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意匠拒絶査定不服審判

2021-008534

携帯情報端末機

審判番号
2021-008534
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2019-017671
登録番号
1716214
請求日
2021年06月29日
審決日
2022年03月30日
公報発行日
2022年06月24日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】トヨタ リサーチ インスティテュート,インコーポレイティド
  • 【請求人代理人】青木 篤
  • 【請求人代理人】三橋 真二
  • 【請求人代理人】鶴田 準一
  • 【請求人代理人】南山 知広
  • 【請求人代理人】渡辺 陽一
  • 【請求人代理人】胡田 尚則
  • 【請求人代理人】水野 みな子
審判長/審判官
  • 審判長 北代 真一
  • 審判官 小林 裕和
  • 審判官 江塚 尚弘
分類
D18 .121-WY (H7-7)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
意匠法3条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条第2項、意匠法第2条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

意願2019- 17671「携帯情報端末機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、パリ条約による優先権(最初の出願:アメリカ合衆国、2017年9月27日)を主張する、令和1年(2019年)8月7日の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年(2020年) 7月22日付け 拒絶理由の通知 同年11月 4日 意見書の提出 令和3年(2021年) 3月22日付け 拒絶査定 同年 6月29日 拒絶査定不服審判の請求 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「携帯情報端末機」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである。 第3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠は、「携帯情報端末機」の表示部に表された、情報表示等を行うための画像について部分意匠として意匠登録を受けようとするものであると認められます。 画像を含む意匠の分野において、情報表示等を行うための画像として、下方に隙間を設けた略C字状枠の内側に、立体を模した陰影を付加した略雫形状のアイコン画像を中央軸揃えで配した態様は、本願出願前より既に公知のものです(引用例1、引用例2)。また、当該分野において、略雫形状のアイコンに細部の造形の変更(例えば、立体を模した陰影を右下方に付加したものにする等)を加えること(引用例3、引用例4)も、略C字状枠に端部の隅丸化及び隙間の幅等の変更を加えること(引用例5~7)も、いずれもよく見られる改変に過ぎないものです。 そうすると、本願意匠は、本願出願前より公知の情報表示等を行うための画像(引用例1)に、公然知られた画像によく見られる改変を単に組み合わせ、携帯情報端末機に係る画像として表した程度に過ぎず、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。 (中略) 引用例1 DM/094077 2017年 1月13日 アニメーションアイコン(登録番号DM/094077)の画像 (特許庁意匠課公知資料番号第HH28517911号) 引用例2 DM/094077 2017年 1月13日 ディスプレイスクリーン用画像(登録番号DM/094077)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH28517912号) 引用例3 独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年6月5日に受け入れた JIMI Care&Share JH168 Lucky Cat Monitor 第1頁所載 モニタリングカメラの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC27008733号) 表示画面部に表れたアイコン画像 引用例4 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2016年 2月12日 受入日 特許庁意匠課受入2016年 4月27日 掲載者 LUXEYS 表題 Latte camera - 一眼レフで撮影し たかのような本格的な写真に加工できる無料カメラ アプリを App Store で 掲載ページのアドレス https://itunes.apple.com/jp/app/latte-camera-y i-yanrefude/id582903721?mt=8 に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアのカメラ機能」の画像 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ27158070号) 引用例5 米国特許商標公報 2016年 6月14日 ディスプレースクリーン用画像(登録番号US D759077S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH28313922号) 引用例6 米国特許商標公報 2016年11月 8日 ディスプレイスクリーン用画像(登録番号US D771103S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH28327311号) 引用例7 米国特許商標公報 2017年 1月 3日 ディスプレイスクリーン用画像(登録番号US D775658S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH28332451号)」 第4 当審の判断 以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠の認定 当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「携帯情報端末」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。 「本物品は、携帯情報端末機であり、グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)が表示される。正面図に表れる画像は自動車の診断情報、例えば、タイヤ空気圧、充電、燃料、温度及び燃費等に関する情報の表示及び操作を行うために用いられる画像である。」 また、願書の「意匠の説明」には、以下の記載がある。 「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」 これらの願書の記載によれば、本願物品は、自動車の診断情報を表示し、その情報に関する操作を行うために用いられる携帯情報端末機であると認められる。 (2)「正面図」に表された画像 上記(1)のとおり本願物品は自動車の診断情報に関する操作を行うものであること、及び本願物品の「正面図」に表された画像(以下「本願画像」という。)が操作の用に供されると認められることから、本願画像は意匠法第2条第2項(平成18年改正意匠法)に規定された物品の操作の用に供される画像に該当すると認められる。 本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、本願画像内で「実線で表された部分」(以下「本願画像部分」という。)である。 (3)本願画像における本願画像部分の位置、大きさ及び範囲 本願画像(縦横比は約1.8:1)は、薄型板状の本願物品の正面部中央の位置にあり、そのほぼ一杯の大きさ及び範囲を占めている。 本願画像部分は、本願画像の中央から見て右上方向の位置にあり、その大きさ及び範囲は、本願画像の縦幅の約1/9であり、横幅の約1/4.5である。 (4)本願画像部分の用途及び機能 本願画像において、本願画像部分の上方には文字部「Fuel」(仮訳:「燃料」)、下方には文字部「108 miles Until Refuel」(仮訳:「給油まで108マイル」)が、共に破線で表されており(破線部は本願画像部分を構成しない)、文字部の意味によれば、本願画像部分の用途及び機能は、自動車の燃料に関する情報を表示することであると認められる。 (5)本願画像部分の形態 ア 全体の形状 本願画像部分は、略倒C環状の部分(以下、単に「C環部」という。)と、その内側中央に配された雫状部から成る。 イ C環部の形状 C環部は、径方向の幅が一定であり、その幅は半径の約1/7である。C環部の端部は略半円弧状に丸く形成されており、左右端部と中心を結ぶ扇面の中心角、すなわちC環の開き角度は、約70°である。 ウ 雫状部の形状 下側約2/3の外周が略円状に表されており、上側1/3について、上端にいくにつれて漸次横幅が狭くなり、すなわち窄まるように形成されて、上端部が先尖り状に表されている。 雫状部の右下端部寄りに、外周に沿うように、略三日月の模様が付されている。 2 引用された画像の認定 原査定における拒絶の理由で引用された画像について、以下のとおり認定する。なお、引用された画像の出典や公知日などについては、前記第3のとおりであり、形態については、主として本願画像部分に対応する部分の形態を認定する。また、引用例1の画像を「画像1」と呼び、引用例2の画像なども同様に「画像2」などと呼ぶ。 (1)画像1(別紙第2参照) ア 画像1の用途及び機能 画像1は、湿度を表す用途及び機能を有しており、湿度の大小にしたがって環状のバーが伸び縮みする。 イ 画像1の形態 (ア)全体の形状 画像1は、環状のバー部分(以下、単に「環状部」という。)と、その内側上部に配された雫状部、中央に配されたパーセントを表示する文字部、下部に配された「Humidity」の文字部から成る。 (イ)環状部の形状 環状部は、左端部を基点として時計回りに伸張し、径方向の幅が一定であり、その幅は半径の約1/10である。環状部の端部は平坦状に形成されており、湿度100%を仮定した左右端部と中心を結ぶ扇面の中心角は約90°である。 (ウ)雫状部の形状 下側約2/3の外周が略円状に表されており、上側1/3について、上端にいくにつれて漸次横幅が狭くなり、すなわち窄まるように形成されて、上端部が先尖り状に表されている。 雫状部の左側端部寄りに、外周に沿うように、棒線状の模様が付されている。 (2)画像2(別紙第3参照) ア 画像2の用途及び機能 画像2は、ディスプレイスクリーン用画像であり、右上に湿度を表す用途及び機能を有する画像が配されており、その画像は湿度の大小にしたがって環状のバーが伸び縮みすると推認される。以下、その画像の形態について認定する。 イ 画像2の形態 (ア)全体の形状 画像2は、環状のバーが表示される部分(以下、単に「環状部」という。)と、その内側上部に配された雫状部、中央に配されたパーセントを表示する文字部、下部に配された「Feuchte」の文字部から成る。 (イ)環状部の形状 環状部は、左端部を基点としており、湿度0%であって環状のバーは表されていないが、バーの通り道である部分の径方向の幅は一定であり、その幅は半径の約1/10である。湿度100%を仮定した左右端部と中心を結ぶ扇面の中心角は約90°である。 (ウ)雫状部の形状 下側約2/3の外周が略円状に表されており、上側1/3について、上端にいくにつれて漸次横幅が狭くなり、すなわち窄まるように形成されて、上端部が先尖り状に表されている。 雫状部の左側端部寄りに、外周に沿うように、棒線状の模様が付されている。 (3)画像3(別紙第4参照) ア 画像3の用途及び機能 画像3は、モニタリングカメラの意匠の表示画面部の下端右側に表れたアイコン画像であり、湿度を表す用途及び機能を有している。以下、その画像の形態について認定する。 イ 画像3の形態 画像3は、雫状であって、下側約2/3の外周が略円状に表されており、上側1/3について、上端にいくにつれて漸次横幅が狭くなり、すなわち窄まるように形成されて、上端部が先尖り状に表されている。 雫状部の右下端部寄りに、外周に沿うように、点状の模様が付されている。 (4)画像4(別紙第5参照) ア 画像4の用途及び機能 画像4は、「スマートフォン用ソフトウェアのカメラ機能」の画像であり、カメラ機能に関する用途及び機能を有している。下端中央に雫状の部分が表されているが、その部分の用途及び機能の詳細は不明である。以下、その部分の形態について認定する。 イ 画像4の形態 画像4は、雫状であって、下側約2/3の外周が略円状に表されており、上側1/3について、上端にいくにつれて漸次横幅が狭くなり、すなわち窄まるように形成されて、上端部が先尖り状に表されている。 雫状部の右下端部寄りに、外周に沿うように、略棒状の模様が付されている。 (5)画像5(別紙第6参照) ア 画像6の用途及び機能 画像6は、ディスプレイスクリーン用画像であり、Fig.1には左右のC環部の中央に「psig(重量ポンド毎平方インチゲージ圧)」の表示があるので、ゲージ圧などを表す用途及び機能を有していると推認される。 イ 画像6の形態 左右のC環部は同形同大であり、C環部の径方向の幅は一定であり、その幅は半径の約1/5である。C環部の端部は略半円弧状に丸く形成されており、左右端部と中心を結ぶ扇面の中心角、すなわちC環の開き角度は、約50°である。 (6)画像6(別紙第7参照) ア 画像6の用途及び機能 画像6は、ディスプレイスクリーン用画像であって、中央上のC環部の上方に「Calories(カロリー)」の表示があり、画面の略上半部にハンドルを両手で握る人の姿が破線で現されているので、運動時の消費カロリーを表す用途及び機能を有していると推認される。画像6には3つのC環部が水平状に並んで表されており、(本願画像部分のC環部の形態に近い)右側のC環部の形態について認定する。 イ 画像6の形態 C環部は、径方向の幅が一定であり、その幅は半径の約1/8である。C環部の端部は略半円弧状に丸く形成されており、左右端部と中心を結ぶ扇面の中心角、すなわちC環の開き角度は、約65°である。 (7)画像7(別紙第8参照) ア 画像7の用途及び機能 画像6は、ディスプレイスクリーン用画像であり、C環部の中央下に「BRIGHTNESS(明るさ)」の表示があるので、明るさを表す用途及び機能を有しており、明るさの大小にしたがって環状のバーが伸び縮みする。 イ 画像7の形態 環状部は、左端部を基点としており、明るさ0%のときは環状のバーは表されていないがバーの通り道である部分が表され、明るさ100%のときは環状のバーが全てにわたって表されている。環状バーの径方向の幅は一定であり、その幅は半径の約1/10である。環状バーの左右端部と中心を結ぶ扇面の中心角は約55°である。 3 本願意匠の創作非容易性について 本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討する。 本願画像部分の用途及び機能が、自動車の燃料に関する情報を表示することであるところ、画像1ないし画像7の用途及び機能はそれとは異なるから、そのような用途及び機能を有する画像の形態が本願の出願前に公然知られているかについては具体的に明らかであるとはいい難い。 そして、本願画像部分の形態についても、雫状部がC環部の内側中央に配されている形態や、雫状部の右下端部寄りに付された模様が略三日月である形態は、画像1ないし画像7には表されておらず、本願画像部分の位置を本願画像の中央から見て右上方向とし、本願画像部分の大きさ及び範囲を本願画像の縦幅の約1/9、横幅の約1/4.5とすることも、画像1ないし画像7からどのように導き出されるかについては明らかではない。 そうすると、当業者が、画像1及び画像7の形態に基づいて、本願画像部分の形態を容易に創作することができたということはできない。 したがって、原査定における拒絶の理由で引用された画像に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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