2021-013700
ヘアカット方法
- 審判番号
- 2021-013700
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-009714外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年10月08日
- 審決日
- 2022年07月13日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】吉田 洋明
- 【請求人代理人】特許業務法人アローレインターナショナル
- 分類
- P18 .121-WY (G09B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 17項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和2年1月24日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本願出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<刊行物>
第3 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和3年10月8日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。
「頭部を複数のエリアに分割し、前記エリア毎のカット作業を、紙媒体に印刷、あるいは、パーソナルコンピュータやスマートフォンのメモリに記憶させて画面表示させたカット作業情報に基づいて行うヘアカット方法であって、イヤーツーイヤーが側面視で床面に垂直になるカット対象者の通常の姿勢において、床面と平行な横ラインによって頭部が上下のブロックに分割され、頭頂部において放射状に交差する平面視直線状の縦ラインによって前記各ブロックが更に分割されることにより、前記各エリアが形成されており、前記カット作業情報は、前記エリア毎に設定された、毛束をパネル状に取り出す際の頭皮からの毛髪パネルの引張方向を表す引張方向情報を含み、前記引張方向情報は、床面と平行な平面内での前記引張方向を表す情報と、正中線を含む床面に垂直な平面内での前記引張方向を表す情報とを含み、前記引張方向は、22.5度ずつ分割された角度で表されるヘアカット方法。」
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
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1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
ア 「【請求項1】画像の選択指示や画像処理指示を入力するとともに状態情報を出力する入出力装置と、画像情報を表示用の画像データに変換するグラフィックシステムと、前記グラフィックシステムで変換された頭部画像データと頭部展開図とを表示する表示装置と、頭部の部位ごとに頭髪長と頭髪色とパーマ種を数値や符号で記述したヘアーデザインデータを格納した頭形展開図情報格納装置と、ヘアーデザインの雛型であるヘアーモデルのデータを複数組格納したヘアーデザイン情報格納装置と、前記入出力装置からの指示に基づいて前記頭形展開図情報格納装置及び前記ヘアーデザイン情報格納装置から読み出したヘアーデザインデータを基に画像の合成処理や変更処理を行なって前記グラフィックシステムに出力するとともに処理結果のヘアーデザインデータを前記頭形展開図情報格納装置及び前記ヘアーデザイン情報格納装置に書き込む画像処理装置、とを具備することを特徴とするヘアーデザインシステム。【請求項2】前記頭形展開図は、複数個の大区画と、前記大区画を複数個の部位に区分した小区画とからなるものであることを特徴とする請求項1に記載のヘアーデザインシステム。・・・【請求項12】請求項1~9のいずれかに記載のヘアーデザインシステムにより得られた電子情報に基づいて出力された、複数個の区画された部位毎に該ヘアーデザインに対応する数値及び/又は符号の記入された頭形展開図によって美容師がヘアー処理する方法。」
イ 「【0012】図1は、本発明の実施の形態におけるヘアーデザインシステムの機能ブロック図である。図1において、画像処理装置1は、数値や符号で記述されたヘアーデザインデータを画像情報に合成したり画像を変更したりする処理を実行するCAD/CAMシステムなどのコンピュータ画像処理システムである。入出力装置2は、キーボードやマウスやマイクなどの指示情報などを入力する手段と、プリンタやスピーカなどの状態情報などを出力する手段である。グラフィックシステム3は、画像処理装置1で合成された画像情報を表示用の画像データに変換する装置である。表示装置4は、CRTやLCD表示装置である。頭形展開図情報格納装置5は、頭部の部位ごとに頭髪の長さや色のデータを数値や符号で記憶する手段である。ヘアーデザイン情報格納装置6は、多数組のヘアーモデル情報などのヘアーデザインに関する各種の情報を記憶する手段である。頭形展開図情報格納装置5とヘアーデザイン情報格納装置6は、典型的にはハードディスク装置であるが、フロッピディスクや、光磁気ディスクや、CD-Rや、DVD-RAMなど、書込み読出しができる不揮発記憶装置であれば何でも利用できる。」
ウ 「【0016】上述の頭形展開図の各部位に記入される数値や符号は、決定されたヘアーデザインに対応するヘアーの長さと、パーマ種と、カラー種である。画像上のヘアーモデルから出力された数値や符号とは、ヘアーカッティングであれば、毛髪の根元からの長さを意味する。長さをmmやcmで表現してもよいし、長短を示す符号で表現してもよい。カラーリングであれば、カラー種を意味する。色の番号又は符号で表現する。パーマなどの毛髪形状を変更する処理であれば、パーマ種やアイロン種を意味する。パーマ種などの番号又は符号で表現する。頭形展開図の大区画及び小区画に区分けされた各部位毎に、ヘアーカッティングや、カラーリングや、ヘアーパーマなどに関する情報が、数値や符号にされて磁気情報として保存されているので、顧客の希望するヘアー処理が完全に実現でき、希望するヘアースタイルの完全再現が可能となる。【0017】第2に、頭部の区分方法を説明する。頭形展開図は、複数個の大区画及び多数個の小区画の部位に区分されたものである。頭形展開図における複数個の大区画は、頭形を中心線によって分けて、さらに、正面・頂部域、後面域、上側面域、下側面域及びネープ域に分けたものである。頭形展開図における複数個の大区画は、頭形の前面域、頂部域、側面域及び後面域である。頭形展開図における多数個の部位は、頭形を適宜に大分けした大区画を、さらに適宜の数に細分化した小区画である。頭形展開図における部位の数は、10~160 程度である。頭形展開図は、顧客各人の頭形に対応して変化させたものである。」
エ 「【0019】第3に、ヘアー処理の方法を説明する。美容師によるヘアー処理時に、ヘアースタイルに対応する数値や符号の記録された頭形展開図データを、頭形展開図情報格納装置5から読み出し、グラフィックシステム3により展開図の画像情報に変換し、表示装置4の画面上に出力する。頭部の区分けされた所定の部位に、決定されたヘアーデザインに対応する所定事項の記入された頭形展開図として出力される。すなわち、出力された頭形展開図には、決定されたヘアースタイルに対応するヘアー長、カット長、パーマ種、カラー種などの数値や符号が記入されている。頭形展開図に記入された数値や符号に従って、美容師がヘアーカットし、ヘアーカラー処理し、パーマ処理する。・・・」
オ 「【0021】表示装置4に出力される頭形展開図は、図5、図6、図10、図11に示すものである。すなわち、頭形展開図の一例を示すと、図6の頭形展開図には、図2~図5に示されるトップフロント[Top Front(TF)]、トップサイド[Top Side(TS)]、アンダ-サイド[Under Side(US)]及びネープ[Nape(NA)]の4区画に、さらに中心線の左右両側で、合計8区画に大分けされた展開図に、決定されたヘアーデザインに相当する符号や数値が記入されている。この4×2の8区画を、さらに細分化して区画した1単位を一つの部位とし、各部位に1~nの符号を付し、各部位の位置を明確化する。」
(2)引用発明1
上記ア~オの記載事項、及び図1~6の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明1)
「頭部が複数個の大区画及び多数個の小区画の部位に区分された頭部展開図に、前記部位毎のヘアーカッティングに関する情報が数値や符号で記入された頭形展開図データを、記憶させた頭形展開図情報格納装置5から読み出して表示装置4の画面上に出力し、頭形展開図データに記入された数値や符号に従って美容師がヘアーカットする方法であって、前記頭形展開図における多数個の部位は、頭部がトップフロントTF、トップサイドTS、アンダ-サイドUS及びネープNAの4区画に、さらに中心線の左右両側で、合計8区画に大分けされ、この大分けした大区画を、さらに適宜の数に細分化した小区画であり、頭形展開図データに記入された数値や符号は、ヘアーの長さの情報を含むヘアーカットする方法。」
2 引用文献9
(1)引用文献9の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献9には、図面とともに次の事項が記載されている({}内は当審仮訳である。以下同様。)。
ア 「[図:0001387211000001.jpg]」{請求項1 コンピュータシステムでヘアスタイルをシミュレーションする方法において、顧客のミンドングモリイメージにカッティングの時基準になる複数の頭上ポイントの位置を決める段階;決まった前記複数の頭上ポイントを基準で毛髪カッティング時の毛髪の長さ及び毛髪と頭上表面がなす施術角を入力される段階;及び入力された毛髪の長さ及び角度によって前記顧客のミンドングモリイメージ上に特定ヘアスタイルを適用して出力する段階を含むヘアスタイルシミュレーション方法。}
イ 「[0033][図:0001387211000002.jpg]」{図1を参照すると、本発明の一実施例によるヘアスタイルシミュレーションシステム(100)は、入力装置(110)、出力装置(120)、保存装置(130)及び処理装置(140)を含んで、写真撮影が可能な撮像装置(150)を含むことができる。 また、本発明によるヘアスタイルシミュレーションシステムは、前記処理装置(140)によってソフトウェアとして具現され得るか及び/または部分的にハードウェアモジュールとして具現され得るミンドングモリイメージ生成部(161)、頭上ポイント決定部(162)、ヘアー図解度生成部(163)、ヘアスタイル生成部(164)、ヘアスタイル推薦部(165)及び頭上形態比較部(166)をさらに含むことができる。}
ウ 「[0035][図:0001387211000003.jpg]」{前記出力装置(120)はモニターなどのようなディスプレイ装置、プリンターなどを指称して、処理装置(140)が処理した結果値や保存装置(130)の内容を出力する機能を実行する。 本発明の場合、出力装置(120)はヘアー図解度DBやヘアスタイルDB(132)に保存されたイメージ、顧客の正面写真、側面写真などに対したイメージなどを出力する。}
エ 「[0036][図:0001387211000004.jpg]」{前記保存装置(130)は主記憶装置及び補助保存装置などを含んで、これにはヘアー図解度DB(131)及びヘアスタイルDB(132)が含まれることができ、顧客情報などが保存され得る。 前記ヘアー図解度DB(131)やヘアスタイルDB(132)などは保存装置と別に具備されることもできる。}
オ 「[0038][図:0001387211000005.jpg]」{ヘアー図解度DB(131)に保存されたヘアー図解度はカッティング時に基準になる複数の頭上ポイントを基準に毛髪の長さ及び施術角に応じて多様にすることができる。}
カ 「[0039][図:0001387211000006.jpg]」{一般的に基本ヘアスタイルは約12種程度に分類されるが、前記ヘアー図解度DB(131)にはこのような各ヘアスタイルに対して特定毛髪長さ及び角度によるヘアー図解度が含まれることができ、この時毛髪の長さは特定頭上ポイントを基準で10cm、20cm、30cmなどのような単位で、施術角は15゜、45゜、90゜120゜などのような単位で分類されることができる。}
キ 「[0040][図:0001387211000007.jpg]」{ここで、’施術角’というは既に定義したとおり毛髪をカッティングするために持ち上げる際に頭上曲面の1地点での接線と毛髪がなす角度をいうが、施術角はヘアスタイルのボリューム感や立体感、重みなどと係る。このような施術角はヘアーデザインにおいて非常に重要な因子として、ヘアーシミュレーションを実行することにおいて必ず考慮されればこそ正確なヘアスタイルを演出することができるようになる。}
ク 「[0044][図:0001387211000008.jpg]」{図3(A)は頭上表面に対して毛髪が開かれた状態のまた他の例示的ヘアー図解度で、3(B)は毛髪パネル単位でカット状態を示したヘアー図解度として同じ毛髪長さに対して0゜でカットを始めて毛髪パネル一つずつ15゜ずつ角度を増加させてカットをした場合のヘアー図解度である。このようなヘアー図解度を土台に演出されるヘアスタイルは図3(C)のようである。}
ケ 「[0048][図:0001387211000009.jpg]」{前記ヘアー図解度DB(131)には、平面的ヘアー図解度だけでなく、図5(A)に示すように立体的ヘアー図解度に対する情報も保存されることができ、全体ヘアー図解度だけでなく、図5(B)に示すように部分ヘアー図解度に対する情報も保存されることができる。 図5(C)は図5(A)及び図5(B)に基づいて演出されるヘアスタイルとしてこれはヘアスタイルDB(132)に保存されることができる。}
コ 「[0049][図:0001387211000010.jpg]」{好ましくは、前記ヘアー図解度DB(131)は、図6のように特定ヘアスタイルに対するヘアー施術作業手順によるヘアー図解度を含むことができ、このような施術作業手順に係るヘアー図解度が出力装置(120)を通じて順に連続して出力されるとヘアーデザイナーはこれを参照してより容易に施術できる。}
サ 上記オ~クの記載事項、及び図3(B)の図示内容からみて、ヘアー図解度は、頭部を複数のエリアに分割したエリア毎のヘアー施術作業を含むことが理解でき、上記オ~コの記載事項、図3(B)及び図5~6の図示内容から、ヘアー図解度は、エリア毎に毛髪パネル単位でカッティングするために毛髪を持ち上げる際に頭上曲面の1地点での接線と毛髪がなす角度である施術角を含むことが理解できる。
(2)引用発明2
上記ア~サの記載事項、及び図1~6の図示内容を総合すると、引用文献9には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明2)
「頭部を複数のエリアに分割したエリア毎のヘアー施術作業を含むヘアー図解度が、コンピュータシステムの保存装置(130)に保存され、前記ヘアー図解度が出力装置(120)を通じて順に連続して出力され、ヘアーデザイナーはこれを参照してより容易に施術できる施術方法であって、前記ヘアー図解度は、前記エリア毎に毛髪パネル単位でカッティングするために毛髪を持ち上げる際に頭上曲面の1地点での接線と毛髪がなす角度である施術角を含み、前記施術角は、15゜、45゜、90゜120゜などのような単位で分類されることができる、施術方法。」
3 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、「美容術教授用のマネキン」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「教師がこのように手助けすることのほかに、生徒は整髪カットの各図形用のマニュアル50(第9図)を参照する、図示のごとく、マニュアル50は四分割線xおよびyを示すカット図形55と、第2図および第8図の交差線c及びdで画成された「オレンジ色」区分のカットに関係した線図形60が示されている。このマニュアルの対向ページのカット図形55には各指標65が書き付けられている。」(4ページ右上欄8~16行)
4 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、「ヘアカット方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項2】前記オーバーセクションの前記頭髪をカットするステップは、前記対数螺旋形状の領域を前記つむじに対して外側から順に以下の表のように第1領域Aから第6領域Fまで設定し、それぞれの前記対数螺旋形状の領域の長さと幅の中心での前記頭部との接触面を仮定し、前記接触面に対して以下の表のように前記頭髪を引き出す角度と前記つむじを起点として前記頭髪を回転させる回転数を設定し、それぞれの前記領域の前記頭髪を前記角度と前記回転数で引き出した後、毛先を対数螺旋の軌道の一部に揃えてカットすることを特徴とする請求項1に記載のヘアカット方法。【表4】[図:0001387211000011.jpg]」
5 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、「頭上の曲面分割によるヘアーカット方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「[図:0001387211000012.jpg]」{請求項1 頭上の曲面を多数の領域で分割して図解度を形成する第1段階;
前記各領域の中で少なくともいずれか一つの領域に該当する毛髪を領域の中央の頭上曲面に対する法線と平行に並んだ方向に持ち上げる施術角を形成する第2段階;
前記法線と平行に並んだ方向にかかって上げられた領域の毛髪を前記法線に対して所定の角度にカットする第3段階;を含むことを特徴とする頭上の曲面分割によるヘアーカット方法。}
6 引用文献5
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、「ヘアーカット用校具」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「[0040][図:0001387211000013.jpg][0041][図:0001387211000014.jpg]」{ブロッキング形成部(21)は、スキン部(10)の左右方向中央に前後方向に形成されてスキン部(10)を左右方向で分ける左右分割部(211)、及び左右分割部(211)既設定された地点でスキン部(10)を前後方向で分ける前後分割部(212)を含む。 前後分割部(212)は左右分割部(211)と垂直に連結されている。 しかし前後分割部(212)は省略されうる。 ここに左右分割部(211)だけがスキン部(10)に形成されてスキン部(10)を左、右方向で分けることができる。
パーティング形成部(22)は、ブロッキング形成部(21)を基準で垂直に形成されるか既設定された角度に傾斜して形成されている。 パーティング形成部(22)はブロッキング形成部(21)の左右分割部(211)と前後分割部(212)を連結する。 しかしパーティング形成部(22)は左右分割部(211)からスキン部(10)の端に向けて形成されうる。}
7 引用文献6
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、「ヘアカット方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0013】まず、図1に示すように、頭髪を、頭の前頭部を覆うバングセクション101と、側頭部を覆うサイドセクション102と、後頭部を覆うバックセクション103とに分ける。そして、それらの各セクション101~103において、頭髪を、頭の一番出っ張っている部分であるハチの下の第1の水平ライン21と、後頭部の最もくぼんだ部分である盆の窪の上の第2の水平ライン22とで分けて、第1の水平ライン21よりも上側のブロック101a,102a,103a、第1の水平ライン21と第2の水平ライン22との間のブロック102b,103b、及び、第2の水平ライン22よりも下側のブロック103cにそれぞれ分ける。さらに、各セクション101~103において、第1の水平ライン21よりも上側の各ブロック101a,102a,103aについて、上下2つのブロック101aa、101ab、102aa,102ab,103aa,103abにそれぞれ分ける。・・・」
8 引用文献7
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、「髪カット用教材、及びこれを用いた髪のカット方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0014】この実施の形態は図1及び図2に示すように、頭髪のない人頭に髪をカットする区分を分けるライン及び点を描いた教材を採用し、この教材に基づいて上記各髪型の基本的なカット方法を習得する技術に関する。・・・(中略)・・・どのライン、点を用いるかは髪型等により異なるが、全部で13のライン、13の点がある。・・・【0015】・・・【0016】上記各髪型のカットに際しては、上記13のラインの内、その髪型に必要なラインを選択的に用いる。これらラインの内、特に下記のセンターライン1、イヤーツーイヤーライン2、ヘッドチェンジライン3、アウトサイドライン5、及びトップイヤーライン7は、カットの基礎となる主要なラインであり、上記髪型のカットに多く共通する。・・・」
9 引用文献8
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献8には、「毛類を利用したヘアーカット方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
「[0026][図:0001387211000015.jpg]」{第1段階はセクショニング段階として、地球儀の緯度線と同じ方向に頭上をXレベル、Yレベル、Zレベルで3個のセクションに分割する段階である。 第2段階はパーティング段階として、前記それぞれのセクションを地区の経度線の同じ方向で適正個数に分けた後そのそれぞれを一つ以上の三角形に区画する段階である。 第3段階は毛類分配段階として、前記それぞれのパーティング部分の毛髪を特定角度で持ち上げて引くことなく単に毛類の方向どおり毛髪を分配する段階である。第4段階はカッティング段階として、前記毛類分配によって移動デザインラインの方法で毛髪を切ってカットを完成する段階である。}
第5 対比・判断
1 引用発明1を主引用例とした場合
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「複数個の大区画及び多数個の小区画の部位」は本願発明の「複数のエリア」に相当し、以下同様に、「部位毎のヘアーカッティングに関する情報」は「エリア毎のカット作業」に、「頭形展開図情報格納装置5」は「メモリ」に、「表示装置4の画面上に出力し」との事項は「画面表示させた」との事項に、「頭形展開図データに記入された数値や符号」は「カット作業情報」に、「ヘアーカットする方法」は「ヘアカット方法」に、それぞれ相当する。
引用発明1の「頭部が複数個の大区画及び多数個の小区画の部位に区分された頭部展開図に、前記部位毎のヘアーカッティングに関する情報が数値や符号で記入された頭形展開図データを、記憶させた頭形展開図情報格納装置5から読み出して表示装置4の画面上に出力し、頭形展開図データに記入された数値や符号に従って美容師がヘアーカットする」との事項と、本願発明の「頭部を複数のエリアに分割し、前記エリア毎のカット作業を、紙媒体に印刷、あるいは、パーソナルコンピュータやスマートフォンのメモリに記憶させて画面表示させたカット作業情報に基づいて行う」との事項とは、「頭部を複数のエリアに分割し、前記エリア毎のカット作業を、情報機器のメモリに記憶させて画面表示させたカット作業情報に基づいて行う」との事項である限りにおいて一致する。
引用発明1の「前記頭形展開図における多数個の部位は、頭部がトップフロントTF、トップサイドTS、アンダ-サイドUS及びネープNAの4区画に、さらに中心線の左右両側で、合計8区画に大分けされ、この大分けした大区画を、さらに適宜の数に細分化した小区画であり」との事項と、本願発明の「イヤーツーイヤーが側面視で床面に垂直になるカット対象者の通常の姿勢において、床面と平行な横ラインによって頭部が上下のブロックに分割され、頭頂部において放射状に交差する平面視直線状の縦ラインによって前記各ブロックが更に分割されることにより、前記各エリアが形成されており」との事項とは、「横ラインによって頭部が上下のブロックに分割され、縦ラインによって前記各ブロックが更に左右に分割され、これらが更に分割されることにより、前記各エリアが形成されており」との事項である限りにおいて一致する。
そうすると、本願発明と引用発明1とは、
「頭部を複数のエリアに分割し、前記エリア毎のカット作業を、情報機器のメモリに記憶させて画面表示させたカット作業情報に基づいて行うヘアカット方法であって、横ラインによって頭部が上下のブロックに分割され、縦ラインによって前記各ブロックが更に左右に分割され、これらが更に分割されることにより、前記各エリアが形成されている、ヘアカット方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
情報機器のメモリや画面表示に関して、
本願発明では、「パーソナルコンピュータやスマートフォン」のメモリや画面表示であるのに対して、
引用発明1では、頭形展開図情報格納装置5や表示装置4がどのような情報機器のデバイスであるのかが不明である点。
<相違点1-2>
各エリアに関して、
本願発明では、「イヤーツーイヤーが側面視で床面に垂直になるカット対象者の通常の姿勢において、床面と平行な横ラインによって頭部が上下のブロックに分割され、頭頂部において放射状に交差する平面視直線状の縦ラインによって前記各ブロックが更に分割されることにより」形成されるのに対して、
引用発明1では、「頭部がトップフロントTF、トップサイドTS、アンダ-サイドUS及びネープNAの4区画に、さらに中心線の左右両側で、合計8区画に大分けされ、この大分けした大区画を、さらに適宜の数に細分化した小区画であ」る点。
<相違点1-3>
本願発明は、カット作業情報が「前記エリア毎に設定された、毛束をパネル状に取り出す際の頭皮からの毛髪パネルの引張方向を表す引張方向情報」を含み、「前記引張方向情報は、床面と平行な平面内での前記引張方向を表す情報と、正中線を含む床面に垂直な平面内での前記引張方向を表す情報とを含み、前記引張方向は、22.5度ずつ分割された角度で表される」のに対して、
引用発明1は、頭形展開図データに記入された数値や符号が「ヘアーの長さの情報」を含む点。
(2)判断
事案に鑑み、相違点1-3から検討する。
引用発明1は、頭形展開図データに部位毎のヘアーカッティングに関する情報として、ヘアーの長さ等の情報を記入するものではあるが、「毛束をパネル状に取り出す際の頭皮からの毛髪パネルの引張方向を表す引張方向情報」を記入するものではない。
そして、理美容業の分野において、「毛束をパネル状に取り出す際の頭皮からの毛髪パネルの引張方向を表す引張方向情報」をエリア毎に設定することは従来周知であり、引張方向は、取り出す毛束の根本の頭部表面を基準にして定められるのが一般的であるところ(例えば、引用文献3の請求項2、引用文献4の請求項1、及び引用文献9の段落[0039](上記「第4」の4、5及び2(1)カ)を参照)、引張方向を、床面を基準にして「床面と平行な平面内での」方向や「正中線を含む床面に垂直な平面内での」方向として定めることは、引用文献1ないし8のいずれにも記載も示唆もなく、また、当該事項が、本願出願時に公知技術又は周知技術であったことを示す証拠は見あたらない。
また、地上における三次元の方向を、床面と平行な平面内での方向及び床面に垂直な平面内での方向によって規定することは、例示するまでもなく本願出願時に周知の技術的事項ではあるが、引用発明1において、部位毎のヘアーカッティングに関する情報として、床面を基準にして「床面と平行な平面内での」方向及び「正中線を含む床面に垂直な平面内での」方向として引張方向を定めた引張方向情報を、頭形展開図データに記入するようにする動機づけは見あたらない。
さらに、本願発明は、「前記引張方向情報は、床面と平行な平面内での前記引張方向を表す情報と、正中線を含む床面に垂直な平面内での前記引張方向を表す情報とを含み」との事項を備えることにより、「作業者が頭部の正中線およびイヤーツーイヤから、それぞれの方向を容易に把握することができる」(本願明細書の段落【0018】)という特有の作用効果を奏するものである。
そうすると、当業者といえども、引用発明1及び引用文献2ないし8に記載された事項から、相違点1-3に係る本願発明の発明特定事項を、容易に想到することはできない。
したがって、相違点1-1及び1-2について判断するまでもなく、本願発明は、引用発明1及び引用文献2ないし8に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 引用発明2を主引用例とした場合
(1)対比
本願発明と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「エリア毎のヘアー施術作業」は本願発明の「エリア毎のカット作業」に相当し、以下同様に、「ヘアー図解度」は「カット作業情報」に、「保存装置(130)に保存され」との事項は「メモリに記憶させて」との事項に、「出力装置(120)を通じて順に連続して出力され」との事項は「画面表示させた」との事項に、「施術方法」は「ヘアカット方法」に、それぞれ相当する。
引用発明2の「頭部を複数のエリアに分割したエリア毎のヘアー施術作業を含むヘアー図解度が、コンピュータシステムの保存装置(130)に保存され、前記ヘアー図解度が出力装置(120)を通じて順に連続して出力され、ヘアーデザイナーはこれを参照してより容易に施術できる」との事項と、本願発明の「頭部を複数のエリアに分割し、前記エリア毎のカット作業を、紙媒体に印刷、あるいは、パーソナルコンピュータやスマートフォンのメモリに記憶させて画面表示させたカット作業情報に基づいて行う」との事項とは、「頭部を複数のエリアに分割し、前記エリア毎のカット作業を、情報機器のメモリに記憶させて画面表示させたカット作業情報に基づいて行う」との事項である限りにおいて一致する。
引用発明2の「エリア毎に」との事項は本願発明の「エリア毎に設定された」との事項に相当し、以下同様に、「毛髪パネル単位でカッティングするために毛髪を持ち上げる際に」との事項は「毛束をパネル状に取り出す際の」との事項に、「施術角」は「引張方向情報」に、それぞれ相当する。
引用発明2の「頭上曲面の1地点での接線と毛髪がなす角度である施術角」と、本願発明の「頭皮からの毛髪パネルの引張方向を表す引張方向情報」とは、「頭皮からの毛髪パネルの引張方向を表す引張方向情報である限りにおいて一致する。
そうすると、本願発明と引用発明2とは、
「頭部を複数のエリアに分割し、前記エリア毎のカット作業を、情報機器のメモリに記憶させて画面表示させたカット作業情報に基づいて行うヘアカット方法であって、前記カット作業情報は、前記エリア毎に設定された、毛束をパネル状に取り出す際の頭皮からの毛髪パネルの引張方向を表す引張方向情報を含む、ヘアカット方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
情報機器のメモリや画面表示に関して、
本願発明では、「パーソナルコンピュータやスマートフォン」のメモリや画面表示であるのに対して、
引用発明2では、コンピュータシステムの保存装置(130)や出力装置(120)がどのような情報機器のデバイスであるのかが不明である点。
<相違点2-2>
本願発明では、「イヤーツーイヤーが側面視で床面に垂直になるカット対象者の通常の姿勢において、床面と平行な横ラインによって頭部が上下のブロックに分割され、頭頂部において放射状に交差する平面視直線状の縦ラインによって前記各ブロックが更に分割されることにより、前記各エリアが形成されて」いるのに対して、
引用発明2では、各エリアがどのように形成されるのかが明らかでない点。
<相違点2-3>
引張方向情報に関して、
本願発明では、「床面と平行な平面内での前記引張方向を表す情報と、正中線を含む床面に垂直な平面内での前記引張方向を表す情報と」を含み、「前記引張方向は、22.5度ずつ分割された角度で表される」のに対して、
引用発明2では、「頭上曲面の1地点での接線と毛髪がなす角度であ」り、「15゜、45゜、90゜120゜などのような単位で分類されることができる」点。
(2)判断
事案に鑑み、相違点2-3から検討する。
引用発明2は、エリア毎に毛髪パネル単位でカッティングするために毛髪を持ち上げる際に頭上曲面の1地点での接線と毛髪がなす角度である施術角が、出力装置(120)を通じて出力されるものではあるが、施術角として「床面と平行な平面内での前記引張方向を表す情報と、正中線を含む床面に垂直な平面内での前記引張方向を表す情報と」を出力するものではない。
そして、理美容業の分野において、毛束をパネル状に取り出す際の頭皮からの毛髪パネルの引張方向は、取り出す毛束の根本の頭部表面を基準にして定められるのが一般的であるところ(例えば、引用文献3の請求項2、引用文献4の請求項1、及び引用文献9の段落[0039](上記「第4」の4、5及び2(1)カ)を参照)、引張方向を、床面を基準にして「床面と平行な平面内での」方向や「正中線を含む床面に垂直な平面内での」方向として定めることは、引用文献9及び引用文献2、5ないし8のいずれにも記載も示唆もなく、また、当該事項が、本願出願時に公知技術又は周知技術であったことを示す証拠は見あたらない。
また、地上における三次元の方向を、床面と平行な平面内での方向及び床面に垂直な平面内での方向によって規定することは、例示するまでもなく本願出願時に周知の技術的事項ではあるが、引用発明2において、施術角を、床面を基準にして「床面と平行な平面内での」方向及び「正中線を含む床面に垂直な平面内での」方向として定めるようにする動機づけは見あたらない。
さらに、本願発明は、「前記引張方向情報は、床面と平行な平面内での前記引張方向を表す情報と、正中線を含む床面に垂直な平面内での前記引張方向を表す情報とを含み」との事項を備えることにより、「作業者が頭部の正中線およびイヤーツーイヤから、それぞれの方向を容易に把握することができる」(本願明細書の段落【0018】)という特有の作用効果を奏するものである。
そうすると、当業者といえども、引用発明2及び引用文献2、5ないし8に記載された事項から、相違点2-3に係る本願発明の発明特定事項を、容易に想到することはできない。
したがって、相違点2-1及び2-2について判断するまでもなく、本願発明は、引用発明2及び引用文献2、5ないし8に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明1及び引用文献2ないし8、もしくは引用発明2及び引用文献2、5ないし8に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-013700