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特許拒絶査定不服審判

2021-013967

インピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及びプラズマ生成装置

審判番号
2021-013967
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-569715
請求日
2021年10月14日
審決日
2022年08月25日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】北京北方華創微電子装備有限公司
  • 【請求人代理人】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
審判長/審判官
  • 審判長 瀬川 勝久
  • 審判官 松川 直樹
  • 審判官 野村 伸雄
分類
P18 .121-Z (H05H) / P18 .113-Z (H05H)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-569715号「インピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及びプラズマ生成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月20日国際公開、WO2018/228133号、令和2年9月10日国内公表、特表2020-527822号〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 1 手続きの経緯 本願は、2018年(平成30年)5月21日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2017年(平成29年)6月15日 中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 2月 5日付け:拒絶理由通知書 令和3年 5月13日 :意見書の提出 令和3年 6月 8日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) 令和3年10月14日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和4年 4月 4日 :上申書の提出 2 本願発明 本願の請求項1ないし8に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、令和3年10月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、本願発明3は、次のとおりのものである。 また、本願の願書に添付した明細書を、図面を含めて「本願明細書等」という。 「【請求項3】 RF電源と前記RF電源に接続された負荷との間のインピーダンスを整合させるために用いられるインピーダンス整合器であって、 インピーダンス整合ネットワークと、 前記インピーダンス整合ネットワークを駆動して一定のインピーダンスを提供するモータと、 前記RF電源の作動モードに基づいて、選択的に第一指令若しくは第二指令を発するコントローラと、を含み、 ここで、前記第一指令は、インピーダンス整合ネットワークを駆動して一定のインピーダンスを提供するよう前記モータに指示し、前記第二指令は、前記モータに駆動を停止するよう指示するとともに、前記RF電源に周波数掃引操作を行うよう指示し、 前記RF電源の作動モードはパルスデュアルレベルモードであり、前記パルスデュアルレベルモードはハイレベル段階とローレベル段階を含み、 前記ハイレベル段階においては前記コントローラが前記第一指令を発し、前記ローレベル段階においては前記コントローラが前記第二指令を発し、 若しくは 前記ハイレベル段階においては前記コントローラが前記第二指令を発し、前記ローレベル段階においては前記コントローラが前記第一指令を発することを特徴とする、 インピーダンス整合器。」 3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、以下のとおりである。 【理由1】(新規性) この出願の(本願の出願時に願書に添付した特許請求の範囲の)請求項1ないし10に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 【理由2】(進歩性) この出願の(本願の出願時に願書に添付した特許請求の範囲の)請求項1ないし10に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2009-246091号公報 4 引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1に記載された事項 ア 引用文献1には以下の記載がある。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、被処理基板にプラズマ処理を施す技術に係り、特にプラズマ処理に用いる高周波のパワーを周期的に変調する方式のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 上記のようなチャージングダメージを防止するうえで、プラズマ生成に用いる高周波のパワーをデューティ可変なHレベル/LレベルまたはON/OFFのパルスで変調する方式が有効とされる。 【0009】 しかしながら、上記のようにプラズマ処理に用いる高周波のパワーをパルス変調する方式は、高周波のパワーがパルス周波数で周期的に変化することによって、プラズマないしイオンシースのインピーダンスが周期的に変動し、これに整合器のオートマッチング機能が追従できず、処理容器内のプラズマ生成・分布特性あるいはイオンエネルギーの変動を招いてプロセスの再現性がとれないことや、反射波によって高周波電源がオーバーヒートや故障を来たすなどの課題があり、量産装置への適用が困難であった。 【0010】 本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、プラズマ処理に用いる高周波のパワーを周期的に変調する方式において、プラズマまたはイオンシースのインピーダンス変動や高周波電源への反射を可及的に少なくして、プロセスの安定性・再現性および高周波電源の安全保護を保証する実用性の高いプラズマ処理装置、プラズマ処理方法およびコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。」 「【0037】 図1に、本発明の一実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す。このプラズマ処理装置は、容量結合型の平行平板プラズマエッチング装置として構成されており、たとえばアルミニウムまたはステンレス鋼等の金属製の円筒型チャンバ(処理容器)10を有している。チャンバ10は保安接地されている。」 「【0040】 下部整合器32には、後述するように、高周波電源28側のインピーダンスと負荷(電極、プラズマ、チャンバ)側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路が収容されるとともに、オートマッチング用のRFセンサ、ステップモータ、コントローラ等も備わっている。 【0041】 一般に、プラズマ処理装置においては、処理容器の中または近傍に配置された電極またはアンテナに高周波を印加する高周波給電部は、高周波を出力する高周波電源だけでなく、負荷側(電極、プラズマ、チャンバ)のインピーダンスと高周波電源側のインピーダンスとの間で整合(マッチング)をとるための整合器を備えている。高周波電源は通常50Ωの純抵抗出力になるように設計されるため、整合器も含めた負荷側のインピーダンスが50Ωになるように、整合器内のインピーダンスが設定または調節される。この種の整合器は、整合回路内に1個または複数の可変リアクタンス素子(可変コンデンサ、可変インダクタンスコイル等)を含み、ステップモータ等により可変範囲内の各ステップ位置またはポジションを選択することで整合器内のインピーダンスひいては負荷インピーダンスを可変調整できるように構成されている。プラズマ処理中には、圧力変動などによってプラズマ・インピーダンスが変わると、整合器のオートマッチング機能が働いて、それら可変リアクタンス素子のインピーダンス・ポジションを可変調整して自動的に負荷インピーダンスを補正して整合ポイント(50Ω)に合わせるようになっている。」 「【0051】 図2に、この実施形態におけるパルス変調方式の基本的な手法を示す。この実施形態では、バイアス制御用高周波(LF)のパワーをプロセスに応じた一定の周波数(たとえば10kHz)およびデューティ(たとえば50%)でパルス変調するだけでなく、LFパワーのパルス変調に同期してその周波数(LF周波数)もパルス変調する。すなわち、LFパワーとLF周波数との間に、1サイクル内で、LFパワーがHレベルの設定値PA(たとえば500W)を維持する期間TAの間はLF周波数もHレベルの設定値FA(たとえば13.56MHz)を維持し、LFパワーがレベルの設定値PB(たとえば100W)を維持する期間TBの間はLF周波数もLレベルの設定値FB(たとえば12.05MHz)を維持するような同期関係を持たせる。ここで、LF周波数のHレベル/Lレベルは2つの異なる周波数設定値間の相対的な高低関係を意味し、Hレベルが相対的に高い方の周波数設定値で、Lレベルが相対的に低い方の周波数設定値である。・・・ 【0054】 この実施形態では、制御部80の制御の下で、下部整合器32が、Hレベル期間TAにおける負荷側のインピーダンスを高周波電源28側のインピーダンスにマッチングさせるように動作し、Lレベル期間TB中の負荷インピーダンスを無視(非検知)するようになっている。もっとも、そのようにすると、Hレベル期間TAにおいて下部シース厚さがHレベルの値DAでインピーダンスマッチングがとれている状態から、Lレベル期間TBに移行すると下部シース厚さがHレベルの値DAからLレベルの値DBに変じた分だけ(つまり下部シース容量が増大した分だけ)共振点からずれてインピーダンスマッチングがとれなくなる。そこで、Lレベル期間TBにおけるそのようなインピーダンスマッチングのずれを極力少なくするために、下部シース厚さの減少つまりシース容量(キャパシタンス)の増大をキャンセルするように、LF周波数をHレベルのときの基準周波数FAよりも適当に低いLレベルの値FBまで下げる。 【0055】 このように、この実施形態のパルス変調方式においては、Hレベル期間TA中は下部整合器32のオートマッチング機能により高周波電源28と負荷との間でインピーダンスマッチングをとり、Lレベル期間TB中は下部整合器32が負荷インピーダンスに応答しないで代わりに高周波電源28がLF周波数を適宜下げる手法でインピーダンスマッチングのずれを補正するようにしている。したがって、LFパワーがHレベルとLレベルとの間で周期的に変化することによって、下部シースの容量が周期的で変動しても、プラズマインピーダンスないし負荷インピーダンスの急激な変動はないので、下部整合器32のオートマッチングがハンチングを起こすおそれはなく、プラズマ負荷から高周波電源28への反射を効果的に抑制することができる。・・・ 【0059】 この実施形態では、制御部80が、高周波電源28を通じてパルス変調の時間的な特性(周波数、デューティ、位相等)の一切を制御しており、第1~第4ステートを順次かつ繰り返し切り換えるタイミングも全て管理している。さらに、制御部80は、下部整合器32が負荷インピーダンスに感応するサイクルないし期間も制御しており、図3に示すように、第3ステートTAの中に、第2ステートTCの終端または第4ステートTDの始端にかからないタイミングで、整合器感応期間TMを設定している。 【0060】 図4に、この実施形態における高周波電源28および下部整合器32の構成を示す。高周波電源28は、周波数可変の正弦波を発振出力する発振器82と、この発振器82より出力された正弦波のパワーを可変の増幅率で増幅するパワーアンプ84とを備えている。制御部80は、発振器82を通じてLF周波数のパルス変調または可変制御を行い、パワーアンプ84を通じてLFパワーのパルス変調または可変制御を行う。 【0061】 下部整合器32は、少なくとも1つの可変リアクタンス素子を含む整合回路90と、この整合回路90の各可変リアクタンス素子のインピーダンス・ポジションを個別に可変制御するためのコントローラ92と、整合回路90を含めた負荷インピーダンスを測定する機能を有するRFセンサ94とを有している。 【0062】 図示の例では、整合回路90が2つの可変コンデンサC1,C2と1つのインダクタンスコイルL1とからなるT形回路として構成され、コントローラ92がステップモータ96,98を通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御するようになっている。RFセンサ94は、たとえばその設置位置における伝送線路上のRF電圧およびRF電流をそれぞれ検出する電圧センサおよび電流センサを有し、電圧測定値および電流測定値から負荷インピーダンスの測定値を複素数表示で求める。コントローラ92は、たとえばマイクロコンピュータからなり、RFセンサ94より負荷インピーダンスの測定値をゲート回路100を介して受け取り、制御部80からは各種の設定値やコマンドを受け取る。 【0063】 ゲート回路100は、制御部80の制御の下で、パルス変調の各サイクルにおいて第3ステートTA内に設定された整合器感応期間TM(図3)の間だけRFセンサ94の出力信号(負荷インピーダンス測定値)をコントローラ92に与える。これにより、コントローラ92は、第3ステートTA内の整合器感応期間TM中だけRFセンサ94の出力信号を入力し、負荷インピーダンス測定値が基準インピーダンスまたは整合ポイント(通常50Ω)に一致するように、ステップモータ96,98を通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御する。・・・ 【0070】 なお、各サイクル毎に第1ステートTBの仮周波数設定値を一定のステップ幅でディクリメントまたはインクリメントする代わりに、図9に示すように複数サイクルに亘って第1ステートTB中にLF周波数を一定の上昇率または減少率で連続的にスイープする手法も可能である。」 「【0101】 図16に、この実施形態におけるパルス変調方式の基本的な手法を示す。この実施形態では、HFパワーのパルス変調に同期してその周波数(HF周波数)もパルス変調する。より詳細には、HFパワーとHF周波数との間に、1サイクル内で、HFパワーがHレベルの設定値PA(たとえば500W)を維持する期間TAの間はHF周波数がLレベルの設定値FA(たとえば基準の60MHz)を維持し、HFパワーがLレベルの設定値PB(たとえば100W)を維持する期間TBの間はHF周波数がHレベルの設定値FB(たとえば62.45MHz)を維持するような同期関係を持たせる。この場合も、HF周波数のHレベル/Lレベルは2つの異なる周波数設定値間の相対的な高低関係を意味し、Hレベルが相対的に高い方の周波数設定値で、Lレベルが相対的に低い方の周波数設定値である。 【0102】 容量結合型においては、上部電極と下部電極との間にプラズマが無いときよりも有るときの方がプラズマ容量は大きく、プラズマ密度を高くするほどプラズマ容量は大きくなる。つまり、HFの印加が無いときよりも有るときの方がプラズマ容量は大きく、HFのパワーが高いほどプラズマ容量は大きくなる。 【0103】 したがって、HFパワーのパルス変調に同期させてHF周波数に逆位相のパルス変調をかけることで、HFパワーのパルス変調に伴ってプラズマ容量が周期的に変化するのを周波数の可変制御でキャンセルして、プラズマインピーダンスの急激な変動を抑えることができる。 【0104】 したがって、この実施形態のパルス変調方式においても、HFパワーのHレベル期間TA中は整合器104のオートマッチング機能により高周波電源102と負荷との間でインピーダンスマッチングをとり、HFパワーのLレベル期間TB中は整合器104が負荷インピーダンスに応答しないで代わりに高周波電源102がHF周波数を適宜上げる手法でインピーダンスマッチングのずれを補正することができる。したがって、HFパワーがHレベルとLレベルとの間で周期的に変化することによって、プラズマ容量が周期的に変動しても、プラズマインピーダンスないし負荷インピーダンスの急激な変動はないので、整合器104のオートマッチングがハンチングを起こすおそれはなく、負荷(特にプラズマ)側から高周波電源102への反射を効果的に抑制することができる。」 イ 図1~4、16は、以下のものである。 [図:0001393640000001.jpg] 【図3】 [図:0001393640000002.jpg] 【図4】 [図:0001393640000003.jpg] 【図9】 [図:0001393640000004.jpg] [図:0001393640000005.jpg] (2)引用文献1に記載された発明 上記(1)によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(なお、認定の根拠となる段落を参考までに括弧内に付してある。)。 「高周波電源側のインピーダンスと負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路が収容されるとともに、オートマッチング用のRFセンサ、ステップモータ、コントローラも備わっている下部整合器であって、(【0040】) 前記下部整合器は、少なくとも1つの可変リアクタンス素子を含む整合回路と、この整合回路の各可変リアクタンス素子のインピーダンス・ポジションを個別に可変制御するためのコントローラと、整合回路を含めた負荷インピーダンスを測定する機能を有するRFセンサとを有し、(【0061】) 前記整合回路が2つの可変コンデンサC1,C2と1つのインダクタンスコイルL1とからなるT形回路として構成され、コントローラがステップモータを通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御するようになっていて、(【0062】) 前記コントローラは、第3ステートTA内の整合器感応期間TM中だけRFセンサの出力信号を入力し、負荷インピーダンス測定値が基準インピーダンスまたは整合ポイント(通常50Ω)に一致するように、ステップモータを通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御し、(【0063】) バイアス制御用高周波(LF)のパワーをパルス変調するものであって、当該パルス変調は、1サイクル内で、LFパワーがHレベルの設定値PA(たとえば500W)を維持する期間TAと、LFパワーがレベルの設定値PB(たとえば100W)を維持する期間TBを含み、(【0051】) 前記制御部の制御の下で、下部整合器が、Hレベル期間TAにおける負荷側のインピーダンスを高周波電源側のインピーダンスにマッチングさせるように動作し、Lレベル期間TB中の負荷インピーダンスを無視(非検知)するようになっているとともに、Lレベル期間TBにおけるインピーダンスマッチングのずれを極力少なくするために、下部シース厚さの減少つまりシース容量の増大をキャンセルするように、LF周波数をHレベルのときの基準周波数FAよりも適当に低いLレベルの値FBまで下げ、(【0054】) 複数サイクルに亘ってLレベル期間TB中にLF周波数を一定の減少率で連続的にスイープする手法とし、(【0070】) Hレベル期間TA中は下部整合器のオートマッチング機能により高周波電源と負荷との間でインピーダンスマッチングをとり、Lレベル期間TB中は下部整合器が負荷インピーダンスに応答しないで代わりに高周波電源がLF周波数を適宜下げる手法でインピーダンスマッチングのずれを補正するようにして、LFパワーがHレベルとLレベルとの間で周期的に変化することによって、下部シースの容量が周期的で変動しても、プラズマインピーダンスないし負荷インピーダンスの急激な変動はないので、下部整合器のオートマッチングがハンチングを起こすおそれはなく、プラズマ負荷から高周波電源への反射を効果的に抑制することができる、(【0055】) 下部整合器。(【0040】)」 5 対比・判断 (1)対比 本願発明3と引用発明を対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明の「高周波電源」、「負荷側」及び「下部整合器」は、本願発明3の「RF電源」、「負荷」及び「インピーダンス整合器」にそれぞれ相当するから、引用発明の「高周波電源側のインピーダンスと負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合回路が収容されるとともに、オートマッチング用のRFセンサ、ステップモータ、コントローラも備わっている下部整合器」は、本願発明3の「RF電源と前記RF電源に接続された負荷との間のインピーダンスを整合させるために用いられるインピーダンス整合器」に相当する。 イ 引用発明の「2つの可変コンデンサC1,C2と1つのインダクタンスコイルL1とからなるT形回路として構成され、コントローラがステップモータを通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御するようになってい」る「整合回路」は、本願発明3の「インピーダンス整合ネットワーク」に相当する。 ウ 引用発明の「基準インピーダンスまたは整合ポイント(通常50Ω)」は、本願発明3の「一定のインピーダンス」に相当するから、引用発明の「可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御するようになってい」る「ステップモータ」であって、「コントローラは、第3ステートTA内の整合器感応期間TM中だけRFセンサの出力信号を入力し、負荷インピーダンス測定値が基準インピーダンスまたは整合ポイント(通常50Ω)に一致するように、ステップモータを通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御」する「ステップモータ」は、本願発明3の「前記インピーダンス整合ネットワークを駆動して一定のインピーダンスを提供するモータ」に相当する。 エ 引用発明の「Hレベルの設定値PA(たとえば500W)を維持する期間TA」及び「LFパワーがレベルの設定値PB(たとえば100W)を維持する期間TB」は、それぞれ本願発明3の「ハイレベル段階」及び「ローレベル段階」に相当する。 また、引用発明の「高周波電源のバイアス制御用高周波(LF)のパワーであるLFパワー」の「パルス変調」が、「1サイクル内で、LFパワーがHレベルの設定値PA(たとえば500W)を維持する期間TAと、LFパワーがレベルの設定値PB(たとえば100W)を維持する期間TBを含み」、当該「LFパワーがHレベルとLレベルとの間で周期的に変化すること」は、本願発明3の「RF電源の作動モード」であって、「前記RF電源の作動モードはパルスデュアルレベルモードであ」ることに相当する。 したがって、引用発明の「前記高周波電源のバイアス制御用高周波(LF)のパワーであるLFパワーをパルス変調するものであって、当該パルス変調は、1サイクル内で、LFパワーがHレベルの設定値PA(たとえば500W)を維持する期間TAと、LFパワーがレベルの設定値PB(たとえば100W)を維持する期間TBを含」むことは、本願発明3の「前記RF電源の作動モードはパルスデュアルレベルモードであり、前記パルスデュアルレベルモードはハイレベル段階とローレベル段階を含」むことに相当する。 オ 引用発明の「制御部の制御の下で、下部整合器が、Hレベル期間TAにおける負荷側のインピーダンスを高周波電源側のインピーダンスにマッチングさせるように動作し、Lレベル期間TB中の負荷インピーダンスを無視(非検知)するようになってい」て、「前記整合回路が2つの可変コンデンサC1,C2と1つのインダクタンスコイルL1とからなるT形回路として構成され、コントローラがステップモータを通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御するようになっていて、前記コントローラは、第3ステートTA内の整合器感応期間TM中だけRFセンサの出力信号を入力し、負荷インピーダンス測定値が基準インピーダンスまたは整合ポイント(通常50Ω)に一致するように、ステップモータを通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御」することは、「制御部」が「整合回路」の「ステップモータ」を駆動して、「基準インピーダンスまたは整合ポイント(通常50Ω)に一致するように」、コントローラを介してステップモータに指示する指令を発しているといえるから、本願発明3の「前記第一指令は、インピーダンス整合ネットワークを駆動して一定のインピーダンスを提供するよう前記モータに指示」することに相当する。 カ 引用発明の「制御部の制御の下で、下部整合器が」、「Lレベル期間TB中の負荷インピーダンスを無視(非検知)するようになっているとともに」、「LF周波数をHレベルのときの基準周波数FAよりも適当に低いLレベルの値FBまで下げ」、「複数サイクルに亘ってLレベル期間TB中にLF周波数を一定の減少率で連続的にスイープする手法と」することは、「制御部」が「高周波電源」に、「LF周波数を一定の減少率で連続的にスイープ」を行うよう指示する指令を発しているといえるから、本願発明3の「前記第二指令は、前記モータに駆動を停止するよう指示するとともに、前記RF電源に周波数掃引操作を行うよう指示」することと、「前記第二指令は、前記RF電源に周波数掃引操作を行うよう指示」することの点で一致する。 キ 引用発明の「Hレベル期間TA」では、「下部整合器が、Hレベル期間TAにおける負荷側のインピーダンスを高周波電源側のインピーダンスにマッチングさせるように動作し、Lレベル期間TB中の負荷インピーダンスを無視(非検知)」していて、「Lレベル期間TB」では、「LF周波数をHレベルのときの基準周波数FAよりも適当に低いLレベルの値FBまで下げ」ている「制御部」は、上記エないしカでの検討を踏まえると、本願発明3の「前記RF電源の作動モードに基づいて、選択的に第一指令若しくは第二指令を発するコントローラ」と、「前記RF電源の作動モードに基づいて、選択的に第一指令若しくはRF電源に周波数変更操作を行うよう指示する指令を発するコントローラ」の点で一致する。 ク 引用発明の「前記制御部の制御の下で、下部整合器が、Hレベル期間TAにおける負荷側のインピーダンスを高周波電源側のインピーダンスにマッチングさせるように動作し、Lレベル期間TB中の負荷インピーダンスを無視(非検知)するようになっているとともに、Lレベル期間TBにおけるインピーダンスマッチングのずれを極力少なくするために、下部シース厚さの減少つまりシース容量の増大をキャンセルするように、LF周波数をHレベルのときの基準周波数FAよりも適当に低いLレベルの値FBまで下げ」ることは、上記エないしキでの検討を踏まえると、本願発明3の「前記ハイレベル段階においては前記コントローラが前記第一指令を発し、前記ローレベル段階においては前記コントローラが前記RF電源に周波数変更操作を行うよう指示する指令を発」する点で一致する。 ケ 以上によれば、本願発明3と引用発明とは、 「RF電源と前記RF電源に接続された負荷との間のインピーダンスを整合させるために用いられるインピーダンス整合器であって、 インピーダンス整合ネットワークと、 前記インピーダンス整合ネットワークを駆動して一定のインピーダンスを提供するモータと、 前記RF電源の作動モードに基づいて、選択的に第一指令若しくはRF電源に周波数掃引操作を行うよう指示する指令を発するコントローラと、を含み、 ここで、前記第一指令は、インピーダンス整合ネットワークを駆動して一定のインピーダンスを提供するよう前記モータに指示し、前記RF電源に周波数掃引操作を行うよう指示する指令は、前記RF電源に周波数変更操作を行うよう指示し、 前記RF電源の作動モードはパルスデュアルレベルモードであり、前記パルスデュアルレベルモードはハイレベル段階とローレベル段階を含み、 前記ハイレベル段階においては前記コントローラが前記第一指令を発し、前記ローレベル段階においては前記コントローラが前記RF電源に周波数掃引操作を行うよう指示する指令を発する、 インピーダンス整合器。」 である点で一致するとともに下記点で一応相違する。 <相違点> 「第二指令」が、本願発明3は、「前記モータに駆動を停止するよう指示する」ものであるのに対して、引用発明はステップモータに駆動を停止するよう指示するのか明らかではない点。 (2)判断 ・相違点について 引用発明の「ステップモータ」は、「制御部」が「コントローラ」を介して、「第3ステートTA内の整合器感応期間TM中だけRFセンサの出力信号を入力し、負荷インピーダンス測定値が基準インピーダンスまたは整合ポイント(通常50Ω)に一致するように、ステップモータを通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御」するものであって、「制御部の制御の下で、下部整合器が、Hレベル期間TAにおける負荷側のインピーダンスを高周波電源側のインピーダンスにマッチングさせるように動作し、Lレベル期間TB中の負荷インピーダンスを無視(非検知)するようになっている」ものであるから、「負荷インピーダンス」が「無視(非検知)」されている「Lレベル期間TB中」は、「負荷インピーダンス測定値が基準インピーダンスまたは整合ポイント(通常50Ω)に一致するように、ステップモータを通じて可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションを可変制御」することができないものである。 そうすると、当該「負荷インピーダンス」が「無視(非検知)」されている「Lレベル期間TB中」は、「ステップモータ」を駆動しないと考えるのが自然であるところ、「ステップモータ」を駆動しないように、衝撃等によるステップモータの空回りを防止することを考慮し、引用発明において、ステップモータに駆動を停止する指示をするものであると解される。 したがって、引用発明において、「Lレベル期間TB中」に「ステップモータ」に対する通電を解除した場合は、衝撃等で「ステップモータ」が動き、可変コンデンサC1,C2のインピーダンス・ポジションも変化するという不都合が生じることを踏まえると、ステップモータを駆動しないように、衝撃等によるステップモータの空回りを防止することを考慮しているといえるので、ステップモータに駆動を停止する指示をしていることであると解されるところ、当該「ステップモータに駆動を停止する指示をしていること」は本願発明3における「モータに駆動を停止するよう指示する」ことに相当するといえる。 よって、相違点は実質的な相違点ではない。 仮にそうでないとしても、当該「負荷インピーダンス」が「無視(非検知)」されている「Lレベル期間TB中」は、「ステップモータ」を駆動しないように、衝撃等によるステップモータの空回りを防止することを考慮し、引用発明において、ステップモータに駆動を停止する指示をするようになすことは、当業者が適宜なし得た事項である。 (3)請求人の主張 ア 請求人は、審判請求書【請求の理由】「4.本願発明が特許されるべき理由」において概略下記のとおり主張する。 「出願人は、新請求項1が引用文献1と比較して少なくとも以下の際だった技術的な特徴を有すると考えております。 特徴A:『前記周波数掃引整合ステップにおいては、モータに駆動を停止するよう指示するとともに、前記RF電源に周波数掃引操作を行うよう指示し、 前記RF電源の作動モードはパルスデュアルレベルモードであり、前記パルスデュアルレベルモードはハイレベル段階とローレベル段階を含み、ここで、 前記ハイレベル段階においては前記自動整合ステップを行い、前記ローレベル段階においては前記周波数掃引整合ステップを行い、 若しくは、 前記ハイレベル段階においては前記周波数掃引整合ステップを行い、前記ローレベル段階においては前記自動整合ステップを行う』(以下、特別な技術的特徴Aと称します)。 ・・・ このように、引用文献1では、異なる周波数のRF電源に対して異なる整合方法が存在します。高周波のパワー(HF)のRF電源または高周波数のパワー(LF)のRF電源が同じレベルモード(例えば、Lレベル)にある場合、周波数調整の異なる変化傾向を有し、周波数調整がパワー変化により影響され、異なるパワーレンジは、周波数調整の異なる変化傾向に対応します。 よって、引用文献1の整合調整モード、特に周波数調整は、本願の周波数調整方法における周波数掃引整合とは異なります。引用文献1は、本願の”周波数掃引整合ステップ”を開示しておらず、引用文献1の整合方法の全体は、本願の方法とは全く異なっております。引用文献1は上記の特別な技術的特徴Aを開示しておりません。」 イ また、請求人は、令和4年4月4日提出の上申書の【上申の内容】「2.上申の内容」「(2)請求項1、2の進歩性について」において概略下記のとおり主張する。 「出願人が強調したいことは、本願の整合方法は技術的な解決策の完全な組み合わせであり、整合方法のロジックは、全体の整合プロセスの異なる段階で異なる整合動作を行うことです。どの段階でどの整合操作を行なうかを決定するときに、複数の整合操作および複数の段階は、相互に関連していて分けることはできません。引用文献1が周波数を下げたり上げたりする整合操作および自動整合ステップを開示していることだけに基づいて、引用文献1が前記ハイレベル段階においては前記自動整合ステップを行い、前記ローレベル段階においては前記周波数掃引整合ステップを行い(方法1)、若しくは、前記ハイレベル段階においては前記周波数掃引整合ステップを行い、前記ローレベル段階においては前記自動整合ステップを行う(方法2)ことを開示したと結論づける理由はありません。 周波数掃引整合と自動整合が共通の整合操作であることはこの技術分野でよく知られており、本願の進歩性は、どちらの整合操作をどの段階で行なうか、すなわち、全体の整合プロセスにおける異なる段階と異なる整合操作との間の関係にあります。 これに対して、引用文献1は、周波数を下げる操作が低周波(LF)パワー供給のLレベル期間TBの間でだけ実行され、周波数を上げる操作が高周波(HF)パワー供給のLレベル期間TBの間でだけ実行されることを開示しています。引用文献1に開示されているように、周波数を下げる操作および周波数を上げる操作は、それぞれ異なる種類のパワー供給に対応しています。当然ながら、異なるパワー供給が原因で、Lレベル期間も異なる期間に対応し、HFパワー供給が使われるときの低レベル期間か、あるいはLFパワー供給が使われるときの低レベル期間の何れかであります。 これから分かるように、引用文献1では、異なる周波数のRF電源に対して異なる整合方法があります。高周波(HF)のRF電源または低周波(LF)のRF電源が同じレベルモード(例えば、Lレベル)にある場合、周波数調整によって生じる変化は異なり、周波数調整はパワーの変化に影響され、異なるパワーレンジでは周波数調整によって生じる変化が異なります。 本願の周波数掃引整合は、周波数掃引整合ステップが実行されるときに整合を実現する周波数が見出されるまで周波数が下げられ、または上げられ得ることを規定しています。本願の周波数下げ操作および周波数上げ操作は、パワー供給の種類によっては限定されず、同じ段階(方法1のローレベル段階、または方法2のハイレベル段階)に存在します。 すなわち、本願では、高周波RF電源または低周波RF電源のために異なる整合方法が選択的に設計されておらず、RF電源が交互に作動されるハイレベル段階およびローレベル段階に対してのみ自動整合ステップおよび周波数掃引整合ステップが選択的に実行されます。更に、周波数掃引整合ステップでは、RF電源の調節可能な全周波数域において最適な周波数を選択することが要求され、周波数の選択は、RF電源の高い周波数およびパワーとは全く無関係です。」 ウ しかしながら、上記アの点については上記(2)で検討したとおりである。 また、上記イの点については、本願発明3は、「第二指令は」、「RF電源に周波数掃引操作を行うよう指示」するとしか特定しておらず、一般的な「周波数掃引操作」以上の具体的内容(周波数掃引整合)までは特定されておらず、さらに、「前記ハイレベル段階においては前記コントローラが前記第一指令を発し、前記ローレベル段階においては前記コントローラが前記第二指令を発し(以下「構成A」という。)、若しくは前記ハイレベル段階においては前記コントローラが前記第二指令を発し、前記ローレベル段階においては前記コントローラが前記第一指令を発する(以下「構成B」という。)」ことを特定しているのであって、上記構成A及びBの両構成を同時に備えることを特定しているのではなく、上記構成A若しくはBいずれかを備えればよいことを特定しているにすぎないから、いずれも、請求項3の記載のみに基づいた主張ではなく、請求人の上記イの主張は採用できない。 (4)小括 以上の検討によれば、引用発明は本件発明3の構成をすべて備えている。 よって、本件発明3は引用発明である。 また、仮に、相違点が実質的な相違点である場合についても、前記(2)で検討したように、引用発明において、当業者が適宜なし得た事項にすぎない。 6 むすび 以上のとおり、本願発明3は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものであり、また、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-013967

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