2021-010575
通信システム、ルータ、通信制御方法及びプログラム
- 審判番号
- 2021-010575
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-523229外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年08月06日
- 審決日
- 2022年06月15日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ヤマハ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
- 分類
- P18 .121-WZ (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、2017年(平成29年)6月5日を国際出願日とする特願2019-523229号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
第2 本願発明
令和4年5月12日に提出された手続補正書に係る手続補正(以下、「本件補正」という。)によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「 第1拠点に設けられた第1のルータと、複数の通信端末および前記複数の通信端末に動作可能に接続される複数のスイッチを含み、前記第1拠点とは異なる第2拠点に設けられたLANと、前記LANに動作可能に接続され、前記第2拠点に設けられた第2のルータと、を備え、前記第1のルータは、インターネットを介してVPN(Virtual Private Network)によって前記第1のルータと接続された前記第2のルータに対し、前記第2のルータと、前記LANを構成する前記複数の通信端末および前記複数のスイッチとの接続関係を示す第1情報を送信するように命令する信号を送信し、前記第2のルータから前記第1情報を受信し、前記受信した前記第1情報に応じた接続情報を表示部に表示させる通信制御装置を備える、通信システム。」
なお、本願発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に対応したものである。
第3 拒絶の理由
令和4年3月9日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)のうちの理由2は、次のとおりのものである。
この出願の請求項1ないし5、10及び11に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基いて、また、請求項6ないし9に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2及び3に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献の記載及び引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
折りたたみ中(クリックで表示)
引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は、強調のため当審で付した。以下同じ。)。
「【背景技術】【0002】企業等においては、支店などの各拠点に敷設されたLANを、ルータを介してインターネットなどの通信網に接続して全社的な通信システムを構築することが一般に行われている。この種のLANには、企業の従業者等の使用するパーソナルコンピュータや多数の従業者により共用されるプリンタ装置などの端末装置と、これら端末装置をLANに接続するためのスイッチングハブや無線アクセスポイント装置、ルータなどの中継装置がその構成要素として含まれている。以下では、これら端末装置および中継装置を「通信装置」と総称する場合がある。これら通信装置は企業における資産管理の対象となることが一般的である。このため、企業等においては、決算等に備えて、通信装置毎にその名称や設置場所等の詳細情報を表計算ソフトウェアにより作成した台帳(或いは、手書きの台帳)やデータベース等に登録して管理することが一般的であった。」
「【0015】以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の中継装置の一実施形態であるルータ10を含む通信システムの構成例を示す図である。この通信システムは、ルータ10と、LAN20とを含んでいる。LAN20は、例えば企業の支店に敷設されるLANであり、ルータ10を介してインターネットやWAN(Wide Area Network)などの通信網30に接続されている。ルータ10は、LAN20と通信網30との間でネットワーク層の通信プロトコル(本実施形態では、IP(Internet Protocol))にしたがって行われるパケット通信を中継する中継装置である。…(中略)…【0016】図1に示すように、LAN20は、3台のスイッチングハブ(スイッチングハブ50A、50Bおよび50C)と、これら各スイッチングハブに各々接続された3台の端末装置(端末装置40A、40Bおよび40C)と、ルータ10に接続された端末装置40Dと、を含んでいる。図1に示すように、スイッチングハブ50A、50Bおよび50Cはルータ10に対してカスケード接続されている 。より詳細に説明すると、スイッチングハブ50Aはルータ10に接続されており、このスイッチングハブ50Aには端末装置40Aとスイッチングハブ50Bが接続されている。スイッチングハブ50Bには端末装置40Bとスイッチングハブ50Cが接続されており、スイッチングハブ50Cには端末装置40Cが接続されている。なお、ルータ10と各通信装置間の接続、或いはスイッチングハブと他のスイッチングハブ(或いは端末装置)間の接続は有線接続であっても良く、無線接続であっても良い。【0017】端末装置40A、40B、40Cおよび40Dの各々は例えばパーソナルコンピュータである。これら4台の端末装置は、LAN20に含まれる他の端末装置或いは通信網30に含まれる各種サーバ装置や端末装置との間でIPにしたがったパケット通信を行う。これら4台の端末装置のうちの一つ(本実施形態では、端末装置40D)は、ルータ10に対するwebコンソール(すなわち、webブラウザを用いて各種ユーザインタフェースを提供する装置)の役割を果たす。以下、上記4台の端末装置の各々を区別する必要がない場合には、「端末装置40」と表記する。これら4台の端末装置の各々およびルータ10には、それぞれ固有のIPアドレスが予め割り当てられている。また、上記4台の端末装置40の各々には、ルータ10のIPアドレスがデフォルトゲートウェイを示すものとして予め記憶されている。なお、これら4台の端末装置のうち、ルータ10に対するwebコンソールの役割を果たすもの以外は、プリンタ装置やwebカメラであっても良い。また、本実施形態では、ルータ10のwebコンソールとして機能する端末装置が、当該ルータ10を介してインターネット(通信網30)に接続されるLAN20に含まれているが、webコンソールとして機能する端末装置が通信網30に接続されていても良い。」
「【0019】ルータ10およびスイッチングハブ50はそれぞれ複数のポートを有しており、これら各ポートには他の通信装置が接続される。例えば、図1に示すように、ルータ10のポート番号9(図1では、#9と表記、他も同様)のポートにはスイッチングハブ50Aが接続され、同ポート番号10のポートには端末装置40Dが接続されている、といった具合である。ルータ10およびスイッチングハブ50には、一般的なルータやスイッチングハブと同様に、各ポートのポート番号に対応付けてそのポート番号の示すポートに直接、或いは1または複数の他のスイッチングハブを介して間接的に接続されている端末装置40のMACアドレスを格納したMACアドレステーブルが格納されている。」
「【0023】図3は、ルータ10の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、ルータ10は、制御部110、第1通信インタフェース(以下、「I/F」と略記)部120、第2通信I/F部130、記憶部140、およびこれら各構成要素間のデータ授受を仲介するバス150を有している。【0024】制御部110は例えばCPUである。制御部110は、記憶部140(より正確には不揮発性記憶部144)に記憶されている通信制御プログラム144aを実行することでルータ10の制御中枢として機能する。通信制御プログラム144aにしたがって制御部110が実行する処理の詳細については後に明らかにする。」
「【0027】制御部110は、ルータ10の電源(図示略)の投入或いはリセットを契機として通信制御プログラム144aを不揮発性記憶部144から揮発性記憶部142に読み出し、その実行を開始する。通信制御プログラム144aにしたがって作動している制御部110は、パケット中継処理およびネットワークトポロジ表示処理を実行する。通信制御プログラム144aにしたがって制御部110が実行するこれら2つの処理のうち、パケット中継処理については一般的なルータにおけるものと同様であるため、詳細な説明を省略し、以下では、ネットワークトポロジ表示処理を中心に説明する。【0028】ネットワークトポロジ表示処理は、一定周期で定期的に実行される処理である。このネットワークトポロジ表示処理では、制御部110は、図3におけるネットワークトポロジデータ取得手段、詳細情報取得手段、および表示制御手段として機能する。つまり、本実施形態の通信制御プログラム144aは、制御部110をネットワークトポロジデータ取得手段、詳細情報取得手段、および表示制御手段として機能させるプログラムである。図4は、ネットワークトポロジ表示処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、ネットワークトポロジ表示処理は、収集処理SA100、ネットワークトポロジデータ生成処理SA110、詳細情報取得処理SA120および表示制御処理SA130を含んでいる。図4に示すように、ネットワークトポロジデータ取得手段は収集処理SA100およびネットワークトポロジデータ生成処理SA110を実行し、詳細情報取得手段は詳細情報取得処理SA120を実行し、表示制御手段は表示制御処理SA130を実行する。ネットワークトポロジ表示処理を構成するこれら4つの処理の内容は以下の通りである。【0029】収集処理SA100は、LAN20に含まれる各スイッチングハブと通信し、各スイッチングハブから、そのスイッチングハブのMACアドレステーブルの格納内容およびそのスイッチングハブのMACアドレスを表すデータ(ペイロード部にMACアドレステーブルが書き込まれたフレーム:以下、MACアドレステーブル返信フレーム)を収集する処理である。例えば、制御部110は、ヘッダ部の送信先アドレスおよび送信元アドレスにマルチキャストアドレスおよびルータ10のMACアドレスを書き込み、ペイロード部には上記MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレームをLAN20へ送出し、各スイッチングハブ50には当該フレームの受信を契機としてMACアドレステーブル返信フレームを返信する処理を実行させることが考えられる。【0030】収集処理SA100に後続して実行されるネットワークトポロジデータ生成処理SA110は、収集処理SA100にて各スイッチングハブから収集したデータを解析し、LAN20のネットワークトポロジを表すネットワークトポロジデータを生成して揮発性記憶部142に書き込む処理である。本実施形態では、ネットワークトポロジデータとして、ルータ10をルート(根)に対応させ、各スイッチングハブ50をノード(節)に対応させるとともに各端末装置40をリーフ(葉)に対応させた木構造を表すデータを用いる。ルートは木構造の最上位(最上流)にあり、通常、1つの木構造に1つしか存在しない。リーフは木構造の末端であり、ノードとは木構造においてルートではなく、かつリーフでもないものを言う。なお、木構造を表すデータとしては、ルート、ノードおよびリーフの各々に対応する構造体の集合であって、各々が当該構造体に対応する装置を示す識別子(例えば、当該装置のMACアドレス)を記憶するデータ領域と、1つ上流側(ルート側)の装置を指す上流側ポインタと、1つ下流側の装置を指す下流側ポインタとを有する構造体の集合体を用いるようにすれば良い。」
「【0034】 詳細情報取得処理SA120は、上記木構造における各ノードおよび各リーフに対応する通信装置のMACアドレスを検索キーとして管理テーブル144bを検索し、その通信装置に関する詳細情報を取得する処理である。図5は、管理テーブル144bの格納内容の一例を示す図である。図5に示すように、管理テーブル144bには、LAN20に含まれる通信装置のMACアドレスに対応づけて、その通信装置に関する詳細情報が予め格納されている。図5に示すように本実施形態の詳細情報には、ホスト名(スイッチングハブ等の中継装置であれば機器名)、端末種類、メーカ名、機種名、OS(Operating system)の種類或いは名称、IPアドレス、コメントを表す各情報(例えば、文字列情報)が含まれているが、詳細情報を構成する情報はこれらに限定されるものではない。」
「【0036】表示制御処理SA130は、ネットワークトポロジデータ生成処理SA110にて生成されたネットワークトポロジデータにしたがって、当該ネットワークトポロジデータによりネットワークトポロジが表されるLAN(すなわち、本実施形態ではLAN20)における中継装置の接続関係を表す木構造の画像をwebコンソールに表示させる処理である。本実施形態では、上記木構造を表す画像の表示態様にも本発明の特徴が現れている。より詳細に説明すると、制御部110は、上記LANに含まれる中継装置のうちユーザにより予め指定されたもの(以下、描画開始点)に対応するノードの直下の(すなわち、描画開始点に直結されている)ノードまでを描画対象とし、当該描画対象までの木構造の画像と、上記描画開始点の直下のノードおよびリーフについての詳細情報のリストの画像とを並べてwebコンソールに表示させる。本実施形態では、上記描画開始点としてLAN20を通信網30に接続する中継装置(LAN20における最上流の中継装置、すなわち、ルータ10)がユーザによって予め指定されている。このため、webコンソールには図6(a)に示す画像が表示される。」
「【0041】以上本発明の一実施形態について説明したが、この実施形態に以下の変形を加えても勿論良い。(1)上記実施形態では、ルータ10配下の中継装置(ルータ10を介して通信網30に接続されるLANに含まれる中継装置)がスイッチングハブである場合について説明したがルータであっても良く、また無線アクセスポイント装置であっても良い。また、上記実施形態では、ルータ10を介して通信網30に接続されるLAN20における各中継装置の物理的な接続関係(物理トポロジ)を表す木構造の画像をルータ10のwebコンソールとして機能する端末装置に表示させたが、LAN20における各中継装置の論理的な接続関係(VLAN(Virtual Local Area Network)グループ:以下、論理トポロジ)を表す木構造の画像をルータ10のwebコンソールとして機能する端末装置に表示させても良い。VLANとは、スイッチングハブ等の中継装置におけるポートやMACアドレス、通信プロトコルに応じてLANに属する通信装置をグループ分けすることで形成される仮想的なネットワークのことであり、VLANグループとは上記グループ分けにより得られた各グループのことを言う。また、論理トポロジは上記VLANグループには限定されず、データの流れに着目した接続関係であっても良い。要は、LAN20のネットワークトポロジを表す木構造の画像をルータ10のwebコンソールとして機能する端末装置に表示させる態様であれば良く、表示対象のネットワークトポロジは物理トポロジであっても良く、論理トポロジであっても良い。また、ユーザの指示等に応じて表示対象のネットワークトポロジを物理トポロジと論理トポロジとで相互に切り換えられるようにしても良い。【0042】(2)上記実施形態では、本発明のルータへの適用例を説明した。これは、インターネットなどのWANにLANを接続する際にはルータが必須であり、このようなルータにネットワークトポロジ表示処理を行わせることで、SNMPを利用した場合のSNMPマネージャのような専用装置を別途設ける必要がなく、省エネおよび省コスト化を図れるからである。しかしながら、本発明の適用対象となる中継装置はルータに限定されるものではなく、ルータ配下のスイッチングハブや無線アクセスポイント装置に本発明を適用しても良い。例えば、スイッチングハブに本発明を適用する場合、スイッチングハブの下流側(ルータとは反対側)に直接または間接的に接続されている他の中継装置(スイッチングハブ或いは無線アクセスポイント装置)および端末装置の集合を対象としてネットワークトポロジの特定および特定結果の表示を行うようにすれば良い。また、上記実施形態における詳細情報取得処理SA120は必ずしも必須ではなく、省略しても勿論良い。詳細情報取得処理SA120を省略しても、ネットワークトポロジを表す木構造の画像の表示は可能だからである。なお、詳細情報取得処理SA120を省略する場合には、上記木構造における各アイコンに付与する識別子として当該アイコンに対応する装置のMACアドレスを用いるようにすれば良い。さらに、上記実施形態では、LAN20を通信網30に接続するルータ10に当該LAN20のネットワークトポロジを表す画像の表示制御を行わせたが、LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせることも可能である。要は、ネットワークトポロジを表す画像の表示制御の対象となるLANに含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集することができれば良く、ルータ10が当該LANに直接接続されている必要はない。なお、ネットワークトポロジを表す画像の表示制御の対象となるLANにルータ10が接続されていない場合についても、当該LANに含まれる中継装置のうちのユーザにより予め指定されたものを描画開始点とし、その描画開始点の直下のノードまでを描画対象として木構造を表す画像の表示制御を開始すれば良い。」
「【図1】[図:0001388044000001.jpg]」
「【図3】[図:0001388044000002.jpg]」
「【図4】[図:0001388044000003.jpg]」
「【図6】[図:0001388044000004.jpg]」
(2)引用発明
前記(1)より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 通信システムであって、通信システムは、ルータ10と、LAN20とを含み、LAN20は、例えば企業の支店に敷設されるLANであり、ルータ10を介してインターネットやWANなどの通信網30に接続され、LAN20は、3台のスイッチングハブ(スイッチングハブ50A、50Bおよび50C)と、これら各スイッチングハブに各々接続された3台の端末装置(端末装置40A、40Bおよび40C)と、ルータ10に接続された端末装置40Dと、を含み、続きを表示(全21行)端末装置のうちの一つ(本実施形態では、端末装置40D)は、ルータ10に対するwebコンソール(すなわち、webブラウザを用いて各種ユーザインタフェースを提供する装置)の役割を果たし、ルータ10およびスイッチングハブ50はそれぞれ複数のポートを有しており、これら各ポートには他の通信装置が接続され、ルータ10およびスイッチングハブ50には、各ポートのポート番号に対応付けてそのポート番号の示すポートに直接、或いは1または複数の他のスイッチングハブを介して間接的に接続されている端末装置40のMACアドレスを格納したMACアドレステーブルが格納され、ルータ10は、制御部110、第1通信インタフェース(以下、「I/F」と略記)部120、第2通信I/F部130、記憶部140、およびバス150を有し、制御部110は、記憶部140に記憶されている通信制御プログラム144aを実行することでルータ10の制御中枢として機能し、通信制御プログラム144aにしたがって作動している制御部110は、パケット中継処理およびネットワークトポロジ表示処理を実行し、通信制御プログラム144aは、制御部110をネットワークトポロジデータ取得手段、詳細情報取得手段、および表示制御手段として機能させるプログラムであり、ネットワークトポロジ表示処理は、収集処理SA100、ネットワークトポロジデータ生成処理SA110、詳細情報取得処理SA120および表示制御処理SA130を含み、ネットワークトポロジデータ取得手段は収集処理SA100およびネットワークトポロジデータ生成処理SA110を実行し、詳細情報取得手段は詳細情報取得処理SA120を実行し、表示制御手段は表示制御処理SA130を実行し、収集処理SA100は、LAN20に含まれる各スイッチングハブと通信し、各スイッチングハブから、そのスイッチングハブのMACアドレステーブルの格納内容およびそのスイッチングハブのMACアドレスを表すデータ(MACアドレステーブル返信フレーム)を収集する処理であり、例えば、制御部110は、ヘッダ部の送信先アドレスおよび送信元アドレスにマルチキャストアドレスおよびルータ10のMACアドレスを書き込み、ペイロード部には上記MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレームをLAN20へ送出し、各スイッチングハブ50には当該フレームの受信を契機として MACアドレステーブル返信フレームを返信する処理を実行させ、ネットワークトポロジデータ生成処理SA110は、収集処理SA100にて各スイッチングハブから収集したデータを解析し、LAN20のネットワークトポロジを表すネットワークトポロジデータを生成して揮発性記憶部142に書き込む処理であり、詳細情報には、ホスト名(スイッチングハブ等の中継装置であれば機器名)、端末種類、メーカ名、機種名、OS(Operating system)の種類或いは名称、IPアドレス、コメントを表す各情報(例えば、文字列情報)が含まれており、表示制御処理SA130は、ネットワークトポロジデータ生成処理SA110にて生成されたネットワークトポロジデータにしたがって、当該ネットワークトポロジデータによりネットワークトポロジが表されるLAN(LAN20)における中継装置の接続関係を表す木構造の画像をwebコンソールに表示させる処理であり、上記LANに含まれる中継装置のうちユーザにより予め指定されたもの(描画開始点)に対応するノードの直下の(描画開始点に直結されている)ノードまでを描画対象とし、当該描画対象までの木構造の画像と、上記描画開始点の直下のノードおよびリーフについての詳細情報のリストの画像とを並べてwebコンソールに表示させ、ルータ10配下の中継装置(ルータ10を介して通信網30に接続されるLANに含まれる中継装置)がルータであっても良く、LAN20における各中継装置の論理的な接続関係(VLANグループ:以下、論理トポロジ)を表す木構造の画像をルータ10のwebコンソールとして機能する端末装置に表示させても良く、LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせることも可能であり、要は、ネットワークトポロジを表す画像の表示制御の対象となるLANに含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集することができれば良く、ルータ10が当該LANに直接接続されている必要はなく、ネットワークトポロジを表す画像の表示制御の対象となるLANにルータ10が接続されていない場合についても、当該LANに含まれる中継装置のうちのユーザにより予め指定されたものを描画開始点とし、その描画開始点の直下のノードまでを描画対象として木構造を表す画像の表示制御を開始すれば良い、通信システム。」
2 引用文献2について
引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0019】図1に示されるように、本実施形態に係る通信システム1は、データセンター側通信システム2と利用者環境側通信システム3とを含む。【0020】データセンター側通信システム2は、通信端末10と、複数のネットワークスイッチ12と、管理用ネットワークスイッチ13と、VPNルータ14と、管理サーバ16とを備える。通信端末10と、複数のネットワークスイッチ12と、VPNルータ14とは、データセンター側のネットワーク15を介して接続されている。また、複数のネットワークスイッチ12と、管理用ネットワークスイッチ13と、管理サーバ16とは、管理用ネットワーク17を介して接続されている。なお、図1では、通信端末10を1台のみ示しているが、データセンター側通信システム2は、複数台の通信端末10を含んでいる。【0021】利用者環境側通信システム3は、通信端末18と、複数のネットワークスイッチ20と、管理用ネットワークスイッチ21と、VPNルータ22と、管理サーバ24とを備える。通信端末18と、複数のネットワークスイッチ20と、VPNルータ22とは、利用者環境側のネットワーク19を介して接続されている。また、複数のネットワークスイッチ20と、管理用ネットワークスイッチ21と、管理サーバ24とは、管理用ネットワーク25を介して接続されている。ネットワークスイッチ12、20は、中継装置の一例であり、管理サーバ16、24は管理装置の一例である。なお、図1では、通信端末18を1台のみ示しているが、利用者環境側通信システム3は、複数台の通信端末18を含んでいる。【0022】データセンター側通信システム2と利用者環境側通信システム3とは、インターネット26を介して接続されている。そのため、通信端末10と通信端末18とは、複数のネットワークスイッチとVPNルータとを介して接続されている。また、通信端末10と通信端末18との間でのデータの送受信は、管理用ネットワーク17と、管理用ネットワーク25と、インターネット26とを介して行われる。」
「【図1】[図:0001388044000005.jpg]」
第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
1 引用発明において、「LAN20」は、「例えば企業の支店に敷設されるLANであり、ルータ10を介してインターネットやWANなどの通信網30に接続され」るものであり、「LAN20」をインターネット等に接続する「ルータ10」も、「LAN20」と同様に、企業の支店に敷設されるものといえる。
また、引用文献1の【背景技術】【0002】に「支店などの各拠点に敷設されたLAN」と記載されているように、「支店」は「拠点」といい得るものであり、引用発明の「LAN20」及び「ルータ10」が敷設される(設けられる)支店(拠点)を「第1拠点」と称し、また、「ルータ10」を「第1のルータ」と称することは任意である。
よって、引用発明の「ルータ10」は、本願発明の「第1拠点に設けられた第1のルータ」に相当する。
2 引用発明の「LAN20とは異なるLAN」は、「LAN20」が設けられる「第1拠点」とは異なる拠点に設けられる場合を含み、当該異なる拠点を「第2拠点」と称することは任意である。
また、引用発明において、「LAN20」は、「3台のスイッチングハブ(スイッチングハブ50A、50Bおよび50C)と、これら各スイッチングハブに各々接続された3台の端末装置(端末装置40A、40Bおよび40C)と、ルータ10に接続された端末装置40D」とを含むものであることからすれば、「LAN20とは異なるLAN」も、「LAN20」と同様に、複数の「端末装置」と、当該複数の「端末装置」に動作可能に接続される複数の「スイッチングハブ」を含む態様を想定しているといえる。
そして、引用発明の「端末装置」及び「スイッチングハブ」はそれぞれ、「通信端末」及び「スイッチ」として機能するものといえる。
よって、引用発明の「LAN20とは異なるLAN」は、本願発明の「複数の通信端末および前記複数の通信端末に動作可能に接続される複数のスイッチを含み、前記第1拠点とは異なる第2拠点に設けられたLAN」に相当する。
3 前記1より、引用発明における「ルータ」は「LAN」をインターネット等に接続する機能を有していることからすれば、引用発明の「LAN20とは異なるLAN」に動作可能に接続された「ルータ」の存在を前提とするものと認められる。また、当該「ルータ」を「第2のルータ」と称することは任意である。
また、当該「第2のルータ」も、「LAN20とは異なるLAN」と同様に、「第2拠点」に設けられているといえる。
よって、引用発明において、「LAN20とは異なるLAN」に設けられる「第2のルータ」は、本願発明の「前記LANに動作可能に接続され、前記第2拠点に設けられた第2のルータ」に相当する。
4 引用発明の「ルータ10」の「制御部110」が「通信制御プログラム144a」を実行することにより実現される「収集処理SA100」は、「LAN20に含まれる各スイッチングハブと通信し、各スイッチングハブから、そのスイッチングハブのMACアドレステーブルの格納内容およびそのスイッチングハブのMACアドレスを表すデータ(MACアドレステーブル返信フレーム)を収集する処理」であり、その具体的な処理として、前記「制御部110」は、「ヘッダ部の送信先アドレスおよび送信元アドレスにマルチキャストアドレスおよびルータ10のMACアドレスを書き込み、ペイロード部には上記MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレームをLAN20へ送出し、各スイッチングハブ50には当該フレームの受信を契機としてMACアドレステーブル返信フレームを返信する処理を実行させ」るものである。すなわち、「ルータ10」は、「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」を「LAN20」に含まれる「スイッチングハブ」に送信することにより、当該「スイッチングハブ」からその「MACアドレステーブル」の格納内容を収集しているといえる。
そして、引用発明の「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせることも可能であり、要は、ネットワークトポロジを表す画像の表示制御の対象となるLANに含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集することができれば良く」との構成において、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合においても、「ルータ10」は「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」ものと理解することができる。ここで、引用発明は、「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」ための手法を明示するものではないが、上述したように、「ルータ10」は、自身が設けられている「LAN20」から「MACアドレステーブル」の格納内容を収集するにあたり、「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」を「LAN20」に含まれる「スイッチングハブ」に送信するように構成されているのであるから、当業者であれば、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合に「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」際にも、「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」を「LAN20とは異なるLAN」に含まれる「中継装置」に送信するものと理解することが合理的である。そして、引用発明の「スイッチングハブ等の中継装置」との構成からすれば、「LAN20とは異なるLAN」に含まれる「中継装置」は、「スイッチングハブ」(スイッチ)を含むものといえる。
加えて、前記1を参酌すれば、引用発明における「ルータ」は、「LAN」をインターネット等に接続する機能を有していることから、「LAN20とは異なるLAN」は、インターネットを介して「LAN20」に接続され得るものであり、その場合、「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」の「LAN20とは異なるLAN」に含まれる「中継装置」(スイッチ)への送信は、前記3を参酌すれば、必ず「インターネット」及び「第2のルータ」を介してなされることとなる。
よって、引用発明において、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合に「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」際に、「ルータ20」は、当該「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」を、インターネットを介して接続された「第2のルータ」に対して送信しているといえる。
5 引用発明は、「収集処理SA100」において、「ルータ10」の「制御部」が、「前記MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレームをLAN20へ送出」し、「スイッチングハブ50」が「当該フレームの受信を契機としてMACアドレステーブル返信フレームを返信する処理を実行」し、「ネットワークトポロジデータ生成処理SA110」において、「収集処理SA100にて各スイッチングハブから収集したデータを解析し、LAN20のネットワークトポロジを表すネットワークトポロジデータを生成して揮発性記憶部142に書き込む処理」を行い、その後「表示制御処理SA130」において、「ネットワークトポロジデータ生成処理SA110にて生成されたネットワークトポロジデータにしたがって、当該ネットワークトポロジデータによりネットワークトポロジが表されるLAN(LAN20)における中継装置の接続関係を表す木構造の画像をwebコンソールに表示させる処理」を行うものである。
ここで、「ネットワークトポロジが表されるLAN(LAN20)における中継装置の接続関係を表す木構造の画像」は、「LAN20」を構成する「ルータ10」と、複数の「端末装置」(通信端末)及び複数の「スイッチングハブ」(スイッチ)との「接続関係」を含むものといえる。
そして、前記4を参酌すれば、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合に「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」際に、収集される「MACアドレステーブル」の格納内容は、「ネットワークトポロジ」を表す「ネットワークトポロジデータ」の生成源となっていることから、前記「接続関係」を示す情報といい得るものであり、当該情報を「第1情報」と称することは任意である。
そうすると、引用発明において、「MACアドレステーブル返信フレーム」は、「MACアドレステーブル」の格納内容である「第1情報」を送信するように命令する信号といい得るものである。
6 前記4及び5より、引用発明において、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合に「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」ことと、本願発明の「第1のルータは、」「インターネットを介してVPN(Virtual Private Network)によって前記第1のルータと接続された前記第2のルータに対し、前記第2のルータと、前記LANを構成する前記複数の通信端末および前記複数のスイッチとの接続関係を示す第1情報を送信するように命令する信号を送信」することとは、「前記第1のルータは、」「インターネットを介して前記第1のルータと接続された前記第2のルータに対し、前記第2のルータと、前記LANを構成する前記複数の通信端末および前記複数のスイッチとの接続関係を示す第1情報を送信するように命令する信号を送信」することにおいて共通する。
7 前記4を参酌すれば、引用発明は、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合に「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」際に、「ルータ10」が「LAN20とは異なるLAN」の「第2のルータ」から「MACアドレステーブル返信フレーム」を受信する処理を行うものと認められ、当該処理を行うことは、本願発明の「前記第1のルータは、」「前記第2のルータから前記第1情報を受信」することに相当する。
8 引用発明の「webコンソール」は、本願発明の「表示部」に相当する。
また、引用発明の「表示制御処理SA130」において、「ネットワークトポロジデータ生成処理SA110にて生成されたネットワークトポロジデータにしたがって、当該ネットワークトポロジデータによりネットワークトポロジが表されるLAN(LAN20)における中継装置の接続関係を表す木構造の画像をwebコンソールに表示させる」ことは、本願発明の「前記第1のルータは、」「前記受信した前記第1情報に応じた接続情報を表示部に表示させる」ことに相当する。
9 前記4ないし8より、引用発明の「ルータ10」が通信処理を伴う「収集処理SA100」及び「表示制御処理SA130」を実現する「制御部110」を備えることは、後述する相違点を除いて、本願発明の「前記第1のルータは、」「通信制御装置を備える」ことに相当する。
10 引用発明の「通信システム」は、後述する相違点を除いて、本願発明の「通信システム」に相当する。
イ 一致点・相違点
以上から、本願発明と引用発明とは、以下の点において一致ないし相違する。
(一致点)
「 第1拠点に設けられた第1のルータと、複数の通信端末および前記複数の通信端末に動作可能に接続される複数のスイッチを含み、前記第1拠点とは異なる第2拠点に設けられたLANと、前記LANに動作可能に接続され、前記第2拠点に設けられた第2のルータと、を備え、前記第1のルータは、インターネットを介して前記第1のルータと接続された前記第2のルータに対し、前記第2のルータと、前記LANを構成する前記複数の通信端末および前記複数のスイッチとの接続関係を示す第1情報を送信するように命令する信号を送信し、前記第2のルータから前記第1情報を受信し、前記受信した前記第1情報に応じた接続情報を表示部に表示させる通信制御装置を備える、通信システム。」
(相違点)
本願発明において、「第1のルータ」から「第2のルータ」への送信が「VPN(Virtual Private Network)によって」なされるのに対して、引用発明において、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合に「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」際に、「ルータ10」から「LAN20とは異なるLAN」の「第2のルータ」への「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」の送信が、VPNによってなされることを具体的に特定していない点。
第6 判断
1 相違点についての判断
上記相違点について、判断する。
引用文献2に記載されているように、複数のスイッチと複数の通信端末が接続されたネットワークシステム(LAN)の間を、VPNルータによって、すなわち、「VPN(Virtual Private Network)」によって、インターネットを介して通信する構成は、本願出願時における周知技術である。
一方、引用発明は、「要は、ネットワークトポロジを表す画像の表示制御の対象となるLANに含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集することができれば良く、ルータ10が当該LANに直接接続されている必要はなく」との構成からすると、「ルータ10」と「LAN20とは異なるLAN」との間の通信接続は、直接的に接続される形態に制限されていない。
加えて、引用発明は、「LAN20における各中継装置の論理的な接続関係(VLANグループ:以下、論理トポロジ)を表す木構造の画像をルータ10のwebコンソールとして機能する端末装置に表示させても良く」との構成を備え、論理的な通信接続を用いることについて示唆がある。
したがって、上記周知技術を引用発明に採用することに技術的な阻害要因は認められない。
よって、引用発明において、「ルータ10」と「LAN20とは異なるLAN」の「第2のルータ」との間の通信を、周知技術である「VPN(Virtual Private Network)によって」行うよう構成することにより、上記相違点に係る本願発明の構成を付加することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、そのことによる作用効果も当業者が容易に予測し得た範囲である。
2 請求人の主張について
請求人は、令和4年5月12日に提出した意見書において、概ね以下の主張をしている。なお、当審拒絶理由において、上記引用文献3は、本願発明に対しては引用していないから、引用文献3についての主張は割愛する。
(1)主張1
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」といいます)と、引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明1」といいます)とを対比すると、本願発明1は、以下の発明特定事項1を有します。
発明特定事項1
「第1拠点に設けられた第1ルータが、第2拠点に設けられた第2のルータとインターネットを介してVPN(Virtual Private Network)によって接続され、第2のルータにおける複数の通信端末および複数のスイッチとの接続関係を示す第1情報を送信するように命令する信号を送信し、第2ルータから第1情報を取得する。」
…(中略)…
引用発明1は、「中継装置を介して通信網に接続されるLANのネットワークトポロジを容易に把握することが可能で、かつそのネットワークトポロジに変動が生じたときにはその変動箇所を迅速に把握できるようにする」という課題を解決するものであるものの、上述の通り異なるLANにルータ(第2ルータ)が設けられていることについて明示されておらず、また、第1LANと接続されたルータが、異なるLANに接続された中継装置の情報をどのように取得するのかについても具体的に開示されておらず、相違点1に係る本願発明1の構成を想定していません。(意見書第2頁下から10行目~第4頁第11行)
(2)主張2
引用文献2では、「[0006]これに対し第1の技術では、破棄されたフレームの発生と破棄の理由は認識できるが、破棄されたフレームと対象のデータとの関連を判断するためには、破棄された全てのフレームに含まれるパケット全体を保存(パケットキャプチャ)し、後で解析する必要がある。特に通信ネットワークが多数のネットワークスイッチを含んでいる場合、個々のネットワークスイッチでパケットキャプチャを各々実施することは、キャプチャのために膨大な記憶容量が必要となり、解析にも多大な負荷がかかるため現実的ではない。[0007]また、第2の技術は、特定統計情報、エラー情報のカウントアップ等に基づいて解析対象の破棄フレームの数を絞り込むことが可能である。しかし、破棄されたフレームが対象のデータと関連しているかを判断するためにはパケットキャプチャを行って解析しなければならない点には変わりはなく、前述の課題は解決されない。データセンター側通信システム2と利用者環境側通信システム3とは、インターネット26を介して接続されている。そのため、通信端末10と通信端末18とは、複数のネットワークスイッチとVPNルータとを介して接続されている。[0008]開示の技術は、一つの側面として、パケットキャプチャを行うことなく、障害解析を可能とする」という課題を解決するために、「[0022]データセンター側通信システム2と利用者環境側通信システム3とは、インターネット26を介して接続されている。そのため、通信端末10と通信端末18とは、複数のネットワークスイッチとVPNルータとを介して接続されている。」ということが開示されております。しかしながら、引用文献2では、あくまでもVPNルータ同士がインターネットを介して接続されることを記載するのみであり、どのような情報が送受信されるのかを特定するものではありません。(意見書第4頁第12行~末行)
(3)主張3
仮に、審判官殿の言うように、VPNを用いた接続方法があったとしても、引用文献1~3に記載の発明がVPNを用いて別の拠点の接続情報を取得するという技術的思想を有していたとは言えません。
したがって、引用文献1に引用文献2~3に記載の周知技術を適用しても本願発明1には想到しないと考えられます。(意見書第5頁第16行~第5頁第20行)
(4)主張4
本願発明1は、発明特定事項1を有することにより、ある拠点のルータがインターネットを介してVPNを構築している対向側のすべての拠点のルータ、スイッチの接続関係を一括して把握し管理することが可能になります。(意見書第5頁第21行~第5頁第23行)
上記各主張について、以下、検討する。
ア 主張1について
まず、請求人が主張するように、引用文献1(引用発明)は、「異なるLAN」にルータ(第2ルータ)が設けられていることについて明示していない。
しかしながら、上記第5の1及び3で述べたように、引用文献1の【0002】には、背景技術として、「企業等においては、支店などの各拠点に敷設されたLANを、ルータを介してインターネットなどの通信網に接続して全社的な通信システムを構築することが一般に行われている。」と記載されていることから、「LAN」を「インターネットなど」に接続する際に「ルータ」を介して行うことは一般的に行われていた技術であって、引用発明が、当該技術を前提としていることは明らかである。
したがって、「異なるLAN」にルータ(第2のルータ)が設けられていることは、引用発明に明示されていないとしても、実質的に引用発明に特定されている構成といえる。
次に、請求人が主張するように、引用文献1(引用発明)には、第1LANと接続されたルータ10が、「LAN20とは異なるLAN」に接続された中継装置の情報をどのように取得するのかについて明示していない。
しかしながら、上記第5の4で述べたように、「ルータ10」は、自身が設けられている「LAN20」から「MACアドレステーブル」の格納内容を収集するにあたり、「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」を「LAN20」に含まれる「スイッチングハブ」を送信するように構成されているのであるから、当業者であれば、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合に「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」際にも、「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」を「LAN20とは異なるLAN」に含まれる「中継装置」に送信するものと理解することが合理的である。
よって、「ルータ10」が、「LAN20とは異なるLANのネットワークトポロジを表す画像の表示制御をルータ10に行わせる」場合に「LAN20とは異なるLAN」「に含まれる各中継装置からMACアドレステーブルの格納内容を表すデータをルータ10が収集する」際に、「MACアドレステーブル返信フレームの送信を指示するコマンドを書き込んだフレーム」を「LAN20とは異なるLAN」に含まれる「中継装置」に送信することは、引用発明に明示されていないとしても、実質的に引用発明に開示されている構成といえる。
イ 主張2について
上記1で述べたように、引用発明において、「ルータ10」と「LAN20とは異なるLAN」との間の通信接続は、直接的に接続される形態に制限されておらず、加えて、引用発明は、論理的な接続による通信について示唆を含むことから、引用発明の構成から、「ルータ10」と「LAN20とは異なるLAN」との間の通信接続として論理的な接続の形態を用いることは当業者が容易に想到し得たことである。
そして、引用文献2に記載されているように、複数のスイッチと複数の通信端末が接続されたネットワークシステム(LAN)の間を、「VPN」によってインターネットを介して通信する構成は、本願出願時における周知技術であるから、論理的な通信接続の形態として当該「VPN」を採用することも当業者が容易に想到し得たことである。
請求人は、「引用文献2では、あくまでもVPNルータ同士がインターネットを介して接続されることを記載するのみであり、どのような情報が送受信されるのかを特定するものではありません。」と主張するが、本願発明は、「第1拠点に設けられた第1ルータが、第2拠点に設けられた第2のルータとインターネットを介してVPN(Virtual Private Network)によって接続され、第2のルータにおける複数の通信端末および複数のスイッチとの接続関係を示す第1情報を送信するように命令する信号を送信し、第2ルータから第1情報を取得する。」(請求人が主張する「発明特定事項1」)との構成を備えるものの、通信接続の形態である「VPN」と、通信内容である「第1情報を送信するように命令する信号」及び「第1情報」との技術的な因果関係について具体的に特定しておらず、本願明細書及び図面の記載を参酌しても、「第1情報を送信するように命令する信号」及び「第1情報」を「VPN」によって送受信することの相乗的な作用効果について具体的な記載はない。
したがって、本願発明において、「VPN」は、単なる通信接続の形態として特定されているにすぎない。
同様に、引用発明においても、「ルータ10」と「LAN20とは異なるLAN」との間の通信接続は、直接的に接続される形態に制限されておらず、その通信内容と関連した所定の通信接続の形態を採用すべきであるとは認められない。
よって、引用発明において、「ルータ10」と「LAN20とは異なるLAN」との間の通信接続の形態として、引用文献2に記載された周知技術である「VPN」を採用することに何ら技術的な阻害要因は存在しない。
ウ 主張3について
前記イで述べたとおり、本願発明において、「VPN」は、単なる通信接続の形態として特定されているにすぎず、引用発明においても、「ルータ10」と「LAN20とは異なるLAN」との間の通信接続は、直接的に接続される形態に制限されていないから、VPNを用いて別の拠点の接続情報を取得するという技術的思想が記載された先行技術文献がなければ本願発明に到達しないということにはならない。
エ 主張4について
請求人は、本願発明が、発明特定事項1を備えることにより、ある拠点のルータがインターネットを介してVPNを構築している対向側のすべての拠点のルータ、スイッチの接続関係を一括して把握し管理することが可能になるという作用効果を得ることができる旨主張している。
上記の作用効果は、本願明細書の【0037】には記載されているものの、本願発明は、「VPNを構築している対向側のすべての拠点のルータ、スイッチの接続関係」との構成を特定するものではない。すなわち、本願発明において、「VPN」は、「第1のルータ」と「第2のルータ」との間の通信接続の形態として特定されているにすぎず、「第2拠点に設けられたLAN」が「VPN」で構築されていることまでは特定されていない。
よって、請求人の当該主張は、本願発明の構成に基づいたものではない。
なお、この点(「VPNを構築している対向側」)を除いて、すなわち、ある拠点のルータがインターネットを介して対向側のすべての拠点のルータ、スイッチの接続関係を一括して把握し管理することが可能になるという作用効果を得ることができる点は、引用発明も同じである。
以上のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用することができない。
第7 むすび
よって、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2021-010575