特許拒絶査定不服審判
2021-008122
急速充電装置及び急速充電システム
- 審判番号
- 2021-008122
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-137757
- 請求日
- 2021年06月21日
- 審決日
- 2022年04月05日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社キューヘン
- 【請求人代理人】西浦 ▲嗣▼晴
- 【請求人代理人】▲高▼見 良貴
- 【請求人代理人】出山 匡
- 審判長/審判官
- 審判長 山田 正文
- 審判官 山本 章裕
- 審判官 畑中 博幸
- 分類
- P18 .121-WY (H02J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-137757「急速充電装置及び急速充電システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月 9日出願公開、特開2020- 5495、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、平成27年11月9日(優先権主張 平成26年11月12日)を出願日とする特願2015-219374号の一部を令和1年7月26日に新たな特許出願としたものであって、令和2年8月4日付けで拒絶理由が通知され、同年10月6日に意見書が提出され、令和3年3月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月21日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
2 原査定の概要
原査定の拒絶理由の概要は次のとおりである。
「(進歩性)この出願の請求項1ないし7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物1、2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2013-013208号公報
2.特開2012-005341号公報」
3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、請求項1、2、6、7の「急速充電装置」に「単体の」という事項を追加し「単体の急速充電装置」とする補正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、「単体の急速充電装置」という事項は、願書に添付した明細書の段落【0008】【0050】に記載され、図1から単体の急速充電装置3,3’が記載されていることが見てとれるから、「単体の急速充電装置」とする補正は新規事項を追加するものではない。
そして、「4 本願発明」から「6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1ないし7に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
したがって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
4 本願発明
(1)本願の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明7」という。)は、令和3年6月21日の手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。下線は、補正箇所を示す。
「 【請求項1】
プラグイン型車両に搭載された蓄電器を急速充電するための単体の急速充電装置であって、
直流電源部と、
前記直流電源部から出力される直流電力を制御指令に応じて制御する電源制御部と、
前記プラグイン型車両のプラグインコネクタに接続されて前記電源制御部によって制御された前記直流電力を前記プラグイン型車両の前記蓄電器に供給する1以上の電源プラグと、
少なくとも前記プラグイン型車両との間で通信を行って前記蓄電器の蓄電情報を入手する通信部と、
前記通信部から入手した前記蓄電情報に基づいて前記蓄電器が受容可能な最大出力容量を判定する供給出力容量判定部と、
前記供給出力容量判定部が判定した最大出力容量に応じて前記電源プラグに前記電源制御部によって制御された前記直流電力を供給する電力供給切換回路と、
別の単体の急速充電装置から直流電力を受電する外部受電部と、
前記供給出力容量判定部が前記直流電力だけでは前記最大出力容量に満たないと判定したときに、前記別の単体の急速充電装置から追加の直流電力を受電し、前記電力供給切換回路から出力される前記直流電力に前記追加の直流電力を加算することにより供給する出力容量を確保する追加電力加算回路とを備えており、
前記電源制御部は、前記直流電源部が正常に前記直流電力を出力できるか否かを判定する電源異常判定部を備えており、
前記追加電力加算回路は、前記電源異常判定部が前記直流電源部の異常を判定すると、前記供給出力容量判定部が前記追加の直流電力により必要出力容量を確保できると判定しているときには、前記追加の直流電力を前記蓄電器に供給する機能を備えていることを特徴とする急速充電装置。
【請求項2】
別の単体の急速充電装置に直流電力を出力する外部給電部を備えている請求項1に記載の急速充電装置。
【請求項3】
前記外部給電部が前記電源プラグである請求項2に記載の急速充電装置。
【請求項4】
複数の前記電源プラグを備えており、
前記複数の電源プラグのうち少なくとも1本の電源プラグは、前記直流電力と前記追加の直流電力とを加算した電力を供給できる容量を有している請求項1,2または3に記載の急速充電装置。
【請求項5】
複数台の請求項2に記載の急速充電装置が、一つの前記急速充電装置の前記外部受電部と他の一つの急速充電装置の前記外部給電部とを電気的に接続してなる急速充電システム。
【請求項6】
前記追加電力加算回路は、前記別の単体の急速充電装置が前記プラグイン型車両の充電をしているため、前記追加の直流電力を受電せずに前記直流電力のみで充電を行っている間に、前記別の単体の急速充電装置の充電が完了したことを検知した場合、前記別の単体の急速充電装置から前記追加の直流電力を受電して、前記直流電力に前記追加の直流電力を加算して出力容量を確保するように構成されている請求項1に記載の急速充電装置。
【請求項7】
前記追加電力加算回路は、前記追加の直流電力を加算して充電を行っている間に、他の前記電源プラグ、または、前記別の単体の急速充電装置の1以上の電源プラグに前記プラグイン型車両が接続されたことを検知した場合に、前記追加の直流電力の加算を止めて、前記直流電力のみで充電を継続するように構成されている請求項1に記載の急速充電装置。」
5 引用発明、公知技術
(1)引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2013-13208号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。
「【0015】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る電気自動車用地上充電器の概略的な構成及び使用状態を示したものである。
図1において、電気自動車用地上充電器300は、2台の電力変換器310,320と、その直流出力端子に接続された充電ケーブル341,342と、各ケーブル341,342からそれぞれ分岐した分岐ケーブル311,312と、これらの分岐ケーブル311,312の先端にそれぞれ接続された接続端部としての充電コネクタホルダ361,362と、を備えている。
【0016】
ここで、電力変換器310,320は、外部から供給される交流電力を蓄電装置の充電に必要な直流電力に変換して出力する機能を有する。この種の電力変換器の構成及び動作は周知であるため、詳述を省略する。
前記同様に、211,212は電気自動車の車両、221,222は二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電装置、231,232は車両用コネクタである。
【0017】
充電コネクタホルダ361,362は、本来的に、充電ケーブル341,342の先端の充電コネクタ351,352の不使用時(非充電時)に、これらの充電コネクタ351,352をそれぞれ保持する機能を有する。そして、付随的な機能として、後述する図2に示す如く、一方の充電コネクタホルダ361に他方の充電コネクタ352を接続、保持した状態で、充電ケーブル342から充電コネクタ352、充電コネクタホルダ361、分岐ケーブル311、充電ケーブル341の経路で電路を形成し、同様に、他方の充電コネクタホルダ362に一方の充電コネクタ351を保持した状態で充電ケーブル341から充電コネクタ351、充電コネクタホルダ362、分岐ケーブル312、充電ケーブル342の経路で電路を形成することにより、蓄電装置221または222の入力側に電力変換器310,320を並列接続する機能を備えている。
【0018】
この実施形態の動作を説明すると、2台の電気自動車の充電が必要な場合は、図1に示すように、各変換器310,320の充電ケーブル341,342の充電コネクタ351,352を車両211,212の車両用コネクタ231,232にそれぞれ接続し、電力変換器310により蓄電装置221を、電力変換器320により蓄電装置222を、それぞれ一対一に対応させて充電する。
【0019】
また、例えば車両211の蓄電装置221を急速充電する場合には、図2に示すように、電力変換器310の充電ケーブル341の充電コネクタ351を車両用コネクタ231に接続した状態で、電力変換器320の充電ケーブル342の充電コネクタ352を充電コネクタホルダ361に接続する。
これにより、蓄電装置221の入力側に各変換器310,320が並列接続されることになるので、1台の電力変換器310を用いる場合に比べて短時間で蓄電装置221を充電することができる。
【0020】
この第1実施形態において、地上充電器300に内蔵される電力変換器の数は2台に限定されるものではなく、設置スペースが許せば、3台以上の電力変換器を内蔵して同数の蓄電装置に対する個別充電を可能にしてもよい。この場合も、個々の電力変換器に附属する複数の分岐ケーブル及び充電コネクタホルダを用いて、複数台の電力変換器を単一の蓄電装置の入力側に並列接続して急速充電を行うことができる。
【0021】
次に、図3及び図4は、本発明の第2実施形態に係る電気自動車用地上充電器の概略的な構成及び使用状態を示している。この実施形態は、電気自動車用地上充電器が1台の電力変換器を有する場合のものである。
すなわち、地上充電器300Aは、電力変換器310、充電ケーブル341、充電コネクタ351、分岐ケーブル311及び充電コネクタホルダ361を備え、これと同様に地上充電器300Bも、電力変換器320、充電ケーブル342、充電コネクタ352、分岐ケーブル312及び充電コネクタホルダ362を備えている。
上記各要素の機能は、第1実施形態と同様である。
【0022】
この第2実施形態において、地上充電器300A,300Bにより蓄電装置221,222を一対一に対応させて充電する場合には、図3に示すような接続状態とすればよい。また、2台の地上充電器300A,300Bにより蓄電装置221を急速充電する場合には、図4に示すように、実質的に第1実施形態の図2と同様な接続状態とすればよい。」
図3、4として以下の図面が記載されている。
「 図3
[図:0001383875000001.jpg]
図4
[図:0001383875000002.jpg]
」
上記の記載から引用文献1に記載された第2実施形態に関して、段落【0021】に「上記各要素の機能は、第1実施形態と同様である」と記載されていることを踏まえれば次のことがいえる。
段落【0022】には、2台の地上充電器300A,300Bにより蓄電装置221を急速充電する場合には図4のような接続状態とすることが記載されており、図4からは地上充電器300Bの充電コネクタ352を地上充電器300Aの充電コネクタホルダ361に接続し、地上充電器300Aの充電コネクタ351を車両211の車両用コネクタ231に接続していることが見てとれる。したがって、地上充電器300Aは、充電コネクタ351を車両211の車両用コネクタ231に接続して蓄電装置221を急速充電しているといえる。
段落【0021】によれば、地上充電器300Aは電力変換器310を備え、当該電力変換器310は、段落【0016】の記載によれば、交流電力を蓄電装置の充電に必要な直流電力に変換して出力する機能を有している。
段落【0021】によれば、地上充電器300Aは充電コネクタ351を備えており、段落【0019】の「急速充電する場合には、図2に示すように、電力変換器310の充電ケーブル341の充電コネクタ351を車両用コネクタ231に接続した」との記載を踏まえれば、急速充電する場合には充電コネクタ351は車両用コネクタ231に接続される構成であるといえる。
段落【0022】の記載と図3、4によれば、地上充電器300Aと蓄電装置221を一対一に対応させて充電する場合には、地上充電器300Bの電力変換器320の充電コネクタ352を車両212の車両用コネクタ232に接続し、蓄電装置221を急速充電する場合には、地上充電器300Bの電力変換器320の充電コネクタ352を充電コネクタホルダ361に接続しているといえる。
充電コネクタホルダ361は、段落【0019】【0022】及び図4によれば、地上充電器300Bの電力変換器320の充電コネクタ352を接続することにより、蓄電装置221の入力側に各変換器310,320が並列接続するものといえる。
そうしてみると、引用文献1には、本願発明1との対比において最も適切と認められる実施形態2に関連して、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 充電コネクタ351を車両211の車両用コネクタ231に接続して蓄電装置221を急速充電する地上充電器300Aであって、
交流電力を蓄電装置の充電に必要な直流電力に変換して出力する機能を有する電力変換器310と、
車両用コネクタ231に接続される充電コネクタ351と
地上充電器300Bの電力変換器320の充電コネクタ352を接続することにより、蓄電装置221の入力側に電力変換器310,320が並列接続される充電コネクタホルダ361と
とを備え、
地上充電器300Aにより蓄電装置221を一対一に対応させて充電する場合には、地上充電器300Bの電力変換器320の充電コネクタ352を車両212の車両用コネクタホルダ232に接続し、蓄電装置221を急速充電する場合には、地上充電器300Bの電力変換器320の充電コネクタ352を充電コネクタホルダ361に接続する地上充電器300A。」
(2)引用文献2に記載された技術
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2012-5341号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。
「【0008】
本発明の目的は、1台の装置で複数のバッテリ搭載装置を同時に充電することができる充電装置、充電制御ユニット、充電制御方法及び充電受付方法を提供することにある。
【0009】
前記問題点を解決するために、本発明は、充電用の直流の電力を出力する電力出力部と、バッテリを搭載したバッテリ搭載装置に接続可能な複数の利用者操作ユニットと、前記電力出力部から前記利用者操作ユニットへの電力供給を制御する充電制御ユニットとを備え、前記バッテリに電力を供給して充電する充電装置における、前記充電制御ユニットであって、前記バッテリ搭載装置に接続されている前記利用者操作ユニットに対して、前記電力出力部から出力される電力を振り分けて供給することを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、充電装置の利用者操作ユニットにバッテリ搭載装置が接続されると、充電制御ユニットは、このとき使用可能な電力を利用者操作ユニットに電源として振り分け、バッテリ搭載装置のバッテリを充電するために、振り分けられた電力を利用者操作ユニットに供給する。そして、利用者操作ユニットにバッテリ搭載装置が接続される度に、このとき使用可能な電力が利用者操作ユニットに割り当てられ、バッテリが充電される。よって、1台の充電装置であっても、複数の利用者操作ユニットを充電可能に動作することが可能となるので、一度に複数のバッテリ搭載装置を充電することが可能となる。
・・・・
【0032】
充電装置3には、系統電源(例えば商用電源)5から取得した交流電力(AC電力)を充電用の直流電力(DC電力)に変換出力する充電コンバータ装置6と、充電時においてユーザにより車両2に接続される利用者操作ユニット7とが設けられている。駐車場1には、駐車時間を計測するパーキングメータ8も設置されている。なお、系統電源5が系統に相当する。
【0033】
図1に示すように、充電コンバータ装置6には、系統電源5の交流電力を充電に適当な直流の電流/電圧に変換する複数の電力変換ユニット9が設けられている。電力変換ユニット9は、系統電源5の交流電圧をコンバータ10で直流変換し、変換後の直流電圧をインバータ11によって交流電圧に昇圧する。そして、昇圧後の交流電圧をトランス12及び整流器13によって充電に適した直流電圧に変換する。各電力変換ユニット9は、例えば供給電力が10kW、定格電流が25A、定格電圧が400~500Vの小型電源となっている。
【0034】
充電コンバータ装置6には、電力変換ユニット9,9…と利用者操作ユニット7,7…との接続組合せ(接続関係)を切り換える切換回路14が設けられている。図3に示すように、切換回路14は、各電力変換ユニット9から延びる母線15と利用者操作ユニット7(充電端末18)から延びる母線16との交わる箇所にスイッチ17を各々備えた回路からなる。そして、どの電力変換ユニット9をどの利用者操作ユニット7に繋げるのかをスイッチ17,17…によって設定することで、電力変換ユニット9を所望の利用者操作ユニット7に振り分ける。なお、切換回路14が充電制御ユニット55を構成する。
・・・・
【0041】
充電コンバータ装置6には、充電コンバータ装置6を統括制御する充電制御装置32が設けられている。充電制御装置32は、複数の電力変換ユニット9,9…のうち充電に使用するものに電源を投入する。充電制御装置32は、充電コンバータ装置6に設けられた車両通信制御部33を介して、各充電端末18に接続されている。充電制御装置32は、各充電端末18から車両通信制御部33を介して必要電力量情報Saや充電量情報Sbを取得する。車両通信制御部33は、充電コンバータ装置6と複数の充電端末18との間の通信を管理する。なお、車両通信制御部33が必要電力量取得手段及び充電量取得手段を構成する。
・・・・
【0043】
充電動作制御部34は、充電開始に先立ち、車両2から取得する必要電力量情報Saを基に、バッテリ4の充電に必要な電力量、つまり充電に必要な電力が何kWなのかを把握する。そして、充電動作制御部34は、切換回路14のスイッチ状態を切り換えることにより、必要な電力量を満足できる分の電力変換ユニット9を利用者操作ユニット7に接続して、充電を実行する。
・・・・
【0070】
(8)電力変換ユニット9の故障有無を故障検出部35によって監視し、電力変換ユニット9に故障が発生すると、故障した電力変換ユニット9を切離し、故障していない他の正常な電力変換ユニット9のみを電源として充電端末18に割り当てる。よって、故障した電力変換ユニット9が電源として使用されることがないので、正常な充電動作を確保することができる 」
上記記載によれば、引用文献2には以下の技術が記載されていると認められる。
「1台の装置で複数のバッテリ搭載装置を同時に充電することができる充電装置において、
複数の電力変換ユニット9と、電力変換ユニット9,9…と利用者操作ユニット7,7…との接続組合せ(接続関係)を切り換える切換回路14を設け、
充電制御装置32は、各充電端末18から車両通信制御部33を介して必要電力量情報Saや充電量情報Sbを取得し、
充電動作制御部34は、車両2から取得する必要電力量情報Saを基に、充電に必要な電力が何kWなのかを把握し、
充電動作制御部34は、切換回路14のスイッチ状態を切り換えることにより、必要な電力量を満足できる分の電力変換ユニット9を利用者操作ユニット7に接続して、充電を実行し、
故障検出部35によって監視し、電力変換ユニット9に故障が発生すると、故障した電力変換ユニット9を切離し、故障していない他の正常な電力変換ユニット9のみを電源として充電端末18に割り当てる」技術。
6 対比・判断
(1)本願発明1について
ア.対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明では、充電コネクタ351を車両211の車両用コネクタ231に接続して充電を行うから、引用発明の「車両211」は本願発明1の「プラグイン型車両」に相当し、引用発明の「蓄電装置221」は本願発明1の「蓄電器」に相当する。また、引用発明の「地上充電器300A」は急速充電を行い、地上充電器300Bとは独立した単体の地上充電器といえるから、本願発明1の「単体の急速充電装置」に相当する。
そうしてみると、引用発明の「地上充電器300A」は本願発明1の「プラグイン型車両に搭載された蓄電器を急速充電するための単体の急速充電装置」に相当する。
(イ)引用発明の「電力変換器310」は交流電力を直流電力に変換して出力するから、本願発明1の「直流電源部」に相当する。
(ウ)引用発明は、本願発明1の「前記直流電源部から出力される直流電力を制御指令に応じて制御する電源制御部」は有していない。
(エ)引用発明の充電コネクタ351は車両用コネクタ231に接続されるから、引用発明の「車両用コネクタ231」、「充電コネクタ351」が本願発明1の「プラグイン型車両のプラグインコネクタ」、「1以上の電源プラグ」にそれぞれ相当する。そして、引用発明の「充電コネクタ351」が「車両用コネクタ231」に接続されて「電力変換器310」の直流電力を「車両211」の「蓄電装置221」に供給することは明らかであるから、本願発明1の「前記プラグイン型車両のプラグインコネクタに接続されて」「前記直流電力を前記プラグイン型車両の前記蓄電器に供給する1以上の電源プラグ」に相当する。
ただし、引用発明では充電コネクタ351が電力変換器310により出力される直流電力を蓄電装置221に供給していることは明らかであるものの、本願発明1のプラグインコネクタのように「前記電源制御部によって制御された前記直流電力」を供給するものではない点で相違する。
(オ)本願発明1は「少なくとも前記プラグイン型車両との間で通信を行って前記蓄電器の蓄電情報を入手する通信部」を有しているが、引用発明は当該構成を有していない点で相違する。
(カ)本願発明1は「前記通信部から入手した前記蓄電情報に基づいて前記蓄電器が受容可能な最大出力容量を判定する供給出力容量判定部」を有しているが、引用発明は当該構成を有していない点で相違する。
(キ)本願発明1は「前記供給出力容量判定部が判定した最大出力容量に応じて前記電源プラグに前記電源制御部によって制御された前記直流電力を供給する電力供給切換回路」を有しているが、引用発明は当該構成を有していない点で相違する。
(ク)引用発明の充電コネクタホルダ361は、地上充電器300Bの電力変換器320の充電コネクタ352を接続することにより、蓄電装置221の入力側に電力変換器310,320が並列接続されるものであり、地上充電器300Bの電力変換器320から直流電力を受電しているといえるから、引用発明の「地上充電器300B」が本願発明1の「別の単体の急速充電装置」に相当し、引用発明の「充電コネクタホルダ361」は本願発明1の「別の単体の急速充電装置から直流電力を受電する外部受電部」に相当する。
(ケ)引用発明では、急速充電する場合には、電力変換器320の充電コネクタ352を充電コネクタホルダ361に接続して電力変換器310,320を並列接続しており、変換器310と変換器320からの直流電力を加算していると言うことができる。そうしてみると、引用発明と本願発明1とは「前記別の単体の急速充電装置から追加の直流電力を受電し、」「前記直流電力に前記追加の直流電力を加算することにより供給する出力容量を確保する追加電力加算回路」とを備えているといえる点で共通している。ただし、引用発明では「前記供給出力容量判定部が前記直流電力だけでは前記最大出力容量に満たないと判定したときに」加算をするとの特定はなく、また、「前記電力供給切換回路から出力される」直流電力に加算しているとの特定もない点で相違している。
(コ)本願発明1は「前記電源制御部は、前記直流電源部が正常に前記直流電力を出力できるか否かを判定する電源異常判定部を備えており、前記追加電力加算回路は、前記電源異常判定部が前記直流電源部の異常を判定すると、前記供給出力容量判定部が前記追加の直流電力により必要出力容量を確保できると判定しているときには、前記追加の直流電力を前記蓄電器に供給する機能を備えている」が、引用発明は当該構成を有していない点で相違する。
したがって、本願発明1と引用発明は以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「 プラグイン型車両に搭載された蓄電器を急速充電するための単体の急速充電装置であって、
直流電源部と、
前記プラグイン型車両のプラグインコネクタに接続されて直流電力を前記プラグイン型車両の前記蓄電器に供給する1以上の電源プラグと、
別の単体の急速充電装置から直流電力を受電する外部受電部と、
前記別の単体の急速充電装置から追加の直流電力を受電し、前記直流電力に前記追加の直流電力を加算することにより供給する出力容量を確保する追加電力加算回路とを備えている、急速充電装置。」
(相違点1)
本願発明1は「前記直流電源部から出力される直流電力を制御指令に応じて制御する電源制御部」を備えるのに対して、引用発明は当該構成を有していない点
(相違点2)
「電源プラグ」が、本願発明1は「前記電源制御部によって制御された前記直流電力」を蓄電器に供給しているのに対して、引用発明では「前記電源制御部によって制御された前記直流電力」であることが特定されていない点
(相違点3)
本願発明1は「少なくとも前記プラグイン型車両との間で通信を行って前記蓄電器の蓄電情報を入手する通信部」を備えるのに対して、引用発明は当該構成を有していない点
(相違点4)
本願発明1の「前記通信部から入手した前記蓄電情報に基づいて前記蓄電器が受容可能な最大出力容量を判定する供給出力容量判定部」を備えるのに対して、引用発明は当該構成を有していない点
(相違点5)
本願発明1の「前記供給出力容量判定部が判定した最大出力容量に応じて前記電源プラグに前記電源制御部によって制御された前記直流電力を供給する電力供給切換回路」を備えるのに対して、引用発明は当該構成を有していない点
(相違点6)
「追加電力加算回路」が、本願発明1は「前記供給出力容量判定部が前記直流電力だけでは前記最大出力容量に満たないと判定したときに」「前記電力供給切換回路から出力される」直流電力に前記追加の直流電力を加算しているのに対して、引用発明では「前記供給出力容量判定部が前記直流電力だけでは前記最大出力容量に満たないと判定したときに」加算をするとの特定はなく、また、「前記電力供給切換回路から出力される」直流電力に加算しているとの特定もない点
(相違点7)
本願発明1では「前記電源制御部は、前記直流電源部が正常に前記直流電力を出力できるか否かを判定する電源異常判定部を備えており、前記追加電力加算回路は、前記電源異常判定部が前記直流電源部の異常を判定すると、前記供給出力容量判定部が前記追加の直流電力により必要出力容量を確保できると判定しているときには、前記追加の直流電力を前記蓄電器に供給する機能を備えている」のに対して、引用発明は当該構成を有していない点
イ.判断
事案に鑑み、相違点7から先に検討する。
上記「5(2)」のように、故障時の動作を含む以下の技術が引用文献2に記載されている。
「1台の装置で複数のバッテリ搭載装置を同時に充電することができる充電装置において、
複数の電力変換ユニット9と、電力変換ユニット9,9…と利用者操作ユニット7,7…との接続組合せ(接続関係)を切り換える切換回路14を設け、
充電制御装置32は、各充電端末18から車両通信制御部33を介して必要電力量情報Saや充電量情報Sbを取得し、
充電動作制御部34は、車両2から取得する必要電力量情報Saを基に、充電に必要な電力が何kWなのかを把握し、
充電動作制御部34は、切換回路14のスイッチ状態を切り換えることにより、必要な電力量を満足できる分の電力変換ユニット9を利用者操作ユニット7に接続して、充電を実行し、
故障検出部35によって監視し、電力変換ユニット9に故障が発生すると、故障した電力変換ユニット9を切離し、故障していない他の正常な電力変換ユニット9のみを電源として充電端末18に割り当てる」技術。(再掲)
一方、引用発明は、引用文献1の段落【0008】ないし【0010】に記載されているように、従来技術では地上充電器100内に複数のスイッチを備えなくてはならず、部品数が多くなってコスト高になるという課題を、複数のスイッチに変え充電ケーブルの接続構造によって解決したものである。
そうしてみると、引用発明は複数のスイッチを設けないことを前提としたものであり、複数のスイッチ(切換回路)により課題解決を図る引用文献2に記載された技術を適用することには阻害要因があるといえる。よって、上記引用文献2に記載された技術を引用発明に適用し、相違点7とした構成とすることは容易になし得た事項とはいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく本願発明1は引用発明及び引用文献2に記載された技術から容易に発明できたものとはいえない。
(2)本願発明2ないし7について
請求項2ないし7は請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項であり、本願発明1の構成を含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
7 原査定について
原査定は、引用文献1、2を引用して特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(進歩性)とするものであるが、上記「4 本願発明」から「6 対比・判断」までのとおり、本願の請求項1ないし7に係る発明は、当業者であっても拒絶査定において引用された引用文献1、2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の拒絶の理由を維持することはできない。
8 むすび
以上のとおり、請求項1ないし7に係る発明は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2021-008122