特許拒絶査定不服審判
2021-009102
喫煙物品フィルタ
- 審判番号
- 2021-009102
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-508315
- 請求日
- 2021年07月07日
- 審決日
- 2023年12月11日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エッセントラ フィルター プロダクツ ディベロップメント カンパニー プライベート リミティド
- 【請求人代理人】杉村 憲司
- 【請求人代理人】色部 暁義
- 審判長/審判官
- 審判長 平城 俊雅
- 審判官 間中 耕治
- 審判官 水野 治彦
- 分類
- P18 .121-WZ (A24D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-508315「喫煙物品フィルタ」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月11日国際公開、WO2019/068605、令和 2年12月10日国内公表、特表2020-535790〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1.手続の経緯
本件に係る出願(以下、「本願」という。)は、2018年(平成30年)10月1日(優先権主張外国庁受理 2017年10月2日 (US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、令和2年5月21日に手続補正がされ、同年10月23日付けで拒絶理由通知がされ、令和3年2月9日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年3月1日付けで拒絶査定がされた。
これに対し、同年7月7日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和4年1月27日に上申書が提出され、同年5月20日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由」という。)がされ、同年11月22日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和5年3月24日付けで最後の拒絶理由通知がされ、同年6月2日に補正案についての応対記録が作成され、同年6月26日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。
2.本願発明
本願の請求項1~11に係る発明は、令和5年6月26日にした手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
マウスピースまたはフィルタ(201)であり、
長手方向に延在し、断面がその全長に沿って均一であり、フィルタ材料でできているロッド(202)を備え、
長手方向に延在する前記ロッド(202)は、前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する3つの長手方向に延在するとともに前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する前記フィルタ材料によって囲まれるチャネル(203)を含み、
3つの前記チャネルは三角形のパターンに配置され、
前記マウスピースの前記チャネルは0.5mm~10mmの直径を有し、
前記マウスピースまたはフィルタ(201)は、カンナビス属の植物から調製される、喫煙可能材料を含むマリファナ喫煙物品に使用されるためのものである、マウスピースまたはフィルタ(201)。」
3.当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうち理由2、3の概要は、次のとおりのものである。
理由2(新規性)この出願の請求項1,2,4、9、11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由3(進歩性)この出願の請求項1~15に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の引用文献1ないし引用文献7に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1.特開2001-46044号公報(新たに引用された文献(前置報告書で引用された文献6))
引用文献2.特表2009-531052号公報(原査定で引用された文献3)
引用文献3.国際公開第2016/147246号(原査定で引用された文献4)
引用文献4.国際公開第2014/064087号(当審で新たに引用された文献)
引用文献5.特表2017-518041号公報(新たに引用された文献(前置報告書で引用された文献7))
引用文献6.国際公開第2017/068437号(原査定で引用された文献5)
引用文献7.米国特許第5195543号明細書(原査定で引用された文献1)
なお、令和5年6月2日に作成された応対記録には、補正案で示された補正後の請求項1~11が当審拒絶理由の理由2、3を解消しない旨を、請求人に指摘したことが記録されている。
4.引用文献1に記載された事項及び引用発明
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。
ア「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシガレットフィルタ及びそのフィルタを使用したフィルタシガレットに関する。」
イ「【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の作用効果】本発明のシガレットフィルタはフィルタロッドを備え、このフィルタロッドは通気性を有した周面と、その内部に3~12の連続した通路とを有し、これら通路は前記ロッドの2つの端にて開口する開口端の間を延びている。前記通路はロッド直径の50~70%の直径を有する円周上に分布されている。そして、各通路は0.1~0.7mmの直径を有し、各通路の壁は通気性を有している。
【0007】フィルタロッドは通気性の周面を有し、例えばフィルタ材からなる本体となり、通気性の周囲ラッパーによりロッド形状に保持されている。これに代えて、周囲ラッパーを有することなく、整然と自立し、且つ、直径が安定したフィルタロッドであってもよい。このようなフィルタロッドの例は、セルロースアセテートの繊維を結合してなる市販のNWAフィルタロッドのように、接触点にて結合されて通気性ロッドを形成するファイバ又は繊維からなる。ここでのフィルタロッドはその自身にロッド形状を維持するためのラッパーを必要としないが、通気性ラッパーを備えることがでる。例えば、その1つはフィルタロッドを隣接したロッドに縦方向に結合して複合フィルタを形成するラッパー及び/又はフィルタロッドをタバコロッドに結合してフィルタシガレットを形成する通気型チップオーバラッパーである。
【0008】通常、フィルタは通気性を有したチップペーパを介してシガレットに接続される。フィルタシガレットが喫煙されたとき、通気空気がチップペーパを通じて前記ロッド内に導入され、そして、前記通路の壁を通じて前記通路内に導入される。それ故、通路内を流れる煙は通気空気により希釈されて喫煙者に送り込まれる。通路の直径及び個数が上述のように制限されているので、通気空気により希釈される主煙流の量は喫煙者にシガレット本来の風味や香味を与えながらマイルドな喫煙を提供する上で最適となる。」
ウ「【0011】
【発明の実施の形態】図1を参照すると、フィルタシガレットはシガレット2と、シガレット2の一端にチップペーパ4を介して接続されたフィルタ6とを有する。フィルタ6はフィルタ材8をラッパー10により円筒状に包み込んで形成されている。フィルタ材8はこの種のシガレットフィルタに通常使用されるものであって、例えばアセテートのトウである。好ましくは、円筒状フィルタ材8内の繊維密度はその横断面全域に亘って均一である。
【0012】ラッパー10及びチップペーパ4は通気性を有し、これらを通じて外部から通気空気がフィルタ材8内に導入可能である。通常、ラッパー10は通気性を有した紙からなり、そして、チップペーパ4は穿孔5を有する。これら穿孔5は図示されているように1列又は複数列をなすようにフィルタ6の回りに分布されている。
【0013】また、フィルタ材8はその内部に軸方向通路12を有し、これら軸方向通路12はフィルタ6のマウスピース端からシガレット2に向けて延びている。各軸方向通路12はフィルタ材8を熱成形して作られている。この熱成形プロセスは蒸気の熱を利用することができ、例えばUSP 4,022,221はこのような熱成形プロセスによる通路の成形を開示している。」
エ「【0016】希釈済煙流はシガレット本来の風味及び香味を十分に維持している。したがって、喫煙者はマイルドな喫煙フィーリングを受けるとして、シガレットの香味又は風味を味わうことができる。軸方向通路12は円筒状フィルタ材8における直径Dの50~70%の直径を有する円周上に分布されている。喫煙者に吸い込まれる希釈済煙流はシガレット本来の香味又は風味、そして、煙量感を大きく左右する重要なファクタであって、フィルタ6のマウスピース端から一様に吸い出されるのが好ましい。それ故、図示されているように軸方向通路12は円筒状フィルタ材8と同心の円周上に等間隔を存して配置されているのが好ましい。
【0017】軸方向通路12の数は3~12であるが、通路の成形を容易にするには軸方向通路12は3個であるのが好ましい。軸方向通路12のための分布円の直径がフィルタ材8の直径Dの70%を超えるならば、フィルタ材8の外周と軸方向通路12との間の間隔が薄くなり、軸方向通路12の成形が困難となる。前記分布円の直径が前記直径Dの50%を下回ると、前記間隔は厚くなり過ぎ、軸方向通路12内に通気空気を導入し、そして、軸方向通路12内での煙流の希釈が実質的に不能になる。」
オ「【0020】軸方向通路12の直径は0.1~0.7mmに設定すべきである。軸方向通路12の直径が0.1mmよりも小さいと、軸方向通路12からの希釈済煙流が少なくなり過ぎ、喫煙者はシガレット本来の風味及び香味を味わうことができないし、また、軸方向通路12自体の熱成形が困難になる。軸方向通路12の直径が0.7mmを超えると、希釈済煙流の流量が増加し過ぎ、マイルドな喫煙フィーリングが得られないし、また、空気流抵抗、即ち、フィルタ6の通気抵抗(RTD)が大きく低下し、喫煙者は生理的な違和感を受ける。フィルタ6のRTDは80~160mmH2Oが好ましく、より好ましくは100~135mmH2Oである。しかしながら、軸方向通路12が3つある場合、軸方向通路12の直径が0.7mmを超えると、フィルタ6のRTDは80mmH2Oを大きく下回ってしまう。軸方向通路12の直径は0.2~0.5mmが最も好ましい。」
カ「【図1】
[図:0001409451000001.jpg]
」
キ「【図2】
[図:0001409451000002.jpg]
」
ク「【図3】
[図:0001409451000003.jpg]
」
(2)引用文献1に記載された事項から認定できること
(ア)図3から、フィルタ6は、長手方向に延在することが看取できる。
また、【0011】に「フィルタ6はフィルタ材8をラッパー10により円筒状に包み込んで形成されている。フィルタ材8はこの種のシガレットフィルタに通常使用されるものであって、例えばアセテートのトウである。好ましくは、円筒状フィルタ材8内の繊維密度はその横断面全域に亘って均一である。」と記載されているから、フィルタ6は、長手方向に延在し、円筒状の横断面全域に亘って均一であり、アセテートのトウで形成されている円筒状フィルタ材8を備えると認められる。
(イ)図2から、軸方向通路12は、フィルタ材8に囲まれていることが看取できる。
また、【0013】に「フィルタ材8はその内部に軸方向通路12を有し、これら軸方向通路12はフィルタ6のマウスピース端からシガレット2に向けて延びている。」と記載され、【0017】に「軸方向通路12は3個であるのが好ましい。」と記載されているから、長手方向に延在する円筒状フィルタ材8は、マウスピース端からシガレット2に向けて延びている3つのフィルタ材8に囲まれた軸方向通路12を含むものといえる。
(ウ)図2から、3つの軸方向通路12は、三角形のパターンに配置されていることが看取できる。
(3)引用発明
以上の摘記事項(1)及び認定事項(2)から、引用文献1には、次の発明が記載されていると認められる(以下、「引用発明」という。)。
(引用発明)
「マウスピース端を含むフィルタ6であり、
長手方向に延在し、円筒状の横断面全域に亘って均一であり、アセテートのトウで形成されている円筒状フィルタ材8を備え、
長手方向に延在する円筒状フィルタ材8は、マウスピース端からシガレット2に向けて延びている3つのフィルタ材8に囲まれた軸方向通路12を含み、
3つの軸方向通路12は、三角形のパターンに配置され、
軸方向通路12の直径は0.1~0.7mmに設定される、
シガレットに用いられるマウスピース端を含むフィルタ6。」
5.当審の判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「マウスピース端を含むフィルタ6」は、本願発明の「マウスピース又はフィルタ(201)」に相当する。
引用発明の「長手方向に延在」、「横断面」、「アセテートのトウ」は、それぞれ、本願発明の「長手方向に延在」、「断面」、「フィルタ材料」に相当する。
引用発明の「円筒状の横断面全域に亘って均一」であることは、本願発明の「断面がその全長に沿って均一」であることに相当する。
してみると、引用発明の「長手方向に延在し、円筒状の横断面全域に亘って均一であり、アセテートのトウで形成されている円筒状フィルタ材8」は、本願発明の「長手方向に延在し、横断面がその全長に沿って均一であり、フィルタ材料でできているロッド(202)」に相当する。
引用発明の「マウスピース端からシガレット2に向けて延びている」ことは、マウスピース端を含むフィルタ6の全長に沿って延びているものと解されるから、引用発明の「長手方向に延在する円筒状フィルタ材8は、マウスピース端からシガレット2に向けて延びている3つのフィルタ材8に囲まれた軸方向通路12」は、本願発明の「長手方向に延在する前記ロッド(202)は、前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する3つの長手方向に延在するとともに前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する前記フィルタ材料によって囲まれるチャネル(203)」に相当する。
引用発明の「3つの軸方向通路12は、三角形のパターンに配置され」ることは、本願発明の「3つの前記チャネルは三角形のパターンに配置され」ることに相当する。
引用発明の「軸方向通路12の直径は0.1~0.7mmに設定される」ことは、直径が「0.5~0.7mm」の範囲で本願発明の「0.5~10mm」の直径と一致するから、本願発明の「前記マウスピースの前記チャネルは0.5mm~10mmの直径を有」することに相当する。
してみると、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点)
マウスピースまたはフィルタであり、
長手方向に延在し、断面がその全長に沿って均一であり、フィルタ材料でできているロッドを備え、
長手方向に延在する前記ロッドは、前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する3つの長手方向に延在するとともに前記マウスピースまたはフィルタの全長に沿って延在する前記フィルタ材料によって囲まれるチャネルを含み、
3つの前記チャネルは三角形のパターンに配置され、
前記マウスピースの前記チャネルは0.5mm~10mmの直径を有する、
マウスピースまたはフィルタ。
(相違点)
本願発明では、「前記マウスピースまたはフィルタは、カンナビス属の植物から調製される、喫煙可能材料を含むマリファナ喫煙物品に使用されるためのものである」のに対して、引用発明は「シガレット」用である点。
(2)判断
上記相違点について検討する。
本願発明の上記相違点に係る発明特定事項は、「カンナビス属の植物から調製される、喫煙可能材料を含むマリファナ喫煙物品に使用されるためのもの」であるから、物の発明である「マウスピースまたはフィルタ」の発明について、その用途を限定するものである。
そして、物の発明においてその用途を限定する場合、用途限定が付された物が、その用途に特に適した物を意味する場合は、その物を、用途限定が意味する形状、構造、組成等を有する物であると解することができるが、用途限定が付された物が、その用途に特に適した物を意味していない場合は、その用途限定を、物を特定するための意味を有しているとは解されない。
そこで本願発明について検討すると、本願発明の発明特定事項は、上記のとおり「マリファナ喫煙物品に使用される」ことを除いて、「シガレットに用いられる」引用発明のフィルタとなんら相違しないのであるから、その用途に特に適した物を意味すると解することができない。
よって、上記相違点は、実質的な相違点ではないから、本願発明は、引用発明である。
また、仮に上記相違点が実質的な相違点であったとしても、シガレット用のフィルタとマリファナ喫煙物品用のフィルタとは、いずれも喫煙に用いられるフィルタであって、燃焼に伴う熱から喫煙者の唇を離隔し、燃焼よって発生する有害成分を除去する一方でタバコ又はマリファナ成分を吸引する機能も共通するものであるから、引用発明のシガレット用のフィルタを、マリファナ喫煙物品用フィルタとして用いることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
よって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3)審判請求人の主張について
審判請求人は、令和5年6月26日に提出した意見書において、以下のように主張する。
ア「 本願発明1のマウスピースの使用中、マリファナの煙はマウスピースの3つのチャネルを通過するにつれて温度が下がるので、マウスピースは冷却効果を提供します。また、3つのチャネルは、マリファナ喫煙物品の熱い残り火がユーザの口に到達するのを防ぎ、喫煙者の唇が火傷するのを防ぎます(本願の段落[0018]参照)。さらに、マウスピースは、喫煙者の指が火傷するのを防ぎ(フィルタは、製品の端部においてユーザの指のための把持点を提供します)、及び/又は口が火傷するのを防ぎます(本願の段落[0017]及び図4参照)。
マリファナの煙の大部分が3つのチャネルを通過し喫煙者の口に直接届き、喫煙者にカンナビスの有効成分の必要な効果を提供する一方で、マリファナの煙を濾過して、楽しい喫煙体験のためにマリファナの煙に含まれる有効成分のかなりの量を送達します(本願の段落[0012]及び[0017]参照)。
したがって、本願発明1の、マリファナ喫煙物品に使用されるためのマウスピースまたはフィルタの、(i)3つのチャネル、(ii)三角形のパターン配置、及び(iii)カンナビス属の喫煙可能材料を含むロッド、という構成の組み合わせによって、ユーザは、マリファナの煙の冷却及び最小レベルの濾過との間の最適なバランス、並びにカンナビスの有効成分の十分な効果という複合的かつ予想外の技術的効果を得ることができます。」
イ「 当業者は、技術的課題の解決において、マリファナ喫煙物品に引用文献6のフィルタを使用し得ないと、請求人は主張致します。なぜならば、カンナビスの喫煙に引用文献6のフィルタを使用すると、心地よい味及び有効成分の必要な効果が「薄まる」(段落[0008]に記載された希釈等により)ことになるからです。換気による効果は、カンナビス喫煙者にとって全く望まれないものとなります。このように、引用文献6に記載された発明には、カンナビス属の植物から調製されるタバコ以外の喫煙可能材料を含む喫煙物品に使用されるフィルタに適用されることに対する、阻害要因があることが明らかです。」
上記アについて検討すると、上記(1)で説示したとおり、「3つのチャネル」、「三角形のパターン配置」は、引用発明も備える構成であって、本願発明と引用発明との一致点である。
また、本願発明の「ロッド」は、「長手方向に延在し、断面がその全長に沿って均一であり、フィルタ材料でできているロッド」であって「カンビナス属の喫煙可能材料を含むロッド」ではないから、審判請求人が上記アで主張する「複合的かつ予想外の技術的効果」を認めることはできない。
上記イについて検討すると、引用文献1の段落【0008】には、「フィルタは通気性を有したチップペーパを介してシガレットに接続される。フィルタシガレットが喫煙されたとき、通気空気がチップペーパを通じて前記ロッド内に導入され、そして、前記通路の壁を通じて前記通路内に導入される。」と記載され、段落【0012】には、「ラッパー10及びチップペーパ4は通気性を有し、これらを通じて外部から通気空気がフィルタ材8内に導入可能である。通常、ラッパー10は通気性を有した紙からなり、そして、チップペーパ4は穿孔5を有する。これら穿孔5は図示されているように1列又は複数列をなすようにフィルタ6の回りに分布されている。」と記載されている。
してみると、引用文献1の段落【0008】に記載された「通路内を流れる煙は通気空気により希釈されて喫煙者に送り込まれる。」ことは、ラッパー10及びチップペーパ4が備える「通気性」に起因するものであると解される。
一方、本願発明は、そもそもラッパーについてなんら特定しないものであるが、フィルタと喫煙物品とが通気性を備えるラッパーによって巻かれることが技術常識であることを勘案すると、本願発明のフィルタを「マリファナ喫煙物品」の喫煙用として用いる場合においても、通気性を有するラッパーから流入する空気によって、フィルタ内のチャネルを流れるマリファナ成分は、希釈されるものと解される。
さらに、引用文献1の段落【0012】には、「通路の直径及び個数が上述のように制限されているので、通気空気により希釈される主煙流の量は喫煙者にシガレット本来の風味や香味を与えながらマイルドな喫煙を提供する上で最適となる。」と記載されているように、引用発明のフィルタの通路の直径、個数及び配置は、喫煙者に送達される成分を最適化するものであって、マリファナ喫煙物品に用いることを阻害する要因になるとはいえない。
よって、審判請求人が上記イで主張する「阻害要因」を認めることはできない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明であって特許法第29条第1項第3号の発明に該当するから特許を受けることができない発明であるか、または、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
6.まとめ
してみると、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の発明に該当するから特許を受けることができない発明であるか、または特許法第29条第2項の記載により特許を受けることができない発明であるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する
審決本文(J-PlatPat)
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2021-009102