商標拒絶査定不服審判
2021-004358
セノリティック、セノライティック
- 審判番号
- 2021-004358
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-143040
- 請求日
- 2021年04月05日
- 審決日
- 2022年02月01日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】バイオスタンダード インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】大森 純一
- 【請求人代理人】高橋 満
- 【請求人代理人】中村 哲平
- 【請求人代理人】折居 章
- 【請求人代理人】関根 正好
- 【請求人代理人】金子 彩子
- 【請求人代理人】金山 慎太郎
- 【請求人代理人】千葉 絢子
- 【請求人代理人】白鹿 智久
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 松江
- 審判官 鈴木 雅也
- 審判官 阿曾 裕樹
- 分類
- T18 .13 -Z (W0305)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-143040拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「SENOLYTIC」の欧文字を横書きしてなり、第3類、第5類及び第35類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2019年(令和元年)5月10日に大韓民国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、令和元年11月11日に登録出願されたものである。
原審では、令和2年5月26日付けで拒絶理由の通知、同年8月31日付けで意見書及び手続補正書の提出、同年12月22日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同3年4月5日付けで本件拒絶査定不服審判が請求され、同日付けで手続補正書の提出がされた。
本願商標の指定商品及び指定役務は、原審及び当審における上記の手続補正書により、第3類「皮膚の若返り用化粧品,抗老化化粧品,化粧品,身体の手入れ用化粧品,日焼け止め用化粧品,野菜由来の化粧品,天然材料を含む化粧品,パッドに浸み込ませた化粧品,化粧用油」及び第5類「健康管理用薬剤,サプリメント,強壮薬,薬用内服液,医療用又は医薬用ハーブ,医療用化学剤,混合製剤,薬剤,食餌療法用食品,医療用クリーム剤」と補正された。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「SENOLYTIC」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるところ、当該該文字は、その指定商品との関係において、老化細胞除去の効果を有するものを指称する語として広く採択使用されている。
そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば「老化細胞除去の効果を有する薬剤」等に使用しても、これに接する取引者、需要者に、単に「老化細胞除去の効果を有する商品」であることを理解させるにすぎないから、本願商標は、単に商品の品質及び効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といえる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審における証拠調べ通知(令和3年9月15日付け証拠調べ通知書)
当審において、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1及び別掲2に掲げる事実を発見したため、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し、意見を求めた。
4 職権証拠調べ通知に対する請求人からの意見
上記3の通知に対し、請求人は、令和3年12月20日付けで意見書を提出し、要旨以下のとおり意見を述べた。
(1)別掲1及び別掲2の事例は、いずれも専門的な内容又は研究者向けのもので、一般の需要者が接する機会は極めて限られているから、これら事例をもって、「SENOLYTIC」の内容が、化粧品や薬剤を含む本願商標の指定商品に係る一般的な取引者、需要者に知られているとはいえない。
したがって、本願商標が、一般の取引者、需要者をして、「老化細胞除去の」の意味を認識させることはなく、むしろ特定の語義を有しない造語を表したものと認識、把握される。
(2)本願商標は、その指定商品に使用しても、商品の品質等を表示するものではなく、自他商品識別標識としての機能を果たし得る。
5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性
ア 本願商標は、「SENOLYTIC」の欧文字を表してなるところ、当該文字は、別掲1のとおり、医薬品分野において「老化細胞除去の」の意味を有する語として通用している。
イ そして、医薬品分野においては、老化細胞を除去する薬剤を用いてアンチエイジングや寿命を延ばす効果などを得る研究が進められており、別掲2のとおり、例えば「senolytic薬」(老化細胞を標的とする薬)、「senolytic」(老化細胞除去薬、老化細胞死誘導剤)、「セノリティクス」(老化細胞を殺すアンチエイジング薬)、「セノリティックドラッグ」(体内に蓄積した老化細胞を選択的に死滅させる薬剤)、「senolytic therapy」(老化細胞を除去することで細胞の老化を抑制し、様々な老化疾患や慢性疾患、認知症や筋力低下を予防・改善する目的で開発された療法)などと総称される薬剤や療法の研究開発や提供が行われている実情がある。
ウ そうすると、本願商標は、その指定商品について使用するときは、それに接する需要者、取引者をして、「老化細胞除去」の機能又は効能を有する商品であることを想起させるもので、単に商品の品質(機能)又は効能を表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商品の品質(機能)又は効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「SENOLYTIC」の文字が「老化細胞除去の」の意味で使われている場合があることは争わないものの、そのような意味で使用されているのは学術的な論文等の場のみであって、取引者や需要者は直感的に意味を理解することはできないから、本願商標は、薬剤等の技術分野における研究者の間で相当程度知られているとしても、一般の需要者が接する機会は極めて限られているため、本願商標の指定商品に係る一般の取引者、需要者に知られているとはいえず、むしろ特定の語義を有しない造語を表したものと認識、把握される旨を主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号に該当する商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地、その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人による独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによる(参照:平成26年(行ケ)第10089号、平成27年2月25日知財高裁判決)。
そして、本願商標「SENOLYTIC」は、上記(1)ア及びイのとおり、医薬品分野において「老化細胞除去の」の意味を有する語であって、「senolytic薬」(老化細胞を標的とする薬)等のように総称される薬剤や療法の研究開発や提供が行われている実情があることを踏まえると、取引に際し必要適切な表示として当業者が使用を欲するものであるというべきだから、特定人による独占使用を認めることは公益上適当ではない。
また、本願商標の指定商品に含まれる「薬剤」等の商品は、最終的には一般需要者が使用、服用するものではあるが、その流通過程においては、専門家(医師や薬剤師等)の関与(処方、調剤等)の程度が高いことは当審において顕著な事実であって、当該専門家の間において自他商品の出所識別標識として機能しないのであれば、実質的に商標として機能する余地はほぼないと考えられる。
なお、別掲2に掲げる記事情報は、医療分野の学術誌に限らず、一般向けの情報誌やインターネット媒体(東洋経済ONLINE、朝日新聞など)をも含むから、医薬品分野の専門家に限らず、長寿や健康に関心の高い需要者においては、本願商標は造語ではなく、上記(1)ウのとおり、「老化細胞除去」という商品の品質(機能)又は効能を表示するものと認識、理解されるというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するといえる。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するため、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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