2021-009832
制御装置、プログラム及びシステム
- 審判番号
- 2021-009832
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-171900外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年07月26日
- 審決日
- 2022年04月21日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東芝ライテック株式会社
- 【請求人代理人】河野 仁志
- 分類
- P18 .121-WY (H04Q)
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 16項目
第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月2日の出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 2年 1月24日付け 拒絶理由通知書
3月30日 意見書・手続補正書
8月31日付け 拒絶理由通知書
11月 5日 意見書・手続補正書
令和 3年 4月23日付け 拒絶査定
7月26日 審判請求書
第2 本願発明
本願の請求項1~8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明8」という。)は、令和2年11月5日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりである。
「 【請求項1】照明機器に、照明制御に関する制御値を変更する信号と、現在の制御値を照明制御に関するデフォルトの制御値とする制御値変更信号と、を送信する送信部と、前記照明機器から、デフォルトの制御値と現在の制御値とを受信する受信部と、前記デフォルトの制御値と、前記現在の制御値と、を表示する表示部と、続きを表示(全50行)を備え、前記デフォルトの制御値は、前記照明機器の点灯開始時の調光レベルを示し、ユーザが任意に設定可能な値である、制御装置。【請求項2】前記送信部は、前記照明機器に、現在の制御値をデフォルトの制御値に戻すリセット信号を送信する、前記請求項1に記載の制御装置。【請求項3】前記受信部は、前記照明機器から、前記照明機器の名称を受信し、前記表示部は、前記名称を表示する、前記請求項1に記載の制御装置。【請求項4】名称の入力を受け付ける操作部を備え、前記送信部は、前記照明機器に、前記名称に変更する名称変更信号を送信する、前記請求項1乃至3の何れか1項に記載の制御装置。【請求項5】前記制御値は、調光レベルを示す、前記請求項1乃至4の何れか1項に記載の制御装置。【請求項6】前記送信部は、Bluetooth接続をサポートする、前記請求項1乃至5の何れか1項に記載の制御装置。【請求項7】制御装置で動作するプログラムであって、プロセッサに、照明機器に、照明制御に関する制御値を変更する調光信号と、現在の制御値を照明制御に関するデフォルトの制御値とする制御値変更信号と、を送信する機能と、前記照明機器から、デフォルトの制御値と現在の制御値とを受信する機能と、前記デフォルトの制御値と、前記現在の制御値と、を表示する機能と、を実現させ、前記デフォルトの制御値は、前記照明機器の点灯開始時の調光レベルを示し、ユーザが任意に設定可能な値である、プログラム。【請求項8】制御装置と照明機器とを備えるシステムであって、前記制御装置は、前記照明機器に、照明制御に関する制御値を変更する調光信号と、現在の制御値を照明制御に関するデフォルトの制御値とする制御値変更信号と、を送信する第1の送信部と、前記照明機器から、デフォルトの制御値と現在の制御値とを受信する第2の受信部と、前記デフォルトの制御値と、前記現在の制御値と、を表示する表示部と、を備え、前記照明機器は、照明制御に関するデフォルトの制御値を記憶する記憶部と、発光する点灯部と、前記調光信号と前記制御値変更信号とを受信する第2の受信部と、前記調光信号に従って前記点灯部の制御値を変更する制御部と、前記制御装置に、前記デフォルトの制御値と現在の制御値とを送信する第2の送信部と、前記制御値変更信号に従って前記デフォルトの制御値を変更する制御値変更部と、を備え、前記デフォルトの制御値は、前記照明機器の点灯開始時の調光レベルを示し、ユーザが任意に設定可能な値である、システム。」
第3 原査定の概要
令和3年4月23日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1、2、5、7、8に係る発明は、引用文献1に記載された技術、及び、引用文献2に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
本願の請求項3、4、6に係る発明は、引用文献1、3に記載された技術、及び、引用文献2、4に記載された周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
<引用文献等一覧>
1.特開2012-43604号公報
2.特開平08-278871号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2015-18636号公報
4.特開2006-262420号公報(周知技術を示す文献)
第4 引用文献の記載事項
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1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-43604号公報(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0017】また、当該照明装置1を操作するための携帯型のリモコン50が設けられている。リモコン50を操作することにより照明装置1に対して各種動作指示を与えることが可能となる。リモコン50の詳細については後述する。」
イ 「【0019】図2を参照して、本発明の実施の形態に従う照明装置1は、電源回路10と、照明制御部20と、照明部30と、インタフェース部40とを含む。」
ウ 「【0021】照明制御部20は、電源回路10から供給される電圧をCPU22に供給するために調整する制御電源供給回路21と、照明装置1全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)22と、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路23と、信号受信部25と、SW入力部26と、水晶発振子27と、照度センサ28と、メモリ29とを含む。一例としてCPU22とメモリ29とPWM制御回路23とはマイコン(マイクロコンピュータ)によって構成される。」
エ 「【0052】また、ユーザが「お気に入り登録1」ボタン71または「お気に入り登録2」ボタン73を押下することにより、お気に入り登録モード指示がリモコン50から出力される。照明装置1のCPU22は、リモコン50からのお気に入り登録モード指示の入力を受けてお気に入り登録モードの動作を開始する。お気に入り登録モードについては後述する。」
オ 「【0063】図6を参照して、本発明の実施の形態に従うリモコン50は、電源回路51と、リモコン制御部55と、インタフェース部57とを含む。」
カ 「【0065】リモコン制御部55は、電源回路51から供給される電圧をCPU86に供給するために調整する制御電源供給回路81と、リモコン50全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)86と、液晶パネル52を駆動する液晶駆動回路82と、信号送信部84と、SW入力部83と、水晶発振子85と、メモリ80とを含む。」
キ 「【0069】SW入力部83は、操作SW(スイッチ)88と接続されて、操作SWの操作に応答した指示をCPU86に出力する。」
ク 「【0075】操作SW88は、上述したリモコン50に設けられた各種のボタンで構成されている。具体的には、「全点灯」ボタン54と、「光環境制御」ボタン58と、「消灯」ボタン53と、「常夜灯」ボタン51と、「エコ点灯」ボタン60と、「照度センサ」ボタン70と、調光率の上げ下げを指示するための「明るく」ボタン55および「暗く」ボタン56と、「電球色」から「昼光色」あるいは「昼光色」から「電球色」への調色を指示するための「寒色」ボタン61および「暖色」ボタン63と、「明るさプラス」ボタン64と、「お気に入り1」ボタン65と、「お気に入り2」ボタン72と、「おやすみ前」ボタン66と、「お気に入り登録1」ボタン71と、「お気に入り登録2」ボタン73と、「留守タイマ」ボタン67と、「切タイマ」ボタン74と、「入タイマ」ボタン75と、「我が家流」ボタン62と、数値等の上げ下げを指示するための「UP」ボタン57Aおよび「DOWN」ボタン57Bと、「環境登録」ボタン69と、「チャンネル切替」ボタン77と、「時刻設定」ボタン68と、「リセット」ボタン78とが設けられる。【0076】リモコン50のCPU86は、SW入力部83を介して操作SW88における各ボタンの入力指示を受けて、信号送信部84に各ボタンに応じた送信信号の出力を指示する。信号送信部84は、CPU86からの指示に応答して、赤外線投光部87を介して各ボタンに応じた送信信号を赤外線信号として照明装置1に出力する。照明装置1の赤外線受光部41は、リモコン50の赤外線投光部87から投光された赤外線信号を受信する。そして、赤外線受光部41は、受光された赤外線信号を光電変換する。そして、信号受信部25は、光電変換により得られたリモコン50から指示された送信信号をCPU22に出力する。当該動作により、CPU22は、リモコン50からの入力指示に応じた動作を実行する。」
ケ 「【0324】なお、本例においては、入タイマモードによる設定時刻において、昼光色での全灯で点灯制御が実行されるが、これに限らず入タイマモードにおける調光率および色調をユーザが設定できるようにしてもよい。また、その場合、後述するお気に入り登録モードにて登録した調光率および色調での点灯状態にて点灯するように設定できるようにしてもよい。」
コ 「【0372】<お気に入り登録モード>次に、お気に入り登録モードについて説明する。【0373】お気に入り登録モードは、調光率および色調を登録するモードである。ユーザがリモコン50の「お気に入り登録1」ボタン71または「お気に入り登録2」ボタン73を押下することにより、お気に入り登録モードに移行する。【0374】具体的には、メモリ29の所定領域には、現時点での調光率および色調が記憶されている。たとえば上述の点灯調整モードや光環境制御モードなどにおいて、図13~図16のグラフ等に表わされたような調光率や色調が自動で連続的に変化する場合がある。この場合も、メモリ29の所定領域には、現時点での調光率および色調が記憶されている。【0375】このように自動で連続的に調光率および色調が変化している状態において、CPU22がリモコン50の「お気に入り登録1」ボタン71または「お気に入り登録2」ボタン73の入力指示を受け付けると、その入力指示を受け付けた時点の調光率および色調を、メモリ29のお気に入りボタンに応じた記憶領域に書き込む。これにより、「お気に入り1」および「お気に入り2」のそれぞれについて、調光率および色調が登録される。」
サ 図5
[図:0001383919000001.jpg]
シ 図6
[図:0001383919000002.jpg]
(2)前記(1)の記載によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「照明装置1を操作するための携帯型のリモコン50であって(【0017】)、照明装置1は、照明制御部20を含み(【0019】)、照明制御部20は、メモリ29を含み(【0021】)、リモコン50は、電源回路51と、リモコン制御部55と、インタフェース部57とを含み(【0063】)、続きを表示(全12行)リモコン制御部55は、CPU86と、信号送信部84と、SW入力部83とを含み(【0065】)、SW入力部83は、操作SW88と接続されて、操作SWの操作に応答した指示をCPU86に出力し(【0069】)、操作SW88は、調光率の上げ下げを指示するための「明るく」ボタン55および「暗く」ボタン56と、「お気に入り登録1」ボタン71と、「お気に入り登録2」ボタン73とが設けられ(【0075】)、リモコン50のCPU86は、操作SW88における各ボタンの入力指示を受けて、信号送信部84に各ボタンに応じた送信信号の出力を指示し、信号送信部84は、CPU86からの指示に応答して、各ボタンに応じた送信信号を赤外線信号として照明装置1に出力し(【0076】)、ユーザが「お気に入り登録1」ボタン71または「お気に入り登録2」ボタン73を押下することにより、お気に入り登録モード指示がリモコン50から出力され、照明装置1のCPU22は、リモコン50からのお気に入り登録モード指示の入力を受けてお気に入り登録モードの動作を開始し(【0052】)、CPU22がリモコン50の「お気に入り登録1」ボタン71または「お気に入り登録2」ボタン73の入力指示を受け付けると、その入力指示を受け付けた時点の調光率を、メモリ29のお気に入りボタンに応じた記憶領域に書き込み、これにより、「お気に入り1」および「お気に入り2」のそれぞれについて、調光率が登録され(【0375】)、入タイマモードにおける調光率をお気に入り登録モードにて登録した調光率での点灯状態にて点灯するように設定できる(【0324】)、リモコン50。」
2 引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-278871号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0006】【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するための本発明の情報処理装置は以下の構成を備えている。即ち、複数の設定項目に対して設定変更が可能な情報処理装置であって、各設定項目に対して予め与えられたデフォルト値を保持する第1保持手段と、前記各設定項目に対する現在の設定値を保持する第2保持手段と、前記第1及び第2保持手段に保持されたデフォルト値と現在の設定値とを比較することにより現在の設定値がデフォルト値より変更されている設定項目を抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出された設定項目を出力する出力手段とを備える。」
イ 「【0037】<実施例3>図10は実施例3におけるプリンタ設定ダイアログ及びデフォルト変更表示ダイアログの表示状態を表す図である。図10には、図3で示したプリンタ設定ダイアログ300と同様なプリンタ設定ダイアログ900と、図6で示したダイアログ変更表示ダイアログ600と同様なデフォルト変更表示ダイアログ906が同時に表示されている様子が示されている。このように図3で示すデフォルト変更表示ボタン305をなくす代わりに常時デフォルト変更表示ダイアログを表示するようにしても構わない。」
ウ 「【0044】尚、上記実施例においては、プリンタの設定について説明したが、本発明の適用はこれに限らず、スキャナ等の他の設定処理にも適用可能であることは明らかである。」
(2)前記(1)の記載によれば、引用文献2には次の技術(以下、「文献2技術」という。)が記載されていると認められる。
「複数の設定項目に対して設定変更が可能な情報処理装置であって(【0006】)、各設定項目に対して予め与えられたデフォルト値を保持する第1保持手段と、前記各設定項目に対する現在の設定値を保持する第2保持手段と、前記第1及び第2保持手段に保持されたデフォルト値と現在の設定値とを比較することにより現在の設定値がデフォルト値より変更されている設定項目を抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出された設定項目を出力する出力手段とを備え(【0006】)、プリンタ設定ダイアログ900と、デフォルト変更表示ダイアログ906が同時に表示され(【0037】)、プリンタの設定に限らず、スキャナ等の他の設定処理にも適用可能である(【0044】)情報処理装置。」
3 引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2015-18636号公報(以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0001】本発明は、無線を用いてLED照明器具の調光をリモートで行うリモート調光制御照明システムに関する。」
イ 「【0018】照明装置は、各機能または配置位置などを考慮して1以上のグループ分けをすることが可能である。例えば、照明装置1a,1bを「A」とするグループにすることができる。グループ分けの例としてタブレット端末2の液晶画面上に表示されるメッシュ照明装置配置枠30(図6参照)に示されている。図6に示すように例えば、4×Dの位置30aに配置された照明装置1(登録名)と、4×Eの位置30b,4×Fの位置30cおよび4×Gの位置30dに配置された各照明装置3,4,8は1つのグループを形成し、グループリストに表示されているグループ名「AA10」になっており、これらの照明装置は20%に調光されている。各グループを示す枠はそれぞれ異なる色が付されている。上記のように配設された各照明装置に対し調光を行うためのコントローラ部としてタブレット端末2が用意されている。タブレット端末2は無線(Bluetooth(登録商標 以下同様)方式)により各照明装置に調光指示,調色指示,自己診断指示などを送信し、また、各照明装置から送られてくる照明装置の自己診断結果の故障情報などを受信することができる。」
ウ 「【0020】図2Aは本発明によるリモート調光制御照明システムの照明装置の一実施形態を示す回路ブロック図である。天井などに取り付けられる照明装置1a~1cはアンテナ11,無線モジュール(Bluetooth)12,制御部(マイコンなど)13,照明制御波形発生部であるPWM発生部14a~14c,増幅部15a~15cおよびLED17a~17nを含むLED部16を備えている。電源部18は家庭用交流電源19を各回路対応のDC電圧に変換し、各回路に供給する。電源部18は、AC100VからLEDに流すために必要なDC電源,制御部13や無線モジュール12を駆動するDC電源を生成する。タブレット端末2から送られてくるBluetooth規格の搬送波をアンテナ11で受信すると、搬送波は無線モジュール12で復調されディジタル処理される。無線モジュール12で復調・ディジタル処理され取り出された信号(調光指示のためのデータ信号,調色指示のためのデータ信号など)は制御部13に送られ、ここでデータの解析が行われ、調光データであれば、調光量が演算されて算出される。タブレット端末2と無線モジュールは、最初にお互いに機器を認識するためにペアリングを行い、待機状態にしておくことにより、送信データの遅れを最小限にすることができる。」
エ 「【0024】図3は本発明によるリモート調光制御照明システムのコントローラ部の実施形態を示す回路ブロック図で、タブレット端末の場合を示している。コントローラ部であるタブレット端末2は、液晶画面の表示部29,タッチ入力式の入力部28,アンテナ21,無線モジュール22,メモリ部23,制御部24,電源部25で構成されている。電源部25はタブレット端末2内の電気回路を駆動するためのDC電源である。家庭用AC100Vは充電器27によりタブレット端末2用のDC電源に変換され、電源部25はこのDC電源を充電し、各回路に対応のDC電圧を供給する。タッチ入力方式で入力部28より入力された情報は、制御部24で分析され、分析結果情報がユーザが視覚で理解できるように液晶画面の表示部29に表示される。ユーザはこのような操作により調光,自己診断を指示するなどのデータを作成し、無線モジュール22よりアンテナ21で調光データ,自己診断指示データなどを無線送信する。制御部24はCPUやMPUなどの中央演算器で構成されている。メモリ部23は本発明の動作プログラムを格納するとともにワーキングメモリとして機能する。また、一時的に必要なデータを記憶する。さらに入力された情報や表示するデータも格納される。」
オ 「【0028】照明装置側の制御内容は以下の通りとなる。照明装置の電源ONにより(S21)、初期化がなされる(S22)。タブレット端末側からの送信データを受信するための受信可能状態となり、既に照明装置が機能している場合は、前回に設定された照明装置の調光データを制御部13内のメモリ部に格納しており、調光動作状態となる。すなわち、制御部13は前回値が存在する場合、データ受信判断(S23)でYes、自己診断の有無判断(S24)でNoとなり、データ分析(S26)をして制御部13内のメモリ部に前回値を再度保存する(S27)。そしてPWM発生部14a~14cはPWMを発生し(S28)、LED駆動部16a~16cを駆動してLED17a~17nを高速点滅させ、前回値通りの明るさの照明を維持する。制御部13はタブレット端末2からデータを受信していない場合、Noとなり待機状態となる。データを受信した場合、自己診断の有無の判断に移る(S24)。Noであれば、調光データであるので、上記と同様、S26~S28のように動作しタブレット端末からの調光指示の通りの明るさにLEDは駆動される。【0029】自己診断指示(Yes)である場合、図8に示す自己診断プログラムを実行する。制御部13は自己診断で故障情報を得ると、その故障情報を無線モジュール12,アンテナ11を介してタブレット端末2に送信する。そしてデータを受信したか否かを判断するための待機状態に戻る(S23)。自己診断の結果、正常である場合は、タブレット端末2に送信することなく待機状態に入る(S23)。なお、図4の流れ図では省略されているが、照明装置がタブレット端末からの指示ではなく、照明装置側で常時、自己診断機能を起動しておき(一定時間毎でも良い)、監視することもできる。照明装置側の常時監視で故障を検出した場合、故障情報をタブレット端末2に送信することとなるが、この時点でタブレット端末2の照明コントロールが立ち上がっていないとき、受信表示できないためユーザはその後にタブレット端末2の照明コントロールを立ち上げたとき、その照明装置の故障を知ることができる。」
カ 「【0031】照明コントロールのアプリを起動した状態(S03)まで戻って説明を続ける。制御部24は照明コントロールのアプリが起動されると、照明装置のいずれかから故障データを受信するか否かを監視する(S04)。故障データが送られてくれば、図9の右下の38に示すように例えば「照明装置15のM-1部分が故障しました」と表示される(S05)。これは「15」の名称の照明装置の「M-1」という故障部位を示すものである。故障データの受信がなければ、自己診断指示を行うか否かの判断を行う(S06)。ユーザが自己診断の操作を行えば、診断命令セットがなされる(S07)。そしてデータ作成(S08)のステップを通過し、照明装置に対し自己診断指示のデータが送信される(S09)。ユーザの自己診断操作は、図6の左側の診断ボタン33cにより行うことができる。 自己診断の操作が行われない場合、ユーザが端末登録やグループ編集などのデータ作成操作を行うことによりデータ作成へと進むことになる(S08)。」
(2)前記(1)の記載によれば、引用文献3には次の技術(以下、「文献3技術」という。)が記載されていると認められる。
「無線を用いてLED照明器具の調光をリモートで行うリモート調光制御照明システムであって(【0001】)、各照明装置に対し調光を行うためのコントローラ部としてタブレット端末2が用意され(【0018】)、照明装置1a~1cはアンテナ11,無線モジュール(Bluetooth)12,制御部13を備え(【0020】)、タブレット端末2は、表示部29,入力部28,アンテナ21,無線モジュール22,メモリ部23,制御部24,電源部25で構成され(【0024】)、照明装置の電源ONにより、初期化がなされ、既に照明装置が機能している場合は、前回に設定された照明装置の調光データを制御部13内のメモリ部に格納しており、調光動作状態となり(【0028】)、制御部13は自己診断で故障情報を得ると、その故障情報を無線モジュール12,アンテナ11を介してタブレット端末2に送信し(【0029】)、制御部24は照明コントロールのアプリが起動されると、照明装置のいずれかから故障データを受信するか否かを監視し、故障データが送られてくれば、例えば「照明装置15のM-1部分が故障しました」と表示され、これは「15」の名称の照明装置の「M-1」という故障部位を示すものである(【0031】)、リモート調光制御照明システム。」
4 引用文献4について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-262420号公報(以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】【0001】本発明は、他の電子機器と機能を補完し得る電子機器に関し、特に、携帯電話機とヘッドセットのように相手機器との機能連係を登録によって樹立させる電子機器、その登録方法及びその登録プログラムに関する。」
イ 「【0017】この実施の形態では、機能的な連係関係を確立するための第1の電子機器として例えば、携帯電話機2が用いられ、第1の電子機器の相手機器である第2の電子機器として例えば、ヘッドセット4が用いられている。そこで、携帯電話機2とヘッドセット4との間に登録関係を確立させ、特定のヘッドセット4で携帯電話機2のハンズフリー化を確立させる。【0018】携帯電話機2において、電話機能部202は電話回線による通話を担当する機能部であり、また、Bluetooth 機能部204は通話信号やデータ信号の送受を行う情報送受信部の一例である。周知のように、Bluetooth は、近距離無線通信規格であるが、情報の送受手段としてはBluetooth に限定されるものではないし、この実施の形態のデータ通信には他の無線送受信機能を用いてもよい。この実施の形態では、Bluetooth 機能部204は、電磁波を媒介として相手機器であるヘッドセット4から機器情報を取得する機器情報取得部を構成している。」
ウ 「【0021】また、これら電話機能部202及びBluetooth 機能部204のデータ送受や、暗証情報として暗証番号を生成する等の各種の制御を行うための制御部218が設置されている。この制御部218は、相手機器に付与するための暗証情報を生成する暗証情報生成部を構成している。この制御部218は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータで構成され、電話機能部202等を用いた通話制御、Bluetooth 機能部204等を用いる音声やデータの送受制御、表示制御、データや音声の入出力制御、機能切換制御等の各種制御を行う。これらの制御は、ROMに格納されている制御プログラムの実行等により処理される。制御部218における機能切換制御には、例えば、携帯電話機2にヘッドセット4が接続(連係)された場合に、それに対応して携帯電話機2側の後述のマイクロフォン224、スピーカ228の機能を停止させ、ヘッドセット4による音声の入出力を可能にする等の機能切換えを含んでいる。【0022】また、データ保持部220は、登録情報等を格納する記憶部を構成し、登録すべき電子機器の機器名称等を表すデータが格納されている。これらのデータは制御部218により読み出されるとともに、データ保持部220には相手機器から取得したデータ等の新たなデータが格納される。このデータ保持部220は、電源を解除しても記憶内容を消失しないメモリとして例えば、フラッシュメモリで構成される。」
エ 「【0035】そして、携帯電話機2に対する機器登録では、Bluetooth 機能部204に制御部218から所定のコマンドを発行し、登録対象の電子機器であるヘッドセット4から機器アドレス等の情報を取得する。携帯電話機2では、取得した機器アドレスを用いて、ヘッドセット4から機器名称を取得し、データ保持部220に予め保持してある登録対象の機器名称との比較を行なう。機器名称が一致している場合には、ヘッドセット4の機器アドレスから暗証番号を生成し、この暗証番号を認証情報に利用する。一方、ヘッドセット4から取得した機器名称が、携帯電話機2のデータ保持部220の登録対象である機器名称と異なる場合には、ユーザに暗証番号の入力を求め(促し)、ユーザが入力した暗証番号を使用して認証を行なう。」
(2)前記(1)の記載によれば、引用文献4には次の技術(以下、「文献4技術」という。)が記載されていると認められる。
「相手機器との機能連係を登録によって樹立させる電子機器であって(【0001】)、機能的な連係関係を確立するための第1の電子機器として携帯電話機2が用いられ、第2の電子機器としてヘッドセット4が用いられ(【0017】)、データ保持部220は、登録情報等を格納する記憶部を構成し(【0022】)、携帯電話機2に対する機器登録では、Bluetooth 機能部204に所定のコマンドを発行し、登録対象の電子機器であるヘッドセット4から機器アドレス等の情報を取得し、携帯電話機2では、取得した機器アドレスを用いて、ヘッドセット4から機器名称を取得し、データ保持部220に予め保持してある登録対象の機器名称との比較を行なう(【0035】)、電子機器。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア(ア)引用発明の「照明装置1」が本願発明1の「照明機器」に相当することは明らかである。
(イ)引用発明の「調光率の上げ下げを指示するための「明るく」ボタン55および「暗く」ボタン56」は、「照明装置1」の調光率の変更を指示するためのボタンである。
(ウ)引用発明の「リモコン50」は、「各ボタンの入力指示を受けて」「各ボタンに応じた送信信号を赤外線信号として照明装置1に出力」するから、引用発明の「「明るく」ボタン55および「暗く」ボタン56」が操作されると、「リモコン50」の「信号送信部84」はそれに応じた送信信号を「照明装置1」に出力する。
引用発明の「「明るく」ボタン55および「暗く」ボタン56」の操作によって「信号送信部84」から出力される前記送信信号は、前記(イ)によれば「照明装置1」の調光率の変更を指示する信号であるから、照明制御に関する制御値を変更する信号であって、本願発明1の「照明機器に、照明制御に関する制御値を変更する信号」に相当する。
(エ)引用発明では、「ユーザが「お気に入り登録1」ボタン71または「お気に入り登録2」ボタン73を押下することにより、お気に入り登録モード指示がリモコン50から出力され」、「照明装置1のCPU22」は、「「お気に入り登録1」ボタン71または「お気に入り登録2」ボタン73の入力指示を受け付けると、その入力指示を受け付けた時点の調光率を、メモリ29のお気に入りボタンに応じた記憶領域に書き込」む動作が行われ、該動作によって「「お気に入り1」および「お気に入り2」のそれぞれについて、調光率が登録され」る。
前記動作における「入力指示を受け付けた時点の調光率」は、本願発明1の「現在の制御値」に相当し、前記動作によって登録された「調光率」は、後述のイのとおり、本願発明1の「デフォルトの制御値」に相当する。
そうすると、引用発明の「お気に入り登録モード指示」は、本願発明1の「現在の制御値を照明制御に関するデフォルトの制御値とする制御値変更信号」に相当する。
(オ)引用発明の「お気に入り登録モード指示」は、「「お気に入り登録1」ボタン71または「お気に入り登録2」ボタン73を押下することにより」「リモコン50から出力され」るものである。
引用発明の「「お気に入り登録1」ボタン71」及び「「お気に入り登録2」ボタン73」は、「操作SW88」に設けられたものであり、引用発明は「操作SW88における各ボタンの入力指示を受けて」「信号送信部84」が「各ボタンに応じた送信信号を赤外線信号として照明装置1に出力」するのであるから、引用発明の「お気に入り登録モード指示」は、「信号送信部84」から送信されるものである。
そして、前記(ウ)のとおり、「照明装置1」の調光率の変更を指示する信号も「信号送信部84」から送信される。
そうすると、引用発明の「送信信号部84」は本願発明1の「送信部」に相当し、本願発明1と引用発明とは「照明機器に、照明制御に関する制御値を変更する信号と、現在の制御値を照明制御に関するデフォルトの制御値とする制御値変更信号と、を送信する送信部」を備える点で一致する。
イ 引用発明では「入タイマモードにおける調光率をお気に入り登録モードにて登録した調光率での点灯状態にて点灯するように設定できる」から、「入タイマモード」での点灯開始時の調光レベルは「お気に入り登録モードにて登録した調光率」となる。
よって、引用発明の「お気に入り登録モードにて登録した調光率」は、本願発明1の「前記照明機器の点灯開始時の調光レベルを示し、ユーザが任意に設定可能な値」であるといえる。この意味で、引用発明の「お気に入り登録モードにて登録した調光率」は、本願発明1でいう「デフォルトの制御値」に相当する。
そうすると、本願発明1と引用発明とは「前記デフォルトの制御値は、前記照明機器の点灯開始時の調光レベルを示し、ユーザが任意に設定可能な値である」点で一致する。
ウ 引用発明の「リモコン50」は「照明装置1」を操作するものであるから、本願発明1の「制御装置」に対応する。
エ 前記ア~ウによれば、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
〈一致点〉
「 照明機器に、照明制御に関する制御値を変更する信号と、現在の制御値を照明制御に関するデフォルトの制御値とする制御値変更信号と、を送信する送信部を備え、前記デフォルトの制御値は、前記照明機器の点灯開始時の調光レベルを示し、ユーザが任意に設定可能な値である、制御装置。」である点。
〈相違点〉
本願発明1は「前記照明機器から、デフォルトの制御値と現在の制御値とを受信する受信部」及び「前記デフォルトの制御値と、前記現在の制御値と、を表示する表示部」を備えるのに対し、引用発明はそのような「受信部」及び「表示部」を備えない点。
(2)相違点についての判断
前記(1)エの相違点について検討する。
ア 照明機器に対する制御装置において、照明機器のデフォルト制御値及び現在の制御値を受信する構成を設けることは、以下の(ア)~(オ)のとおり、引用文献2~4のいずれにも記載がなく、かつ、周知技術であるとも認められない。
(ア)文献2技術は、そもそも、照明機器の制御に関するものではない。
上記はおくとしても、文献2技術ではデフォルトの制御値と現在の設定値とを表示しているものの、引用文献2には、これらの値を遠隔の機器から受信することについては記載がない。
そうすると、引用文献2によって周知技術であるといえるのは、デフォルトの制御値と現在の制御値とを表示する技術に過ぎず、両制御値を制御装置が照明機器から受信することが周知であるとまでは認められない。
(イ)文献3技術は、照明装置をタブレット端末でコントロールするものであり、照明装置は前回に設定された調光データ(本願発明1でいう「デフォルトの制御値」に対応)を照明装置のメモリ部に格納しており、タブレット端末が照明装置から故障データを受信しているが、引用文献3には、照明装置が格納する「前回に設定された調光データ」及び現在の調光データがタブレット端末で受信されることについては記載がない。
(ウ)文献4技術は、そもそも、照明機器の制御に関するものではない。
上記はおくとしても、文献4技術では携帯電話機2がヘッドセット4から機器アドレス及び機器名称を取得するものの、引用文献4は、デフォルトの制御値と現在の制御値とを遠隔の機器から受信することについては記載がない。
(エ)文献3技術及び文献4技術は共にBluetoothを利用するものであり、特に、文献4技術はBluetoothにおける一般的な機器登録に関するものと認められるから、文献3技術においても文献4技術のような機器登録が行われると認められる。
しかしながら、Bluetoothにおける機器登録において、デフォルトの制御値及び現在の制御値を受信することは周知技術でもなければ技術常識でもない。
(オ)その他の引用文献2~引用文献4の記載事項及び技術常識を考慮しても、照明機器の制御装置において、デフォルトの制御値と現在の制御値とを制御装置が照明機器から受信することは周知であるとは認められない。
イ その他、引用発明に前記(1)エの相違点に係る構成を導入することが容易であることを示す文献は存在しない。
ウ 前記ア及びイによれば、本願発明1は、当業者といえども引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2~8について
(1)本願発明2~6は、いずれも、請求項1を引用して特定される発明であるから、前記1(1)エの相違点を含む。
したがって、前記1(2)のとおりであるから、本願発明2~6は、いずれも、当業者といえども引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)本願発明7は、本願発明1を制御装置で動作するプログラムとして特定したものであり、「前記照明機器から、デフォルトの制御値と現在の制御値とを受信する機能」を発明特定事項として含むから、前記1(1)エと同様の相違点を含む。
したがって、前記1(2)と同様の理由により、本願発明7は、当業者といえども引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本願発明8は、本願発明1の制御装置と照明機器とを備えるシステムの発明であるから、前記1(1)エの相違点を含む。
したがって、前記1(2)のとおりであるから、本願発明8は、当業者といえども引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1~8は、当業者といえども引用発明に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-009832