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特許拒絶査定不服審判

2021-017071

蓄電制御装置、蓄電システム及び制御方法

審判番号
2021-017071
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-510205外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年12月10日
審決日
2022年09月21日
公報発行日
2023年01月27日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H02J)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-510205「蓄電制御装置、蓄電システム及び制御方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月 3日国際公開、WO2019/186659〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、2018年(平成30年)3月26日を国際出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

令和3年 5月 7日付け:拒絶理由通知書
令和3年 7月19日 :意見書及び手続補正書の提出
令和3年 9月 8日付け:拒絶査定
令和3年12月10日 :審判請求書の提出

第2 本願発明

本願の請求項1-6に係る発明は、令和3年7月19日に提出された手続補正書に係る手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
第1蓄電装置を有する大容量蓄電池システム及び第2蓄電装置を有する高出力蓄電池シ
ステムを組合せた蓄電システムに用いられる蓄電制御装置であって、
前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態を検出する劣化状態検出部と、
当該蓄電システムに要求される放電電力量あるいは充電電力量である需要電力量を検出
する需要電力量検出部と、
前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態並びに前記需要電力量に基づいて、
前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置に対する電力量配分を設定し、前記第1蓄電装置
及び前記第2蓄電装置のそれぞれに制御信号を出力して個別に制御する配分設定部と、
を備えた蓄電制御装置。」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

この出願の請求項1乃至6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2016-152718号公報
引用文献2:特開2015-162917号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明等

1 引用文献1について

(1)引用文献1の記載事項

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引用文献1(特開2016-152718号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、強調のため当審で付した。以下同じ。)。

「【0020】
<第一実施形態>
以下、本発明の一実施形態による充放電制御装置を図1~図6を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における充放電システムの構成の一例を示す概略ブロック図である。図1が示すように、充放電システム1は、充電設備110と、移動体170とを具備する。移動体170は、充放電制御装置100と、DC/DCコンバータ120と、リチウムイオンバッテリ130と、リチウムイオンキャパシタ140と、負荷150と、直流バス160とを具備する。充電設備110と、DC/DCコンバータ120と、リチウムイオンキャパシタ140と、負荷150とは、それぞれ直流バス160に接続している。また、DC/DCコンバータ120はリチウムイオンバッテリ130にも接続している。以下、リチウムイオンバッテリ130をLiバッテリ130、リチウムイオンキャパシタ140をLiキャパシタ140と記載する。
続きを表示(全16行)
【0021】
充放電システム1は、充電式の蓄電装置を用いて動作する移動体170と充電設備110を含んで構成される。移動体170とは、例えば、RTG(Rubber Tired Gantry Crane、タイヤ式トランスファークレーン)、または、鉄道車両などである。
負荷150は、電力を消費する装置である。負荷150は、例えば、RTGのクレーンを動作させるモータ及びインバータ、または、照明装置や通信機器などの補機、あるいはこれらの組み合わせなど、電力を消費する様々な装置を負荷150とすることができる。
充電設備110は、電力を外部に供給するための端子を備え、直流バス160を介してLiバッテリ130、Liキャパシタ140に電力を供給する。Liバッテリ130、Liキャパシタ140は、充電設備110から供給された電力を蓄え、負荷150に電力を供給する。充電設備110は、直流バス160へ電力を常時出力するものであってもよいし、断続的に出力するものであってもよい。例えば、移動体170が列車の場合、駅に停止しているときだけ充電設備110と接続し、充電を行う。また、例えば、地上給電設備(充電設備110)と接続されているバッテリアシストRTGなどの場合、常に充電することが可能である。
【0022】
Liバッテリ130は、直流バス160との間で充放電を行う。Liバッテリ130は、高容量デバイスの一例である。
DC/DCコンバータ120は、Liバッテリ130と直流バス160との間に設けられ、バス電圧とバッテリ電圧との電圧変換を行う。
【0023】
Liキャパシタ140は、直流バス160と直接接続され、直流バス160との間で充放電を行う。Liキャパシタ140は、高出力デバイスの一例である。
充放電制御装置100は、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の充放電を制御する。充放電制御装置100は、DC/DCコンバータ120を制御することで、Liバッテリ130とLiキャパシタ140との充放電における電力分担の制御を行う。
【0024】
以上のように、直流バス160は、負荷150と接続され、かつ、充電設備110から電力を受給可能であり、Liバッテリ130とLiキャパシタ140とが直流バス160との間で充放電を行う。ここで、Liキャパシタ140は、例えばLiバッテリ130などの蓄電池よりも出力特性に優れており、より大きい電力を出力可能である。一方、Liバッテリ130は、Liキャパシタ140に比べ、容量特性で優れた特性を有している。このように、特性の異なるLiバッテリ130とLiキャパシタ140とを併せて動力源として用いることで、最適なシステムを構築することができる。例えば、Liキャパシタ140を具備することで、出力特性に課題のあるLiバッテリ130のみを有する構成との比較において、Liバッテリ130のピーク出力を小さくすることができ得る。Liバッテリ130のピーク出力が小さくて済むことで、ピーク電力に合わせて大容量となっていたLiバッテリ130を、より小さな容量とすることができる。また、DC/DCコンバータ120の出力も小さなものとすることができる。これにより、充放電システム1では、製造コストや運用コストを低減させ得る。本実施形態の充放電制御装置100は、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の特性を生かせるように電力分担を制御し、充放電システム1を最適化する。なお、図2(当審注:図面の記載内容との対応に照らして、「図2」は、「図1」の誤記と認められる。)では、DC/DCコンバータをLiバッテリ130に対して設ける構成としているが、Liキャパシタ140についてもDC/DCコンバータを設ける構成としてもよい。例えば、負荷150が汎用のインバータなどであって、直流バス160の電圧の変動幅に大きな制限がある場合には、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の両方にDC/DCコンバータを接続した構成とすることができる。」
「【0027】
そこで、本実施形態では、図10で例示したような制御方法ではなく、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の両方の特性を生かした電力分担の決定方法を提供する。
図2は、本発明の第一実施形態における充放電制御装置100の一例を示すブロック図である。充放電制御装置100は、負荷との間で充放電可能な第一の蓄電装置(Liバッテリ130)と、負荷との間で充放電可能で第一の蓄電装置と特性が異なる第二の蓄電装置(Liキャパシタ140)とを備える充放電システムの充放電制御装置である。
充放電制御装置100は、図2が示すように、少なくとも充電率取得部11、分担率設定部12、指令値生成部13、力行回生判定部14、記憶部15を備えている。
充電率取得部11は、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の充電率を取得する。充電率の取得は、例えばLiバッテリ130の開回路電圧を測定し、当該開回路電圧に対応する充電率を特定することで行うことができる。Liキャパシタ140についても同様である。
分担率設定部12は、充電率取得部11が取得した充電率に基づいて、Liバッテリ130の充放電における電力の分担率である「充電率に基づく分担率」を設定する。
指令値生成部13は、分担率設定部12で設定された充電率に基づく分担率に基づいてLiバッテリ130に対する充放電における電力指令値を生成する。
力行回生判定部14は、負荷150からの要求負荷や、Liバッテリ130及びLiキャパシタ140の充電率などに基づいて、力行運転するか回生運転するかを判定する。
記憶部15は、充電率に基づく分担率の設定に用いる様々なパラメータ等を記憶している。なお、以下において充電率をSOC(state of charge)と表記する場合がある。」
「【0032】
【数2】
[図:0001392775000001.jpg]
【0033】
続きを表示(全11行)
図4は、本発明の第一実施形態における充放電制御装置の処理フローを示す図である。
図4を用いて充放電制御装置100が電力分担量を算出する処理について説明する。
まず、負荷150から出力要求があったとする。すると、指令値生成部13が、負荷からの要求電力を取得する。また、充電率取得部11が、Liバッテリ130とLiキャパシタ140のSOCを取得する(ステップS11)。充電率取得部11は、取得したSOCを、分担率設定部12に出力する。分担率設定部12は、取得したLiバッテリ130のSOCをSOCLIBに、取得したLiキャパシタ140のSOCをSOCLIcに設定する。
次に、力行回生判定部14が、力行運転か回生運転かを判定し、その結果を、力行・回生フラグに設定する。分担率設定部12は、力行回生判定部14が設定した力行・回生フラグを取得する(ステップS12)。次に、分担率設定部12は、Liバッテリ130とLiキャパシタ140について、目標SOCと現在のSOCとの偏差を算出する(ステップS13)。具体的には、ステップS12にて力行・回生フラグが力行運転であることを示している場合(Powering=trueとBreaking=false)、分担率設定部12は、記憶部15から、力行時のLiバッテリ130の目標SOCであるSOCLIBDTと、Liキャパシタ140の目標SOCであるSOCLICDTとを読み出す。そして、分担率設定部12は、Liバッテリ130について上述の式(1)によって、目標SOCとの偏差SOCLIBDIFを算出する。また、分担率設定部12は、Liキャパシタ140について上述の式(2)によって、目標SOCとの偏差SOCLICDIFを算出する。
一方、力行・回生フラグが回生運転であることを示している場合(Powering=true及びBreaking=false以外の場合)、分担率設定部12は、記憶部15から、回生時のLiバッテリ130の目標SOCであるSOCLIBCTとLiキャパシタ140の目標SOCであるSOCLICCTとを読み出す。そして、分担率設定部12は、Liバッテリ130について式(3)により、目標SOCとの偏差SOCLIBDIFを算出する。また、分担率設定部12は、Liキャパシタ140について式(4)により、SOCLICDIFを算出する。
次に、分担率設定部12は、分担係数αを算出する(ステップS14)。具体的には、分担率設定部12は、記憶部15から、パラメータa0、a1を読み出して、a0、a1とステップS13で算出したSOCLIBDIF、SOCLICDIFを式(5)に代入して分担係数αを求める。分担率設定部12は、分担係数αを指令値生成部13へ出力する。次に指令値生成部13は、負荷150からの要求電力にαを乗じた値を算出し、算出した値を電力指令値として、DC/DCコンバータ120へ出力する。DC/DCコンバータ120は、電力指令値に基づいて電圧を調整し、直流バス160への供給電力を制御する。Liバッテリ130では、DC/DCコンバータ120の制御により分担係数αに応じた電力が消費され、Liキャパシタ140では、要求電力からLiバッテリ130が分担する電力分を減算した電力が消費される。これにより、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の電力分担量が制御される。
なお、充電時においては、指令値生成部13は、充電設備110に何キロワットの充電を行うかの充電指令を行う。また、指令値生成部13は、充電設備110に指令した充電電力と分担係数αを乗じてLiバッテリ130が充電する電力を算出し、DC/DCコンバータ120へ電力指令値を出力する。DC/DCコンバータ120は、Liバッテリ130に加わる電圧を制御し、分担係数αに応じた分がLiバッテリ130に充電され、残りがLiキャパシタ140に充電されるように制御する。」
「【0044】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による充放電制御装置を、図7~図9を参照して説明する。
第二実施形態は、温度やデバイスの劣化度も考慮して、電力分担を設定する。Liバッテリ130及びLiキャパシタ140は、温度や劣化度によって特性が変化する。そこで本実施形態では、第一実施形態のSOCに加え、これらのパラメータも用いて電力分担を設定する。さらに、SOC、温度、デバイス劣化度は、時定数が違うため、時定数や影響度を考慮した重み付けを与えて電力分担量を決定する。例えば、SOCは秒単位で変化し、影響度が大きい。また、温度は時間単位で変化し、影響度は中程度である。また、劣化度は、月単位で変化し、影響度は最も低い。
続きを表示(全42行)
【0045】
図7は、本発明の第二実施形態における充放電制御装置の一例を示すブロック図である。
図7で示すように、本実施形態における充放電制御装置100は、温度取得部16と劣化度算出部17を備えている。また、本実施形態の負荷率設定部12aは、SOCに基づく分担係数αの他に、温度に基づく分担係数βと劣化度に基づく温度に基づく分担係数γ(当審注:「劣化度に基づく温度に基づく分担係数γ」は、「劣化度に基づく分担係数γ」の誤記と認められる。)を算出する。また、本実施形態の指令値生成部13aは、分担係数α、β、γの重み付き平均を算出し、算出した重み付き平均に基づいて電力指令値を生成する。他の構成は第一実施形態と同様である。
温度取得部16は、Liバッテリ130及びLiキャパシタ140の温度を取得する。例えば、温度取得部16は、各デバイスに設けられた温度センサから測定した温度を取得する。
劣化度算出部17は、Liバッテリ130及びLiキャパシタ140の劣化度を取得する。劣化度の算出は、例えば、充放電時の単位時間当たりの電圧の変化と電流から静電容量を算出し、静電容量の減少度合いに基づいて算出してもよい。あるいは、充放電の総回数や、使用時間に基づいて劣化度合いを算出してもよい。
負荷率設定部12aは、温度に基づく分担係数βを以下の式で算出する。
【0046】
【数4】
[図:0001392775000002.jpg]
【0047】
ここで、βは、Liバッテリ130(第一の蓄電装置)に対する温度に基づく分担係数である。TLIBDIFは、Liバッテリ130の温度とLiバッテリ130の目標温度との偏差の絶対値である。TLICDIFは、Liキャパシタ140の温度とLiキャパシタ140の目標温度との偏差である。
【0048】
また、負荷率設定部12aは、劣化度に基づく分担係数γを以下の式で算出する。
【0049】
【数5】
[図:0001392775000003.jpg]
【0050】
ここで、γは、Liバッテリ130(第一の蓄電装置)に対する劣化度に基づく分担係数である。DLIBDIFは、Liバッテリ130の劣化度とLiバッテリ130の目標劣化度との偏差の絶対値である。DLICDIFは、Liキャパシタ140の劣化度とLiキャパシタ140の目標劣化度との偏差である。
なお、温度に基づく分担係数βの算出及び劣化度に基づく分担係数γの算出においては、力行と回生の区別は無い。また、a0、a1については第一実施形態と同様である。
【0051】
図8は、本発明の第二実施形態における充放電制御装置の処理に用いるパラメータを説明する図である。
図示するように、パラメータ「PLS」は、負荷が要求する電力である。あるいは、負荷が要求する電力のうち一部を、他の給電設備が分担する場合は、PLSは、負荷が要求する電力から給電設備が分担する電力を減じた値である。
「WSOC」は、SOCに基づく分担係数αに対する重み付けである。「WT」は、温度に基づく分担係数βに対する重み付けである。「WD」は、劣化度に基づく分担係数γに対する重み付けである。これら、WSOC、WT、WDは、予め定められた定数であって記憶部15に記録されている。これらの中では、SOCの影響が最も大きいため、WSOCが最も大きな値となる。また、温度による影響は中程度なので、WTの大きさは中程度となる。劣化度の影響は最も低いため、WDの値は、最も小さな値となる。
「α」は、SOCに基づく分担係数である。「β」は、温度に基づく分担係数である。「γ」は、温度に基づく分担係数である。これらα、β、γの算出方法については上述のとおりである。これらのパラメータは、変数である。
「TLIB」は、Liバッテリ130の目標温度である。「TLIC」は、Liキャパシタ140の目標温度である。「DLIB」は、Liバッテリ130の目標劣化度である。「DLIC」は、Liキャパシタ140の目標劣化度である。これらのパラメータは、予め予め定められた定数であって記憶部15に記録されている。
【0052】
図9は、本発明の第二実施形態における充放電制御装置の処理フローを示す図である。
図9を用いて本実施形態の電力分担量を算出する処理について説明する。
まず、第一実施形態と同様に負荷150から出力要求があったときに、指令値生成部13が、負荷からの要求電力(PLS)を取得する。また、充電率取得部11は、Liバッテリ130とLiキャパシタ140のSOCを取得し、負荷率設定部12aは、充電率に基づく分担係数αを算出する(ステップS21)。また、それと並行して、温度取得部16は、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の温度を取得する。温度取得部16は、取得した温度を負荷率設定部12aへ出力する。負荷率設定部12aは、記憶部15からTLIBを読み出して、取得したLiバッテリ130の温度とTLIBの偏差TLIBDIFを算出する。また、負荷率設定部12aは、記憶部15からTLICを読み出して、取得したLiキャパシタ140の温度とTLICの偏差の絶対値TLICDIFを算出する。そして、負荷率設定部12aは、式(7)によって温度に基づく分担係数βを算出する(ステップS22)。また、それと並行して、劣化度算出部17は、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の劣化度を算出する。劣化度算出部17は、算出した劣化度を負荷率設定部12aへ出力する。負荷率設定部12aは、記憶部15からDLIBを読み出して、取得したLiバッテリ130の劣化度とDLIBの偏差DLIBDIFを算出する。また、負荷率設定部12aは、記憶部15からDLICを読み出して、取得したLiキャパシタ140の劣化度とDLICの偏差の絶対値DLICDIFを算出する。そして、負荷率設定部12aは、式(8)によって劣化度に基づく分担係数γを算出する(ステップS23)。
次に、負荷率設定部12aは、算出したα、β、γを指令値生成部13へ出力する。指令値生成部13は、記憶部15からWSOC、WT、WDを読み出して、以下の式でLiバッテリ130に対する電力指令値を算出する(ステップS24)。
【0053】
【数6】
[図:0001392775000004.jpg]
【0054】
指令値生成部13は、算出した電力指令値PDCDCでDC/DCコンバータ120を制御する。
【0055】
本実施形態によると、第一実施形態に加え、温度・劣化の状態も考慮した分担とでき、デバイスの寿命長期化につなげることができる。
なお、温度及び劣化度の影響を考慮して電力分担を算出することが好ましいが、SOCと温度のみに基づいて電力分担を制御してもよいし、SOCと劣化度のみに基づいて電力分担を制御してもよい。」

(2)引用発明

段落【0053】の【数6】によれば、PDCDCは、PLSとγをパラメータの一部とする関数であり、段落【0049】の【数5】によれば、γは、DLIBDIFとDLICDIFをパラメータの一部とする関数である。そして、段落【0050】の「DLIBDIFは、Liバッテリ130の劣化度とLiバッテリ130の目標劣化度との偏差の絶対値である。DLICDIFは、Liキャパシタ140の劣化度とLiキャパシタ140の目標劣化度との偏差である。」との記載によれば、DLIBDIFとDLICDIFは、それぞれLiバッテリ130とLiキャパシタ140の劣化度の関数といえるから、前記PDCDCは、負荷からの要求電力PLS(【0051】参照)とLiバッテリ130の劣化度とLiキャパシタ140の劣化度をパラメータに含む関数である。

また、段落【0044】に「本発明の第二実施形態による充放電制御装置を、図7~図9を参照して説明する。

第二実施形態は、温度やデバイスの劣化度も考慮して、電力分担を設定する。Liバッテリ130及びLiキャパシタ140は、温度や劣化度によって特性が変化する。」と記載されているが、Liバッテリ130及びLiキャパシタ140は、図7~図9には記載されておらず、図1にのみ記載されていることから、第一実施形態における充放電システムの構成の一例として示された図1の構成は、第二実施形態にも共通するものであると認められる。

したがって、引用文献1には、第一実施形態の記載を踏まえた第二実施形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「負荷との間で充放電可能な第一の蓄電装置(Liバッテリ130)と、負荷との間で充放電可能で第一の蓄電装置と特性が異なる第二の蓄電装置(Liキャパシタ140)とを備える充放電システムの充放電制御装置であって(【0027】)、
充放電制御装置100は、指令値生成部13を備え(【0027】)、
Liバッテリ130は、高容量デバイスであり(【0022】)、
Liキャパシタ140は、高出力デバイスであり(【0023】)、
続きを表示(全13行)
バス電圧とバッテリ電圧との電圧変換を行うDC/DCコンバータ120は、Liバッテリ130と直流バス160との間に設けられ(【0022】)、
Liキャパシタ140は、直流バス160と直接接続され(【0023】)、
充放電制御装置100は、DC/DCコンバータ120を制御することで、Liバッテリ130とLiキャパシタ140との充放電における電力分担の制御を行い(【0023】)、
DC/DCコンバータをLiバッテリ130に対して設ける構成としているが、Liキャパシタ140についてもDC/DCコンバータを設ける構成としてもよく(【0024】)、
充放電制御装置100は、劣化度算出部17を備え、劣化度算出部17は、Liバッテリ130及びLiキャパシタ140の劣化度を取得し(【0045】)、
電力分担量を算出する処理として、負荷150から出力要求があったときに、指令値生成部13が、負荷からの要求電力(PLS)を取得し(【0052】)、
指令値生成部13は、負荷からの要求電力(PLS)とLiバッテリ130の劣化度とLiキャパシタ140の劣化度をパラメータに含む関数でLiバッテリ130に対する電力指令値を算出し(【0052】)、
指令値生成部13は、算出した電力指令値PDCDCでDC/DCコンバータ120を制御する(【0054】)
充放電制御装置。」

2 引用文献2について

引用文献2(特開2015-162917号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0013】
図1に本発明の蓄電池システムの概略構成を示す。
【0014】
本発明の蓄電池システム10は、充放電可能な複数の蓄電装置1(1aから1n)と、蓄電装置1に設けられた変換器2(2aから2n)と、変換器2を制御する制御部である充放電指令生成部5とで構成されている。この蓄電池システム10は、充放電可能な蓄電装置1に対し、入力された直流電力を3相交流に変換する変換器2が接続されたものが複数並列接続され、絶縁と電圧変換を行うトランス3を介して、電力系統4に接続されている。
続きを表示(全12行)
【0015】
またこれらの蓄電装置1と変換器2で構成された蓄電ユニット30(30aから30n)のために、充放電指令生成部5は各蓄電池1(当審注:「蓄電池1」は「蓄電装置1」の誤記と認められる。)に対する充放電指令52を出力する。充放電指令生成部5では、センサ51により電力系統4側の電圧・電流情報を入手し、その変化から系統の電圧及び電流を安定させるために必要な充放電する総電力(充放電総電力)を決定し、この充放電総電力を各蓄電装置1の状態に合わせて分配する。この分配の際に、運転台数と、実際に運転する号機と、各号機が負担する電力を定める。
【0016】
以下詳細に充放電指令生成部5の動作を説明する。充放電指令生成部5は、充放電総電力決定部53と、電力分配決定部54から構成される。充放電総電力決定部53は、センサ51から系統側の電圧情報を入手し、規定の電圧の範囲にあるかを判定する。もし、規定範囲内の場合は、本蓄電システム1からの充放電総電力は0となり、蓄電装置1と変換器2で構成された蓄電ユニット30を用いた電力制御は実行しない。
【0017】
一方、規定範囲外の場合は下記のとおりとなる。まず、電圧が低い場合、供給電力が不足しているため、蓄電池1から電力を出力(放電)する。これに対し電圧が高い場合、供給電力過剰のため、蓄電池1に電力を充電する。なお、充電及び放電の総電力は、規定の電圧の範囲からのずれ幅とその系統の特性から決まる係数をかけたものから決定される。
【0018】
充放電総電力決定部53により決定された充放電総電力を基に、電力分配決定部54は、各蓄電装置1への個別の充放電電力を決定する。本発明は、この電力分配決定部54における新規な分配方式に関するものであるが、本発明方式の説明に入る前に、周辺技術及び課題などを明確にしておく。」
「【図1】
[図:0001392775000005.jpg]
」
「【0037】
問題2の解決策:本発明においては、基本的に上記の運転(効率の観点からの台数決定と複数台同出力並列運転による蓄電ユニットの高効率運転確保)を実行するが、問題2の対策時には以下のように対応する。この場合には、複数台同出力並列運転を行わず、高効率確保できる領域内で以下のように異なる出力での並列運転とする。
【0038】
つまり、複数ある蓄電装置1間で充電量に差がある場合、各蓄電装置1の充電量に応じて、充放電総電力の割り振りを行う。つまり、充放電総電力をP、各蓄電装置1の充電量をSOCiとした時の各蓄電装置1の充放電電力Piは、下記の(1)式から(4)式で求めることができる。但しこの式においてαiは各蓄電装置1の係数、SOCmaxとSOCminは充電量SOCの上限または下限の制限値である。
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[数1]
Pi=αi×P (1)
[数2]
SUM(αi)=1 (2)
[数3]
放電時:αi=(SOCi-SOCmin)/SUM(SOCi-SOCmin) (3)
[数4]
充電時:αi=(SOCmax-SOCi)/SUM(SOCmax-SOCi) (4)
この(1)式によれば、各蓄電装置1の充放電電力Piは、充放電総電力Pに各蓄電装置1の係数αiを乗じたものとして求められる。(2)式によれば、蓄電装置1ごとの係数αiの合計は1なので、運転する蓄電装置1の充放電電力Piの合計は充放電総電力Pに合致するように配分される。」

したがって、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「充放電可能な複数の蓄電装置1(1aから1n)と、蓄電装置1に設けられた変換器2(2aから2n)と、変換器2を制御する制御部である充放電指令生成部5とで構成された蓄電池システム10において(【0014】)、
充放電指令生成部5は、充放電する総電力(充放電総電力)を決定し(【0015】)、
各蓄電装置1の充放電電力Piを、充放電総電力Pに各蓄電装置1の係数αiを乗じたものとして求め、運転する蓄電装置1の充放電電力Piの合計は充放電総電力Pに合致するように配分し(【0038】)、
充放電指令生成部5が各蓄電装置1に対する充放電指令52として出力(【0015】)すること。」

3 引用文献3について

原審の拒絶理由通知書において先行技術文献として提示された特開2014-17982号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

「【0014】
以下、本実施形態に係る電力システムが備える電池コントローラの充放電電力配分方法に係る実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
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(全体構成)
図1は、本実施形態に係る電池システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、電池システム1は、上位システムであるEMS(Energy Management System)より充放電指令を受けて、電池の充放電を行うシステムである。この電池システム1には、複数の二次電池2A、2B・・・が直流バス9に並列に接続されて設置される。
【0016】
直流バス9は、その他、発電機、負荷、電力系統等に接続されており、二次電池2A、2B・・・に対して充放電が可能となっている。発電機としては、太陽光発電機、風力発電機、燃料電池、負荷としては、電気自動車やハイブリッド車両の電源、家庭用電源、その他の各種が挙げられる。また、負荷の一例としては系統電力網が含まれる。
【0017】
二次電池2A、2B・・・は、それぞれが単一の蓄電池セル21、22又は直列接続された複数の蓄電池セル21、22群である。尚、本実施形態では、説明の都合上、電池システム1が二次電池2A、2Bを有するものとする。
【0018】
この二次電池2A、2Bは、電池の種類が異なり、ハイブリッド電池を構成している。例えば、二次電池2Aはリチウムイオン電池であり、二次電池2Bは鉛電池である。そのため、二次電池2A、2Bとでは、電池の特性が異なり、特に劣化に対するSOC依存性が異なる。リチウムイオン電池である二次電池2Aは、一般に、高入出力、高容量単価であり、特に劣化速度が高SOC側で速い。一方、鉛電池である二次電池2Bは、一般に、リチウムイオン電池に比べて入出力能力は低いが、低容量単価であり、劣化速度は低SOC側で速い。SOCは、State Of Chargeの略であり、定格充電容量に対する残容量の割合である。
【0019】
この二次電池2A、2Bに対して充放電を制御する電池システム1は、電池コントローラ3と、電池別制御部4A、4Bと、各種のセンサを備えている。各種センサは、電池システム1では、各電池セルに並列接続された電圧測定部5、二次電池2A、2Bの各一端に接続された電流測定部6、二次電池2A、2Bのそれぞれ近傍に設置された温度測定部7である。
【0020】
電池コントローラ3は、プロセッサ、メモリ、及び通信インターフェースを含み構成され、電池コントローラ3と、制御信号や電池情報信号を送受信するための信号線8で電池別制御部4A、4B及び各種センサと接続されている。信号線8は、例えばSMBus通信方式が利用され、2つの通信ラインであるデータラインとクロックラインを有し、データ信号等を送受信する。」
「【図1】
[図:0001392775000006.jpg]
」
「【0045】
図3に示すように、電池コントローラ3は、指令値受信部31、SOC算出部32、配分方法判断部33、電池情報記憶部34、充放電余裕量算出部35、配分量算出部36、及び係数記憶部37を備えている。
【0046】
指令値受信部31は、LANケーブル等の通信線が接続された通信インターフェースを含み構成され、EMSから指令を受信する。EMSからの指令には、充電又は放電を示す充放電種別情報、及び充電又は放電の合計電力指令値P(Tn)が含まれている。」
「【0053】
配分量算出部36は、プロセッサを含み構成され、電力配分アルゴリズムに従って、二次電池2Aと二次電池2Bに配分する充放電量を算出する。具体的には、配分比補正係数rA及びrBの具体値を配分方法判断部33の判定結果に応じて選択し、上記計算式(5)乃至(10)を纏めた以下の計算式(11)及び(12)を計算する。
【0054】
[図:0001392775000007.jpg]
【0055】
配分比補正係数rA及びrBの具体値、及び補正係数kAの具体値は、フラッシュメモリやHDD等の不揮発性メモリを含み構成される係数記憶部37に予め記憶されている。図7に示すように、配分比補正係数rA及びrBの具体値は、充放電種別情報及び配分方法判断部33の判定結果のパターンに応じて分類されて記憶されている。
【0056】
配分量算出部36は、二次電池2Aの種類に応じて定数である補正係数kAを係数記憶部37から読み出し、EMSからの充放電種別情報及び配分方法判断部33が示した判定結果に対応づけられている配分比補正係数rA及びrBを係数記憶部37から読み出し、充放電余裕量算出部35が算出した充放電余裕量CaremとCbremを読み出し、指令値受信部31が受信した合計電力指令値P(Tn)を読み出し、上記計算式(11)及び(12)を計算する。
【0057】
配分量算出部36の計算結果である配分量Pa(Tn)は、二次電池2Aを制御する電池別制御部4Aに信号線8を介して出力され、配分量Pb(Tn)は、二次電池2Bを制御する電池別制御部4Bに信号線8を介して出力される。」
「【図3】
[図:0001392775000008.jpg]
」

したがって、引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「電池コントローラの充放電電力配分方法であって(【0014】)、
電池システム1は、上位システムであるEMS(Energy Management System)より充放電指令を受けて、電池の充放電を行うシステムであり、この電池システム1には、複数の二次電池2A、2B・・・が直流バス9に並列に接続されて設置されており(【0015】)、
二次電池2A、2Bに対して充放電を制御する電池システム1は、電池コントローラ3と、電池別制御部4A、4Bと、各種のセンサを備え(【0019】)、
電池コントローラ3と、制御信号や電池情報信号を送受信するための信号線8で電池別制御部4A、4B及び各種センサと接続され(【0020】)、
電池コントローラ3は、指令値受信部31、SOC算出部32、配分方法判断部33、電池情報記憶部34、充放電余裕量算出部35、配分量算出部36、及び係数記憶部37を備え(【0045】)、
配分量算出部36の計算結果である配分量Pa(Tn)は、二次電池2Aを制御する電池別制御部4Aに信号線8を介して出力され、配分量Pb(Tn)は、二次電池2Bを制御する電池別制御部4Bに信号線8を介して出力される(【0057】)こと。」

4 周知技術について

上記2、3によれば、例えば、引用文献2、引用文献3に記載されるように、以下の技術は本願出願時における周知技術である。

「複数の蓄電装置を備えた充放電システムにおいて、複数の蓄電装置の充放電を制御する際に、それぞれの蓄電装置の充放電量の配分を決定し、決定した配分に基づいてそれぞれに制御信号を出力して個別に制御すること」

第5 対比

本願発明と引用発明を対比する。

1 「第1蓄電装置を有する大容量蓄電池システム及び第2蓄電装置を有する高出力蓄電池システムを組合せた蓄電システムに用いられる蓄電制御装置」について

ア 引用発明の「第一の蓄電装置(Liバッテリ130)」は、「高容量デバイスであ」り、「高容量」と「大容量」は、容量が大きいという意味で同義であるから、本願発明の「第1蓄電装置」に相当する。そして、引用発明の「Liバッテリ130」は、「Liバッテリ130」と直流バス160との間に設けられた「DC/DCコンバータ120」を制御することで制御されるから、当該高容量デバイスである「第一の蓄電装置(Liバッテリ130)」と「DC/DCコンバータ120」は、本願発明の「第1蓄電装置を有する大容量蓄電池システム」に相当する。

イ 引用発明の「第二の蓄電装置(Liキャパシタ140)」は、「高出力デバイスであ」るから、本願発明の「第2蓄電装置」に相当する。そして、引用発明は、「DC/DCコンバータをLiバッテリ130に対して設ける構成としているが、Liキャパシタ140についてもDC/DCコンバータを設ける構成としてもよ」いので、引用発明の当該高出力デバイスである「第二の蓄電装置(Liキャパシタ140)」についても「Liバッテリ130」と同様に、直流バス160との間に「DC/DCコンバータ」を設けた構成とすることができる。この構成において、「DC/DCコンバータ」を制御することは特定されていないものの、上記アと同様に「第二の蓄電装置(Liキャパシタ140)」と「DC/DCコンバータ」を組み合わせたシステムと捉えることができるから、当該高出力デバイスである「第二の蓄電装置(Liキャパシタ140)」と「DC/DCコンバータ」は、本願発明の「第2蓄電装置を有する高出力蓄電池システム」に相当する。

ウ そして、引用発明の「充放電制御装置」は、「第一の蓄電装置(Liバッテリ130)」と「DC/DCコンバータ120」及び「第二の蓄電装置(Liキャパシタ140)」と「DC/DCコンバータ 」を備え、少なくとも「DC/DCコンバータ120」を制御することにより充放電の電力分担を制御する装置であるから、前記ア及びイを踏まえると、本願発明の「第1蓄電装置を有する大容量蓄電池システム及び第2蓄電装置を有する高出力蓄電池システムを組合せた蓄電システムに用いられる蓄電制御装置」に相当する。

2 「前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態を検出する劣化状態検出部」について

エ 引用発明の「劣化度算出部17」は、「Liバッテリ130」及び「Liキャパシタ140」の「劣化度」を取得しており、「劣化度」は、劣化の度合いを意味するから「劣化状態」とも言うことができる。そして、引用文献1の段落【0045】によれば、「劣化度の算出」は、「例えば、充放電時の単位時間当たりの電圧の変化と電流から静電容量を算出し、静電容量の減少度合いに基づいて算出してもよい。あるいは、充放電の総回数や、使用時間に基づいて劣化度合いを算出してもよい。」とあり、種々の情報から算出して判定していることから、「検出」しているとも言える。

したがって、引用発明の「Liバッテリ130及びLiキャパシタ140の劣化度を取得」する「劣化度算出部17」は、本願発明の「前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態を検出する劣化状態検出部」に相当する。

3 「当該蓄電システムに要求される放電電力量あるいは充電電力量である需要電力量を検出する需要電力量検出部」について

オ 引用発明は、「負荷150から出力要求があったときに、指令値生成部13が、負荷からの要求電力(PLS)を取得」するものであり、負荷からの出力要求は、蓄電装置に放電を求める要求であるから、当該出力要求は、本願発明の「要求される放電電力量である需要電力量」に相当する。そして、引用発明の「指令値生成部13」は、要求電力を取得していることから、「指令値生成部13」は、要求電力を「検出」しているということができる。

したがって、引用発明の「負荷からの要求電力を取得」する「指令値生成部13」は、本願発明の「当該蓄電システムに要求される放電電力量あるいは充電電力量である需要電力量を検出する需要電力量検出部」に相当する。

4 「前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態並びに前記需要電力量に基づいて、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置に対する電力量配分を設定し、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置のそれぞれに制御信号を出力して個別に制御する配分設定部」について

カ 本願発明の「前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置のそれぞれに制御信号を出力」することについて、関連する記載としての本願明細書の段落【0016】の「第1制御信号SC1及び第2制御信号SC2を生成して出力し、大容量蓄電池システム11及び高出力蓄電池システム12の連系制御を行う充放電制御部23」との記載及び【図1】

[図:0001392775000009.jpg]

の記載によれば、「前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置のそれぞれに向けて制御信号を出力」と解することが妥当である。

キ 引用発明は、電力分担量を算出する処理として、指令値生成部が、負荷からの要求電力(PLS)とLiバッテリ130の劣化度とLiキャパシタ140の劣化度をパラメータに含む関数でLiバッテリ130に対する電力指令値を算出し(【0052】)、算出した電力指令値PDCDCでDC/DCコンバータ120を制御していることから、本願発明の「前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態並びに前記需要電力量に基づいて、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置に対する電力量配分を設定し、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置のそれぞれに制御信号を出力して個別に制御する配分設定部」を有する構成と、「前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態並びに前記需要電力量に基づいて、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置に対する電力量配分を設定し、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置を制御する配分設定部」を有する点で共通しているといえる。

5 上記1~4で対比した事項を踏まえると、本願発明と引用発明とは、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「第1蓄電装置を有する大容量蓄電池システム及び第2蓄電装置を有する高出力蓄電池システムを組合せた蓄電システムに用いられる蓄電制御装置であって、
前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態を検出する劣化状態検出部と、
当該蓄電システムに要求される放電電力量あるいは充電電力量である需要電力量を検出する需要電力量検出部と、
前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置の劣化状態並びに前記需要電力量に基づいて、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置に対する電力量配分を設定し、前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置を制御する配分設定部と、
を備えた蓄電制御装置。」

<相違点>

「配分設定部」について、本願発明は、「前記第1蓄電装置及び前記第2蓄電装置のそれぞれに向けて制御信号を出力して個別に制御する」のに対し、引用発明では、「第1蓄電装置」である「Liバッテリ130」に接続された「DC/DCコンバータ140」を制御することにより「第1蓄電装置」の充放電における電力分担を制御することは特定されているものの、「第2蓄電装置」である「Liキャパシタ140」と直流バス160との間に「DC/DCコンバータ」を設けた構成における「第2蓄電装置」の制御について具体的に特定されていない点。

第6 判断

1 相違点についての判断

上記相違点について検討する。

「第4 4」で示したように、「複数の蓄電装置を備えた充放電システムにおいて、複数の蓄電装置の充放電を制御する際に、それぞれの蓄電装置の充放電量の配分を決定し、決定した配分に基づいてそれぞれに制御信号を出力して個別に制御すること」は、周知技術である。

そして、引用発明と周知技術は、複数の蓄電装置を有するシステムの充放電制御という同じ技術分野に属していることから、「第2蓄電装置」である「Liキャパシタ140」と直流バス160との間に「DC/DCコンバータ」を設けた構成における「第2蓄電装置」の制御について具体的に特定されていない引用発明に接した当業者が、「第2蓄電装置」の制御のために、上記周知技術、すなわち、各蓄電装置のそれぞれに制御信号を出力し個別に制御するという構成を上記「DC/DCコンバータ」の制御に適用し、当該相違点にかかる構成とすることは、容易になし得たことである。

2 請求人の主張について

請求人は、令和3年12月10日に提出した審判請求書において、概ね以下の主張をしている。

(1)主張1

引用文献1記載の技術は、予め定められた蓄電装置の劣化度の目標と現在の劣化度の差に基づいて、第1の蓄電装置に対する劣化度に基づく分担率を生成する構成を採っている。

すなわち、第1の蓄電装置を電力制御主体ととらえて第1の蓄電装置の劣化度に基づいて分担率が生成されるため、引用文献1記載の技術において、第1の蓄電装置と第2の蓄電装置とは制御上、対等な関係ではないことは明らかである。 すなわち、第1の蓄電装置が制御対象として主、第2の蓄電装置が制御対象として従の関係にあることは明らかである。

このため、第2の蓄電装置の劣化度が最適に考慮されるものとはなりえず、また、第1の蓄電装置を主体として制御を行うため、必ずしもシステム全体で要求される需要電力量への対応が効率良く行えるとは限らないという課題が生じる。

さらには、リチウムイオンキャパシタ140の放電は、劣化状態にかかわらずフリーであることは明らかである。

この点について、審査官殿は、拒絶査定の理由において、「引用文献1に記載の発明においても段落[0024]を参照すれば、Liバッテリ130とLiキャパシタ140の両方にDC/DCコンバータを接続した構成とすることもできることが記載されており、蓄電装置に各々DC/DCコンバータを備えた場合に、蓄電装置のそれぞれに制御信号を出力して個別に制御することも、例えば引用文献2(段落[0015]及び図1参照)に記載のように普通に行われていることである。」と述べておられる。

しかしながら、引用文献1記載の技術においては、DC/DCコンバータ120を介したリチウムイオンバッテリ130の充放電制御と、新たに設けるDC/DCコンバータを介したリチウムイオンキャパシタ140の充放電制御と、をリチウムイオンバッテリ130及びリチウムイオンキャパシタ140の劣化状態に応じて個別に行う例及びこれを示唆する記載はなく、引用文献2記載の技術を適用したとしても、DC/DCコンバータ120を介したリチウムイオンバッテリ130の充放電制御を補完すべく動作を行う場合が想定されるに過ぎないことは明らかである。

(2)主張2

引用文献2記載の技術は、システムの効率向上を目的に請求項1で、「電力分配決定部においては、前記変換機の変換効率が基準効率以上となるときの限界出力と充放電総電力を比較し、充放電総電力が限界出力以上である時、運転する全ての蓄電池と変換器の組の出力を限界出力以上とする運転台数を決定すること」を特徴とするものであり、蓄電装置の劣化状態に応じた制御等想定していないことも明らかである。

これらに対し、本願発明は、第1蓄電装置を有する大容量蓄電池システム及び第2蓄電装置を有する高出力蓄電池システムを組み合わせた蓄電システムにおいて、それぞれの蓄電装置の特性を踏まえ、第1蓄電装置の劣化度と第2蓄電装置の劣化度の双方を考慮し、さらに需要電力量から第1蓄電装置と第2蓄電装置の電力量配分を設定する構成を採っているので、「システム全体で要求される需要電力へ確実に対応しつつ、個々の蓄電装置の劣化度に応じて各蓄電装置の状態をそれぞれ最大限考慮した個別の対応が可能となる」という本願固有の作用効果を奏する。

さらに本願発明は、第1蓄電装置を有する大容量蓄電池システムと第2蓄電装置を有する高出力蓄電池システムはそれぞれの蓄電装置が電池特性を活かした充放電制御を行うことを目的としており、システム全体でより効率の高い充放電制御が行えるという本願固有の作用効果を奏する。

(3)請求人の主張に対する当審による検討

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ア 主張1について

引用文献1記載の技術は、劣化度に基づく分担係数γを求める際に、

[図:0001392775000010.jpg]

という式を用いている。すなわち、リチウムイオンバッテリ130とリチウムイオンキャパシタ140の両方の劣化度をパラメータとして用いていることから、a0という分担係数による設定の影響はあるものの、リチウムイオンバッテリ130とリチウムイオンキャパシタ140の両方の劣化度を考慮した充放電の電力量の配分が行われていることは明らかである。

したがって、主張1は採用できない。

イ 主張2について

請求人の主張2は、引用文献2記載の技術は、蓄電装置の劣化状態に応じた制御等を想定したものではないというものである。

しかしながら、引用文献2記載の技術が劣化状態に応じたものか否かという点は、上記判断に影響を与えるものではなく、引用発明に例えば引用文献2に記載された周知技術を適用できることは、先に述べたとおりである。

また、本願発明の効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得た程度のものである。

第7 むすび

よって、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-017071

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