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特許拒絶査定不服審判

2021-007107

杖

審判番号
2021-007107
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-172086外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年06月01日
審決日
2022年02月16日
公報発行日
2022年03月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (A45B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016-172086「杖」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月 8日出願公開、特開2018- 33871、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 16項目
理 由

第1 手続の経緯

この(以下、「本願」という。)出願は、平成28年9月2日の出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

令和2年 5月13日付け 拒絶理由通知書

令和2年 9月 8日 意見書、手続補正書

令和3年 2月18日付け 拒絶査定

令和3年 6月 1日 審判請求書、手続補正書

第2 原査定の概要

原査定(令和3年2月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1~5に係る発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、以下の頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1~4

・引用文献 1、3~4

・請求項 5

・引用文献 1~4

<引用文献等一覧>

1.実願昭53-093494号(実開昭55-009686号)のマイクロフィルム

2.特開2007-330693号公報

3.韓国登録実用新案第20-0452439号公報

4.米国特許出願公開第2016/0053789号明細書

第3 本願発明

本願の請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」~「本願発明3」という。)は、令和3年6月1日の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
径の異なる複数の筒体を具備する杖であって、
前記筒体が第1端部と第2端部とを有し、
前記筒体の前記第1端部の外周面には周方向に延びる開口部が形成され、
続きを表示(全18行)
前記筒体の前記第2端部には係合部材が設けられ、
当該杖の収納状態では、大径側の前記筒体内に小径側の前記筒体が順次挿入されており、
当該杖の組み立て状態では、前記筒体の各々が順次引き出されて、大径側の前記筒体の前記開口部と小径側の前記筒体の前記係合部材とが周方向に亘って係合しており、
前記係合部材が、円柱状の保持部材に設けられており、
前記保持部材が、前記筒体の前記第2端部に対して固定して取り付けられ、前記第2端部を閉鎖しており、
グリップをさらに具備し、
前記グリップには、該グリップの軸線方向に延在する第1挿入穴又は溝が形成され、
当該杖の収納状態では、大径側の前記筒体内に小径側の前記筒体が順次挿入されている前記複数の筒体が、前記第1挿入穴又は溝に挿入されており、
前記グリップには、該グリップの軸線方向と交差する方向に延在する第2挿入穴が形成され、当該杖の組み立て状態では、前記筒体の1つが前記第2挿入穴に挿入されていることを特徴とする杖。
【請求項2】
大径側の前記筒体の前記開口部が第1係合面を有し、小径側の前記筒体の前記係合部材が第2係合面を有し、
前記第1係合面と前記第2係合面とが当接することによって、大径側の前記筒体の前記開口部と小径側の前記筒体の前記係合部材とが周方向に亘って係合していることを特徴とする請求項1に記載の杖。
【請求項3】
前記係合部材が、径方向に沿って移動可能であり且つ径方向外方に付勢されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の杖。」

第4 引用文献の記載事項等

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1 引用文献1について

(1)引用文献1の記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は当審が付与。以下同様。)。

ア 「2.実用新案登録請求の範囲
径が段階的に変化し、隣接するものの一方が内部に嵌入される複数のチユーブを有し、隣接する内方のチユーブの端部近くに溝(22)を設けると共に、外方のチユーブの端部近くにも溝(23)を設け、内方のチユーブの内面に支持具(16)を固定し、該支持具(16)に接触して摺動可能に滑り防止具(11)を設け、該滑り防止具(11)を常時溝(22)(23)の外方に突出する方向に力をかけるバネ(18)を設けると共に、内方のチユーブ外周に締付けナツト(7)を装着し、外方のチユーブの端部外周に設けられたネジ(9’)と結合可能にし、両端が端方向に外径の縮少するリング(10)を、締付けナツト(7)と外方のチユーブ端部の間であつて、内方のチユーブ外周であつて締付けナツト(7)の内方に装着してなる伸縮可能な杖」(明細書第1ページ第5~20行)
イ 「第2図において本考案の伸縮杖(2)が示されるが、上部(4)、中部(5)及び下部(6)から構成される。
上部(4)は、握り(3)を有し、最も径が大きいチユーブで構成され、中部(5)は、上部(4)の内径よりやや小さい外径を有するチユーブで構成され、下部(6)は中部(5)の内径よりやや小さい外径を有するチユーブで構成されている。」(明細書第2ページ第9~16行)
ウ 「上部(4)と中部(5)の結合部分及び、中部(5)と下部(6)の結合部分は同様な構成であり、前者について第3図に詳細を示す。
上部(4)の左端内部に中部(5)の右端が密に挿入されている状態が示さる。」(明細書第2ページ第19行~第3ページ第3行)
エ 「中部(5)の右端近くにおいて、滑り防止具(11)が示されるがこの詳細を第4図に示す。
すなわち、中部(5)の右端近くの内部に滑り防止具(11)、バネ(18)及び支持具(16)が装着されている。
滑り防止具(11)の詳細を第5図に示す。すなわち上端に右方に下降する傾斜面(12’)を有し、左端に平面部分である先端面(13)を有する頭部(12)が設けられ、該頭部(12)の下端に段部(19)において連続する胴部(14)が設けられる。
胴部の下方側面にはピン穴(15’)が設けられる。
続きを表示(全12行)
第4図に戻つて該滑り防止具(11)の胴部(14)が平面が4角形の支持具(16)の中央の4角形の穴(17)に、上下方向摺動可能に嵌入されている。
滑り防止具(11)の胴部(14)の下方の前記ピン穴(15’)にはピン(15)が固定される。
バネ(18)は板材をU字状に構成されてなり、上方の面の適所に設けられた穴に、前記滑り防止具(11)の胴部(14)が嵌入される。
以上の滑り防止具(11)、バネ(18)及び支持具(16)が中部(5)の右端内部に装着されるのであるが、これを以下に説明する。
すなわち、中部(5)の右端近くにおいて円周方向に長い長方形の溝(22)が設けられ、この溝(22)は前記滑り防止具(11)の頭部(12)が突出し得る程度の大きさとする。
U字状のバネ(18)は前記滑り防止具(11)が溝(22)の外方に突出する様力をかける状態で前記中部(5)の右端内部に装着される。
支持具(16)は滑り防止具(11)が溝(22)に突出する位置において、その長手方向の両端面が中部(5)の内周面に、溶接等固着手段により固着される。
上部(4)の左端には、前記中部(5)の溝(22)とほぼ同一大きさの溝(23)が設けられる。」(明細書第3ページ第18行~第5ページ第11行)
オ 「これにより、滑り防止具(11)の頭部(12)はバネ(18)により中部(5)の溝(22)及び上部(4)の溝(23)を貫通し、第6図に示す様にピン(15)が支持具(16)に接触する位置まで外方に突出し、上部(4)の回転は滑り防止具(11)の先端面(13)により、強制的に回転が停止される。
これにより、上部(4)と中部(5)は締付けナツト(7)のみでなく、滑り防止具(11)によつても一体的に結合される。
杖に軸方向に力がかけられた場合に、締付けナツト(7)による締付け力並びに滑り防止具(11)の軸方向抵抗力により杖は縮む事がない。」(明細書第6ページ第7~18行)
カ 「次に本考案の杖を縮める操作は次の様に行う。
すなわち、締付けナツト(7)をゆるめ、リング(10)のくさび作用を除去する。
更に、中部(5)に対し上部(4)を相対的に第4図に示す様にLの方向に力をかける。
これにより上部(4)の溝(23)の縁は、滑り防止具(11)の傾斜面(12’)をバネ(18)に抗して押下げ、上部(4)は中部(5)に対し回転される。
この後、上部(4)と中部(5)を縮める事により本考案の杖は第7図に示す様に縮められる事になる。」(明細書第7ページ第1~11行)
キ 「以上の構成、作用からなる本考案の伸縮可能な杖は次の効果を有する。
(1)縮める事が出来るため、持運びが極めて容易である。
(2)杖が伸ばされた状態において、締付けナツトのネジ込みによるリング(10)のくさび作用のみでなく、差込まれた上部と中部又は中部と下部の各々に設けられた溝に、滑り防止具をバネにより外方に突出させ、内方部材(上部と中部においては中部、中部と下部においては下部)に固定された支持具に該滑り防止具を接着させ軸方向の抵抗力を持たせたため、杖に軸方向の力がかかつても、杖は縮む心配は全く無く、安全に使用出来る。」(明細書第9ページ第11行~第10ページ第4行)
ク 「第2図は、本考案の伸縮可能な杖の伸ばされた状態図
第3図は、同上、上部と中部の結合部分の断面正面図
第4図は、同上、滑り防止具、支持具及びバネの分解斜視図
第5図は、同上、滑り防止具の拡大図
第6図は、同上、上部と中部の結合部分の拡大図
第7図は、同上、縮んだ状態図」(明細書第10ページ第7~16行)
ケ 「
[図:0001382288000001.jpg]
」

コ「

[図:0001382288000002.jpg]

」

サ 「
[図:0001382288000003.jpg]
」
シ 「
[図:0001382288000004.jpg]
」
ス 「
[図:0001382288000005.jpg]
」
セ 「
[図:0001382288000006.jpg]
」

(2)引用文献1の記載から以下の事項が明らかである。

ア 上記(1)エの「円周方向に長い長方形の溝(22)」、「溝(22)とほぼ同一大きさの溝(23)」という記載、及び上記(1)のサ、スの図示内容からみて、チユーブの左端の外周面には円周方向に長い溝(23)が設けられたものであることが明らかである。

イ 上記(1)アの「径が段階的に変化し、隣接するものの一方が内部に嵌入される複数のチユーブを有し」との記載、上記(1)イの「上部(4)は、握り(3)を有し、最も径が大きいチユーブで構成され、中部(5)は、上部(4)の内径よりやや小さい外径を有するチユーブで構成され、下部(6)は中部(5)の内径よりやや小さい外径を有するチユーブで構成されている。」との記載、上記(1)ウの「上部(4)の左端内部に中部(5)の右端が密に挿入されている」との記載、上記(1)カ~クの杖を縮めることに関する記載、及び上記(1)のケ、セの図示内容からみて、杖が縮められた状態では、大径側のチユーブ内に小径側のチユーブが順次挿入されたものであることが明らかである。さらに、上記(1)キ~クの杖を伸ばすことに関する記載もあわせてみると、杖が伸ばされた状態では、チユーブの各々が順次引き出されたものであることが明らかである。

ウ 上記(1)イの「上部(4)は、握り(3)を有し、最も径が大きいチユーブで構成され、中部(5)は、上部(4)の内径よりやや小さい外径を有するチユーブで構成され」という記載、上記(1)エの「中部(5)の右端近くの内部に滑り防止具(11)・・・が装着されている。」、「円周方向に長い長方形の溝(22)」、「溝(22)は前記滑り防止具(11)の頭部(12)が突出し得る程度の大きさ」、「溝(22)とほぼ同一大きさの溝(23)」という記載、上記(1)オの「滑り防止具(11)の頭部(12)はバネ(18)により中部(5)の溝(22)及び上部(4)の溝(23)を貫通し」という記載、及び上記(1)のサ、スの図示内容からみて、杖が伸ばされた状態では、大径側のチユーブの溝(23)と小径側のチユーブの滑り防止具(11)の頭部(12)とが周方向に亘って係合しているものであることが明らかである。

エ 上記(1)エの「該滑り防止具(11)の胴部(14)が平面が4角形の支持具(16)の中央の4角形の穴(17)に、上下方向摺動可能に嵌入されている」という記載、及び上記(1)のサの図示内容からみて、滑り防止具(11)の胴部(14)が支持具(16)に設けられているものであることが明らかである。

オ 上記(1)エの「支持具(16)は・・・その長手方向の両端面が中部(5)の内周面に、溶接等固着手段により固着される。」という記載、及び上記(1)のコ~サの図示内容からみて、支持具(16)がチユーブの右端に固着されたものであることが明らかである。

(3)引用発明

上記(1)、(2)を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「径が段階的に変化する複数のチユーブを有する伸縮杖(2)であって、
前記チユーブが左端と右端とを有し、
前記チユーブの前記左端の外周面には円周方向に長い溝(23)が設けられ、
前記チユーブの前記右端には滑り防止具(11)が装着され、
当該杖が縮められた状態では、大径側のチユーブ内に小径側のチユーブが順次挿入されており、
当該杖が伸ばされた状態では、前記チユーブの各々が順次引き出されて、大径側の前記チユーブの前記溝(23)と小径側の前記チユーブの前記滑り防止具(11)の頭部(12)とが周方向に亘って係合しており、
前記滑り防止具(11)の胴部(14)が支持具(16)に設けられており、
前記支持具(16)が前記チユーブの前記右端に固着され、
握り(3)をさらに有している伸縮杖(2)。」

2 引用文献2について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 【0018】・・・図1および図2において、杖20は、長い棒状の部材でなる本体25と、本体25の一端に設けられる接地部24と、該接地部24は反対の端部、すなわち、上端に配置され、使用者Uが把持するためのる把持部、すなわち杖20の把手部分23と、この把手部分23の一部であって、本体25の延びる方向とほぼ直交する方向に延びる第1把持部21と、該第1把持部21よりも上方に設けられ、本体25のほぼ延長線上に延びる第2把持部22とを備えている。」

イ 「【0019】棒状の部材である本体25は、軽くて、丈夫な材料で形成されるのが好ましく、錆びにくいものが適しており、例えばアルミニウムやチタン、カーボン、もしくはその合金等で形成されている。本体25は軽くするためにパイプ体であり、筒状のやや太い第1部材26と、この第1部材26の内側にスライド式に入り込むようにした長尺の第2部材27を含んでいる。」

ウ 「【0020】・・・また、第2部材27は、第1部材26内にスライド式に伸縮移動するその移動位置において、固定されることで、本体25の長さを調整する調整手段、つまり杖20の長さ方向の長さ調整手段が形成されている。」

エ 「【0035】図6に示すように、グリップ部23-2は、一方向にやや長い形態であり、本体25の第1部材26を装着するための第1装着部43と、第2装着部44とを備えている。第1装着部43は、把持部を本体25の延びる方向とほぼ直交する方向に配置させるための装着部であり、第2装着部44は、把持部を本体25の延びる方向とほぼ一致する方向に配置させるため装着部である。」

オ 「【0036】具体的には、図6に示すように、合成樹脂成型品もしくは木製などでなる細長いグリップ部23-2は、その一端部に、該グリップ部23-2の長さ方向に穿設された取付け孔である第2の装着部44を有している。また、グリップ部23-2はその側面部において、中央から、上記第2の装着部44の取付け孔を避けるようにして、やや一方に寄った位置に穿設された第1の装着部43を有している。」

カ 「【0038】第1部材26先端の拡径部分にロックナット45を装着し、第2装着部44である取付け孔に挿入する。・・・この状態で、グリップ23-2は、図2において、Y方向に延びており、本体25の仮想の中心(軸)線Cと同じ方向に長い形態である。したがって、第1の実施形態における第1把持部として使用することができる。」

キ 「【0039】・・・次いで、グリップ部23-2の向きを代えて、図5に示すようにほぼ水平とし、第1部材26の取付け部先端26bを第1装着部43の取付け孔に挿入して、上述したように取付けると、図5に示すような状態となる。
すなわち、グリップ部23-2は、杖本体25の仮想の中心(軸)線Cに対してほぼ直交するので、第1の実施形態における第2の把持部として使用することができる。」
ク 「
[図:0001382288000007.jpg]
」
ケ 「
[図:0001382288000008.jpg]
」

(2)引用文献2の記載から以下の事項が明らかである。

上記(1)のエ~カの記載、上記(1)のケの図示内容からみると、グリップ部23-2には、該グリップ部23-2の軸線方向に延在する第2装着部44が形成されていることが明らかである。

さらに、上記(1)のエ、キの記載、上記(1)のク~ケの図示内容からみると、グリップ部23-2には、該グリップ部23-2の軸線方向と交差する方向に延在する第1装着部43が形成されていることが明らかである。

(3)上記(1)、(2)を総合すると、引用文献2には次の技術が記載されている。

「筒状のやや太い第1部材26とこの第1部材26の内側にスライド式に入り込むようにした長尺の第2部材27を含む本体25を備える杖20であって、
グリップ部23-2をさらに備え、
グリップ部23-2には、該グリップ部23-2の軸線方向に延在する第2装着部44が形成され、第1把持部として使用する際は、第1部材26を第2装着部44に挿入し、
前記グリップ部23-2には、該グリップ部23-2の軸線方向と交差する方向に延在する第1装着部43が形成され、第2の把持部として使用する際は、第1部材26を第1装着部43に挿入する杖20。」

3 引用文献3について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「
[図:0001382288000009.jpg]
」

(訳:[0001]本考案は複数の連結管を結合した形態のポールを有する杖に関することとして、さらに詳しくはロック装置の故障に能動的に備えることができ衝撃を分散して連結管とロック装置の変形を最小化した杖に関する。)

イ 「
[図:0001382288000010.jpg]
」

(訳:[0017]前記と一緒に衝撃による連結管とロック装置の損傷は、一つの連結部に一つのボタンだけが設置されることによってすべての衝撃力が一つのボタンに集中することに起因することと判断される。また、ロック装置が故障するか作動しなくて杖を使用することができなくなる問題もやはり一つの連結部に一つのロック装置のみを設置することで該当のロック装置に問題が発生した時他に取り替えるに値する手段がなくて杖自体を使用することができなくなるということに起因する。

[0018]ここに本考案は衝撃力を受ける面積を増大して衝撃力を分散させることで連結管とロック装置の損傷や変形を防止して、一つの連結部で一つのロック装置が作動にならないとしてもこれを補うか取り替えるに値する手段を用意することで施錠装置の故障や変形に備えることができる杖を提供することを目的にする。)

ウ 「
[図:0001382288000011.jpg]
」

(訳:[0028]まず、図3a及び図3bに図示されたように、上部連結管(100)にはそれより小さな直径を有する下部連結管(200)が挿入される。

[0029]前記下部連結管(200)の横方向(半径方向)両側には第1,2貫通孔(202,204)が同軸(同軸)に形成されていて、前記第1,2貫通孔(202,204)にはそれぞれ第1,2ボタン部材(510,520)がお互いに反対方向を向ける状態ですべり移動が可能に挿入される。そして前記第1,2ボタン部材(510,520)の内側には一つのスプリング(600)が設置されて前記第1,2ボタン部材(510,520)を一度に半径方向外側に弾性支持する。

[0030]前記上部連結管(100)には前記下部連結管(200)の第1,2貫通孔(202,204)と一致することと共に前記第1,2ボタン部材(510,520)が出入りするための第1,2貫通孔(102,104)が形成される。

[0031]また、本実施例と一緒に前記下部連結管(200)の上端部に内側スリーブ(400)が結合されている形態の杖であれば、前記内側スリーブ(400)には一つの横方向案内穴(401)が形成される。前記横方向案内穴(401)は、前記下部連結管(200)の第1,2貫通孔(202,204)と同軸を成して、前記第1,2ボタン部材(510)(520)がすべり可能に収納されることで、前記第1,2ボタン部材(510)(520)のすべり運動がさらに安定的に成り立つように案内する。)

エ 「
[図:0001382288000012.jpg]
」
オ 「
[図:0001382288000013.jpg]
」

(2)引用文献3の記載から以下の事項が明らかである。

上記(1)ウの[0031]の記載、上記(1)のエ及びオの図示内容からみて、第1,2ボタン部材(510,520)が円柱状の内側スリーブ(400)に設けられており、内側スリーブ(400)が下部連結管(200)の上端部に結合され、上端部を閉鎖していることが明らかである。

(3)上記(1)、(2)を総合すると、引用文献3には次の技術が記載されている。

「複数の連結管を結合したポールを有する杖であって、
上部連結管(100)には第1,2貫通孔(102,104)が形成され、
下部連結管(200)には第1,2ボタン部材(510,520)が設けられ、
前記第1,2ボタン部材(510,520)が円柱状の内側スリーブ(400)に設けられており、前記内側スリーブ(400)が前記下部連結管(200)の上端部に結合され、前記上端部を閉鎖している杖。」

4 引用文献4について

(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「[0002]The present invention relates to a tube and more particularly to a telescopic tube that is applied to a walking stick or a clothes pole.」

(訳:[0002]本発明は、チューブ、より具体的には、歩行用杖、または、物干し竿に適用される伸縮管に関するものである。)

イ 「[0030]With reference to FIGS. 3, 9 and 10, the tube assembly 10 has a first rod 11, a second rod 12, a third rod 13, and a fourth rod 14.」

(訳:[0030]図3、図9及び図10を参照すると、チューブ組立体10は、第1のロッド11、第2ロッド12 、第3のロッド13、及び第4ロッド14を有している。)

ウ 「[0035] The second rod 12 is mounted around an outer surface of the first rod 11, and has two second positioning holes 121, two first abutting holes 122, and two third positioning holes 123. An inner diameter of the second rod 12 is larger than an outer diameter of the first rod 11.」

(訳:[0035]第2ロッド12は第1ロッド11の外表面の周りに取り付けられており、2つの第2位置決め穴121、2つの第1接触穴122、2つの第3位置決め穴123を有している。第2ロッド12の内径は、第1ロッド11の外径よりも大きい。)

エ 「[0044]As shown in FIGS. 2 and 3, the first connecting unit 21 links together the first rod 11 and the second rod 12, and has a first abutting ring 211, a first positioning element 212, a first abutting cover 213, a first covering ring 214, and a first fixing element 215.
[0045]With reference FIGS. 2 to 4, the first abutting ring 211 is mounted inside the second rod 12, is mounted around the outer surface of the first rod 11, and has two abutting slices 2111, two encircling slices 2112, two columns 2113, two slots 2114, multiple protruding parts 2115, and two notches 2116.」

(訳:[0044]図2及び図3に示すように、第1の接続部21は、第1ロッド11と第2ロッド12とを連結しており、第1の当接リング211、第1の位置決め要素212、第1の当接カバー213、第1のカバーリング214、及び第1の固定部材215を有している。

[0045]図2~図4を参照して、第1の当接リング211は、第2ロッド12の内部に取り付けられ、第1ロッド11の外表面の周りに取り付けられており、2つの当接片2111、2つの包囲スライス2112、2つの円柱2113、2つのスロット2114、多数の突出部分2115、及び2つの切欠部2116を有している。)

オ 「[0052]With reference to FIGS. 3, 5 and 9, the first positioning element 212 has a coupling strip 2121, two engaging stubs 2122, and two abutting flanges 2123.」

(訳:[0052]図3、図5及び図9を参照すると、第1位置決め要素212は、連結片2121、2つの係合突起2122、及び2つの当接フランジ2123を有している。)

カ 「[0053]The coupling strip 2121 is mounted inside the first rod 11 and is flexible.
[0054]The engaging stubs 2122 are formed at both ends of the coupling strip 2121, are mounted respectively through the first positioning holes 112 and the second positioning holes 121, and are mounted in the notches 2116.」

(訳:[0053]結合ストリップ2121は、第1ロッド11の内側に取り付けられ、可撓性である。

[0054]係合突部2122は連結ストリップ2121の両端に形成され、第1位置決め穴112及び第2位置決め穴121を貫通して取り付けられ、切り欠き2116に装着されている。)

キ 「
[図:0001382288000014.jpg]
」
ク 「
[図:0001382288000015.jpg]
」
ケ 「
[図:0001382288000016.jpg]
」
コ 「
[図:0001382288000017.jpg]
」

(2)引用文献4の記載から以下の事項が明らかである。

上記(1)のウの記載、上記(1)のキの図示内容からみて、第2ロッド12の端部には第2位置決め穴121が形成されていることが明らかである。また、上記(1)のオ~カの記載、上記(1)のキ~コの図示内容からみて、第1ロッド11の端部には係合突起2122が設けられていることが明らかである。

(3)上記(1)、(2)を総合すると、引用文献4には次の技術が記載されている。

「複数のロッドを有する歩行用杖であって、
第2ロッド12の端部には第2位置決め穴121が形成され、
第1ロッド11の端部には係合突起2122が設けられ、
前記係合突起2122が第1当接リング211の切り欠き2116に装着され、
前記第1当接リング211は前記第1ロッド11の外表面の周りに取り付けられている歩行用杖。」

第5 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「径が段階的に変化する」は、その構造及び機能からみて、本願発明の「径の異なる」に相当し、以下同様に、「チユーブ」は「筒体」に、「有する」は「具備する」に、「伸縮杖(2)」は「杖」に、「左端」は「第1端部」に、「右端」は「第2端部」に、「円周方向に長い」は「周方向に延びる」に、「溝(23)」は「開口部」に、「設けられ、」は「形成され、」に、「滑り防止具(11)」、「滑り防止具(11)の頭部(12)」あるいは「滑り防止具(11)の胴部(14)」は「係合部材」に、「装着され」は「設けられ」に、「杖が縮められた状態」は「杖の収納状態」に、「杖が伸ばされた状態」は「杖の組み立て状態」に、「に固着され」は「に対して固定して取り付けられ」に、「握り(3)」は「グリップ」に、「有している」は「具備している」に、それぞれ相当する。

また、引用発明の「支持具(16)」と、本願発明1の「円柱状の保持部材」とは、「保持部材」という限りにおいて一致する。

イ そうしてみると、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。

(ア)一致点

「径の異なる複数の筒体を具備する杖であって、
前記筒体が第1端部と第2端部とを有し、
前記筒体の前記第1端部の外周面には周方向に延びる開口部が形成され、
前記筒体の前記第2端部には係合部材が設けられ、
当該杖の収納状態では、大径側の前記筒体内に小径側の前記筒体が順次挿入されており、
当該杖の組み立て状態では、前記筒体の各々が順次引き出されて、大径側の前記筒体の前記開口部と小径側の前記筒体の前記係合部材とが周方向に亘って係合しており、
前記係合部材が保持部材に設けられており、
前記保持部材が前記筒体の前記第2端部に対して固定して取り付けられ、
グリップをさらに具備している杖。」

(イ)相違点

(相違点1)本願発明1は、保持部材に関し、「円柱状」であって、「前記筒体の」「前記第2端部を閉鎖して」いるのに対し、引用発明は、保持部材に関し、支持具(16)が円柱状ではなく、チユーブ(筒体)の右端(第2端部)を閉鎖しているとはいえない点。

(相違点2)本願発明1は、グリップに関し、「前記グリップには、該グリップの軸線方向に延在する第1挿入穴又は溝が形成され、当該杖の収納状態では、大径側の前記筒体内に小径側の前記筒体が順次挿入されている前記複数の筒体が、前記第1挿入穴又は溝に挿入されており、前記グリップには、該グリップの軸線方向と交差する方向に延在する第2挿入穴が形成され、当該杖の組み立て状態では、前記筒体の1つが前記第2挿入穴に挿入されている」のに対し、引用発明は、握り(3)(グリップ)を具備しているものの上部(2)の一部分であって、握り(3)には穴または溝が形成されていない点。

(2)判断

ア 上記相違点1について検討する。

保持部材(引用文献3の「内側スリーブ(400)」が相当)が円柱状であって、筒体の第2端部(引用文献3の「下部連結管(200)の上端部」が相当)を閉鎖していることは、引用文献3に記載されている(上記第4 3(3)参照)。

また、引用文献3には、衝撃による損傷や変形の防止という課題を解決することを目的として、ボタン部材と貫通孔を2つずつ設けて強固な係合を達成するという事項が記載されており(上記第4 3(1)イ参照)、上記課題は、杖一般に共通する課題であるから、引用発明も当然有する課題といえる。してみると、引用発明において、衝撃による損傷や変形の防止という課題を解決することを目的として、滑り防止具(11)(係合部材)を設けた支持具(16)(保持部材)の具体的構成に、引用文献3に記載されている事項を適用し、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

なお、引用文献4には、係合突起2122(係合部材)を設けた第1当接リング211(保持部材)が円柱状のものや、前記第1当接リング211が第1ロッド11(筒体)の端部(第2端部)を閉塞しているものが記載されているとは認められない。

イ 上記相違点2について検討する。

杖が具備するグリップには、該グリップの軸線方向に延在する第1挿入穴又は溝が形成され、杖の収納状態では、大径側の筒体内に小径側の筒体が順次挿入されている複数の筒体が、前記第1挿入穴又は溝に挿入されており、前記グリップには、該グリップの軸線方向と交差する方向に延在する第2挿入穴が形成され、杖の組み立て状態では、前記筒体の1つが前記第2挿入穴に挿入されていること(以下、「技術事項1」という。)は、引用文献2、3、4には記載も示唆もない。

引用文献2には、グリップ部23-2に、該グリップ部23-2の軸線方向に延在する第2装着部44と、該グリップの軸線方向と交差する方向に延在する第1装着部43とが形成されることが記載されているものの(上記第4 2(3)参照)、引用文献2に、「この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、歩行障害の初期から中期に対応して使用することができる杖を提供することである。」(【0009】参照)と記載されているように、歩行障害の程度に応じて異なる使用状態となるよう、グリップに、筒体を挿入する装着部を2つ設けたものであり、杖の収納状態と杖の組み立て状態とで異なる挿入穴に筒体を挿入する技術思想が記載されているとは認められない。

そして、技術事項1が、引用文献2~4にも記載されておらず、また、本願出願前において技術常識や周知技術であることを認めるに足る証拠もない。

よって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2~4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2~3について

本願発明2~3は、本願発明1の構成を全て含み、その構成に更なる限定を付加するものであるから、上記1(2)に説示したのと同様の理由により、引用発明及び引用文献2~4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび

以上のとおり、本願発明1~3は、引用発明及び引用文献2~4に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって結論のとおり審決する。

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2021-007107

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