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特許拒絶査定不服審判

2022-002361

ルアー用緩衝器

審判番号
2022-002361
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-097322外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年02月16日
審決日
2023年09月25日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (A01K) / P18 .121-WZ (A01K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 97322「ルアー用緩衝器」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 5月 6日出願公開、特開2021- 69371〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 8項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年4月19日に出願された特願2017-83241号(以下、「原特許出願」という。)を意匠出願に変更する旨の主張をともなって、令和元年10月31日に出願された意願2019-24419号(以下、「原意匠出願」という。)を、さらに、特許出願に変更するとして、令和2年6月3日に特許出願されたものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和3年 6月22日付け:拒絶理由通知
令和3年 8月23日 :意見書
令和3年 9月 1日付け:拒絶理由通知
令和3年11月 8日 :意見書、手続補正書
令和3年11月11日付け:拒絶査定
令和4年 2月16日 :審判請求、手続補正書
令和4年11月25日付け:拒絶理由通知
令和5年 1月30日 :手続補正書
令和5年 3月31日付け:拒絶理由通知
令和5年 6月 5日 :意見書、手続補正書

第2 本願の出願日について

原特許出願から原意匠出願への変更について、出願の変更の実体的要件が満たされているかどうか、具体的には、原意匠出願の意匠が、原特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲及び図面等(以下「当初明細書等」という。)において明確に認識し得るような具体的な記載により表された意匠と同一かどうかについて検討する。

原意匠出願の意匠は、「ルアー用緩衝器」の正面視で左右各斜め下方へ伸長する2本の線材部であり、当該2本の線材部は正面視で約50度の内角をなすものである(正面図)。一方、原特許出願の当初明細書等において、図2及び図3に2本の線材部12が正面視にて左右各斜め下方へ伸長する意匠が記載されているが、当該2本の線材部12がなす内角は約30度である。

よって、両意匠の形状は同一ではない。

令和5年6月5日提出の意見書において、請求人は「原特許出願である特願2017-083241の図2、図3は係止端部13を係止するための内角に弾性変形させた、取付け前の分解状態であって、原意匠出願の正面図は弾性変形状態を開放させた開放状態の内角のため、見た目に差が生じています。係止状態では弾性付勢状態でないと係止端部が係止穴に係止しないことから、開放状態では内角が図2、図3の角度よりも大きくなることが技術的に当然理解されます。」と主張している。

しかしながら、原特許出願の当初明細書等には、「図2、図3は係止端部13を係止するための内角に弾性変形させた、取付け前の分解状態」であることは記載されておらず、また、そのように解することを示唆する記載もない。

仮に、原特許出願の図2、図3に示された線材部が「取付け前の分解状態」であったとしても、それにより「開放状態」で、2本の線材部が正面視で約50度の内角をなす意匠となることが当然と解する根拠はない。

また、前記意見書において、請求人は「なお、開放状態における内角の差は視覚的に殆ど視認できないほどの差にすぎず、共通点がほとんど意匠全体を網羅しています。このため、原意匠の図面は原特許出願の意匠と同一又は実質的に同一となっています。」とも主張している。

しかしながら、線材部は、原意匠出願の意匠全体を占めるものであるから、その内角の差は意匠全体の美感に大きく寄与するものであり、原意匠出願の意匠が原特許出願の当初明細書等に表された意匠と同一であるとはいえない。

その上、2本の線材部が正面視にて約50度の内角をなす意匠と、約30度の内角をなす意匠が「内角の差は視覚的に殆ど視認できないほどの差」にすぎないといえるものではない。

よって、請求人の主張は採用できない。

以上のように、原特許出願から原意匠出願への変更は出願の変更の要件を満たしていない。したがって、原意匠出願の出願日は、原意匠出願の現実の出願日である令和元年10月31日である。

以上より、本願の出願日は、原意匠出願から本願への出願の変更の要件を満たしたとしても、原特許出願の公開公報(特開2018-174878号公報)の発行日である平成30年11月15日より後の、原意匠出願の出願日である令和元年10月31日である。

第3 本願発明

本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年1月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。

「ボディの先端側にラインアイを設けると共に板形状のリップを設けた釣り用ルアーに固定されるルアー用緩衝器であって、
釣り用ルアーの先端側に設けられたラインアイに挿通可能な、下部が開放した部分環状の線材からなる挿通環部と、
挿通環部の前記開放した下部の部分環状の各線材が互いに交差せずに、正面視にて左右各斜め下外方へ屈曲して左右各々各斜め下方へ末広がりに伸長する2本の線材部と、
各線材部の伸長方向の先側で外側方に屈曲した係止端部と、が連なった一本の線材部品からなり、
前記リップは、板形状の左右の下角部の上面に、係止穴を有した係止部が、左右それぞれに形成されており、
前記一本の線材部品は、前記挿通環部が釣り用ルアーに設けられたラインアイに挿通されると共に、前記係止端部が、前記板形状のリップ上面に設けた係止部の係止穴内に挿入されることで、釣り用ルアーのルアー本体のボディの先端部に固定された状態となり、
前記固定された状態の一本の線材部品は、各線材部がルアー本体の伸長軸に対して所定の傾斜角度を保ち、2本の線材部同士が一定の挟角を保つものであり、
また、前記固定された状態の一本の線材部品は、2本の係止端部同士を近接させるよう操作することで、係止端部の各係止穴への挿入を解除して、リップから取り外し可能であることを特徴とするルアー用緩衝器。」

第4 拒絶の理由

令和5年3月31日付けで当審において通知した拒絶理由の理由1及び理由2は、次のとおりのものである。

(理由1)

本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができない。

(理由2)

本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2018-174878号公報

第5 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1の記載

(1) 引用文献1には、次の記載がある(下線は当審が付した。以下同様。)。

ア 「【0001】
本発明は、釣り用ルアーに取り付けて使用するルアー用緩衝器、及び、これを備えたルアーに関する。」
イ 「【0014】
<ルアー本体100>
初めに、ルアー本体100について説明する。ルアー本体100は、図1に示すように、魚を模したいわゆるイミテーションルアーであり、主に頭部である第1ボディ101と、腹部である第2ボディ102と、尾部である第3ボディ103とを備える。各ボディ間は、連結環105により互いに屈曲自在に連結されている。このように、ルアー本体100を第1~第3ボディ101~103に分割 し、各ボディ101~103を連結環105に連結することで潜水時にすべらかな動きをルアー本体100に与えることができる。」
ウ 「【0016】
第1ボディ101(頭部)は、先端側の顎下に釣り糸を挿通するためのラインアイAを備えている。また、本実施形態のルアー本体100は、第1ボディ101の口元に当たる部分に固定溝Dを有している。」
エ 「【0017】
<ルアー用緩衝器>
次に、ルアー用緩衝器について説明する。本実施形態のルアー用緩衝器は、図1に示すように、第1ボディ101の先端側(顎下)に設けられたラインアイAに挿通可能な挿通環部11と、図2に示すように、挿通環部11から正面視にて左右各斜め下方又は鉛直下方へ伸長する複数(実施形態では2本)の直線状の線材部12と、各線材部12と伸長先の一部で接触して線材部12の伸長方向を保持するリップ2とからなる。
【0018】
リップ2は、ルアー用緩衝器の保持手段でありプラスチックを含む樹脂製の舌状部品である。このリップ2は、第1ボディ101の口元に当たる部分に固定溝Dに着脱可能に嵌合されている。ルアー本体100を引くと、このリップ2の板面22が水流を受けて、水を逃がすように左右に体を振動させながら浅く潜水する。なお、ほとんどが水に浮くフローティングタイプだが、ごくわずか水中で停止するサスペンドタイプ、水に沈むシンキングタイプなどがある。
【0019】
より具体的には、リップ2は、図2に示すように、ルアー本体100の前方下部の固定部に上部固定され、正面視にて固定部から下部に向かって幅広となる部分を有し、全体として上端側よりも下端側が幅広となる台形形状の板形状からなる。また、リップ2の本体100に固定される固定端とは反対側の自由端側の左右には、後述するルアー用緩衝器を係止するための係止部23が各々設けられている。係止部23は、内部に係止穴を有する筒状体からなる。このようなリップ2をルアー本体100の前方下部に固定した場合、ルアーをひくとリップ2にあたる水流により、ルアー本体100の第1ボディ101(頭部)には下向きの力がかかる。このため、本実施形態では、ルアー用緩衝器を取り付けた場合、ルアーをひくとルアー本体100が水中に潜る(潜水する)ようにして動作する。」
オ 「【0021】
このルアー用緩衝器の挿通環部11を第1ボディ101の先端側(顎下)に設けられたラインアイAに挿通し、線材部12の先端に設けられた係止端部13を、各々リップ2の係止部23の係止穴に挿通することで、ルアー用緩衝器がルアー本体100の第1ボディ101の先端部に固定される。ここで、図1に示すように、リップ2の第1ボディ101への固定位置と、挿通環部11を挿通固定するラインアイAの位置とが異なるために、側面視において線材部12がリップ22によってルアー本体100の伸長軸Xに対して所定の傾斜角度α1を保つものとなる。また、側面視において、リップ2は、ルアー本体100の伸長軸Xに対して所定の傾斜角度α2をもって前方へ延伸するように固定されているため、線材部12とリップ22の板面22との間に所定の傾斜角度β1が保たれる。」
カ 「【0025】
図3は、ルアー本体100からルアー用緩衝器を取り外した状態を示す正面図である。ここでは、図3を参照して、ルアー本体100にルアー用緩衝器を取り付ける方法について説明する。初めに、リップ2の溝固定部21をルアー本体100の第1ボディ101の下端側に設けられた固定溝Dに嵌合させ、リップ2をルアー本体100に固定する。次いで、2本の線材部12のうち、一方の係止端部13を第1ボディ101の先端側(顎下)に設けられたラインアイAに挿通し、続いて、線材部12をラインアイAに通して、ラインアイAを挿通環部11に挿通させる。次いで、2本の線材部12の先端に設けられた係止端部13を、各々リップ2の係止部23の係止穴に挿通して係止することで、ルアー用緩衝器がルアー本体100の第1ボディ101の先端部に固定される。」
キ 「【0038】
100 ルアー本体
101 第1ボディ
102 第2ボディ
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103 第3ボディ
104 フックアイ
105 ボディ連結環
100H 釣り針
D 固定溝
A ラインアイ
1 緩衝体
11 挿通環部
12 線材部
12C 中央線材部
13 係止端部
14 後方線材部(保持手段)
16 固定部(固定解除構造)
17 第2湾曲線材部
2 リップ(保持手段)
21 溝固定部(固定解除構造)
22 板面
23 係止部
RC 岩類
WW、WA 水草類
SS 小石類」

ク 図1ないし図3は次のものである。

【図1】

[図:0001404033000001.jpg]

【図2】

[図:0001404033000002.jpg]

【図3】

[図:0001404033000003.jpg]

ケ 図3より、上記エ、上記キの記載を踏まえると、「緩衝体1」において「挿通環部11」の開放した下部の部分環状の各線材は互いに交差せず、正面視にて左右各斜め下外方へ屈曲して左右各々斜め下方へ末広がりに左右対称に伸長する2本の線材部に接続されてなる点、「挿通環部11」は「緩衝体1」の正面視中央上端に位置している点、左右の各「係止端部13」は、正面視にて、それぞれ直線状の「線材部12」の下端から外側方に屈曲して真直ぐ伸長した線材の端部からなるものである点が看取される。

コ 上記エの記載を踏まえると、図1ないし図3より、「係止部23」は「リップ2」の上面に形成され、内側の上部に、内側方へ開口した係止穴を有している点が看取される。

サ 図1より、上記ア、エの記載を踏まえると、「リップ2」は、釣り用ルアーの先端側の「ラインアイA」の下部にて、斜め前方を向いて固定可能である点が看取される。

シ 図1より、上記エ及びオの記載を踏まえると、「伸長軸X」は「ルアー本体100」の頭部から尾部に向かって伸びる軸である点が看取される。

ス 上記エには「また、リップ2の本体100に固定される固定端とは反対側の自由端側の左右には、後述するルアー用緩衝器を係止するための係止部23が各々設けられている。係止部23は、内部に係止穴を有する筒状体からなる。」という記載があるが、「リップ2」は「ルアー用緩衝器」の一部であるので、当該記載は、「また、リップ2の本体100に固定される固定端とは反対側の自由端側の左右には、後述する緩衝体を係止するための係止部23が各々設けられている。係止部23は、内部に係止穴を有する筒状体からなる。」の誤記であると認定した。

(2) 引用文献1に記載された発明

上記(1)を総合すると引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。

(引用発明1)

「ルアー本体は、主に頭部である第1ボディと、腹部である第2ボディと、尾部である第3ボディとを備え、各ボディ間は、連結環により互いに屈曲自在に連結されており、
第1ボディ(頭部)は、先端側の顎下に釣り糸を挿通するためのラインアイを備えており、また、ルアー本体は、第1ボディの口元に当たる部分に固定溝を有している釣り用ルアーに取り付けて使用するルアー用緩衝器であって、
第1ボディの先端側(顎下)に設けられたラインアイに挿通可能な挿通環部と、挿通環部から正面視にて左右各斜め下方へ伸長する2本の直線状の線材部と、
各線材部と伸長先の一部で接触して線材部の伸長方向を保持するリップとからなり、
続きを表示(全14行)
リップは、第1ボディの口元に当たる部分に固定溝に着脱可能に嵌合され、
ルアー本体の前方下部の固定部に上部固定され、正面視にて固定部から下部に向かって幅広となる部分を有し、全体として上端側よりも下端側が幅広となる台形形状の板形状からなり、また、リップの本体に固定される固定端とは反対側の自由端側の左右には、緩衝体を係止するための係止部が各々設けられており、係止部は、内部に係止穴を有する筒状体からなり、
リップは、釣り用ルアーの先端側のラインアイの下部にて、斜め前方を向いて固定可能であり、
係止部はリップの上面に形成され、内側の上部に、内側方へ開口した係止穴を有しており、
緩衝体において、挿通環部の開放した下部の部分環状の各線材は互いに交差せず、正面視にて左右各斜め下外方へ屈曲して左右各々斜め下方へ末広がりに左右対称に伸長する2本の線材部に接続され、左右の各係止端部が、正面視にて、それぞれの直線状の線材部の下端から外側方に屈曲して真直ぐ伸長した線材の端部からなり、挿通環部は緩衝体の正面視中央上端に位置しており、
側面視において線材部がリップによってルアー本体の頭部から尾部に向かって伸びる軸である伸長軸に対して所定の傾斜角度を保ち、
ルアー本体にルアー用緩衝器を取り付けるには、
初めに、リップの溝固定部をルアー本体の第1ボディの下端側に設けられた固定溝に嵌合させ、リップをルアー本体に固定し、次いで、2本の線材部のうち、一方の係止端部を第1ボディの先端側(顎下)に設けられたラインアイに挿通し、続いて、線材部をラインアイに通して、ラインアイを挿通環部に挿通させ、次いで、2本の線材部の先端に設けられた係止端部を、各々リップの係止部の係止穴に挿通して係止することで、ルアー用緩衝器がルアー本体の第1ボディの先端部に固定されるものであり、
ルアー本体からルアー用緩衝器を取り外すことができる、
ルアー用緩衝器。」

第6 対比

本願発明と引用発明1とを対比する。

1 引用発明1の「第1ボディ」と「第2ボディ」と「第3ボディ」、「ラインアイ」、「リップ」、「挿通環部」、「線材部」、「係止端部」、「係止穴」、「係止部」、「緩衝体」は、本願発明1の「ボディ」、「ラインアイ」、「リップ」、「挿通環部」、「線材部」、「係止端部」、「係止穴」、「係止部」、「ルアー用緩衝器」にそれぞれ相当する。

2 引用発明1の「ルアー本体は、主に頭部である第1ボディと、腹部である第2ボディと、尾部である第3ボディとを備え、各ボディ間は、連結環により互いに屈曲自在に連結されており、第1ボディ(頭部)は、先端側の顎下に釣り糸を挿通するためのラインアイを備えて」おり、「リップ」は、「第1ボディの口元に当たる部分に固定溝に着脱可能に嵌合され」、「板形状からな」る「釣り用ルアー」は、本願発明1の「ボディの先端側にラインアイを設けると共に板形状のリップを設けた釣り用ルアー」に相当し、引用発明1の「第1ボディの先端側(顎下)に設けられたラインアイ」を「緩衝体」の一部である「挿通環部」に挿通させ、また、「緩衝体」における「2本の線材部の先端に設けられた係止端部を、各々リップの係止部の係止穴に挿通して係止」することで、「ルアー本体の第1ボディの先端部に固定される」点は、本願発明1の「ルアー用緩衝器」が「釣り用ルアーに固定される」点に相当する。

3 引用発明1の「緩衝体」における「挿通環部」が「第1ボディの先端側(顎下)に設けられたラインアイに挿通可能な」点は、本願発明1の「ルアー用緩衝器」における「挿通環部」が「釣り用ルアーの先端側に設けられたラインアイに挿通可能な」点に相当し、引用発明1の「緩衝体」の「挿通環部」が、「開放した下部の部分環状」であって「線材」からなる点は、本願発明1の「ルアー用緩衝器」の「挿通環部」が「下部が開放した部分環状の線材からなる」点に相当するから、引用発明1の「緩衝体」における「第1ボディの先端側(顎下)に設けられたラインアイに挿通可能な」、「開放した下部の部分環状」である「線材」からなる「挿通環部」は、本願発明1の「ルアー用緩衝器」の「釣り用ルアーの先端側に設けられたラインアイに挿通可能な、下部が開放した部分環状の線材からなる挿通環部」に相当する。また、引用発明1の「緩衝体」の「挿通環部の開放した下部の部分環状の各線材は互いに交差せず、正面視にて左右各斜め下外方へ屈曲して左右各々斜め下方へ末広がりに左右対称に伸長する2本の線材部」は、本願発明1の「ルアー用緩衝器」の「挿通環部の前記開放した下部の部分環状の各線材が互いに交差せずに、正面視にて左右各斜め下外方へ屈曲して左右各々各斜め下方へ末広がりに伸長する2本の線材部」に相当する。さらに、引用発明1の「緩衝体」の「正面視にて、それぞれの直線状の線材部の下端から外側方に屈曲して真直ぐ伸長した線材の端部からな」る「左右の各係止端部」は、本願発明1の「ルアー用緩衝器」の「各線材部の伸長方向の先側で外側方に屈曲した係止端部」に相当する。

そして、引用発明1は、「緩衝体において、挿通環部の開放した下部の部分環状の各線材は互いに交差せず」「2本の線材部に接続され、」「それぞれの直線状の線材部の下端から外側方に屈曲して真直ぐ伸長した線材の端部」が「左右の各係止端部」となるものであって、引用発明1の「緩衝体」は、「挿通環部」、「2本の線材部」、及び、「左右の各係止端部」が連なった一本の線材部品からなるものであり、このことは本願発明1の「ルアー用緩衝器」が「挿通環部と、」「2本の線材部と、」「係止端部と、が連なった一本の線材部品からな」ることに相当する。

4 引用発明1の「リップは、」「正面視にて固定部から下部に向かって幅広となる部分を有し、全体として上端側よりも下端側が幅広となる台形形状の板形状からなり、また、リップの本体に固定される固定端とは反対側の自由端側の左右には、緩衝体を係止するための係止部が各々設けられており、係止部は、内部に係止穴を有する筒状体からな」り、「係止部はリップの上面に形成され、内側の上部に、内側方へ開口した係止穴を有して」いる点は、本願発明1の「リップは、板形状の左右の下角部の上面に、係止穴を有した係止部が、左右それぞれに形成されて」いる点に相当する。

5 上記2ないし4の対比を踏まえると、引用発明1の「2本の線材部のうち、一方の係止端部を第1ボディの先端側(顎下)に設けられたラインアイに挿通し、続いて、線材部をラインアイに通して、ラインアイを挿通環部に挿通させ、次いで、2本の線材部の先端に設けられた係止端部を、各々リップの係止部の係止穴に挿通して係止することで、ルアー用緩衝器がルアー本体の第1ボディの先端部に固定され」る点は、本願発明1の「一本の線材部品は、」「挿通環部が釣り用ルアーに設けられたラインアイに挿通されると共に、」「係止端部が、」「板形状のリップ上面に設けた係止部の係止穴内に挿入されることで、釣り用ルアーのルアー本体のボディの先端部に固定された状態とな」る点に相当する。

6 引用発明1の「側面視において線材部がリップによってルアー本体の伸長軸に対して所定の傾斜角度を保」つ点は、本願発明1の「固定された状態の一本の線材部品は、各線材部がルアー本体の伸長軸に対して所定の傾斜角度を保」つ点に相当する。

7 引用発明1の「緩衝体」は、「2本の線材部の先端に設けられた係止端部を、各々リップの係止部の係止穴に挿通して係止」された状態で「リップ」が「各線材部と伸長先の一部で接触して線材部の伸長方向を保持する」ものであるから、「2本の線材部」同士が一定の挟角を保っている状態となっていることは自明であり、引用発明1は、本願発明1の「2本の線材部同士が一定の挟角を保つ」点に相当する構成を備える。

8 引用発明1において、「初めに、リップの溝固定部をルアー本体の第1ボディの下端側に設けられた固定溝に嵌合させ、リップをルアー本体に固定し、次いで、2本の線材部のうち、一方の係止端部を第1ボディの先端側(顎下)に設けられたラインアイに挿通し、続いて、線材部をラインアイに通して、ラインアイを挿通環部に挿通させ、次いで、2本の線材部の先端に設けられた係止端部を、各々リップの係止部の係止穴に挿通して係止することで、ルアー用緩衝器がルアー本体の第1ボディの先端部に固定され」るもので、「ルアー本体からルアー用緩衝器を取り外すことができる」ものであることから、「緩衝体」を「ルアー本体の第1ボディの先端部に固定」するのとは逆の手順、すなわち、固定された状態の一本の線材部品を、2本の係止端部同士を近接させるよう操作することで、係止端部の各係止穴への挿入を解除し、リップから取り外すものと認められ、当該事項は本願発明1の「固定された状態の一本の線材部品は、2本の係止端部同士を近接させるよう操作することで、係止端部の各係止穴への挿入を解除して、リップから取り外し可能である」点に相当する。

9 以上を総合すると、本願発明1と引用発明1とは、

「ボディの先端側にラインアイを設けると共に板形状のリップを設けた釣り用ルアーに固定されるルアー用緩衝器であって、
釣り用ルアーの先端側に設けられたラインアイに挿通可能な、下部が開放した部分環状の線材からなる挿通環部と、
挿通環部の開放した下部の部分環状の各線材が互いに交差せずに、正面視にて左右各斜め下外方へ屈曲して左右各々各斜め下方へ末広がりに伸長する2本の線材部と、
各線材部の伸長方向の先側で外側方に屈曲した係止端部と、が連なった一本の線材部品からなり、
リップは、板形状の左右の下角部の上面に、係止穴を有した係止部が、左右それぞれに形成されており、
一本の線材部品は、挿通環部が釣り用ルアーに設けられたラインアイに挿通されると共に、係止端部が、板形状のリップ上面に設けた係止部の係止穴内に挿入されることで、釣り用ルアーのルアー本体のボディの先端部に固定された状態となり、
固定された状態の一本の線材部品は、各線材部がルアー本体の伸長軸に対して所定の傾斜角度を保ち、2本の線材部同士が一定の挟角を保つものであり、
また、固定された状態の一本の線材部品は、2本の係止端部同士を近接させるよう操作することで、係止端部の各係止穴への挿入を解除して、リップから取り外し可能である
ルアー用緩衝器。」

である点で一致し、相違点はない。

また、仮に、相違点があったとしても、該相違点は引用発明1から当業者が容易に想到し得たことである。

よって、本願発明1は引用発明1と同一であるか、引用発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび

以上によれば、本願発明は、特許法29条1項3号又は同条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

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2022-002361

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