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特許拒絶査定不服審判

2021-005281

機器ネットワークシステム

審判番号
2021-005281
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-067792外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月23日
審決日
2022年01月06日
公報発行日
2022年02月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019- 67792「機器ネットワークシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日出願公開、特開2020-167576、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成31年3月29日の出願であって、令和2年6月12日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年8月24日に意見書及び手続補正書が提出され、令和3年1月25日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年4月23日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(令和3年1月25日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1ないし5に係る発明は、以下の引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2016-219983号公報 引用文献2:特開2018-191116号公報(周知技術を示す文献) 引用文献3:特開2018-033033号公報(周知技術を示す文献) 第3 本願発明 本願請求項1ないし5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和2年8月24日に提出された手続補正書に係る手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される発明であり、このうち本願発明1は以下のとおりの発明である。 「 複数の第1機器(101、・・・、106)を有する第1機器群(100)及び前記複数の第1機器に接続される第1配線群(110)から成る第1ネットワーク(10)と、 複数の第2機器(201、・・・、205)を有する第2機器群(200)及び前記複数の第2機器に接続される第2配線群(210)から成る第2ネットワーク(20)と、 前記第1ネットワークの前記第1機器群の認識処理を行う第1処理部と、 を備える機器ネットワークシステムであって、 前記第1機器それぞれは、高周波通信回路を有しており、 前記第1処理部は、前記第1ネットワークが高周波通信によって確立された後、通信により協調的に選出され、 前記第1ネットワークにおいて、前記第1機器間の通信は高周波で行い、前記第1処理部が行う認識処理では低周波の認識用信号を用いる、 機器ネットワークシステム。」 なお、本願発明2ないし5は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)引用文献1記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は、強調のため、当審が付与した。(以降も同様。) 「【0022】 (1)重畳通信システム1の構成の概略 図1は本発明の一実施形態に係る重畳通信システム1の概略構成を示す模式図である。 【0023】 本発明の一実施形態に係る重畳通信システム1は、例えば空調システムを利用して各種施設の建物等に導入される。空調システムは、オフィスビルやテナントビル等の建物に設置されるものであり、システム管理装置2と、複数の空調機10とから構成される。空調機10は、室外空調ユニット20と室内空調ユニット30とから構成される。室外空調ユニット20及び室内空調ユニット30には、重畳伝送装置40が設けられる。また、重畳伝送装置40には、非空調機器50が接続自在に設けられる。これらのシステム管理装置2、空調機10(室外空調ユニット20、室内空調ユニット30)及び重畳伝送装置40は空調通信線5で接続される。」 「【0026】 (2-2)空調通信線5 空調通信線5は、システム管理装置2、空調機10(室外空調ユニット20、室内空調ユニット30)及び重畳伝送装置40を接続する通信線である。図1,2では、空調通信線5の配線形態としてバス型が示されているが、スター型などの他の配線形態を採用することもできる。空調通信線5としては、ツイストペアケーブルあるいは同軸ケーブルを用いることができる。 【0027】 (2-3)空調機10 空調機10は、マルチタイプの空調機であり、1台の室外空調ユニット20と、それに接続される複数の室内空調ユニット30とから構成される。室外空調ユニット20には電源が接続されており、この電源からの電力が電力供給線を経由して室内空調ユニット30にも供給される。」 「【0028】 (2-3-1)室外空調ユニット20 室外空調ユニット20は、建物の屋上や地下に設置される熱源ユニットであり、後述する室内空調ユニット30とともに運転制御されて室内空間の空気調和を行なうものである。室外空調ユニット20は、室外通信部21、室外空調制御部22及び室外機23を備える。また、室外空調ユニット20には、重畳伝送装置40が着脱可能に設置される。」 「【0032】 (2-3-2)室内空調ユニット30 室内空調ユニット30は、施設内の各部屋の天井に設置され、室内空間に向かって空気吸込口や空調空気吹出口が露出し、室内空間の空気調和を行なう。ここで、室内空調ユニット30は、室内通信部31、室内空調制御部32及び室内機33を備える。また、室内空調ユニット30には、重畳伝送装置40が着脱可能に設置される。」 「【0036】 (2-4)重畳伝送装置40 重畳伝送装置40は、空調通信線5を介して低周波信号の空調データ(以下、「低周波空調データ」ともいう)に重畳する高周波信号の非空調データ(以下、「高周波非空調データ」ともいう)を送受信して、他の重畳伝送装置と相互に通信するものである。ここでは、重畳伝送装置40は、空調通信線5を介して低周波空調データにより空調制御信号を伝達する室外空調ユニット20又は室内空調ユニット30に対応して配備される。例えば、重畳伝送装置40は、室外空調ユニット20又は室内空調ユニット30に着脱可能に設置されて、一体化される。重畳伝送装置40は、図3に示すように、重畳通信部41、非空調制御部42及び初期設定部43を備える。 【0037】 重畳通信部41は、空調通信線5上のデータを受信すると、低周波信号である空調データと高周波信号である非空調データとに分けて、空調データを室外通信部21又は室内通信部31に、非空調データを非空調制御部42に送出する分波器等により構成される。」 「【0039】 初期設定部43は、重畳伝送装置40が室外空調ユニット20又は室内空調ユニット30等に設置されると、各重畳伝送装置間のリンク確立を行なうものである。具体的には、初期設定部43は、親子設定部43A、子機存在確認部43B及びリンク確立部43Cを備える。 【0040】 親子設定部43Aは、重畳伝送装置40を「親機40P」又は「子機40C」として設定するものであり、ディップスイッチ等で構成される。ここでは、重畳伝送装置40の初期状態は子機40Cとして設定されており、ユーザにより選択された重畳伝送装置40がディップスイッチの操作を介して親機40Pに設定される。 【0041】 子機存在確認部43Bは、親子設定部43Aにより重畳伝送装置が親機40Pとして設定された場合、親機40P以外の重畳伝送装置を子機40Cと認識し、高周波の非空調データとは異なる低周波の空調データを用いて子機40Cの存在確認を行なうものである。ここでは、空調機毎に重畳伝送装置による重畳通信ネットワークが構築される。また、1台の室外空調ユニット20及びそれに接続された室内空調ユニット30には、それぞれ重畳伝送装置40が1台ずつ対応して設置される。 【0042】 リンク確立部43Cは、子機存在確認部43Bにより子機40Cの存在確認ができた場合、子機40Cに対して高周波非空調データを用いてリンク確立を行なうものである。リンク確立方法の詳細については後述する。」 「【0045】 (3)重畳伝送装置40におけるリンク確立の方法 図4は本実施形態に係る複数の重畳伝送装置間の初期のリンク確立を説明するためフローチャートである。 【0046】 まず、重畳通信ネットワークを構築するための複数の重畳伝送装の中から、親機40Pとなる重畳伝送装置がユーザにより選択される。選択された重畳伝送装置は、ユーザによる親子設定部43Aの操作により「親機40P」に設定される(ステップS1)。なお、重畳伝送装置40は、初期状態において子機40Cに設定されているので、ユーザにより親子設定部43Aの操作が行なわれなかった重畳伝送装置は「子機40C」とみなすことができる。 【0047】 続いて、これらの親機40P及び子機40Cが室外空調ユニット20又は室内空調ユニット30に設置される(ステップS2)。ここでは、1台の空調機10に対して1つの重畳通信ネットワークが構築される。また、空調機10を構成する1台の室外空調ユニット20及びそれに接続する複数の室内空調ユニット30のそれぞれに対応して重畳伝送装置40が配備される。したがって、1台の室外空調ユニット20及びそれに接続する複数の室内空調ユニット30の台数と、親機40P及び複数の子機40Cの台数とは同数である。 【0048】 親機40P及び複数の子機40Cが、室外空調ユニット20及びそれに接続された複数の室内空調ユニット30に接続されると、親機40Pが「リンク確立モード」を開始する(ステップS3)。 【0049】 親機40Pはリンク確立モードを開始すると、内部クロックを用いて所定の設定時間の計測を開始する。そして、親機40Pの子機存在確認部43Bが空調通信線5を伝送する低周波空調データを解析し、子機40Cの台数を認識する(ステップS4)。ここでは、空調機10を構成する1台の室外空調ユニット20及びそれに接続する複数の室内空調ユニット30の台数と親機40P及び複数の子機40Cの台数とが同数であることから、室外空調ユニット20及び室内空調ユニット30の台数を把握することで、子機40Cの台数を認識できる。 【0050】 親機40Pが設定時間内に子機40Cの存在を確認すると、親機40Pは高周波非空調データを用いて子機40Cとリンク確立を行なう(ステップS5-Yes,S6)。そして、親機40Pは、リンク確立を行なった子機40Cの台数がステップ4で認識した台数に到達するまでリンク確立を続行する(ステップS7-No,S5,S6)。親機40Pが設定時間内にステップS4で認識した台数の子機40Cとリンク確立を完了した場合は、リンク確立が成功したとみなし、リンク確立モードを終了する(S7-Yes,S8,S9)。」 「【図1】 [図:0001381557000001.jpg] 」 「【図2】 [図:0001381557000002.jpg] 」 「【図3】 [図:0001381557000003.jpg] 」 「【図4】 [図:0001381557000004.jpg] 」 (2)引用発明 前記(1)より、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 重畳通信システム1は、システム管理装置2と、複数の空調機10とから構成され、空調機10は、室外空調ユニット20と室内空調ユニット30とから構成され、室外空調ユニット20及び室内空調ユニット30には、重畳伝送装置40が設けられ、重畳伝送装置40には、非空調機器50が接続自在に設けられ、システム管理装置2、空調機10(室外空調ユニット20、室内空調ユニット30)及び重畳伝送装置40は空調通信線5で接続され、 空調通信線5としては、ツイストペアケーブルあるいは同軸ケーブルを用いることができ、 空調機10は、1台の室外空調ユニット20と、それに接続される複数の室内空調ユニット30とから構成され、 室外空調ユニット20は、室外通信部21、室外空調制御部22及び室外機23を備え、また、重畳伝送装置40が着脱可能に設置され、 室内空調ユニット30は、室内通信部31、室内空調制御部32及び室内機33を備え、また、重畳伝送装置40が着脱可能に設置され、 重畳伝送装置40は、空調通信線5を介して低周波信号の空調データ(以下、「低周波空調データ」ともいう)に重畳する高周波信号の非空調データ(以下、「高周波非空調データ」ともいう)を送受信して、他の重畳伝送装置と相互に通信するものであり、重畳通信部41、非空調制御部42及び初期設定部43を備え、 重畳通信部41は、空調通信線5上のデータを受信すると、低周波信号である空調データと高周波信号である非空調データとに分けて、空調データを室外通信部21又は室内通信部31に、非空調データを非空調制御部42に送出する分波器等により構成され、 初期設定部43は、親子設定部43A、子機存在確認部43B及びリンク確立部43Cを備え、 親子設定部43Aは、重畳伝送装置40を「親機40P」又は「子機40C」として設定するものであり、ディップスイッチ等で構成され、 子機存在確認部43Bは、親子設定部43Aにより重畳伝送装置が親機40Pとして設定された場合、親機40P以外の重畳伝送装置を子機40Cと認識し、高周波の非空調データとは異なる低周波の空調データを用いて子機40Cの存在確認を行なうものであり、 リンク確立部43Cは、子機存在確認部43Bにより子機40Cの存在確認ができた場合、子機40Cに対して高周波非空調データを用いてリンク確立を行なうものであり、 複数の重畳伝送装置間の初期のリンク確立は、 まず、重畳通信ネットワークを構築するための複数の重畳伝送装の中から、親機40Pとなる重畳伝送装置がユーザにより選択され、 続いて、これらの親機40P及び子機40Cが室外空調ユニット20又は室内空調ユニット30に設置され、ここでは、1台の空調機10に対して1つの重畳通信ネットワークが構築され、 親機40P及び複数の子機40Cが、室外空調ユニット20及びそれに接続された複数の室内空調ユニット30に接続されると、親機40Pが「リンク確立モード」を開始し、 親機40Pはリンク確立モードを開始すると、親機40Pの子機存在確認部43Bが空調通信線5を伝送する低周波空調データを解析し、子機40Cの台数を認識し、 親機40Pが設定時間内に子機40Cの存在を確認すると、親機40Pは高周波非空調データを用いて子機40Cとリンク確立を行なう、 重畳通信システム1。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0056】 判定基準情報213は、複数の通信端末装置2、3、4、5、6、7内で自機の親機としての優先順位を判定する基準となる情報である。詳細は後述するが、第1の実施の形態における情報通信システム1では、複数の通信端末装置2、3、4、5、6、7の各MACアドレスの大小関係によって親機としての優先順位を決定する。したがって、第1の実施の形態では、設定情報211に含まれる判定基準情報213は、予め自機に付与されたMACアドレスを示す情報である。」 「【0075】 切替部202は、通信端末装置2の動作モードを、親機として動作する親機動作モードと、子機として動作する子機動作モードとの間で切り替える機能を有する。 【0076】 特に、切替部202は、自機が親機動作モードで動作しているときに、親機監視部201が自機以外の親機の存在を検出した場合に、自機の判定基準情報213と自機以外の親機の判定基準情報213とに基づいて、自機の親機動作モードを子機動作モードに切り替える。より詳細には、切替部202は、親機動作モードで動作しているときに、併存検出信号が伝達されると、検出された親機の判定基準情報213を親機情報212から取得して、自機の判定基準情報213と比較し、自機の方が親機としての優先順位が低い場合に、自機を子機動作モードに切り替える。」 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。 「【0044】 ステップS405、S406におけるキーの比較結果に基づく自装置がマスタおよびスレーブのいずれであるかの判断は、光通信装置110、120において共通の判断方法を用いて行われる。一例としては、光通信装置110、120のそれぞれは、自装置のキーと対向トランスポンダのキーとの間の大小比較を行う。そして、光通信装置110、120のそれぞれは、自装置のキーが対向トランスポンダのキーより大きい場合は自装置がマスタであると判断し、自装置のキーが対向トランスポンダのキーより小さい場合は自装置がスレーブであると判断する。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。なお、本願発明1において、括弧内の数字は、明細書に記載の事項との対応関係を示す参考情報にすぎないので、以降では省略する。 ア 引用発明の「重畳通信システム1は、システム管理装置2と、複数の空調機10とから構成され、空調機10は、室外空調ユニット20と室内空調ユニット30とから構成され」及び「空調機10は、1台の室外空調ユニット20と、それに接続される複数の室内空調ユニット30とから構成され」との構成より、引用発明の「重畳通信システム1」を構成する複数の「空調機10」の各々は、1台の「室外空調ユニット20」と複数台の「室内空調ユニット30」とで構成され、ここで、複数の「空調機10」のうち、特定の「空調機10」を「第1の空調機10」と称し、これとは別の「空調機10」を「第2の空調機10」と称することは任意である。 また、引用発明の「システム管理装置2、空調機10(室外空調ユニット20、室内空調ユニット30)及び重畳伝送装置40は空調通信線5で接続され」、「空調通信線5としては、ツイストペアケーブルあるいは同軸ケーブルを用いることができ」、「室外空調ユニット20は、室外通信部21、室外空調制御部22及び室外機23を備え、また、重畳伝送装置40が着脱可能に設置され」、「室内空調ユニット30は、室内通信部31、室内空調制御部32及び室内機33を備え、また、重畳伝送装置40が着脱可能に設置され」、「重畳伝送装置40は、空調通信線5を介して低周波信号の空調データ(以下、「低周波空調データ」ともいう)に重畳する高周波信号の非空調データ(以下、「高周波非空調データ」ともいう)を送受信して、他の重畳伝送装置と相互に通信する」及び「1台の空調機10に対して1つの重畳通信ネットワークが構築され」との構成によれば、「第1の空調機10」の「室外空調ユニット20」に装着された「重畳伝送装置40」と、「第1の空調機10」の複数台の「室内空調ユニット30」に装着された「重畳伝送装置40」とは、これらに接続される「空調通信線5」(「ツイストペアケーブルあるいは同軸ケーブル」)を介して通信を行う「重畳通信ネットワーク」を形成しているといえ、このネットワークを「第1ネットワーク」と称することは任意である。 また、引用発明の「第1の空調機10」の「室外空調ユニット20」に装着された「重畳伝送装置40」及び「第1の空調機10」の複数台の「室内空調ユニット30」に装着された「重畳伝送装置40」の各々は、本願発明1の「第1機器」に相当し、これらはまとめて、本願発明1の「第1機器群」に相当し、また、これらに接続される「空調通信線5」は、本願発明1の「第1配線群」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明1の「複数の第1機器を有する第1機器群及び前記複数の第1機器に接続される第1配線群から成る第1ネットワーク」に相当する構成を備える。 イ 前記アを参酌すれば、引用発明において、「第1の空調機10」とは別の「第2の空調機10」の「室外空調ユニット20」に装着された「重畳伝送装置40」と「第2の空調機10」の複数台の「室内空調ユニット30」に装着された「重畳伝送装置40」と、これらに接続される「空調通信線5」は、「第1の空調機10」に関する「重畳通信ネットワーク」(第1ネットワーク)とは異なる「重畳通信ネットワーク」を形成しているといえ、このネットワークを「第2ネットワーク」と称することは任意である。 また、「第2の空調機10」の「室外空調ユニット20」に装着された「重畳伝送装置40」及び「第2の空調機10」の複数台の「室内空調ユニット30」に装着された「重畳伝送装置40」の各々は、本願発明1の「第2機器」に相当し、これらはまとめて、本願発明1の「第2機器群」に相当し、また、これらに接続される「空調通信線5」は、本願発明1の「第2配線群」に相当する。 よって、引用発明は、本願発明1の「複数の第2機器を有する第2機器群及び前記複数の第2機器に接続される第2配線群から成る第2ネットワーク」に相当する構成を備える。 ウ 引用発明において、「重畳伝送装置40」の「子機存在確認部43B」は、「親子設定部43Aにより重畳伝送装置が親機40Pとして設定された場合、親機40P以外の重畳伝送装置を子機40Cと認識し、高周波の非空調データとは異なる低周波の空調データを用いて子機40Cの存在確認を行なうもの」であるから、前記アを参酌すれば、「第1の空調機10」において、「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」は、「空調通信線5」を介して接続され、「親機40P」以外の複数の「重畳伝送装置40」を「子機40C」と認識する処理(認識処理)を行うものといえる。 よって、引用発明の「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」は、本願発明1の「前記第1ネットワークの前記第1機器群の認識処理を行う第1処理部」に相当する。 エ 引用発明において、複数の「空調機10」で構成される「重畳通信システム1」は、前記ア及びイを参酌すれば、本願発明1の「機器ネットワークシステム」に相当するといえる。 オ 引用発明の「重畳伝送装置40」が備える「重畳通信部41」は、「空調通信線5上のデータを受信すると、低周波信号である空調データと高周波信号である非空調データとに分けて、空調データを室外通信部21又は室内通信部31に、非空調データを非空調制御部42に送出する分波器等」である。 ここで、「分波器等」が「回路」で構成されることは本願出願時の技術常識であり、また、「重畳通信部41」は、「高周波信号」を含むデータを受信し、「高周波信号」である非空調データを送出する機能を備えていることから、「高周波通信回路」といい得るものである。 よって、引用発明は、本願発明1の「前記第1機器それぞれは、高周波通信回路を有しており」に相当する構成を備えている。 カ 引用発明において、「重畳伝送装置40」の「親子設定部43A」は「重畳伝送装置40を「親機40P」又は「子機40C」として設定するものであり、ディップスイッチ等で構成され」ていること、及び、「重畳通信ネットワークを構築するための複数の重畳伝送装の中から、親機40Pとなる重畳伝送装置がユーザにより選択され」との構成からすると、「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」は、ユーザがディップスイッチ等を操作することにより選出されているといえる。 また、引用発明は、 「 子機存在確認部43Bは、親子設定部43Aにより重畳伝送装置が親機40Pとして設定された場合、親機40P以外の重畳伝送装置を子機40Cと認識し、高周波の非空調データとは異なる低周波の空調データを用いて子機40Cの存在確認を行なうものであり、 リンク確立部43Cは、子機存在確認部43Bにより子機40Cの存在確認ができた場合、子機40Cに対して高周波非空調データを用いてリンク確立を行なうものであり」及び、 「 親機40P及び複数の子機40Cが、室外空調ユニット20及びそれに接続された複数の室内空調ユニット30に接続されると、親機40Pが「リンク確立モード」を開始し、 親機40Pはリンク確立モードを開始すると、親機40Pの子機存在確認部43Bが空調通信線5を伝送する低周波空調データを解析し、子機40Cの台数を認識し、 親機40Pが設定時間内に子機40Cの存在を確認すると、親機40Pは高周波非空調データを用いて子機40Cとリンク確立を行なう」 との構成を備えることから、「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」は、「低周波空調データ」を解析して、「子機40C」の台数を認識し、「子機40C」の存在を確認すると、「高周波非空調データ」を用いて「子機40C」と「リンク確立」を行うものである。ここで、「第1の空調機10」においてこれらの処理が行われる場合を想定すると、「高周波非空調データ」を用いて「子機40C」と「リンク確立」が行われることは、処理としては、本願発明1の「前記第1ネットワークが高周波通信によって確立され」ることに相当するものの、引用発明において、当該処理は、タイミングとしては「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」が選出され、当該「重畳伝送装置40」が「子機40C」の認識処理を行った後になされる処理である。 よって、前記ウを参酌すれば、引用発明と、本願発明1の「前記第1処理部は、前記第1ネットワークが高周波通信によって確立された後、通信により協調的に選出され」とは、「前記第1処理部は、選出され」との共通の構成を備える。 キ 引用発明において、「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」の「リンク確立部43C」が「子機40Cに対して高周波非空調データを用いてリンク確立を行なう」ことは、本願発明1の「前記第1機器間の通信は高周波で行」うことに相当し、「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」の「子機存在確認部43B」が、「高周波の非空調データとは異なる低周波の空調データを用いて子機40Cの存在確認を行なう」ことは、本願発明1の「前記第1処理部が行う認識処理では低周波の認識用信号を用いる」ことに相当する。 そして、引用発明は、「第1の空調機10」の「室外空調ユニット20」(又は「室内空調ユニット30」)に「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」が装着された場合を含むから、前記アを参酌すれば、引用発明は、本願発明1の「前記第1ネットワークにおいて、前記第1機器間の通信は高周波で行い、前記第1処理部が行う認識処理では低周波の認識用信号を用いる」に相当する構成を含む。 (2)一致点、相違点 前記(1)より、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 [一致点] 「 複数の第1機器を有する第1機器群及び前記複数の第1機器に接続される第1配線群から成る第1ネットワークと、 複数の第2機器を有する第2機器群及び前記複数の第2機器に接続される第2配線群から成る第2ネットワークと、 前記第1ネットワークの前記第1機器群の認識処理を行う第1処理部と、 を備える機器ネットワークシステムであって、 前記第1機器それぞれは、高周波通信回路を有しており、 前記第1処理部は、選出され、 前記第1ネットワークにおいて、前記第1機器間の通信は高周波で行い、前記第1処理部が行う認識処理では低周波の認識用信号を用いる、 機器ネットワークシステム。」 [相違点] 「第1処理部」の「選出」が、本願発明1では、タイミングとしては「前記第1ネットワークが高周波通信によって確立された後」であり、また、手法としては「通信により協調的に」なされるのに対し、引用発明において、「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」(第1処理部)の選出は、タイミングとしては、「リンク確立」がなされる(「第1ネットワーク」が「確立」される)前であり、手法としては、ユーザのディップスイッチ等の操作によりなされる点。 (3)相違点についての判断 上記相違点について検討する。 本願明細書には、本願が解決しようとする課題に関して、次の記載がある。 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、通信速度を向上させるために、より高周波信号を使う通信方式に変更し、通信を行うことになると、従来のリレーによる切断では、リレーの接点間や基板パターン間の寄生容量により信号が相互に漏洩するクロストークが発生し、リレーで分断したネットワークが結合してしまう虞があり、高周波通信においてリレーは機能を果たすことができない。また、物理配線で接続されていない異なるネットワーク間で通信配線が並走し、配線間の寄生容量・相互誘導により信号が相互に漏洩しクロストークが発生すると、物理的に接続されていないネットワーク同士が結合してしまう虞がある。このようにクロストークが発生すると、従来の手法のように、通信によりネットワークの系統認識を行う処理では、物理的に繋がっていない他のネットワークの機器までも同一系統として認識する可能性がある。 【0004】 そこで、高周波通信において他の系統の機器を同一系統として認識することなく、同一の系統に接続されている機器に対して適切に系統認識を行う手段を確立する、という課題が存在する。」 以上より、本願は、高周波信号を使う通信方式を用いると、異なるネットワーク間がリレーで分断されている場合、あるいは、異なるネットワークの通信配線が併走している場合に、クロストークが発生して接続されていないネットワーク同士が結合する虞があることを前提に、高周波通信において同一の系統に接続されている機器に対して適切に系統認識を行うという課題を解決するものである。 そうすると、本願発明1の「前記第1処理部は、前記第1ネットワークが高周波通信によって確立された後、通信により協調的に選出され」において、「高周波通信」によって「第1ネットワーク」が確立される際には、当該「第1ネットワーク」が、リレーで分断されている又は通信配線が併走している他のネットワークとの間でクロストークが発生し、その結果、本来の「第1ネットワーク」を構成する機器群のみならず他のネットワークに含まれる機器をも含めたネットワークが確立されている虞があることを前提としている。 そして、本願発明1では、「第1ネットワーク」を確立した後に選出された「第1処理部」が、「低周波の認識用信号」を用いて「認識処理」を行うことにより、確立したネットワークに含まれる機器のうち、「低周波の認識用信号」を用いた通信が可能な機器のみを本来の「第1ネットワーク」の機器である「第1機器群」として認識することにより前記課題を解決していると認められる。 一方、引用発明は、ユーザにより「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」が、「低周波」を用いて同じくユーザにより設定された「子機40C」を認識し、認識した「子機40C」との間で「高周波」を用いて「リンク確立」を行うものであるから、予め設定された「親機40P」が「低周波」を用いて認識することができない「子機40C」又は他の「親機40P」との間で「リンク確立」がなされることは想定されていない。また、引用文献1には、各処理間で順序を入れ替えることは記載も示唆もない。 そうすると、引用発明では、本願が解決しようとする課題が生じることがないことになるが、それにもかかわらず、引用発明における各処理の順序を入れ替え、かつ、ユーザにより「重畳伝送装置40」に対する「親機40P」又は「子機40C」の設定をすることに替えて、最初に「高周波」を用いた「リンク確立」を行うことによりあえて本願と同様の課題が生じ得る状態を生成すべき理由や起因がない。 したがって、仮に、引用文献2及び3の記載から、親機又はマスターが各機器間の通信により協調的に選出されることが本願出願時における周知技術であるとしても、引用発明において、各処理の順序を入れ替えて、かつ、ユーザにより「重畳伝送装置40」に対する「親機40P」又は「子機40C」の設定をすることに替えて、最初に「高周波」を用いた「リンク確立」を行うとともに、当該「リンク確立」の後で、前記周知技術に係る手法を採用して「親機40P」として設定された「重畳伝送装置40」を選出するようにすることを想起することは、当業者であっても容易とはいえない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2ないし5について 本願発明2ないし5も、上記相違点に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明1ないし5は、当業者が引用文献1ないし3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-005281

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