審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2021-018241

電子カルテシステムおよびプログラム

審判番号
2021-018241
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-533757外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月31日
審決日
2022年07月21日
公報発行日
2022年10月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G16H)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-533757「電子カルテシステムおよびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月 7日国際公開、WO2021/199197、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 16項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2020年(令和2年)3月30日を国際出願日とする出願であって、令和3年6月29日に手続補正がなされ、同年8月12日付けで拒絶理由が通知され、同年9月8日に手続補正がなされ、同年9月27日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月31日に拒絶査定不服審判の請求がされた。

その後、令和4年4月11日付けで当審より拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年6月13日に手続補正がなされた。

第2 原査定の概要

原査定(令和3年9月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

A.特開2015-201108号公報

B.国際公開第2005/045720号

C.特開2003-093350号公報

D.特開2008-276459号公報(周知技術を示す文献)

E.特開2019-105921号公報(周知技術を示す文献)

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2012-146029号公報

2.特開2003-93350号公報(原査定の引用文献C)

3.特開2008-276459号公報(原査定の引用文献D:周知技術を示す文献)

第4 本願発明

本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和4年6月13日になされた手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりである。

「 一又は複数のユーザ端末にネットワークを介して接続された電子カルテサーバを備え、動物の現病歴を記録するための電子カルテシステムであって、
前記ユーザ端末は、前記動物の現病歴を聴取する獣医師により入力操作されるものであり、
前記電子カルテサーバは、
前記ネットワークを介して前記ユーザ端末の表示部に、前記動物の体調および/または食欲に関する項目を含む現病歴の聴取項目ごとに、数値による尺度で聴取結果を入力するための数値尺度オブジェクトと、過去の聴取結果と現在の聴取結果との比較結果を入力するための比較オブジェクトとを表示するオブジェクト表示制御部を備え、
前記オブジェクト表示制御部は、前記数値尺度オブジェクト及び前記比較オブジェクトに対する前記獣医師による入力操作により得られる入力情報に基づいて前記オブジェクトの表示態様を変更させ、
前記聴取結果を入力するための前記数値尺度オブジェクト及び前記比較オブジェクトに対応する前記聴取項目には含まれていない聴取項目に関する聴取結果を入力するための追加入力フォームを表示するフォーム表示制御部と、
前記追加入力フォームへの入力された入力情報から、前記追加入力フォームに入力すべき内容として適切と考えられる情報を提示するサジェスト表示制御部と、
単語に紐付く病状及び前記病状の説明を記憶するデータベースとをさらに備え、
前記サジェスト表示制御部は、前記追加入力フォームに入力された単語に対応する前記病状及び前記入力された単語を含む前記病状の説明を提示する、
電子カルテシステム。」

なお、本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明5は、本願発明1のシステム発明に対応するプログラム発明である。

第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

(1)当審拒絶理由において引用した引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0021】
本願の第4発明による動物診療データ表示システムは、本願の第1ないし第3のいずれかの発明による動物診療データ表示システムにおいて、前記動物病院データベースには、さらに、動物病院のスタッフを特定する情報と当該スタッフのパスワードとが対応付けて記憶されており、前記端末制御部は、さらに、当該動物病院端末装置から入力された診療データを、動物病院サーバ装置を介して動物病院データベースに書き込むための処理であるスタッフモード処理を行うスタッフモード処理手段と、前記スタッフモード処理及び飼い主モード処理をそれぞれ可能化又は不能化する処理を行うモード制御手段と、を備え、前記スタッフモード処理手段は、動物病院端末装置から入力された患者動物を選択する情報に基づいて動物病院端末装置における処理の対象となる患者動物を指定する処理を行う患者動物指定手段と、指定された患者動物について動物病院端末装置から入力された診療データを動物病院サーバ装置に送信する処理を行う診療データ送信手段と、を備え、前記外部アクセス処理手段は、さらに、動物病院端末装置から送信された当該患者動物についての診療データを受信し、受信した当該患者動物についての診療データを動物病院データベースに書き込む処理を行う診療データ書き込み手段を備え、前記モード制御手段は、当該動物病院端末装置からスタッフモード処理へのログインを求める情報、動物病院のスタッフを特定する情報及びパスワードが入力されると、入力された動物病院のスタッフを特定する情報及びパスワードが動物病院データベースに相互に対応付けて記憶されたものと一致するか否かを判断し、一致する場合には、当該スタッフによるスタッフモード処理を可能化する処理を行うスタッフモードログイン手段と、スタッフモード処理の実行中に当該動物病院端末装置からスタッフモード処理からのログアウトを求める情報が入力されると、当該スタッフモード処理を不能化して当該スタッフモード処理からログアウトする処理を行うスタッフモードログアウト手段と、スタッフモード処理の実行中に当該動物病院端末装置から飼い主モード処理の開始を求める情報が入力されると、実行中のスタッフモード処理を不能化するとともに、当該スタッフモード処理において指定されている患者動物についての飼い主モード処理を可能化する処理を行う飼い主モード処理開始手段と、飼い主モード処理の実行中に当該動物病院端末装置から飼い主モード処理の終了を求める情報及びパスワードが入力されると、入力されたパスワードと現在ログインしている動物病院のスタッフを特定する情報とが動物病院データベースに相互に対応付けて記憶されたものと一致するか否かを判断し、一致する場合には、当該飼い主モード処理を不能化するとともに、当該スタッフによるスタッフモード処理を再度可能化する処理を行う飼い主モード処理終了手段と、を備え、前記飼い主モード処理手段における患者動物を指定する情報は、前記スタッフモード処理手段における患者動物指定処理手段において動物病院端末装置から入力された患者動物を選択する情報に基づいて指定されたものに限られること、を特徴とする。
【0022】
したがって、動物病院端末装置は、上記飼い主モード処理に加えて、動物病院データベースに診療データを書き込むための処理であるスタッフモード処理をも実行することができるよう構成され、これら2つのモードをそれぞれどのような条件で可能とするか不能とするかを制御するよう構成されている。
【0023】
すなわち、スタッフモード処理と飼い主モード処理とは相互に排他的に許容される処理として規定され、飼い主モード処理を行うためには、スタッフを特定する情報及びパスワード入力の必要なスタッフモード処理を経由しなければならず、スタッフモード処理から飼い主モード処理に移行する際にパスワード入力は必要ないが、その逆の場合はパスワード入力が必要であり、かつ、患者動物の指定変更を行うことができるのはスタッフモード処理においてのみとなるよう構成されている。
【0024】
このように構成することで、まず、動物病院のスタッフのみがスタッフモード処理にログインして患者動物の指定や診療データの書き込みを行なうことができるとともに、その後、動物病院端末装置を飼い主に貸与するのに先立って行われる飼い主モード処理への移行を迅速に行うことができる。また、飼い主は診療データを閲覧することができるが、その際、飼い主が誤って診療データを書き換えたり、他の飼い主の患者動物の診療データが閲覧されたりすることを防止することができる。さらに、閲覧が終わって返却された動物病院端末装置は、当該スタッフがパスワードを入力するだけで、スタッフを特定する情報を入力することなくスタッフモード処理を容易に再開することができる。
【0025】
つまり、1つの動物病院端末装置を、診療中に診療データの入力を行う動物病院のスタッフと、診療データの閲覧を行う来院中の飼い主とで共用することができ、その際に飼い主が誤って診療データを書き換えたり他の飼い主の患者動物の診療データを閲覧したりすることを防止しつつ、スタッフモード処理と飼い主モード処理との相互変更を可及的速やかに行うことができる。」
「【0039】
図1は、この発明の一実施形態による動物診療データ表示システムの構成を示すブロック図である。
【0040】
動物診療データ表示システム2は、動物病院サーバ装置4と、複数の動物病院端末装置6と、を備えており、動物病院サーバ装置4と各動物病院端末装置6とは、通信手段8を介して通信可能となっている。
続きを表示(全14行)
【0041】
図2は、動物病院サーバ装置4及び動物病院端末装置6のそれぞれ詳細な構成を含む動物診療データ表示システム2のブロック図である。
【0042】
図2に示すように、動物病院サーバ装置4は、動物診療データ表示システム2において実行される情報処理のうち当該動物病院サーバ装置4に割り振られた処理を実行するサーバ制御部10と、動物病院データベース16と、当該動物病院データベース16への診療データの入力等に用いられる入力装置46と、動物病院データベース16に記憶されている診療データの表示等に用いられる表示装置44とを備えている。
【0043】
動物病院データベース16は、ともに診療日時と対応付けられた患者動物の健康状態に関するデータ及び診療内容に関するデータを含む診療データを記憶するデータベースである。
【0044】
動物病院データベース16における患者動物の健康状態に関するデータは、複数の健康状態細目に関するデータに分けて記憶されている。また、動物病院データベース16には、動物病院のスタッフを特定する情報と当該スタッフのパスワードとが対応付けて記憶されている。
【0045】
動物病院データベース16は、ユーザー情報テーブル16aと、獣医師情報テーブル16bと、動物看護師情報テーブル16cと、患者情報テーブル16dと、飼い主情報テーブル16eと、診療情報テーブル16fと、を備えている。」
「【0092】
図6に示すように、端末コンピュータ6において動物診療データ表示システム2の端末コンピュータ6側のプログラム(以下、「端末アプリケーション」という。)が、起動されると、端末コンピュータ6のCPU62(図3参照)は、端末初期化処理を行う(ステップS21)。
【0093】
端末初期化処理において、CPU62は、無線ルーター8を介してのサーバコンピュータ4との通信の確立処理を行った上で、必要なデータをサーバコンピュータ4を介して動物病院データベース16から読み込んで、端末コンピュータ6の主記憶装置68又は補助記憶装置70に記憶したり、スタッフモード処理へのログイン(以下、単に「ログイン」ということがある。)のための初期画面を表示装置64に表示したりする処理を実行する。
続きを表示(全18行)
【0094】
スタッフモード処理とは、当該端末コンピュータ6から入力された診療データ(後述)を、サーバコンピュータ4を介して動物病院データベース16に書き込むための処理である。
【0095】
ステップS21において動物病院データベース16から読み込まれるデータは、図10Bに示す獣医師情報テーブル16b及び図10Cに示す動物看護師情報テーブル16cに記憶されたデータである。獣医師情報テーブル16bには、動物病院のスタッフである獣医師を特定する情報である獣医師IDと獣医師の氏名とログインパスワードとが対応付けて記憶されている。同様に、動物看護師情報テーブル16cには、同じく動物病院のスタッフである動物看護師を特定する情報である動物看護師IDと動物看護師の氏名とログインパスワードとが対応付けて記憶されている。
【0096】
図13は、このステップにおいて表示されるログインのための初期画面の一例を示す図面である。図13に示す画面130には、登録者選択ボタン131、パスワード入力域132、ログインボタン133が表示されている。
【0097】
図6に戻って、この画面130が表示された状態で、CPU62は、当該端末コンピュータ自身からの入力イベントの発生を監視しており(ステップS22、ステップS23)、入力イベントの発生を検知すると、現在、ログイン状態であるか否かを判断する(ステップS24)。
【0098】
ステップS24でログイン状態でないと判断した場合、CPU62は、ログインを許可するか否かを判断する(ステップS25)。
【0099】
すなわち、図13に示す画面130において、登録者選択ボタン131が押されると、CPU62は、ステップS21において読み込んだデータに基づいて、画面130の一部に、獣医師の氏名及び看護師の氏名、すなわち、スタッフの氏名を示す一覧表141を表示する。一覧表141の表示された画面140を図14に示す。
【0100】
一覧表141の中から、1のスタッフの指名が選択され、図13に示すパスワード入力域132にパスワードが入力され、その後、ログインボタン133が押されると、CPU62は、ステップS21において読み込んだデータに基づいて、当該入力されたスタッフの氏名に対応する獣医師ID又は動物看護師IDと、入力されたパスワードとが、獣医師情報テーブル16b又は動物看護師情報テーブル16cに相互に対応付けて記憶されているものと一致するか否かを判断し、一致する場合には、ログインを許可し、当該スタッフによるスタッフモード処理を可能化する。」
「【0113】
図8は、スタッフモード表示変更処理の詳細な流れを示すフローチャートである。スタッフモード表示変更処理において、CPU62は、まず、ペット選択ボタン151が押された場合の処理を行うか否かを判断する(ステップS51)。
【0114】
今回はペット選択ボタン151が押されたケースなので、CPU62は、入力されたペットを選択する情報に基づいて、当該端末コンピュータ6における処理対称となるペットを指定する処理を行ったうえ、選択された当該ペットを表示装置64に表示して、スタッフモード表示変更処理を終了する(ステップS52)。
続きを表示(全76行)
【0115】
図16は、図15に示す画面150において、ペット選択ボタン151が押されたときに表示装置64に表示される画面の一例を示す図面である。
【0116】
画面160には、ペット一覧表示領域161、動物種一覧表示領域162、品種一覧表示領域163、飼い主一覧表示領域164、飼い主番号入力領域165、動物番号入力領域166、電話番号入力領域167、絞込みボタン168、選択ボタン169が表示されている。
【0117】
画面160の動物種一覧表示領域162には、端末コンピュータ6の補助記憶装置70に予め記憶されている動物の種類(種、亜種)の一覧が表示される。品種一覧表示領域163には、動物種一覧表示領域162において選択された動物種に対応する品種が表示される。各動物種に対応する品種も、補助記憶装置70に予め記憶されている。
【0118】
飼い主一覧表示領域164には、ステップS26において読み込まれたデータに基づいて、飼い主氏名の一覧が表示される。
【0119】
飼い主番号入力領域165、動物番号入力領域166、電話番号入力領域167には、それぞれ、飼い主ID、ペットのカルテ番号、飼い主の電話番号が、それぞれ、入力可能となっている。なお、図示していないが、飼い主情報テーブル16eには、飼い主の電話番号が記載可能となっている。
【0120】
上記各一覧表示領域においてデータが選択され、及び/又は、各入力領域にデータが入力された状態で、絞込みボタン168が押されると、CPU62は、ステップS26において読み込んだデータに基づいて、該当するペットを抽出し、抽出されたペットについてペットの名前、動物種、品種、飼い主氏名の一覧を、ペット一覧表示領域161に表示する。
【0121】
ペット一覧表示領域161に表示されたペットのひとつが選択され、選択ボタン169が押されると、CPU62は、当該選択されたペットを、当該端末コンピュータ6における処理対称として指定するのである。図17は、このようにして指定されたペットが表示された画面170を示す図面である。
【0122】
画面170の上部には、指定されたペットのペット名、動物種、品種、飼い主名が表示される。
【0123】
画面170においては、全てのボタンが有効になっている。画面170において項目選択ボタン153が押されると、CPU62は、画面170の一部に選択項目一覧表示領域181を表示する。図18に、選択項目一覧表示領域181の表示された画面180を示す。
【0124】
選択項目一覧表示領域181は、健康状態区分一覧表示領域182及びコメント選択ボタン183を備えている。健康状態区分一覧表示領域182には、健康状態の区分が一覧表示されている。
【0125】
健康状態の区分とは、ペットの健康状態を類型化したものである。この実施形態においては、ペットの健康状態を複数の健康状態細目に分けて規定するとともに、これらの健康状態細目を、体重・一般状態、皮膚、心臓、嘔吐・下痢、尿・腎臓、その他、血液の数値の変動の7つの健康状態の区分に分けて把握している。健康状態細目と健康状態の区分との対応関係は予め定められ、補助記憶装置70に記憶されている。
【0126】
たとえば、健康状態細目のうち、体重、肥満度、元気・食欲は、「体重・一般状態」に対応付けられ、痒み、脱毛、赤み、臭い、多飲・多尿、体重、元気・食欲は、「皮膚」に、咳、呼吸状態、心雑音、体重、元気・食欲は、「心臓」に、嘔吐、下痢、体重、元気・食欲は、「嘔吐・下痢」に、出血、多飲、多尿、頻尿、体重、元気・食欲は、「尿・腎臓」に、跛行、神経症状、視覚、体重、元気・食欲は、「その他」に、血糖値、血液検査肝臓、血液検査腎臓、体重、元気・食欲は、「血液の数値の変動」に、それぞれ、対応付けられている。
【0127】
健康状態区分一覧表示領域182に表示された健康状態の区分のうち、たとえば「心臓」が選択されると、CPU62は、図19に示す、入力のための画面190を表示する(ステップS53、ステップS54)。
【0128】
画面190には、健康状態細目一覧入力領域191、保存ボタン194、キーボード入力領域195等が表示されている。
【0129】
健康状態細目一覧入力領域191には、当該健康状態の区分に対応する各健康状態細目について、それぞれ、レベル選択入力領域192又は数値入力領域193、並びに、クリアボタン196が表示されている。
【0130】
レベル選択入力領域192には、複数のレベルボタン192a~192eが表示されており、健康状態の良否を複数のレベルに段階分けして表す態様の健康状態細目に関するデータの入力に用いられる。複数のレベルボタン192a~192eには、たとえば、健康状態の良否のレベルを示す「よい」「少しよい」「ふつう」「少し悪い」「悪い」の文字が、それぞれ表示されている。レベル選択入力領域192にデータを入力するには、レベルボタン192a~192eのいずれかを押せばよい。
【0131】
この実施形態においては、数値入力領域193から入力されるデータ以外の健康状態細目に関するデータは、すべて、レベル選択入力領域192から入力される。
【0132】
数値入力領域193は、健康状態の良否を連続的な数値で表す態様の健康状態細目に関するデータ、たとえば、体重、血糖値、血液検査肝臓、血液検査腎臓に関するデータの入力に用いられる。数値入力領域193へのデータ入力には、キーボード入力領域195に表示された数値キー等を押せばよい。
【0133】
入力領域に入力された健康状態細目に関するデータを消去するには、当該入力領域に対応するクリアボタン196を押せばよい。なお、図19に示す画面190は、各入力領域に健康状態細目に関するデータが入力された状態を表している。この健康状態細目に関するデータは、担当獣医師自身が入力してもよいし、当該獣医師の指示により、担当動物看護師が入力してもよい。
【0134】
つぎに、図19に示す状態から、保存ボタン194が押されると、CPU62は、図7に示すステップS33において、当該端末コンピュータ6から入力された診療データの一態様としての健康状態細目に関するデータを動物病院データベース16に書き込むための処理であると判断して、当該診療データをサーバコンピュータ4に送信する(ステップS35)。
【0135】
診療データをサーバコンピュータ4に送信する際、レベル選択入力領域192に入力されたデータは、健康状態の良否のレベルを示す「よい」「少しよい」「ふつう」「少し悪い」「悪い」の文字にそれぞれ対応させた整数、たとえば、90,70,50,30,10に変換される。
【0136】
サーバコンピュータ4のCPU42は、無線ルーター8を介して、当該診療データを受信すると、上述の図5に示すステップS14を実行し、当該診療データを図12に示す診療データテーブル16fに書き込む。
【0137】
なお、診療データテーブル16fには、患者ID、獣医師ID、動物看護師ID、動物看護師ID2、診療ID、診療日時とともに、診療データ、並びに、飼い主コメントが、相互に対応付けて記憶されている。飼い主コメントは、飼い主コメント1、飼い主コメント2、飼い主手書き1及び飼い主手書き2により構成されている。
【0138】
上述のように、診療データは、健康状態に関するデータ及び診療内容に関するデータにより構成されている。健康状態に関するデータは、複数の健康状態細目に関するデータにより構成されている。
【0139】
この例では、体重、肥満度、元気・食欲、痒み、脱毛、赤み、臭い、咳、呼吸状態、心雑音、嘔吐、下痢、出血、多飲・多尿、頻尿、跛行、神経症状、視覚、血糖値、血液検査肝臓、血液検査腎臓に関する各データが、健康状態細目に関するデータに該当する。
【0140】
上述のように、健康状態細目に関するデータのうち体重、血糖値、血液検査肝臓、血液検査腎臓に関するデータ以外のデータは、健康状態の良否を複数のレベルで表す態様、この例では、90,70,50,30,10の5段階の整数で記憶されている。
【0141】
また、獣医師コメント1及び獣医師コメント2に記載されたデータが診療内容に関するデータに該当する。
【0142】
診療データを構成する各データには、当該データを書き込むためにログインしたスタッフを特定する情報、すなわち、獣医師ID,動物看護師ID等が記載された入力者特定データが付加されて、記憶される。この例では、診療データを構成する各データは、4桁の入力者特定データに続いて記憶されている。
【0143】
同様に、飼い主コメントを構成する各データには、当該データを書き込んだ飼い主を特定する情報、すなわち、飼い主IDが付加されて、記憶される。
【0144】
図18に戻り、画面180における選択項目一覧表示領域181のコメント選択ボタン183が押されると、CPU62は、獣医師コメント入力処理(すなわち、診療内容に関するデータの入力処理)が要求されたと判断し、図20に示す、コメント入力のための画面200を表示する(図8、ステップS55)。
【0145】
画面200には、獣医師コメント入力領域201、保存ボタン202、キーボード入力領域203等が表示されている。
【0146】
獣医師コメント入力領域201へのデータ入力には、キーボード入力領域203に表示された英文字キー等を押せばよい。獣医師コメントの内容はとくに限定されるものではないが、主として、当該診療日における診療内容、すなわち、施術内容、動物医薬品や療法食投与の内容、所見等により構成される。
【0147】
この獣医師コメントは、担当獣医師自身が入力してもよいし、当該獣医師の指示により、担当動物看護師が入力してもよい。このようにして入力された獣医師コメントが、診療内容に関するデータに該当する。
【0148】
獣医師コメント入力領域201にデータが入力された状態で保存ボタン202が押されると、CPU62は、図7に示すステップS33において、当該端末コンピュータ6から入力された診療データの一態様としての診療内容に関するデータを動物病院データベース16に書き込むための処理であると判断して、当該診療データをサーバコンピュータ4に送信する(ステップS35)。
【0149】
サーバコンピュータ4のCPU42は、無線ルーター8を介して、当該診療データを受信すると、図5に示すステップS14を実行し、当該診療データを図12に示す診療データテーブル16fに書き込む。このようにして、獣医師コメント入力処理(すなわち、診療内容に関するデータの入力処理)が行われる。
【0150】
なお、スタッフモード処理において、動物病院データベース16に書き込まれたデータは、必要に応じて読み出され、端末コンピュータ6の表示画面が更新される(ステップS36、ステップS37)。」

(2)以上の記載によれば、引用文献1には、次のとおりのシステムの発明(引用発明)が記載されている。

動物病院データベースに診療データを書き込むための処理であるスタッフモード処理と飼い主モード処理とを実行できる複数の動物病院端末装置と、動物病院データベース等を備える動物病院サーバ装置とが通信手段を介して通信可能となっている動物診療データ表示システムであって(【0040】【0022】【0042】)、

動物病院データベースは、診療情報テーブル等を備えており(【0045】)、

獣医師や看護師であるスタッフの一覧表から選択されたスタッフによるパスワード認証に基づくログインが許可されると、当該スタッフによるスタッフモード処理が可能となり(【0099】【0100】)、

指定されたペットのペット名、動物種、品種、飼い主名が表示された画面における健康状態の区分を一覧表示する選択項目一覧表示領域から、「体重・一般状態」や「心臓」等の健康状態の区分を選択することによって、当該健康状態の区分に対応する「元気・食欲」等の各健康状態細目について、それぞれ、たとえば、健康状態の良否のレベルを示す「よい」「少しよい」「ふつう」「少し悪い」「悪い」の文字が表示されている複数のレベルボタン等が表示されているレベル選択入力領域等が表示された健康状態細目一覧入力領域が表示され(【0120】~【0130】)、健康状態細目に関するデータが入力された状態ではレベルボタンのうち押されたものと押されないものとが区別される態様で表示されており(図19)、この健康状態細目に関するデータは担当獣医師等によって入力されるものであり(【0133】)、

保存ボタンが押されると、当該端末コンピュータから入力された診療データの一態様としての健康状態細目に関するデータが動物病院データベースに書き込まれるべく、送信され(【0134】)、その際、レベル選択入力領域に入力されたデータは、健康状態の良否のレベルを示す「よい」「少しよい」「ふつう」「少し悪い」「悪い」の文字にそれぞれ対応させた整数、たとえば、90,70,50,30,10に変換され(【0135】)、

選択項目一覧表示領域からコメント選択ボタンが押されると、獣医師コメント入力領域等を表示するコメント入力のための画面が表示され(【0144】【0145】)、獣医師コメントの内容はとくに限定されるものではないが、主として、当該診療日における診療内容、すなわち、施術内容、動物医薬品や療法食投与の内容、所見等により構成されるものであり(【0146】)、この獣医師コメントは、担当獣医師等が入力するものであり(【0147】)、

動物病院データベースの診療データテーブルにおいて、診療データは、健康状態に関するデータ及び診療内容に関するデータにより構成され、健康状態に関するデータは、複数の健康状態細目に関するデータにより構成されており(【0138】)、健康状態細目に関する一部のデータは、健康状態の良否を複数のレベルで表す態様、この例では、90,70,50,30,10の5段階の整数で記憶され(【0140】)、診療内容に関するデータには獣医師コメント等が該当するものであり(【0141】)、

スタッフモード処理において、動物病院データベースに書き込まれたデータは、必要に応じて読み出され、端末コンピュータ6の表示画面が更新される(【0150】)、

システム。

2.引用文献2、引用文献3について

(1)引用文献2について

ア 当審拒絶理由において引用した引用文献2(原査定の引用文献C)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の従来技術によれば、図8に示すS10のとおり、患者は医師の前で緊張や遠慮があり、さらには患者の表現力には個人差が存在するため、正確な病状を伝える事が難しかった。図8に示すS11のとおり、病気の重症度評価に医師の主観が入りこみ、正確な診断が行い難く、また診療録には医師が叙述的に記載し、記載方法も統一されていなかった。さらに図8に示すS12のとおり、病状の経過を把握しようとした場合、経過期間中の診療録の記述を通読して判断しなければならず、多大な時間と労力を要していた。他の医療スタッフや患者が病状経過を把握しようとする場合も、診療録は手書きのため乱筆などで判読困難なことも多く見られていた。これらの病状評価の困難さのために治療の有効性の実証的な評価は日常臨床において不可能であった。そこで、この発明は、自覚的症状の重症度を定量的かつ、日常臨床において実用的に把握すること、簡便に自覚的症状の重症度の経過図を提供すること、治療効果の定量的で簡便な解析を課題とする。」
「【0005】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して、この発明の一実施形態を示す。まず全体の流れについて述べる。図1は本発明による自覚的病状評価システムの構成を示した図、図2は患者による自覚的症状の入力から、経過図作成、データ解析に至るフローチャートである。まず、図2に示すステップS1のとおり、患者は待合室または病室(図1の1)にて病状を患者入力用端末(図1の4)に入力する。入力方法の詳細については後述する。入力された患者病状情報はホストコンピュータ(図1の7)に無線で転送される(図2のステップS3)。同様に図2に示すステップS2のとおり、薬剤師、医師などの医療スタッフによる投与薬、診断などの病状以外の情報を医療データ入力室(図1の2)において医療データ入力用端末(図1の5)から入力する。これもまたホストコンピュータ(図1の7)内のデータベースに転送される(図2のステップS3)。ホストコンピュータ(図1の7)内で自動的に病状経過のグラフ(後述)、治療データの解析結果(後述)を作成し(図2のステップS4)、診察室(図1の3)において診察室表示用端末(図1の6)に転送(図2のステップS5)し表示する(図2のステップS6)。次に個々の入力方法とその結果を見ていく。まず患者の入力方法から説明する。図3に示す患者入力用携帯端末画面で、患者は自分の自覚する病状が前回と比較して「良くなっている」8か、「変わらない」9か、「悪くなっている」10か選択する。選択方法はタッチパネル方式のコンピュータ画面上に表示されているそれぞれのボタン(8、9、10)に直接触れることで自動的に入力される仕組みになっている。次に図4に示す患者入力用携帯端末画面のとおり、患者は現在の自覚的な病状を「調子はよい(最良の健康状態)」11から「非常に悪い(最悪の健康状態)」14までを10等分した尺度13を示され、自分の病状に相当する目盛りにあるチェックボックス12に触れてチェックを入れる。チェックはコンピュータによって0点から10点に点数化され、自覚的症状の定量化が可能となる。この手法はVisual Analogue Scale(以下VASスケールと記載) と呼ばれ、主観的な情報を定量化するために研究目的などで広く使用され、信頼性も高いとされているものである。これら2つの患者病状情報を使って病状の経過をグラフにしたものが図5である。グラフは縦軸にVASスケールの点数15を、横軸に入力した日付16をとり、時間経過での点数変化を示したものである17。点数が高いほど病状が不良であることが示される。さらに図5上部の矢印18は病状の変化を示したものである。上向きの矢印が悪化を、横向きが不変を、下向きの矢印が軽快を示している。これによりVASスケールが10点満点で推移してもその間の病状変化を知ることができる。次に医療スタッフによる投与薬、診断などの病状以外の情報を入力する画面を図6に示す。患者19ごとに投与薬剤名20、疾患名21、合併症22などを入力する。図7はこれらの情報と、先ほどの患者の病状データから求めた罹病期間をもとに、疾患23、合併症24、使用薬剤25別の平均罹病期間26を求めた解析結果である。同一条件でどの薬剤が最も治療効果が高いかを知ることができる。」

イ アの記載によれば、引用文献2には、次のとおりの技術的事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

診療録の記載方法の不統一や医師の乱筆による診療録の判読困難等の従来技術における課題を踏まえ、(a)患者入力画面において、VASスケールの目盛りにあるチェックボックスに触れてチェックを入れることでコンピュータにより点数化されて定量化された患者の自覚症状の情報と、(b)患者入力画面において、自分の自覚する症状が前回と比較して「良くなっている」か「変わらない」か「悪くなっている」かを患者が画面上に表示されたボタンに触れて選択することで入力された情報と、の2つの患者病状情報を用いて、(a)に対応する時間経過によるVASスケールの点数変化と(b)に対応する矢印によって示される病状の変化とを表示すること。

(2)引用文献3について

当審拒絶理由において周知例として引用した引用文献3(原査定の引用文献D。【0002】~【0005】、【0056】~【0058】、図5。摘記省略。)によれば、次の技術は周知技術であるといえる。

入力された内容に応じて「入力すべき内容として適切と考えられる情報」を予測してサジェストする機能。

3.原査定の引用文献について

(1)引用文献Aについて

引用文献A(【0008】、【0028】、【0066】-【0078】、【0091】-【0096】、図1、図10-12、図14。摘記省略。)には、診療記録作成支援システムに関し、サーバ装置1(本願の電子カルテサーバ)と医療機関端末3(本願のユーザ端末)とが通信ネットワーク2で接続されていること、医療機関端末3の表示装置35に主訴情報を入力するためのシェーマ図や主訴ウィンドウ100、主訴情報入力ウィンドウ102等を表示させること、医療従事者の入力操作により得られる入力情報に基づき当該主訴ウィンドウ100や主訴情報入力ウィンドウ102の表示態様を変更させることが記載されている。

さらに、当該診療記録作成支援システムが動物を診察する際にも使用されること、過去の複数の電子カルテの一覧を表示し、当該一覧の中から選んだ電子カルテに紐付くシェーマ図を表示すること、主訴情報ウィンドウ102のタブ104を選択することにより、主訴の開始時期を入力可能な入力部を表示すること、画面上のツールボックスアイコン134をクリックすることにより、メモ入力のためのアイコンが表示され、当該アイコンを操作することによりメモが記入可能となること、も記載されている。

(2)引用文献Bについて

引用文献B(【0121】、【0133】、図5a。摘記省略。)には、電子カルテの入力画面において、鼻づまりや腹痛等の体調に関する入力に基づき、数値尺度(-、±、+、++は、数値尺度と同義である)オブジェクトの表示態様を変更させることが記載されている。

(3)引用文献Eについて

引用文献E(【0042】-【0067】、図5、6。摘記省略。)は、上記2(2)の引用文献3とともに、診断結果を端末上で記入するにあたって、文字入力時に当該文字から将来記載される内容を予測し、当該予測結果を提示することが周知技術である旨を示すために提示された文献である。

第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「診療データ」は、担当獣医師等が入力する健康状態細目に関するデータ等である健康状態に関するデータ及び獣医師コメント等である診療内容に関するデータであるから、本願発明1の「動物の現病歴」に相当する内容を含むものといえる。そして、引用発明の「動物病院データベースの診療データテーブル」は、動物の現病歴を記録したものであるから、本願発明1の「電子カルテ」に相当し、引用発明の「システム」は、下記の相違点を除いて、本願発明1の「電子カルテシステム」に相当する。

引用発明の電子カルテシステムにおける「複数の動物病院端末装置」及び「動物病院サーバ装置」は、それぞれ本願発明1の電子カルテシステムにおける「一又は複数のユーザ端末」及び「電子カルテサーバ」に相当する。また、引用発明の「担当獣医師等」は、本願発明1の「動物の現病歴を聴取する獣医師」に相当する。

イ 引用発明の「健康状態細目」は、「健康状態の区分に対応」する「元気・食欲」等であり、本願発明1の「動物の体調および/または食欲に関する項目を含む」ものである「現病歴の聴取項目」に相当する。そして、引用発明の「健康状態の良否のレベルを示す「よい」「少しよい」「ふつう」「少し悪い」「悪い」の文字が表示されている複数のレベルボタン」は、「現病歴の聴取項目」ごとにレベルを示す文字に対応させた整数を電子カルテに入力するためのものであるといえるから、本願発明1の「現病歴の聴取項目ごとに、数値による尺度で聴取結果を入力するための」ものである「数値尺度オブジェクト」に相当する。

ウ 引用発明では、健康状態細目に関するデータが入力された状態ではレベルボタンのうち押されたものと押されないものとが区別される態様で表示されるものであり、さらに、動物病院データベースに書き込まれたデータが必要に応じて読み出されて端末コンピュータの表示画面が更新されるから、本願発明1と引用発明とは、「数値尺度オブジェクト」に対する「動物の現病歴を聴取する獣医師」による「入力操作」により得られる「入力情報」に基づいて「数値尺度オブジェクト」の「表示態様を変更させ」るものである点で、共通している。

エ 引用発明は、獣医コメントや飼い主コメントの入力画面を表示し、入力されたこれらの診療データテーブルへの記憶を行うものであることから、入力オブジェクトに対応する聴取項目に含まれていない聴取項目に関する聴取結果を入力するためのフォームを表示するものといえ、本願発明1と同様に、「前記聴取結果を入力するための前記数値尺度オブジェクト及び前記比較オブジェクトに対応する前記聴取項目には含まれていない聴取項目に関する聴取結果を入力するための追加入力フォームを表示するフォーム表示制御部」を備えるものといえる。

(2)一致点と相違点

(1)によれば、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>

一又は複数のユーザ端末にネットワークを介して接続された電子カルテサーバを備え、動物の現病歴を記録するための電子カルテシステムであって、

前記ユーザ端末は、前記動物の現病歴を聴取する獣医師により入力操作されるものであり、

前記電子カルテサーバは、

前記ネットワークを介して前記ユーザ端末の表示部に、前記動物の体調および/または食欲に関する項目を含む現病歴の聴取項目ごとに、数値による尺度で聴取結果を入力するための数値尺度オブジェクトを表示するオブジェクト表示制御部を備え、

前記オブジェクト表示制御部は、前記数値尺度オブジェクトに対する前記獣医師による入力操作により得られる入力情報に基づいて前記オブジェクトの表示態様を変更させ、

前記聴取結果を入力するための前記数値尺度オブジェクト及び前記比較オブジェクトに対応する前記聴取項目には含まれていない聴取項目に関する聴取結果を入力するための追加入力フォームを表示するフォーム表示制御部、を備える、

電子カルテシステム。

<相違点>

(相違点1)

本願発明1においては、オブジェクト表示制御部において表示されその表示態様を変更させられるオブジェクトが「数値尺度オブジェクト」に加えて「過去の聴取結果と現在の聴取結果との比較結果を入力するための比較オブジェクト」であるのに対し、引用発明においては、「数値尺度オブジェクト」のみである点。

(相違点2)

本願発明1は、「前記追加入力フォームへの入力された入力情報から、前記追加入力フォームに入力すべき内容として適切と考えられる情報を提示」し「前記追加入力フォームに入力された単語に対応する前記病状及び前記入力された単語を含む前記病状の説明を提示する」ものである「サジェスト表示制御部」と「単語に紐付く病状及び前記病状の説明を記憶するデータベース」とをさらに備えているのに対して、引用発明は、これらを備えていない点。

(2)相違点についての判断

事案に鑑みて、上記相違点2について検討する。相違点2に係る本願発明1の構成は、上記引用文献1-3に記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。上記「第5」「2」の「(2)引用文献3について」に記載したとおり、入力された内容に応じて「入力すべき内容として適切と考えられる情報」を予測してサジェストする機能は周知技術であるといえるものの、これを引用発明及び引用文献2記載の技術的事項と組み合わせても、「単語に紐付く病状及び前記病状の説明を記憶するデータベース」をさらに備えて「前記サジェスト表示制御部は、前記追加入力フォームに入力された単語に対応する前記病状及び前記入力された単語を含む前記病状の説明を提示する」という構成には想到しない。

したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2-4について

本願発明2-4は、本願発明1の上記相違点2と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3.本願発明5について

本願発明5は、本願発明1の上記相違点2と対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2記載事項及び引用文献3記載の周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断

令和4年6月13日になされた手続補正による補正後の本願発明1-4は、「第6」で検討した本願発明1の相違点2に係る構成を有し、同補正後の本願発明5は、「第6」で検討した本願発明1の相違点2に対応する構成を有するところ、原査定における引用文献A-Eには、この点が開示されていない。

よって、本願発明1-5は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Eに基づいて容易に発明をすることができたものではなく、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-018241

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決3件(株式会社PECO)
  • 2022-001730拒絶査定不服審判 / 2022-07-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)動物患者用電子カルテの提供方法
    同じ当事者: 株式会社PECO
  • 2022-001363拒絶査定不服審判 / 2022-04-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)予約受付システム、プログラムおよび方法
    同じ当事者: 株式会社PECO
  • 2018-890081無効審判 / 2019-12-26 / 請求不成立ニャンチューバー、ニャン、チューバー
    同じ当事者: 株式会社PECO
同じ論点・分野の審決(審決分類)155件(121・G16H)
  • 2025-011831拒絶査定不服審判 / 2026-08-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)ユーザフィードバックシステム及び方法
    共通の審決分類: 121・G16H
  • 2025-013016拒絶査定不服審判 / 2026-08-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)電子カルテシステム及び電子カルテプログラム
    共通の審決分類: 121・G16H
  • 2025-005812拒絶査定不服審判 / 2026-07-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)問題推奨方法及びその装置及びそのシステム、及び電子機器、読み取り可能な記憶媒体
    共通の審決分類: 121・G16H
  • 2024-019781拒絶査定不服審判 / 2026-05-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)療法の採否を予測するシステムおよび方法
    共通の審決分類: 121・G16H
  • 2025-009419拒絶査定不服審判 / 2026-04-15 / 原査定取消(特許/登録すべき)救急隊支援装置、救急隊支援システム、救急隊支援方法およびコンピュータプログラム
    共通の審決分類: 121・G16H

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存