特許拒絶査定不服審判
2022-001733
偽造防止識別物を作製および検出するデバイスおよび方法
- 審判番号
- 2022-001733
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-503203
- 請求日
- 2022年02月04日
- 審決日
- 2023年04月26日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フィブロ ゲーエムベーハー
- 【請求人代理人】松村 直都
- 【請求人代理人】渡邉 彰
- 審判長/審判官
- 審判長 古屋野 浩志
- 審判官 藤本 義仁
- 審判官 比嘉 翔一
- 分類
- P18 .113-Z (B42D) / P18 .121-Z (B42D) / P18 .575-Z (B42D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-503203「偽造防止識別物を作製および検出するデバイスおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月25日国際公開、WO2018/015037、令和 1年10月 3日国内公表、特表2019-527635〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2017年5月11日(パリ条約による優先権主張2016年7月21日(以下「基準日」という。)、独国)を国際出願日とする出願であって、令和1年11月20日に手続補正書が提出され、令和2年12月2日付けで拒絶理由が通知され、これに対して、令和3年5月6日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月27日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、令和4年2月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、同年3月16日に審判請求書の手続補正書が提出されたものである。
第2 令和4年2月4日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和4年2月4日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を全文にわたって補正をするものであるところ、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和3年5月6日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1乃至13を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1乃至13へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
コンポーネント(10)または製品の表面(11)における規定された表面領域(12)内に二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)を形成するためのデバイス(100)であって、
a) 少なくとも1つのレーザビーム(20)を生じさせるためのレーザデバイス(110);
b) 1つまたは複数のレーザビーム(20)の可変の制御および設定をするための制御デバイス(120);
c) 少なくとも、所定の二次元または三次元のパターン(M)のパターンデータと、レーザビーム(20)を制御するためのコーディングデータとから、二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)が、規定された表面領域(12)内に適宜形成され得て、これが、二次元または三次元のパターン(M)とコーディングとの重ね合わせを表すように制御デバイス(30)のための制御コマンドを生じさせるハードウェア(130)およびソフトウェア(140)
を含む、デバイス。
【請求項2】
パターン(M)は、x軸およびy軸に沿ったグリッド内で複数のセグメントに分解され、コーディング深度(T)は、事前に規定されたコーディングアルゴリズムに従って各セグメントに割り当てられたものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
コンポーネントの表面上に生じさせられるべきパターン(M)をコーディングするためのコーディングデータが、アルゴリズムとしてデバイスのソフトウェアに記憶されていることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
微細構造識別用構造体(200)に与えられるべきコンポーネントのコンポーネント固有データを入力するための入力デバイスがさらに設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【請求項5】
デバイス(100)を使用してコンポーネント(10)の表面(11)における規定された表面領域(12)内に生じさせられた二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)からコーディングを読み取るための光学検出ユニットを含むデコーディングデバイス(200)。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイスを使用してコンポーネント(10)または製品の表面(11)上に偽造防止用識別物(200)を形成する方法であって、以下のステップ:
a) レーザデバイス(110)の少なくとも1つのレーザビーム(20)を使用して、コンポーネント(10)または製品の表面(11)における規定された表面領域(12)を照射するステップ;
b) 制御ユニット(120)によって、規定された制御アルゴリズムにしたがって、1つまたは複数のレーザビーム(20)の入射領域(Δx,Δy)に応じてレーザビーム(20)を適合させて、表面領域(12)の規定された入射領域(Δx,Δy)内にそれぞれの特定のレーザビームを生じさせるステップ;および
c) 規定された表面領域(12)内に三次元の微細構造識別用構造体を生じさせて、微細構造表面が、二次元または三次元のパターン(M)とコーディングとの重ね合わせを表すように識別物を形成する、ステップ
を有する、方法。
【請求項7】
レーザビームを制御および適合させるための制御アルゴリズムは、少なくとも、生じさせられるべきパターン(M)のパターンデータと、所望のコーディングのコーディングデータとから生じさせられることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
入力ユニットを介して入力され得る、表面の特定の機能と相関するさらなるデータが、レーザビームを制御しおよび適合させるための制御アルゴリズムに組み込まれることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
規定された表面領域(12)内の二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)の生じさせられた最深の深度は、表面領域(12)を取り囲む表面の領域(13)に関して測定されて、300nm~300μmの範囲内、好ましくは750nm~10μmの範囲内にあることを特徴とする、請求項6、7、または8に記載の方法。
【請求項10】
コーディングされていないパターン(M)に対する、コーディングによって生じさせられた識別用構造体(200)内の高さの差が、500nm~10μmの範囲内、好ましくは750nm~2.5μmの範囲内にあることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
微細構造識別用構造体(200)内のパターン(M)は、技術的デバイスの使用なしに人間によって肉眼で視覚的に読み取り可能であり、かつ/または光学的に知覚可能である形態で表面に導入される一方で、微細構造識別用構造体(200)に含まれるコーディングは、請求項5に記載のデコーディングデバイスによってのみ登録され得ることを特徴とする、請求項6~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)を有するコンポーネント(10)であって、二次元または三次元のパターン(M)と、請求項5に記載のデコーディングデバイスによってのみ登録され得るコーディングとの重ね合わせを、コンポーネントの表面(11)の表面領域(12)内に有する、コンポーネント(10)。
【請求項13】
微細構造識別用構造体(200)は、請求項6~11のいずれか1つに記載の方法を利用して作製され、前記方法の間に導入されたレーザ干渉パターンは、微細構造識別用構造体(200)内において視覚的に認識可能である、請求項12に記載のコンポーネント(10)。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
コンポーネント(10)または製品の表面(11)における規定された表面領域(12)内に二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)を形成するためのデバイス(100)であって、
a) 少なくとも1つのレーザビーム(20)を生じさせるためのレーザデバイス(110);
b) 1つまたは複数のレーザビーム(20)の可変の制御および設定をするための制御デバイス(120);
c) 少なくとも、所定の二次元または三次元のパターン(M)のパターンデータと、レーザビーム(20)を制御するためのコーディングデータとから、二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)が、規定された表面領域(12)内に適宜形成され得て、これが、肉眼で視覚的に読み取り可能な二次元または三次元のパターン(M)と肉眼で認識することのできないコーディングとの重ね合わせを表すように制御デバイス(30)のための制御コマンドを生じさせるハードウェア(130)およびソフトウェア(140)
を含む、デバイス。
【請求項2】
パターン(M)は、x軸およびy軸に沿ったグリッド内で複数のセグメントに分解され、コーディング深度(T)は、事前に規定されたコーディングアルゴリズムに従って各セグメントに割り当てられたものである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
コンポーネントの表面上に生じさせられるべきパターン(M)をコーディングするためのコーディングデータが、アルゴリズムとしてデバイスのソフトウェアに記憶されていることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(100)。
【請求項4】
微細構造識別用構造体(200)に与えられるべきコンポーネントのコンポーネント固有データを入力するための入力デバイスがさらに設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載のデバイス(100)。
【請求項5】
デバイス(100)を使用してコンポーネント(10)の表面(11)における規定された表面領域(12)内に生じさせられた二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)からコーディングを読み取るための光学検出ユニットを含むデコーディングデバイス(200)。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイスを使用してコンポーネント(10)または製品の表面(11)上に偽造防止用識別物(200)を形成する方法であって、以下のステップ:
a) レーザデバイス(110)の少なくとも1つのレーザビーム(20)を使用して、コンポーネント(10)または製品の表面(11)における規定された表面領域(12)を照射するステップ;
b) 制御ユニット(120)によって、規定された制御アルゴリズムにしたがって、1つまたは複数のレーザビーム(20)の入射領域(Δx,Δy)に応じてレーザビーム(20)を適合させて、表面領域(12)の規定された入射領域(Δx,Δy)内にそれぞれの特定のレーザビームを生じさせるステップ;および
c) 規定された表面領域(12)内に三次元の微細構造識別用構造体を生じさせて、微細構造表面が、肉眼で視覚的に読み取り可能な二次元または三次元のパターン(M)と肉眼で認識することのできないコーディングとの重ね合わせを表すように識別物を形成する、ステップ
を有する、方法。
【請求項7】
レーザビームを制御および適合させるための制御アルゴリズムは、少なくとも、生じさせられるべきパターン(M)のパターンデータと、所望のコーディングのコーディングデータとから生じさせられることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
入力ユニットを介して入力され得る、表面の特定の機能と相関するさらなるデータが、レーザビームを制御しおよび適合させるための制御アルゴリズムに組み込まれることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
規定された表面領域(12)内の二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)の生じさせられた最深の深度は、表面領域(12)を取り囲む表面の領域(13)に関して測定されて、300nm~300μmの範囲内、好ましくは750nm~10μmの範囲内にあることを特徴とする、請求項6、7、または8に記載の方法。
【請求項10】
コーディングされていないパターン(M)に対する、コーディングによって生じさせられた識別用構造体(200)内の高さの差が、500nm~10μmの範囲内、好ましくは750nm~2.5μmの範囲内にあることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
微細構造識別用構造体(200)内のパターン(M)は、技術的デバイスの使用なしに人間によって肉眼で視覚的に読み取り可能であり、かつ/または光学的に知覚可能である形態で表面に導入される一方で、微細構造識別用構造体(200)に含まれるコーディングは、請求項5に記載のデコーディングデバイスによってのみ登録され得ることを特徴とする、請求項6~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)を有するコンポーネント(10)であって、肉眼で視覚的に読み取り可能な二次元または三次元のパターン(M)と、請求項5に記載のデコーディングデバイスによってのみ登録され得る肉眼で認識することのできないコーディングとの重ね合わせを、コンポーネントの表面(11)の表面領域(12)内に有する、コンポーネント(10)。
【請求項13】
微細構造識別用構造体(200)は、請求項6~11のいずれか1つに記載の方法を利用して作製され、前記方法の間に導入された二次元または三次元のパターンは、微細構造識別用構造体(200)内において視覚的に認識可能である、請求項12に記載のコンポーネント(10)。」
2 補正(請求項1に係る補正)の適否について
(1)本件補正により、本件補正前の請求項1の「デバイス」の発明特定事項である「二次元または三次元のパターン(M)」について、「肉眼で視覚的に読み取り可能な二次元または三次元のパターン(M)」と限定し(以下「補正事項1」という。)、「コーディング」を「肉眼で認識することのできないコーディング」と限定(以下「補正事項2」という。)するものである。
(2)そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3)そうすると、請求項1に係る補正である補正事項1及び補正事項2は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
(4)また、補正事項1は、国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下「翻訳文等」という。)(誤訳訂正書を提出して明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をした場合にあっては、翻訳文等又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲若しくは図面)の段落【0027】の「微細構造識別用構造体中のパターンを、技術的な装置を使用せずに人間が肉眼で視覚的に読み取り可能であり、かつ/または、光学的に知覚可能である形態で表面に導入して、このようなパターンを使用ことが好適に提示される一方で、微細構造識別用構造体中に含まれるコーディングは、適切に構成されたデコーディングデバイスによってのみ登録され得る。」との記載に基づいており、また、補正事項2は、翻訳文等の段落【0056】の「他方で識別物中に統合された、人によっては肉眼で認識することのできないコーディングとを備え、」との記載に基づいており、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件について
上記2(3)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、本件補正後の請求項1に係る発明(令和4年2月4日に提出された手続補正書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】乃至【請求項13】(以下、それぞれ「本件補正発明1」乃至「本件補正発明13」という。))における本件補正発明1が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
(1)本件補正後の請求項1に係る発明
本件補正発明1は、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載された事項により特定されるものと認められる。
(2)引用例
本願の基準日前に発行された米国特許出願公開第2013/0043311号明細書(以下「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は引用箇所を示し、引用箇所の対訳は当審決で作成した。)
ア 「[0001] This invention relates to security elements for documents of value such as passports, identification cards,banknotes, certificates and the like,methods of manufacture thereof and corresponding authentication systems.」
([0001]本発明は、パスポート、IDカード、銀行券、株券等の有価証券類、それらの製造方法及びそれらの対応する認証システムのためのセキュリティエレメントに関するものである。)
イ 「[0056] FIG. 2 shows a first embodiment of a security element made in accordance with the presently disclosed technique. The security element 15 comprises an array of apertures, ten in this example, positioned relative to one another on the page 3 so as to form the digit “0”.The number and position of the apertures is selected in order to visibly convey the desired symbol “0” in accordance with well known techniques. However, the apertures are now formed from an assortment of different shapes. In particular, whilst eight of the ten apertures are circular, those at positions 15c and 15h are star-shaped. Aperture 15c is a six-pointed star, whilst that at 15h is a five-pointed star. Selecting the shape of each aperture in the array can thus be used to convey an additional level of data over and above the visible data conveyed by the relative arrangement of the apertures.This data is referred to as “encoded” since its meaning is not directly intelligible to the observer (unlike the digit “0” formed by the positions of the apertures).」
([0056]図2は、本開示の技術にしたがって作られたセキュリティエレメントの第1の実施形態を示している。セキュリティエレメント15は、数字「0」を形成するようにページ3上で互いに対して配置された、この例では、10個の、開口のアレイを含む。開口の数及び位置は、周知の技術に従って所望の記号「0」の意味を視覚的に伝達するために選択される。しかしながら、開口は、異なる形状の組み合わせから形成されている。具体的には、第10の開口8は円形であるが、位置15cおよび15hでは星形である。開口部15cは、6点星、15hでは5点状星形である。したがって、アレイ内の各開口の形状を選択することにより、開口の相対的な配置によってその意味が伝達される可視データに加えて、データの追加のレベルを伝えるために使用することができる。このデータは、(アパーチャの位置によって形成される数字「0」とは異なり) 観察者がその意味を直接理解できないため、「エンコードされた」と呼ばれる。)
ウ 「[0063] The apertures can be formed through the security document using any desirable technique, such as perforation pins or grinding between suitably patterned abrasive plates. However, in preferred implementations, the apertures are formed by a laser controlled by a suitable processor as will be described further below. Laser perforation is preferable since not only does it permit each of the apertures to be formed using the same apparatus but it additionally imparts characteristics such as blackening and a conical cross-section to the perforations, which further increases the difficulty of forging a counterfeit.」
([0063]開口は、ミシン目ピンまたは適切にパターン化された研磨プレート間の研削などの任意の望ましい技術を使用して、任意の所望の技術を使用して前記セキュリティ文書を貫通して形成される。しかし、好ましい実施形態では、アパーチャは、以下でさらに説明するように、適切なプロセッサによって制御されるレーザーによって形成される。レーザー穿孔は、同じ装置を使用して各開口部を形成できるようにするだけでなく、穿孔に黒化や円錐形の断面などの特徴を追加的に付与するため、偽造品の偽造をさらに困難にするため、好ましい。。)
エ 「[0074] In this example, the manufacturing apparatus comprises a laser 71 and a controller 72 which is programmed to operate the laser 71 to perforate a document 100 in accordance with the principles described above. Where the encoded data is to be generated and encoded in accordance with a pre-defined algorithm, this may simply be pre-programmed into the controller 72. However, in other examples, the controller 72 may be linked to a database 73 for retrieving the appropriate encoding rules and/or encoded data item for the document 100. If the encoded data is to be associated with other data stored on the document (e.g. in a machine readable element), the manufacturing apparatus 70 may also include a suitable reading device or retrieving data from the document, and/or a writing device for applying the data to the document in the desired format.」
([0074]この例では、製造装置は、レーザー71と、レーザー71を操作して上記の原理に従って文書100に開口を開けるようにプログラムされたコントローラ72とを備える。符号化されたデータは、所定のアルゴリズムにしたがって生成され、符号化されることになる場合、これは、単に、予めコントローラ72にプログラムすることができる。しかしながら、他の実施例では、コントローラ72は、ドキュメント100のための適切な符号化規則及び/又は符号化されたデータ項目を検索するためのデータベース73にリンクされてもよい。符号化データは、文書に格納された他のデータに関連付けられることになる(例えば機械可読要素の場合)、また、製造装置70は、適切な読取装置又は文書からデータを検索する、および/または所望の形式で文書にデータを加えるための書き込みデバイスを含むことができる。)
オ 「
[図:0001402137000001.jpg]
」
カ 「
[図:0001402137000002.jpg]
」
キ 「
[図:0001402137000003.jpg]
」
ク 上記イ及びオからすると、異なる形状の開口の組み合わせから文書上のセキュリティエレメントは形成され、開口の数及び位置によって所望の記号の意味を視覚的に伝達するが、各開口の形状の意味は観察者が直接理解できないものであって、「エンコードされた」データと呼ばれる。
そうすると、上記記載事項ア乃至キ、及び認定事項記クより、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「レーザーと、レーザーを操作して文書に開口を開けるようにプログラムされたコントローラとを備える製造装置であって、
レーザーによって、セキュリティ文書の開口は、形成され、
異なる形状の開口の組み合わせから文書上のセキュリティエレメントは形成され、開口の数及び位置によって記号の意味を視覚的に伝達するが、各開口の形状の意味は観察者が直接理解できないものであって、「エンコードされた」データと呼ばれるものである、
製造装置。」
(3)当審の判断
ア 本件補正発明1と引用発明との対比
(ア)後者の「文書」、「開口」、「製造装置」、「レーザー」、「レーザーを操作して文書に開口を開けるようにプログラムされたコントローラ」、「『開口の数及び位置によって』『意味を視覚的に伝達する』『記号』」、「『各開口の形状の意味』を『観察者が直接理解できない』『エンコードされたデータ』」は、それぞれ、前者の「コンポーネント(10)または製品」、「二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)」、「デバイス(100)」、「少なくとも1つのレーザビーム(20)を生じさせるためのレーザデバイス(110)」、「1つまたは複数のレーザビーム(20)の可変の制御および設定をするための制御デバイス(120)」、「肉眼で視覚的に読み取り可能な二次元または三次元のパターン(M)」、「肉眼で認識することのできないコーディング」に相当する。
(イ)後者の「開口」は、文書に開けられたものであって、当該「開口」により文書上にセキュリティエレメントが形成されることとなるのであるから、当該「開口」は文書の表面の表面領域内に形成されているといえる。
(ウ)後者の開口の数及び位置によってその意味が伝達される「記号」は、当該開口がレーザーが操作されることにより形成されるのであるから、開口の数及び位置に係るパターンデータに基づいて形成されることは明らかである。
(エ)上記(ウ)より、後者の「製造装置」がレーザーを操作するためのハードウェアおよびソフトウェアを備えていることは明らかである。
(オ)前者の「肉眼で認識することのできないコーディング」について、翻訳文等の発明の詳細な説明の段落【0027】には、「微細構造識別用構造体中のパターンを、技術的な装置を使用せずに人間が肉眼で視覚的に読み取り可能であり、かつ/または、光学的に知覚可能である形態で表面に導入して、このようなパターンを使用ことが好適に提示される一方で、微細構造識別用構造体中に含まれるコーディングは、適切に構成されたデコーディングデバイスによってのみ登録され得る。このコーディングは、見る者にとって暗号化された認識不可能な情報の項目を表すからである。この目的のために、デコーディングデバイスは、規定されたアルゴリズムに従って生じさせられたコーディングをデコードするために分析ユニットを含まなければならず、そのことは、用いられている1つまたは複数のアルゴリズムを読み取るようデコーディングデバイスが適合されているならば、本発明によってのみ可能となる。」と記載されている。
上記記載からすると、「肉眼で認識することのできない」とは、情報の意味内容が暗号化されて、肉眼では認識不可能なことと認められる。
そうすると、微細構造識別用構造体中のパターンを構成するものとしてのコーディングは、技術的な装置を使用せずに人間が肉眼で視覚的に読み取り可能である一方で、その意味内容は、「肉眼で認識することのできない」ものと認められる。
そこで、後者の「各開口の形状」は、その意味がエンコードされたデータであることから、観察者は直接理解できないことからすると、前者の「肉眼で認識することのできないコーディング」に相当する。
(カ)以上(ア)乃至(オ)の検討より、両者は、
「コンポーネント(10)または製品の表面(11)における規定された表面領域(12)内に二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)を形成するためのデバイス(100)であって、
a) 少なくとも1つのレーザビーム(20)を生じさせるためのレーザデバイス(110);
b) 1つまたは複数のレーザビーム(20)の可変の制御および設定をするための制御デバイス(120);
c) 少なくとも、所定の二次元または三次元のパターン(M)のパターンデータと、レーザビーム(20)を制御するためのコーディングデータとから、二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)が、規定された表面領域(12)内に適宜形成され得て、これが、肉眼で視覚的に読み取り可能な二次元または三次元のパターン(M)と肉眼で認識することのできないコーディングとの重ね合わせを表すように制御デバイス(30)のための制御コマンドを生じさせるハードウェア(130)およびソフトウェア(140)
を含む、デバイス。」
の点で一致し、本件補正発明1の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本件補正発明1と、引用発明とに差異はない。
請求人は、“引用文献1の記載内容の全体を参照したところ、引用文献1では、「an array of apertures」を本質とするものであり、本願とはその内容が全く異なっていると言えます。「apertures」の「array」が上方から見た場合の視覚情報になっており、本願におけるような「二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)」に相当するものは存在していません。この点で、本願の請求項1と引用文献1とで相違しています。さらに、この相違点からすると、本願における「二次元または三次元のパターン(M)」も存在していない、ことも言えると思料します。さらに、引用文献1では、「array」を構成する1または複数の「apertures」の形状を変更することで、これにより「コーディング」の情報としています。 引用文献1では、「apertures」の形状の多様性をコーディングの本質としているので、引用文献1におけるコーディングは、「肉眼で認識することのできる」ものとなっています。この点で、肉眼で認識することのできないコーディングが示されている本願の請求項1とは全く異なっています。本願発明は、「偽造防止」を目的としており、コーディングを肉眼で認識することのできないものとすることにより、そのような目的を達成することができるものとなっています。引用文献1では、肉眼で認識することができるものであり、微細ではあっても視覚により認識できるものをベースとしている以上、本願のように肉眼で認識できないものに想到することは不可能です。 以上により、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に対して新規性・進歩性の要件を満たしています。”旨、主張するが、上記(2)クからすると、引用発明の「各開口の形状の意味」は観察者が直接理解できないものであって、「エンコードされた」データであるのだから、上記請求人の主張は採用できない。
したがって、本件補正発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない発明であって、特許出願の際、独立して特許を受けることが出来ないものであるから、本件補正は,特許法第17条の2第第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してされたものである。
(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和3年5月6日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
コンポーネント(10)または製品の表面(11)における規定された表面領域(12)内に二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)を形成するためのデバイス(100)であって、
a) 少なくとも1つのレーザビーム(20)を生じさせるためのレーザデバイス(110);
b) 1つまたは複数のレーザビーム(20)の可変の制御および設定をするための制御デバイス(120);
c) 少なくとも、所定の二次元または三次元のパターン(M)のパターンデータと、レーザビーム(20)を制御するためのコーディングデータとから、二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)が、規定された表面領域(12)内に適宜形成され得て、これが、二次元または三次元のパターン(M)とコーディングとの重ね合わせを表すように制御デバイス(30)のための制御コマンドを生じさせるハードウェア(130)およびソフトウェア(140)
を含む、デバイス。」(以下「本願発明」という。)
2 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、令和2年12月2日付けの拒絶理由通知書により通知された次に示すものを含むものである。
(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、発行された米国特許出願公開第2013/0043311号明細書に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
3 引用例
令和2年12月2日付けの拒絶理由通知書で引用された引用例、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)」に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、実質的に、本件補正発明1の「肉眼で視覚的に読み取り可能な二次元または三次元のパターン(M)」から「肉眼で視覚的に読み取り可能な」との特定事項を削除し、「肉眼で認識することのできないコーディング」から「肉眼で認識することのできない」との特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とを対比すると、上記「第2 3 (3)ア 本件補正発明1と引用発明との対比」での検討を勘案すると、両者は、
「 コンポーネント(10)または製品の表面(11)における規定された表面領域(12)内に二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)を形成するためのデバイス(100)であって、
a) 少なくとも1つのレーザビーム(20)を生じさせるためのレーザデバイス(110);
b) 1つまたは複数のレーザビーム(20)の可変の制御および設定をするための制御デバイス(120);
c) 少なくとも、所定の二次元または三次元のパターン(M)のパターンデータと、レーザビーム(20)を制御するためのコーディングデータとから、二次元または三次元の微細構造識別用構造体(200)が、規定された表面領域(12)内に適宜形成され得て、これが、二次元または三次元のパターン(M)とコーディングとの重ね合わせを表すように制御デバイス(30)のための制御コマンドを生じさせるハードウェア(130)およびソフトウェア(140)
を含む、デバイス。」
の点で一致する。
そうすると、本願発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本願発明と、引用発明とに差異はない。
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2022-001733