特許無効審判
2021-800104
スクリューオーガ用掘削ヘッド
- 審判番号
- 2021-800104
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2002-254753
- 登録番号
- 4147314
- 請求日
- 2021年12月23日
- 審決日
- 2022年09月29日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】基礎建販 株式会社
- 【請求人代理人】寒川 潔
- 【請求人代理人】檜垣 誠次
- 【請求人代理人】寺廣 映輝
- 【請求人代理人】齋木 進太朗
- 【被請求人】日本テクノ 株式会社
- 【被請求人代理人】森田 拓生
- 【被請求人代理人】石川 直基
- 【被請求人代理人】南 力斗
- 審判長/審判官
- 審判長 前川 慎喜
- 審判官 有家 秀郎
- 審判官 居島 一仁
- 分類
- P1113.537-Y (E21B) / P1113.121-Y (E21B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条2号特許法36条6項1号特許法169条2項民事訴訟法61条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第123条第1項第4号、特許法第29条第2項、特許法第123条第1項第2号、特許法第169条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第4147314号発明「スクリューオーガ用掘削ヘッド」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第41447314号(以下、「本件特許」という。平成14年8月30日出願、平成20年7月4日設定登録、請求項数は1。)の、請求項1に係る発明の特許を無効とすることを求める事案であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
令和 3年12月23日 審判請求書の提出
令和 4年 3月28日 審判事件答弁書の提出
令和 4年 5月12日 審理事項通知(起案日)
令和 4年 6月24日 請求人より口頭審理陳述要領書及び上申書の
提出(受付日)
令和 4年 7月 8日 被請求人より口頭審理陳述要領書の提出
令和 4年 7月22日 口頭審理
令和 4年 9月15日 審理終結通知(発送日)
第2 本件発明、並びに本件明細書及び図面の記載
1 本件発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、本件特許の願書に添付された明細書の特許請求の範囲における、請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。(なお、AないしEの分説は、分説ごとの改行も含め、請求人の主張(審判請求書第4頁ないし第5頁)に基づいて、当審において付した。)
A 外周部に螺旋翼が設けられたスクリューオーガロッドの先端部に装着される掘削ヘッドであって、
B 基部が前記スクリューオーガロッドに取り付けられる基軸の外周部に、外径の等しい3条の螺旋翼が設けられ、
C これら3条の螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダに、円錐状の尖った刃先部を有する複数のコニカルビットが軸回りに回転自在にそれぞれ取り付けられ、
D 該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている
E ことを特徴とするスクリューオーガ用掘削ヘッド。
2 本件明細書及び図面の記載
(1)発明の詳細な説明
本件特許の願書に添付された明細書(以下、「本件明細書」という。)の、発明の詳細な説明には、後記[別紙]に示す記載がある。
(2)図面の図示
本件特許の願書には、【図1】ないし【図8】の図面(以下、「本件図面」という。)が添付されている。
本件図面のうち、【図1】ないし【図4】及び【図8】の図示は、以下のとおりである。なお、【図面の簡単な説明】における説明を括弧書き内に付した。
【図1】(本発明の掘削ヘッドの正面図である。)
「
[図:0001402114000001.jpg]
」
【図2】(その側面図である。)
「
[図:0001402114000002.jpg]
」
【図3】(その背面図である。)
「
[図:0001402114000003.jpg]
」
【図4】(その平面図である。)
「
[図:0001402114000004.jpg]
」
【図8】(掘削装置の外観図である。)
「
[図:0001402114000005.jpg]
」
第3 請求人の主張
1 請求人の主張の概要
請求人は、本件発明についての特許を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、概ね以下のとおり主張している。
(1)無効理由1:サポート要件違反
本件特許の特許請求の範囲の記載は、請求項1において、基軸の先端部に概略円錐状のヘッドを備えること、及び、3条の螺旋翼の先端部がほぼ同じレベルに切り揃えられることを特定しておらず、発明の詳細な説明に記載された課題解決手段が反映されていないから、発明の詳細な説明に記載された課題を解決できると認識できる範囲のものではなく、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明に係る特許は、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(2)無効理由2:明確性要件違反
本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件発明の「該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」という構成Dが不明確であるから、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件発明に係る特許は、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。
(3)無効理由3:進歩性欠如
本件発明は、甲第2号証に記載された発明、及び、甲第6号証に記載された発明又は甲第7号証ないし甲第10号証に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
したがって、本件発明に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
2 請求人が提出した甲号証について
請求人が提出した甲号証は、以下のとおりである。
・甲第1号証: 意匠登録第1105595号公報
・甲第2号証: 登録実用新案第3068462号公報
・甲第3号証: 本件特許に係る出願(特願2002-254753号
)の審査過程における平成19年7月3日付け拒絶理
由通知書
・甲第4号証: 本件特許に係る出願の審査過程における平成19年9
月10日付け意見書
・甲第5号証: 令和3年(ヨ)第20014号 特許侵害行為差止仮
処分申立事件における令和3年11月15日付け主張
書面1
・甲第6号証: 実願昭54-101701号(実開昭56-2108
0号)のマイクロフィルム
・甲第7号証: 特開平9-144465号公報
・甲第8号証: 特開平4-176987号公報
・甲第9号証: 実願昭57-185594号(実開昭59-8918
7号)のマイクロフィルム
・甲第10号証: 実願昭57-40869号(実開昭58-14539
4号)のマイクロフィルム
・甲第11号証: 本件特許に係る出願の審査過程における、平成19年
9月10日付け手続補正書
・甲第12号証: 本件特許に係る出願の公開公報(特開2004-92
200号公報)
以下、甲第1号証等を、「甲1」等と略記する。
3 請求人の具体的な主張
請求人の具体的な主張は、以下のとおりである。
(1)無効理由1:サポート要件違反
ア 請求人が主張する、発明の詳細な説明に記載された発明
請求人は審判請求書において、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明は、次のI.ないしV.の構成を備えた掘削ヘッドである旨を主張している。
「I.基軸2の外周部には外径のほぼ等しい3条の螺旋翼10(10a,10b,10cが設けられている(【0010】)。
II.3条の螺旋翼10の先端部は、ほぼ同じレベルに切り揃えられていて、その先端側には、概略円錐状のヘッド15が基軸2の先端部に取り付けられている(【0011】)。
III.ヘッド15と3条の螺旋翼10には複数の小形ビット20,・・・がそれぞれ取り付けられている(【0011】)。
IV.ヘッド15には複数(図示例では3個)の小型ビット20,・・・が設けられていて、掘削ヘッドの先端部は、これら小型ビット群によって側面視概略円錐状を呈している(段落【0011】)。
V.小型ビット20は、円錐状の刃体を有し、軸回りに回転自在に保持されたいわゆるコニカルビットである(【0012】)。」
(審判請求書第8頁第4行~第11頁第14行。うち上記の摘記は、第11頁第3行~第14行。なお、構成I~Vの後の括弧内は、請求人が示す、各構成に対応する発明の詳細な説明の段落番号である。)
イ 螺旋翼の先端を同じレベルに切り揃えることについて
請求人は、発明の詳細な説明には、螺旋翼の先端部が同じレベルに切りそろえられていない掘削ヘッドの発明は記載されていない旨を主張するとともに、発明の詳細な説明の段落【0020】の記載によれば、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された掘削ヘッド1は、3条設けられた螺旋翼がほぼ同じレベルに切り揃えられた先端部にそれぞれ複数の小型ビットが設けられている、という構成を有することにより、掘削ヘッド刃先部のビット密度が高くなり、もって掘削中に岩石に遭遇した場合にも断続的な衝撃が少なく円滑に掘削を行うことができる、という効果を奏するのに対し、螺旋翼の先端を同じレベルに切り揃えなければ、掘削ヘッド先端部のビット密度が低くなることは明らかであるから、3条の螺旋翼の先端部がほぼ同じレベルに切り揃えられていない掘削ヘッドを含む本件発明は、掘削中に岩石に遭遇した場合にも断続的な衝撃が少なく円滑に掘削を行う、という課題を解決できると認識できないものである旨を主張している(審判請求書第6頁第2行~第8頁第3行、第12頁第4行~第14行、及び第13頁第10行~第23行)。
ウ 掘削ヘッドの基軸の先端に取り付けられるヘッドについて
請求人は、段落【0011】の記載から、本件明細書の発明の詳細な説明には、掘削ヘッド1の基軸2の先端部に取り付けられる「ヘッド15」に設けられる小型ビット群によって、掘削ヘッドの先端部が側面視概略円錐状を呈することが記載されている旨を主張している。その一方、発明の詳細な説明には、螺旋翼の先端部に設けられた小型ビットによって「コニカルビット群」が形成されることや、螺旋翼の先端部に設けられた小型ビットによって「中央が突出する概略円錐状」が形成されることについては、何も記載されていない旨を主張している。
また請求人は、発明の詳細な説明において、螺旋翼の先端部はほぼ同じレベルに切り揃えられたものであるところ、「円錐」とは「平面上の円の円周上の各点と、その平面上にない一点(頂点)とを結んでできる立体」を意味するから、先端部をほぼ同じレベルに切り揃えた螺旋翼によって円錐面が形成されることはあり得ない旨を主張している。
そして請求人は、基軸の先端部に概略円錐状の「ヘッド15」が備えられていなければ、掘削ヘッドの先端部が概略円錐状を形成することはなく、側面視概略円錐状を呈するように構成された小型ビット群によって効率よく掘削が行われることもないから、基軸の先端部に概略円錐状のヘッドを備えない掘削ヘッドを含む本件発明は、発明の詳細な説明に記載されたものでなく、課題を解決できると認識できる範囲を超えたものである旨を主張している(審判請求書第12頁第4行~第13頁第6行、第13頁第24行~第14頁第22行)。
エ サポート要件違反に関する主張の小括
請求人は、以上の理由から、本件特許の特許請求の範囲の記載は、請求項1において、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨を主張している(審判請求書第14頁第23行~第25行)。
(2)無効理由2:明確性要件違反
ア 請求項における記載について
請求人は審判請求書において、本件発明を特定する特許請求の範囲の請求項1の記載は、「該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」という構成Dにおいて、「概略円錐状」との記載が発明の範囲を不明確とさせる表現であるから、本件発明は明確ではない旨を主張している(審判請求書第15頁第10行~第17行)。
イ 発明の詳細な説明を参酌した場合について
請求人は、本件明細書においても、「概略円錐状」についての定義の記載はない旨を主張している。
また請求人は、発明の詳細な説明に記載される実施例において、外径がほぼ等しく、かつ先端部がほぼ同じレベルに切り揃えられた3条の螺旋翼の先端部に複数のコニカルビットを設けても、複数のコニカルビットは、3条の螺旋翼の先端部にほぼ同じ高さで水平に並んで配置されることとなり、螺旋翼に設けられたコニカルビットによって円錐形状が形成されることはない旨を主張している。そして請求人は、発明の詳細な説明における実施例の記載を参照しても、本件発明における構成Dの「概略円錐状」の意義は明らかにならない旨を主張している(審判請求書第15頁第18行~第16頁第18行)。
ウ 出願経過等を参酌した場合について
請求人は、本件特許の出願経過について甲3及び甲4を参酌しても、本件発明の構成Dにおける「概略円錐状」の意義は明確とならない旨を主張している。
また請求人は、本件特許の特許権侵害行為差止仮処分命令の申し立てにおける被請求人の主張書面1である甲5において、被請求人は「円錐状」という言葉の意味を離れて、「円錐台」のような頂点を持たない形状までも本件発明における「概略円錐状」に含まれる旨を主張しているから、本件発明の構成Dにおける「概略円錐状」との記載は、本件明細書の記載や出願経過、さらには技術常識を考慮しても、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確である旨を主張している(審判請求書第16頁第19行~第19頁第7行)。
エ 明確性違反に関する主張の小括
請求人は、以上の理由から、本件特許の特許請求の範囲における請求項1の記載は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨を主張している(審判請求書第15頁第1行~第2行及び第19頁第8行~第9行。なお、審判請求書第19頁第9行における「特許法旧第36条第6項第5号」の記載は、「特許法旧第36条第6項第2号」の明らかな誤記と認める。)。
(3)無効理由3:進歩性欠如
ア 甲2に記載される発明について
請求人は審判請求書において、甲2には、本件発明が「外径の等しい3条の螺旋翼」を備えているのに対し、「先端に行くに従ってスクリューの外径が小さくなる2条の螺旋翼」を備えている点で本件発明と相違し、その余の点では本件発明と一致する発明が、記載されている旨を主張している(審判請求書第19頁第14行~第25頁第14行、及び第28頁第5行~第19行)。
イ 相違点の容易想到性について
請求人は、掘削ヘッドにおいて、螺旋翼を外径の等しい3条のものとする構成は、甲6に記載された発明が有しており、また甲7の段落【0006】及び図1、甲8の第1頁右下欄第4~6行及び図5、甲9の明細書第3頁第5~9行、図1及び図2、甲10の明細書第2頁第13~14行及び図3に示されるとおり、周知技術である旨を主張している。
そして請求人は、甲2に記載された発明において、「先端に行くに従ってスクリューの外径が小さくなる2条の螺旋翼」との構成に代えて、甲6に記載された発明の構成、または甲7ないし甲10に示される周知技術の構成を採用し、本件発明の構成に至ることは、当業者にとって容易になし得ることである旨を主張している(審判請求書第25頁第15行~第28頁第3行、及び同頁第20行~第30頁第13行)。
ウ 進歩性欠如に関する主張の小括
請求人は、以上の理由から、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである旨を主張している(審判請求書第19頁第10行~第13行)。
第4 被請求人の主張
1 被請求人の主張の概要
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、請求人の主張する無効理由にはいずれも理由がない旨を主張している。
2 被請求人が提出した乙号証について
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第8号証(枝番含む)は、いずれも、本件発明の説明、または本件発明に係る侵害訴訟等の進捗状況の説明のための資料であるから、令和4年7月22日に行った口頭審理において、当事者が合意したように、参考資料1ないし8(枝番含む)として扱うこととした。
3 被請求人の具体的な主張
(1)無効理由1:サポート要件違反に対し
ア 解決しようとする課題について
被請求人は審判事件答弁書において、本件明細書の段落【0002】ないし【0007】、【0016】ないし【0018】及び【0020】の記載に示されるとおり、本件発明が解決しようとする課題は、穴曲がりが生じにくく、安定した掘削を効率よく行うことのできる掘削ヘッドを提供すること、及び、掘削中に岩石等に当たってもビットの刃先が損傷しにくく、断続的な衝撃をうけにくい掘削ヘッドを提供することである旨を主張している(審判事件答弁書第8頁第13行~第11頁最終行)。
イ 発明の詳細な説明における実施形態について
また被請求人は、本件明細書における段落【0011】の記載及び【図1】ないし【図4】の図示は、本件発明の一の実施形態の具体的構成を開示しているに過ぎず、掘削ヘッド1の基軸2の先端部にヘッド15及び基軸上のコニカルビットを備えること、及び、3条の螺旋翼の先端部を同じレベルに切り揃えることは、本件発明の必須の構成ではない旨を主張している(審判事件答弁書第4頁第1行~第7頁第14行)。
ウ 課題を解決できると認識できるかについて
そして被請求人は、本件発明は、請求項1に記載される構成AないしEを有することにより、穴曲がりが生じにくく、安定した掘削を効率よく行うことのできる掘削ヘッドを提供するという課題、及び、掘削中に岩石等に当たってもビットの刃先が損傷しにくく、断続的な衝撃をうけにくい掘削ヘッドを提供するという課題を、解決することができるから、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではない旨を主張している(審判事件答弁書第12頁第1行~第21頁最終行)。
エ サポート要件違反に関する主張の小括
被請求人は、以上の理由から、本件特許の特許請求の範囲の記載は、請求項1において、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている旨を主張している。
(2)無効理由2:明確性要件違反に対し
被請求人は審判事件答弁書において、本件発明の構成C及びDにおける「概略円錐状に形成」とは、3条の螺旋翼の先端部に取り付けられた複数のコニカルビットが概略錐面状に並んで配置されることを意味しており、円錐の底面内や頂点上にコニカルビットが配置されることを必要としているものではない旨を主張している。
また被請求人は、本件明細書及び図面を参照しても、先端部以外の胴部の外径がほぼ等しくなっている3条の螺旋翼について、螺旋翼の先端部に複数のコニカルビットを設け、3条の螺旋翼の先端部に取り付けられた複数のコニカルビット群だけに着目したとき、中央部が突出した概略円錐の錐面状に配置された複数のコニカルビット群が、概略円錐の錐面上の軌跡で回転する構成を理解することができる旨を主張している(審判事件答弁書第22頁第1行~第27頁最終行)。
被請求人は、以上の理由から、本件特許の特許請求の範囲における請求項1の記載は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている旨を主張している。
(3)無効理由3:進歩性欠如に対し
被請求人は審判事件答弁書において、本件発明は、構成C及びDにより、3条の螺旋翼の先端部のビット群が概略錐面状に並んで配置されることで、中心寄りのコニカルビットから隣接するコニカルビットへと順に当接して、掘削形状を中心寄りから外周寄りへ段階状に押し広げ、安定した掘削を効率よく行うという第一の技術的意義を有するとともに、構成Bにより「外径の等しい3条の螺旋翼が設けられ」ることで、先端部以外の胴部の外径がほぼ等しくなり、軸芯が維持され穴曲りが生じにくいという第二の技術的意義を有するものである旨を主張している(審判事件答弁書第28頁第20行~第29頁第21行)。
そして被請求人は、無効理由の根拠としてあげられるいずれの文献においても、本件発明の構成B,C及びDを具備し、上記第一の技術的意義と上記第二の技術的意義の両方を備える技術は、開示も示唆もされていないから、本件発明は進歩性を否定されない旨を主張している(審判事件答弁書第28頁第1行~第19行、及び第29頁第22行~最終行)。
第5 当審の判断
1 無効理由1:サポート要件違反について
(1)サポート要件の判断基準
特許請求の範囲の記載が、サポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
なお、上記の判断基準は、特許請求の範囲が明細書から分離された平成14年法律第24号による改正の前後において、実質的に変わるものではない。
(2)発明の詳細な説明に記載された発明であるか
上記(1)の判断基準に即して、まず、本件特許の特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明であるか、判断する。
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明である、本件発明は、上記第2の1に示した構成AないしEを有するものである。本件明細書の発明の詳細な説明には、後記[別紙]に示す記載があり、本件図面の【図1】ないし【図4】及び【図8】には、上記第2の2(2)に示した図示がある。
ア 構成A及びEについて
発明の詳細な説明の段落【0009】には、「この掘削ヘッド1は、中心部に本体となる基軸2が設けられている。この基軸2の後端部(下向き掘削時には上端に位置する部分)には、掘削装置に接続されたスクリューオーガロッド5に取り付けるための6角形の基部7が一体に設けられている。」と記載されている。
発明の詳細な説明に記載される「掘削ヘッド1」が、本件発明の構成のうち、「外周部に螺旋翼が設けられたスクリューオーガロッドの先端部に装着される掘削ヘッド」である構成A、及び、「スクリューオーガ用掘削ヘッド」である構成Eを備えることは、上記段落【0009】の記載より、明らかである。
なお、発明の詳細な説明に記載される「掘削ヘッド1」が、本件発明の構成A及びEを備えることは、段落【0006】、【0014】、【0015】及び【0020】にも説明されており、本件図面の【図1】及び【図8】にも、図示されている。
イ 構成Bについて
発明の詳細な説明の段落【0006】には、「外周部に螺旋翼が設けられたスクリューオーガロッドの先端部に装着される掘削ヘッドであって、基部が前記スクリューオーガロッドに取り付けられる基軸の外周部に、外径の等しい3条の螺旋翼が設けられ、」と記載され、段落【0007】には、「また、胴部における3条の螺旋翼の外径をほぼ一定にしておくことにより、芯ぶれが生じにくくなる結果、穴曲がりが少なくなる。」と記載されている。
また、発明の詳細な説明の段落【0010】には、「基軸2の外周部には3条の螺旋翼10(10a,10b,10c)が等間隔で並列に溶接固着されている。・・・(中略)・・・。なお、3条の螺旋翼10a,10b,10cの外径はほぼ等しくなっている。」と記載されている。
発明の詳細な説明に記載される「掘削ヘッド1」が、本件発明の構成のうち、「基部が前記スクリューオーガロッドに取り付けられる基軸の外周部に、外径の等しい3条の螺旋翼が設けられ」たものである構成Bを備えることは、上記段落【0006】及び【0007】の記載、上記アに摘記した段落【0009】の記載、及び上記段落【0010】の記載より、明らかである。
なお、発明の詳細な説明に記載される「掘削ヘッド1」が、本件発明の構成Bを備えることは、段落【0016】及び【0020】にも説明されている。また、本件図面の【図1】ないし【図3】からも、「掘削ヘッド1」が有する3条の螺旋翼10a、10b及び10cについて、コニカルビットである複数の小型ビット20を取り付けた螺旋翼の先端部は別として、先端部以外の螺旋翼の胴部の外径はほぼ等しい様子が、看取される。
ウ 構成Cについて
発明の詳細な説明の段落【0006】には、「これら3条の螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダに、円錐状の尖った刃先部を有する複数のコニカルビットが軸回りに回転自在にそれぞれ取り付けられ、」と記載され、段落【0007】には、「この掘削ヘッドは、3条の螺旋翼が並列に設けられているので、円周方向における螺旋翼同士の間隔が小さく、先端部における小形ビットの密度も高くなる。このため、掘削中に岩石等掘削しにくい物体に当たっても、断続的な衝撃が比較的小さくてすむ。この小形ビットとしては、円錐状の刃先部を有し、該刃先部が軸回りに回転自在な、いわゆるコニカルビットを用いるのが好ましい。」と記載されている。
また、発明の詳細な説明の段落【0011】及び【0012】には、次のとおり記載されている。
「【0011】
3条の螺旋翼10a,10b,10cの先端部は、ほぼ同じレベルに切り揃えられていて、その先端側には、概略円錐状のヘッド15が機軸2の先端部に固着されている。このヘッド15は、基部を基軸2に嵌合してロックピン16で固定されるもので、特に摩耗しやすい掘削ヘッド先端部が摩耗した時に、このヘッド15を取り外して新しいものと交換できるようになっている。このヘッド15と3条の螺旋翼10a,10b,10cには複数の小形ビット20,…がそれぞれ取り付けられている。これら小型ビット20,…は、それぞれが取り付けられている螺旋翼10の傾斜方向にほぼ沿うように傾けて設けられている。また、前記ヘッド15には複数(図示例では3個)の小型ビット20,…が設けられていて、掘削ビットの先端部は、これら小型ビット群によって側面視概略円錐状を呈している。
【0012】
図示例では、小形ビット20は、円錐状の刃体を有し、軸回りに回転自在に保持されたいわゆるコニカルビットである。このビット20は、図に示すように、螺旋翼10に溶接固着される円筒状のホルダ21と該ホルダに回転自在に嵌合するビット本体22とで構成される。・・・(後略)・・・。」(当審注;発明の詳細な説明においては、「小形ビット」及び「小型ビット」の記載があるが、両者は同じものを指すことが明らかであるから、以下では発明の詳細な説明における一文以上をそのまま摘記する箇所以外については、「小型ビット」と表記することとする。)
発明の詳細な説明に記載される「掘削ヘッド1」が、本件発明の構成のうち、「これら3条の螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダに、円錐状の尖った刃先部を有する複数のコニカルビットが軸回りに回転自在にそれぞれ取り付けられ」た構成Cを備えることは、上記段落【0006】、【0007】、【0011】及び【0012】の記載より、明らかである。
なお、発明の詳細な説明に記載される「掘削ヘッド1」が、本件発明の構成Cを備えることは、段落【0017】及び【0020】にも説明されている。また、本件図面の【図1】ないし【図4】からも、看取される。
エ 構成Dについて
(ア)構成Dの解釈
発明の詳細な説明における記載の有無の判断に先立ち、構成Dにおける特定内容について確認する。
構成Dは、「該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」というものである。
ここで、構成Dにおける「該複数のコニカルビット群」は、構成Dに先立つ構成Cを受けて「該複数の・・・」と記載しているから、構成Cにおいて「3条の螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダ」に「取り付けられ」た「複数のコニカルビット」の「群」を意味することが明らかである。また、構成Dにおける「概略円錐状」については、「コニカルビット」という所定の形状及び大きさをもった物が複数集まった「群」により形成される形状であるから、頂点に至るまで欠けるところのない円錐面が形成されて幾何学的に完全な円錐形状となることを特定する趣旨ではなく、複数のコニカルビットの配置より把握される概略の形状として「概略円錐状」という趣旨であることが明らかである。
したがって、構成Dは、特許請求の範囲の記載より、3条の螺旋翼の先端部に取り付けられる「複数のコニカルビット」が「群」として「形成」し得る概略の形状について、「中央部が突出する概略円錐状」と特定する趣旨であると、理解される。
(イ)発明の詳細な説明における記載の有無
発明の詳細な説明の段落【0016】には、「掘削ヘッド1の先端部には、全体形状が概略円錐状となるように多数のコニカルビット20,…が設けられているので、これらビットにより効率よく掘削が行われる。」と記載されている。
上記ウに摘記した段落【0011】の記載、及び上記段落【0016】の記載より、「掘削ヘッド1」は、基軸2の先端に固着した「ヘッド15」に設けた「3個」の小型ビット20と、「3条の螺旋翼」にそれぞれ取り付けられた「複数の小型ビット20」とを有し、「これら小型ビット群」である「多数のコニカルビット20」により、「側面視概略円錐状」を呈し、「全体形状が概略円錐状」となっているところ、多数のコニカルビットの配置より把握される概略の形状として、「側面視概略円錐状」を呈し「全体形状が概略円錐状」となるか否かについて、多数のうちの3個のコニカルビットのみによって左右されるような事情はないから、「側面視概略円錐状」を呈する「多数」のコニカルビット20(小型ビット20)について、「ヘッド15」に設けられた「3個」の小型ビット20を別としても、3条の螺旋翼それぞれに複数設けられた小型ビット20の群によって、「掘削ヘッド1」の先端部は「側面視概略円錐状」を呈し、「概略円錐状」となることが理解される。
また、本件図面の【図1】ないし【図4】の図示からも、「掘削ヘッド1」の先端部に設けられた【図4】の正面図で見て23個の小型ビット20のうち、基軸上に取り付けられるヘッド15に固定された3個の小型ビット20を別とした、3条の螺旋翼10a、10b及び10cの先端部に設けられる20個の小型ビット20の群は、【図1】の正面図、【図2】の側面図及び【図3】の背面図のいずれにおいてもヘッドの先端側に向かって先細りとなるよう配置されているから、螺旋翼の先端部に設けられた20個の小型ビットの群によって、掘削ヘッド1の先端部は、中央部が突出する概略円錐状となっていることが、看取される。
したがって、「掘削ヘッド1」が、「該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」という本件発明の構成Dを備えることは、「該複数のコニカルビット群」が構成Cを受けて「これら3条の螺旋翼の先端部に固着された・・・複数のコニカルビット」の群を指すことを踏まえても、発明の詳細な説明に記載されている。
オ 小括
以上のとおり、本件発明の詳細な説明に記載される「掘削ヘッド1」は、本件発明の構成AないしEを全て備えたものであるから、本件特許の特許請求の範囲に記載された発明である本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明である。
(3)発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか
次に、上記(1)の基準に則して、本件特許の特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるかを、判断する。
ア 本件発明の課題
発明の詳細な説明の段落【0005】に、「そこで本発明は、掘削中に岩石等に当たってもビットの刃先が損傷しにくく、断続的な衝撃をうけにくく、しかも穴曲がりが生じにくい掘削ヘッドを提供することを課題としている。」と記載されているとおり、本件発明が解決しようとする課題は、掘削中に岩石等に当たってもビットの刃先が損傷しにくく、断続的な衝撃をうけにくく、しかも穴曲がりが生じにくい掘削ヘッドを提供することであると、認められる。
上記段落【0005】に先立つ段落【0004】には、次のとおり記載されている。
「【0004】
このような問題点を解決するものとして、直径方向に対向するように設けられた2条の螺旋翼を有する掘削刃の前記螺旋翼の周縁部及び下端に多数の小形ビットを取り付けたスクリューオーガ用掘削刃が提案されている(意匠登録第1105595号、実用新案登録第3068462号)。この新しく開発された掘削刃は、軸回りに回転自在な小形のビット(コーン刃)が設けられていて、岩石等に当たった時に当該コーン刃が回転して逃げることができるため、損傷しにくいという利点があるが、2条の螺旋翼が直径方向に対向するように設けられ、これら2条の螺旋翼にそれぞれ設けた小型ビットで掘削を行うものであるから、掘削中に岩石等に遭遇したときは、2条の螺旋翼に設けたビットが当該岩石に当たるたびに断続的な衝撃を受け、スクリューオーガ装置全体が上下に振動して、円滑な掘削ができなくなるおそれがある。また、螺旋翼自体が先端側の外径が小さくなるように全体として円錐状の尖った形状となっているので、芯ぶれにより、掘削される穴が曲がりやすいというおそれもある。」
上記段落【0004】に記載される、本件明細書における従来技術(以下、「本件従来技術」という。)に関する説明を踏まえると、本件発明が解決しようとする課題について、次のことが理解される。
(ア)本件発明が解決しようとする課題のうち、掘削中に岩石等に当たってもビットの刃先が損傷しにくいものとする点は、2条の螺旋翼を有するスクリューオーガ用掘削刃の螺旋翼の周縁部及び下端に、軸回りに回転自在な多数の小形のビット(コーン刃)を設けた、本件従来技術によって解決されていた課題を、本件発明においても、解決すべき課題として維持したものと理解される。
(イ)本件発明が解決しようとする課題のうち、断続的な衝撃をうけにくいものとする点は、直径方向に対向するように設けられた2条の螺旋翼に小形のビットを取り付けた本件従来技術においては、掘削中に岩石等に遭遇したとき、2条の螺旋翼に設けたビットが当該岩石に当たるたびに断続的な衝撃を受けるという問題点を、解決しようとするものと理解される。
(ウ)本件発明が解決しようとする課題のうち、穴曲がりが生じにくいものとする点は、螺旋翼自体が先端側の外径が小さくなるように全体として円錐状の尖った形状となっている本件従来技術においては、芯ぶれにより掘削される穴が曲がりやすいおそれがあるという問題点を、解決しようとするものと理解される。
イ 課題と本件発明の構成との対応
上記本件発明の課題と、本件発明の構成との対応について、検討する。
(ア)刃先が損傷しにくいものとする点について
本件発明の課題のうち、掘削中に岩石等に当たってもビットの刃先が損傷しにくいものとする、上記ア(ア)の点は、上記アに摘記した発明の詳細な説明の段落【0004】の前半部の記載、及び、段落【0017】における、「一方、掘削箇所の地中に岩石等が存在している場合は、掘削ヘッド1の刃先部(先端部)に配置されている多数のコニカルビット群が当該岩石に当接して衝撃を受ける。岩石は掘削されにくく、コニカルビットの刃先部に大きな抵抗力が負荷されるが、コニカルビットは、ホルダ21の軸回りに回転自在であるから、刃先の特定の部分に大きな力が作用することが避けられ、損傷が生じにくい。」との記載より、本件発明の構成Cにおいて、「軸回りに回転自在」な「複数のコニカルビット」を備えたことによって、合理的に解決できると理解される。
また、発明の詳細な説明の段落【0018】における、「さらに、この掘削ヘッドは、3条の螺旋翼10a,10b,10cが軸心回りに等間隔(120度間隔)で設けられているので、先端部のビットの密度が高く、岩石等が存在しても断続的な衝撃は比較的小さい。このため、ビットの損傷が生じにくいのみならず、掘削装置100に上下方向の大きな振動等が生じず、掘削装置のトラブルや騒音の発生等も少なくてすむ。」との記載より、本件発明の構成B及びCにおいて、「螺旋翼」を本件従来技術の2条から「3条」に増やした構成も、刃先が損傷しにくいものとする上記ア(ア)の課題の解決に役立つことが、理解される。
(イ)断続的な衝撃を受けにくいものとする点について
本件発明の課題のうち、断続的な衝撃を受けにくいものとする、上記ア(イ)の点は、発明の詳細な説明の段落【0007】における、「この掘削ヘッドは、3条の螺旋翼が並列に設けられているので、円周方向における螺旋翼同士の間隔が小さく、先端部における小形ビットの密度も高くなる。このため、掘削中に岩石等掘削しにくい物体に当たっても、断続的な衝撃が比較的小さくてすむ。」との記載、及び、上記(ア)に摘記した段落【0018】の記載より、本件発明の構成B及びCにおいて、「螺旋翼」を本件従来技術の2条から「3条」に増やした構成によって、合理的に解決できると理解される。
(ウ)穴曲がりが生じにくいものとする点について
本件発明の課題のうち、穴曲がりが生じにくいものとする、上記ア(ウ)の点は、上記アにおいて発明の詳細な説明の段落【0004】の記載を摘記して示したとおり、螺旋翼自体が先端側の外径が小さくなるように全体として円錐状の尖った形状となっている、本件従来技術における課題である。
そして、発明の詳細な説明の段落【0007】には、「また、胴部における3条の螺旋翼の外径をほぼ一定にしておくことにより、芯ぶれが生じにくくなる結果、穴曲がりが少なくなる。」と記載されている。
また、発明の詳細な説明の段落【0016】には、「掘削ヘッド1の先端部には、全体形状が概略円錐状となるように多数のコニカルビット20,・・・が設けられているので、これらビットにより効率よく掘削が行われる。・・・(中略)・・・。この掘削ヘッド1は、先端部以外の胴部の外径がほぼ等しくなっていて、掘削された穴壁によって軸心が維持されるので、穴曲がりが生じにくい。」と記載されている。
上記段落【0007】及び【0016】の記載より、螺旋翼を全体として円錐状の尖った形状とした本件従来技術に比較して、穴曲がりが生じにくいものとする上記ア(ウ)の課題は、本件発明において、構成C及びDにより、「3条の螺旋翼の先端部」については「複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成され」るものとしつつ、構成Bにより、「基部が前記スクリューオーガロッドに取り付けられる基軸の外周部」に設けた「3条の螺旋翼」に関し、先端部以外の胴部については「外径の等しい」構成を採用したことによって、合理的に解決できると理解される。
(エ)課題と本件発明の構成との対応についての小括
したがって、本件発明は、構成AないしEを有することにより、発明の詳細な説明の記載から、当業者が、発明の詳細な説明に記載された課題を解決できると、合理的に認識できる範囲のものである。
(4)判断基準に即した判断のまとめ
上記(2)及び(3)のとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載された本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明であり、かつ、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、本件特許の特許請求の範囲における請求項1の記載は、上記(1)の判断基準に照らして、サポート要件に適合する。
したがって、本件発明を特定する請求項1の記載は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。
(5)請求人の主張について
請求人は審判請求書において、螺旋翼の先端を同じレベルに切り揃えなければ、掘削ヘッド先端部のビット密度は低くなるから、螺旋翼の先端を同じレベルに切り揃える特定を欠く本件発明は、掘削ヘッド刃先部のビット密度を高くして断続的な衝撃を受けにくいものとする課題を解決することができない旨を主張している(上記第3の3(1)イ)。
しかしながら、上記(3)イ(イ)に示したとおり、断続的な衝撃を受けにくいものとする課題は、螺旋翼を従来技術の2条から「3条」に増やした構成によって、合理的に解決できると理解されるから、上記請求人の主張は採用することができない。
請求人は審判請求書において、「円錐」とは「平面上の円の円周上の各点と、その平面上にない一点(頂点)を結んでできる立体」を意味するところ、先端部をほぼ同じレベルに切り揃えた螺旋翼によって円錐面が形成されることはあり得ないから、基軸の先端部に概略円錐状の「ヘッド15」を備えることを特定しない本件発明は、「コニカルビット群」によって「中央部が突出する概略円錐状」を形成することが発明の詳細な説明に記載されたものでなく、また発明の課題を解決するものでもない旨を主張している(上記第3の3(1)ウ)。
しかしながら、上記(2)イに示したとおり、発明の詳細な説明に記載された「掘削ヘッド1」は、コニカルビットである複数の小型ビット20を取り付けた螺旋翼の先端部は別として、先端部以外の螺旋翼の胴部の外径はほぼ等しくしたものであり、また上記(2)エ(ア)に示したとおり、「概略円錐状」に関する本件発明の構成Dは、頂点に至るまで欠けるところのない円錐面が形成されて幾何学的に完全な円錐形状となることを特定する趣旨ではなく、3条の螺旋翼の先端部に取り付けられる「複数のコニカルビット」が「群」として「形成」し得る概略の形状について、「中央部が突出する概略円錐状」と特定する趣旨であると解されるから、請求人の上記主張は、本件発明及び発明の詳細な説明の記載を正解しないものであり、上記(2)ないし(4)の判断に反する範囲において採用することができない。
請求人は令和4年6月24日受付の口頭審理陳述要領書において、本件発明が解決しようとする課題として「安定した掘削を効率よく行う」ことを追加すべきである旨を主張している。そして請求人は、基軸の先端にコニカルビットを配置した「ヘッド15」を備えない掘削ヘッドにおいては、掘削の先頭となる基軸の先端で掘削が行われず掘削効率が大幅に低下し、「安定した掘削を効率よく行う」という課題を解決することができないから、本件発明はサポート要件を満たさない旨を主張している(第3頁第4行~第15行、及び第8頁第16行~第9頁第19行)。
上記請求人の主張について検討する。
本件明細書の発明の詳細な説明において、「安定した掘削を効率よく行う」ことは、発明が解決しようとする課題として直接明記されていないところ、段落【0020】には、「【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明にかかる掘削ヘッドは、スクリューロッドに取り付けられる軸の回りに3条の螺旋翼を並列に設け、その先端部にそれぞれ複数の小形ビットを設けたので、穴曲がりが生じず安定した掘削を効率よく行うことが可能である。」と記載されている。当該段落【0020】の記載より、発明の詳細な説明において、「安定した掘削を効率よく行う」ことは、上記(3)アに認定した、「掘削中に岩石等に当たってもビットの刃先が損傷しにくく、断続的な衝撃をうけにくく、しかも穴曲がりが生じにくい掘削ヘッドを提供する」という課題の解決に伴って、効果が得られる事項であると理解される。
したがって、「安定した掘削を効率よく行うこと」は、上記(3)アに認定した課題と独立したものでなく、発明が解決しようとする課題の中に含めたとしても、本件発明の構成AないしEによって上記(3)アに認定した課題が解決されるのに伴って、併せて解決されると合理的に認識できるものである。
以上のとおりであるから、請求人による主張について検討しても、本件発明がサポート要件を満たすか否かについて、上記(2)ないし(4)の判断を変更すべき事情はない。
請求人による、その余の縷々の主張についても、上記(2)ないし(4)の判断に反する範囲において妥当なものではなく、採用することができない。
2 無効理由2:明確性要件違反について
(1)明確性要件の判断基準
特許法第36条第6項第2号は、特許請求の範囲の記載に関し、特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨規定する。同号がこのように規定した趣旨は、仮に、特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には、特許が付与された発明の技術的範囲が不明確となり、第三者の利益が不当に害されることがあり得るので、そのような不都合な結果を防止することにある。そして、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かという観点から検討されるべきである。
なお、上記の判断基準は、特許請求の範囲が明細書から分離された、平成14年法律第24号による改正の前後において、実質的に変わるものではない。
(2)判断基準に則した判断
以下、上記判断基準に基づいて判断する。
本件特許の特許請求の範囲の記載は、上記第2の1に示した構成AないしEからなるものである。
ア 構成A、構成C、構成E、及び構成Bの一部について
構成Aの、「外周部に螺旋翼が設けられたスクリューオーガロッドの先端部に装着される掘削ヘッド」であること、及び、構成Eの、「スクリューオーガ用掘削ヘッド」であることは、それ自体明確である。
構成Bのうち、「基部が前記スクリューオーガロッドに取り付けられる基軸の外周部に」「3条の螺旋翼が設けられ」ることについても、それ自体明確である。
構成Cの、「これら3条の螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダに、円錐状の尖った刃先部を有する複数のコニカルビットが軸回りに回転自在にそれぞれ取り付けられ」ることについても、それ自体明確である。
イ 構成Dについて
構成Dの、「該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」について、検討する。
(ア)「該複数のコニカルビット群」について
構成Dにおける「該複数のコニカルビット群」は、構成Dに先立つ構成Cを受けて「該複数の・・・」と記載しているから、構成Cにおいて「3条の螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダ」に「取り付けられ」た「複数のコニカルビット」の「群」を意味することが明らかである。
そして、構成Dは、「3条の螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダ」に「取り付けられ」た「複数のコニカルビット」の「群」により形成される、概略の形状について特定する趣旨であると、明確に理解することができる。
(イ)「概略円錐状」について
構成Dにおける「概略円錐状」については、それぞれが「円錐状の尖った刃先部」を有する「コニカルビット」という、所定の形状及び大きさを持った物が複数集まった「群」により「形成」される形状であるから、各コニカルビットの刃先部等、単独の物体表面に採用可能な「円錐状」や、円錐の頂点に至るまで連続的な円錐面を有する幾何学的な円錐形状に比較すれば、概略の形状となることが技術常識から明らかであることを踏まえて、「概略円錐状」と記載したものと理解される。
(ウ)構成Dの記載の全体について
上記(ア)及び(イ)より、構成Dの記載の全体は、3条の螺旋翼の先端部に取り付けられる「複数のコニカルビット」が「群」として「形成」し得る概略の形状について、「中央部が突出する概略円錐状」と特定する趣旨であると、明確に理解することができるから、構成Dの記載は明確である。
(エ)発明の詳細な説明の記載及び図面の図示を考慮した場合について
構成Dに関し、発明の詳細な説明における記載を考慮すると、サポート要件に関して上記1(2)エで指摘したとおり、段落【0011】及び【0016】の記載より、3条の螺旋翼それぞれに複数設けられた小型ビット20の群によって、「掘削ヘッド1」の先端部は「側面視概略円錐状」を呈し、「概略円錐状」となることが理解されるから、構成Dの内容は、本件明細書の記載を考慮しても理解することができるものである。
また構成Dに関し、本件図面の図示を考慮すると、同様にサポート要件に関して上記1(2)エで指摘したとおり、【図1】ないし【図4】の図示より、3条の螺旋翼10a、10b及び10cの先端部に設けられる複数の小型ビット20の群によって、掘削ヘッド1の先端部は、中央部が突出する概略円錐状となっていることが看取されるから、構成Dの内容は、本件図面の図示を考慮しても、理解することができるものである。
(オ)構成Dについての小括
上記(ア)ないし(エ)のとおり、構成Dの記載は、「該複数のコニカルビット群」により形成される形状について「概略円錐状」と記載する点も含めて明確であり、また構成Dの内容は、本件明細書の記載及び本件図面の図示を考慮しても理解することができるから、構成Dは明確であり、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確なものではない。
ウ 構成Bのうち「外径の等しい」について
構成Bのうち、「3条の螺旋翼」に関し「外径の等しい」点について、検討する。
螺旋翼の外径を等しくすることに関し、発明の詳細な説明には、段落【0004】において、上記1(3)アに摘記した記載がされ、螺旋翼自体が全体として円錐状の尖った形状となっている本件従来技術では、芯ぶれにより掘削される穴が曲がりやすいというおそれがある問題点が、説明されている。そのうえで、発明の詳細な説明には、段落【0007】及び【0016】において、上記1(3)イ(ウ)に摘記した記載がされ、胴部における3条の螺旋翼の外径をほぼ一定にしておくことにより、芯ぶれが生じにくくなる結果、穴曲がりが少なくなることが説明されている。
上記発明の詳細な説明の記載を考慮すると、構成Bにおいて「3条の螺旋翼」に関し「外径の等しい」とする趣旨は、掘削ヘッドの先端部では3条の螺旋翼に設けたコニカルビット群により全体形状が概略円錐状となるようにしても、先端部を別とした部分である胴部については、3条の螺旋翼の外径を等しいものとすることで、螺旋翼自体が全体として円錐状の尖った形状となっている本件従来技術に比較して、穴曲がりを少なくすることにあると、理解される。
そして、上記の理解は、構成Bにおいて、「3条の螺旋翼」に関し、「外径の等しい」ものとする範囲を、先端部も含めた軸方向の全域等とは特定していないこと、及び、本件発明は構成Bと併せて構成C及びDを有し、「3条の螺旋翼の先端部」については、該先端部に取り付けられた「複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成される」旨が特定されていることとも、整合する。
また、本件図面の【図1】ないし【図3】からも、3条の螺旋翼10a、10b及び10cについて、コニカルビットである複数の小型ビット20を取り付けた先端部は別として、先端部以外の胴部の外径はほぼ等しい様子が看取されるから、構成Bにより「3条の螺旋翼」の「外径」について特定される内容は、本件図面の図示を考慮しても、明確に理解されるものである。
したがって、構成Bにおいて、「3条の螺旋翼」に関し「外径の等しい」とする趣旨は、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮すると明確に理解されるものであり、かつ、構成C及びDを含む本件発明のその余の構成とも整合的に理解されるものであるから、構成Bにおける「3条の螺旋翼」の「外径」に関する特定は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確なものではない。
エ 判断基準に即した判断のまとめ
上記アないしウのとおり、本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、構成AないしEの全てについて、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮すれば明確に理解されるものであり、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確なものではないから、上記(1)の判断基準に照らして、明確性要件に適合する。
したがって、本件発明を特定する請求項1の記載は、平成14年法律第24号による改正前の特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
(3)請求人の主張について
請求人は審判請求書において、本件発明の構成Dにおける「概略円錐状」は発明の範囲が不明確である旨を主張している(上記第3の3(2)ア)。
しかしながら、上記(2)イに示したとおり、本件発明の構成Dは、本件明細書の記載及び本件図面の図示を考慮しても理解することができ、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確なものではないから、これに反する請求人の上記主張は採用することができない。
請求人は審判請求書において、外径がほぼ等しく先端部がほぼ同じレベルに切り揃えられた螺旋翼の先端部にコニカルビットを設けても、コニカルビットはほぼ同じ高さで水平に並び円錐形状とはならないから、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、本件発明の構成Dにおける「概略円錐状」は不明確である旨を主張している(上記第3の3(2)イ)。
しかしながら、上記(2)イ及びウに示したとおり、本件発明の構成Dは明確であり、また発明の詳細な説明の記載を参酌しても、「3条の螺旋翼」に関し「外径の等しい」ものとする本件発明の構成Bと整合的に理解されるものであるから、これに反する上記請求人の主張は採用することができない。
請求人は審判請求書において、本件発明における構成Dにおける「概略円錐状」は、出願経過等を考慮しても明確とならず、「円錐状」という言葉の意味を離れて頂点を持たない形状との区別も明確ではない旨を主張している(上記第3の3(2)ウ)。
しかしながら、上記(2)イ(イ)に示したとおり、本件発明の構成Dにおける「概略円錐状」については、所定の形状及び大きさを持った「コニカルビット」が複数集まった「群」により形成される形状について、円錐の頂点に至るまで連続的な円錐面を有する幾何学的な円錐形状に比較すれば、概略の形状となることが明らかな形状を指す趣旨と理解され、上記(2)イ(オ)にまとめたとおり、本件発明の構成Dは、本件明細書の記載及び図面の図示を考慮すれば理解できるものであるから、出願経過等に依拠した上記請求人の主張は、採用することができない。
請求人は、令和4年6月24日受付の口頭審理陳述要領書において、本件発明の構成Bにおける「外径の等しい」は軸方向に部分的に存在すれば足りる構成ではない旨、発明の詳細な説明において「ヘッド15」の形状について「概略円錐状」との用語が用いられているから、構成Dにおける「概略円錐状」について、「複数のコニカルビット」の配置から把握される概要の形状について「円錐状」であることを示す趣旨と解することは妥当ではない旨、及び、「ヘッド15」がない状態では円錐の頂点にコニカルビットが配置されず、「円錐」とは程遠いものとなる形状が含まれ得るものについて、「概略円錐状」と記載することは不明確である旨を主張している(陳述要領書第2頁第20行~第3頁第3行、第3頁第16行~第4頁最終行、及び第9頁第20行~第10頁第12行)。
しかしながら、請求人の上記いずれの主張も、上記(2)の判断に反する範囲において妥当なものではなく、採用することができない。
請求人による、その余の縷々の主張についても、上記(2)の判断に反する範囲において妥当なものではなく、採用することができない。
3 無効理由3:進歩性欠如について
令和4年7月22日の口頭審理において整理したとおり、進歩性欠如に係る無効理由3は、甲2を主たる引用例を示す証拠とし、甲6ないし甲10を副引用例又は周知技術を示す証拠とするものである。
(1)進歩性に係る先行技術を示す各証拠について
ア 甲2
(ア)甲2の記載事項
本件特許の出願前に頒布された刊行物である、甲2には、次の記載または図示がある(下線は、当審において付加した。以下、同様。)。
なお甲2は、本件発明の詳細な説明の段落【0004】において、本件従来技術とされる文献である。
a 考案の詳細な説明
「 【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は駆動されて回転する長い回転軸の外周にらせん状のオーガスクリューを備えたアースオーガに関するものであり、オーガスクリュー先端部分で地面を掘削し、掘削した土砂をオーガスクリューで地上に送るようにして地面を削孔するのに用いられる。
・・・(中略)・・・
【0007】
【実施例】
本考案の各実施例について図面を参照して具体的に説明する。
実施例1(図1~5参照)
図1~5に示す実施例1は、オーガスクリューの外周部分と先端部分に回転自在なコーン形状の削孔刃を複数設け、コーン形状の削孔刃を軸方向に対して傾斜させるようにし、さらにその傾斜は掘削する回転方向の円周に向かうようにし、オーガスクリューの先端部分を脱着自在な構造にし、削孔刃を脱着自在な構造にし、オーガスクリューの先端側の一部の外径を先端に行くに従って小さくなる構造にしたアースオーガの例である。
図1は実施例1のアースオーガのオーガスクリュー先端に取り付けた削孔ヘッドの説明図である。
図2は実施例1のアースオーガのオーガスクリュー先端に取り付けた削孔ヘッドの底面図である。
・・・(中略)・・・
図5は実施例1のアースオーガの説明図である。
図中、1はアースオーガ、2はコーン刃、2aは刃先端部、2bは刃基端部、3はCリング、4は六角ネジ、5は削孔ヘッド、5aは軸部、5bはスクリュー部、5cは取付部、6は掘進部、7は回転軸、8はオーガスクリュー、9はレール部である。
【0008】
実施例1のアースオーガの削孔ヘッド5は、まず、図1に示すように軸部5aを設ける。軸部5aは管状にし、基端部分を六角形状にしている。軸部5aの六角形状には、取付用の溝を設ける。
次に軸部5aの外周にらせん状のスクリュー部5bを設ける。スクリュー部5bは2つのスクリューが所定の間隔でらせん状となるように設けるようにする。さらにスクリュー部5bは先端に行くに従ってスクリューの外径が小さくなっていく形状にする。スクリュー部5bの先端部分は軸部5aより先端側に突出するようにする。
次にスクリュー部5bの先端部分に図1に示すように取付部5cを複数設ける。取付部5cには取付孔を設け、取付孔が掘削する回転方向の円周に向って傾斜させる。さらにスクリュー部5bの外周部分にも図1に示すように取付部5cを掘削する回転方向の円周に向って傾斜させて複数設ける。取付部5cの取付孔には、取付孔の軸と直角方向に取付孔と外部を連通させるようにねじ孔を設ける。このねじ孔には、埋め込みタイプの六角ネジ4を螺合させて仮止めしておく。
次にコーン刃2を設ける。コーン刃2は、本体部分の先端にコーン状の刃先端部を回転自在に設けている。コーン刃2の基端側には、所定の径・長さの刃基端部2bを設ける。
次にコーン刃2の刃基端部2bをCリング3に嵌入し、Cリング3を取り付けたコーン刃2の刃基端部2bを取付部5cの取付孔に嵌入する。次に取付部5cに仮止めした埋め込みタイプの六角ネジ4を締め付けて、六角ネジ4の先端でCリング3を押し付けて、コーン刃2をCリング3とともに取付部5cに固定する。
【0009】
アースオーガ1は、前側に上下に長いレール部9を設け、レール部9に上下に移動可能に掘進部6を取り付ける。掘進部6には、プーリーが取り付けられており、レール部9の上端部分に取り付けられたプーリーを介して張り渡されたワイヤーの長さを変化させるようにすることで、掘進部6の上下移動を行うようにしている。さらに掘進部6の下部には下方に伸びる回転軸7を設ける。回転軸7の外周にはらせん状のオーガスクリュー8を設ける。掘進部6には、回転軸7を回転させる駆動装置を設ける。回転軸7の先端部分には、取付穴を設け、削孔ヘッド5を同軸で回転できるようにする。
削孔ヘッド5の軸部5aの基端部分を回転軸7の先端取付穴に挿入し、図示しない係止手段によって削孔ヘッド5を取り付ける。
この状態でアースオーガ1の掘進部6を降下させながら、掘進部6の駆動装置を駆動して回転軸7を回転させる。これによって回転軸7の先端に取り付けた削孔ヘッド5も回転する。このようにして削孔ヘッド5のスクリュー部5bの先端及び外周に取り付けたコーン刃2が地面を掘削していく。コーン刃2はコーン状であるので地面への接触部分が円周上の一部となっているので、偏摩耗を起こしにくい形状である。また、刃先端部2aは回転自在なため、地面への接触部分が次々変更することによって良好な掘削性能が保たれやすい。さらに本実施例1の掘削ヘッド5にはスクリュー部5bの外周にもコーン刃2を設け、多くのコーン刃2で掘削するようにしているので、1つのコーン刃2にかかる掘削抵抗が小さくなるようにしている。よって掘削ヘッド5の耐用期間を長くすることができる。また、スクリュー部分の外径が先端に行くに従って小さくしていることによっても掘削抵抗が小さくなる。
・・・(中略)・・・
【0011】
図6,7に示すのは実施例1のアースオーガの削孔ヘッドの他の例である。
・・・(中略)・・・
図6,7に示すのは実施例1の他の例では、スクリュー部10bのスクリュー形状、コーン刃11の取付位置、方向、コーン刃の形状が異なるものであり、土質・岩質等、用いる条件によって変更したものを使用するようにしてもよい。」
b 図面
図1、図2及び図5には、次の図示がある。
「
[図:0001402114000006.jpg]
」
「
[図:0001402114000007.jpg]
」
「
[図:0001402114000008.jpg]
」
c 図面より看取される事項
上記aの段落【0008】の記載を踏まえると、上記bの【図1】及び【図2】より、削孔ヘッド5は、先端に行くに従って外径が小さくなっていくスクリュー部5bに設けた複数のコーン刃2により、中央部が突出する概略円錐状に形成されていることが、看取される。
(イ)甲2に記載された発明
上記(ア)より、甲2には、次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
<甲2発明>
アースオーガが有する、外周にらせん状のオーガスクリューを設けた下方に伸びる回転軸の、先端に取り付けられる削孔ヘッドであって、
基端部分が回転軸に取り付けられる削孔ヘッドの基軸の外周に、先端に行くに従って外径が小さくなっていく2つのスクリューからなる、らせん状のスクリュー部を設け、
スクリュー部の先端部分及び外周部分に複数設けた取付部に、本体部分の先端にコーン状の刃先端部を回転自在に設けたコーン刃を設け、
先端に行くに従って外径が小さくなっていくスクリュー部に設けた複数のコーン刃により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている、
削孔ヘッド。
イ 甲6
(ア)甲6の記載事項
本件特許の出願前に頒布された刊行物である、甲6には、次の記載または図示がある。
a 明細書第1頁第13行~第18行
「この考案はアースオーガ・スクリユウの先端に装着するスクリユウヘッドに関し、その目的は掘削能力を改善できるとともに安定した直進掘削ができ作業性を大幅に改善した特に岩盤や鉄筋、鉄骨などが埋設する障害地盤に有効なスクリユウヘッドの提供を目的とする。」
b 明細書第2頁第5行~第3頁第6行
「ところが、この様なスクリユウヘッドは、この2条のスレッドがヘッド軸のどの任意断面でもヘッド軸に対し直線的にスレッドが装着されている構造となるので、第2図(B)に示す掘削外周円(この外周円並びにスレッドの断面は掘削途中の任意箇所で任意時のもの)(a)を便宜的に4分割すればその円弧(b)、(d)にはスレッドが当接せず所謂フリー状となっていて、掘削時にこのフリー状ヘッド軸(21)に岩等の障害物が当接するとあるいはビットがこの障害物に当接するとこの岩等がいわゆる掘削抵抗の急激な増大をもたらし結果アースオーガスクリユウの横振れや廻転ムラを起因して、直進掘削を妨害するあるいは作業能率を低下させる弊害があった。
この弊害は掘削時の掘削能力の低下や掘削孔跡の屈曲化、ヘッド自身やビットの損傷、破損等の問題を引き起こしていた。
そこでこの考案者は、上記事情に鑑み斯る欠点を招来しないスクリユウヘッドを考案すべく鋭意研究した結果、まず最初にスレッドの条数を増加させて3条又は4条としたスクリユウヘッドの開発に着手した。」
c 明細書第4頁第2行~第8行
「第1図において(A)はこの考案に係る3条型のスレッドの正面図を示し、(1)は外周にスレッド(2a)、(2b)、(2c)を設けたヘッド軸、(3)はスレッド(2)先端に装着したビットである。
(B)は第1図(A)のI-I線上における端面図を示しヘッド軸(1)の外周を3等分状にスレッド(2)が設けられている。」
d 明細書第5頁第14行~第6頁第6行
「以上詳述した如く、この考案に係るアースオーガースクリユウのスクリユウヘッドはヘッド軸の外周にスレッドを3条あるいは4条装着することとしたから、従来のヘッドの如くフリー状のヘッド軸周がなく、従って障害地盤や硬質地盤での横振れや廻転ムラを解消し、従来の如く掘削抵抗の急激な変化を排して平均した掘削抵抗で掘削でき、・・・(中略)・・・欠点を悉く解消した画期的なアースオーガースクリユウのスクリユウヘッドである。」
e 第1図
「
[図:0001402114000009.jpg]
」
f 第1図(A)及び(B)から看取される事項
上記aないしdの記載を踏まえると、上記eに示した第1図(A)及び(B)より、次の事項が看取される。
・アースオーガースクリユウのスクリユウヘッド1の外周に設けるらせん状のスレッド2を、3条とすること
・スクリユウヘッド1の外周に設けたスレッド2の外径は、スクリユウヘッド1の先端までほぼ等しく、スレッド2の先端に装着されたビット3は、側面視でほぼ平面上に並ぶこと
(イ)甲6に記載された発明
上記(ア)より、甲6には、次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されている。
<甲6発明>
スクリユウヘッドの外周に設けるらせん状のスレッドを3条とし、
スクリユウヘッドの外周に設けたスレッドの外径は、スクリユウヘッドの先端までほぼ等しく、スレッドの先端に装着されたビットは、側面視でほぼ平面上に並ぶ、
アースオーガースクリユウのスクリユウヘッド。
ウ 甲7
本件特許の出願前に頒布された刊行物である、甲7には、次の記載または図示がある。
(ア)段落【0006】
「【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、縦軸の周囲に2~3枚のスクリュウを付設し、各スクリュウの先端にビットを設けてあるオーガヘッドにおける少なくとも1枚のスクリュウの先端近くの傾斜上面に、傾斜方向両端が開口し且つ傾斜下端側の開口よりも傾斜上端側の開口を大きくした上拡がりテーパー状の断面角形あるいは断面円形の容器本体と、当該容器本体の傾斜下端側の開口に設けた逆止弁とから成る掘削土採取装置を付設した掘削土採取装置付きオーガヘッドとして実施できる。」
(イ)【図1】、【図3】
「
[図:0001402114000010.jpg]
」
「
[図:0001402114000011.jpg]
」
(ウ)【図1】及び【図3】から看取される事項
上記(ア)の記載を踏まえると、上記【図1】及び【図2】より、次の事項が看取される。
・オーガヘッドAのスクリュウ2の外径は、ヘッドの先端までほぼ等しく、スクリュウ2の先端に設けられる複数のビット3は、側面視でほぼ平面上に並ぶこと
エ 甲8
本件特許の出願前に頒布された刊行物である、甲8には、次の記載または図示がある。
(ア)第1頁右欄第2行~第8行
「[従来の技術]
第7図に現在一般的に使われているアースオーガのスクリューヘッドを示す。スクリュー羽根4は図示の2枚タイプが殆んどであるが、時に3枚羽根のものもある。この羽根の先端には、台金先端に超硬合金製の切刃チップをつけた掘削刃が溶接するなどして取付けられる。」
(イ)第5図、第7図
「
[図:0001402114000012.jpg]
」
「
[図:0001402114000013.jpg]
」
(ウ)第5図及び第7図から看取される事項
上記(ア)の記載を踏まえると、上記第5図及び第7図より、次の事項が看取される。
・アースオーガのスクリューヘッドが有するスクリュー羽根の外径は、スクリューヘッドの先端までほぼ等しく、スクリュー羽根の先端に取付けられる複数の掘削刃は、側面視でほぼ平面上に並ぶこと
オ 甲9
本件特許の出願前に頒布された刊行物である、甲9には、次の記載または図示がある。
(ア)明細書第2頁最終行~第3頁第9行
「 第1図は本考案のオーガーヘッドの実施例を示す正面図、第2図は同上底面図、第3図は一部省略した側面図で、図中1は図示しないオーガースクリュー軸端に嵌着する係合部1aを上端に有する軸部を示す。
2はスクリューで、本実施例では3枚のスクリューが、均等ピッチで軸部1から突出されており、各々のスクリュー2の最先端に掘削刃3が回転軌跡が互いに一部重なり会うように植設され、また軸部1の最先端にも掘削刃4が植設されている。」
(イ)第1図及び第2図
「
[図:0001402114000014.jpg]
」
「
[図:0001402114000015.jpg]
」
(ウ)第1図及び第2図から看取される事項
上記(ア)の記載を踏まえると、上記第1図及び第2図より、次の事項が看取される。
・オーガヘッドが有するスクリューの外径は、オーガヘッドの先端までほぼ等しく、スクリューの先端に植設される複数の掘削刃は、側面視でほぼ平面上に並ぶこと
カ 甲10
本件特許の出願前に頒布された刊行物である、甲10には、次の記載または図示がある。
(ア)明細書第2頁第10行~第18行
「従来、この工法に用いられるアースオーガーは、第2図、第3図に示したように軸5に螺旋翼6が設けられ、この螺旋翼6の先端に3枚の翼7の回転方向の端部に掘削爪8がそれぞれ固定され、また翼7の各面にカッター爪9の一端がそれぞれ回動自在に軸着され、回転方向に歯9’がそれぞれ設けられ、回転と反対方向に回動しないように、カッター爪9の背部に止め片10が設けられている。」
(イ)第3図
「
[図:0001402114000016.jpg]
」
(ウ)第3図から看取される事項
上記(ア)の記載を踏まえると、上記第3図より、次の事項が看取される。
・アースオーガーが有する螺旋翼の外径は、ほぼ等しく、螺旋翼の先端の翼の端部に固定される複数の掘削爪は、側面視でほぼ平面上に並ぶこと
(2)本件発明と甲2発明との対比
本件発明と甲2発明とを対比する。
甲2発明において、「アースオーガが有する、外周にらせん状のオーガスクリューを設けた下方に伸びる回転軸の、先端に取り付けられる削孔ヘッド」である構成は、本件発明において、「外周部に螺旋翼が設けられたスクリューオーガロッドの先端部に装着される掘削ヘッド」である構成、及び、「スクリューオーガ用掘削ヘッド」である構成に、相当する。
甲2発明に係る「削孔ヘッド」において、「基端部分が回転軸に取り付けられる削孔ヘッドの基軸の外周」に「らせん状のスクリュー部を設け」た構成は、本件発明に係る「スクリューオーガ用掘削ヘッド」において、「基部が前記スクリューオーガロッドに取り付けられる基軸の外周部」に「螺旋翼が設けられ」た構成に、相当する。
甲2発明に係る「削孔ヘッド」において、「スクリュー部の先端部分及び外周部分に複数設けた取付部に、本体部分の先端にコーン状の刃先端部を回転自在に設けたコーン刃を設け」た構成は、本件発明に係る「スクリューオーガ用掘削ヘッド」において、「螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダに、円錐状の尖った刃先部を有する複数のコニカルビットが軸回りに回転自在にそれぞれ取り付けられ」た構成に、相当する。
甲2発明に係る「削孔ヘッド」において、「先端に行くに従って外径が小さくなっていくスクリュー部に設けた複数のコーン刃により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」構成は、本件発明に係る「スクリューオーガ用掘削ヘッド」において、「該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」構成に相当する。
以上を整理すると、本件発明と甲2発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
外周部に螺旋翼が設けられたスクリューオーガロッドの先端部に装着される掘削ヘッドであって、
基部が前記スクリューオーガロッドに取り付けられる基軸の外周部に、螺旋翼が設けられ、
これら螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダに、円錐状の尖った刃先部を有する複数のコニカルビットが軸回りに回転自在にそれぞれ取り付けられ、
該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている、
スクリューオーガ用掘削ヘッド。
そして、本件発明と甲2発明とは、次の点で相違する。
<相違点>
本件発明においては、「掘削ヘッド」に設けられる「螺旋翼」について、「外径の等しい3条の」という構成をさらに備えるのに対し、
甲2発明においては、「削孔ヘッド」に設けられる「らせん状のスクリュー部」は、「先端に行くに従って外径が小さくなっていく2つのスクリュー」からなるものである点。
(3)相違点についての判断
上記相違点に係る本件発明の構成は、掘削ヘッドの「螺旋翼」について、「外径の等しい」ものとする構成、及び、「3条」とする構成を含む。
ア 「螺旋翼」について「外径の等しい」ものとする構成について
上記相違点に係る本件発明の構成のうち、掘削ヘッドの螺旋翼に関し、「外径の等しい」ものとする構成について、判断する。
(ア)本件発明における螺旋翼の外径に関する構成について
本件発明は、甲2を本件従来技術とするものであり、上記相違点に係る本件発明の構成のうち、螺旋翼に関し「外径の等しい」ものとする構成は、上記1(3)イ(ウ)及び上記2(2)ウに指摘したとおり、螺旋翼自体を全体として円錐状の尖った形状とした本件従来技術においては、芯ぶれにより掘削される穴が曲がりやすいという課題を解決するために、本件発明において採用された構成である。
また、上記1(3)イ(ウ)及び上記2(2)ウに指摘したとおり、本件発明は、螺旋翼を「外径の等しい」ものとする構成Bを有するとともに、構成C及びDにより、「螺旋翼の先端部」については、該先端部に取り付けられた「複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成される」構成を有するものである。
(イ)甲2発明におけるスクリューの外径に関する構成について
甲2発明は、本件従来技術であり、「削孔ヘッド」に設けられる「スクリュー部」の「スクリュー」について、「先端に行くに従って外径が小さくなっていく」構成を有する。
また、甲2発明は、上記(2)に対比したとおり、本件発明の構成Dに相当する、「スクリュー部に設けた複数のコーン刃により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」構成を有するところ、甲2発明における当該構成は、「スクリュー部」の「スクリュー」が「先端に行くに従って外径が小さくなっていく」構成と結びついた構成として、上記(1)ア(ア)cのとおり、図面から看取される構成である。
そして、甲2において、「削孔ヘッド」に設けられる「スクリュー部」について、「先端に行くに従って外径が小さくなっていく」構成を離れて、「スクリュー部に設けた複数のコーン刃により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」構成を維持することは、記載も示唆もされていない。
(ウ)甲6発明、及び甲7ないし甲10に示される技術事項におけるスレッド(螺旋翼)の外径に関する構成について
甲6には、上記(1)イ(イ)に認定した甲6発明が記載されており、甲6発明は、スクリユウヘッドの外周に設けるらせん状のスレッドを3条とする構成、及び、スクリユウヘッドの外周に設けたスレッドの外径を、スクリユウヘッドの先端までほぼ等しくする構成を有している。
甲7ないし甲10には、上記(1)ウないしカに示した事項が記載されており、オーガースクリューのらせん状のスレッドを3条とすること、及び/又はスレッドの外径をヘッドの先端までほぼ等しくすることが、示されている。
しかしながら、甲6発明、及び甲7ないし甲10に示される技術事項において、スレッド(螺旋翼)について先端部まで外径をほぼ等しくする構成は、先端部までスレッド(螺旋翼)の外径が等しければ先端に向かってスレッド(螺旋翼)が先細りとなる部分がなくなることを踏まえれば、スレッド(螺旋翼)先端に装着したビットが側面視でほぼ平面上に並ぶ構成と結びついた構成として、図面の図示から看取されるものである。
その一方、甲6ないし甲10には、スクリユウヘッドにおいてスレッド(螺旋翼)の外径を等しいものとすることによる効果や技術的意義について、特段の記載はされておらず、スレッド先端に装着したビットが側面視で平面上に並ぶ構成を離れて、ヘッドにおけるスレッドに外径の等しい部分を設けること等は、記載も示唆もされていない。
(エ)甲2発明において「スクリュー部」の「外径」を変更する動機付け
上記(イ)及び(ウ)のとおり、甲2発明における「削孔ヘッド」に設けられる「スクリュー部」の外径について、甲6発明または甲7ないし甲10に示される技術事項における「外径の等しい」構成を採用することは、甲2発明が有する「スクリュー部に設けた複数のコーン刃により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」構成にも影響する変更であるところ、甲2発明においてそのような変更を行うべき事情は、甲2及び甲6ないし甲10において、記載も示唆もされていない。
したがって、甲2発明において、「スクリュー部」の「外径」に関する構成を変更し、甲6発明または甲7ないし甲10に示される技術事項におけるスレッド(螺旋翼)の外径を等しいものとする構成を採用する動機があると言うことはできない。
(オ)甲2発明において「外径の等しい」構成に至ることの容易性
上記(エ)のとおり、甲2発明において、「スクリュー部」の「外径」に関する構成を変更し、甲6発明または甲7ないし甲10に示される技術事項におけるスレッド(螺旋翼)の外径を等しいものとする構成を採用する動機はない。
また、甲2発明において、たとえ動機付けなく、甲6発明または甲7ないし甲10に示される技術事項が有するスレッド(螺旋翼)の外径を等しいものとする構成を採用するとしても、上記(イ)及び(ウ)に指摘した甲2及び甲6ないし甲10の開示を踏まえると、甲2発明において、本件発明における構成Dに相当する「スクリュー部に設けた複数のコーン刃により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」構成を維持しながら、しかも上記相違点に係る「螺旋翼」の「外径」についての構成を採用することは、甲2及び甲6ないし甲10において記載も示唆もされていない。
したがって、甲2発明において、上記相違点に係る本件発明の構成のうち、掘削ヘッドの螺旋翼に関し、「外径の等しい」ものとする構成に至ることは、たとえ当業者であっても容易に想到し得た事項ではない。
イ 相違点についての判断のまとめ
上記アのとおり、甲2発明において、上記相違点に係る本件発明の構成のうち、「螺旋翼」の「外径を等しい」ものとする構成に相当する構成を採用することは、甲6発明、及び甲7ないし甲10に示される技術事項を考慮しても、当業者にとって容易になし得た事項ではない。
したがって、上記相違点に係る本件発明の構成のうち、「螺旋翼」を「3条」とする点について検討するまでもなく、本件発明は、甲2発明及び甲6発明並びに甲7ないし甲10に示される技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)請求人による主張について
ア 請求人による主張
請求人は、令和4年6月24日受付の口頭審理陳述要領書において、概略以下の主張をしている。
(ア)請求人は、技術分野の共通性、甲2の段落【0005】における「掘削時の抵抗が小さくなるようにしてさらに掘削性能を向上させる」という記載が示す一般的な課題、及び、甲2の段落【0011】においてスクリュー部のスクリュー形状について「土質・岩石等、用いる条件によって変更したものを使用するようにしてもよい。」と記載されていることから、甲2発明において、甲6ないし甲10に示される構成を採用する動機がある旨を主張している(口頭審理陳述要領書第5頁第8行~第6頁第23行)。
(イ)また請求人は、甲2発明において甲6ないし甲10に示される螺旋翼の「外径が等しい」構成を採用する場合、両構成の利点を残しつつ適用されることになるから、「複数のコニカルビット群により、中央部が突出する」概略円錐状に形成される」構成が相違点となることはないし、「全体の外径を等しいものとする」構成と「複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」構成とは両立し得るものである旨を主張している(口頭審理陳述要領書第6頁第24行~第7頁第17行)。
(ウ)また請求人は、甲2発明において、らせん状のスクリューについて、スクリューの外径が等しい構成を部分的に採用し、かつ、スクリューの先端部では複数のコーン刃によって概略円錐状となるよう、先細りとする構成を維持することは、先細りの構成に連続するかたちで外径が等しい構成を採用することにより得ることができるから、当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内である旨を主張している(口頭審理陳述要領書第7頁第18行~第9頁第4行)。
イ 上記請求人の主張についての判断
上記請求人の主張について検討する。
(ア)上記ア(ア)の主張について
請求人が上記ア(ア)に主張する点は、一般的な技術分野の共通性、甲2発明が有する構成により得られる効果に関する段落【0005】の記載を一部抽象化して上位概念化した課題、及び、甲2の実施例における形状を一部変更してよい旨を一般論として述べた記載にとどまる。
しかしながら、上記(3)ア(イ)に指摘したとおり、甲2発明において、「スクリュー部に設けた複数のコーン刃により、中央部が突出する概略円錐状に形成されている」構成と、「スクリュー部」の「スクリュー」が「先端に行くに従って外径が小さくなっていく」構成とは、互いに結びついた構成であり、また上記(3)ア(ウ)に指摘したとおり、甲6発明、及び甲7ないし甲10に示される技術事項において、スレッド(螺旋翼)について先端部まで外径をほぼ等しくする構成と、スレッド(螺旋翼)先端に装着したビットが側面視でほぼ平面上に並ぶ構成とは、先端部までスレッド(螺旋翼)の外径が等しければ先端に向かってスレッド(螺旋翼)が先細りとなる部分がなくなることを踏まえれば、互いに結びついた構成であるから、請求人が主張する一般論により、各発明または技術事項におけるこれら構成間の結びつきを離れて、甲2発明において甲6発明または甲7ないし甲10に記載される技術事項におけるスレッド(螺旋翼)の外形を等しいものとする構成を採用する動機があったということはできない。
(イ)上記ア(イ)及び(ウ)の主張について
請求人が上記ア(イ)及び(ウ)に主張する点は、本件明細書または本件図面をみることにより理解される事項であっても、甲2及び甲6ないし甲10においては記載も示唆もされていない事項である。
したがって、請求人の上記主張について検討しても、本件明細書及び本件図面に接することなく、甲2発明及び甲6発明または甲7ないし甲10に示される技術事項に基づいて、当業者が本件発明の構成に至ることが容易であったと言うことはできない。
(ウ)請求人の主張に対する判断のまとめ
上記(ア)及び(イ)のとおり、請求人の上記主張について検討しても、本件発明の進歩性について、上記(3)の判断を変更すべき事情はない。
請求人による、その余の縷々の主張についても、上記(3)の判断に反する範囲において妥当なものではなく、採用することができない。
第6 むすび
以上のとおり、本件発明に係る特許は、特許法第36条第6項第1号及び同条同項第2号の規定に違反してなされたものでもなく、同法第29条第2項の規定に違反してなされたものではないから、請求人の主張する無効理由1ないし3によっては、本件発明に係る特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
----------
[別紙]
本件特許の願書に添付された明細書の、発明の詳細な説明における記載は、以下のとおりである。
「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土木工事等で地中に穿孔するために使用されるスクリューオーガ用の掘削ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外周部に螺旋翼が設けられた回転軸の先端部に掘削ヘッドを装着し、軸回りに回転させつつ地中に穿孔するスクリューオーガ装置(アースオーガとも呼ばれる)が土木工事、建設工事等に使用されている。従来このスクリューオーガ装置に使用されてきた掘削ヘッドは、例えば鋼製の台金の先端部に超硬合金製の尖った刃先を有する複数の小形ビットを植設したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の掘削ヘッドは、複数の小形ビットが台金に固着されていたので、掘削中に岩石等に当たった時に刃先が逃げることができず、損傷を受けやすいという問題点があった。また、掘削によって生じた繰粉が穴底からうまく排出されにくいという問題点もあった。
【0004】
このような問題点を解決するものとして、直径方向に対向するように設けられた2条の螺旋翼を有する掘削刃の前記螺旋翼の周縁部及び下端に多数の小形ビットを取り付けたスクリューオーガ用掘削刃が提案されている(意匠登録第1105595号、実用新案登録第3068462号)。この新しく開発された掘削刃は、軸回りに回転自在な小形のビット(コーン刃)が設けられていて、岩石等に当たった時に当該コーン刃が回転して逃げることができるため、損傷しにくいという利点があるが、2条の螺旋翼が直径方向に対向するように設けられ、これら2条の螺旋翼にそれぞれ設けた小型ビットで掘削を行うものであるから、掘削中に岩石等に遭遇したときは、2条の螺旋翼に設けたビットが当該岩石に当たるたびに断続的な衝撃を受け、スクリューオーガ装置全体が上下に振動して、円滑な掘削ができなくなるおそれがある。また、螺旋翼自体が先端側の外径が小さくなるように全体として円錐状の尖った形状となっているので、芯ぶれにより、掘削される穴が曲がりやすいというおそれもある。
【0005】
そこで本発明は、掘削中に岩石等に当たってもビットの刃先が損傷しにくく、断続的な衝撃をうけにくく、しかも穴曲がりが生じにくい掘削ヘッドを提供することを課題としている。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、本発明にかかるスクリューオーガ用掘削ヘッドは、外周部に螺旋翼が設けられたスクリューオーガロッドの先端部に装着される掘削ヘッドであって、基部が前記スクリューオーガロッドに取り付けられる基軸の外周部に、外径の等しい3条の螺旋翼が設けられ、これら3条の螺旋翼の先端部に固着された複数のホルダに、円錐状の尖った刃先部を有する複数のコニカルビットが軸回りに回転自在にそれぞれ取り付けられ、該複数のコニカルビット群により、中央部が突出する概略円錐状に形成されていることを特徴としている。
【0007】
この掘削ヘッドは、3条の螺旋翼が並列に設けられているので、円周方向における螺旋翼同士の間隔が小さく、先端部における小形ビットの密度も高くなる。このため、掘削中に岩石等掘削しにくい物体に当たっても、断続的な衝撃が比較的小さくてすむ。この小形ビットとしては、円錐状の刃先部を有し、該刃先部が軸回りに回転自在な、いわゆるコニカルビットを用いるのが好ましい。また、胴部における3条の螺旋翼の外径をほぼ一定にしておくことにより、芯ぶれが生じにくくなる結果、穴曲がりが少なくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に表された本発明の実施形態に基づいて、具体的に説明する。
【0009】
この掘削ヘッド1は、中心部に本体となる基軸2が設けられている。この基軸2の後端部(下向き掘削時には上端に位置する部分)には、掘削装置に接続されたスクリューオーガロッド5に取り付けるための6角形の基部7が一体に設けられている。この基部7の中間部には逸脱防止用のピンを挿入する溝7aが設けられており、該基部の付け根となる部分には、スクリューロッド5に嵌合するときの位置決めのための円形のカラー9が設けられている。基軸2の芯部には、繰粉排出用のエア、水等を通すフラッシングホール4が設けられていて、このフラッシングホール4は掘削ヘッド1の頭部に開口している。図示例では、フラッシングホール4が、掘削ヘッド1の先端部ではなく、先端部よりも若干後よりの位置に斜め横向きに設けられているので、例えば粘土層等の掘削時に当該フラッシングホールが詰まりにくいという利点があるが、掘削条件によっては、掘削ヘッド1の最先端部に前向きに設けておいてもよい。なお、このフラッシングホール4の開口部には、ゴム等の逆止弁が設けられ、流体が掘削ヘッド内に逆流しないようになっている。
【0010】
基軸2の外周部には3条の螺旋翼10(10a,10b,10c)が等間隔で並列に溶接固着されている。これら3条の螺旋翼10a,10b,10cのうち、1番目の螺旋翼10aの基部側端部は、前記カラー9に溶接固着されている。また、2番目の螺旋翼10bの基部側端部は、前記カラー9よりも先端側の基軸胴部に溶接固着されており、3番目の螺旋翼10cの基部はさらに先端側に溶接固着されている。なお、3条の螺旋翼10a,10b,10cの外径はほぼ等しくなっている。
【0011】
3条の螺旋翼10a,10b,10cの先端部は、ほぼ同じレベルに切り揃えられていて、その先端側には、概略円錐状のヘッド15が機軸2の先端部に固着されている。このヘッド15は、基部を基軸2に嵌合してロックピン16で固定されるもので、特に摩耗しやすい掘削ヘッド先端部が摩耗した時に、このヘッド15を取り外して新しいものと交換できるようになっている。このヘッド15と3条の螺旋翼10a,10b,10cには複数の小形ビット20,…がそれぞれ取り付けられている。これら小型ビット20,…は、それぞれが取り付けられている螺旋翼10の傾斜方向にほぼ沿うように傾けて設けられている。また、前記ヘッド15には複数(図示例では3個)の小型ビット20,…が設けられていて、掘削ビットの先端部は、これら小型ビット群によって側面視概略円錐状を呈している。
【0012】
図示例では、小形ビット20は、円錐状の刃体を有し、軸回りに回転自在に保持されたいわゆるコニカルビットである。このビット20は、図に示すように、螺旋翼10に溶接固着される円筒状のホルダ21と該ホルダに回転自在に嵌合するビット本体22とで構成される。ビット本体22は、前記ホルダ21に嵌合する軸部22aと円錐状に尖った頭部(刃先部)22bと、該頭部と軸部の境界部に設けられた鍔22cとからなる。頭部22bには、超硬合金製の円錐状チップ23が植設されている。なお、コニカルビット20は、螺旋翼10の伸びる方向に沿って傾斜させて設けられている。
【0013】
ホルダ21内には割れ目付きの筒状バネ21aが内嵌されており、この筒状バネ21aがその内部に挿入されているビットの軸部22aを保持する。なお、この実施形態では、ビット本体22をホルダ21から抜き取るときは、軸部22aの後端部をロッド等を介してハンマーで打撃することにより、比較的簡単にホルダ21から抜き取ることができる。このため、損傷したり摩耗したビットを交換するのが容易である。ビット本体22のホルダ21への取付け方法としては、上記のような割れ目付き筒状バネ21aを用いるかわりに、他の適当な方法を採用することができる。例えば、ビット本体の軸部に円周方向の環状の溝を設け、この環状の溝にゆるく嵌合する抜け止めピンをホルダ外周部から挿入することにより、ビット本体をホルダに回転自在に取り付ける方法等がある。
【0014】
この掘削ヘッド1は、スクリューロッド5の先端部に装着して使用される。この場合における掘削ヘッドの装着は、基部7をスクリューロッド5の先端部の中空部にカラー9が当たるまで嵌合し、スクリューロッド5の側面から横方向のピンを挿入して固定することにより行う。この時、ピンは基部に設けられている溝7aに挿入された状態となり、掘削ヘッド1の逸脱が防止される。
【0015】
掘削ヘッド1を取り付けたスクリューロッド5の上端部を公知の掘削装置(アースオーガ)100の掘削部101に取り付け、掘削ヘッド1を地面に押し付けつつ、回転と推力を付与する。すると、複数のコニカルビットが地面に当接し、その尖った刃先で地盤が掘削される。掘削部101は、レール103に沿って上下移動する。なお、掘削中は、必要に応じて水又はエアをスクリューロッド5の中空部を通して掘削ヘッド1のフラッシングホール4に供給し、該掘削ヘッドの先端部から吐出させる。なお、このフラッシングホール4を通して、セメントミルク等の地盤強化剤を吐出させることもできる。
【0016】
掘削ヘッド1の先端部には、全体形状が概略円錐状となるように多数のコニカルビット20,…が設けられているので、これらビットにより効率よく掘削が行われる。掘削によって生じた繰粉(土砂等)は、掘削ヘッド1の3条の螺旋翼10に案内されて上向きに送られ、スクリューロッド5の螺旋翼に引き渡されて、該螺旋翼によって案内されつつ穴外に排出される。この掘削ヘッド1は、先端部以外の胴部の外径がほぼ等しくなっていて、掘削された穴壁によって軸心が維持されるので、穴曲がりが生じにくい。
【0017】
一方、掘削箇所の地中に岩石等が存在している場合は、掘削ヘッド1の刃先部(先端部)に配置されている多数のコニカルビット群が当該岩石に当接して衝撃を受ける。岩石は掘削されにくく、コニカルビットの刃先部に大きな抵抗力が負荷されるが、コニカルビットは、ホルダ21の軸回りに回転自在であるから、刃先の特定の部分に大きな力が作用することが避けられ、損傷が生じにくい。
【0018】
さらに、この掘削ヘッドは、3条の螺旋翼10a,10b,10cが軸心回りに等間隔(120度間隔)で設けられているので、先端部のビットの密度が高く、岩石等が存在しても断続的な衝撃は比較的小さい。このため、ビットの損傷が生じにくいのみならず、掘削装置100に上下方向の大きな振動等が生じず、掘削装置のトラブルや騒音の発生等も少なくてすむ。
【0019】
このように、岩石等に当接した時の衝撃を小さくする点では、螺旋翼の数が多いほど有利であるが、4条以上とすると、螺旋翼同士の間隔が小さくなり過ぎて、繰粉の排出に支障が生じるおそれがある。このため、螺旋翼の数は、3条とするのが最も好ましい。なお、以上の説明では、小形ビット20として、円錐状の刃先を有する軸回りに回転自在なコニカルビットを設けた例について説明したが、場合によっては、通常の硬質刃先部を有する固定式の小形ビットでもよい。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる掘削ヘッドは、スクリューロッドに取り付けられる軸の回りに3条の螺旋翼を並列に設け、その先端部にそれぞれ複数の小形ビットを設けたので、穴曲がりが生じず安定した掘削を効率よく行うことが可能である。また、螺旋翼が3条設けられており、ほぼ同じレベルに切り揃えられたその先端部に、それぞれ複数の小形ビットが設けられているので、掘削ヘッド刃先部のビットの密度が高く、掘削中に岩石に遭遇した場合にも断続的な衝撃が少なく、円滑に掘削を行うことができるようになった。なお、上記小形ビットとしては、円錐状の尖った刃先部を有し、該刃先部が軸回りに回転自在に保持されたコニカルビットを設けておくのが、損傷防止上好ましい。」
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2021-800104