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特許拒絶査定不服審判

2021-017594

通知システム、通知方法およびプログラム

審判番号
2021-017594
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-020481外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月21日
審決日
2022年11月09日
公報発行日
2022年12月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G08B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017- 20481「通知システム、通知方法およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月16日出願公開、特開2018-128787、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、平成29年2月7日の出願であって、その手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

令和2年11月17日付け:拒絶理由通知書
令和3年 1月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 6月 1日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
令和3年 7月21日 :意見書、手続補正書の提出
令和3年 9月21日付け:令和3年7月21日の手続補正についての

補正の却下の決定、拒絶査定(原査定)

令和3年12月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和4年 2月 8日付け:前置報告書

第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1-6、9-10に係る発明は、以下の引用文献1-2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

また、本願請求項7に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.特開2003-288657号公報

2.特開2008-269063号公報

3.特開2006-180387号公報

第3 本願発明

本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、令和3年12月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、そのうち、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
通知エリアに関する情報および前記通知エリアに在圏する通信端末の位置情報を取得する通信手段と、
前記通知エリアに関する前記情報を解析して問題事象を検知し、前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを、前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報と、前記誘導情報に含まれる誘導先の許容量と、に応じて、前記通信端末に割り当てる検知手段と、
前記検知手段によって前記通信端末に割り当てられた前記誘導情報を前記通信端末に送信する通知手段と、を備え、
前記検知手段は、行動検知技術を用いて前記問題事象を検知するものであり、
前記行動検知技術は、前記通知エリアの情報に含まれる動画映像における特徴を抽出して、当該抽出された特徴を学習して記録しておき、当該記録された特徴と現状の前記動画映像における特徴とを比較して解析することにより、通常時の前記動画映像における特徴と現状の前記動画映像における特徴との違いを前記問題事象として抽出するものである
ことを特徴とする通知システム。」

なお、本願発明2-10の概要は以下のとおりである。

本願発明2-8は、本願発明1を減縮した発明である。

本願発明9-10は、それぞれ本願発明1に対応する方法及びプログラムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第4 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審において付与した。以下、同様。)。

「【0009】
【実施例】図1を参照して、この実施例の監視カメラシステム10は、中央コンピュータ12を備えている。中央コンピュータ12はCPU30を備えており、CPU30には、バス38を介して、メモリ32,データベース(DB)34,インタフェース36などが接続される。また、インタフェース36には監視カメラコントローラ14を介して複数の監視カメラ16が接続される。さらに、インタフェース36には、複数の無線基地局18や複数の認証センサ20が接続される。
【0010】図2に示すように、監視カメラ16や認証センサ20が学校やオフィスビル(以下、建物)などの屋内に配置されている。この監視カメラシステム10は、この建物に不審者Zが侵入してきたときに、生徒やオフィス等で働く人(A~H)に、適切な退避経路を示して安全に不審者Zから退避できるようにするものである。」
「【0012】建物の各箇所、とくに廊下や階段の壁などには認証センサ20が埋設されている。この認証センサ20は、対人センサであり、かつ、携帯端末40と通信が可能となっている。認証センサ20は人を感知すると、携帯端末40と通信し、携帯端末40に対してID送信の要求を行う。ID送信の要求を受けた携帯端末40は、内部のメモリに格納されているIDを取得し、認証センサ20に送信する。このIDは携帯端末に固有のIDであり、中央コンピュータ12のDB34にあらかじめ登録されている。したがって、学校などの建物であれば、生徒や教師などの全員がこの携帯端末40を所持しており、一人一人を識別することができる。
【0013】認証センサ20は、受信したIDを中央コンピュータ12に送信する。中央コンピュータ12では、受信したIDがDB34に登録されているかどうかを確認する。館内への侵入を許可された者(登録者:図1中に白丸で示す)(一時的に入館する業者なども含む)にはすべてID(携帯端末40)が割り当てられ、そのすべてのIDがDB34に登録されている。したがって、認証センサ20からのID送信の要求に応答がない場合(その人物が携帯端末40を保持していない場合)や、認証センサ20が受信したIDがDB34に登録されていない場合には、認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみなす。」

「【0015】不審者Zの移動経路を特定すると、すべての携帯端末40に不審者Zから退避するための退避経路と不審者Zの画像を送信する。携帯端末40はGPS(Global Positioning System)機能を備えており、GPSで得られた情報を中央コンピュータ12に送信することによって、中央コンピュータ12はすべての携帯端末40の位置を把握することができる。こうして得られる携帯端末40の位置と、不審者Zの位置とを基に、中央コンピュータ12はそれぞれの携帯端末40の保持者の退避経路を算出する。」

「【0017】このように中央コンピュータ12において特定された退避経路は、無線基地局18を介して携帯端末40に送信される。
【0018】図1の例では、不審者Zが3階に向かって移動している。これに対し、登録者Aの携帯端末40のLCD42には図3に示すような画面が表示され、その画面に登録者Aの退避経路(退路)が示される。登録者A~Eに対しては退避経路が示されるが、不審者Zが向かっている3階にいる登録者F~Hには、携帯端末40を介して、部屋の出入口に施錠して立て篭もるよう指示が出される。つまり、不審者Zと登録者A~Hとの相対位置および不審者Zの移動経路に応じて異なる指示が登録者A~Hに与えられる。このような指示に従って行動することによって、不審者Zから安全に退避することができる。
【0019】図4に示すフロー図を用いて、中央コンピュータ12が備えるCPU30の動きを説明する。
【0020】まず、ステップS1では、通常状態としての監視を行っている。館内に設けられている認証センサ20の付近を何者かが通過すると、認証センサ20が人物を感知し、それを中央コンピュータ12に知らせる。すると、ステップS3において、CPU30は認証センサ20が何者かを感知したと判断し、ステップS5において認証作業を行う。上述したように、認証作業では、認証センサ20が、その人物が所持しているであろう携帯端末40に対し、IDを中央コンピュータ12に送信する要求を発信する。認証センサ20に感知された人物が携帯端末40を備えている場合には、その携帯端末40からIDが送信される。そして、送信されたIDがDB34に登録されているかどうかを判断する。
続きを表示(全11行)
【0021】ステップS7においては、IDをDB34で参照した結果に応じて認証可能であるか認証不可能であるかの判断をする。認証センサ20に感知された人物が携帯端末40を所持していない場合(IDが送信されてこない場合)も認証不可能となる。
【0022】ステップS7において、認証可能と判断された場合には、ステップS1に戻って通常の監視を開始する。
【0023】一方、ステップS7において、認証不可能と判断された場合には、ステップS9において、不審者を最近感知した認証センサ20の位置に基づいて、不審者の現在の位置を特定する。そして、ステップS11では、監視カメラコントローラ14が、不審者に最も近い監視カメラ16を認証センサ20が感知した方向に向けて、不審者の映像を捕らえ、中央コンピュータ12に送信する。
【0024】ステップS13では、携帯端末40からGPSデータを収集し、登録者全員の現在位置を把握する。そして、ステップS15においては、登録者全員が不審者から退避できたかどうかを判断する。登録者全員が退避できたと判断した場合には、ステップS1に戻って再び通常の監視を開始する。
【0025】一方、登録者全員が退避できていないと判断すると、ステップS17において、不審者の移動経路を計算する。不審者の移動経路は、未登録人物(不審者)を感知した複数の認証センサ20の設置場所と、これら複数の認証センサ20が未登録人物を感知したときの時間的な順序とによって特定する。
【0026】次に、ステップS19では、登録者(生徒,教師など)退避経路の算出を行う。この退避経路の算出は、上述したように、パターンマッチングによって行うか、プログラムによる計算によって行う。いずれかの方法によって、すべての登録者についての退避経路を個々に算出する。
【0027】そして、ステップS21において、避難経路を示した建物のマップと不審者の映像とを無線基地局18からそれぞれの携帯端末40に送信する。登録者は、図2に示すように、携帯端末40に送信されてきたマップに示された避難経路(図2は登録者Aの携帯端末40)にしたがって不審者から安全に避難する。携帯端末40では、たとえばボタン46を操作することによって、避難経路を示したマップ画面と不審者の画像とを切り替えることができる。ステップS21を終えると、ステップS1に戻り、再び監視を行い、ステップS3において、不審者の新たな位置を認証センサ20で感知する。このような動作を、ステップS15において、登録者の全員が退避したと判断するまで繰り返す。」
「【図4】
[図:0001391718000001.jpg]
」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「監視カメラシステム10は、中央コンピュータ12を備えており、
中央コンピュータ12はCPU30を備えており、CPU30には、バス38を介して、メモリ32,データベース(DB)34,インタフェース36などが接続され、
インタフェース36には監視カメラコントローラ14を介して複数の監視カメラ16が接続され、
インタフェース36には、複数の無線基地局18や複数の認証センサ20が接続され(【0009】)、
続きを表示(全26行)
監視カメラ16や認証センサ20が学校やオフィスビル(以下、建物)などの屋内に配置されており(【0010】)、
建物の各箇所、とくに廊下や階段の壁などには認証センサ20が埋設されており(【0012】)、
認証センサ20は、受信したIDを中央コンピュータ12に送信し、
中央コンピュータ12では、受信したIDがDB34に登録されているかどうかを確認し、
館内への侵入を許可された者(登録者)(一時的に入館する業者なども含む)にはすべてID(携帯端末40)が割り当てられ、そのすべてのIDがDB34に登録されており、
認証センサ20からのID送信の要求に応答がない場合(その人物が携帯端末40を保持していない場合)や、認証センサ20が受信したIDがDB34に登録されていない場合には、認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみなし(【0013】)、
不審者Zの移動経路を特定すると、すべての携帯端末40に不審者Zから退避するための退避経路と不審者Zの画像を送信し、
携帯端末40はGPS(Global Positioning System)機能を備えており、GPSで得られた情報を中央コンピュータ12に送信することによって、中央コンピュータ12はすべての携帯端末40の位置を把握することができ、
こうして得られる携帯端末40の位置と、不審者Zの位置とを基に、中央コンピュータ12はそれぞれの携帯端末40の保持者の退避経路を算出し(【0015】)、
中央コンピュータ12において特定された退避経路は、無線基地局18を介して携帯端末40に送信され(【0017】)、
登録者A~Eに対しては退避経路が示されるが、不審者Zが向かっている3階にいる登録者F~Hには、携帯端末40を介して、部屋の出入口に施錠して立て篭もるよう指示が出され、つまり、不審者Zと登録者A~Hとの相対位置および不審者Zの移動経路に応じて異なる指示が登録者A~Hに与えられ、このような指示に従って行動することによって、不審者Zから安全に退避することができ(【0018】)、
まず、ステップS1では、通常状態としての監視を行っており、
館内に設けられている認証センサ20の付近を何者かが通過すると、認証センサ20が人物を感知し、それを中央コンピュータ12に知らせ、
ステップS3において、CPU30は認証センサ20が何者かを感知したと判断し、ステップS5において認証作業を行い(【0020】)、
ステップS7においては、IDをDB34で参照した結果に応じて認証可能であるか認証不可能であるかの判断をし(【0021】)、
ステップS7において、認証不可能と判断された場合には、ステップS9において、不審者を最近感知した認証センサ20の位置に基づいて、不審者の現在の位置を特定し(【0023】)、
ステップS13では、携帯端末40からGPSデータを収集し、登録者全員の現在位置を把握し、
ステップS15においては、登録者全員が不審者から退避できたかどうかを判断し(【0024】)、
登録者全員が退避できていないと判断すると、ステップS17において、不審者の移動経路を計算し(【0025】)、
ステップS19では、登録者(生徒,教師など)退避経路の算出を行い(【0026】)、
ステップS21において、避難経路を示した建物のマップと不審者の映像とを無線基地局18からそれぞれの携帯端末40に送信する(【0027】)
監視カメラシステム10。」

2.引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0018】
図3は、コンピュータ14(つまりCPU17)が異常動作検出用プログラムを実行することにより構築される異常動作検出装置20の機能ブロック図を示す。異常動作検出装置20は、画像取得部21、局所特徴画像生成手段としての局所特徴画像生成部22、分割手段としての多重分割画像作成部23、特徴量抽出手段としての立体高次局所自己相関(CHLAC(Cubic Higher order Local Auto-Correlation))特徴抽出部(以下、CHLAC特徴抽出部24という)、ノイズ除去手段としてのノイズ除去処理部25、検出手段及び識別手段としての識別器26、計時手段としての計時部27及び異常動作報知部28を備える。異常動作検出装置20は、CHLAC特徴抽出法を用いて、異常動作を検出する。」
「【0040】
図3に戻って、識別器26は、ノイズ除去後の大域的特徴量、中域的特徴量、局所的特徴量のうち少なくとも二種の特徴量に基づいて、動作を識別する動作識別処理を行う。識別器26は、予め正常動作を撮像した動画像に基づき学習した正常動作時のCHLAC特徴量を学習データとしてメモリ(HDD18等)に記憶している。この学習データは、正常動作時における1個の大域的特徴量、4個の中域的特徴量、16個の小域的特徴量からなり、それぞれCHLAC特徴量をヒストグラムのパターンで示したパターンデータ群よりなる。パターンデータは、例えば1つのCHLAC特徴量につき(V1,V2,…,V9)で示され。識別器26は、識別対象動作と正常動作とを例えば16個の小域的特徴量のパターンデータの組み合わせ列(16個のパターンデータの列)に基づいて、パターンの比較処理を行うことで、識別対象動作が正常動作であるかどうかを識別する。そして、カメラ12から入力した時系列のフレームに基づき取得した識別対象動作に係るCHLAC特徴量が、正常動作時のCHLAC特徴量が規定する部分空間に属すればそのときの識別対象動作を正常動作と識別し、一方、正常動作の部分空間から逸脱した場合は、その識別対象動作を異常動作と識別する。識別器26の識別手法としては、線形判別分析、サポートベクタマシンなどを挙げることができる。また、識別器26は複数の異なる手法に基づく識別結果を組み合わせて一つの識別結果を導き出す構成も採用できる。」
「【0071】
・前記実施形態において、作業ミス動作以外の異常動作を検出しても構わない。例えば異常動作検出装置をセキュリティ装置に適用し、不審者の異常行動を検出してもよい。この場合、異常動作検出装置の採用により、通常者と不審者との近似する動作を識別できる。また、異常動作検出装置を福祉用途に用いてもよく、この場合、監視対象者が、転んだり倒れたりした異常動作を正確に検出できる。また、作業ミスを検出する場合でも、製造業の組立工程に限定されず、加工工程や検査工程、さらには医療分野に利用してもよい。」

したがって、上記引用文献2には次の技術が記載されていると認められる。

「異常動作検出装置20は、画像取得部21、局所特徴画像生成手段としての局所特徴画像生成部22、分割手段としての多重分割画像作成部23、特徴量抽出手段としての立体高次局所自己相関(CHLAC(Cubic Higher order Local Auto-Correlation))特徴抽出部(以下、CHLAC特徴抽出部24という)、ノイズ除去手段としてのノイズ除去処理部25、検出手段及び識別手段としての識別器26、計時手段としての計時部27及び異常動作報知部28を備え、
識別器26は、予め正常動作を撮像した動画像に基づき学習した正常動作時のCHLAC特徴量を学習データとしてメモリ(HDD18等)に記憶しており、
識別器26は、識別対象動作と正常動作とを例えば16個の小域的特徴量のパターンデータの組み合わせ列(16個のパターンデータの列)に基づいて、パターンの比較処理を行うことで、識別対象動作が正常動作であるかどうかを識別し、
カメラ12から入力した時系列のフレームに基づき取得した識別対象動作に係るCHLAC特徴量が、正常動作時のCHLAC特徴量が規定する部分空間に属すればそのときの識別対象動作を正常動作と識別し、一方、正常動作の部分空間から逸脱した場合は、その識別対象動作を異常動作と識別し、
異常動作検出装置をセキュリティ装置に適用し、不審者の異常行動を検出してもよく、
異常動作検出装置の採用により、通常者と不審者との近似する動作を識別できること。」

3.引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0009】
図1において、監視対象エリア101には、無線LAN基地局102、監視機器103、監視対象個体としての監視対象者104、個体識別要素としてのRFIDタグ105が存在する。監視機器103は、無線ネットワーク106を介して無線LAN基地局102に接続されている。監視サーバ107は、ネットワーク108を介して無線LAN基地局103に接続されている。監視対象者104は、RFIDタグ105を持っている場合がある(持っていない場合もある)。」

したがって、上記引用文献3には次の技術が記載されていると認められる。

「監視対象エリア101には、無線LAN基地局102、監視機器103、監視対象個体としての監視対象者104、個体識別要素としてのRFIDタグ105が存在し、
監視機器103は、無線ネットワーク106を介して無線LAN基地局102に接続されており、
監視サーバ107は、ネットワーク108を介して無線LAN基地局103に接続されていること。」

4.引用文献4について

令和3年9月21日付けの補正の却下の決定に引用された引用文献4(特開平06-162364号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0009】さらに、一旦このようにして1つの区域の避難経路が選択されると、その区域の実際の人数が、選択された避難経路の容量から差し引かれる。例えば、区域k1の避難経路としてBが選択され、そのときの区域k1の人数がX1であった場合には、続いて区域k2の避難経路を決定する際に避難経路Bの容量は、Cb-X1=Cb’として計算された値が用いられる。これにより、避難経路Bの安全度は、区域k2における避難経路Bの長さをL2bとすると、Sb=K(Cb’/L2b)となり、図4のようにL1b=L2bであっても、区域k2の避難経路決定においては、区域k1のときよりも低く評価される。このようにして順次実際の各区域の人員配置と避難経路の容量、長さに基づいて動的に適切な避難経路の決定が行われ、各区域に設置されたローカル端末1により避難誘導が行われる。ただし、各区域ごとの避難経路の決定を行う順序は予め設定されていなければならない。一般的には各避難経路に至近の区域より順次決定するのが妥当な方法であり、図4の場合、例えばk1、k2、k6、k10、k12、k11、k4、k5、k9、k8、k7、k3の順に決定することをF地点での火災が判定された場合の順序として予め静的に決定しておき、データベース3内に登録しておけばよい。」

したがって、上記引用文献4には次の技術が記載されていると認められる。

「順次実際の各区域の人員配置と避難経路の容量、長さに基づいて動的に適切な避難経路の決定が行われ、各区域に設置されたローカル端末1により避難誘導が行われること。」

5.引用文献5について

前置報告書において周知技術を示す文献として引用された引用文献5(特開2015-187893号公報)には図面とともに次の事項が記載されている。

「【0013】
<実施形態>
[防災活動支援システム1の構成]
図1は、本発明の実施形態における防災活動支援システム1の構成を説明するシステム図である。防災活動支援システム1は、サーバ10、携帯端末20、火災報知設備2の受信機30に接続された通信端末40を有する。サーバ10、携帯端末20および通信端末40は、インターネット、電話回線(携帯電話回線を含む)などのネットワーク1000を介して互いに接続されている。防災活動支援システム1は、火災報知設備2において火災や機器故障等のイベントが発生したときに、当該イベントに応じた防災活動を支援するシステムである。イベントに応じた防災活動には、例えば、火災が発生した施設からの避難、消防署や関係者への通報、消火作業、故障した機器の修理または交換などが含まれる。
【0014】
防災活動支援システム1においてイベントに応じた防災活動の支援を受けるユーザは、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末20を保持し、この携帯端末20で、サーバ10により生成された支援情報を取得する。ここで、ユーザには、火災報知設備2の管理者、火災報知設備2の保守者(通常、火災報知設備2の製造販売を行うメーカーの従業員)、火災報知設備2が設置された施設の警備を行う警備員などが含まれる。火災報知設備2が設置された施設が工場やオフィスビルの場合、そこで働く作業者や従業員もユーザとして含まれ得る。本防災活動支援システム1において対象とするユーザは携帯端末20を所持し、各ユーザには識別情報(ユーザID)が付与されているものとする。」
「【0030】
[携帯端末20のハードウエア構成]
図4は、本発明の実施形態における携帯端末20のハードウエア構成を説明するブロック図である。携帯端末20は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24、記憶部25、GPS(Global Positioning System)センサ26、および加速度センサ27を有する。これらの各構成はバスを介して接続されている。
制御部21は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部21は、CPUによりROMや記憶部25に記憶されたプログラムを実行して携帯端末20の各部を制御し、サーバ10との各種データの送受信をするなどして点検支援を受けるための各種機能を実現する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。」
「【0032】
GPSセンサ26は、予め定められたタイミングで(例えば、1分毎)、または、制御部21からの指示に応じて、図示しないGPS衛星からのGPS信号に基づいて携帯端末20の位置を示す情報(経度及び緯度)を取得し、制御部21に送信する。加速度センサ27は、携帯端末20の加速度を検知し、加速度を示す情報を制御部21に送信する。制御部21は、GPSセンサ26からの情報及び/または加速度センサ27からの情報に基づいて、携帯端末20の位置を特定する。例えば、GPSセンサ26がGPS衛星からGPS信号を受信可能なときは、制御部21はGPSセンサ26からの情報を携帯端末20の位置を表す情報として扱い、GPSセンサ26がGPS衛星からGPS信号を受信できなくなったときは、加速度センサ27からの信号(加速度)を積分することにより速度を求め、求めた速度を積分することにより携帯端末20の位置を算出してよい。
以上が、携帯端末20のハードウエア構成についての説明である。」
「【0046】
[防災活動支援機能]
図14は、本発明の実施形態における防災活動支援機能の機能構成を説明するブロック図である。サーバ10における防災活動支援機能は、イベント信号受信部110、支援情報生成部120、受信部130、認証部140、送信部150、及び記憶部15により実現される。これらの機能の少なくとも一部は、サーバ10の制御部11がプログラムを実行することにより実現されてよい。携帯端末20における防災活動支援機能は、支援情報取得部210、位置情報取得部220、および表示制御部230により実現される。これらの機能の少なくとも一部は、携帯端末20の制御部21がプログラム(防災アプリ)を実行することにより実現されてよい。管理装置70における防災活動支援機能は、機器状態監視部710、およびイベント信号送信部720により実現される。これらの機能の少なくとも一部は、受信機30の制御部31及び通信端末40の制御部41がプログラムを実行することにより実現されてよい。尚、各機能を制御部によるプログラムの実行により実現する代わりに、ハードウェアとして実現してもよい。」
「【0050】
携帯端末20の支援情報取得部210は、支援情報を取得するため、決められた間隔でサーバ10にアクセスする。具体的には、支援情報取得部210は決められた間隔でサーバ10に対し支援情報の送信を要求する。このとき、支援情報取得部210は、記憶部25に記憶された携帯端末20のユーザのユーザIDおよびパスワードをサーバ10に送信する。また、支援情報取得部210は、位置情報取得部220により取得された携帯端末20の最新の位置情報をサーバ10に送信する。上述したように、位置情報取得部220は、例えばGPSセンサ26により実現され得るが、加速度センサ27からの加速度に基づいて、制御部21で演算により携帯端末20の位置を求めてもよい。尚、支援情報取得部210がサーバ10にアクセスする周期と位置情報取得部220が携帯端末20の位置情報を取得する周期は同じでもよいし、異なってもよい。ただし、いずれの周期も、支援情報の生成に支障をきたさない程度に短いことが好ましく、通常、数秒~十数秒が望ましい。」
「【0053】
また、正規のユーザであると判定した場合、認証部140は、携帯端末20から受信した位置情報を、記憶部15に格納されたユーザ管理データベース(図8)に、ユーザIDと関連付けて記録する。これにより、位置情報の更新がなされる。」
「【0055】
次に、上記の防災活動支援機能に関するサーバ10における支援情報の生成について、図15のフローチャートを参照してより詳細に説明する。図15は、支援情報生成に関するサーバ10(特に、支援情報生成部120)の動作を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS110において、イベント信号受信部110は管理装置70からのイベント信号の受信を待機する。ステップS110においてイベント信号が受信されたと判定されると(ステップS110:YES)、ステップS120において、支援情報生成部120は、イベント信号受信部110が受信したイベント信号に含まれる物件No.とアドレスとを用いて機器データベース(図6)を参照し、イベントが発生した機器が設置されたエリア(イベント発生エリアと言う)およびイベントが発生した機器の種別を特定する。
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【0057】
続いて、ステップS130において、支援情報生成部120は、表示画像設定データベース(図11)を参照し、ステップS120で特定したイベント発生エリアおよび機器種別に基づいて、携帯端末20に表示すべき画像を特定し、特定した画像の画像データを画像データベース(図9)から抽出する。
【0058】
また、ステップS140において、支援情報生成部120は、表示メッセージ設定データベース(図12)を参照し、ステップS120で特定した機器種別とステップS110で受信したイベント信号に含まれる機器の状態とに基づいて、携帯端末20に表示すべきメッセージを特定し、特定したメッセージのデータをメッセージデータベース(図10)から抽出する。
【0059】
ステップS150において、支援情報生成部120は、機器データベース(図6)を参照し、イベント信号に含まれる機器のアドレスと状態とに基づいて、対応種別を特定する。
【0060】
また、ステップS160において、支援情報生成部120は、通知対象設定データベース(図7)を参照して、ステップS150で特定した対応種別に関連付けられた通知対象を特定し、更に、ユーザ管理データベース(図8)を参照して、ユーザ管理データベースに登録されたユーザのうち、特定された通知対象に該当するユーザを通知対象ユーザとして抽出する。
【0061】
続いて、ステップS170において、支援情報生成部120は、ユーザ管理データベースにアクセスし、ステップS160で通知対象ユーザとして抽出された各ユーザのアクセス日時を抽出する。
【0062】
ステップS180において、支援情報生成部120は、ステップS170で抽出されたアクセス日時に応じて、必要な場合、通知対象ユーザの変更/追加を行う。即ち、アクセス日時が現在日時より所定時間以上前の場合、支援情報生成部120は、そのアクセス日時に対応するユーザの携帯端末20は、支援情報を取得することができない状態にあると判定し、そのユーザを通知対象から除く、別のユーザを通知対象に加える、などの通知対象ユーザの変更/追加を行う。例えば、対応種別が「保守」の場合に、保守会社社員に該当するユーザの携帯端末20が支援情報を取得することができないと判定される場合、支援情報生成部120は、通知対象ユーザとして「管理者」に該当するユーザを追加してよい。
【0063】
ステップS190において、支援情報生成部120は、ユーザ管理データベースにアクセスし、ステップS180における通知対象ユーザの変更/追加後に通知対象ユーザとして特定される各ユーザの位置情報および属性(役職)を抽出する。
【0064】
ステップS195において、支援情報生成部120は、ステップS130で抽出された表示画像データ、ステップS140で抽出された表示メッセージデータ、ステップS160で抽出された通知対象ユーザの位置情報および役職、イベント信号に含まれる機器のアドレス及び状態等に基づいて、通知対象ユーザの各々に提供する支援情報を生成する。」
「【図15】
[図:0001391718000002.jpg]
」

したがって、上記引用文献5には次の技術が記載されていると認められる。

「防災活動支援システム1は、火災報知設備2において火災や機器故障等のイベントが発生したときに、当該イベントに応じた防災活動を支援するシステムであり、
防災活動支援システム1においてイベントに応じた防災活動の支援を受けるユーザは、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末20を保持し、この携帯端末20で、サーバ10により生成された支援情報を取得し、
携帯端末20は、制御部21、操作部22、表示部23、通信部24、記憶部25、GPS(Global Positioning System)センサ26、および加速度センサ27を有し、
GPSセンサ26は、予め定められたタイミングで(例えば、1分毎)、または、制御部21からの指示に応じて、GPS衛星からのGPS信号に基づいて携帯端末20の位置を示す情報(経度及び緯度)を取得し、制御部21に送信し、
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制御部21は、GPSセンサ26からの情報及び/または加速度センサ27からの情報に基づいて、携帯端末20の位置を特定し、
サーバ10における防災活動支援機能は、イベント信号受信部110、支援情報生成部120、受信部130、認証部140、送信部150、及び記憶部15により実現され、
携帯端末20における防災活動支援機能は、支援情報取得部210、位置情報取得部220、および表示制御部230により実現され、
携帯端末20の支援情報取得部210は、支援情報を取得するため、決められた間隔でサーバ10にアクセスし、
支援情報取得部210は、位置情報取得部220により取得された携帯端末20の最新の位置情報をサーバ10に送信し、
正規のユーザであると判定した場合、認証部140は、携帯端末20から受信した位置情報を、記憶部15に格納されたユーザ管理データベースに、ユーザIDと関連付けて記録し、
これにより、位置情報の更新がなされ、
ステップS110においてイベント信号が受信されたと判定されると(ステップS110:YES)、ステップS120において、支援情報生成部120は、イベント信号受信部110が受信したイベント信号に含まれる物件No.とアドレスとを用いて機器データベースを参照し、イベントが発生した機器が設置されたエリア(イベント発生エリアと言う)およびイベントが発生した機器の種別を特定し、
続いて、ステップS130において、支援情報生成部120は、表示画像設定データベースを参照し、ステップS120で特定したイベント発生エリアおよび機器種別に基づいて、携帯端末20に表示すべき画像を特定し、特定した画像の画像データを画像データベースから抽出し、
また、ステップS140において、支援情報生成部120は、表示メッセージ設定データベースを参照し、ステップS120で特定した機器種別とステップS110で受信したイベント信号に含まれる機器の状態とに基づいて、携帯端末20に表示すべきメッセージを特定し、特定したメッセージのデータをメッセージデータベースから抽出し、
ステップS150において、支援情報生成部120は、機器データベースを参照し、イベント信号に含まれる機器のアドレスと状態とに基づいて、対応種別を特定し、
また、ステップS160において、支援情報生成部120は、通知対象設定データベースを参照して、ステップS150で特定した対応種別に関連付けられた通知対象を特定し、更に、ユーザ管理データベースを参照して、ユーザ管理データベースに登録されたユーザのうち、特定された通知対象に該当するユーザを通知対象ユーザとして抽出し、
続いて、ステップS170において、支援情報生成部120は、ユーザ管理データベースにアクセスし、ステップS160で通知対象ユーザとして抽出された各ユーザのアクセス日時を抽出し、
ステップS180において、支援情報生成部120は、ステップS170で抽出されたアクセス日時に応じて、必要な場合、通知対象ユーザの変更/追加を行い、
ステップS190において、支援情報生成部120は、ユーザ管理データベースにアクセスし、ステップS180における通知対象ユーザの変更/追加後に通知対象ユーザとして特定される各ユーザの位置情報および属性(役職)を抽出し、
支援情報生成部120は、ステップS130で抽出された表示画像データ、ステップS140で抽出された表示メッセージデータ、ステップS190で抽出された通知対象ユーザの位置情報および役職、イベント信号に含まれる機器のアドレス及び状態等に基づいて、通知対象ユーザの各々に提供する支援情報を生成すること。」

第5 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 「通知エリアに関する情報および前記通知エリアに在圏する通信端末の位置情報を取得する通信手段と、」について

引用発明において、「監視カメラ16や認証センサ20が学校やオフィスビル(以下、建物)などの屋内に配置されており、」「館内への侵入を許可された者(登録者)(一時的に入館する業者なども含む)にはすべてID(携帯端末40)が割り当てられ、そのすべてのIDがDB34に登録されており、」「避難経路を示した建物のマップと不審者の映像とを無線基地局18からそれぞれの携帯端末40に送信する」ことから、引用発明の「学校やオフィスビル(以下、建物)などの屋内」は、本願発明1の「通知エリア」に相当する。

そして、引用発明において、「認証センサ20は、受信したIDを中央コンピュータ12に送信」することから、引用発明の認証センサ20が受信したIDは、本願発明1の「通知エリアに関する情報」に相当する。

また、引用発明の「学校やオフィスビル(以下、建物)などの屋内」(前記のとおり、本願発明1の「通知エリア」に相当)の「携帯端末40」は、本願発明1の「通知エリアに在圏する通信端末」に相当する。

引用発明において、「携帯端末40はGPS(Global Positioning System)機能を備えており、GPSで得られた情報を中央コンピュータ12に送信することによって、中央コンピュータ12はすべての携帯端末40の位置を把握することができ」ることから、引用発明は、本願発明1と「通知エリアに関する情報および前記通知エリアに在圏する通信端末の位置情報を取得する通信手段」を備える点で一致する。

イ 「前記通知エリアに関する前記情報を解析して問題事象を検知し、」について

引用発明において、「館内に設けられている認証センサ20の付近を何者かが通過すると、認証センサ20が人物を感知し、それを中央コンピュータ12に知らせ、ステップS3において、CPU30は認証センサ20が何者かを感知したと判断し、ステップS5において認証作業を行い、ステップS7においては、IDをDB34で参照した結果に応じて認証可能であるか認証不可能であるかの判断をし、」「認証センサ20からのID送信の要求に応答がない場合(その人物が携帯端末40を保持していない場合)や、認証センサ20が受信したIDがDB34に登録されていない場合には、認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみな」すことから、引用発明の「認証センサ20が受信したID」を認証可能であるか認証不可能であるかの判断をすることは、本願発明1の「前記通知エリアに関する前記情報を解析」することに相当し、引用発明の「認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみな」すことは、本願発明1の「問題事象を検知」することに相当する。

ウ 「前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを、前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報と、前記誘導情報に含まれる誘導先の許容量と、に応じて、前記通信端末に割り当てる検知手段と、」について

引用発明において、「登録者A~Eに対しては退避経路が示されるが、不審者Zが向かっている3階にいる登録者F~Hには、携帯端末40を介して、部屋の出入口に施錠して立て篭もるよう指示が出され」ることから、登録者A~Eに対して示される退避経路及び登録者F~Hに出される立て篭もりの指示は、本願発明1の「前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報」に相当する。

また、引用発明は、「ステップS7において、認証不可能と判断された場合には、ステップS9において、不審者を最近感知した認証センサ20の位置に基づいて、不審者の現在の位置を特定し、ステップS13では、携帯端末40からGPSデータを収集し、登録者全員の現在位置を把握」するものであり、「ステップS7において、認証不可能と判断された場合には」「認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみな」す(イに示したとおり、本願発明1の「問題事象の検知」に相当)ことから、引用発明において、携帯端末40からGPSデータを収集し、登録者全員の現在位置を把握するのは、認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみなした後である。

そして、引用発明において、「得られる携帯端末40の位置と、不審者Zの位置とを基に、中央コンピュータ12はそれぞれの携帯端末40の保持者の退避経路を算出」することから、引用発明の「中央コンピュータ12」は、本願発明1の「前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを、前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報と、前記誘導情報に含まれる誘導先の許容量と、に応じて、前記通信端末に割り当てる検知手段」と、「前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを、取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報に応じて、前記通信端末に割り当てる検知手段」である点で共通する。

エ 「前記検知手段によって前記通信端末に割り当てられた前記誘導情報を前記通信端末に送信する通知手段と、を備え、」について

引用発明は、「中央コンピュータ12において特定された退避経路は、無線基地局18を介して携帯端末40に送信され」ることから、引用発明の「無線基地局18」は、本願発明1の「前記検知手段によって前記通信端末に割り当てられた前記誘導情報を前記通信端末に送信する通知手段」に相当する。

よって、本願発明1と引用発明は、「前記検知手段によって前記通信端末に割り当てられた前記誘導情報を前記通信端末に送信する通知手段と、を備え」る点で一致する。

オ 「前記検知手段は、行動検知技術を用いて前記問題事象を検知するものであり、前記行動検知技術は、前記通知エリアの情報に含まれる動画映像における特徴を抽出して、当該抽出された特徴を学習して記録しておき、当該記録された特徴と現状の前記動画映像における特徴とを比較して解析することにより、通常時の前記動画映像における特徴と現状の前記動画映像における特徴との違いを前記問題事象として抽出するものである」について

引用発明においては、「館内に設けられている認証センサ20の付近を何者かが通過すると、認証センサ20が人物を感知し、それを中央コンピュータ12に知らせ、ステップS3において、CPU30は認証センサ20が何者かを感知したと判断し、ステップS5において認証作業を行い、ステップS7においては、IDをDB34で参照した結果に応じて認証可能であるか認証不可能であるかの判断をし、」「認証センサ20からのID送信の要求に応答がない場合(その人物が携帯端末40を保持していない場合)や、認証センサ20が受信したIDがDB34に登録されていない場合には、認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみな」すことから、引用発明は、本願発明1の「前記検知手段は、行動検知技術を用いて前記問題事象を検知するものであり、前記行動検知技術は、前記通知エリアの情報に含まれる動画映像における特徴を抽出して、当該抽出された特徴を学習して記録しておき、当該記録された特徴と現状の前記動画映像における特徴とを比較して解析することにより、通常時の前記動画映像における特徴と現状の前記動画映像における特徴との違いを前記問題事象として抽出するものである」と、「前記検知手段は、前記問題事象を検知するものである」点で共通する。

カ 「通知システム」について

引用発明の「監視カメラシステム10」は、「避難経路を示した建物のマップと不審者の映像とを無線基地局18からそれぞれの携帯端末40に送信する」ことから、後述する相違点を除き、本願発明1の「通知システム」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは、

「通知エリアに関する情報および前記通知エリアに在圏する通信端末の位置情報を取得する通信手段と、
前記通知エリアに関する前記情報を解析して問題事象を検知し、前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを、取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報に応じて、前記通信端末に割り当てる検知手段と、
前記検知手段によって前記通信端末に割り当てられた前記誘導情報を前記通信端末に送信する通知手段と、を備え、
前記検知手段は、前記問題事象を検知するものである通知システム。」の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)

検知手段について、誘導情報を通信端末に割り当てるために、取得する通知エリアに在圏する通信端末の位置情報は、本願発明1では、「前記問題事象の検知前に」取得したものであるのに対して、引用発明は、前記ウで示したように、「認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみなした後」、すなわち、問題事象の検知後に取得したものである点。

(相違点2)

検知手段について、本願発明1は、「前記誘導情報に含まれる誘導先の許容量」に応じて、誘導情報を割り当てるのに対して、引用発明は、誘導先の許容量について特定されていない点。

(相違点3)

本願発明1は、「前記検知手段は、行動検知技術を用いて前記問題事象を検知するものであり、前記行動検知技術は、前記通知エリアの情報に含まれる動画映像における特徴を抽出して、当該抽出された特徴を学習して記録しておき、当該記録された特徴と現状の前記動画映像における特徴とを比較して解析することにより、通常時の前記動画映像における特徴と現状の前記動画映像における特徴との違いを前記問題事象として抽出するものである」のに対して、引用発明は、認証センサ20が受信したIDによって問題事象を抽出するものである点。

(2)相違点についての判断

上記相違点1について検討すると、引用文献5には、「第4 引用文献、引用発明等」の「5.引用文献5について」に記載のとおりの技術が記載されている。

すなわち、引用文献5においては、「携帯端末20の支援情報取得部210は、支援情報を取得するため、決められた間隔でサーバ10にアクセスし、支援情報取得部210は、位置情報取得部220により取得された携帯端末20の最新の位置情報をサーバ10に送信し、正規のユーザであると判定した場合、認証部140は、携帯端末20から受信した位置情報を、記憶部15に格納されたユーザ管理データベースに、ユーザIDと関連付けて記録し、これにより、位置情報の更新がなされ、」「ステップS110においてイベント信号が受信されたと判定されると、」「ステップS190において、支援情報生成部120は、ユーザ管理データベースにアクセスし、ステップS180における通知対象ユーザの変更/追加後に通知対象ユーザとして特定される各ユーザの位置情報および属性(役職)を抽出し、」「支援情報生成部120は、ステップS130で抽出された表示画像データ、ステップS140で抽出された表示メッセージデータ、ステップS190で抽出された通知対象ユーザの位置情報および役職、イベント信号に含まれる機器のアドレス及び状態等に基づいて、通知対象ユーザの各々に提供する支援情報を生成する」ことから、火災や機器故障等のイベントが受信されたと判定される前に記録されていた携帯端末20の位置情報をユーザ管理データベースから抽出し、抽出した位置情報に基づいて支援情報を生成することが開示されている。

しかしながら、引用発明は、「不審者Zと登録者A~Hとの相対位置および不審者Zの移動経路に応じて異なる指示が登録者A~Hに与えられ、このような指示に従って行動することによって、不審者Zから安全に退避することができ」るようにするものであり、登録者A~Hに対する退避経路は、不審者Zの移動経路に応じて異なるように示されることから、不審者Zの移動経路が特定された後に、登録者A~Hの位置情報を把握するようにするものである。

してみると、引用発明において、登録者A~Hに対する退避経路は、不審者Zの移動経路に応じて異なるように示されるように、携帯端末40からGPSデータを収集し、登録者全員の現在位置を把握するのは、認証センサ20が感知した人物を不審者(未登録者)とみなした後であることに対し、前記引用文献5に開示された技術を適用する動機づけはないといえる。

したがって、上記相違点2-3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-8について

本願発明2-8も、上記相違点1に係る本願発明1の「前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報」に応じて、誘導情報を割り当てる検知手段と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明9-10について

本願発明9-10は、本願発明1に対応する方法及びプログラムの発明であり、上記相違点1に係る本願発明1の「前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報」に応じて、誘導情報を割り当てる検知手段に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について

審判請求時の補正により、本願発明1-8は上記相違点1に係る本願発明1の「前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報」に応じて、誘導情報を割り当てる検知手段と同一の構成を有するものとなっており、本願発明9-10は上記相違点1に係る本願発明1の「前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する前記通信端末の前記位置情報」に応じて、誘導情報を割り当てる検知手段に対応する構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-017594

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