商標拒絶査定不服審判
2022-008817
チザイジツムオンライン、チザイジツム
- 審判番号
- 2022-008817
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2020-068749
- 請求日
- 2022年06月08日
- 審決日
- 2023年10月19日
- 公報発行日
- 2024年12月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】加島 広基
- 【請求人代理人】弁理士法人IPX
- 【請求人】押谷 昌宗
- 【請求人代理人】弁理士法人IPX
- 審判長/審判官
- 審判長 大橋 良成
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 浦崎 直之
- 分類
- T18 .13 -Z (W094145) / T18 .17 -Z (W094145)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2020-68749拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年6月3日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 6月15日付け:拒絶理由通知書
令和3年 8月26日付け:意見書、手続補正書
令和4年 3月 4日付け:拒絶査定
令和4年 6月 8日受付:審判請求書
令和5年 3月 9日付け:審尋
令和5年 4月14日受付:回答書
第2 本願商標
本願商標は、「知財実務オンライン」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第41類及び第45類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記第1の手続補正により、別掲1に記載のとおりの指定商品及び指定役務に補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要旨
本願商標は、「知財実務オンライン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「知財」の文字は、「知的財産の略。」等の意味を有する語であり、「実務」の文字は、「実際の具体的な仕事。」等の意味を有する語であり、「オンライン」の文字は、「端末がインターネットなどの通信回線に接続されていること。」等の意味を有する語である。
上記の語義から、「知財」と「実務」の文字を結合してなる「知財実務」の文字部分は、「知的財産に関する実際の具体的な仕事」ほどの意味合いで理解され、知的財産に関する業務を指称する際に用いられているものである。
また、本願指定商品及び役務を取り扱う業界においては、商品や役務名の語尾に「オンライン」の文字を配すことは、オンラインで提供される多種多様な事業や公的サービスなどにおいて、取引上、一般的に行われる使用法(語順)であることがうかがえる。
そのため、当該表示における「オンライン」の文字は、これに接する取引者、需要者をして、本願商標に係る商品や役務が「オンラインで提供されるもの」であるという商品の品質又は役務の質若しくは提供の方法を示すためのものと認識させるにすぎないというべきである。
そうすると、本願商標を、補正後の本願指定商品及び指定役務中、第9類「知的財産に関する録画済みビデオディスク及びビデオテープ(動画配信プラットフォームにおいて各回異なる内容のものが定期的又は逐次的に提供された動画を内容とするものに限る。)」等、第41類「知的財産に関するセミナーの企画・運営又は開催(動画配信プラットフォームを通じて各回異なる内容のものが定期的又は逐次的に提供されるものに限る。)」等に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「オンラインで提供される知的財産の実務に関する内容の商品」であるという商品の品質、又は「オンライン形式で提供される知的財産の実務に関する内容の役務」であるという役務の質を理解するにすぎないものであるから、本願商標は、単に商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示するものというのが相当である。
したがって、商標法第3条第1項第3号に該当する。
第4 当審における審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について、請求人に対し、審尋で、別掲3(1)ないし(11)のとおりの事実を示すとともに、当審における合議体の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答の要旨
請求人は、上記第4の審尋に対し、回答書を提出し、要旨、以下のとおりの意見を述べた。
本願商標は、「オンラインを活用した知的財産の実務をテーマとするオンライン又はオフライン形式で提供されるセミナー」や「オンライン形式で提供されるセミナーでテーマが知的財産の実務であるもの」等の複数の意味合いを看取できるものであり、かつ、当該意味合いからは本願指定商品役務の具体的な内容までは認識し得ないから、本願商標を構成する文字自体で漠然とした意味として認識されると考えるのが通常である。
すなわち、「知財実務」の文字が「知的財産に関する実務」を表すとしても、その実務の内容は多岐にわたり、「オンライン」の文字の位置が一般的な語頭ではなく、語尾にあることからも、本願商標は商品や役務の特徴等を表示したものと一般に認識されることはない。
審尋では、商品、役務名又はブランド名の語尾に「オンライン(ONLINE)」の文字を配することが一般的に行われていると述べているが、「オンライン(ONLINE)」の文字を語尾に有する商標が識別力を有さない場合とは、ウェブサイト等のオンラインで提供される役務等の内容が、語頭の文字から想起される商品のオンライン版であることを直接的に示している場合に限られるというべきである。
本願商標は、「オンライン版の知的財産に関する実務」といった観念を想起できる場合があるとしても、当該実務の具体的内容は特定できず、ウェブサイト等のオンラインで提供される役務等の内容が、語頭の文字から想起される商品のオンライン版であることを直接的に示している場合とはいえず、役務の内容を直接的に表したものではなく、「知財実務オンライン」の文字全体で、一種の造語として理解され、出所識別標識であると認識されるものである。
加えて、本願指定商品役務は、いずれも「定期的に発行されるもの」や「動画配信プラットフォームを通じて各回異なる内容のものが定期的又は逐次的に提供されるもの」又は「動画配信プラットフォームを通じて各回異なる内容のものが定期的又は逐次的に提供されるもの」に関する商品役務であり、本願商標は指定商品役務との関係でいずれも題号や番組名(チャンネル名)に係る商標として認識されるものである。
そのため、仮に、上記の主張が認められなかったとしても、題号や放送番組名、定期刊行物に係る審査基準を適用して、その識別力の有無を検討すべきである。
定期刊行物の題号は、その内容を認識させると同時にその出所をも表示するものであるから識別力が認められるのであって、題号と関わりのない内容の記事を含むから識別力が認められるのではない。本願指定商品役務が知的財産(権)に関するものであったとしても、そのことを理由に、題号や番組名・チャンネル名としての適格性を否定し、本願商標の識別力を判断することはできない。
上記の主張が認められないとしても、本願商標は使用がされた結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるものに至っているから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備し、登録を受けることができるものである。
なお、仮に一部の指定商品役務について、登録が認められる場合には、補正の機会をいただきたい。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、審決時において、本願商標が、その指定商品又は指定役務との関係で、その商品の産地、販売地、品質、形状その他の特性又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって、将来を含め、商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りるのであって、必ずしも本願商標が現実に当該指定商品又は指定役務に使用されていることを要しないと解される(平成27年(行ケ)第10107号判決、令和3年(行ケ)第10100号判決、平成12年(行ケ)第76号判決)。
そして、本願商標の取引者、需要者によって当該指定商品又は指定役務に使用された場合に商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定商品又は指定役務に関する取引の事情を考慮して判断すべきである(令和3年(行ケ)第10113号判決)。
2 商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、「知財実務オンライン」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中「知財」の文字は、「「知的財産」の略。」を、「実務」の文字は、「実際の具体的な仕事。」を、「オンライン」の文字は、「コンピューターの入出力装置などが、中央処理装置と直結している状態。また、通信回線などによって、人手を介さず情報を転送できる状態。」(いずれも「大辞泉第二版」株式会社小学館)を意味する語である。
そして、本願商標の構成中「知財」と「実務」の文字を結合してなると認識される「知財実務」の文字は、上記の語義からすれば、「知的財産に関する実務」ほどの意味合いを容易に理解させるものであり、別掲2のとおりの事実によれば、実際に上記の意味合いで使用されているものと認められる。
また、別掲3のとおりの事実によれば、商品、役務名又はブランド名の語尾に「オンライン(ONLINE)」の文字を配すことは、オンラインで提供される様々な商品又は役務において、取引上、一般的に行われていることが認められる。
これらの事実からすると、本願商標をその指定商品及び指定役務である「知的財産(権)に関する商品及び役務」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、直ちに「オンラインで提供される知的財産(権)に関する実務についての商品及び役務」であること、すなわち、単に商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識するというべきである。
したがって、本願商標は、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきあるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、原査定が判断した本願商標全体から認識される意味合いについて、間接的に表示するか否かが充分検討されておらず、「オンライン(ONLINE)」の文字を語尾に有する商標が識別力を有さない場合とは、ウェブサイト等のオンラインで提供される役務等の内容が、語頭の文字から想起される商品のオンライン版であることを直接的に示している場合に限られる旨主張している。
しかしながら、別掲3のとおり、商品、役務名又はブランド名の語尾に「オンライン(ONLINE)」の文字を配すことが取引上一般的に行われていることからすれば、「オンライン(ONLINE)」の文字を語尾に有する商標が識別力を有さない場合を、ウェブサイト等のオンラインで提供される役務等の内容が語頭の文字から想起される商品のオンライン版であることを直接的に示している場合に限らなければならない事情は見いだせない。
また、上記1のとおり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者、需要者によって商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やその指定商品又は指定役務に関する取引の事情を考慮して判断されるべきものである。
そして、上記2のとおり、本願商標を構成する文字(語)の意味、「知財実務」の文字(語)が「知的財産に関する実務」の意味合いで使用されている取引の実情、及びオンラインで提供される様々な商品又は役務において、商品、役務名又はブランド名の語尾に「オンライン(ONLINE)」の文字を配すことが一般的に行われている取引の実情を考慮すれば、本願商標をその指定商品及び指定役務である「知的財産(権)に関する商品及び役務」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、直ちに「オンラインで提供される知的財産(権)に関する実務についての商品及び役務」であること、すなわち、単に商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識するというべきである。
なお、請求人は、例えば、知的財産に関するセミナー関連の役務について、本願商標が使用された場合、需要者は「オンラインを活用した知的財産の実務をテーマとするオンライン又はオフライン形式で提供されるセミナー」又は「オンライン形式で提供されるセミナーでテーマが知的財産の実務であるもの」等の複数の意味合いを看取できるものであり、かつ、当該意味合いからは本願指定商品役務の具体的な内容までは認識し得ないから、本願商標を構成する文字自体で漠然とした意味として認識されるとも主張しているが、いずれの意味で認識されたとしても、商品の品質又は役務の質を表示したものと一般に認識されるものであることに変わりはないというべきである。
(2)請求人は、「題号等」や「定期刊行物」についての商標審査基準を示した上で、定期刊行物の題号は、その内容を認識させると同時にその出所をも表示するものであるから識別力が認められるのであって、題号と関わりのない内容の記事を含むから識別力が認められるのではなく、本願商標は識別力を有する旨主張するとともに、過去の登録例を挙げている。
ところで、例えば新聞のような定期刊行物は、その題号と関わりなく様々な内容からなる記事を編集して定期的に発行されるものである。例えば、題号に「経済」の文字が含まれている新聞において、経済にかかわらず、政治、外交、社会、文化、スポーツ、テレビ番組といった様々な記事が掲載されている実情が認められ、このように、必ずしも題号が定期刊行物の内容を表示するものではない。
しかしながら、本願の指定商品及び指定役務は、別掲1のとおり、いずれも知的財産(権)に関するものであるから、本願商標が商品又は役務の内容、すなわち商品の品質又は役務の質を表していることが明らかであり、そのため、題号と関わりなく様々な内容からなる記事を編集して発行される新聞のような定期刊行物と同様に判断することは適切ではないというべきである。
仮に、請求人が主張するように、内容を認識させると同時にその出所をも表示する場合があるとしても、本願商標においては、そのような特段の事情は見いだせない。
そして、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様や取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標についての判断は、上記2のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
(3)ア 請求人は、原審の意見書添付の資料、審判請求書添付の証拠及び回答書添付の証拠を提出し、上記の主張が認められないとしても、本願商標は使用がされた結果、需要者が請求人の業務に係る役務であることを認識することができるものに至っているから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備し、登録を受けることができるものである旨主張している。
イ 証拠によれば、請求人は、動画配信プラットフォーム「YouTube」において、令和2年(2020年)6月から動画を配信しており、当該動画配信に際して、本願商標「知財実務オンライン」をチャンネル名として使用していることが認められる(甲2、原審の意見書添付の資料3、4)。
また、当該動画の画面には「知財実務オンライン」の文字が表示されていることが認められる(甲2、甲5、甲7、原審の意見書添付の資料5)。
さらに、当該チャンネルは、令和5年(2023年)4月7日時点において、160本の動画が配信され、チャンネル登録者数は3,640人であることが認められる。(甲18)。
ウ 上記イで認定した事実によれば、請求人は、本願商標をその指定商品及び指定役務中「知的財産に関する映像の提供」に使用をしていることがうかがえる。
しかしながら、本願商標の使用期間は、3年ほどと短く、チャンネル登録者数も格別多いものとはいえず、請求人は、知財系YouTubeチャンネルの登録者数のシェアでいえば、第2位に位置し、20%ものシェアを占めている旨主張するが、裏付けとなる証拠の提出はない。
そうすると、本願商標は、請求人提出の証拠によっては、「知的財産に関する映像の提供」について、我が国の需要者の間において、請求人の業務に係る役務を表示する標章として、広く認識されるに至っているものとは認めることはできない。
さらに、本願商標は、「知的財産に関する映像の提供」以外の指定商品及び指定役務については、使用をされていることすら何ら認められない。
したがって、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができるに至ったものとはいえず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(4)請求人は、本願商標について、仮に一部の指定商品役務について登録が認められる場合には、補正の機会をいただきたい旨述べている。
しかしながら、本願商標は、全ての指定商品及び指定役務について、上記2のとおり商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、上記(3)のとおり、同条第2項の要件を具備しないものであるから、当該補正の機会を設けることなく、本件審判の審理を終結することとした。
(5)したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、同条第2項の要件を具備しないものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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