2021-008213
チザイジュク、チザイ
- 審判番号
- 2021-008213
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-086208外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年06月23日
- 審決日
- 2022年03月22日
- 公報発行日
- 2022年06月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】TechnoProducer株式会社
- 【請求人代理人】IPTech特許業務法人
- 分類
- T18 .13 -Z (W41)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 10項目
1 手続の経緯
本願は、令和2年7月13日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
2 本願商標
本願商標は、「知財塾」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),インターネットを利用して行う映像の提供,インターネットを利用して行う音楽の提供,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,写真の撮影」を指定役務として、登録出願されたものである。
3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「知財塾」と標準文字で表してなるところ、「知財」は「知的財産」の略であり、「塾」の文字は「勉学を教授する私設の学舎」を意味する語である。また、「知財塾」の文字は、知的財産の知識を教授する組織を表す際、使用されている事実がある。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者及び需要者は、知的財産の知識を教授する組織が行う役務(例えば「知的財産の知識の教授」等)であることを理解するにとどまり、本願商標は、単に役務の質・特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 当審においてした証拠調べ
審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、令和4年1月4日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。
5 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記4の証拠調べ通知に対し、要旨以下の意見を述べた。
(1)提示された用例のうち、「知財塾」の名称が単独で使用されている例は1つしかなく、他の用例では「○○知財塾」のように別の単語と組み合わせて使用されている。これらの用例では、「知財塾」の名称が一般的に使用されているという証拠にはなり得ない。
(2)提示された用例においては、その機関において学べる内容も大きく異なっており、「知財塾」という名称から具体的なサービス内容が想起されるとは言えない状況である。例えば、「知財塾」という名称から、弁理士試験の合格を目指している受験生は、「弁理士試験の対策を学べる塾」という意味合いを想起する可能性が高く、企業の知財部員は、「特許や商標の管理方法やどのような特許や商標を取得することが会社の発展につながるかということを学べる塾」という意味合いを想起するとも考えられ、弁理士になりたての人は、「特許や商標の実務を学べる塾(特許明細書の書き方や、商標調査の方法を学べる塾)」という意味合いを想起する可能性が高い。
このように、「知財塾」の名称を目にする人の立場により、想起される意味合いは大きく異なり、そこで提供されている具体的なサービス内容を特定することは困難であるため、「知財塾」が抽象的な名称(一種の造語)に過ぎないことがわかる。
(3)商標法では先願主義が原則とされており、提示された用例をもって、「知財塾」の一般名称性を肯定することは妥当ではない。「知財塾」の名称を商標登録するという努力を怠って使用している第三者を保護するよりも、「知財塾」の名称について先願権を有し、商標登録を目指している請求人の権利が保護されることが、商標法の趣旨に鑑みても妥当である。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「知財塾」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「知財」の文字は「知的財産」の略と認められ、「塾」の文字は「勉学を教授する私設の学舎」を意味する語(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)として、いずれも我が国において広く親しまれているものであることから、全体として「知的財産の塾」の意味合いを容易に理解させるものである。
ところで、本願商標の指定役務は、第41類に属する「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」を含むものであるところ、原審において示した事実(別掲1)に加え、別掲2の事実からすると、「知財塾」の文字は、知的財産に関する知識の教授を行うセミナーや講座を指称する語として、一般に使用されている事実が認められる。
そうすると、「知財塾」の文字からなる本願商標を、指定役務中、第41類「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その役務について「知的財産に関する知識の教授を行うセミナーや講座」であること、すなわち、役務の質を表したものと認識、把握するにとどまるというのが相当である。
以上によれば、本願商標は、その指定役務中、第41類「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」との関係においては、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、前記4の証拠調べ通知において提示された用例のうち、「知財塾」の名称が単独で使用されている例は1つしかなく、他の用例では「○○知財塾」のように別の単語と組み合わせて使用されていることから、これらの用例では、「知財塾」の名称が一般的に使用されているという証拠にはなり得ない旨主張する。
しかしながら、別掲1及び別掲2に示すとおり、知識の教授やセミナーの開催に関する役務を取り扱う分野において、「知財塾」の用例が多数存在し、これらの用例においては、「知財塾」の文字が、知的財産に関する知識の教授を行うセミナーや講座を指称する語として使用されていることに加え、これら役務の提供者が当該役務の出所を示す場合には、「JPAA知財塾」等のように、出所表示を付加して使用している実情からすれば、証拠調べで提示した用例において、「知財塾」の単独使用例が1件であり、他の用例が「○○知財塾」であったとしても、上記(1)の認定が左右されるとはいえない。
イ 請求人は、「知財塾」という名称を目にする人の立場により、想起される意味合いは大きく異なり、そこで提供されている具体的なサービス内容を特定することは困難であるため、「知財塾」は抽象的な名称(一種の造語)に過ぎない旨主張する。
しかしながら、前述のとおり、「知財塾」の文字は、知的財産に関する知識の教授を行うセミナーや講座を指称する語として使用されていることは明らかである。そして、請求人が例示する「弁理士試験の対策を学べる塾」、「特許や商標の管理方法やどのような特許や商標を取得することが会社の発展につながるかということを学べる塾」、「特許や商標の実務を学べる塾(特許明細書の書き方や、商標調査の方法を学べる塾)」という意味合いも、結局は、知的財産に関する知識の教授を行うセミナーや講座といえるものである。
また、本願の指定役務の取引者、需要者が、本願商標を請求人主張のような限定的な意味合いで認識するものと認めるに足りる証拠はない。
ウ 請求人は、商標法では先願主義が原則であり、「知財塾」の名称を商標登録するという努力を怠って使用している第三者を保護するよりも、「知財塾」の名称について先願権を有し、商標登録を目指している請求人の権利が保護されることが、商標法の趣旨に鑑みても妥当である旨主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁、判例時報927号233頁参照。)。
そして、本願商標は、別掲1及び別掲2の事実からすれば、第41類「知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」に使用された場合には、これに接する取引者、需要者によって、「知的財産に関する知識の教授を行うセミナーや講座」を表示するものとして一般に認識されるものであり、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるものと認められるから、特定人によるその独占使用を認めるのは適当でないとともに、自他商品識別力を欠くものというべきである。
エ 請求人は、商標中に「塾」又は「知財」の文字を有する既登録例を挙げ、本願商標も一つのブランドとして認められるべき旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かについては、当該商標の構成態様と、指定商品及び指定役務の取引の実情等に基づいて、個別具体的に、査定時又は審決時において、判断するべきものである。請求人が挙げる既登録例に係る商標は、いずれも本願商標とは異なる構成からなるものであり、本件とは事案を異にするものであるから、その既登録例があることにより、本願商標についてした上記認定、判断が左右されることはない。
オ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲(理由中で参照)
内容を表示(22行)
1 原審において示した事実
(1)「(社)企業研究会」のウェブサイトにおいて、「知財塾は事業、研究開発、知的財産の各戦略の整合と、三位一体の知財活動を戦略的に推進できる人材の育成を目的として、2002年に丸島儀一氏を塾長に迎えて創設されました。」の記載がある。
https://www.bri.or.jp/tizaizyuku/
(2)「(社)広島県発明協会」のウェブサイトにおいて、「この『ひろしま知財塾』は、少人数ゼミ形式で進行し、受講者・講師がキャッチボール形式で問題に取り組むなかで、知財スキルの向上・活用拡大が図れるセミナーです。」の記載がある。
https://www.hiroshima-hatsumei.jp/news/kiji7472.html
2 令和4年1月4日付け証拠調べ通知をもって開示した事実
(1)2021年11月8日付け「日刊工業新聞」(27ページ)において、「大分県、知財塾を11日開催」の見出しの下、「大分県は11日・・・『おおいた知財塾』を開く。中小企業向けに知的財産の基礎を解説するほか大分県内の知財担当者らが活用事例を紹介する。・・・参加無料で事前申し込みが必要。」の記載がある。
(2)2016年9月28日付け「日刊工業新聞」(36ページ)において、「広島県発明協会、6日から知財スキルの初級・上級講座を開講」の見出しの下、「広島県発明協会は10月6日から・・・『ひろしま知財塾』を開講する。知財の理解度や活用の頻度などにより初級と上級で構成する。少人数でのゼミ形式で、知財スキルの向上が図れるほか、交流にもつながる。初級編は・・・全3回。上級編は・・・全4回。・・・問い合わせは同協会(・・・)へ。」の記載がある。
(3)2009年10月14日付け「日刊工業新聞」(28ページ)において、「都センター、『知財塾』で中小の意識向上-20社対象に集中講義」の見出しの下、「東京都知的財産総合センター(・・・)は中小企業の知財意識を高めるための“知財塾”を始める。中小企業10―20社を対象に、集中的に知財に関する知識、活用ノウハウを教える。・・・東京都知的財産総合センターの相談員である企業の知財担当OBらが講師になる。」の記載がある。
(4)2007年5月24日付け「日刊工業新聞」(37ページ)において、「近畿経産局、中小の知財戦略支援を強化-ガイド本や経営塾を開講」の見出しの下、「近畿経済産業局は・・・経営者対象の『近畿知財塾』を新たに開講する。・・・07年度内に4回程度を予定。・・・近畿知財塾は06年度から中小の知財担当者向けにスタート。07年度は新たに経営者向けを開講する。ニッチ市場で世界トップシェアを持つ中小企業経営者らを対象として、大学教授らが講義する。」の記載がある。
(5)「日本弁理士会」のウェブサイトにおいて、「<令和2年度>JPAA知財塾 受講料無料」の見出しの下、「オンライン開催 6回シリーズ」「***本セミナーのポイント*** ●技術開発、商品開発や営業開拓に活用できる、事業に役立つ知財活動をご紹介します。・・・●中小企業支援に長けたベテラン弁理士が講師を務め、少人数制で丁寧に指導します。」「主催:日本弁理士会」の記載がある。
https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/10/jpaachizaijuku20201002.pdf
(6)「知的財産研究所」のウェブサイトにおいて、「平成30年4月9日(月) IIP知財塾 成果報告会(※満席となりました。)」の見出しの下、「当研究所におきましては、知的財産活動の現場を踏まえつつ、社会、国家、国際関係といった大所高所から知的財産制度・運用等の在り方について提言できる人材の育成を目指して、平成17年度より、『IIP知財塾』を開講してまいりました。この『IIP知財塾』は、企業、法曹、行政等の実務の最前線にかかわる方々を塾生とし、現役裁判官の方々にオブザーバーとして参加いただき、知的財産分野の第一線でご活躍されている学識経験者、有識者等を講師として、研修会を実施する形式にて活動してまいりました。」の記載がある。
https://www.iip.or.jp/seminar/houkoku180409.html
(7)「大阪発明協会」のウェブサイトにおいて、「知財塾2017 ~講義とディスカッションで楽しむ90分~」の見出しの下、「2017年度は・・・『知財塾』に発展させ、特許や意匠、契約問題など、知財全般にわたるTOPICSまで幅を広げて、参加者と更なる情報交換に努めたいと思っています。・・・『知財塾』は通年で6回。各回完結型でディスカッションを含め90分間を予定しています。」「申込先 一般社団法人 大阪発明協会」の記載がある。
http://www.jiiiosaka.jp/chizaijukuH29-5.pdf
(8)「INPIT 知財総合支援窓口」のウェブサイトにおいて、「知財初心者のための 岡山知財塾(初級編)を開催します!」の見出しの下、「『岡山知財塾(初級編)』は、知的財産の基礎知識や、特許の取得・管理方法、企業経営における知財活動の重要性について、事例紹介や質疑応答を交えながら、初心者の方にも分かり易く解説する、3日間で1コース完結の少人数制セミナーです。この機会にぜひご参加ください。」「主催:岡山県・(一社)岡山県発明協会」の記載がある。
https://chizai-portal.inpit.go.jp/madoguchi/okayama/files/docs/H29chizaijyuku.pdf
(9)「弁護士法人内田・鮫島法律事務所」のウェブサイトにおいて、「2021年2月吉日 USLF知財塾の開講と受講生募集のお知らせ」の見出しの下、「昨年度に引き続き,弊事務所にてセミナー(USLF知財塾)を開講いたします。このセミナーは,知的財産業務に従事される方々に対して日々の業務をよりブラッシュアップしていただけるような情報の提供を目的として平成24年からスタートいたしました。お陰様で受講いただきました皆様よりご好評をいただき,内容を拡充しながら本年で9年目の開催となります。・・・USLF知財塾は,特許紛争及びライセンス等の契約に関する基本的な知識・考え方のみならず最新の情報を提示することで,皆様の日々の知的財産業務のブラッシュアップに役立つセミナーになると強く信じております。」の記載がある。
https://www.uslf.jp/wp-content/uploads/2020/06/seminar2.pdf
(10)「株式会社ネットス」のウェブサイトにおいて、「サン・グループ知財塾2013 塾生募集!」の見出しの下、「社内の知的財産担当者の人材育成を強化したいとの企業ニーズに応じるべく、2012年度にサン・グループ知財塾を開講いたしました。・・・この知財塾では、内外国の知財の権利化や活用戦略、リスク管理対策、特許調査・検索手法等について、実務経験豊富な弁理士や調査のプロが初歩から指導いたします。知識のみならず知恵を学ぶ場として、また塾生同士の交流の場として、ぜひご参加ください。」の記載がある。
https://www.sungroup-nets.jp/wp-content/uploads/2013/05/e6653698d364bd158bb68561e7a41c4c1.pdf
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