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特許判定

2021-600014

強化ガラス

審判番号
2021-600014
法域
特許
審判種別
判定
出願番号
特願2017-514037外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月09日
審決日
2021年07月13日
公報発行日
2021年09月24日
結論
判定(属する)
当事者
審判長/審判官
分類
P12 .1 -YA (C03C)
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6675592号の判定請求事件について、次のとおり判定する。

結論

【結 論】
判定請求書の「5 請求の理由」「(4)イ号物件の説明」に示す「強化ガラス」は、特許第6675592号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する。

理由

目次 ▾ 14項目
【理 由】

第1 請求の趣旨及び手続の経緯

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1 請求の趣旨

本件判定の請求の趣旨は、判定請求書の「5 請求の理由」「(4)イ号物件の説明」に示す「強化ガラス」(以下これを「イ号物件」という。)が、特許第6675592号の請求項1に係る発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。

2 手続の経緯

特許第6675592号(以下、「本件特許」という。)に係る発明の手続の経緯は、2016年(平成28年) 3月29日(優先権主張 平成27年 4月23日)を国際出願日として出願され、令和 2年 3月13日に特許権の設定登録がされた。

その後、令和 3年 4月 9日に、被請求人を特定しない本件判定が請求され、同年 5月11日付けで請求人に審尋がされ、同年 5月25日付けで回答書(以下、「回答書」という。)が提出されたものである。

なお、被請求人が特定されない理由として、請求人は、回答書において、イ号物件の実施計画は請求人が取引先から入手したものであり、イ号物件を実施しようとする者(以下、「A社」と称する。)は特定できない状況にある旨、イ号物件は、市販されていないサンプル品であり、A社から請求人の取引先に対し売り込み提案されたものであり、取引先は、イ号物件と同等特性を有する製品の供給を請求人に打診し、その検討に際し必要となるイ号物件の特性情報を請求人に開示し、取引先が開示したイ号物件の特性情報は、判定請求書に記載のとおりのものであり、取引先が請求人との打ち合わせの場で提示し、その内容を請求人がメモにより記録したものである旨、取引先は、A社との商関係に鑑み、A社を特定する情報、イ号物件に関するA社作成の資料、並びにイ号物件現物等については、請求人への直接的な譲渡及び開示を拒否した旨、請求人は、入手した情報を保有特許と対比した結果、侵害の可能性を予見したものであり、本件判定請求の被請求人を「なし」とすることには合理的理由が存在する旨、主張している(回答書1.)。

第2 本件特許発明

請求人が上記判定を求める本件特許の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、構成要件ごとに分説し、アルファベットの大文字の符号を付すと、次のとおりである。以下、それぞれの構成要件を、「構成要件A」等という。

「【請求項1】
A 板厚が0.6mm以下であり、
B 化学強化による圧縮応力層を表面に有し、
C 内部に引張応力を有する
続きを表示(全11行)
D 強化ガラスであって、
圧縮応力層の圧縮応力値をCS[MPa]、圧縮応力層の深さをDOL[μm]、内部の引張応力の値をCT[MPa]、板厚をt[μm]としたときに、
CS≧670、
且つCT≦109.2、
且つCS×(DOL-20)/DOL>360、
且つ0.10≦DOL/t≦0.20
の条件を満たすことを特徴とする強化ガラス。」

第3 イ号物件

1 請求人によるイ号物件の特定

請求人は、判定請求書の「5 請求の理由」「(4)イ号物件の説明」においてイ号物件を以下のとおり特定している。

「イ号物件の強化ガラスは、板厚t=0.6mmであり、化学強化による圧縮応力層を表面に有し、内部に引張応力を有する強化ガラスである。詳述すると、圧縮応力層の圧縮応力値CSが720MPa、圧縮応力層の深さDOLが62μm、内部の引張応力の値CTが94MPaである。またメタ珪酸リチウム結晶が主結晶として析出した結晶化ガラスである。
イ号物件の強化ガラスは、ガラス組成として酸化物基準のモル百分率表示でSiO2 54.9%、Al2O3 1.1%、Li2O 34.1%、Na2O 1.8%、K2O 1.2%、ZrO2%、P2O5 2.3%含む」

ここで、請求人は、前記イ号物件の特定の証拠となる資料等を提出しておらず、更に回答書において、請求人はイ号物件の証拠を提出することができない旨、請求人が調査した限りにおいて、イ号物件は未だ市販されておらず、またプレスリリースされていないサンプル製品であり、イ号物件を客観的に特定したパンフレット等は公開されていない旨、前記第1の2に記載した事情により、請求人は、イ号物件現物並びに関連資料の入手手段を有していないので、取引先より入手したイ号物件に関する情報、すなわち判定請求書に記載された情報以上のものを持ち合わせておらず、前記説明の証拠等を提出できない旨、主張している(回答書2.)。

2 当審によるイ号物件の認定

請求人は、判定請求書の「5 請求の理由」「(4)イ号物件の説明」におけるイ号物件の特定の証拠となる資料等を提出していないこと及びその理由は前記1に記載のとおりであり、更に本件判定請求における被請求人が存在しないこと及びその理由は前記第1の2に記載のとおりであるから、当審は、請求人による前記1の特定に基づいてイ号物件を認定するものである。

そして、前記特定を本件特許発明の構成要件A~Dに対応させて整理すると、イ号物件は、以下の構成を具備するものと認められる(以下「構成ア」などという。)。

「ア 板厚t=0.6mmであり、
イ 化学強化による圧縮応力層を表面に有し、
ウ 内部に引張応力を有する
エ 強化ガラスであって、
圧縮応力層の圧縮応力値CSが720MPa、圧縮応力層の深さDOLが62μm、内部の引張応力の値CTが94MPaであり、またメタ珪酸リチウム結晶が主結晶として析出した結晶化ガラスであり、ガラス組成として酸化物基準のモル百分率表示でSiO2 54.9%、Al2O3 1.1%、Li2O 34.1%、Na2O 1.8%、K2O 1.2%、ZrO2%、P2O5 2.3%含む、強化ガラス。」

第4 当審の対比・判断

イ号物件が本件特許発明の構成要件AないしDを充足するか否かについて、構成要件Aをイ号物件の構成アに、構成要件Bを構成イに、のように順次対応させて、検討する。

(1)構成要件Aについて

イ号物件の構成アにおいて「板厚t=0.6mmであ」ることは、構成要件Aの「板厚が0.6mm以下であ」ることに合致するから、イ号物件の構成アは構成要件Aを充足する。

(2)構成要件Bについて

イ号物件の構成イと構成要件Bは、「化学強化による圧縮応力層を表面に有」する点で合致するから、イ号物件の構成イは構成要件Bを充足する。

(3)構成要件Cについて

イ号物件の構成ウと構成要件Cは、「内部に引張応力を有する」点で合致するから、イ号物件の構成ウは構成要件Cを充足する。

(4)構成要件Dについて

ア イ号物件の構成エにおける「強化ガラス」であって、「メタ珪酸リチウム結晶が主結晶として析出した結晶化ガラス」は、「強化ガラス」に含まれるものであり、更に本件特許発明に係る「強化ガラス」において「メタ珪酸リチウム結晶が主結晶として析出した結晶化ガラス」が除外されるものでもないから、イ号物件の「強化ガラス」であって、「メタ珪酸リチウム結晶が主結晶として析出した結晶化ガラス」は、「強化ガラス」である点で構成要件Dと合致する。

イ イ号物件の構成エにおいて、「圧縮応力層の圧縮応力値CSが720MPa、圧縮応力層の深さDOLが62μm、内部の引張応力の値CTが94MPaであ」ることは、「CS×(DOL-20)/DOL」を算出すると、「CS×(DOL-20)/DOL」=720×(62-20)/62=488であり、イ号物件の構成アにおいて「板厚t=0.6mmであ」ることを用いて、「DOL/t」を算出すると、「DOL/t」=62/600=0.103であるから、イ号物件は、構成要件Dの「圧縮応力層の圧縮応力値をCS[MPa]、圧縮応力層の深さをDOL[μm]、内部の引張応力の値をCT[MPa]、板厚をt[μm]としたときに、CS≧670、且つCT≦109.2、且つCS×(DOL-20)/DOL>360、且つ0.10≦DOL/t≦0.20」に合致する。

ウ 前記ア~イによれば、イ号物件の構成エは構成要件Dを充足する。

(6)まとめ

よって、イ号物件の構成アないし構成エは、いずれも本件特許発明の構成要件AないしDを充足するから、イ号物件は、本件特許発明の構成要件AないしDの全てを充足するものである。

第5 むすび

以上のとおり、請求人による特定に基づいて認定したイ号物件は、本件特許発明の構成要件AないしDの全てを充足するから、当該イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属する。

よって、結論のとおり判定する。

審決本文(J-PlatPat)

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