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特許拒絶査定不服審判

2021-009543

自動運転車両のテスト方法、装置及び記憶媒体

審判番号
2021-009543
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-131142
請求日
2021年07月16日
審決日
2022年04月11日
公報発行日
2022年09月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッド
  • 【請求人代理人】早川 裕司
  • 【請求人代理人】村雨 圭介
審判長/審判官
  • 審判長 三崎 仁
  • 審判官 樋口 宗彦
  • 審判官 蔵田 真彦
分類
P18 .121-Z (G01M) / P18 .113-Z (G01M) / P18 .575-Z (G01M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-131142「自動運転車両のテスト方法、装置及び記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔令和2年3月19日出願公開、特開2020-42014〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1.手続の経緯 本願は、令和元年7月16日(パリ条約による優先権主張2018年9月7日、中国)の出願であり、令和2年7月31日付けで拒絶理由が通知され、同年11月4日に意見書及び手続補正書(この補正書による補正を以下「審査時補正」という。)が提出され、令和3年3月5日付けで拒絶査定がなされ、同年7月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書(以下「本件補正書」といい、これによる補正を「本件補正」という。)の提出がなされたものである。 第2.本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1~16の記載を含む補正であり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、審査時補正により補正された下記(1)のものから、下記(2)のものへと補正された。ここで、各構成単位冒頭の「pA」などは当審で付した分説番号であり、以下該各構成単位について該分説番号を用いて「構成pA」などという。 (1)審査時補正により補正された請求項1(拒絶査定時の請求項1) 審査時補正により補正された請求項1(拒絶査定時の請求項1;以下、「査定時請求項1」という。)は次のとおりである。 「pA 自動運転車両の検出情報を取得するステップであって、 pB 前記検出情報は前記自動運転車両における検出装置が前記自動運転車両をテストする際に得られたテスト結果を示すために用いられるステップと、 pC 前記検出情報に基づき、テストインターフェースを生成して表示するステップと、を含み、 pD 前記テストインターフェースは、 pD1 車両環境表示インターフェースを含むとともに、 pD2 監視アラーム表示インターフェース、デバッグ問題記録インターフェース、及び経路表示インターフェースのうちの少なくとも1つを含み、 pE 前記車両環境表示インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程における周囲の環境を表示するために用いられ、 pF 前記監視アラーム表示インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程におけるアラーム情報を表示するために用いられ、 pG 前記デバッグ問題記録インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程におけるデバッグ問題情報を表示し記録するために用いられ、 pH 前記経路表示インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程における経路情報を表示するために用いられることを特徴とする pI 自動運転車両のテスト方法。」 (2)本件補正により補正された請求項1 本件補正により補正された請求項1(以下「本件補正請求項1」という。)は次のとおりである。下線は補正箇所を示す。 「A 自動運転車両の検出情報を取得するステップであって、 B 前記検出情報は前記自動運転車両における検出装置が前記自動運転車両をテストする際に得られたテスト結果を示すために用いられるステップと、 C 前記検出情報に基づき、テストインターフェースを生成して表示するステップと、を含み、 D 前記テストインターフェースは、 D1 車両環境表示インターフェースを含むとともに、 D2 デバッグ問題記録インターフェース、 D3 経路表示インターフェース及び D4 監視アラーム表示インターフェースを含み、 E 前記車両環境表示インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程における周囲の環境を表示するために用いられ、 F 前記監視アラーム表示インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程におけるアラーム情報を表示するために用いられ、 G 前記デバッグ問題記録インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程におけるデバッグ問題情報を表示し記録するために用いられ、 H 前記経路表示インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程における経路情報を表示するために用いられることを特徴とする I 自動運転車両のテスト方法。」 2 補正の適否 (1)本件補正 本件補正は、審査時補正により補正された請求項1の構成pD2において「テストインターフェース」として択一的(並列的)に特定されていた「監視アラーム表示インターフェース」、「デバッグ問題記録インターフェース」、「経路表示インターフェース」なる3つのインターフェースについて、構成D2~D4として、直列的な特定に変更するものである。 (2)新規事項の有無についての検討 ア 上記(1)で説示したとおり、本件補正において直列的な特定事項とされた3つのインターフェースはいずれも、本件補正前の請求項1の構成pD2において「少なくとも1つを含」むとして択一的に特定されていたものであるから、該特定には、該3つのインターフェースを全て備える態様も含まれていたたといえる。 イ また、願書に最初に添付された明細書(以下「本願明細書等」という。)の【0037】にも、「本願の実施例に関するテストインターフェースは該自動運転車両が路上走行テスト過程におけるテスト情報を表示するために用いられる。選択可能に、該テストインターフェースは、車両環境表示インターフェース、監視とアラーム表示インターフェース、デバッグ問題記録インターフェース、経路表示インターフェースの少なくとも1つを含んでよいが、これに制限されない。」と、前記3つのインターフェースを「少なくとも1つを含」むことが記載されており、上記アと同様に、該3つのインターフェースを全て備える態様が記載されていたといえる。 ウ 以上のとおりであるから、本件補正は新規事項を追加するものではない。 (3)補正の目的要件違反についての検討 上記(1)で説示したとおり、本件補正は、本件補正前の請求項1における複数の特定事項についての択一的(並列的)記載を直列的記載に変更するものであるから、発明を特定するための事項の直列的付加に該当する。 また、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であることは明らかである。 よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 一方、本件補正により、もうひとつの独立請求項である請求項8についても同様の補正がなされている。この補正事項についても、上記と同様の理由により、新規事項を加入するものではなく、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3 本件補正発明の独立特許要件についての検討 そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1~16に係る発明は、その請求項1~16に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。 (1)本件補正発明について 上記1(2)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献1に記載された事項 原査定の拒絶理由において提示された、本願の優先日前に公知となった特開2015-184243号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 明細書の記載事項 「【0024】 移動体40は、電気で駆動され自動走行可能な車両であり、かつ、自動運転に関する周知のシステムを備えた電気自動車であり、管理サーバ10から受信した配車指示情報に示された日時において、配車指示情報に示されたルートを自動運転により運行する。また、移動体40は、移動体の現在位置、目的地、電池残量を示す情報を含む移動体情報を管理サーバ10に送信する。また、移動体40は、電池残量が所定値以下となった場合、最寄りの充電ステーション90で充電する。充電ステーション90は、移動体40が配車される地域において、例えば、所定範囲毎に設けられ、複数台の移動体40が同時に充電できる構成を備える。なお、充電ステーション90は、例えば、移動体40を利用するユーザの自宅や、サービサの店舗に、1台用として簡易的に設けてもよい。なお、移動体40は、他の移動体40とも相互に無線通信が可能である。」 「【0026】 上記した交通システム1のサブシステムである以下に説明する車両状態診断システム(図5の符号100)では、移動体40の電池残量及びその他車載装備の状態を含む車両状態を車両内部のセンサに基づく診断と、走行ルート(道路)上に各種診断地点を設定し、実走行に基づく車両状態の診断を行う。」 「【0028】 そのため、移動体40は、車両状態を移動体40の駆動部内に設けられた複数の駆動系診断センサを用いて診断を行い、更に、自動運転車両に必要不可欠な車載装備品(例えば、ライトや充電池等)の診断を行う。また、管理サーバ10は、移動体40が有するGPSセンサ等によって得られる位置情報、稼動情報、及び自ら生成する配車情報に基づき、移動体40の位置情報、及び走行ルートを特定し、移動体40が走行する地域の道路情報を外部システム(図5の符号60)から取得する。なお、配車情報とは、移動体40を配車する位置を示す配車位置情報と、移動体40を配車する時間を示す配車時間情報を含む情報等をいう。また、道路情報とは、道路上の交通規則(道路の制限速度、一時停止等)や信号機の状態(点灯、点滅状態)、道路状態(登坂路、降坂路、クランク、S字カーブ、悪路等)のことをいう。また、外部システムは、道路に関連する各種情報を管理しており、例えば、渋滞や交通規制の情報であれば、道路交通情報通信システムであり、信号情報であれば、交通管制センターの情報通信システムである。 【0029】 管理サーバ10は、取得した道路情報に基づき、移動体40の走行ルート上で移動体40の車両状態を診断可能な診断地点を決定し、決定した診断地点を繋いで移動体40に対する診断ルートを設定する。移動体40は、設定された診断ルートを管理サーバ10から受信し、診断ルート内の診断地点ごとに診断を行い、その診断結果を管理サーバ10へ送信する。」 「【0033】 移動体40は、管理サーバ10からの配車指示に従い、配車先へ向かう途中、配車先での移動途中、又は配車先から帰還する途中に、それぞれの移動における余裕時間及び電池残量に応じて走行可能な診断地点を決定し走行する。このようにすることで、移動体40は、管理サーバ10が設定した診断ルートに従うだけでなく、自らの判断で、移動途中の各段階において、自らの移動スケジュールの余裕時間、電池残量に応じて診断地点を選択し、診断することが可能となる。このため、移動体40の実際の運行の妨げにならず、従って、効率のよい配車が可能となる。なお、移動体40は、診断ルートの走行を、管理サーバ10からの指示に従い又は自発的に、定期的に若しくは不定期に行ってもよい。このように自動走行中に診断を行うため、人による点検は必要とせず、人件費の削減、及びメンテナンスに要する時間も削減される。 【0034】 なお、診断地点は、一定速度以上で走行可能な直線路、所定角度以上の登坂路又は降坂路、信号のある交差点、一時停止地点、横断歩道、信号のない交差点、踏切、悪路、クランク、S字カーブ、車載音響装置の診断試験が可能な場所のうち少なくともいずれか1つを含むものとする。 【0035】 例えば、図4は、上記の診断地点のうちのいくつかに地点のイメージを示した図である。図4(a)に示すように、移動体40は、診断地点として設定された信号機が設置された道路を走行し、後述するカメラ(撮像部)でその信号機を撮影し、その撮像情報を管理サーバ10へ送信することにより、管理サーバ10からその診断結果を受信することができる。図4(b)では、移動体40は、診断地点として設定された踏切を走行し、カメラで該当する踏切を撮影し、画像認識を行うとともに、ブレーキセンサによるブレーキ状態を検知し、これら情報を管理サーバ10へ送信し、管理サーバ10から一時停止の診断結果を受信することができる。また、図4(c)に示すように、移動体40は、診断地点として設定された降坂路を走行し、内蔵されている後述する駆動手段のブレーキ状態を検知し、その結果を管理サーバ10へ送信し、管理サーバ10からその診断結果を受信することができる。また、図4(d)に示すように、移動体40は、診断地点として設定されたクランクを走行させ、後述する駆動手段のステアリング状態及びブレーキ状態を検知し、その検知結果を管理サーバ10へ送信し、管理サーバ10からその診断結果を受信することができる。また、移動体が各種診断試験をした時間と、該当する映像の記録時間を照合して、その正当性を管理サーバ10側から確認するなどしてもよい。」 「【0038】 (移動体の構成)移動体40は、車両状態検知部41と、駆動手段42と、移動体情報取得部43と、ライト44と、充電池45と、スピーカ46と、マイク47と、カメラ48(撮像部)と、表示部49とを備える。以下、各構成について順に説明する。 ・・・ 【0041】 また、管理サーバ10によって設定された診断ルート内の各診断地点でも同様に車両診断を行い、その診断結果を診断情報データベース(以降、診断情報DB101)に格納するとともに、管理サーバ10へその診断結果を送信する。 【0042】 図6(b)に示すように、例えば、所定速度以上で走行可能な直線路では、駆動部42aに内蔵の速度センサ及び画像認識機能をもつ、カメラ48によって診断される。診断上問題なければ、「OK」と表示され、異常の場合は「NG」と表示される。 【0043】 駆動手段42は、駆動部42aと、駆動系診断センサ42bから構成される。駆動部42aは、移動体40が電気で駆動するために必要な構成部品(バッテリー、インバータ、モータ、ブレーキ等)を有している。また、駆動手段42は、自動運転に必要な、GPS(Global Positioning Systems)センサ、移動体40の走行環境を検知する周囲監視センサ、GPSセンサ及び周囲監視センサからの情報に基づき車輪を操舵するアクチュエータ等を備える。 ・・・ 【0045】 移動体情報取得部43は、移動体40の移動スケジュールを管理するスケジュール管理部43aと、GPSセンサ等により移動体40の位置情報を検出する位置情報取得部43bとから構成される。 【0046】 スケジュール管理部43aは、稼動状況や稼働スケジュール、例えば稼動の有無(運行中、待機中、充電ステーションで充電中等)、運行時に関しては目的地及び目的地到着時間等を管理する。位置情報取得部43bは、GPSセンサ等により移動体40の現在地を検出(取得)する。 ・・・ 【0051】 表示部49には、エンジン起動後、又はユーザの乗車時に最新の診断結果が表示される。例えば、図10(a)に示すように、車両状態検知部41で診断した結果と、診断ルートを走行して得られた診断結果とが表示され、したがって、ユーザは、車両状態を目視確認できるため、自動走行する移動体40に対する信頼度が増大する。」 「【0052】 (管理サーバの構成)例えば、図5に示すように、管理サーバ10は、道路情報取得部11と、診断地点決定部12と、診断ルート設定部13と、車両状態収集部14と、診断結果収集部15と、移動体情報収集部16と、配車指示部17とを備える。 ・・・ 【0056】 車両状態収集部14は、移動体40の車両状態検知部41によって受信された各移動体40の車両状態情報を取得し、その情報から移動体40の車両状態の正常性を判定し、結果を併せて診断情報データベース201(以降、診断情報DB201という)へ格納する。 ・・・ 【0059】 また、図7(b)に示すように、診断情報DB201は、各移動体40の移動体ID、診断地点の走行時に必要とする各機能センサの車両状態が記憶される。例えば、図6(b)に示す、診断地点を走行した結果、全てが正常に稼動していると判定された場合、移動体No.0001は、速度センサ、ブレーキセンサ、ステアリングセンサ、サスペンションセンサ、音響状態、画像認識が全て「OK」と表示される。なお、移動体No.0003のように、ブレーキセンサがNGと判定された場合は、直ちに管理サーバ10の指示の元、メンテナンス工場に出向する。」 「【0067】 管理サーバ10の診断地点決定部12は、取得した道路情報から走行ルート上の診断地点を決定する(ステップS107)。次に、診断ルート設定部13は、決定された診断地点を繋いで移動体40に対する診断ルートを設定する(ステップS108)。管理サーバ10は、決定した診断ルート及び診断ルート内の診断地点を移動体40へ送信し(ステップS109)、移動体40は、取得した診断ルートの情報を受信し、走行することで診断地点ごとに診断を行う(ステップS110)。移動体40は、診断地点ごとに診断結果を診断情報DB101に格納し、その診断結果を管理サーバ10へ送信する(ステップS112)。診断結果を受信した診断結果収集部15は、その診断結果を診断情報DB201に格納する。次に、管理サーバ10は、移動体40が診断ルートの情報を元に走行することにより、移動体情報収集部16で取得した位置情報とカメラ48の映像によって得られた情報に基づき、管理サーバ10側から見た診断結果を生成する。図10(b)に示すように、移動体40の位置情報とカメラの画像認識機能を用いることで、各診断地点の診断が可能となるため、管理サーバ10上のディスプレイに各診断結果が表示される。このようにすることで、移動体40の内部診断と管理サーバ10側からの外部診断が可能となり、自動走行車両の信頼性の向上に繋がる。」 イ 図面の記載事項 図面には次の記載がある。 ・図6 「 [図:0001388009000001.jpg] 」 ・図10 「 [図:0001388009000002.jpg] 」 ウ 看取・認定事項 (看取事項ア)図10(a)は、【0051】の記載によれば、移動体の表示部に表示される診断結果の表示例を示すものであり、この表示例においては、「診断結果」なる題名が表示され、「内部診断」なる項目名の記載に続き「ブレーキ OK」、「ステアリング OK」、「タイヤ空気圧 OK」、「駆動系温度 OK」などが列記され、「外部診断」なる項目名の記載に続き、「信号認識 OK」・「一時停止線 OK」、「画像認識 OK」などが列記され、下部には「総合結果」なる項目名に続き「良好!!」と表示されていることを読み取ることができる。 (看取事項イ)図10(b)は、【0067】の記載によれば、移動体の位置情報とカメラの画像認識機能を用いて各診断地点の診断を行い、その診断結果を管理サーバ上のディスプレイに表示したものであり、診断地点の道路条件に応じ、例えば「登坂路」の診断地点については「加速機能正常確認 OK」、「降坂路」の診断地点については「ブレーキ機能正常確認 OK」との診断結果が表示され、また、総合結果として「良好!!」と表示されていることを読み取ることができる。 エ 引用文献1に記載された発明(引用発明) 以上ア~ウの記載事項及び看取・認定事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。ここで、分説番号については上記1と同様である。また、各構成単位末尾等の括弧内には、認定の根拠となる記載箇所、または上記ウで認定した看取事項の番号を記した。 「a 電気で駆動され自動走行可能な車両であり、かつ、自動運転に関する周知のシステムを備え、管理サーバからの配車指示情報に従い自動運転により運行する電気自動車である移動体の、 駆動部内に設けられた複数の駆動系診断センサを用いて、診断ルート内の診断地点ごとに診断を行うステップであって、移動体は、診断ルートの走行を管理サーバからの指示に従い又は自発的に、定期的に若しくは不定期に行うものであるステップと、(【0024】、【0028】、【0033】) b 移動体に走行ルート上に設定された各種診断地点を走行させ、(【0026】) 例えば移動体は診断地点として設定された踏切を走行し、カメラで該当する踏切を撮影し、画像認識を行うとともに、ブレーキセンサによるブレーキ状態を検知し、これら情報を管理サーバへ送信し、管理サーバから一時停止の診断結果を受信し、(【0035】) 表示部に最新の診断結果を表示するステップとを備え、(【0051】) c 前記表示するステップは、表示部に、車両状態検知部で診断した結果と、診断ルートを走行して得られた診断結果とを、車両状態を目視確認できるように表示するものであり、(【0051】) d1 移動体は、移動体の走行環境を検知する周囲監視センサを備え、該周囲監視センサの情報に基づき車輪を操舵するものであり、(【0038】、【0043】) 例えば、移動体は付属のカメラで、診断地点で設定された対象物である信号機を撮影し、撮像情報を管理サーバへ送信し、該管理サーバから診断結果を受信し、(【0035】) 移動体の表示部に、外部診断の診断結果として「信号認識 OK」、「障害物検知 OK」などと表示し、(【0038】、【0051】、図10(a)、看取事項ア) d2 移動体は、診断地点ごとに診断結果を診断情報データベースDB101に格納し、診断結果を管理サーバへ送信し、 診断結果を受信した管理サーバは、その診断結果を診断情報データベースDB201に格納し、 各診断地点の車両状態診断結果を、管理サーバ上のディスプレイに表示し、(【0067】) 該表示には例えば、「登坂路」の診断地点については「加速機能正常確認 OK」、「降坂路」の診断地点については「ブレーキ機能正常確認 OK」との診断結果が表示され、(図10(b)、看取事項イ) d3 移動体はGPSセンサを備え、現在地の検出を行うものであり(【0028】、【0046】) d4 移動体の表示部に表示される診断結果、及び管理サーバのディスプレイに表示される車両状態診断結果では、「ブレーキ」、「タイヤ空気圧」、「駆動系温度」、「障害物検知」、「画像認識」など各項目ごとに「OK」との表示がなされるとともに、「総合結果」として「良好!!」なる表示がなされ、(図10、看取事項ア・イ) i 自動運転に関する周知のシステムを備え、管理サーバからの配車指示情報に従い自動運転により運航する電気自動車である移動体に、診断ルートを走行させ、診断ルート内の診断地点ごとに車両状態の診断を行う方法。(【0024】、【0026】、【0028】)」 (3)対比 ア(ア)構成aの「電気で駆動され自動走行可能な車両であり、かつ、自動運転に関する周知のシステムを備え、管理サーバからの配車指示情報に従い自動運転により運行する電気自動車である移動体」は、構成Aの「自動運転車両」に相当する。 (イ)構成aの「移動体の、駆動部内に設けられた複数の駆動系診断センサを用いて、診断ルート内の診断地点ごとに診断を行う」ことは、構成Aの「検出情報を取得する」ことに相当する。 (ウ)以上から、構成aは構成Aに相当する。 イ(ア)構成bの「カメラ」・「ブレーキセンサ」はともに構成Bの「前記自動運転車両における検出装置」に相当する。 (イ)構成bで、「移動体は診断地点として設定された踏切を走行」するときは、構成Bの「自動走行車両をテストする際」に相当する。 (ウ)構成bの「一時停止の診断結果」は、構成Bの「テスト結果」に相当する。 (エ)構成bの「表示部に最新の診断結果を表示する」ことは、構成Bの「テスト結果を示す」ことに相当する。よって、構成bで、「管理サーバから」「受信し」た「一時停止の診断結果」は、「テスト結果を示すために用いられる」といえる。 (オ)以上から、構成bは構成Bに相当する。 ウ(ア)構成cの「車両状態検知部で診断した結果と、診断ルートを走行して得られた診断結果」は、構成aの「駆動部内に設けられた複数の駆動系診断センサを用いて、診断ルート内の診断地点ごとに診断を行」った結果の情報であるから、上記ア(イ)も踏まえ、構成Cの「前記検出情報」に相当する。 (イ)構成cの「車両状態を目視確認できるように表示する」ことは、構成Cの「テストインターフェースを生成して表示する」ことに相当し、ここでの「車両状態を目視確認できるよう」な「表示」は、構成C・Dの「テストインターフェース」に相当する。 (ウ)以上から、構成cは構成Cに相当する。 エ(ア)構成d1の「診断地点」は、上記イ(イ)で説示したとおり、本件補正発明における「自動走行車両をテストする際」に走行する地点に相当するのであるから、構成d1で「診断地点で設定された対象物である信号機を撮影」するタイミングは、構成Eの「自動運転車両のテスト過程」に相当する。 (イ)上記(ア)により、構成d1において移動体が「付属のカメラ」で撮影対象とされる「診断地点で設定された対象物である信号機」は、構成Eの「自動運転車両のテスト過程における周囲の環境」に相当するといえる。 (ウ)構成d1において、「移動体の表示部」に《外部診断の診断結果として「信号認識 OK」・・・などと表示》されることは、「付属のカメラ」で診断地点において信号機が撮影されたこと、すなわち、該診断地点に信号機が存在するとの情報を少なくとも含むといえるから、構成Eにおける「周囲の環境を表示」することと、少なくとも周囲の環境についての情報を表示する点で共通するといえる。 (エ)よって、構成d1における「移動体の表示部」に対する表示は、少なくとも「前記自動運転車両のテスト過程における周囲の環境」の情報「を表示するために用いられ」るものである点で、構成D1・Eの「車両環境表示インターフェース」と共通する。 オ(ア)構成D2及びGにおける「デバッグ問題」の定義について、本願明細書等に特段の説明が見いだせない。 (イ)a.一方、「デバッグ」とは一般に、プログラム上の欠陥(バグ)を発見・修正することを意味する技術用語である。 b.また、「デバッグ問題」なる用語が当該分野において、特段の説明を要さずとも上記(イ)以上に限定的な何らかの技術事項を意味するともいえない。 c.また、装置の動作を司るプログラムに欠陥(バグ)がある場合、当該装置が正常に動作・機能しないといった症状をきたすこととなるのが技術常識である。 (ウ)構成d2における「各診断地点の車両状態診断結果」は、上記エ(ア)と同様の理由により、構成Gの「自動運転車両のテスト過程にお」いて得られたものにあたるといえる。 (エ)構成d2の《例えば、「登坂路」の診断地点については「加速機能正常確認 OK」、「降坂路」の診断地点については「ブレーキ機能正常確認 OK」との診断結果》は、「登坂路」及び「降坂路」なる各診断地点において、移動体の「加速機能」や「ブレーキ機能」が正常に作動したか否かを示す情報であるといえる。 (オ)そうすると、構成d2において、移動体の「加速機能」や「ブレーキ機能」なる各機能が正常に動作したか否かを示す情報にあたる上記「診断結果」は、該診断結果に異常がある場合に、少なくとも移動体の動作を司るプログラムに欠陥が存在する可能性が想定される、デバッグに関係する情報である点で、構成D2・Gの「デバッグ問題(情報)」なる情報と共通するといえる。 (カ)また、構成d2において、「診断結果」の「診断情報データベースDB201に格納」すること、「管理サーバ上のディスプレイに表示」することは、それぞれ、構成D2・Gの「デバッグ問題」の「記録」、「表示」に対応するといえる。 カ(ア)構成D4及びFの「監視アラーム表示インターフェース」について、本願明細書等の【0056】には「監視アラーム表示インターフェースは自動運転車両のテスト過程におけるアラーム情報( 例えば動作が異常である部品情報及び/ 又は障害物情報等) を表示するために用いられ」なる説明がなされている。この説明によれば、構成D4の「監視アラーム」とは、「動作が異常である部品情報及び/ 又は障害物情報等)」と例示される情報を指すと理解される。 (イ)そうすると、構成d4における、《「ブレーキ」、「タイヤ空気圧」、「駆動系温度」、「障害物検知」、「画像認識」など各項目ごとに》なされる《「OK」との表示》は、「ブレーキ」・「タイヤ」・「駆動系」等の移動体の各種部品について、「OK」すなわち正常であることを示す情報にほかならないから、構成D4及びFの「監視アラーム」に相当し、構成d4における「移動体の表示部」に対する該表示は、構成D4及びFの「前記自動運転車両のテスト過程におけるアラーム情報を表示するために用いられ」る「監視アラーム表示インターフェース」に相当するといえる。 (ウ)以上のとおりであるから、構成d4は構成D4及びFからなる構成に相当する。 キ 構成iの「自動運転に関する周知のシステムを備え、管理サーバからの配車指示情報に従い自動運転により運航する電気自動車である移動体に、診断ルートを走行させ、診断ルート内の診断地点ごとに車両状態の診断を行う方法」は、上記ア・イの説示事項も考慮すれば、構成Iの「自動運転車両のテスト方法」に相当するといえる。 (4)一致点・相違点 上記(3)の対比の結果、本件補正発明と引用発明とは、下記アの点で一致し、下記イの各点で相違する。 ア 一致点 「A 自動運転車両の検出情報を取得するステップであって、 B 前記検出情報は前記自動運転車両における検出装置が前記自動運転車両をテストする際に得られたテスト結果を示すために用いられるステップと、 C 前記検出情報に基づき、テストインターフェースを生成して表示するステップと、を含み、 D 前記テストインターフェースは、 D1’ 少なくとも周囲の環境についての情報を表示する表示インターフェースを含むとともに、 D2’ デバッグに関係する情報の記録インターフェース、 D4 監視アラーム表示インターフェースを含み、 E’ 前記少なくとも周囲の環境についての情報を表示する表示インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程における周囲の環境についての情報を表示するために用いられ、 F 前記監視アラーム表示インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程におけるアラーム情報を表示するために用いられ、 G’ 前記デバッグに関係する情報の記録インターフェースは、前記自動運転車両のテスト過程におけるデバッグに関係する情報を表示し記録するために用いられる、 I 自動運転車両のテスト方法。」 イ 相違点 (ア)相違点1(構成D1・E) 本件補正発明の「車両環境表示インターフェース」は文言上、車両環境自体(そのもの)についての表示との意味も含むのに対し、引用発明における対応構成では、《外部診断の診断結果として「信号認識 OK」、「障害物検知 OK」などと表示》するものであり、車両環境についての表示ではあるものの、(認識された)車両環境自体を表示するものではなく、周囲の環境についての判断の良否(成否)を表示するものである点。 (イ)相違点2(構成D2・G) 「デバッグに関係する情報の記録インターフェース」が表示し記録する対象が、本件補正発明では「デバッグ問題情報」であるのに対し、引用発明では、「登坂路」や「降坂路」などの診断地点における「加速機能」、「ブレーキ機能」が正常であるかを示す診断結果であり、移動体の「加速機能」や「ブレーキ機能」なる各機能が正常に動作したか否かを示す点で《デバッグに関係する情報》ではあるものの、本件補正発明の「デバッグ問題情報」に相当するか(構成d2の「表示」が構成D2の「デバッグ問題記録インターフェース」に相当するか)不明である点。 (ウ)相違点3(構成D3・H) 本件補正発明が「前記自動運転車両のテスト過程における経路情報を表示するために用いられる」「経路表示インターフェース」を備えるのに対し、引用発明は対応する構成を備えない点。 (5)相違点の検討 ア 相違点1について (ア)構成D1及びEにおいて表示対象とされる「周囲の環境」、これを表示する「車両環境インターフェース」、及び「車両環境」について、構成D1・Eの記載において特段の定義がなされていない。 (イ)「周囲の環境」及び「車両環境」について、本願明細書等には、構成Eよりも具体的な説明としては、下記a.~e.の記載が挙げられる。 a.「【0016】 1つの選択可能な実施形態において、前記検出情報は、レーザ検出装置が収集した第1情報、画像収集装置が収集した第2情報、レーダー感知装置が収集した第3情報のうちの少なくとも1つを含み、前記生成モジュールは、前記第1情報、前記第2情報及び前記第3情報の中の1種又は多種に基づき、前記車両環境表示インターフェースを生成するために用いられ、前記表示モジュールは、前記車両環境表示インターフェースを表示するために用いられる。」 b.「【0030】 例示的に、レーザ検出装置は正確な自動運転車両の周囲の環境の三次元マップを取得するように、自動運転車両の各方位をプリセット距離(例えば200フィート)を超える走査を行うために用いられる。画像収集装置は交通信号灯、歩道及び/又は自転車専用道路等の障害物に関する画像を収集するために用いられる。」 c.「【0056】・・・車両環境表示インターフェースは自動運転車両のテスト過程における周囲の環境(例えば自動運転車両の周囲の環境の3次元世界レンダリング図)を表示するために用いられ・・・」 d.「【0059】 本願の実施例において、検出情報に基づき、テストインターフェースを生成して表示するために可能な実施態様は、少なくとも以下の手段を含んでよい。1つの選択可能な実施形態として、検出情報が、レーザ検出装置が収集した第1情報、画像収集装置が収集した第2情報、レーダー感知装置が収集した第3情報の少なくとも1つを含む場合、テスターは自動運転車両のテスト過程における周囲の環境の3次元世界レンダリング図を確認できるように、第1情報、第2情報及び第3情報のうちの1種又は多種に基づき、車両環境表示インターフェースを生成して表示する。」 e.「【0073】 1つの選択可能な実施形態において、検出情報は、レーザ検出装置が収集した第1情報、画像収集装置が収集した第2情報、レーダー感知装置が収集した第3情報のうちの少なくとも1つを含み、生成モジュール302は、具体的に、第1情報、第2情報及び第3情報の中の1種又は多種に基づき、車両環境表示インターフェースを生成するために用いられ、表示モジュール303は、具体的に、車両環境表示インターフェースを表示するために用いられる。」 (ウ)a.上記(イ)a.~e.の各説明を参酌すると、「周囲の環境」の検出手段としては、レーザ、レーダ、及び画像収集装置すなわちカメラのいずれか1つの検出手段で足り((イ)a.等)、「車両環境表示インターフェース」は前記いずれか1つの検出手段の検出結果によって生成される場合が含まれる、つまり、例えば画像収集装置が収集した情報のみにより生成される場合が含まれると理解される。 b.そして、「画像収集装置」により収集される画像としては、上記(イ)b.において「画像収集装置は交通信号灯、歩道及び/又は自転車専用道路等の障害物に関する画像」が例示されている。 c.上記(イ)c.・d.の記載では、表示されるべき「周囲の環境」として「周囲の環境の3次元世界レンダリング図」が例示されているが、これについては、画像収集装置のみによって生成される旨の記載は本願明細書等の記載中に見いだせず、上記(イ)b.の「レーザ検出装置は正確な自動運転車両の周囲の環境の三次元マップを取得するように、自動運転車両の各方位をプリセット距離(例えば200フィート)を超える走査を行うために用いられる」なる記載からみて、「レーザ検出装置」により収集された情報を用いる場合に実現されるものと理解される。 d.また、上記(イ)a.の記載から、「車両環境表示インターフェースの生成」には、画像収集装置が収集した情報(すなわち画像)が「用いられ」ていれば足りると理解され、例えば画像そのものを表示することに限定されないと理解される。本願明細書等の図面を参照しても、そうした限定を根拠づける記載は見いだせない。 (エ)構成D1・Eにおいて、「周囲の環境」及び「車両環境」は文言上、車両の内部ではなくその周囲(外部)の事物の状況一般を指すと理解される。この理解は、本願明細書等に基づく上記(ウ)の理解と矛盾しない。 (オ)一方、構成d1において、「移動体の表示部」に「外部診断の診断結果として「信号認識 OK」・・・などと表示」されることは、「付属のカメラ」で診断地点において信号機が撮影されたこと、すなわち、該診断地点に信号機が存在するとの情報を少なくとも含むといえる。 (カ)以上のとおりであるから、構成d1において、「付属のカメラで、診断地点で設定された対象物である信号機を撮影し」たことに基づいて、「移動体の表示部」に「外部診断の診断結果として「信号認識 OK」・・・などと表示」することは、移動体のカメラによって移動体周囲における信号の存在が認識されたことを示す点で、構成Eの「自動運転車両のテスト過程における周囲の環境を表示」すること(に含まれる技術事項)に相当するということができる。 よって、構成d1における、移動体の表示部になされる前記《「信号認識 OK」・・・など》との《表示》は、構成D1・Eの「車両環境インターフェース」に相当する。 (キ)したがって、相違点1は実質的なものではない。 (ク)また、仮に、構成D1・Eの「車両環境表示インターフェース」が、認識された車両環境自体を表示するものに限定解釈されるとしても、以下のとおりである。 a.構成d1において《「信号認識 OK」》と表示されることは、認識されたものが信号であることを表示するものということができるから、依然として相違点1は実質的なものとはいえない。 b.引用発明は構成d1において、「例えば、移動体は付属のカメラで、診断地点で設定された対象物である信号機を撮影し、撮像情報を管理サーバへ送信」した上で「該管理サーバから診断結果を受信」し、「移動体の表示部に、外部診断の診断結果」を表示したり、「各診断地点の車両状態診断結果を、管理サーバ上のディスプレイに表示」(構成d2)したりしているのであるから、例えば「信号認識 OK」なる表示に付加的に、認識した信号機の撮像情報、すなわち画像を表示する程度のことは、保持する情報の単なる提示に過ぎないから、自動運転のテスト上の必要性に応じ当業者が適宜なし得る設計上の事項に過ぎない。よって、引用発明において相違点1の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項にすぎないといえる。 c.オペレータが遠隔地で管理する状態下で車両が自動運転される際に、該遠隔地のオペレータに対し、センサやソフトウェアの監視情報と合わせ、本件補正発明の「車両環境表示」に相当する、車載カメラによる前方や後方の画像を表示装置に表示することについては、本願優先日前に公知となった国際公開第2017/205278号にも下記(a)・(b)のとおり記載されているとおり、周知である。 このことに照らしても、引用発明において相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。 (a)(14頁20~30行)「 [図:0001388009000003.jpg] 」 ((当審訳: 「(H)車両オペレータまたはテレオペレータに多種多様な情報を提供するための、コンピュータシステムに接続され車両に搭載された(またはテレオペレータが使用するためにリモートに位置していてもよい)1つまたは複数の表示装置70。図18に示すように、いくつかの例では、この情報は、自車の前方の環境202のビデオ表示200と、例えば、本発明者らが本明細書に記載するシステムおよび技法を使用して自車のための安全な軌道を含むと特定された走行車線の、半透明のオーバーレイ、色つきの外形線、または他のフォーマットの形の、視覚的識別204とを含む。いくつかの例では、表示装置は、車両が後退ギアにある場合に、後退操縦を支援するために、または車両が前進ギアにある場合に、車両オペレータ(またはテレオペレータ)に車両の背後の交通を知らせるバックミラーと同様の機能を果たすために、車両の背後からのビデオ情報206も伝える。」) (b)図18(Fig.18) 「 [図:0001388009000004.jpg] 」 ((当審訳(個々の表記と対訳を順次記載):図中左欄「42%FUEL」(訳:「燃料42%」)、「COMM OK」(訳:「通信 OK」)、「MECH OK」(訳:「機構 OK」)、「SENSE OK」(訳:「センサ OK」)、「SOFT OK」(訳:「ソフトウェア OK」) イ 相違点2について (ア)本件補正発明における「デバッグ問題情報」の定義について、本件補正請求項1には特段の定義が記載されていない。 (イ)「デバッグ」の字義や「デバッグ」により発見・修正されるプログラム上のバグ(欠陥)の作用(影響)については、上記(3)オ(イ)で説示したとおりである。 (ウ)上記(3)オ(ウ)~(オ)で説示したとおり、構成d2の《例えば、「登坂路」の診断地点については「加速機能正常確認 OK」、「降坂路」の診断地点については「ブレーキ機能正常確認 OK」との診断結果》なる例示事項は、「登坂路」及び「降坂路」なる各診断地点において、移動体の「加速機能」や「ブレーキ機能」が正常に作動したことを示す情報であるといえる。 そして、引用文献1の【0059】には「速度センサ、ブレーキセンサ、ステアリングセンサ、サスペンションセンサ、音響状態、画像認識が全て「OK」と表示される。なお、移動体No.0003のように、ブレーキセンサがNGと判定された場合は、直ちに管理サーバ10の指示の元、メンテナンス工場に出向する。」なる記載があることから、構成d2に例示される「ブレーキ機能正常確認 OK」などの診断結果情報の「OK」の部分は、診断結果が「NG」であれば「NG」と表示されるものと理解される。 そうすると、前記例示事項は、「登坂路」及び「降坂路」なる各診断地点において、移動体の「加速機能」や「ブレーキ機能」が正常に作動したか否かを示す情報であると理解される。 上記(3)オ(イ)c.で説示したとおり、診断結果に異常がある場合には、少なくとも移動体の動作を司るプログラムに欠陥が存在する可能性が想定されるのであるから、前記情報は、各種機能の作動異常からプログラムの欠陥の可能性を示唆する情報である点で、構成D2・Gの「デバッグ問題」に少なくとも文言上相当するといえる。 よって、相違点2は実質的なものとはいえない。 (エ)また、本願明細書等には、「デバッグ問題(情報)」に関し、下記a.~f.の各記載がある。 a.「【0010】1つの選択可能な実施形態において、前記検出情報は情報入力装置が検出した第5情報を含み、前記検出情報に基づき、テストインターフェースを生成して表示する前記ステップは、前記第5情報に基づき、前記デバッグ問題記録インターフェースを生成して表示することを含む。 ・・・ 【0015】・・・前記デバッグ問題記録インターフェースは前記自動運転車両のテスト過程におけるデバッグ問題情報を表示し記録するために用いられ」 b.「【0033】 例示的に、情報入力装置はユーザーが入力した情報を検出するために用いられる。選択可能に、情報入力装置は、キーボード及び/又はタッチスクリーンを含んでもよいが、これらに制限されない。」 c.「【0038】・・・該デバッグ問題記録インターフェースは該自動運転車両がテスト過程でのデバッグ問題情報を表示及び記録するために用いられ」 d.「【0056】・・・デバッグ問題記録インターフェースは、テスターがデバッグ問題情報を容易に記録し確認できるように、自動運転車両のテスト過程におけるデバッグ問題情報を表示し記録するために用いられ」 e.「【0061】 もう1つの選択可能な実施形態として、検出情報が情報入力装置が検出した第5情報を含む場合、第5情報に基づき、デバッグ問題記録インターフェースを生成し表示する。 【0062】 本実施形態において、情報入力装置は第5情報を検出した場合(即ちテスターが情報入力装置によって自動運転車両のテスト過程におけるデバッグ問題情報を記録した場合)、テスターはデバッグ問題情報を容易に記録し確認できるように、第5情報に基づき、デバッグ問題記録インターフェースを生成し表示する。」 f.「【0075】 1つの選択可能な実施形態において、検出情報は情報入力装置が検出した第5情報を含み、生成モジュール302は、具体的に、第5情報に基づき、デバッグ問題記録インターフェースを生成するために用いられ、表示モジュール303は、具体的に、デバッグ問題記録インターフェースを表示するために用いられる。」 (オ)上記(エ)に挙げたうち、a.・b.・e.・f.の記載に含まれる「第5情報」に基づく「デバッグ問題記録インターフェース」の生成についての実施形態は、本件補正により補正された請求項4における特定事項に関係する技術事項であるから、本件補正発明における「デバッグ問題」の解釈はこの実施形態に限定されるものではない。 よって、(エ)に挙げた本願明細書等の記載事項を考慮しても、上記(ウ)のとおり、相違点2は実質的なものとはいえない。 (カ)仮に本件補正発明における「デバッグ問題(情報)」前記ユーザー入力による「第5情報」に基づくものに限定解釈されるとしても、以下のとおりである。 前記のとおり、ユーザーがキーボードなどの情報入力装置から入力した「第5情報」の内容については、本願明細書等においても、具体的な説明がない。 そうすると、「デバッグ」なる用語の意味は上記(3)オ(イ)a.で説示したとおりであることから、ユーザーが手入力できる程度の「第5情報」は、自動運転車両の動作の不良の対処についての何らかのコメントや対処実績などの記載情報である場合が、少なくとも含まれるといえる。 しかし、例えば引用発明の構成d2における車両状態診断結果は、具体的には上記(2)イに摘記した図6(a)に記載されるとおり、診断日時ごとに各センサの良否情報がリスト形式で記録されたものであり、このリストの各行にユーザーのコメントや対処結果などの情報についての項を付加する程度のこと、すなわち、引用発明において、車両状態診断結果の情報に対し、ユーザーによるコメントや対処結果等を自由に記入する欄を設ける程度のことは、一般に、各種帳票やテーブルに対し、既成の項目に分類しきれない情報を手入力で記す「備考欄」を設けることが周知慣用であることに照らし、必要に応じ当業者が適宜なし得ることにすぎないといえる。 よって、仮に、相違点2に係る、本件補正発明における「デバッグ問題(情報)」が、本願明細書等や、請求項4に特定される、「第5情報」なるユーザーの何らかの入力情報に限られるとしても、引用発明において相違点2の構成とすることは、周知慣用技術に基づいて、当業者が容易になし得たことである。 (キ)また、各種装置の管理情報として、エラー情報やその自動修復などの履歴情報を、いわゆる「システムログ」として記録・表示することも、幅広い技術分野における周知慣用の技術であり、こうしたシステムログも、装置の制御ソフトウェアの動作異常やそれに対する自動対処を記録・表示するものである点で、本件補正発明の「デバッグ問題(情報)」に、少なくとも文言上相当するといえる。 よって、このような解釈に基づいても、引用発明において相違点2の構成とすることは、周知慣用技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。 (ク)以上のとおり、相違点2については、実質的な相違点ではないか、仮に相違点といえるとしても、引用発明において相違点2の構成とすることは、周知慣用技術に基づいて当業者が容易になし得たことである。 ウ 相違点3について (ア)車両の走行管理システムとして、走行予定経路や、GPS情報に基づく走行経路履歴の情報を地図上に表示する、いわゆるカーナビ(カーナビゲーションシステム)は、車載装置として本願優先日時点において周知慣用のものであるところ、引用発明は構成d3として、移動体の現在地を検出するGPSセンサを備えるものであるし、自動運転車両であっても、特に構成aとして、特定の診断地点(診断ルート)を経由して診断を行う機能を備える引用発明において、走行経路履歴を記録・表示する動機付けが存在することは明らかであるから、引用発明において、車両装備品として周知のカーナビに関する周知技術を適用し、GPS情報に基づいて走行経路履歴を記録・表示可能として相違点3の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 (イ)また、走行経路履歴情報の記録・表示機能を設けることについては、自動運転車両に限っても、下記(ウ)に挙げる周知文献1(特に【0059】~【0061】・図10)にも記載されたとおり周知である。よって、自動運転車両に関する引用発明において相違点3の構成とすることは、該周知文献1に裏付けられる周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得たことである。 (ウ)引用発明と同じく、自動運転車両に搭載された外界空間認識装置の異常を検出する方法に関する、本願優先日前に公知となった特開2018-79732号公報(以下「周知文献1」という。)には、下記a.~f.の記載がある。 a.「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、車両に搭載された外界空間認識装置の異常を検出する異常検出装置および異常検出方法に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、多くの車には、前方の車を検知して車間距離を制御したり、障害物を検知してプレーキをかけたりする安全装置が装備されるようになってきた。さらに、近い将来に自動運転の車が実用化されることも確実視されている。このような車の安全を確保するための装備や自動運転を実現するには、車の周囲の空間の状況を認識するレーダやカメラなどの外界空間認識装置が不可欠である。 【0003】 そして、これから将来の車に外界空間認識装置が不可欠であるとすれば、外界空間認識装置の誤動作や故障(誤動作や故障の状態を、以下、本明細書では「異常」という)を速やかに検知する技術も不可欠な技術となる。なぜなら、外界認空間識装置の異常により外界の空間認識が正常にできなくなれば、自動運転は直ちに不可能となり、車間距離の制御なども、運転者の操舵に頼らざるを得なくなるからである。」 b.「【0017】 外界空間認識装置51は、車両5の外界の様子を認識すなわち空間認識をするカメラやレーザレーダなどの空間認識センサにより構成され、車両5の周囲に位置する他の車両や歩行者、障害物、道路標識、車線などを認識する。なお、外界空間認識装置51は、1つの空間認識センサからなるものに限定されず、複数または複数種の空間認識センサからなるものであってもよい。」 c.「【0023】 図2は、空間認識・環境情報記憶部21に記憶される空間認識・環境情報の構成の例を示した図である。図2に示すように、空間認識・環境情報は、例えば、「認識日時」、「車両ID」、「車種」、「センサ種別」、「空間認識情報」、「車両位置情報」、「道路環境情報」などの項目によって構成される。 【0024】 ここで、「空間認識情報」は、車両5の外界空間認識装置51による空間認識によって取得された、例えば、「前方60mに先行車両あり」、前方100mに道路標識あり」などの情報をいう。あるいは、「空間認識情報」は、カメラによる撮影画像そのものであってもよい。また、「センサ種別」は、前記「空間認識情報」を取得したステレオカメラ、単眼カメラ、ミリ波レーダ、レーザレーダなどの空間認識センサの種別をいう。従って、「センサ種別」と「空間認識情報」とは互いに対応付けられた組の情報といえるが、1つの空間認識・環境情報の中に「センサ種別」と「空間認識情報」との組が複数含まれていてもよい。 【0025】 「車両位置情報」、「道路環境情報」は、車両5の環境情報取得装置52により取得された環境情報である。環境情報としては、この他にも「走行方向情報」、「天気情報」、「路面情報」など様々な情報が含まれる。なお、これらの環境情報は、「空間認識情報」が取得されたタイミングとほぼ同じタイミング取得されるものとする。」 d.「【0059】 (9)空間認識失敗位置表示部17空間認識失敗位置表示部17は、認識失敗情報蓄積部23に蓄積された過去に空間認識失敗が発生した位置を管理者端末2の表示装置に地図表示する。 【0060】 図10は、空間認識失敗位置表示部17により地図表示された表示画面の例を示した図であり、(a)は、空間認識に失敗した空間認識センサおよび環境情報を特定した場合の空間認識失敗の発生位置を地図表示した例、(b)は、特定の車両の走行経路に沿って発生した空間認識失敗の位置を地図表示した例、(c)は、特定のエリアで発生したすべての空間認識失敗の位置を地図表示した例である。なお、図10において、太い実線は、道路、三角印および丸印は、空間認識失敗が発生した位置、細い矢印付き実線は、車両の走行経路を表している。 【0061】 図10(a)の表示画面には、空間認識センサが「AA」で、環境情報が「BCD」であるときに発生した空間認識失敗の位置が三角印で示されている。なお、空間認識失敗は、環境に依存しないものであっても、環境に依存するものであっても、これらを区別しないものであってもよい。さらには、環境依存失敗の類型を特定するものであってもよい。」 e.「 [図:0001388009000005.jpg] 」 f.「 [図:0001388009000006.jpg] 」 (6)本件補正発明の効果について 上記のとおり、相違点1・2は実質的な相違点でないか、仮に相違点であるとしても、周知技術を適用したものに過ぎないし、相違点3についても、周知技術を適用したものに過ぎないから、引用発明において該各相違点の構成とすることによる作用効果は、前記各周知技術から予測可能であり、本件補正発明は引用発明と比較して各別な作用効果をそうするものとはいえない。 (7)請求人の主張について 請求人は審判請求書において、主として ・引用文献1にはデバッグ問題記録インターフェース及び経路表示インターフェースについては開示も示唆もない、 ・デバッグ問題記録インターフェースに表示されるデバッグ問題情報や経路表示インターフェースに表示される経路情報を、引用文献1における表示部が表示することについては、引用文献1にはなんら記載されていない、 旨主張している。 しかし、デバッグ問題記録インターフェースを表示部に表示することについては、引用発明が備えるか、または周知技術に相当するし、経路表示インターフェースの表示についても周知技術に相当すること、よって、引用発明において該各インターフェースを備えるようにすることは当業者が容易になし得たことは、上記(5)イ・ウにおいて相違点2・3に関し説示したとおりである。 (8)小括 したがって、上記(3)~(7)において検討したように、本件補正発明は、引用発明及び周知慣用の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 補正の却下についてのむすび 上記3において検討したことからみて、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、審査時補正により補正された、上記第2.1(1)で示した査定時請求項1に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒理の理由 査定時請求項1に対する原査定の拒絶の理由(理由1・2)及び引用文献等は、次のとおりである。 (1)理由1(新規性) 本願の請求項1~3・5・8~10・12に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (2)理由2(進歩性) 本願の請求項1~16に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (3)引用文献等 1:特開2015-184243号公報(上記3(2)で挙げた引用文献1と同じ) 3 引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1の記載事項及びそれから認定される引用発明は、上記第2.3(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明の構成D2~D4で特定する各インターフェース(及びそれらに対応する構成G・H・F)を直列的な特定から択一的(並列的)な特定に変更して構成pD2(pG・pH・pF)としたものである。 上記第2.3(5)で検討したとおり、構成D2(G)及びD4(F)は、引用文献1に記載されている(引用発明と一致する)か、または引用発明及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるし、構成D3(H)についても、引用発明及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 よって、構成pD2(pG・pH・pF)として、構成D2~D4(及び構成G・H・F)を択一的に特定する本願発明も、引用発明であるか、または引用発明及び周知慣用技術に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるといえる。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものである。 また、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-009543

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