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特許拒絶査定不服審判

2021-017919

電動機及び圧縮機

審判番号
2021-017919
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-073612外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月24日
審決日
2023年03月17日
公報発行日
2023年06月30日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (H02K) / P18 .537-WZ (H02K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020- 73612「電動機及び圧縮機」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 8月27日出願公開、特開2020-129959〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成23年3月19日に出願された特願2011-61824号の一部を、平成26年1月16日に新たな特許出願とした特願2014-5755号の一部を、平成26年12月3日に新たな特許出願とした特願2014-244863号の一部を、平成30年7月18日に新たな特許出願とした特願2018-134853号(以下「原出願」という。)の一部を、令和2年4月16日に新たな特許出願としたものであって、手続の経緯は概ね以下のとおりである。

令和3年 3月23日付け 拒絶理由通知書

令和3年 4月26日 意見書の提出

令和3年10月20日付け 拒絶査定

令和3年12月24日 審判請求書、手続補正書の提出

令和4年10月14日付け 拒絶理由通知書

令和4年11月29日 意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の特許請求の範囲の請求項1ないし6に係る発明は、令和4年11月29日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「円筒状の回転子鉄心の外周縁に沿って、平板形状の永久磁石を埋め込んだ永久磁石埋込型の電動機であり、
鉄、ネオジウム、ボロン及びディスプロシウムを含むネオジウム希土類磁石であって、ディスプロシウムの含有量が4重量%以下3重量%以上のネオジウム希土類磁石を用いる回転子を有し、弱め界磁制御で駆動する6極の電動機。」

第3 拒絶の理由

令和4年10月14日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)のうち、理由1(新規性)及び理由3(サポート要件)は、次の理由を含むものである。

理由1(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。

理由3(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●分割要件について

本願の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項は、原出願(特願2018-134853号)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、それぞれ、「原出願当初明細書」などといい、これらをまとめて「原出願当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内であるとはいえないので、本願は分割要件を満たしていない。

よって、本願は出願の分割による出願日の遡及を認めることができないから、新規性等の判断は、現実の出願日である令和2年4月16日を基準日として行う。

●理由1(新規性)について

請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明は相違するところがないから、請求項1に係る発明は引用文献1に記載された発明である。

●理由3(サポート要件)について

請求項1に「ディスプロシウムの含有量が4重量%以下3重量%以上」と記載されているところ、請求項1は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものとなっている。

以上によれば、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

(引用文献等一覧)

1.特開2018-166401号公報 (原出願に係る公開特許公報)

第4 拒絶の理由についての判断

1 分割要件について

(1)本願の特許請求の範囲及び明細書に記載された事項は、以下の点で、原出願当初明細書等に記載された事項の範囲内にないため、適法な分割出願とは認められず、出願日は遡及しない。

本願の請求項1には、回転子におけるディスプロシウムの含有量について「3重量%以上」と記載され、また、本願の発明の詳細な説明の段落0015には「本開示に係る電動機は、円筒状の回転子鉄心の外周縁に沿って、平板形状の永久磁石を埋め込んだ永久磁石埋込型の電動機であり、鉄、ネオジウム、ボロン及びディスプロシウムを含むネオジウム希土類磁石であって、ディスプロシウムの含有量が4重量%以下3重量%以上のネオジウム希土類磁石を用いる回転子を有し、弱め界磁制御で駆動する6極の電動機である。」(改行、空白を省略した。以下同様。)と記載されており、ディスプロシウムの含有量について下限も特定されている。

しかし、原出願当初明細書等の段落0015に「前記圧縮要素を駆動し、鉄、ネオジウム、ボロン及びディスプロシウムを含むネオジウム希土類磁石であって、ディスプロシウムの含有量が4重量%以下のネオジウム希土類磁石を用いる回転子を有し、」と記載されているものの、ディスプロシウムの含有量について下限は特定されていない。また、原出願当初明細書等の段落0069に「図20は実施の形態1を示す図で、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量と極数との関係図である。図20より、極数を大きくすることで、減磁耐力の面からDy含有量を低減した設計が可能となる。6極の場合、Dy含有量を最大4重量%以下に抑制した永久磁石が使用できる。同様に、8極の場合Dy含有量を最大3重量%以下、10極の場合Dy含有量を最大2重量%以下に抑制した永久磁石が使用可能となる。」と、また、原出願当初明細書等の段落0072に「上記のように減磁耐力向上のため、6極の場合Dy含有量を最大4%以下、8極の場合Dy含有量を最大3重量%以下、10極の場合Dy含有量を最大2重量%以下に低減すると、永久磁石の残留磁束密度が向上する。そのため、電動機のサイズを縮小でき、鉄損、及び、銅損を低減できる。」等といった記載があるのみで、6極の場合、Dy含有量(ディスプロシウムの含有量)を「4重量%以下3重量%以上」とするということは原出願当初明細書等には何ら記載されていない。

また、原出願当初明細書等の図20に示されるグラフを参酌するも、例えば6極の場合、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)が4重量%近傍で、かつ、4重量%より小さいところに位置することが示されていることから、必要なDy含有量を4重量%程度まで減らすことが可能となったことが解されるのみである。すなわち、原出願当初明細書等の段落0014に示される「電動機に使用する希土類磁石に含有されるDy(ディスプロシウム)量を少なくしても減磁耐力がある圧縮機を提供する」ことを課題とする発明において、1.5%減磁率を確保できないような、6極の場合において1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)よりも小さい「3重量%以上」とすること、つまり、6極の場合において1.5%減磁率を確保できないDy含有量でもよいことが技術思想として示されている、自明であると理解することはできない。したがって、「3重量%以上」とすることは、原出願当初明細書等に記載されたものではなく、また原出願当初明細書等の記載から自明の事項であるともいえない。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、令和4年11月29日提出の意見書(以下、「意見書」という。)で、「段落「0068」には、「極数が大きいほど保磁力の低い、すなわち、Dy含有量の少ない磁石を使用する」ことが記載されている。この記載から、8極の場合には、6極の場合よりもDy含有量の少ない磁石を使用することを意図していることが分かる。言い換えれば、6極の場合には、8極の場合以上のDy含有量の磁石を使用することを意図していることが分かる。段落「0069」には、「8極の場合Dy含有量を最大3重量%以下」と記載されている。上述したように、6極の場合には、8極の場合以上のDy含有量の磁石を使用するのであるから、6極の場合には、Dy含有量は3重量%以上になることが読み取れる。したがって、請求項1の「ディスプロシウムの含有量が4重量%以下3重量%以上」という記載における「3重量%以上」は、当初明細書に記載された範囲である。」と主張する。

しかし、原出願当初明細書の段落0068~0069には、図17及び図20から得られた結果に基づく検討内容について、例えば6極の場合では1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量を4重量%程度まで抑制できることが示されているのみで、1.5%減磁率を確保できないDy含有量(例えば3重量%)でもよいことなど何ら示されていない。そして、上記(1)で示したように、図20には、6極の場合、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)が4重量%近傍で、かつ、4重量%より小さいところに位置することが示され、また、図20から、Dy含有量が3重量%では1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)を下回ることが理解されるのみで、図20において、6極の場合に、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)を下回る値を含む「Dy含有量は3重量%以上」とすることは、記載も示唆もされていない。

したがって、原出願当初明細書等から、6極の場合には、Dy含有量は3重量%以上になることを読み取ることはできず、請求人の主張は、採用することができない。

イ また、請求人は意見書で、「(A)Dy含有量による保磁力向上幅

段落「0034」に記載された通り、常温保磁力は1000A/m程度である。1000A/m程度であるから、100A/mの幅があるとすると、常温保磁力は950~1050A/mである。

段落「0034」には、「必要保磁力(1100~1500A/m程度)を得るために、6~8重量%のDy元素を添加していた」と記載されている。段落「0033」には、「150℃の雰囲気温度中で前記保磁力(1100~1500A/m程度)を保証するためには、常温保磁力を1800~2300A/m程度に設計する必要がある」と記載されている。この記載からDy元素を6重量%添加した場合には、常温保磁力が1800A/m程度になり、Dy元素を8重量%添加した場合には、常温保磁力が2300A/m程度になることが分かる。上記と同様に、100A/mの幅があるとすると、Dy元素を6重量%添加した場合には、常温保磁力が1750~1850A/mになり、Dy元素を8重量%添加した場合には、常温保磁力が2250~2350A/mになる。

ここで、950A/m+6%×150A/(m・%)=1850A/mであり、950A/m+8%×150A/(m・%)=2250A/mである。つまり、段落「0033」、「0034」の記載から読み取られる「Dy元素を6重量%添加した場合には、常温保磁力が1750~1850A/mになり、Dy元素を8重量%添加した場合には、常温保磁力が2250~2350A/mになる」という関係を満たすには、1重量%あたり、保磁力が約150A/m向上することになる。

まとめると、明細書には、1重量%あたり、保磁力が約150A/m向上することが表されている。」と主張する。

しかし、常温保磁力に関し、「100A/mの幅があるとする」ことについて、原出願当初明細書等に何ら記載も示唆もされておらず、そのように設定する理由はない。

また、「Dy元素を6重量%添加した場合には、常温保磁力が1800A/m程度になり、Dy元素を8重量%添加した場合には、常温保磁力が2300A/m程度になる」との理解に基づき、必要な常温保磁力である「1800~2300A/m」の範囲から外れた範囲も含まれる、「100A/mの幅があるとすると、Dy元素を6重量%添加した場合には、常温保磁力が1750~1850A/mになり、Dy元素を8重量%添加した場合には、常温保磁力が2250~2350A/mになる」とすることは、そもそも、原出願当初明細書の発明の詳細な説明の段落0033に示される「150℃の雰囲気温度中で前記保磁力(1100~1500A/m程度)を保証するためには、常温保磁力を1800~2300A/m程度に設計する必要がある」という記載に基づかない主張であり、前提に誤りがある。

さらに、「950A/m+6%×150A/(m・%)=1850A/mであり、950A/m+8%×150A/(m・%)=2250A/mである。」について、「950A/m+8%×150A/(m・%)=2250A/m」の計算に誤りがあり、正しくは、「950A/m+8%×150A/(m・%)=2150A/m」であると理解されるところ、そうすると、「1重量%あたり、保磁力が約150A/m向上する」ものは、上記主張の「Dy元素を8重量%添加した場合には、常温保磁力が2250~2350A/mになる」という関係を満たす」ものではない。

よって、原出願当初明細書の発明の詳細な説明から、「1重量%あたり、保磁力が約150A/m向上すること」を導くことはできず、請求人の上記主張は、採用することができない。

ウ さらに、請求人は意見書で、「(B)各極数における保磁力

(A)で説明した保磁力向上幅に基づき計算された請求項1-3に記載された各極数における保磁力は以下のようになる。

(請求項1に記載された6極の場合)

3重量%~4重量%である。そのため、保磁力下限値は、950A/m+3%×150A/(m・%)=1400A/mであり、保磁力上限値は、1050A/m+4%×150A/(m・%)=1650A/mである。

(請求項2に記載された8極の場合)

2重量%~3重量%である。そのため、保磁力下限値は、950A/m+2%×150A/(m・%)=1250A/mであり、保磁力上限値は、1050A/m+3%×150A/(m・%)=1500A/mである。

(請求項3に記載された10極の場合)

1.6重量%~2重量%である。そのため、保磁力下限値は、950A/m+1.6%×150A/(m・%)=1190A/mであり、保磁力上限値は、1050A/m+2%×150A/(m・%)=1350A/mである。」と主張する。

しかし、上記イで検討したように、原出願当初明細書の発明の詳細な説明から、「1重量%あたり、保磁力が約150A/m向上すること」を導くことはできないから、「1重量%あたり、保磁力が約150A/m向上すること」を前提として計算された、保磁力下限値及び保磁力上限値を意味あるものとは認められず、請求人の上記主張は採用できない。

エ また、請求人は意見書で、「(C)磁石温度の上昇

磁石に磁場が鎖交すると、電磁誘導の法則により磁石に渦電流が発生する。磁石は電気抵抗を持つので、渦電流が流れたときにエネルギー損失が発生する。このエネルギー損失を磁石渦電流損失と呼ぶ。磁石渦電流損失が大きければ、磁石温度が雰囲気温度を超えて上昇するケースがある。磁石渦電流損失の大きさは使用状況に依存する。一般的に電動機動作中の磁石温度は雰囲気温度よりも最大10℃程度高くなる場合があることが知られている。雰囲気温度よりも磁石温度が高くなる場合には、必要な保磁力が大きくなる。磁石温度が雰囲気温度と同じときが最も保磁力が小さくてよい状況であり、磁石温度が雰囲気温度よりも10℃程度高くなったときが最も保磁力を大きくすることが必要な状況である。

ここで、段落「0032」には、「一般的な圧縮機では電動機の雰囲気温度上限は150℃程度である。一般的な圧縮機では電動機は、常温20℃から常温20℃に対して130℃程度の温度上昇した上限(150℃程度)の範囲で使用される。従って、例えば、-0.5%/ΔKの温度係数では、永久磁石の保磁力は65%低下することになる。」と記載されている。

この記載から、雰囲気温度が150℃であるとし、温度係数は-0.5%/ΔKであり、常温は20℃であるとする。雰囲気温度と磁石温度との温度差をXとする。すると、式1が成立する。

<式1>常温時保磁力上限値×(100%-0.5%×(150+X-20))=常温時保磁力下限値×(100%-0.5%×(150-20))

左辺は磁石温度=雰囲気温度+X℃のときについて当該磁石温度(高温時)における保磁力を求めている。右辺は磁石温度=雰囲気温度のときについて当該磁石温度(高温時)における保磁力を求めている。どちらも同程度の保磁力=同程度の減磁耐力になるようにして、(常温)保磁力上限値と(常温)保磁力下限値が導出される。ここで、Dy含有率を変えることにより保磁力(減磁耐力)が変動する。そのため、式1の左辺と右辺が一致する。

各極数について(B)で計算された保磁力下限値及び保磁力上限値に基づき、温度差Xを計算すると、どの極数でも概ね10℃になる。このことから、各極数について、保磁力上限値が、磁石温度が雰囲気温度よりも10℃程度高くなったときの保磁力であるとすると、保磁力下限値が、磁石温度が雰囲気温度と同じときの保磁力として適切な値であることが分かる。」と主張する。

しかし、「<式1>常温時保磁力上限値×(100%-0.5%×(150+X-20))=常温時保磁力下限値×(100%-0.5%×(150-20))」について、原出願当初明細書等に何ら記載も示唆もされていない。そもそも、「保磁力上限値」及び「保磁力下限値」という字句について、原出願当初明細書等には何ら記載も示唆もされていないところ、まして、「保磁力上限値」と「保磁力下限値」の両者の関係について、原出願当初明細書等に何ら記載も示唆もされていない。

そして、原出願当初明細書の段落0032の記載を勘案しても、<式1>を導くことはできない。

したがって、上記<式1>の成立に基づく、請求人の上記主張は、原出願当初明細書等の記載に基づくものではなく、採用することができない。

なお、請求人の「各極数について(B)で計算された保磁力下限値及び保磁力上限値に基づき、温度差Xを計算すると、どの極数でも概ね10℃になる。このことから、各極数について、保磁力上限値が、磁石温度が雰囲気温度よりも10℃程度高くなったときの保磁力であるとすると、保磁力下限値が、磁石温度が雰囲気温度と同じときの保磁力として適切な値であることが分かる。」との主張について、そもそも、「各極数について(B)で計算された保磁力下限値及び保磁力上限値」は、「1重量%あたり、保磁力が約150A/m向上すること」を前提としたものであるところ、上記イで検討したように、「1重量%あたり、保磁力が約150A/m向上すること」という前提に誤りがあるから、「各極数について(B)で計算された保磁力下限値及び保磁力上限値に基づき、」計算された「温度差X」に意味はない。また、仮に、(B)で計算された保磁力下限値及び保磁力上限値に基づき、温度差Xを計算すると、

(請求項1に記載された6極の場合)

1650×(100%-0.5%×(150+X-20))

=1400×(100%-0.5%×(150-20))であるから、

X={2×(1650-1400)×35}/1650≒10.61(℃)となる。

(請求項2に記載された8極の場合)

1500×(100%-0.5%×(150+X-20))

=1250×(100%-0.5%×(150-20))であるから、

X={2×(1500-1250)×35}/1500≒11.67(℃)となる。

(請求項3に記載された10極の場合)

1350×(100%-0.5%×(150+X-20))

=1190×(100%-0.5%×(150-20))であるから、

X={2×(1350-1190)×35}/1350≒8.30(℃)となる。

そうすると、11℃を超えたり、8℃程度であったりと、どの極数でも概ね10℃とはいえず、仮に、(B)で計算された保磁力下限値及び保磁力上限値に基づき、温度差Xを計算したとしても、「各極数について、保磁力上限値が、磁石温度が雰囲気温度よりも10℃程度高くなったときの保磁力であるとすると、保磁力下限値が、磁石温度が雰囲気温度と同じときの保磁力として適切な値であることが分かる。」ということはできない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

(3)以上のとおりであるから、本願の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載された事項は、原出願当初明細書等に記載された事項の範囲内であるとはいえないので、本願は分割要件を満たしていない。

よって、本願は出願の分割による出願日の遡及を認めることができないから、新規性、進歩性等の判断は、現実の出願日である令和2年4月16日を基準日として行う。

2 新規性について

(1)引用文献の記載事項及び引用発明

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ア 引用文献1の記載事項

引用文献1(原出願に係る公開特許公報)には、図面とともに、次の記載がある(下線は理解の一助のために当審が付した。以下同様。)。

(ア)「【請求項1 】
冷媒を圧縮する圧縮要素と、
前記圧縮要素を駆動し、鉄、ネオジウム、ボロン及びディスプロシウムを含むネオジウム希土類磁石であって、ディスプロシウムの含有量が4重量%以下のネオジウム希土類磁石を用いる回転子を有し、100℃以上の雰囲気中で使用される6極の電動機と、
前記電動機を駆動する駆動回路であって、整流回路にGaN素子を用いた駆動回路と、
を備えたことを特徴とする圧縮機。」
(イ)「【0001】
この発明は、永久磁石を使用する電動機を搭載した圧縮機及び圧縮機の使用方法に関する。」
(ウ)「【0004】
Dy元素を添加した場合、永久磁石の保磁力は向上するが、相反して、残留磁束密度は低下するという性質を持つ。また、Dyは貴重なレアアース資源であるため、価格が高く、その使用量には制約がある。」
(エ)「【0014】
この発明は、電動機に使用する希土類磁石に含有されるDy(ディスプロシウム)量を少なくしても減磁耐力がある圧縮機を提供する。」
(オ)「【0016】
この発明に係る圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素と、圧縮要素を駆動し、鉄、ネオジウム、ボロン及び4重量%以下のディスプロシウム含むネオジウム希土類磁石を用いる回転子を有する6極の電動機を備えたことで、磁石の残留磁束密度が向上し、小型で高効率な圧縮機を構成することができる。」
(カ)「【0024】
図4、図5は比較のために示す図で、図4は一般的な電動機100の回転子102の横断面図、図5は一般的な電動機100の回転子鉄心102aの横断面図である。回転子102は永久磁石埋込型(埋め込磁石型)であり、少なくとも回転子鉄心102aと、回転子鉄心102aの磁石挿入孔102a-1に挿入される、平板形状の永久磁石102bを備える。
【0025】
4個の永久磁石102bは、回転子鉄心102aの外周縁に沿って形成された磁石挿入孔102a-1に挿入され、4極の回転子102を構成する。
【0026】
回転子102の永久磁石102bは、Nd-Fe-B(ネオジウム・鉄・ボロン)を主成分とするネオジウム希土類磁石で構成され、厚さ2mm程度の平板形状である。
【0027】
回転子鉄心102aは、略円筒状であり、外周縁に沿って断面形状が略長方形の磁石挿入孔102a-1が、4個形成されている。横断面において、4個の磁石挿入孔102a-1で略四角形を形成している。回転子鉄心102aの略中心部に、回転軸(図示せず)が挿入される軸孔102a-2を備える。」
(キ)「【0031】
図6はネオジウム希土類磁石のDy含有量と保磁力・残留磁束密度との関係図である。ネオジウム希土類磁石の保磁力は、図6に示すように、Dy含有量にほぼ比例して向上する。
【0032】
一般的な圧縮機では電動機の雰囲気温度上限は150℃程度である。一般的な圧縮機では電動機は、常温20℃から常温20℃に対して130℃程度の温度上昇した上限(150℃程度)の範囲で使用される。従って、例えば、-0.5%/ΔKの温度係数では、永久磁石の保磁力は65%低下することになる。
続きを表示(全12行)
【0033】
圧縮機の最大負荷で減磁しないようにするためには、1100~1500A/m程度の保磁力が必要であり、150℃の雰囲気温度中で前記保磁力(1100~1500A/m程度)を保証するためには、常温保磁力を1800~2300A/m程度に設計する必要がある。
【0034】
Nd-Fe-Bを主成分とするネオジウム希土類磁石のDy元素を添加していない状態での常温保磁力は1000A/m程度であり、前記必要保磁力(1100~1500A/m程度)を得るために、6~8重量%のDy元素を添加していた。
【0035】
Dy元素は2010年の生産量は中国に一極集中しており、価格の不安定、調達リスクを伴うため、添加量を削減したいという要求がある。
【0036】
また、図6に示すよう、Dy元素を添加すると、保磁力特性は向上するが、残留磁束密度特性が低下するというデメリットがある。残留磁束密度が低下すると、電動機のマグネットトルクが低下し、通電電流が増加するため、銅損が増加する。そのため、効率面でもDy添加量を低減したいという要求は大きい。」
(ク)「【0037】
図7は電動機100の極数と永久磁石にかかる減磁力・インバータの駆動周波数との関係図である。永久磁石にかかる減磁力は、巻線起磁力に比例し、磁石厚さ、及び、極数に反比例する。トルクの発生を損なわずに、減磁に強い電動機を構成するためには、磁石厚さを厚くする、もしくは極数を大きく設計することが好ましい。
【0038】
磁石厚さを厚くした場合、磁石体積そのものが大きくなるため、Dy使用量が多くなり好ましくない。
【0039】
極数を増やした設計においては、駆動周波数が極数に比例して大きくなる。そのため、電動機のコアに発生する鉄損の増加、及び、インバータのスイッチング損失が増加し、効率が悪化する課題がある。
【0040】
本実施の形態の電動機は、6極以上の極数で構成され,希土類磁石に含有されるDy含有量を4重量%以下に抑制し、インバータ主回路のスイッチング部にSiCを用いるデバイスを使用する駆動回路により駆動することで、上記課題を解決するものである。」
(ケ)「【0056】
図14、図15は実施の形態1を示す図で、図14は回転子202の横断面図、図15は回転子鉄心202aの横断面図である。
【0057】
回転子202は永久磁石埋込型であり、少なくとも回転子鉄心202aと、回転子鉄心2 02aの磁石挿入孔202a-1に挿入される、平板形状の永久磁石202bを備える。
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【0058】
8個の永久磁石202bは、回転子鉄心202aの外周縁に沿って形成された磁石挿入孔202a-1にされ、8極の回転子202を構成する。
【0059】
永久磁石202bは、Nd-Fe-B(ネオジウム・鉄・ボロン)を主成分とするネオジウム希土類磁石を搭載しており、厚さ2mm程度の平板形状である。本実施の形態では、Dy含有量を3重量%としている。
【0060】
永久磁石202bについて別の表現をすると、Fe(鉄)、Nd(ネオジウム)、Dy(ディスプロシウム)、B(ボロン)を含むネオジウム希土類磁石である。その他に、微量の不純物を含む。
【0061】
回転子鉄心202aは、略円筒状であり、外周縁に沿って断面形状が略長方形の磁石挿入孔202a-1が、8個形成されている。横断面において、8個の磁石挿入孔202a-1で略八角形を形成している。回転子鉄心202aの略中心部に、回転軸(図示せず)が挿入される軸孔202a-2を備える。」
(コ)「【0064】
図17は実施の形態1を示す図で、永久磁石の厚さ及びDy含有量を一定とし、極数を変えた場合の減磁率と相起磁力との関係図である。図17において、減磁率は、永久磁石と逆位相の磁束が発生するように固定子と回転子を固定して通電を行い、通電前後の誘起電圧の比を通電前を基準として低下率で表している。横軸は通電電流と相の巻数の積をとった相起磁力を指標としている。圧縮機では製品の性能保証値として、例えば、減磁率1.5%以内となるように設計を行っている。
【0065】
図18、図19は実施の形態1を示す図で、図18は6極の電動機200の横断面図、図19は10極の電動機200の横断面図である。」
(サ)「【0068】
図17より、極数が大きくなるにつれ、1.5%減磁する相起磁力が大きくなっていることがわかる。4極を基準とした場合、1.5%減磁する相起磁力は6極の場合で約1.5倍、8極の場合で約2倍、10極の場合で約2.5倍に向上している。電動機の雰囲気温度、及び、発生する負荷トルクが一定の場合、極数が大きいほど保磁力の低い、すなわち、Dy含有量の少ない磁石を使用することができる。多極にすることで固定子が発生する反磁界が分散されるため、減磁力が低減するためである。
【0069】
図20は実施の形態1を示す図で、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量と極数との関係図である。図20より、極数を大きくすることで、減磁耐力の面からDy含有量を低減した設計が可能となる。6極の場合、Dy含有量を最大4重量%以下に抑制した永久磁石が使用できる。同様に、8極の場合Dy含有量を最大3重量%以下、10極の場合Dy含有量を最大2重量%以下に抑制した永久磁石が使用可能となる。
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【0070】
電動機の極数を大きくした場合、電動機のコアで発生する磁束密度は低下するが、磁束密度の周波数が増加する。そのため、極数を大きくしすぎると鉄損が増加する。
【0071】
図21は実施の形態1を示す図で、モータ効率と極数との関係図である。電動機の極数を大きくした場合、固定子のスロット数が増加するため、スロット内と固定子の巻線を絶縁するための絶縁材の面積が大きくなり、巻線断面積が縮小し、銅損が増加する。そのため、従来と同じ永久磁石( Dy含有量一定)で設計した場合、図21の実線に示すように4極の場合のモータ効率が最も良いという結果であった。
【0072】
しかし、上記のように減磁耐力向上のため、6極の場合Dy含有量を最大4%以下、8極の場合Dy含有量を最大3重量%以下、10極の場合Dy含有量を最大2重量%以下に低減すると、永久磁石の残留磁束密度が向上する。そのため、電動機のサイズを縮小でき、鉄損、及び、銅損を低減できる。
【0073】
Dy含有量を低減した場合のモータ効率を示す図21の破線のように、Dy含有量を低減した場合、モータ効率は6極以上でも効率を落とさず設計できることがわかる。」
(シ)「【0091】
本実施の形態の電動機200は、高速時の誘起電圧が端子電圧を超える領域においては、弱め界磁制御を行う。固定子201の巻線201bに永久磁石202bと反対の向きに固定子磁界を発生させる電流の進角制御を行うことで、永久磁石202bにより発生する誘起電圧を抑制し、トルクを増加させる。
【0092】
弱め界磁制御は、永久磁石202bに対向する向きに固定子磁界を発生させるため、減磁耐力に大きく影響する。弱め界磁制御の弱め量が小さくなれば、保磁力の小さい(Dy含有量の少ない)永久磁石202bをより使用しやすくなる。
【0093】
弱め界磁制御を行わないようにするには、誘起電圧を下げた設計、もしくは、コンバータで出力する端子電圧を商用の200V電源を昇圧して設計すればよい。誘起電圧を下げて設計することは、巻線の巻数を減らす、もしくは、永久磁石の磁力を下げることとなり、モータ電流が増加し、インバータの通電損失の増加、銅損の増加をもたらすため好ましくない。」

(ス)引用文献1には、以下の図面が示されている。

「【図6】
[図:0001397641000001.jpg]
【図7】
[図:0001397641000002.jpg]
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【図14】
[図:0001397641000003.jpg]
【図15】
[図:0001397641000004.jpg]
【図17】
[図:0001397641000005.jpg]
【図18】
[図:0001397641000006.jpg]
【図20】
[図:0001397641000007.jpg]
【図21】
[図:0001397641000008.jpg]
」

イ 引用発明

前記ア(ア)ないし(ス)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「円筒状の回転子鉄心の外周縁に沿って、平板形状の永久磁石を埋め込んだ永久磁石埋込型の電動機であり、
鉄、ネオジウム、ボロン及びディスプロシウムを含むネオジウム希土類磁石であって、ディスプロシウムの含有量が4重量%以下のネオジウム希土類磁石を用いる回転子を有し、弱め界磁制御を行う6極の電動機。」

(2)対比及び判断

ア 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「弱め界磁制御を行う」は、本願発明の「弱め界磁制御で駆動する」に相当するから、本願発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、以下の相違点で一応相違する。

[一致点]

「円筒状の回転子鉄心の外周縁に沿って、平板形状の永久磁石を埋め込んだ永久磁石埋込型の電動機であり、
鉄、ネオジウム、ボロン及びディスプロシウムを含むネオジウム希土類磁石であって、ディスプロシウムの含有量が4重量%以下のネオジウム希土類磁石を用いる回転子を有し、弱め界磁制御で駆動する6極の電動機。」

[相違点]

ネオジウム希土類磁石のディスプロシウムの含有量について、本願発明は、「4重量%以下3重量%以上」であるのに対し、引用発明は、「4重量%以下」である点。

イ 判断

以下、上記相違点について検討する。

引用文献1の段落0069(上記(1)ア(サ)を参照)及び図20(上記(1)ア(ス)を参照)の記載を参酌すると、6極の場合、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)は、4重量%近傍で、かつ、4重量%より小さいところ(但し、3重量%より大きい)に位置することが示されていることから、Dy含有量について、4重量%以下、図20中の極数6に対応する黒四角点以上の範囲が示されているといえる。

したがって、本願発明1と引用発明1とは、ディスプロシウムの含有量が、4重量%以下、図20中の極数6に対応する黒四角点以上の範囲において、差異はない。

よって、上記相違点は実質的な相違点とはいえない。

以上によれば、本願発明と引用発明とは相違するところがないから、本願発明は引用発明である。

3 サポート要件について

(1)請求項1に「ディスプロシウムの含有量が4重量%以下3重量%以上」と記載されている。そして、本願発明の課題は、本願明細書の発明の詳細な説明の段落0014に記載されるとおり「電動機に使用する希土類磁石に含有されるDy(ディスプロシウム)量を少なくしても減磁耐力がある圧縮機を提供する」ことであり、その具体的な目安として、段落0069に示されるように、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量と極数とすることである。

一方、発明の詳細な説明の、例えば、段落0069や段落0072には、6極の場合、Dy含有量が4重量%以下であれば、下限なく抑制、低減できることではなく、4重量%程度まで抑制、低減できることが示されるのみである。また、図20に示されるグラフを参酌するも、例えば6極の場合、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)が4重量%近傍で、かつ、4重量%より小さいところに位置することが示されているのみである。

そうすると、6極の場合において1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)よりも小さいDy含有量(具体的には、ディスプロシウムの含有量が、3重量%以上、図20中の極数6に対応する黒四角点未満の範囲)も含む「ディスプロシウムの含有量が4重量%以下3重量%以上」としたものは、本願発明の前記課題を解決できないものも含むものである。

したがって、請求項1は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものとなっている。

よって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

(2)請求人の主張について

請求人は意見書で、「令和3年4月26日付けで提出した意見書で主張した通り、「本願発明は、(極数増加による鉄損増加)<(ディスプロシウム低減による銅損低減)が大きい領域があることを特定し、その結果を請求項1-3の構成としたことが特徴である。」

図20の黒四角点は、極数毎の1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量を表したものであり、(極数増加による鉄損増加)<(ディスプロシウム低減による銅損低減)が大きい領域を表したものではない。つまり、図20の黒四角点が示すDy含有量だけが、本願の課題を解決できるDy含有量というわけではない。本願の課題を解決できるDy含有量の上限値は、請求項に記載された通りの値である。これは、段落「0069」,「0072」にも示されている。」と主張する。

しかし、本願明細書の発明の詳細な説明の段落0069や段落0072には、6極の場合、Dy含有量が4重量%以下であれば、下限なく抑制、低減できることではなく、4重量%程度まで抑制、低減できることが示されるのみで、ディスプロシウムの含有量を「3重量%以上」とすることは記載も示唆もされていないところ、本願明細書全体をみても、6極の場合Dy含有量を3重量%以上とすることについて、実質的に示されているとはいえない。

また、上記(1)で示したように、図20には、6極の場合、1.5%減磁率を確保するために必要なDy含有量(図20中の極数6に対応する黒四角点)が4重量%近傍で、かつ、4重量%より小さいところに位置することが示されているところ、その記載内容からは、図20中の極数6に対応する黒四角点より小さい、Dy含有量が3重量%では、1.5%減磁率を確保することができないことが理解される。そして、1.5%減磁率を確保することができないDy含有量であっても、上記(1)で示した本願発明の課題を解決できると理解することはできず、また、6極の場合、Dy含有量の下限値を3重量%とすることを導くことはできない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

(3)以上によれば、本願の請求項1に係る発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものではないから、請求項1の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

第5 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができないものである。

また、本願の請求項1の記載は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-017919

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