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特許拒絶査定不服審判

2021-010084

インテリジェント路側ユニットの障害物提示方法、装置および機器

審判番号
2021-010084
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-133266外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年07月29日
審決日
2022年04月12日
公報発行日
2022年05月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G08G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-133266「インテリジェント路側ユニットの障害物提示方法、装置および機器」拒絶査定不服審判事件〔令和2年3月12日出願公開、特開2020-38628、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 18項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、令和元年7月19日(パリ条約による優先権主張2018年(平成30年)8月31日(CN)中国)の出願であって、令和2年7月16日付け(発送日:令和2年7月21日)で拒絶理由が通知され、令和2年10月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和3年3月26日付け(発送日:令和3年3月30日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して令和3年7月29日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正書が提出され、令和3年11月22日に前置報告がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記(引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1、2、6及び7に対して:引用文献等1及び2

・請求項3ないし5及び8ないし12に対して:引用文献等1ないし3

<引用文献等一覧>

1.特開2016-57677号公報

2.特開2011-113413号公報

3. 特開2009-31241号公報

第3 本願発明

本願の請求項1ないし10に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、令和3年7月29日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
レーダーによって障害物を検出して障害物集合を生成するステップと、
自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報を取得し、前記状態情報が前記自動運転自動車の現在位置を含み、前記自動運転自動車の現在位置を補正するステップと、
前記自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報に基づいて前記障害物集合をフィルタリングして、前記自動運転自動車を前記障害物集合から削除するステップと、
続きを表示(全49行)
フィルタリングされた障害物集合を前記自動運転自動車に送信するステップと、を含む、
ことを特徴とするインテリジェント路側ユニットの障害物提示方法。
【請求項2】
前記自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報に基づいて前記障害物集合をフィルタリングして、前記自動運転自動車を前記障害物集合から削除するステップは、
位置が前記自動運転自動車の現在位置と重なり合っている障害物を前記障害物集合から削除するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント路側ユニットの障害物提示方法。
【請求項3】
前記状態情報は、前記自動運転自動車の現在速度、加速度および履歴軌跡情報を含み、前記自動運転自動車の現在位置を補正するステップは、
前記現在速度、前記加速度および前記履歴軌跡情報に基づいて前記自動運転自動車の将来軌跡情報を取得するステップと、
前記将来軌跡情報に基づいて前記自動運転自動車の現在位置を補正するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント路側ユニットの障害物提示方法。
【請求項4】
前記状態情報はタイムスタンプをさらに含み、前記将来軌跡情報に基づいて前記自動運転自動車の現在位置を補正するステップは、
現在時刻を取得するステップと、
前記タイムスタンプ、前記現在時刻および前記将来軌道情報に基づいて前記自動運転自動車の現在位置を補正するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のインテリジェント路側ユニットの障害物提示方法。
【請求項5】
レーダーによって障害物を検出して障害物集合を生成する検出モジュールと、
自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報を取得する取得モジュールであって、前記状態情報は、前記自動運転自動車の現在位置を含む取得モジュールと、
前記自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報に基づいて前記障害物集合をフィルタリングして、前記自動運転自動車を前記障害物集合から削除するフィルタリングモジュールと、
フィルタリングされた障害物集合を前記自動運転自動車に送信する送信モジュールと、
前記自動運転自動車の現在位置を補正する補正モジュールと、を含む、
ことを特徴とするインテリジェント路側ユニットの障害物提示装置。
【請求項6】
前記フィルタリングモジュールは、
位置が前記自動運転自動車の現在位置と重なり合っている障害物を前記障害物集合から削除する、
ことを特徴とする請求項5に記載のインテリジェント路側ユニットの障害物提示装置。
【請求項7】
前記状態情報は、前記自動運転自動車の現在速度、加速度および履歴軌跡情報を含み、前記補正モジュールは、
前記現在速度、前記加速度および前記履歴軌跡情報に基づいて前記自動運転自動車の将来軌跡情報を取得し、
前記将来軌跡情報に基づいて前記自動運転自動車の現在位置を補正する、
ことを特徴とする請求項5に記載のインテリジェント路側ユニットの障害物提示装置。
【請求項8】
前記状態情報はタイムスタンプをさらに含み、前記補正モジュールは、
現在時刻を取得し、
前記タイムスタンプ、前記現在時刻および前記将来軌道情報に基づいて前記自動運転自動車の現在位置を補正する、
ことを特徴とする請求項7に記載のインテリジェント路側ユニットの障害物提示装置。
【請求項9】
プロセッサとメモリとを含むコンピュータ機器であって、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されている実行可能なプログラムコードを読み出して、前記プログラムコードに対応するプログラムを実行することにより、請求項1~4のいずれかに記載のインテリジェント路側ユニットの障害物提示方法を実現する、
ことを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項10】
コンピュータプログラムが記憶されている非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
当該プログラムがプロセッサによって実行される時に、請求項1~4のいずれかに記載のインテリジェント路側ユニットの障害物提示方法が実現される、
ことを特徴とする非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。」

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1

原査定の拒絶の理由に引用された特開2016-57677号公報(以下「引用文献1」という。)には、「走行支援制御装置」に関して、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)。

(1)「【0041】
図1に示すように、この実施形態において、車両100が自動運転される所定領域(所定エリア)である駐車施設12は、例えば、数10m四方の路面104を有し、略四角形の路面104の四隅に、広角な固定カメラであるインフラカメラ(監視カメラ)106(106a、106b、106c、106d)が設置されている。
【0042】
インフラカメラ106は、それぞれのインフラカメラ106a~106dの視線(光軸)が、略四角形の路面104の対角線上内側下方を向くように取り付けられ、それぞれのインフラカメラ106が、駐車施設12の入口116(116A、116B)近傍を含む路面104の略全域を撮影できるように構成され、設置調整されている。換言すれば、各インフラカメラ106a~106dにより、駐車施設12の入口116近傍の車両100や、駐車施設12内の車両100(駐車中の車両を含む。)を含む移動体を全て撮影(広角撮影)でき、追跡乃至監視することができるようになっている。
【0043】
インフラカメラ106は、乗降端末等の駐車支援制御装置120に電気的に接続されている(図3参照)。インフラカメラ106と駐車支援制御装置120とによりこの実施形態に係る走行支援制御装置10が構成される。この実施形態では、インフラカメラ106で撮影された後述する撮影画像108に対して、各種の画像処理等が、駐車支援制御装置120により実行される。なお、インフラカメラ106aには、日射量を検出する日射センサ151が設けられ、検出された日射量情報(日射量信号)は、駐車支援制御装置120に供給されるようになっている。」
(2)「【0054】
さらに、例えば、図6に示すように、駐車施設12の路面104内に、ボールや人等の予め記憶している車両100の外観形状と明らかに異なる、車両100に対する移動障害物112(本例では移動するボール)、移動障害物114(本例では、人)が入ってきた場合、インフラカメラ106の撮影画像108に基づき、上述した差分法等によりこれら移動障害物112、114を駐車支援制御装置120により検出(認識)することができる。」
(3)「【0058】
駐車施設12の駐車支援制御装置120と車両100の自動運転ECU56とは、DSRC方式(狭域無線通信方式)等の双方向無線通信により情報の伝送を行うようになっている。
【0059】
この実施形態に係る走行支援制御装置10は、基本的には以上のように構成され、機能、動作するものであり、次に、より詳しい動作について図7に示すフローチャートに基づいて詳しく説明する。
続きを表示(全44行)
【0060】
ステップS1にて、駐車支援制御装置120による初期処理が実行される。
【0061】
この初期処理では、車両100が入庫位置102に入ったことがインフラカメラ106の撮影画像108から駐車支援制御装置120の位置把握部154により検出されると、走行支援部152により車両100の種別が認識される。
【0062】
車両100の種別の認識は、インフラカメラ106から車両100を撮影した撮影画像108を受信したとき、駐車支援制御装置120の走行支援部152が、車両100の種別を問い合わせるリクエスト信号を車両100の自動運転ユニット57に送信する。自動運転ユニット57は、前記リクエスト信号を受信したとき、車両識別情報記憶部64に記憶されている車両100の種別{車両100の外接直方体に対応する車両100の3次元モデルDmと3次元モデルDm中でのモデル基準位置座標Cmの他、大きさ(全長と、全幅と、全高)の寸法と、ホイールベース長と、トレッド幅}を駐車支援制御装置120に送信し、駐車支援制御装置120の走行支援部152は、受信した車両100の種別を認識し記憶部118に記憶する。
【0063】
車両100が、例えば、図1に示すように、入庫位置102Bに入ったこと、入っていることが検出されると、ステップS1の初期処理が終了するので、次に、ステップS2にて、インフラカメラ106からの撮影画像108に基づき、又は、自動運転ユニット57からのシフト位置センサ34による情報に基づき、駐車支援制御装置120の走行支援部152により、車両100の向き(後進向きか前進向きか)が検出される。
【0064】
次いで、ステップS3にて、駐車支援制御装置120に設置されている自動駐車開始ボタン(不図示)が車両100から降車した運転者等により押された等の操作結果により発生する駐車支援開始信号を受信したか否かが駐車支援制御装置120により判定される。
【0065】
駐車支援開始信号を受信したとき(ステップS3:YES)、ステップS4にて、駐車支援制御装置120の走行支援部152は、ステップS1にて選択した空き駐車位置(ここでは、駐車位置124とする。)までの移動経路を、入庫位置102Bに入庫している車両100の種別に基づき、生成乃至選択する。
【0066】
ここでは、例えば、図8に示すように、入庫位置102Bから駐車位置124までの移動経路130が走行支援部152により生成される。移動経路130は、基本的には、車両100のステアリングの舵角(直進では0[deg])と、この舵角を維持した車両100の走行距離との組み合わせの積算値として計算される。
【0067】
なお、移動経路130は、駐車施設12の路面104上、例えば、路面104の図1、図8上、左上隅が、インフラカメラ106、図示しない光源(太陽や灯火)、及び車両100等の対象物が配置されるワールド座標の原点とされてX-Z平面上で規定される。ワールド座標の原点からみて右方向をX軸、下方向(奥行き方向)をZ軸、垂直上方向をY軸としている。
【0068】
なお、制御対象であり対象物の車両100の3次元モデルDmは、個々にローカル座標系を形成するが、ローカル座標系の座標原点は、上述したモデル基準位置座標Cmであり、図8に示すように、車両100の後ろ方向をz軸、後輪車軸25に平行する方向をx軸、垂直上方向をy軸としている。この場合、図8では、車両100の実基準位置座標Cm´にモデル基準位置座標Cmを一致させた状態を示している。
【0069】
次いで、ステップS5にて、駐車支援制御装置120の走行支援部152から車両100の自動運転ECU56に対して自動走行開始指示及び移動経路130の情報(前記積算値)が送信される。
【0070】
車両100側の自動運転ECU56は、ステップS31にて、自動走行開始指示待ちの状態とされており、自動走行開始指示を受信したとき(ステップS31:YES)、ステップS32にて自動走行制御及び車両位置・方向検出処理を順次(所定走行距離毎あるいは所定時間毎)行う。
【0071】
すなわち、ステップS32にて、車両位置は、操舵角センサ28と車輪速センサ26とヨーレートセンサ22の各出力に基づく慣性航法による走行の結果又はGPSセンサ32の順次受信位置により検出乃至算出する。慣性航法による走行軌跡の算出は、統括ECU52により実行され、算出結果が自動運転ECU56を介して駐車支援制御装置120の位置把握部154に順次送信される。車両方向は、シフト位置センサ34によるシフト位置(前進位置、後進位置)により統括ECU52により検出される。
【0072】
次いで、ステップS33にて、検出結果に基づく車両100の方向(前進位置に対応する前向き走行方向か、後進位置に対応する後ろ向き走行方向)と、車両位置が順次自動運転ECU56を介して駐車支援制御装置120に送信される。
【0073】
送信後、ステップS34にて、自動運転ECU56は、駐車支援制御装置120から自動走行終了指示を受信したか否かを判定し、受信していない場合には(ステップS34:NO)、ステップS32に戻り、ステップS32の処理を続行する。
【0074】
一方、車両位置・方向の情報の受信により、車両100の自動走行(自動駐車のための走行)を検出した駐車支援制御装置120の位置把握部154は、ステップS6の車両認識・追跡処理を行う。
【0075】
図9は、ステップS6の車両認識・追跡処理の詳細フローチャートである。
【0076】
ステップS6aにて、駐車支援制御装置120は、自動運転ECU56からの車両位置・方向の情報を受信(取得)すると、次のステップS6bにて、インフラカメラ106からの撮影画像(上述した図5に示した撮影画像110a、110b、110c、110d等)に基づき、車両100の相対的な姿勢(各インフラカメラ106から見た車両100の見え方)を確定する。
【0077】
次いで、ステップS6cにて、ステップS6bで確定した姿勢から車両100の側面が見える撮影画像110があるか否かを判定し、側面が見える撮影画像110がある場合には(ステップS6c:YES)、ステップS6dにて、基本的には存在する筈である側面が見える撮影画像110から上述した側面に係る車両100の種別を判別する特徴点パターン(タイヤホイールの形状、ホイールベース長等)を抽出し、ステップS6eにて、抽出した特徴点パターン(車両100の種別)が前回抽出した特徴点パターン(車両100の種別)と一致するか否かをパターンマッチングにより判定し、一致しないときには(ステップS6e:NO)、ステップS6fにて自動運転を中断させる。なお、ステップS6fにて、自動運転を中断させたときには、駐車支援制御装置120は、メンテナンス要員等にその旨を連絡する。この場合、メンテナンス要員によるいわゆるオフライン処理にて、故障原因を調査し、復旧させる。なお、実際上、ステップS6cの判定は、車両100が駐車施設12の路面104上のどの場所に位置していても4つのインフラカメラ106のいずれかの撮影画像108、110によって検出される筈であるので、通常、このステップS6cの判定は肯定的になる(成立する)。
【0078】
ステップS6eにて、今回抽出した特徴点パターン(車両100の種別)が前回抽出した特徴点パターン(車両100の種別)と一致しているときには、ステップS6gにて、駐車支援制御装置120の位置把握部154は、自己の駐車施設12の地図を参照し、パターンマッチングに供した今回の撮影画像108、110に基づき、車両100の路面104上の現在位置(現在位置座標)を検出する(現在位置検出処理)。
【0079】
このステップS6gでは、位置把握部154による現在位置検出処理と同時に、対象車両領域除外部156、影部領域除外部158、及びカレンダタイマ160により後述する制御対象車両領域除外処理及び影部領域除外処理を実行する。」
(4)「【0091】
ところが、インフラカメラ106を利用して自動走行させている場合には、自動走行させている車両100、100b自体を障害物(移動障害物)と誤認識してしまう可能性があることが分かった。実際上、自動走行させている車両が車両100の1台だけであっても、インフラカメラ106を利用して自動走行させているときに、その1台の車両100を移動障害物と誤認識してしまう可能性もあることが分かった。
【0092】
そこで、この実施形態では、自動走行させている車両100、100b自体を障害物(移動障害物)と誤認識してしまう可能性を回避するために、ステップS6gでの位置把握部154による現在位置検出処理(現在位置把握処理)と同時に、対象車両領域除外部156による制御対象車両領域除外処理を実施し、さらに、必要に応じて影部領域除外部158による影部領域除外処理を実施している。
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【0093】
まず、図11に示すフローチャートを参照して、対象車両領域除外部156による制御対象車両領域除外処理を説明する。
【0094】
例えば、図12に示すように、自動運転走行による駐車動作中の制御対象車両100自体がインフラカメラ106による画像(映像)上に映り込んでいる場合には、画像情報である撮影画像(画面)202{画面は、図示しない画像メモリ(フレームバッファ)を利用して生成}内で移動しているために、障害物として誤認識(誤検出)してしまう。
【0095】
この誤認識を解消するために、まず、対象車両領域除外部156は、ステップS6g1にて、位置把握部154により把握している車両100の原点対応位置である実車両基準位置座標Cm´と走行支援部152により把握している車両100の向き(車両100の進んでいる方向ベクトル)を参照する。
【0096】
次に、対象車両領域除外部156は、ステップS6g2にて、記憶部118から外形形状を示す3次元モデルのデータを読み出し、図13Aに示すように、車両100の向きを参照して、インフラカメラ106から見た3次元モデルDmの透視変換を行い、透視図を生成する。
【0097】
次いで、対象車両領域除外部156は、ステップS6g3の車両画像と3次元モデルの重畳処理にて、図13Aに示す透視図上の3次元モデルDmを拡大縮小処理して撮影画像202中の車両100と同じ大きさにすると共に、図12に示す撮影画像202上の制御対象車両100に互いの向きを合わせ、且つ制御対象車両100の後輪車軸25(図2参照)の中点位置座標である実車両基準位置座標Cm´と3次元モデルDmのモデル基準位置座標Cmとを一致させて重畳する。
【0098】
図13Bは、透視変換後の3次元モデルDmを制御対象車両100に重畳した状態を示している(実際には、画像メモリであるフレームバッファ上で重畳する)。このように、駐車場座標系、この場合、インフラカメラ106の座標と視点の向きを含むワールド座標系XYZ上での車両100の実車両基準位置座標Cm´(原点対応位置)と向き、対象物座標系xyzでの車両100のモデル基準位置座標Cm(原点対応位置)と向き、及びインフラカメラ106のレンズ特性から車両100の既知の3次元モデルDmをインフラカメラ106の映像(画像)に重ねて表示することができる。なお、図13Bの撮影画像202の処理画像は、実際には、自動運転走行には使用されない中間画像である。
【0099】
次いで、対象車両領域除外部156は、ステップS6g4にて、図13Cに示すように、重ねて表示した3次元モデルDmの外形内(境界面内)の障害物を、ハッチングで表示した非検出領域(非検出マスク領域)300に設定する。
【0100】
最後に、走行支援部152は、ステップS6g5にて、図13Cの撮影画像202の処理画像を参照し、非検出領域300以外の残りの領域(駐車施設12の路面104上の領域)での移動体を障害物(移動障害物)として認識し、車両100の自動運転走行の支援を行う。」
(5)「【0119】
位置把握部154は、インフラカメラ106により取得された前記画像情報に基づき、制御対象車両100の前記位置を把握する際、制御対象車両100から該制御対象車両100の自己位置情報(車両100の自己位置は、操舵角センサ28と車輪速センサ26とヨーレートセンサ22の各出力に基づく慣性航法による走行の結果又はGPSセンサ32の順次受信位置により検出乃至算出することができる。)を受信し、受信した前記自己位置情報を参照して、前記画像情報から前記制御対象車両100の前記位置を把握するようにしてもよい。この場合にも、前記画像情報から前記制御対象車両100を正しく認識することができる。」

上記記載事項からみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

〔引用発明〕

「インフラカメラ106から撮影画像108を抽出し、
自動運転走行が可能な車両100側の自動運転ECU56が前記車両100の位置・方向を順次検出し、駐車支援制御装置120に順次送信し、
前記車両100の位置・方向情報を取得した前記駐車支援制御装置120は、車両の認識・追跡処理を行い、前記車両の認識・追跡処理において、前記撮影画像108に基づき、前記車両100の相対的な姿勢を確定して特徴点パターンを抽出し、車両100の路面104上の現在位置検出処理を行うと同時に、対象車両領域除外処理を行い、前記対象車両領域除外処理では、前記車両100の外形形状を示す3次元モデルDmのデータと前記車両100の向きを参照して、インフラカメラ106から見た3次元モデルDmの透視変換を行い、透視図を生成し、透視変換後の3次元モデルDmを、前記撮影画像108内の車両画像と重畳し、3次元モデルDmの外形内(境界面内)の障害物を、非検出領域300に設定し、非検出領域300以外の残りの領域での移動体を障害物と認識し、前記車両100の自動運転走行の支援を行う、
駐車支援制御装置120の走行支援方法。」

2 引用文献2

原査定の拒絶の理由に引用された特開2011-113413号公報(以下「引用文献2」という。)には、「障害物通知装置および障害物通知方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0020】
障害物検知部180は、障害物検知レーダーA140および障害物検知レーダーB150からの検知データを解析し、検知領域に障害物があるかないか、障害物があるとすれば障害物通知装置100からの距離を求める。この障害物の検知の方法は、従来から行われている公知技術を用いる。
【0021】
通知部190は、障害物検知部180の検知結果に基づいて障害物情報を作成し、表示装置160にその障害物情報を送信する。障害物が検知された場合は、例えば「○○m先に落下物。注意!」と言った障害物情報を表示する。この場合の○○mは、走行車両のドライバの立場に立って表示装置160の設置位置から障害物の位置までの距離である。従って、通知部190は障害物検知レーダーA140または障害物検知レーダーB150からの検知データの解析により求めた障害物通知装置100から障害物までの位置を基に表示装置160から障害物までの距離を求めた数値になる。
【0022】
表示装置160は、障害物通知装置100の設置位置から走行車両が向かって来る方向に対して所定の距離(例えば300m)離れた位置の路側に設置される。表示装置160と障害物通知装置100との接続はここではケーブルを用いて接続している。」
(2)「【0042】
また、走行車両への障害物情報の通知に表示装置を用いたが、表示装置の代わりに路側にビーコンを設置してビーコンを受信するユニットを備える走行車両に通知するようにしてもよい。」

上記記載事項からみて、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。

〔引用文献2記載事項〕

「障害物検知レーダーA140および障害物検知レーダーB150からの検知データを解析して障害物を検知すると、障害物情報を作成して、その障害物情報を路側に設置したビーコンに送信し、ビーコンを受信するユニットを備える走行車両に通知すること。」

3 引用文献3

原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-31241号公報(以下「引用文献3」という。)には、「車両位置特定システム、車載機、送信機、時刻補正システム及び時刻補正装置」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明に係る車両位置特定システムは、所定の信号を送信する送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える車両位置特定システムにおいて、前記車載機は、信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、信号の送信地点を特定する送信地点情報を記憶する記憶手段と、前記受信手段で受信した送信時点情報、該送信時点情報を受信した受信地点及び前記送信地点情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、前記送信機から信号を受信した場合、該信号の送信時点情報、前記送信地点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段とを備えることを特徴とする。」

上記記載事項からみて、引用文献3には次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。

〔引用文献3記載事項〕

「所定の信号を送信する送信機と、該送信機が送信した信号を受信する車載機とを備える車両位置特定システムにおいて、前記車載機は、信号の送信時点を特定する送信時点情報を受信する受信手段と、信号の送信地点を特定する送信地点情報を記憶する記憶手段と、前記受信手段で受信した送信時点情報、該送信時点情報を受信した受信地点及び前記送信地点情報に基づいて、信号の受信時点を補正する受信時点補正手段と、前記送信機から信号を受信した場合、該信号の送信時点情報、前記送信地点情報及び前記受信時点補正手段で補正した前記信号の受信時点に基づいて、自車位置を特定する特定手段とを備える車両位置特定システム。」

4 引用文献4

前置報告で引用された特開2016-52835号公報(以下「引用文献4」という。)には、「移動物体位置予測装置、移動物体位置予測方法及び移動物体位置予測用コンピュータプログラム」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0022】
図2は、移動物体位置予測装置の一例である路側機2の概略構成図である。路側機2は、センサ21と、記憶部22と、制御部23と、通信部24と、アンテナ25とを有する。
【0023】
センサ21は、例えば、レーザスキャナ、レーダセンサあるいは画像センサであり、監視対象エリア内に存在する物体を表すセンサ信号を生成する。そしてセンサ21は、例えば、監視対象エリアの中央あるいは四隅の何れかに設けられた柱の上方に、探知範囲が監視対象エリアと重なるように配置される。」
(2)「【0026】
制御部23は、少なくとも一つのプロセッサと、その周辺回路とを有する。そして制御部23は、路側機2全体を制御する。また制御部23は、センサ21からの信号に基づいて、監視対象エリア内に存在する移動物体を検知して予測情報を求める。そして制御部23は、その予測情報などを、通信部24を介して、路側機2の通信可能範囲内に存在する車両3に搭載された自動運転装置4へ送信する。なお、制御部23により実行される処理の詳細は後述する。」

上記記載事項からみて、引用文献4には次の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。

〔引用文献4記載事項〕

「レーダセンサからなるセンサ21を有する路側機2が、監視対象エリア内に存在する移動物体を検知して予測情報を求め、その予測情報を、路側機2の通信可能範囲内に存在する車両3に搭載された自動運転装置4へ送信すること。」

5 引用文献5

前置報告で引用された特開2017-72921号公報(以下「引用文献5」という。)には、「駐車場管理システム、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラムおよび車載器」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0023】
さらに、駐車場管理システム200は、車載器から車両230の走行情報、例えば、速度や加速度、ハンドル舵角などの情報を取得して、移動する車両230の動きを追跡することができる。したがって、車両230の誘導方法は、例えば、誘導対象の車両230の位置や動きに合わせて、サインパネル250に誘導対象の車両230の自動車登録番号(ナンバー)と方向支持のための矢印とを表示して、車両230を空きスペースへと誘導する方法がある。また、例えば、駐車場内にスピーカを設置して、音声ガイダンスを用いて車両230を空きスペースへと誘導する方法がある。その他にも、車両230のユーザの所持するスマートフォンなどの携帯端末にメッセージや駐車場内の地図を送信して誘導する方法などがあるが、これらには限定されない。」

上記記載事項からみて、引用文献5には次の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されている。

〔引用文献5記載事項〕

「駐車場管理システム200は、車載器から車両230の速度や加速度、ハンドル舵角などの情報を取得して、移動する車両230の動きを追跡すること。」

第5 対比及び判断

1 本願発明1について

本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「インフラカメラ106」及び「駐車支援制御装置120」は、その機能、構成又は技術的意義からみて、本願発明1における「インテリジェント路側ユニット」に相当し、同様に、「自動運転走行が可能な車両100」は「自動運転自動車」に相当する。

引用発明における「インフラカメラ106から撮影画像を抽出」することは、引用文献1の段落【0091】等の記載から、インフラカメラ106の撮影画像に障害物が写ることを前提としているから、本願発明1における「レーダーによって障害物を検出して障害物集合を生成するステップ」と、「障害物を検出するステップ」という限りにおいて一致している。

引用発明における「自動運転走行が可能な車両100側の自動運転ECU56が前記車両100の位置・方向を順次検出し、駐車支援制御装置120に順次送信し」と、本願発明1における「自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報を取得し、前記状態情報が前記自動運転自動車の現在位置を含み、前記自動運転自動車の現在位置を補正するステップ」とは、「自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報を取得し、前記状態情報が前記自動運転自動車の現在位置を含む、ステップ」という限りにおいて一致している。

引用発明における「前記車両100の位置・方向情報を取得した前記駐車支援制御装置120は、車両の認識・追跡処理を行い、前記車両の認識・追跡処理において、前記撮影画像に基づき、前記車両100の相対的な姿勢を確定して特徴点パターンを抽出し、車両100の路面104上の現在位置検出処理を行うと同時に、対象車両領域除外処理を行い、対象車両領域除外処理では、前記車両100の外形形状を示す3次元モデルDmのデータと前記車両100の向きを参照して、インフラカメラ106から見た3次元モデルDmの透視変換を行い、透視図を生成し、透視変換後の3次元モデルDmを、前記撮影画像内の車両画像と重畳し、3次元モデルDmの外形内(境界面内)の障害物を、非検出領域300に設定し、非検出領域300以外の残りの領域での移動体を障害物と認識し前記車両100の自動運転走行の支援を行う」と、本願発明1における「前記自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報に基づいて前記障害物集合をフィルタリングして、前記自動運転自動車を前記障害物集合から削除するステップ」とは、「前記自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報に基づいて前記障害物から、前記自動運転自動車を削除するステップ」という限りにおいて一致している。

引用発明における「駐車支援制御装置120の走行支援方法」と、本願発明1における「インテリジェント路側ユニットの障害物提示方法」とは「インテリジェント路側ユニットの動作方法」という限りにおいて一致している。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

〔一致点〕

「障害物を検出するステップと、
自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報を取得し、前記状態情報が前記自動運転自動車の現在位置を含む、ステップと、
前記自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報に基づいて前記障害物から、前記自動運転自動車を削除するステップと、を含む、
インテリジェント路側ユニットの動作方法。」

〔相違点1〕

「障害物を検出するステップ」に関して、本願発明1においては「レーダー」によって障害物を検出して「障害物集合」を生成するのに対して、引用発明においては、インフラカメラ106から撮影画像を抽出する点。

〔相違点2〕

「自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報を取得し、前記状態情報が前記自動運転自動車の現在位置を含む、ステップ」に関して、本願発明1においては、自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報を取得し、前記状態情報が前記自動運転自動車の現在位置を含み、前記自動運転自動車の現在位置を「補正する」のに対して、引用発明においては、自動運転走行が可能な車両100側の自動運転ECU56が前記車両100の位置・方向を順次検出し、駐車支援制御装置120に順次送信する点。

〔相違点3〕

「前記自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報に基づいて前記障害物から、前記自動運転自動車を削除するステップ」に関して、本願発明1においては、前記自動運転自動車がインテリジェント路側ユニットに報知する状態情報に基づいて「前記障害物集合をフィルタリングして」、前記自動運転自動車を前記障害物集合から削除するのに対して、引用発明においては、前記車両100の位置・方向情報を取得した前記駐車支援制御装置120は、車両の認識・追跡処理を行い、前記車両の認識・追跡処理において、前記撮影画像に基づき、前記車両100の相対的な姿勢を確定して特徴点パターンを抽出し、車両100の路面104上の現在位置検出処理を行うと同時に、対象車両領域除外処理を行い、対象車両領域除外処理では、前記車両100の外形形状を示す3次元モデルDmのデータと前記車両100の向きを参照して、インフラカメラ106から見た3次元モデルDmの透視変換を行い、透視図を生成し、透視変換後の3次元モデルDmを、前記撮影画像内の車両画像と重畳し、3次元モデルDmの外形内(境界面内)の障害物を、非検出領域300に設定し、非検出領域300以外の残りの領域での移動体を障害物と認識し前記車両100の自動運転走行の支援を行う点。

〔相違点4〕

本願発明1においては「フィルタリングされた障害物集合を前記自動運転自動車に送信するステップ」を含む「障害物提示方法」であるのに対して、引用発明は、車両100の自動運転走行の支援を行う、走行支援方法である点。

事案に鑑み、上記相違点1及び相違点3について検討する。

引用発明においては、「インフラカメラ106から撮影画像108」を抽出して、「撮影画像108内」の、車両100の外形形状を示す3次元モデルDmの外形内(境界面内)の障害物を、非検出領域300に設定し、非検出領域300以外の残りの領域での移動体を障害物と認識している。すなわち、画像処理により、車両100以外の移動体を障害物として認識するものであるから、引用文献2記載事項及び引用文献4記載事項が示すような、レーダーによって障害物を検出する技術を適用する動機付けは存在しない。

また、引用文献3記載事項及び引用文献5記載事項は、上記相違点1及び相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を開示ないし示唆するものではない。

さらに、上記相違点1及び相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、本願の優先日前に周知の技術ではなく、当業者が適宜なし得た設計的事項でもない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2ないし4について

本願発明2ないし4は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1に対して述べたものと同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3 本願発明5ないし8について

本願発明5ないし8は、本願発明1ないし4をそれぞれ「装置」の発明として表現したものであって、本願発明1の発明特定事項に対応する事項を全て含むから、本願発明1に対して述べたものと同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4 本願発明9及び10について

本願発明9及び10は、本願発明1をそれぞれ「コンピュータ機器」及び「記憶媒体」の発明として表現したものであって、本願発明1の発明特定事項に対応する事項を全て含むから、本願発明1に対して述べたものと同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項ないし引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

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2021-010084

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