表示パネル14は、例えば、電子ペーパーやエレクトロルミネッセンス等の柔軟で折り曲げが自在な可撓性を有する薄膜状の電子表示部材により構成されている。因みに、以下の説明では表示パネル14の各部について、内側筐体11aの上面に敷設された部分をa面、外側筐体11bの上面に敷設された部分をb面、ヒンジ部11ccを含む両筐体の側面部に敷設された部分をc面と称するものとする。 【0125】 なお、表示パネル14は、a面及びb面においてそれぞれの筐体表面に固着されているが、c面においては両筐体の側面部に固着されておらず、当該側面部から剥離自在な構造となっている。また、a面及びb面においても表示パネル14の全面を各筐体の表面に固着する必要は無く、例えば、図(18b)に示す如く、表示パネル14の縦方向両端部のα部とβ部のみを両筐体の上面に固着させる構成であっても良い。表示パネル14は可撓性を有する薄膜状の部材であるので、その両端部のα部とβ部のみが各筐体に固着されていれば、これによって生ずる張力により、両筐体の折畳み時或いは展開時の如何に拘わらず両筐体の表面にフィットした状態を保ち得ることができる。 【0126】 スライド板15は、内側筐体11aと外側筐体11bが折畳まれた状態では、図(18a)のA-A’断面図に示される如く、外側筐体11bの内部に格納されている。そして、スライド板15の端部は、当該スライド板が格納されていない側の筐体、すなわち内側筐体11aの端部とヒンジ部11ccを介して連接されている。したがって、スライド板15を内蔵する外側筐体11bは、ヒンジ部11ccを回動軸として内側筐体11aから開帳させることができる。 【0127】 また、スライド板15は、外側筐体11bの格納スペース内において滑動自在な構造となっているので、外側筐体11bの開帳に伴って外側筐体11bの格納スペースから徐々に引き出されることになる。スライド板15は、図19のC-C’断面図に示される如く、スライド板係止凸部15aにより外側筐体11bの格納スペース内の係止凹部に担持されているので、スライド板15が外側筐体11bから脱落する恐れはない。なお、スライド板15の下にさらに底蓋板等を設けて、スライド板15の脱落を防止するような構成としても良い。 【0128】 次に、外側筐体11bの開帳動作並びに、表示パネル14の展開について図20を用いて説明を行なう。 先ず、図(20a)に携帯電話機106の内側筐体11aと外側筐体11bが折畳まれた状態にある表示部11の断面図を示す。本実施例8による携帯電話機106では、回動自在なヒンジ部11ccによって内側筐体11aの端部とスライド板15の端部が連接されている。したがって、外側筐体11bの開帳を意図したユーザーが外側筐体11bの開帳動作を開始すると、内側筐体11aとスライド板15との間でヒンジ部11ccを回動軸とした回動が生起されることになる。 【0129】 前述の如く、スライド板15は外側筐体11bの格納スペース内を自在に滑動し得るので、かかる回動の進展に伴い、スライド板15は外側筐体11bから徐々に引き出され、表示部11の断面は図(20b)に示されるような状態となる。なお、表示パネル14のc面部は両筐体の側面部に固着されておらず、かつ十分な可撓性を有しているので柔軟に変形して、かかる回動動作やスライド板15の格納スペース内からの延伸動作を妨げることは無い。 【0130】 ユーザーがさらに外側筐体11bの開帳動作を進めると、図(20c)に示す如く、表示パネル14が内側筐体11a及び外側筐体11bの上面に完全に展開された状態となって開帳動作が停止される。なお、スライド板15が外側筐体11bの格納スペースから表示パネル14のc面部の長さだけ延伸された段階で、その滑動が停止されるような簡単なストッパー機構(図示せず)を外側筐体11bの格納スペース内に設けるようにしても良い。 【0131】 また、内側筐体11aと外側筐体11bの双方の当接面に、例えば、図の11Rに示すような、前述の実施例5の図11などで言及した蓋部開閉用の嵌合部材(11ap)やロック機構部材(11ar)などを設けるようにしても良い。このような機構を設けることによって、開帳時にはワンタッチで外側筐体11bを開くことができ、また、折畳み時にも両筐体をいわゆるパチンと閉じることができる。 【0132】 なお、以上の説明では、スライド板15を外側筐体11bに格納する実施例を説明したが、本発明の実施はかかる事例に限定されるものではなく、スライド板15を内側筐体11a側に格納する構成としても良い。この場合、スライド板15の端部と外側筐体11bの端部とがヒンジ部11ccによって連接され、外側筐体11bの開帳動作に伴ってスライド板15は内側筐体11aの格納スペース内から徐々に引き出されることになる。」 オ 【図18】 「 [図:0001395945000003.jpg] 」 カ 【図19】 「 [図:0001395945000004.jpg] 」 キ 【図20】 「 [図:0001395945000005.jpg] 」 (2) 引用文献1から読み取れる事項の認定 ア 前記(1)エの【0122】の「本実施例8による携帯電話機は、前述した各実施例に示す携帯電話機とその構造が類似するため、上記の各実施例と同一の構成要素に関しては、前述の各図面と同一の符号を付することによってその説明を省略する」という記載を前提として、実施例1についての記載である前記(1)アの【0045】の「携帯電話機10は、表示部11、ヒンジ部12、及び操作部13から構成されている。表示部11と操作部13とは互いにヒンジ部12によって連接されており、ヒンジ部12を回動軸として自在に折畳み・展開が可能な構造となっている」との記載及び同【0046】の「表示部11は、さらに内側筐体11a、外側筐体11b、及びヒンジ部11cから構成されている」との記載、並びに、実施例8についての記載である前記(1)エの【0123】の「携帯電話機106」、「内側筐体11a」、「外側筐体11b」との記載及び同【0124】の「ヒンジ部11cc」との記載を参酌すると、引用文献1には、実施例8の「携帯電話機106」について、次の(ア)及び(イ)の事項が記載されていると認められる。 (ア) 携帯電話機106は、表示部11、ヒンジ部12、及び操作部13から構成され、表示部11と操作部13とは互いにヒンジ部12によって連接されており、ヒンジ部12を回動軸として自在に折畳み・展開が可能な構造となっていること。 (イ) 表示部11は、内側筐体11a、外側筐体11b、及びヒンジ部11ccから構成されていること。 イ 前記(1)エの【0123】の「表示部11」との記載及び【0124】の「表示パネル14」との記載並びに前記(1)オの【図18】から、引用文献1には、「表示部11は、表示パネル14を含むこと」が記載されていると認められる。 ウ 前記(1)アの【0050】の外側筐体11bは内側筐体11aの背面に「当接されて」との記載及び前記(1)エの【0124】~【0125】の「内側筐体11a」、「外側筐体11b」及び「表示パネル14」について記載と、前記(1)オの【図18】の記載を併せてみると、引用文献1には次の(ア)及び(イ)の事項が記載されていると認められる。 (ア) 表示パネル14は、両筐体の折畳み時及び展開時のいずれも両筐体の外面に位置し、a面が内側筐体11aの上面に敷設され、b面が外側筐体11bの上面に敷設され、c面が両筐体の側面部に敷設されることにより、両筐体の折畳み時には両筐体を囲んでいること。 (イ) 内側筐体11a及び外側筐体11bはそれぞれ、表示パネル14が敷設される上面と、上面と反対側の下面を有し、両筐体の折畳み時には両筐体の下面同士が当接すること。 (3) 引用発明の認定 前記(1)に摘記した引用文献1の記載事項及び前記(2)において認定した事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「携帯電話機106の表示部11であって、 携帯電話機106は、表示部11、ヒンジ部12、及び操作部13から構成され、表示部11と操作部13とは互いにヒンジ部12によって連接されており、ヒンジ部12を回動軸として自在に折畳み・展開が可能な構造となっており、(前記(2)ア(ア)の認定事項) 表示部11は、内側筐体11a、外側筐体11b、及びヒンジ部11ccから構成されており、(前記(2)ア(イ)の認定事項) 表示部11は、内側筐体11aと外側筐体11bとを折畳んだ状態とすることができ、(【0123】) スライド板15は、外側筐体11bの内部に格納されており、スライド板15の端部は、内側筐体11aの端部とヒンジ部11ccを介して連接されており、(【0126】) 表示部11は、表示パネル14を含み、(前記(2)イの認定事項) 表示パネル14は、柔軟で折り曲げが自在な可撓性を有する薄膜状の電子表示部材により構成されており、内側筐体11aの上面に敷設された部分をa面、外側筐体11bの上面に敷設された部分をb面、ヒンジ部11ccを含む両筐体の側面部に敷設された部分をc面と称するものとし、(【0124】) 表示パネル14は、両筐体の折畳み時及び展開時のいずれも両筐体の外面に位置し、a面が内側筐体11aの上面に敷設され、b面が外側筐体11bの上面に敷設され、c面が両筐体の側面部に敷設されることにより、両筐体の折畳み時には両筐体を囲んでおり、(前記(2)ウ(ア)の認定事項) 内側筐体11a及び外側筐体11bはそれぞれ、表示パネル14が敷設される上面と、上面と反対側の下面を有し、両筐体の折畳み時には両筐体の下面同士が当接する、(前記(2)ウ(イ)の認定事項) 表示部11」 2 対比 (1) 対比分析 本願発明と引用発明を対比する。 ア(ア) 本願の発明の詳細な説明の【0076】の「図11及び図12によれば、本発明の第3実施例は、フォルダ型携帯電話において、前記フォルダ100aの上側から本体200の下側まで一つで延長される軟性ディスプレイ110を具備する。」との記載を参酌すると、請求項1の記載中の「フォルダ型携帯端末機用軟性ディスプレイ装置」という語句の意味は、「フォルダ型携帯端末機」用「軟性ディスプレイ装置」と解するのが相当である。 (イ) 引用発明においては、「携帯電話機106は、表示部11、ヒンジ部12、及び操作部13から構成され、表示部11と操作部13とは互いにヒンジ部12によって連接されており、ヒンジ部12を回動軸として自在に折畳み・展開が可能な構造となっており」、「表示部11は、内側筐体11aと外側筐体11bとを折畳んだ状態とすることができ[る]」から、前記(ア)も踏まえると、引用発明の「携帯電話機106」は、本願発明の「フォルダ型携帯端末機」に相当する。 (ウ) 引用発明の「柔軟で折り曲げが自在な可撓性を有する薄膜状の電子表示部材により構成されて[いる]」「表示パネル14を含[む]」「表示部11」は、本願発明の「軟性ディスプレイ装置」に相当する。 (エ) 前記(イ)及び(ウ)をまとめると、「フォルダ型携帯端末用軟性ディスプレイ装置」の発明である本願発明と、「携帯電話機106の表示部11」の発明である引用発明は、「フォルダ型携帯端末用軟性ディスプレイ装置」の発明である点で一致する。 イ(ア) 引用発明の「内側筐体11a」及び「外側筐体11b」は、「スライド板15は、外側筐体11bの内部に格納されており、スライド板15の端部は、内側筐体11aの端部とヒンジ部11ccを介して連接されて[いる]」、すなわち、内側筐体11aと外側筐体11bがスライド板15及びヒンジ部11ccを介して連接されているから、引用発明の「内側筐体11a」及び「外側筐体11b」は、互いに結合されているといえる。 (イ) 引用発明は「内側筐体11aと外側筐体11bとを折畳んだ状態とすることができる」ものであるから、引用発明の「内側筐体11a」及び「外側筐体11b」は、互いにフォルディング可能なものであるといえる。 (ウ) 前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、「互いにフォルディング可能に結合された第1フォルディング部及び第2フォルディング部」を含む点で一致する。 ウ 引用発明の「柔軟で折り曲げが自在な可撓性を有する薄膜状の電子表示部材により構成されて[いる]」「表示パネル14」は、「両筐体の折畳み時及び展開時のいずれも両筐体の外面に位置[する]」、すなわち、両筐体の折畳み時及び展開時のいずれも物理的に露出するものであるといえるから、本願発明と引用発明は、「物理的に露出された部分を含む軟性ディスプレイ部」を含む点で一致する。 エ(ア) 引用発明の「内側筐体11a及び外側筐体11bはそれぞれ、表示パネル14が敷設される上面と、上面と反対側の下面を有[する]」ところ、「表示パネル14が敷設される上面」及び「上面と反対側の下面」は、それぞれ本願発明の「第2外部面」及び「第1外部面」に相当する。 (イ) また、引用発明の「下面」が「上面」と「反対側」にあることは、本願発明の「前記第1外部面及び第2外部面は互いに反対方向を向け[る]」こと」に相当する。 (ウ) 前記(ア)及び(イ)の検討結果を踏まえると、本願発明と引用発明は、「前記第1フォルディング部及び第2フォルディング部はそれぞれ第1外部面及び第2外部面を有し、前記第1外部面及び第2外部面は互いに反対方向を向け[る]」点で一致する。 オ 引用発明においては、「両筐体の折畳み時には両筐体の下面同士が当接する」ものであり、引用発明の「下面」が本願発明の「第1外部面」に相当することを踏えると(前記エ(ア)参照)、本願発明と引用発明は「前記第1フォルディング部及び第2フォルディング部が互いにフォルディングされる時、前記第1フォルディング部の第1外部面と第2フォルディング部の第1外部面が互いに当接[する]」点で一致する。 カ 引用発明は「表示パネル14は、両筐体の折畳み時及び展開時のいずれも両筐体の外面に位置し、a面が内側筐体11aの上面に敷設され、b面が外側筐体11bの上面に敷設され、c面が両筐体の側面部に敷設される」ところ、本願発明の「前記露出された部分」は引用発明の「表示パネル14」に相当する「軟性ディスプレイ部」に含まれる部分であり(前記ウ参照)、引用発明の「上面」が本願発明の「第2外部面」に相当すること(前記エ(ア)参照)を考慮すると、本願発明と引用発明は、「前記露出された部分は第1フォルディング部の第2外部面及び第2フォルディング部の第2外部面に亘って配置され[る]」点で一致する。 キ(ア) 本願発明の「第2外部面」は「第1フォルディング部及び第2フォルディング部」が有するものであり、「露出された部分」は「軟性ディスプレイ部」に含まれる部分であって(前記ウ参照)、「第1フォルディング部の第2外部面及び第2フォルディング部の第2外部面に亘って配置され[る]」ものであるから、本願発明の「第2外部面の露出された部分」は、「第2外部面に配置された前記露出された部分」と解するのが相当である。 (イ) そうすると、引用発明は、「表示パネル14」が「両筐体の折畳み時及び展開時のいずれも両筐体の外面に位置し、a面が内側筐体11aの上面に敷設され、b面が外側筐体11bの上面に敷設され、c面が両筐体の側面部に敷設されることにより、両筐体の折畳み時には両筐体を囲んでおり」、「a面」及び「b面」は「第2外部面の露出された部分」に相当するから、本願発明と引用発明は、「フォルディング時、第2外部面の露出された部分は第1フォルディング部と第2フォルディング部を囲む形態である」点で一致する。 (2) 小括 前記(1)の対比分析の結果を総合すると、引用発明は本願発明の構成を全て含むから、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。 3 請求人の主張について (1) 審判請求書における請求人の主張内容 請求人は、令和4年4月13日に提出された手続補正書(方式)により補正された審判請求書において、以下の主張をしている。 ア 主張1 フォルディング構造について (ア) 本願発明と引用発明は、フォルディング構造が異なっている。本願発明は、携帯用端末機の全体がフォルディングされる構造であり、操作部とディスプレイ部が別途に具備される引用発明に比べて、より薄型の製作が可能な特徴を有する。 (イ) より詳細には、本願発明は、第1フォルディング部と第2フォルディング部、すなわち2つの構造が直接フォルディングされる構造を有する。第1及び第2フォルディング部の第1外部面が互いに当接して拡張されたディスプレイ画面を有することができ、同じ大きさを有する携帯用端末機に比べて、より拡張された映像またはイメージを表すことができる。本願発明では、軟性ディスプレイが第2外部面に配置され、第1外部面に当接する時(当審注1:「第1外部面同士が当接する時」を意味していると思われる。以下同様である。)、第2外部面内に設置された軟性ディスプレイは端末機装置の大部分を囲む構造で、別途の操作部を必要としない。すなわち、実質的にフォルディングされた時、第2外部面の軟性ディスプレイが第1フォルディング部と第2フォルディング部の一つ以上に端末機の大部分の装置を収納してこれを囲む形態である。 (ウ)本願発明と引用発明は、本体ハウジング(操作キーパッド部を含む)の位置が相違する。上述のように、本願発明では、第1及び第2フォルディング部がフォルディングされる構造であり、軟性ディスプレイが第2外部面に配置され、第1外部面に当接する時(前記当審注1を参照)、第2外部面内に設置された軟性ディスプレイは端末機装置の大部分を囲む構造で、別途の操作部を必要としない。すなわち、実質的にフォルディングされた時、第2外部面の軟性ディスプレイが第1フォルディング部と第2フォルディング部の一つ以上に端末機の大部分の装置を収納してこれを囲む形態である。言い換えれば、本願発明では、ディスプレイ部と本体ハウジングが一緒にフォルディングする構造となっているのに対して、引用発明では、上述したように、操作部(13)を除いた操作パネル(14)(当審注2:「表示パネル(14)」の誤記であると思われる。以下同様である。)のみフォルディングする構造であり、引用発明では、操作部(13)と表示パネル(14)が別途に具備されて、操作部(13)が外部に露出された形態である。すなわち、引用発明では、ディスプレイ部(操作パネル(14))を除いた別途のキーパッドの下部分に本体ハウジングが具備されており、本体ハウジングはディスプレイ部と同時にフォルディングされる構造である。 (エ) 本願発明では、軟性ディスプレイ部のみで第1及び第2フォルディング部を構成する構造であるのに対して、引用発明では、本体とディスプレイ部が別途に備えられ、ディスプレイ部のみフォルディングされる構造となっている。 イ 主張2 軟性ディスプレイとフォルディング部の密着について (ア) 軟性ディスプレイは、第1、2フォルディング部を構成するハウジングに密着される構造で、拡張及び縮小の時、軟性ディスプレイとフォルディング部のハウジングは確実に離隔される空間なしに柔軟な拡張及び縮小が可能な構造である。これにより、本願発明では、同じ構成を有する製品の場合、同じ厚さにより多くの構成要素を含むことができ、同じディスプレイを用いる場合、本願発明では、より薄型製作が可能である。 (イ) これに対して、引用発明では、内側ケース(11a)、外側ケース(11b)、スライド板(15)の3つの構造体が動作してフォルディングされる構造となっている。また、軟性ディスプレイである表示パネル(14)は、a面とb面がボックス11aと11bの一面に付着しており、フォルディングのためのc面が完全に剥離された構造を有している。このように、引用発明では、3つの構造が動作してフォルディングされる構造となっており、本願発明と引用発明が同じ厚さで製作されるとすると、引用発明では、より高いディスプレイ曲率が要求されるせいで、劣化現象やストレスの発生により、耐久性が弱化するという、不可欠な問題が発生する。 ウ 主張3 ヒンジ結合構造について (ア) 本願発明と引用発明は、ヒンジ結合構造が相違する。本願発明は、本願の明細書および図面で示されるように、第1フォルディング部と第2フォルディング部がヒンジ結合を通じてフォルディングされる構造を有する。 (イ) これに対し、引用発明では、上述したように、内側ケース(11a)、外側ケース(11b)及びスライド板(15)の3つの構造体で動作してフォルディングされる構造で、ヒンジ部分(11cc)を有するものの、これは、スライド板(15)を支持する部分であるだけで、外側ケース(11b)はスライド板(15)によって支持されている構造である。従って、引用発明の構造を本願発明に適用しようとしても、キーパッドを含む第1または第2フォルディング部が支持することができず、適用することができない。 (2) 請求人の主張についての検討 ア 主張1についての検討 (ア) 主張1は要するに、本願発明は、引用発明のように操作部とディスプレイ部を別途に有するものではなく、第1フォルディング部と第2フォルディング部をフォルディングすることにより、携帯用端末機の全体がフォルディングされる構造であり、これにより、フォルディング時に第2外部面上にある軟性ディスプレイが第1フォルディング部と第2フォルディング部の一つ以上に端末機の大部分の装置を収納してこれを囲む形態であるというものである。 (イ) しかしながら、本願発明では第1フォルディング部と第2フォルディング部とをフォルディングすることにより携帯用端末機の全体がフォルディングされる構造であることも、フォルディング時に軟性ディスプレイが端末機の大部分の装置を収納してこれを囲むことも、いずれも特定されていない。 (ウ) また、本願発明は「フォルダ型携帯端末機用軟性ディスプレイ装置」の発明であって、携帯用端末機はその用途として特定されてはいるものの、携帯用端末機自体の構成が軟性ディスプレイ装置の構成を実質的に特定するものとは解されない。 (エ) よって、主張1は請求項の記載に基づくものではなく、採用できない。 イ 主張2についての検討 (ア) 本願発明では、第1、2フォルディング部に軟性ディスプレイが密着する構造であることも、軟性ディスプレイが離隔される空間なしに拡張及び縮小することも、何ら特定されていない。 (イ) よって、主張2は請求項の記載に基づくものではなく、採用できない。 ウ 主張3についての検討 (ア) 本願発明では、第1フォルディング部と第2フォルディング部がヒンジ結合を通じてフォルディングされる構造を有することは、何ら特定されていない。 (イ) よって、主張3も請求項の記載に基づくものではなく、採用できない。 4 当審の判断のまとめ 以上検討のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。 また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえる。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-003004

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