特許拒絶査定不服審判
2021-010233
縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ
- 審判番号
- 2021-010233
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-548402
- 請求日
- 2021年07月30日
- 審決日
- 2022年07月06日
- 公報発行日
- 2022年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】奥山 尚一
- 【請求人代理人】小川 護晃
- 【請求人代理人】西山 春之
- 【請求人代理人】関谷 充司
- 審判長/審判官
- 審判長 平瀬 知明
- 審判官 間中 耕治
- 審判官 内田 博之
- 分類
- P18 .575-Z (F16H) / P18 .121-Z (F16H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-548402「縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月13日国際公開、WO2018/161389、令和 2年 4月 2日国内公表、特表2020-510171〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件に係る出願は、2017(平成29)年4月1日(パリ優先権主張外国庁受理 2017年3月6日 中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、令和1年10月31日に審査請求と同時に手続補正がされ、令和2年12月7日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年3月8日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年3月23日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)された。
これに対して同年7月30日に審判請求書が提出されると同時に手続補正され、同年12月15日に上申書が提出されたものである。
第2 令和3年7月30日にした手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年7月30日にした手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
【請求項1】
アクスルハーフシャフトに連結される縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリであって、自動変速機が設けられており、前記自動変速機には、第1の入力軸が含まれ、該第1の入力軸に、エンジンとISGモータとの組み合せが用いられている第1の動力源が連結され、出力軸が前記第1の入力軸と同じ軸心方向に設けられ、中間軸が前記第1の入力軸と平行に設けられ、前記第1の入力軸及び中間軸を介して一段目の減速ギア列が取り付けられ、前記中間軸及び出力軸を介してN段目の減速ギア列が取り付けられ、かつN≧2であり、各段の減速ギア列が、いずれも、伝動比の異なる一対のギアを含む縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリにおいて、
第2の入力軸が前記中間軸又は出力軸と平行に設けられ、電動モータが用いられている第2の動力源が前記第2の入力軸に連結され、前記第2の入力軸にドライブギヤが設けられ、前記ドライブギヤが二段目~N段目の何れかの段の減速ギア列と噛み合い、第2の動力源の動力が該段の減速ギア列を介して前記出力軸に伝達され、
前記N段目の減速ギア列において、その一方の上ギアが前記出力軸に遊嵌され、他方の下ギアがキーによって前記中間軸と固定的に連結され、前記第2の動力源のドライブギヤが前記上ギア又は下ギアと噛み合い、該段の減速ギア列が減速作用を果たしているときのみに、前記第2の動力源の動力が該段の減速ギア列を介して前記出力軸に伝達される
ことを特徴とする縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の入力軸が前記第1の動力源の駆動軸と一体に製造され、前記第2の入力軸が前記第2の動力源の駆動軸と一体に製造されていることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項3】
前記エンジンと前記ISGモータとの間にねじり振動ダンパーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項4】
前記第1の入力軸及び第2の入力軸の少なくとも何れか一方に、切断クラッチ又はシンクロナイザーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項5】
前記一段目~N段目の減速ギア列において、各段の減速ギア列に合わせてそれぞれシフトクラッチ又はシンクロナイザーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項6】
前記切断クラッチ、シフトクラッチ又はシンクロナイザーが電磁駆動式、流体駆動式、空圧駆動式、又は電気駆動式であることを特徴とする請求項4又は5に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項7】
前記アクスルハーフシャフトがフロントアクスルハーフシャフト又はリアアクスルハーフシャフトであることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の特許請求の範囲の記載は、令和3年3月8日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の記載によって特定される次のとおりである。
【請求項1】
アクスルハーフシャフトに連結される縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリであって、自動変速機が設けられており、前記自動変速機には、第1の入力軸が含くまれ、第1の入力軸に第1の動力源が連結され、出力軸が第1の入力軸と同じ軸心方向に設けられ、中間軸が第1の入力軸と平行に設けられ、前記第1の入力軸及び中間軸を介して一段目の減速ギア列が取り付けられ、前記中間軸及び出力軸を介してN段目の減速ギア列が取り付けられ、かつN≧2であり、各段の減速ギア列が、いずれも、伝動比の異なる一対のギアを含む縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリにおいて、
第2の入力軸が前記中間軸又は出力軸と平行に設けられ、第2の動力源が前記第2の入力軸に連結され、前記第2の入力軸にドライブギヤが設けられ、前記ドライブギヤが二段目~N段目の何れかの段の減速ギア列と噛み合い、第2の動力源の動力が該段の減速ギア列を介して前記出力軸に伝達され、
前記N段目の減速ギア列において、その一方の上ギアが前記出力軸に遊嵌され、他方の下ギアがキーによって前記中間軸と固定的に連結され、前記第二の動力源のドライブギヤが前記上ギア又は下ギアと噛み合い、該段の減速ギア列が減速作用を果たしているときのみに、第二の動力源の動力が該段の減速ギア列を介して前記出力軸に伝達される
ことを特徴とする縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項2】
前記第2の動力源に電動モータが用いられ、前記第1の動力源に、エンジン、又は、エンジンとISGモータとの組み合せ、又は、電動モータが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項3】
前記第1の入力軸が前記第1の動力源の駆動軸と一体に製造され、前記第2の入力軸が前記第2の動力源の駆動軸と一体に製造されていることを特徴とする請求項2に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項4】
前記エンジンと前記ISGモータとの間にねじり振動ダンパーが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項5】
前記第1の入力軸及び第2の入力軸の少なくとも何れか一方に、切断クラッチ又はシンクロナイザーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項6】
前記一段目~N段目の減速ギア列において、各段の減速ギア列に合わせてそれぞれシフトクラッチ又はシンクロナイザーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項7】
前記切断クラッチ、シフトクラッチ又はシンクロナイザーが電磁駆動式、流体駆動式、空圧駆動式、又は電気駆動式であることを特徴とする請求項5又は6に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
【請求項8】
前記アクスルハーフシャフトがフロントアクスルハーフシャフト又はリアアクスルハーフシャフトであることを特徴とする請求項1に記載の縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。
(3)本件補正の適否
本件補正は、請求項1の第1の動力源について「エンジンとISGモータとの組み合せが用いられている」ことを限定し、第2の動力源について「電動モータが用いられている」ことを限定するものであり、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、当該補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0009】、【0070】に記載されているので、新規事項を追加するものではない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、同法第17条の2第3項の規定に適合するものである。
本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
2. 独立特許要件について
2-1 本件補正発明
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」いう。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される上記1.(1)に記載したとおりのものである。
2-2 引用文献に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張の日(以下、「優先日」という。)前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2003-232412号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に用いられる、内燃機関のトルクを自動車に伝達するためのカウンタシャフト変速装置に関する。」
イ「【0005】車両を停止状態から始動させるためには、カウンタシャフトに設けられた第1速のギヤクラッチが閉鎖されており、変速機主軸が同期クラッチによってメインクラッチの出力エレメントに接続されている。メインクラッチの密着状態の達成後、主軸がつめクラッチの閉鎖によって内燃機関に接続され、同期クラッチが切り換えられるので、この同期クラッチはメインクラッチの出力エレメントを最も高いギヤ段の緩み歯車に接続する。第1速から第2速への切換のためには、第1のギヤ段が負荷軽減されて第1速のギヤクラッチが開放され得るように、メインクラッチが負荷される。滑るメインクラッチのまま、第2速のギヤクラッチが同期化されて閉鎖され得るまで、機関回転数が減少させられる。次いで、メインクラッチが再び開放され、第2速の歯車対に対する負荷伝達経路が入れ換えられる。これに相応して、別の全てのギヤ段も切り換えることができる。
【0006】このようなツインクラッチ変速機では、著しいスペース要求および大きな製作手間が欠点となる。
・・・
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の、自動車に用いられるカウンタシャフト変速装置を改良して、必要となる構成スペースおよび製作手間がツインクラッチ変速機に比べて少なくなるようにすることである。」
ウ「【0022】図1には、内燃機関10、電気機械12、バッテリ14、補機16、車両18、クラッチ20、機関出力軸22、変速機入力軸23、車両駆動軸24、負荷カウンタシャフト26および補助カウンタシャフト28が示してある。符号GKiでは、負荷カウンタシャフト26に設けられた、同期エレメントを有していないギヤクラッチ(Gangkupplung)が図示してある。符号GKi*では、補助カウンタシャフト28に設けられた、一般的には同じく同期エレメントを有していないギヤクラッチが示してある。符号GKRでは、後退ギヤのためのギヤクラッチが示してある。
【0023】図面には、1つの後退ギヤを備えた7段変速機が示してある。この変速機は、負荷カウンタシャフト26を介した主負荷路と、補助カウンタシャフト28を介した補助負荷路とを有している。車両18は原則的に内燃機関10によって主負荷路、つまり、負荷カウンタシャフト26を介して駆動される。この場合、所望の変速段はギヤクラッチGKを介して切り換えることができる。補助負荷路、つまり、補助カウンタシャフト28は種々異なる形式でギヤ段GK*を介して付加的なモーメント(補助モーメント)を導入することができる。この付加的なモーメントは、たとえば内燃機関10によってクラッチ20を介して導入することができるかまたは電気機械12によって直接導入することができる。これによって、必要な場合には、付加的なモーメントが車両18の駆動のために提供される。
【0024】補助負荷路を介した付加的なモーメントの導入は種々異なる役割を果たしている。まず、付加的なモーメントによって、滑るクラッチ20を介した内燃機関10による始動が可能となる。さらに、付加的なモーメントによって、車両駆動モーメントを維持したまま、ギヤチェンジのためのギヤクラッチGKを「無負荷にする」ことが可能となる(負荷切換)。このことは、補助動力装置の構造により内燃機関10および/または電気機械12によって可能となる。さらに、図示の構成では、電気機械12によって、この電気機械12による補助運転または単独運転が可能である。」
エ「【0028】以下に、本発明によるカウンタシャフト変速装置の機能形式を例示的な運転状態につき詳しく説明する。
【0029】車両18が停止状態にある場合には、全てのギヤクラッチGK,GK*は開放している。
【0030】電気機械12による内燃機関10の始動時にはクラッチ20が閉鎖されている(繋がっている)。
【0031】内燃機関10による補機16と電気機械12との駆動(ジェネレータ運転、バッテリ充電)時にもクラッチ20は同じく閉鎖されている。
【0032】内燃機関10の停止時のバッテリ14を用いた電気機械12による補機16の駆動時にはクラッチ20は開放している。
【0033】本発明による変速装置によって、始動が種々異なる形式で可能となる。内燃機関10による始動時および場合によって電気機械12によりアシストされた始動時には、まず全てのギヤクラッチGKが開放している。その後、補助カウンタシャフト28に設けられたギヤクラッチGK1*が閉鎖される。この場合、ギヤクラッチGK4*,GK7*は開放している。クラッチ20が圧着力で負荷されるので、車両が加速する。次の関係式;すなわち、
i1*=i1-Δi
に基づき、滑るクラッチ20のまま同期回転数がギヤクラッチGK1に達成される。その後、このギヤクラッチGK1が閉鎖され、クラッチ20が開放される。次いで、第1速での車両18の走行が行われる。バッテリ14を用いた電気機械12によるアシスト(補助ブースト)はギヤクラッチGK1*を介して可能となる。」
オ「【0044】内燃機関10による所定のギヤiでの走行時には、相応のギヤクラッチGKiが閉鎖されており、別の全てのギヤクラッチGKは開放している。補助カウンタシャフト28に設けられた所定のギヤクラッチGK*が閉鎖されているのに対して、別のギヤクラッチGK*は開放している。クラッチ20も同じく開放している。電気機械12と車両18との間のモーメント伝達によって、電気機械12による補助駆動と、バッテリ14を充電するための電気機械12のジェネレータ運転とが可能となる。
【0045】原則的に内燃機関10の停止はエンジンブレーキ運転での走行の間に生ぜしめられる。この場合、所定のギヤiでの走行が行われているので、ギヤクラッチGKiが閉鎖されている。電気機械12が、補助カウンタシャフト28に設けられた所定のギヤクラッチGK*を介して連結されているのに対して、クラッチ20は開放している。内燃機関10によって提供されるモーメントの除去は、ギヤクラッチGKiが無負荷となるように行われる。ギヤクラッチGKiの開放と内燃機関10の停止とが生ぜしめられる。さらに、電気機械12が車両18に作用することができ(モータ運転またはジェネレータ運転)、負荷カウンタシャフト26に設けられたギヤクラッチGKiを無負荷にすることをアシストすることができる。」
カ「【請求項1】 自動車(18)に用いられる、内燃機関(10)のトルクを自動車(18)に伝達するためのカウンタシャフト変速装置において、負荷カウンタシャフト(26)と、変速機入力軸(23)に接続可能である補助カウンタシャフト(28)とが設けられており、該補助カウンタシャフト(28)が、付加的なモーメントを導入するために設計されていることを特徴とする、自動車に用いられるカウンタシャフト変速装置。
・・・
【請求項5】 補助カウンタシャフト(28)に接続された電気機械(12)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のカウンタシャフト変速装置。
・・・
【請求項7】 スタータ・ジェネレータが、直接内燃機関(10)に設けられており、摩擦同期クラッチが、補助カウンタシャフト(28)に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のカウンタシャフト変速装置。
・・・」
キ「【図1】
[図:0001391489000001.jpg]
」
ク カウンタシャフト変速装置は、車両18に用いられ、内燃機関10のトルクを車両18に伝達するためのものであるとともに、電気機械12によって付加的なモーメントを車両18の駆動のために提供するものであるから、デュアル動力源車両用のカウンタシャフト変速装置と認められる。
ケ 【図1】の記載から、変速機入力軸23に機関出力軸22を介して内燃機関10が連結され、車両駆動軸24が変速機入力軸23と同じ軸芯方向に設けられ、負荷カウンタシャフト26が変速機入力軸23と平行に設けられ、変速機入力軸23と負荷カウンタシャフト26を介して一段目の減速ギア列が取り付けられ、負荷カウンタシャフト26と車両駆動軸24を介して7段の減速ギア列が取り付けられ、当該7段の減速ギア列が、いずれも、減速比の異なる一対のギアの組み合わせで構成されていることが看取できる。
コ 【図1】の記載から、補助カウンタシャフト28が負荷カウンタシャフト26及び車両駆動軸24と平行に設けられ、電気機械12が補助カウンタシャフト28に連結され、補助カウンタシャフト28にギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが、車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合うことが看取できる
サ 【図1】の記載及び認定事項ケ、コから、7段の減速ギア列において、車両駆動軸24にギアが固定され、負荷カウンタシャフト26にギアクラッチGKiを介して連結可能なギアが遊嵌され、補助カウンタシャフト28にギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが、車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合うことが看取できる。
シ 摘記事項ウの「補助カウンタシャフト28は種々異なる形式でギヤ段GK*を介して付加的なモーメント(補助モーメント)を導入することができる。」とは、認定事項コ及びサから、「補助カウンタシャフト28は、ギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合うことで電気機械12による付加的なモーメントが車両18の駆動のために提供」されることと認められる。
以上の摘記事項ア~キ、認定事項ク~シから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
(引用発明)
デュアル動力源車両用のカウンタシャフト変速装置であって、変速機入力軸23に機関出力軸22を介して内燃機関10が連結され、車両駆動軸24が変速機入力軸23と同じ軸芯方向に設けられ、負荷カウンタシャフト26が変速機入力軸23と平行に設けられ、変速機入力軸23と負荷カウンタシャフト26を介して一段目の減速ギア列が取り付けられ、負荷カウンタシャフト26と車両駆動軸24を介して7段の減速ギア列が取り付けられ、当該7段の減速ギア列が、いずれも、減速比の異なる一対のギアの組み合わせで構成された、デュアル動力源車両用のカウンタシャフト変速装置において、
補助カウンタシャフト28が負荷カウンタシャフト26及び車両駆動軸24と平行に設けられ、電気機械12が補助カウンタシャフト28に連結され、補助カウンタシャフト28にギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが、車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合い、補助カウンタシャフト28は、ギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合うことで電気機械12による付加的なモーメントが車両18の駆動のために提供され、
7段の減速ギア列において、車両駆動軸24にギアが固定され、負荷カウンタシャフト26にギアクラッチGKiを介して連結可能なギアが遊嵌され、補助カウンタシャフト28にギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが、車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合う、
デュアル動力源車両用のカウンタシャフト変速装置。
(2)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2004-306827号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は駆動輪を駆動するための動力源としてエンジンと電動機とを有するハイブリッド車両の駆動技術に関する。」
イ「【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるハイブリッド車両の駆動装置を示す概略図であり、図2は図1における矢印A方向から見た変速機入力軸と変速機出力軸との配置関係を示す概略図である。この駆動装置は変速機入力軸1とこれに平行となって配置される変速機出力軸2とを備えており、これらはケース3内に組み込まれ変速機4を構成している。この変速機4は変速機入力軸1と変速機出力軸2とがそれぞれ車両の進行方向を向くようにして縦置きに車両に搭載される。この変速機4の前方には、エンジン5と2つのモータつまり電動機M1,M2とが配置され、車両の走行状況に応じて変速機4を介してエンジン5と2つの電動機M1,M2から選択的にトルクが駆動輪に伝達される。それぞれの電動機M1,M2は、発電機としての機能を有し、発電電動機となっており、回生エネルギーを吸収することができるが、この明細書では電動機M1,M2と表現されている。
【0027】
図1に示す変速機4は、変速機入力軸1と変速機出力軸2とが平行となってケース3内に配置されており、平行軸式の有段自動変速機となっている。変速機入力軸1には、第1速と第2速の駆動歯車11,12が一体に設けられ、第3速から第5速までの駆動歯車13~15が回転自在に設けられている。変速機出力軸2には、第1速と第2速の被駆動歯車21,22が回転自在に取り付けられ、第3速から第5速までの被駆動歯車23~25が一体に設けられている。それぞれの駆動歯車11~15は対応する被駆動歯車21~25に常時噛み合って変速歯車列となっており、複数の変速歯車列の中からトルクを伝達することになる変速歯車列を切り換えることによって変速動作が行われる。変速機入力軸1にはさらに後退用の駆動歯車16が一体に設けられている。
【0028】
変速機出力軸2には、第1速の被駆動歯車21と第2速の被駆動歯車22との間に第1の噛合いクラッチつまり機械式クラッチ31が設けられている。一方、変速機入力軸1には第3速の駆動歯車13と第4速の駆動歯車14との間に第2の機械式クラッチ32が設けられ、第5速の駆動歯車15に隣接させて第3の機械式クラッチ33が設けられている。これらの機械式クラッチはそれぞれ同期噛合機構つまりシンクロメッシュにより構成されている。ただし、第1の機械式クラッチ31を変速機入力軸1に設け、第2および第3の機械式クラッチを変速機出力軸2に設けるようにしても良い。
【0029】
機械式クラッチ31は変速機出力軸2に固定されたシンクロハブつまり切換ハブ31aと、これに常時噛み合うシンクロスリーブつまり切換スリーブ31bとを有し、この切換スリーブ31bを第1速の被駆動歯車21に設けられた外歯21aに噛み合わせると変速比は第1速に設定され、逆に第2速の被駆動歯車22に設けられた外歯22aに噛み合わせると第2速に設定される。それぞれの外歯21a,22aは、歯車21,22に形成されたスプライン歯部と、シンクロナイザリングに形成された歯部とにより形成される。
【0030】
他の機械式クラッチ32,33も同様の構造であり、変速機入力軸1に固定された切換ハブ32a,33aと、それらにそれぞれ常時噛み合う切換スリーブ32b,33bとを有し、それぞれ対応する外歯13a,14a,15aのいずれかに噛み合わせることにより、変速比は第3速から第5速のいずれかに設定される。それぞれの切換スリーブ31b,32bおよび33bの軸方向の噛合移動は、図示しない油圧アクチュエータによって自動的に行われる。」
ウ「【0032】
変速機出力軸2は中空軸となっており、内部には前輪駆動軸34が組み込まれ、変速機出力軸2はセンタデファレンシャル35を介して前輪駆動軸34に連結されている。前輪駆動軸34はフロントデファレンシャル36を介して前輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより前輪が駆動される。また、センタデファレンシャル35の後輪出力軸37は、これに設けられた駆動歯車37aと被駆動歯車38aとを介して後輪駆動軸38に連結されており、後輪駆動軸38はリヤデファレンシャル39を介して後輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより後輪が駆動される。このように、前輪と後輪がともに駆動輪となっており、それぞれの駆動輪にトルクが伝達される。」
エ「【図1】
[図:0001391489000002.jpg]
」
(3)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由で周知例として引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開平11-201243号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「【0006】また,図5に示すカウンタシャフト47は,シャフト部48とギヤ部49,50とからなり,シャフト部48に,リバースギヤ49及びファーストギヤ50を一体成形したものである。また,シャフト部48にはキー溝55が形成されており,セカンドギヤ51,サードギヤ52,トップギヤ53及びプライマリギヤ54がこのシャフト部48にキー56によって固定される。・・・」
(4)引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由で周知例として引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である欧州特許出願公開第0492152号明細書(以下、「引用文献4」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「
[図:0001391489000003.jpg]
[図:0001391489000004.jpg]
」(第4欄第49行~第5欄第19行)
(当審訳)
「 クラッチKMは、一方では熱機関1のシャフト6に接続され、他方ではトランスミッション2の入力シャフト7に接続されている。トランスミッションのハウジング8につながる入力シャフト7には、ピニオン9があり、これは、好ましくは、最も高いシフト可能なギア(6速)の並進に属し、入力シャフト7に備えた切り替え可能な同期爪クラッチ10を介して、トランスミッション2の軸方向に位置合わせされた出力シャフト11を作動接続に、または作動接続から外すことができる。後進ギア(R)を含む残りのギア比(1?5ギア)に関連するピニオン12、13、14、15、16、17は、ハウジング8内で出力シャフト11に自由に回転可能であり、これはまた、同期ドッグクラッチ10または他の切り替え可能な同期ドッグクラッチ18、19、20を介して出力シャフト11との動作接続に出し入れすることができる。ピニオン9および12から16のそれぞれは、(17)はさらに減速ピニオン21を介した後進ギアの場合、それぞれのギアのそれぞれの並進を定義するギア、トランスミッション2の軸平行二次シャフト22に取り付けられたピニオン23(と9)、24(と12),25(と13)、26(と14)、27(と15)、28(と16)並びに29(と21を介した17)と噛み合う。駆動される車両の車軸34につながる駆動シャフトトレイン35は、トランスミッション2の出力シャフト11に接続されている。」
イ「Fig.1
[図:0001391489000005.jpg]
」
ウ 上記ア、イから、ピニオン12~17は、出力シャフト11に自由に回転可能であり、同期ドッグクラッチ10、18、19、20を介して出力シャフト11と動作接続可能であり、軸平行二次シャフト22にピニオン23~28が固定され、ピニオン12~17とピニオン23~28とが噛み合うものと認められる。
(5)引用文献6に記載された事項
当審で周知例として追加する、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2005-35313号公報(以下、「引用文献6」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は動力源としてエンジンと電動モータとを併用したハイブリッド車両の動力伝達装置に関し、特に、前輪と後輪とに動力を伝達し得るようにした四輪駆動用の車両に適用して好適な動力伝達装置に関する。」
イ「【0019】
この動力伝達装置は、変速機入力軸11と前輪出力軸12とが相互に平行となって回転自在に組み込まれるギヤケース10を有し、変速機出力軸である前輪出力軸12と変速機入力軸11は変速機9を構成している。ギヤケース10はエンジンルーム内に搭載されたエンジン13の後方に配置され、エンジン13は縦置きつまりクランク軸14が車両の進行方向を向くようにエンジンルーム内に搭載され、この動力伝達装置は縦置きとなって車両に搭載される。ギヤケース10内には電動機つまりモータとしての機能を有するジェネレータつまり発電機15が組み込まれており、発電機15はクランク軸14に取り付けられるロータ15aと、ロータ15aを囲むようにギヤケース10に固定されるステータ15bとを有している。
【0020】
ロータ15aの回転中心部には、エンジン出力軸16が回転自在に装着され、このエンジン出力軸16はロータ15aの内部の空間に組み込まれるダンパ17を介してロータ15aに連結されており、クランク軸14のエンジン動力は、ダンパ17により振動が減衰されてエンジン出力軸16に伝達される。これにより、発電機15のロータ15aとエンジン出力軸16とがエンジン13によって駆動される。エンジン出力軸16と変速機入力軸11との間には、入力クラッチ18が設けられており、入力クラッチ18が締結されるとエンジン動力は変速機入力軸11に伝達され、締結が解放されるとエンジン動力の伝達が遮断される。入力クラッチ18はエンジン出力軸16に固定されるクラッチハブ21と、変速機入力軸11に固定されるクラッチドラム22とを有し、クラッチハブ21には複数のクラッチプレート21aが装着され、クラッチドラム22にはクラッチプレート21aに係合する複数のクラッチプレート22aが装着されている。クラッチプレート21a,22aを相互に密着して係合させる締結状態と、係合を解いてクラッチ解放状態とさせるために、電磁コイル23がギヤケース10内に組み込まれている。」
ウ「【0029】
上述した動力伝達装置が搭載されたハイブリッド車両は、エンジン13と電動モータ31に加えて発電機15を有し、車両の駆動は走行状態に応じてエンジン13と電動モータ31のいずれか一方による駆動と、両方による駆動とのいずれかに切り換えられる。たとえば、駆動トルクが要求される発進時には電動モータ31を用いて車両を駆動し、車速が上昇するとエンジン13によって車両を駆動し、登坂時などの高負荷時には電動モータ31とエンジン13とによって車両を駆動する。また、エンジンの低負荷時には走行しながら発電機15のロータ15aにより発電し、発電された電力エネルギーをバッテリに充電することができる。エンジン始動時には発電機15を電動モータとして機能させてクランク軸14を回転させることができ、さらに制動時には電動モータ31を発電機として機能させることにより、回生エネルギーにより発電された電力をバッテリに充電することができる。」
(6)引用文献7に記載された事項
当審で周知例として追加する、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2006-62571号公報(以下、「引用文献7」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ動力を用いて駆動輪を駆動するようにした電動車両の駆動装置に関する。」
イ「【0014】
図1に示すように、電動車両であるハイブリッド車両10には、複数の動力源を備える駆動装置11が縦置きに搭載されており、駆動装置11に組み込まれるフロントディファレンシャル機構12から前輪13に動力が伝達される一方、駆動装置11の後端部に連結されるプロペラシャフト14から、これに連結されるリヤディファレンシャル機構15を介して後輪16に動力が伝達されている。つまり、図示する駆動装置11は四輪駆動(全輪駆動)のハイブリッド車両10に適用される駆動装置11となっている。
【0015】
図2に示すように、駆動装置11はエンジン20とモータユニット21とを動力源として備えており、エンジン20は駆動装置11の前部に組み付けられ、モータユニット21は駆動装置11の後部のモータケース22に組み込まれている。そして、図1に示すように、エンジン20とモータケース22との間には、ジェネレータ23を収容するジェネレータケース24が設けられるとともに、入力クラッチ25、変速機26およびフロントディファレンシャル機構12を収容するギヤケース27が設けられている。
【0016】
図2に示すように、ジェネレータケース24に組み込まれるジェネレータ23は、ロータ23aとステータ23bとを備えており、ステータ23bはジェネレータケース24に固定される一方、ロータ23aはステータ23bの径方向内方に回転自在に組み込まれている。そして、ジェネレータ23のロータ23aとエンジン20のクランク軸20aとは連結されており、ジェネレータ23は、エンジン動力によって発電できるだけでなく、スタータモータとしてエンジン20を始動することができる。」
(7)引用文献8に記載された事項
当審で周知例として追加する、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2007-30579号公報(以下、「引用文献8」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア「【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用駆動装置に関し、特に、装置を小型化すると共に車両の燃費を向上させるための技術に関する。」
イ「【実施例】
【0015】
図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド車両の駆動装置の一部を構成する変速機構10の構成を説明する骨子図である。図1に示すように、この変速機構10は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12(以下、ケース12と称する)内において共通の軸心上に配設された入力部材としての入力軸18と、この入力軸18に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパ(振動減衰装置)等を介して直列に連結された機械的な有段変速機としての有段変速部16と、その有段変速部16に連結された出力部材としての出力軸20とを、備えている。この変速機構10は、例えば車両において縦置きされるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)型車両に好適に用いられるものであり、上記入力軸18に直接に或いは図示しない脈動吸収ダンパ等を介して直接的に連結された走行用の駆動力源として例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン14と一対の駆動輪38との間に設けられて、そのエンジン14からの動力を動力伝達経路の一部を構成する差動歯車装置(終減速装置)36及び一対の車軸等を順次介して一対の駆動輪38へ伝達する(図6を参照)。」
ウ「【0016】
本実施例の変速機構10では、図1に示すように、上記エンジン14と有段変速部16とは直結されている。すなわち、そのエンジン14の出力軸と有段変速部16の入力軸18とが直結されている。この直結とはトルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介することなく連結されているということであり、例えば上記脈動吸収ダンパ等を介する連結はこの直結に含まれる。なお、上記変速機構10はその軸心に関して対称的に構成されているため、図1の骨子図においてはその下側を省略して示している。また、以下の説明に用いる図面に関しても同様である。
【0017】
前記変速機構10は、前記入力軸18に動力伝達可能に連結された第1電動機M1と、その第1電動機M1から電気エネルギを取得し得る、前記出力軸20に動力伝達可能に連結された第2電動機M2とを、備えている。本実施例の第1電動機M1及び第2電動機M2は、電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能を兼ね備えた所謂モータジェネレータであるが、上記第1電動機M1は、反力を発生させるための発電機としての機能を少なくとも備え、上記第2電動機M2は、走行用の駆動力源として駆動力を発生させるための電動機としての機能を少なくとも備えたものである。本実施例の変速機構10では、図1に示すように、前記エンジン14と駆動輪38との間の動力伝達経路に、そのエンジン14の側から駆動輪38の側へ向けて上記第1電動機M1、有段変速部16、及び第2電動機M2が直列に連結されていると言って良い。なお、上記第2電動機M2は、前記出力軸20から駆動輪38までの間の動力伝達経路を構成する何れの部分に設けられてもよい。」
エ「【0024】
図3は、前記有段変速部16により達成されるギヤ段と第1電動機M1及び第2電動機M2の作動の組み合わせとの関係を説明する対応表である。この図3に示されるように、図示しないシフトレバーが「D」レンジとされている場合において、車両停止時には、前記エンジン14から出力される動力によって前記第1電動機M1により発電が行われる。また、車両発進時には、前記第1電動機M1により発電が行われると共に、前記第2電動機M2により前記出力軸20が回転駆動させられて車両が力行させられる。また、モータジェネレータの出力を出力部材へ出力するモータ走行モードすなわちアシスト走行時には、第1速乃至第3速ギヤ段では前記第2電動機M2のみにより、第4速乃至第6速ギヤ段では前記第1電動機M1及び第2電動機M2の両方により車両が力行させられる。また、車両の運動エネルギーでモータジェネレータを回転駆動して蓄電装置を充電するとともに車両に回生制動力を作用させる回生走行時には、第1速乃至第3速ギヤ段では前記第2電動機M2のみにより、第4速乃至第6速ギヤ段では前記第1電動機M1及び第2電動機M2の両方により発電が行われる。また、シフトレバーが「R」レンジとされている場合において、車両停止時には、前記エンジン14から出力される動力によって前記第1電動機M1により発電が行われる。また、車両発進時には、前記第1電動機M1により発電が行われると共に、前記第2電動機M2により前記出力軸20が回転駆動させられて車両が力行させられる。また、前記エンジン14の始動時には、前記第1電動機M1がスタータモータとして機能させられ、その第1電動機M1により前記入力軸18すなわち前記エンジン14の出力軸が回転させられてそのエンジン14が始動させられる。」
2-3 当審の判断
(1)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「変速機入力軸23」、「内燃機関10」、「車両駆動軸24」、「負荷カウンタシャフト26」、「補助カウンタシャフト28」、「電気機械12」は、本件補正発明の「第1の入力軸」、「エンジン」、「出力軸」「中間軸」、「第2の入力軸」、「電動モータが用いられている第2の動力源」に相当する。
引用発明の「変速機入力軸23に機関出力軸22を介して内燃機関10が連結され、車両駆動軸24が変速機入力軸23と同じ軸芯方向に設けられ」ることは、「変速機が設けられており、前記変速機には、第1の入力軸が含まれ、該第1の入力軸に、エンジンが用いられている第1の動力源が連結され、出力軸が前記第1の入力軸と同じ軸心方向に設けられ」ることに限り本件補正発明の「自動変速機が設けられており、前記自動変速機には、第1の入力軸が含まれ、該第1の入力軸に、エンジンとISGモータとの組み合せが用いられている第1の動力源が連結され、出力軸が前記第1の入力軸と同じ軸心方向に設けられ」ることと一致する。
引用発明の「7段の減速ギア列」は、本件補正発明の「N段目の減速ギア列」かつ「N≧2」に相当するから、引用発明の「負荷カウンタシャフト26が変速機入力軸23と平行に設けられ、変速機入力軸23と負荷カウンタシャフト26を介して一段目の減速ギア列が取り付けられ、負荷カウンタシャフト26と車両駆動軸24を介して7段の減速ギア列が取り付けられ、当該7段の減速ギア列が、いずれも、減速比の異なる一対のギアの組み合わせで構成された」ことは、本件補正発明の「中間軸が前記第1の入力軸と平行に設けられ、前記第1の入力軸及び中間軸を介して一段目の減速ギア列が取り付けられ、前記中間軸及び出力軸を介してN段目の減速ギア列が取り付けられ、かつN≧2であり、各段の減速ギア列が、いずれも、伝動比の異なる一対のギアを含む」ことに相当する。
引用発明の「補助カウンタシャフト28が負荷カウンタシャフト26及び車両駆動軸24と平行に設けられ、電気機械12が補助カウンタシャフト28に連結され」ることは、本件補正発明の「第2の入力軸が前記中間軸又は出力軸と平行に設けられ、電動モータが用いられている第2の動力源が前記第2の入力軸に連結され」ることに相当する。
引用発明の「補助カウンタシャフト28にギアクラッチGKi*を介して連結可能なギア」は、本件補正発明の「前記第2の入力軸」に設けられた「ドライブギヤ」に相当する。
そして、引用発明の「補助カウンタシャフト28にギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが、車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合い」は、「車両駆動軸に固定されたギア」が前記「7段のギア列」を構成するギアであることから、本件補正発明の「前記第2の入力軸にドライブギヤが設けられ、前記ドライブギヤが二段目~N段目の何れかの段の減速ギア列と噛み合い」に相当する。
引用発明の「補助カウンタシャフト28は、ギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合うことで電気機械12による付加的なモーメントが車両18の駆動のために提供され」ることは、上記のとおり「車両駆動軸24に固定されたギア」が前記「7段の減速ギア列」を構成するギアであり、「電気機械12による付加的なモーメント」が「第2の動力源の動力」であると認められることから、本件補正発明の「第2の動力源の動力が該段の減速ギア列を介して前記出力軸に伝達され」に相当する。
そして、引用発明の「デュアル動力源用のカウンタシャフト変速装置」は、「デュアル動力源車両用駆動アセンブリ」の限りにおいて、本件補正発明の「縦置型デュアル動力源車両用駆動アセンブリ」に一致する。
してみると、本件補正発明と引用発明とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点)
「デュアル動力源車両用駆動アセンブリであって、変速機が設けられており、前記変速機には、第1の入力軸が含まれ、該第1の入力軸に、エンジンが用いられている第1の動力源が連結され、出力軸が前記第1の入力軸と同じ軸心方向に設けられ、中間軸が前記第1の入力軸と平行に設けられ、前記第1の入力軸及び中間軸を介して一段目の減速ギア列が取り付けられ、前記中間軸及び出力軸を介してN段目の減速ギア列が取り付けられ、かつN≧2であり、各段の減速ギア列が、いずれも、伝動比の異なる一対のギアを含むデュアル動力源車両用駆動アセンブリにおいて、
第2の入力軸が前記中間軸又は出力軸と平行に設けられ、電動モータが用いられている第2の動力源が前記第2の入力軸に連結され、前記第2の入力軸にドライブギヤが設けられ、前記ドライブギヤが二段目~N段目の何れかの段の減速ギア列と噛み合い、第2の動力源の動力が該段の減速ギア列を介して前記出力軸に伝達される、
デュアル動力源車両用駆動アセンブリ。」
(相違点1)
「デュアル動力源車両用駆動アセンブリ」及び「変速機」に関して、本件補正発明では、「アクスルハーフシャフトに連結される縦置型」であって「自動変速機が設けられて」いるのに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。
(相違点2)
「第1の動力源」に関して、本件補正発明では、「エンジンとISGモータとの組み合せが用いられる」のに対して、引用発明では、「エンジンが用いられる」のみである点。
(相違点3)
本件補正発明では、「前記N段目の減速ギア列において、その一方の上ギアが前記出力軸に遊嵌され、他方の下ギアがキーによって前記中間軸と固定的に連結され、前記第2の動力源のドライブギヤが前記上ギア又は下ギアと噛み合い、該段の減速ギア列が減速作用を果たしているときのみに、前記第2の動力源の動力が該段の減速ギア列を介して前記出力軸に伝達される」のに対して、引用発明では、「7段の減速ギア列において、車両駆動軸24にギアが固定され、負荷カウンタシャフト26にギアクラッチGKiを介して連結可能なギアが遊嵌され、補助カウンタシャフト28にギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが、車両駆動軸24に固定されたギアと噛み合う」構成である点。
(2)判断
ア 相違点1について
上記2-2(2)イに摘記したとおり、引用文献2には「変速機入力軸1と変速機出力軸2とがそれぞれ車両の進行方向を向くようにして縦置きに車両に搭載され」ること、「この変速機4の前方には、エンジン5と2つのモータつまり電動機M1,M2とが配置され、車両の走行状況に応じて変速機4を介してエンジン5と2つの電動機M1,M2から選択的にトルクが駆動輪に伝達される」こと、「切換スリーブ31b,32bおよび33bの軸方向の噛合移動は、図示しない油圧アクチュエータによって自動的に行われる」ことが記載されており、すなわち「縦置型」のデュアル動力源車両用の「自動変速機」が記載されている(以下、「引用文献2記載の技術的事項1)という。)。
ここで引用発明は、カウンタシャフトを備えた変速機であるが、カウンタシャフトを備えた変速機は、車両に対して縦置に配置されることが慣用的な配置であり、また、カウンタシャフトを備えた変速機を自動変速機として構成することも、運転者の操作負担を軽減する意味で変速機の技術分野において周知の課題であるから、引用発明に引用文献2記載の技術的事項1を組み合わせる動機付けがあったということができる。
また上記2-2(2)ウに摘記したとおり、引用文献2には、さらに「前輪駆動軸34はフロントデファレンシャル36を介して前輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより前輪が駆動され」、「また、センタデファレンシャル35の後輪出力軸37は、これに設けられた駆動歯車37aと被駆動歯車38aとを介して後輪駆動軸38に連結されており、後輪駆動軸38はリヤデファレンシャル39を介して後輪用のドライブシャフト(図示省略)に連結され、このドライブシャフトにより後輪が駆動される」こと、すなわちディファレンシャルからドライブシャフト(車軸)により動力を車輪に伝達することが記載されている(以下、「引用文献2記載の技術的事項2)という。)。
ここで、本件補正発明の「アクスルハーフシャフト」とは、アクスルハウジング内に配置された車軸を意味する用語で、その構造は、例示するまでもなく従来周知であって、「アクスルハーフシャフト」の機能は、引用文献2に記載された前輪用及び後輪用のドライブシャフトと同様に、ディファレンシャルから車輪へ動力を伝達することである。
そして、引用発明は、内燃機関10のトルクを車両18の車両駆動軸24に伝達するためのカウンタシャフト変速装置であるから、引用文献1に明記はなくとも、なんらかの形で車輪に動力を伝達する機能を備えていると解され、してみると、引用発明と引用文献2記載の技術的事項2とは、共通する機能を有するものであるから、引用発明に引用文献2記載の技術的事項2を適用する動機付けがあったというべきである。
してみると、相違点1は、引用発明に引用文献2記載の技術的事項1及び技術的事項2を適用することにより、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
エンジンとISG(イグニッションスターター・ジェネレータ)モータとを第1の動力源として変速機に連結することは、上記2-2(5)~(7)に摘記したとおり、従来周知の技術手段である。
そして、上記2-2(1)カに摘記したとおり、引用文献1には「スタータ・ジェネレータが、直接内燃機関(10)に設けられており」と示唆する記載があるから、相違点2は、引用発明に従来周知技術である内燃機関とISGモータとを組み合わせて第1の動力源とすることにより、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ 相違点3について
上記2-2(4)ウで認定したとおり、引用文献4には「ピニオン12~17は、出力シャフト11に自由に回転可能であり、同期ドッグクラッチ10、18、19、20を介して出力シャフト11と動作接続可能であり、軸平行二次シャフト22にピニオン23~28が固定され、ピニオン12~17とピニオン23~28とが噛み合う」ことが記載されており、当該構成は、従来周知の技術手段である。
なお、上記2-2(3)に摘記したとおり、ギアを軸に固定する際に、「キー」により固定することも、やはり従来周知の技術手段にすぎない。
そして、カウンタシャフトを備えて変速機において、平行に配置された出力軸とカウンタシャフト(中間軸)との間で互いに噛み合うよう設けられたギア列について、出力軸とカウンタシャフト(中間軸)のいずれか一方を「ギアを固定する軸」とし他方を「ギアを遊嵌する軸」とした際、いずれの軸を「ギアを固定する軸」又は「ギアを遊嵌する軸」としてもカウンタシャフトを備えた変速機として機能するものであって、「ギアを固定する軸」と「ギアを遊嵌する軸」との間で、両者を互いに置換することを阻害する要因は、なにもない。
そして、引用発明は、「補助カウンタシャフト28にギアクラッチGKi*を介して連結可能なギアが、車両駆動軸に固定されたギアと噛み合う」ことで、「電気機械12」(第2の動力源)の動力を「車両駆動軸」(出力軸)に伝達するものであるから、上記のように「上ギアが出力軸に遊嵌され、他方の下ギアがキーによって前記中間軸と固定的に連結され」た構成とした場合、「前記第2の動力源のドライブギヤが前記上ギア又は下ギアと噛み合い、該段の減速ギア列が減速作用を果たしているときのみに、前記第2の動力源の動力が該段の減速ギア列を介して前記出力軸に伝達される」ことになるのは、明らかである。
してみると、相違点3は、引用発明に引用文献3、4に例示される周知技術を適用することにより、当業者が容易に想到し得たことというほかない。
2-4 小括
以上のとおりであるから、本件補正発明は、引用発明、引用文献2記載の技術的事項1及び2、並びに引用文献3~4、6~8に例示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
3.本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~8に係る発明は、令和3年3月8日にした手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.(2)に記載のとおりのものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~8に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2記載の技術的事項及び引用文献3~5に例示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
<引用文献等一覧>
1.特開2003-232412号公報
2.特開2004-306827号公報
3.特開平11-201243号公報(周知技術を示す文献)
4.欧州特許出願公開第00492152号明細書(周知技術を示す文献)
5.特開2008-62678号公報(周知技術を示す文献)
3.引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~4に記載された事項は、前記第2の[理由]2.2-2(1)~(4)に記載したとおりである。
4.対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2.で検討した本件補正発明から、第1の動力源について「エンジンとISGモータとの組み合せが用いられている」こと、及び第2の動力源について「電動モータが用いられている」ことという限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記第1の動力源及び第2の動力原に係る限定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2.2-3に記載したとおり、引用発明、引用文献2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明、引用文献2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-010233