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特許拒絶査定不服審判

2021-003544

切削工具用の連結機構

審判番号
2021-003544
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-236349
請求日
2021年03月17日
審決日
2022年08月24日
公報発行日
2023年02月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ケンナメタル インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】中島 淳
審判長/審判官
  • 審判長 見目 省二
  • 審判官 河端 賢
  • 審判官 大山 健
分類
P18 .121-WZ (B23C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-236349「切削工具用の連結機構」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月25日出願公開、特開2019- 63994〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成26年7月23日(パリ条約による優先権主張 2013年7月25日、(US)アメリカ合衆国)に出願された特願2014-149567号の一部を新たな出願として、平成30年12月18日に出願された特願2018-236349号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和元年10月23日付け :拒絶理由通知 令和2年1月28日 :意見書、手続補正書の提出 令和2年5月19日付け :拒絶理由通知 令和2年8月26日 :意見書、手続補正書の提出 令和2年11月10日付け :拒絶査定 令和3年3月17日 :審判請求書の提出 令和3年12月28日付け :拒絶理由通知 令和4年4月4日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 令和4年4月4日に提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「 【請求項1】 長手方向中心軸線を中心として配置された円筒形状のカッターであって、作動溝付部を有する第1の端部と、反対側の第2の端部であって、これを中心として雄ねじ部が配置された第2の端部とを有するカッターと、 前記長手方向中心軸線を中心として配置された円筒形状のシャンクであって、凹状の雌ねじ部が第1の端部に形成されたシャンクとを備え、 前記雄ねじ部が、第1のピッチで配置された少なくとも4つ以上である複数のねじ山を含み、前記雌ねじ部が、前記第1のピッチとは異なる第2のピッチで配置された複数のねじ山を含み、 前記第1のピッチと前記第2のピッチとの差は、0.002~0.010mmの範囲であり、 前記第2のピッチは前記雌ねじ部に沿って一定であり、 前記第1のピッチは前記雄ねじ部に沿って一定であり、 前記カッターが軸方向当接肩部を含み、前記シャンクは、軸方向当接面を含み、 前記カッターが、前記作動溝付部と前記雄ねじ部との間に配置された、前記長手方向中心軸線に沿って所定距離に亘って延びる第1の外向き円周面を備え、 前記シャンクが、前記雌ねじ部と前記シャンクの前記第1の端部との間に前記長手方向中心軸線に沿って所定距離に亘って延びる第1の内向き円周面を備え、かつ、 前記第1の外向き円周面は、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部が螺合すると、前記第1の内向き円周面に隣接して配置され前記第1の内向き円周面に対向し、 前記カッターと前記シャンクの組立状態で、前記カッターおよび前記シャンクは、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とのねじ係合を介して選択的に連結され、前記カッターの前記軸方向当接肩部が前記シャンクの前記軸方向当接面に当接し、 前記雄ねじ部が前記軸方向当接肩部に最も近接するねじを有し、前記軸方向当接肩部と前記軸方向当接肩部に最も近接するねじとの間に、前記第1の外向き円周面と前記第1の内向き円周面とによって円筒状合わせ面が形成される前記組立状態で前記軸方向当接肩部に最も近接する前記ねじにおける応力集中が避けられる、回転切削工具。」 第3 拒絶の理由 令和3年12月28日付けで当審より請求項1について通知した拒絶理由の概要は、次のとおりのものである。 1 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3にて例示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 (明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 引用文献1:特開2007-290120号公報 引用文献2:赤石雄一郎 外6名,異なるピッチを有するボルト・ナットの組合せによる疲労寿命向上とクリアランスの影響,自動車技術会論文集,日本,公益社団法人自動車技術会,2013年7月,Vol.44 No.4,p1111-1117(周知技術を示す文献) 引用文献3:野田尚昭 外6名,ボルト・ナット締結体の疲労強度に及ぼすピッチ差の影響とその解析モデルの提案,日本機械学会論文集,日本,一般社団法人日本機械学会,2015年10月18日,81巻831号,p1-13(周知技術を示す文献) 第4 引用文献1の記載及び引用発明並びに周知技術 1 引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載事項及び認定できる技術的事項 ア 引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。 (ア)「【技術分野】 【0001】 第一の様態で、本発明は切り屑除去又は切削機械加工のための工具であって、共通の中心軸に沿って配向され、ねじ接合部によって着脱可能に互いに結合された二つのパーツを含むタイプの工具に関する。ねじ接合部は、一方において一方のパーツにおける中空スペースの開口部付近に位置する雌ねじと、他方において他方のパーツに含まれる雄状ピンの自由端付近に位置する雄ねじを含む。個別ねじは、頂部と一対の対向するフランクを有するつるまき状ねじ山を含み、それらが同様に底部を有するつるまき状溝部を画定する。・・・ ・・・ 【0003】 実際には、このタイプの工具は、鋼及び鋼合金、鉄、アルミニウム、チタン、などの金属ワークピースを機械加工するために使用できる。」 (イ)「【背景技術】 【0004】 本出願は、35 U.S.C. §119の下で2006年4月20日に出願されたスウェーデン特許出願No.0600875-9の優先権を主張するものであり、その開示は参照によって全体が本明細書に組み込まれる。 【0005】 関連した回転切削工具として、二つのパーツをインターフェース又は接合部によって結合したものがある。例えば、基本ボディーと切削ボディー又は摩耗パーツが着脱可能に結合されているものである。実際には、そのような工具は、ドリル又はフライス、例えばシャンクエンド(shank end)又はならいフライス盤、などである。最新の工作機械では、基本ボディーが非常に高価になるので、経済的な理由により、それを、摩耗パーツであって限られた使用寿命しかない切削ボディーと一体化することはできない。言い換えると、本来の切削ボディーは別のユニットの形で作ることが利益になる。これを当業者は通常、”ルーズトップ(loose top)”と呼んでおり、これは摩耗したら交換することができる。これに対して基本ボディーはもっと長期間にわたって使用できる。」 (ウ)「【発明を実施するための最良の形態】 【0015】 図1と図2は、例えば、金属ワークピースの切り屑除去加工のための工具を示す。工具は、二つのパーツ、例えば、基本ボディー1といわゆるルーズトップ2をフライス・ボディーの形で含み、それらはねじ接合部によって着脱可能に結合される。図示されているように、基本ボディー1は長く細い形状を有し、前端3と後端4を含む。基本ボディー1の形は、回転対称であり、例えば基本ボディー1の外側は円筒面5,並びに円錐面6を含む。中心の貫通孔7を含むことによって基本ボディー1は管状にすることもできるが(図2を参照)、基本ボディーはむく(solid)であってもよい。 【0016】 ルーズトップ2は、フロントヘッド8とリアピン9を含む。雄ねじ10がリアピン9に形成され、基本ボディー1の前端3に開口する中空スペース12の雌ねじ11と協力して動作するように配置されている。この開口部は、平面であってもよいリング状のショルダー面13によって囲まれている。ルーズトップのヘッド8には、いくつかの切れ刃14,15が形成されている。ある切れ刃15は、つるまき状で仮想的な回転対称な包絡面に沿って伸び、別の切れ刃14は真直でフロントヘッド8の端面に位置している。 【0017】 図5に最も良く見られるように、ヘッド8は後方のリング状の接触面8aを有し、それがショルダー面13に落ち着く。さらに、二つの平担面8bもキーグリップとするためにフロントヘッド8に形成される。 【0018】 ルーズトップ2と基本ボディー1は共通の中心軸Cに沿って配向され、組み立てられたアセンブリは矢印Pの方向に回転させることができる(図1と2参照)。 【0019】 図示した実施形態の例では、二つのねじ10,11は円錐の基本形を有する。さらに、一対の協力動作するガイド面16,17がそれぞれのねじの前方に位置し、回転対称な形を有する。例えば、ガイド面16,17は円筒形で互いに精密に嵌合するようになっている。 ・・・ 【0021】 あるいはまた、前方ガイド面16,17の嵌合は、面16の直径がガイド面17の内径よりわずかに大きい圧入であることが好適である。 【0022】 ねじ10,11が円筒形でなく円錐の基本形を有する利点は、図3に見られるように、ねじを互いに係合させる前に雄ねじ10を雌ねじ11に相当な距離だけ挿入することができるという点である。これは、雄ねじ10を雌ねじ11に最終的に締め付けるためにほんの一回又は数回ねじをまわすだけでよいということを意味する。すなわち、図3に見られる状態から、ルーズトップ2を約1.5回まわすだけで、図4に見られるような最終的に締め付けられた状態にすることができる。」 (エ)「【0023】 次に図6~10に眼を転ずると、図6は雌ねじ11の設計を示し、図7は雄ねじ10の設計を示している。図7では、雄ねじ10の略円錐状(又は切頭円錐状)形態を規定する仮想的な母線20が、円錐角とも呼ばれる角度γで延びている。図示のように、角度γはほぼ6゜である。つるまき状ねじ山10とも呼ばれるねじ10は、頂部21と二つのフランク22,23によって規定される輪郭形状を有し、それらが底部25を有する同様のつるまき状溝部24を画定している。 【0024】 同様の仕方で、雌ねじはねじ山11を含み、頂部21aと二つのフランク22a,23aによって規定される輪郭形状を有し、それらが底部25aを有する同様のつるまき状溝部24aを画定している。雄ねじ山10の第一のフランク22はピン9の自由端9aの反対方向に向き、雄ねじ10を雌ねじ11にねじ込むとき雌ねじ山11の協力動作する第一のフランク22aに圧接する。フランク22aは中空スペース12の開口部の反対方向に向いている。ねじをまわして引き出すとき、雄ねじ山10の第二のフランク23は雌ねじ山11の協力動作する第二のフランク23aに圧接する。第一のフランク22,22aはねじ込むことに関連して引き込むように作用するので、これらは” 引込フランク”とも呼ばれる。他方、フランク23,23aは” 押圧フランク”とも呼ばれる。」 (オ)「【0034】 この実施形態の例では、工具はエンドミルの形態であり、ルーズトップ2は全体を単一の硬い材料、例えば超硬合金から作られるが、基本ボディー1の少なくとも前方部分は比較的柔らかい材料、例えば鋼、から製造される。」 (カ)「【0035】 あるいはまた、ユニークなねじ接合部を用いて切削工具に含まれる他のパーツ、すなわち、単なるルーズトップと回転可能な基本ボディー以外のパーツ、を着脱可能に結合することもできる。上述のように雄ねじは超硬合金を含み、雌ねじの材料は鋼を含むようにすることも、あるいはまた、二つのねじを同じ又は同様の材料、例えば鋼、で製造することもできる。また協力して動作する二つのねじにいろいろな仕方で変更を加えることができる。例えば、ねじが上述のように円錐の基本形をもつようにしても、あるいはまた、ねじの基本形を円筒形にすることもできる。さらに、ねじが円錐形の場合、円錐角は6゜から上方に、並びに下方に変えることができる。さらに、ねじの巻き数及びねじのピッチを、それぞれ変えることができる。また、二つのねじの前方及び/ 又は背後のガイド面を、例としてあげたエンドミルの場合であっても、省略することができる。さらに、雄ねじと雌ねじの間に必要な遊びも、例えばねじ接合部を含む工具のタイプによって、変えることができる。さらに、ねじのスタートの数も変えることができる。」 (キ)「【図面の簡単な説明】 【0038】 【図1】切削工具のある実施形態に係わるシャンクエンド・フライスの形で二つのパーツを示す一部切断斜視図である。 【図2】図1に示された切削工具に含まれる、部分切断された基本ボディーから間隔をあけたルーズトップ示す分解斜視図である。 【図3】ルーズトップに含まれる、雌ねじが設けられた基本ボディーの中空スペースに雄ねじが部分的に挿入されているピンを示す一部切断側面図である。 【図4】締め付けられて雄ねじが基本ボディーの雌ねじと完全に係合しているルーズトップを示す同様の側面図である。 【図5】ルーズトップだけの側面図である。 【図6】雌ねじの輪郭形状を示す基本ボディーの一部を通る拡大縦断面図である。 【図7】雄ねじの輪郭形状を示すルーズトップのピンの一部を通る拡大縦断面図である。 ・・・」 (ク)「【図1】 [図:0001393488000001.jpg] 」 (ケ)「【図2】 [図:0001393488000002.jpg] 」 (コ)「【図3】 [図:0001393488000003.jpg] 」 (サ)「【図4】 [図:0001393488000004.jpg] 」 (シ)「【図5】 [図:0001393488000005.jpg] 」 (ス)「【図6】 [図:0001393488000006.jpg] 」 (セ)「【図7】 [図:0001393488000007.jpg] 」 イ 上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 (ア)「ルーズトップ2」について 上記ア(ウ)の段落【0015】、【0016】、【0018】、上記ア(ク)-(シ)の【図1】-【図5】)の記載からみて、「ルーズトップ2」は、「中心軸Cに沿って配向され」、「仮想的な回転対称な円筒状の包絡面を有する」ものであると認められる。 また、上記ア(ウ)の段落【0016】、上記ア(ケ)の【図2】、上記ア(シ)の【図5】の記載からみて、「ルーズトップ2」は、「フロントヘッド8を有」し、「フロントヘッド8」は「切れ刃15を有する」ものであると認められる。 さらに、上記ア(ウ)の段落【0016】、【0019】、ア(エ)の【0023】-【0024】、上記ア(ク)-(シ)の【図1】-【図5】の記載からみて、「ルーズトップ2」は、フロントヘッド8の「反対側のピン9の自由端9aであって、これを中心として雄ねじ10が形成されたピン9の自由端9a」を有するものであると認められる。 (イ)「基本ボディー1」について 上記ア(ウ)の段落【0015】、【0016】、【0018】、上記ア(ク)-(シ)の【図1】-【図5】の記載からみて、「基本ボディー1」は、「中心軸Cに沿って配向された」「外側が円筒面5で一部に円錐面6を含む」ものであると認められる。 また、上記ア(ウ)の段落【0016】、【0019】、上記ア(エ)の【0024】、上記ア(ク)-(シ)の【図1】-【図5】の記載からみて、「基本ボディー1」は、「中空スペース12の雌ねじ11が前端3に形成された」ものであると認められる。 (ウ)「雄ねじ10」と「雌ねじ11」に形成された「ねじ山10」及び「ねじ山11」について 上記ア(エ)の段落【0023】、【0024】、上記ア(コ)の【図3】、上記ア(シ)の【図5】の記載からみて、「雄ねじ10」は、「ねじ山10を含み」、「ねじ山10」は「所定の雄ねじ山ピッチで形成された」ものであり、「所定の雄ねじ山ピッチ」は「雄ねじ10に沿って一定であ」ると認められる。 また、上記ア(エ)の段落【0024】、上記ア(コ)の【図3】、上記ア(シ)の【図5】の記載からみて、「雌ねじ11」は、「ねじ山11を含み」、「ねじ山11」は「所定の雌ねじ山ピッチ」で形成されたで形成されたものであり、「所定の雌ねじ山ピッチ」は「雌ねじ11に沿って一定であ」ると認められる。 (エ)「接触面8a」及び「ショルダー面13」について 上記ア(ウ)の段落【0017】、上記ア(シ)の【図5】の記載からみて、「ルーズトップ2」は、後方に「接触面8aを含」むものであると認められる。 また、上記ア(ウ)の段落【0017】、上記ア(ケ)の【図2】の記載からみて、「基本ボディー1」は、前端に「ショルダー面13を含」むものであると認められる。 (オ)「前方ガイド面16」及び「前方ガイド面17」について a 「前方ガイド面16」について 上記ア(ウ)の段落【0019】、上記ア(ケ)の【図2】、上記ア(シ)の【図5】の記載からみて、「ルーズトップ2」は、「前方ガイド面16を備え」、「前方ガイド面16」は「切れ刃15と雄ねじ10との間に位置し」、また、「前方ガイド面16」は「中心軸Cに沿って所定距離に亘って延びる」ものであると認められる。 b 「前方ガイド面17」について 上記ア(ウ)の段落【0019】、上記ア(ケ)の【図2】の記載からみて、「基本ボディー1」は、「前方ガイド面17を備え」、「前方ガイド面17」は「雌ねじ11と基本ボディー1の前端3との間に中心軸Cに沿って所定距離に亘って延びる」ものであると認められる。 (カ)「前方ガイド面16」と「前方ガイド面17」の「互いに精密に嵌合」について 上記ア(ウ)の段落【0019】、【0022】、上記ア(キ)の【0038】の【図4】に関する記載、上記ア(サ)の【図4】の記載からみて、「前方ガイド面16は、雄ねじ10と雌ねじ11が最終的に締め付けつられて完全に係合すると、前方ガイド面17と互いに精密に嵌合」するものであると認められる。 (キ)「ルーズトップ2」と「基本ボディー1」が「最終的に締め付けられた状態」について 上記ア(ウ)の段落【0015】、【0017】、【0022】、上記ア(サ)の【図4】の記載からみて、 「ルーズトップ2と基本ボディー1が最終的に締め付けられた状態」で、「ルーズトップ2およびシャンク基本ボディー1」は、「雄ねじ10と雌ねじ11とが互いに係合することによって着脱可能に係合され」、また、「ルーズトップ2の接触面8aが基本ボディー1のショルダー面13に当接」するものであると認められる。 (ク)「嵌合面」について 上記ア(シ)の【図5】の記載からみて、「雄ねじ10」は「接触面8aに最も近接するねじ山を有し」ていると認められ、また、上記ア(ウ)の段落【0019】、【0022】、上記ア(サ)の【図4】、上記ア(シ)の【図5】の記載からみて、「ルーズトップ2と基本ボディー1」が「最終的に締め付けられた状態」で、「接触面8aと接触面8aに最も近接するねじ山との間に、前方ガイド面16と前方ガイド面17とによって嵌合面が形成される」ものであると認められる。 (ケ)「エンドミル」について 上記ア(ア)の段落【0001】、【0003】、上記ア(イ)の【0004】-【0005】、上記ア(ウ)の【0015】、上記ア(オ)の【0034】の記載からみて、切削工具は「エンドミル」として用いるものであることが記載されていると認められる。 (2)引用発明 上記(1)のア及びイを総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「中心軸Cに沿って配向された仮想的な回転対称な円筒状の包絡面を有するルーズトップ2であって、切れ刃15を有するフロントヘッド8と、反対側のピン9の自由端9aであって、これを中心として雄ねじ10が形成されたピン9の自由端9aとを有するルーズトップ2と、 中心軸Cに沿って配向された外側が円筒面5で一部に円錐面6を含む基本ボディー1であって、中空スペース12の雌ねじ11が前端3に形成された基本ボディー1とを備え、 雄ねじ10が、所定の雄ねじ山ピッチで形成されたねじ山10を含み、雌ねじ11が、所定の雌ねじ山ピッチで成されたねじ山11を含み、 所定の雌ねじ山ピッチは雌ねじ11に沿って一定であり、 所定の雄ねじ山ピッチは雄ねじ10に沿って一定であり、 ルーズトップ2が接触面8aを含み、基本ボディー1は、ショルダー面13を含み、 ルーズトップ2が、切れ刃15と雄ねじ10との間に位置し、中心軸Cに沿って所定距離に亘って延びる前方ガイド面16を有し、 基本ボディー1が、雌ねじ11と基本ボディー1の前端3との間に中心軸Cに沿って所定距離に亘って延びる前方ガイド面17を有し、かつ、 前方ガイド面16は、雄ねじ10と雌ねじ11が最終的に締め付けつられて完全に係合すると、前方ガイド面17と互いに精密に嵌合し、 ルーズトップ2と基本ボディー1が最終的に締め付けられた状態で、ルーズトップ2および基本ボディー1は雄ねじ10と雌ねじ11とが互いに係合することによって着脱可能に係合され、ルーズトップ2の接触面8aが基本ボディー1のショルダー面13に当接し、 ねじ10が接触面8aに最も近接するねじ山を有し、最終的に締め付けられた状態で、接触面8aと接触面8aに最も近接するねじ山との間に、前方ガイド面16と前方ガイド面17とによって嵌合面が形成される、エンドミル。」 2 周知技術 (1)引用文献2の記載事項 ア 引用文献2には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。 (ア)「図1にボルト締結体の概略図を示す.疲労試験に用いたボルト(図1(a))に対して,解析に用いたポルトのモデルは図1(b)のように,ボルト頭部側の非嵌合部でねじ山をNo.-13からNo.-3に減少し,解析の簡略化を図った.用いた材料はM16のボルト?ナットの強度区分8.8(ボルト材料SCM435)である.ナットはポルトに対して,ピッチ差αを与えるため,ナットのピッチpは,(2000+α)μmとなる.ピッチ差は0μm,5μm,15μmとした.」(第1111ページ右欄第15行-第22行) (イ)「解析対象は疲労実験と同様M16のボル卜?ナットによる内径17.5mm,外径50mm,厚さ35mmの円筒形被締結物を締結する場合である.ナットはボルトに対して,ピッチ差αだけ大きいピッチp=(2000+α)μmを有するモデルを考える.」(第1112ページ右欄第10行-第14行) (ウ)「α=0μmの場合,第1ねじ谷底での応力集中係数が最も大きい.α=5μmを与えると第1ねじ谷底のKtは大幅に減少するけれども,第8ねじで上昇する.更にαを15μmに大きくすると,第8ねじ谷についで第7ねじ谷のKtが増大し,その値はα=0μmでの第1ねじ谷よりも大きい.このように,ピッチ差によりボルトねじの応力分布を大きく変化させる事ができる.」(第1113ページ右欄第8行-第14行) (エ)「 [図:0001393488000008.jpg] 」(Fig.1) (オ)「 [図:0001393488000009.jpg] 」(Fig.7) イ 上記記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 「ボルト締結体において、ボルトが含む複数のねじ山のピッチとナットが含む複数のねじ山のピッチpとのピッチ差を、5μmとすることで、ボルトとナットの組立状態でナットの軸方向当接面に当接する軸方向当接部位に最も近接する第1ねじにおける応力集中が避けられるようにすること。」 (2)引用文献3の記載事項 ア 引用文献3には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同じ。)。 (ア)「2・1 試験材と試験片 ボルト締結体の疲労試験には392kN(40tonf)サーボ疲労試験機を用いる.研究に用いるM16ボルト・ナットの規格を表1に示し,各物性値を表2に示す.また,図3に解析に用いたボルト・ナットの応力ひずみ線図を示す.ナットは通常ピッチのものに比べて,ビッチ差0を基準としてαだけ大きくする.ボルトのビッチpは2000μmであるので,ナットのピッチは,(2000+α)μmとなる.用いるピッチ差は,緩み止め向上に最適な結果がえられているα=αlargeと,先の研究で有限寿命が向上したピッチ差α=αmiddle(5~30μm),それに比較のためのピッチ差α=0を用いて疲労試験に加えてFEM解析を行う.締結部試験体の?略図とねじ谷底の番号を図1に示す.図1中の番号-3,-2・・・7,8はポルト各ねじ谷底に対するものである.また,ボルト,ナット間のクリアランスは,平均的な値である片側125μmとする(図1).」(第2ページ下から第12行-下から第4行) (イ)「そしてピッチ差が疲労破壞に影響するメカニズムを実験と解析の双方から考察する.表5に,各応力振幅における時間強度(寿命)をピッチ差α=0μmを基準にして比較対比して示す.応力振幅80MPa以上の高応力域において時間強度は,ピッチ差α=αmiddleでほぼ1.5倍以上,ピッチ差α=αlargeで1.2倍以上である.」(第4ページ第11行-第16行) (ウ)「図14によれば最大応力振幅σmaxFφmaxはα=0ではNo.1が最大で順次減少する一方,α=αmiddle,α=αlargeではいずれもα=0と対照的にNo.8が最大で順次減少する.」(第9ページ第13行-第14行、注:「σmaxFφmax」は上付き文字と下付き文字を上下に揃えた記載の代替表記である) (エ)「(2)高応力域においては,ピッチ差を設けることによって長寿命化し,ピッチ差α=0μmに対して寿命比の最も大きなα=αmiddleでは,約1.5倍であった.」(第11ページ下から第4行-下から第3行) (オ)「 [図:0001393488000010.jpg] 」(Table 5) (カ)「 [図:0001393488000011.jpg] 」(Fig.14(a)) (キ)「 [図:0001393488000012.jpg] 」(Fig.14(b)) イ 上記記載から、引用文献3には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 「ボルト締結体において、ボルトが含む複数のねじ山のピッチpとナットが含む複数のねじ山のピッチとのピッチ差αを、αmiddle(5~30μm)とすることで、ボルトとナットの組立て状態でナットの軸方向当接面に当接する軸方向当接部位に最も近接するねじ谷No.1における応力集中が避けられるようにすること。」 (3)周知技術 そして、上記(1)及び(2)にて例示されるように、次の技術は、本願の優先日前にねじ係合を伴う機器等一般において周知の技術(以下、「周知技術」という。)である。 「雄ねじ部が含む複数のねじ山の第1のピッチと雌ねじ部が含む複数のねじ山の第2のピッチとの差を、0.005mm程度とし、雄ねじ部と雌ねじ部の組立状態で雌ねじ部の軸方向当接面に当接する軸方向当接部位に最も近接するねじにおける応力集中が避けられるようにすること。」 ここで、引用文献2に記載されたピッチ差5μmは0.005mmであり、引用文献3に記載されたピッチ差αmiddle(5~30μm)はαmiddle(0.005mm~0.033mm)であることから、これらにより例示される周知技術における第1のピッチと第2のピッチとの差は0.005mm程度を含むものである。 第5 対比 1 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)「カッター」について ア 「カッター」について<その1> 引用発明における「中心軸C」は本願発明における「長手方向中心軸線」に相当し、同様に、「中心軸Cに沿って配向」されたことは「長手方向中心軸線を中心として配置」されたことに、「仮想的な回転対称な円筒状の包絡面」を有することは「円筒形状」であることに、それぞれ相当する。 そして、引用発明における「中心軸Cに沿って配向された仮想的な回転対称な円筒状の包絡面を有するルーズトップ2」は本願発明における「長手方向中心軸線を中心として配置された円筒形状のカッター」に相当する。 イ 「カッター」について<その2> (ア)引用発明における「切れ刃15」は本願発明における「作動溝付部」に相当することから、引用発明における「切れ刃15を有するフロントヘッド8」は本願発明における「作動溝付部を有する第1の端部」に相当する。 (イ)また、引用発明における「雄ねじ10」は本願発明における「雄ねじ部」に相当し、同様に、「形成された」ことは「配置された」ことに相当する。そして、引用発明における「ピン9の自由端9a」は「フロントヘッド8」の反対側にあって「雄ねじ10」が形成されているから本願発明における「第1の端部」の反対側にあって「雄ねじ部」が配置された「第2の端部」に相当する。 (ウ)そうすると、引用発明における「切れ刃15を有するフロントヘッド8と、反対側のピン9の自由端9aであって、これを中心として雄ねじ10が形成されたピン9の自由端9aとを有するルーズトップ2」は本願発明における「作動溝付部を有する第1の端部と、反対側の第2の端部であって、これを中心として雄ねじ部が配置された第2の端部とを有するカッター」に相当する。 (2)「シャンク」について ア 「シャンク」について<その1> 引用発明における「外側が円筒面5で一部に円錐面6を含む」ことは全体としての基本形状は円筒形状であることから本願発明における「円筒形状」であることに相当する。 そして、引用発明における「中心軸Cに沿って配向された外側が円筒面5で一部に円錐面6を含む基本ボディー1」は本願発明における「長手方向中心軸線を中心として配置された円筒形状のシャンク」に相当する。 イ 「シャンク」について<その2> (ア)引用発明における「中空スペース12」は本願発明における「凹状」であることに相当することから、引用発明における「中空スペース12の雌ねじ11」は本願発明における「凹状の雌ねじ部」に相当する。 (イ)また、引用発明における「前端3」は本願発明における「第1の端部」に相当する。 (ウ)そうすると、引用発明における「中空スペース12の雌ねじ11が前端3に形成された基本ボディー1」は本願発明における「凹状の雌ねじ部が第1の端部に形成されたシャンク」に相当する。 (3)「雄ねじ部」と「雌ねじ部」に配置された「複数のねじ山」について ア 引用発明における「所定の雄ねじ山ピッチで形成されたねじ山10」は「第1のピッチで配置された複数のねじ山」という限りにおいて本願発明における「第1のピッチで配置された少なくとも4つ以上である複数のねじ山」に相当する。 イ また、引用発明における「所定の雌ねじ山ピッチで形成されたねじ山11」は「第2のピッチで配置された複数のねじ山」という限りにおいて本願発明における「第1のピッチとは異なる第2のピッチで配置された複数のねじ山」に相当する。 (4)「軸方向当接肩部」及び「軸方向当接面」について ア 引用発明における「接触面8a」は本願発明における「軸方向当接肩部」に相当する。 イ また、引用発明における「ショルダー面13」は本願発明における「軸方向当接面」に相当する。 (5)「第1の外向き円周面」及び「第1の内向き円周面」について ア 「第1の外向き円周面」について 引用発明における切れ刃15と雄ねじ10との間に「位置」することは、本願発明の作動溝付部と雄ねじ部との間に「配置」されたことに相当する。 そして、引用発明における「前方ガイド面16」は本願発明における「第1の外向き円周面」に相当するから、引用発明における前方ガイド面16を「有」することは、本願発明における第1の外向き円周面を「備え」ることに相当する。 イ 「第1の内向き円周面」について 引用発明における「前方ガイド面17」は本願発明における「第1の内向き円周面」に相当する。 ウ 「第1の外向き円周面」と「第1の内向き円周面」の「隣接して配置」及び「対向」について 引用発明における「雄ねじ10と雌ねじ11が最終的に締め付けつられて完全に係合する」ことは本願発明における「雄ねじ部と雌ねじ部が螺合する」ことに相当する。 そして、引用発明における「前方ガイド面16は、雄ねじ10と雌ねじ11が最終的に締め付けつられて完全に係合すると、前方ガイド面17と互いに精密に嵌合」することは、精密に嵌合したことで前方ガイド面16と前方ガイド面17とが隣接し、対向することになるから、本願発明における「第1の外向き円周面は、雄ねじ部と雌ねじ部が螺合すると、第1の内向き円周面に隣接して配置され第1の内向き円周面に対向」することに相当する。 (6)「カッター」と「シャンク」の「組立状態」について ア 引用発明における「ルーズトップ2と基本ボディー1が最終的に締め付けられた状態」は本願発明における「カッターとシャンクの組立状態」に相当する。 イ また、引用発明における「雄ねじ10と雌ねじ11とが互いに係合」することは本願発明における「雄ねじ部と雌ねじ部とのねじ係合」に相当する。 そして、引用発明における「ルーズトップ2および基本ボディー1は、雄ねじ10と雌ねじ11とが互いに係合することによって着脱可能に係合され」ることは、本願明細書の段落【0033】の「「選択的に連結される」という用語は、いずれの部品も傷付けることなく、選択的に元に戻され(すなわち、連結解除され)得るようにして、2つ以上の部品が互いに連結または結合されることを意味するものとする。」なる記載からみて、本願発明における「カッターおよびシャンクは、雄ねじ部と雌ねじ部とのねじ係合を介して選択的に連結され」ることに相当する。 ウ さらに、引用発明における「ルーズトップ2の接触面8aが基本ボディー1のショルダー面13に当接」することは、本願発明における「カッターの軸方向当接肩部がシャンクの軸方向当接面に当接」することに相当する。 (7)「円筒状合わせ面」について 引用発明における「接触面8aに最も近接するねじ山」は本願発明における「軸方向当接肩部に最も近接するねじ」に相当する。 また、引用発明における「嵌合面」は本願発明における「円筒状合わせ面」に相当し、引用発明における「ねじ10が接触面8aに最も近接するねじ山を有し、最終的に締め付けられた状態で、接触面8aと接触面8aに最も近接するねじ山との間に、前方ガイド面16と前方ガイド面17とによって嵌合面が形成される」ことと、本願発明における「前記雄ねじ部が前記軸方向当接肩部に最も近接するねじを有し、前記軸方向当接肩部と前記軸方向当接肩部に最も近接するねじとの間に、前記第1の外向き円周面と前記第1の内向き円周面とによって円筒状合わせ面が形成される前記組立状態で前記軸方向当接肩部に最も近接する前記ねじにおける応力集中が避けられる」こととは、「前記雄ねじ部が前記軸方向当接肩部に最も近接するねじを有し、組立状態で前記軸方向当接肩部と前記軸方向当接肩部に最も近接するねじとの間に、前記第1の外向き円周面と前記第1の内向き円周面とによって円筒状合わせ面が形成される」点で一致する。 (8)「回転切削工具」について 引用発明における「エンドミル」は本願発明における「回転切削工具」に相当する。 2 一致点、相違点 したがって、本願発明と引用発明は、 「 長手方向中心軸線を中心として配置された円筒形状のカッターであって、作動溝付部を有する第1の端部と、反対側の第2の端部であって、これを中心として 雄ねじ部が配置された第2の端部とを有するカッターと、 前記長手方向中心軸線を中心として配置された円筒形状のシャンクであって、凹状の雌ねじ部が第1の端部に形成されたシャンクとを備え、 前記雄ねじ部が、第1のピッチで配置された複数のねじ山を含み、前記雌ねじ部が、第2のピッチで配置された複数のねじ山を含み、 前記第2のピッチは前記雌ねじ部に沿って一定であり、 前記第1のピッチは前記雄ねじ部に沿って一定であり、 前記カッターが軸方向当接肩部を含み、前記シャンクは、軸方向当接面を含み、 前記カッターが、前記作動溝付部と前記雄ねじ部との間に配置された、前記長手方向中心軸線に沿って所定距離に亘って延びる第1の外向き円周面を備え、 前記シャンクが、前記雌ねじ部と前記シャンクの前記第1の端部との間に前記長手方向中心軸線に沿って所定距離に亘って延びる第1の内向き円周面を備え、かつ、 前記第1の外向き円周面は、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部が螺合すると、前記第1の内向き円周面に隣接して配置され前記第1の内向き円周面に対向し、 前記カッターと前記シャンクの組立状態で、前記カッターおよび前記シャンクは、前記雄ねじ部と前記雌ねじ部とのねじ係合を介して選択的に連結され、前記カッターの前記軸方向当接肩部が前記シャンクの前記軸方向当接面に当接し、 前記雄ねじ部が前記軸方向当接肩部に最も近接するねじを有し、組立状態で前記軸方向当接肩部と前記軸方向当接肩部に最も近接するねじとの間に、前記第1の外向き円周面と前記第1の内向き円周面とによって円筒状合わせ面が形成される、回転切削工具。 」 である点で一致し、次の点において相違する。 <相違点> 「雄ねじ部」が含む「第1のピッチで配置された複数のねじ山」が、本願発明は、「少なくとも4つ以上である」のに対して、引用発明が、そのような構成を有するかは不明であり、本願発明は、「雌ねじ部が、(雄ねじ部に含まれる複数のねじ山の)第1のピッチとは異なる第2のピッチで配置された複数のねじ山を含み」、「第1のピッチと第2のピッチとの差は、0.002~0.010mmの範囲であり」、「組立状態で(軸方向当接面に当接する)軸方向当接肩部に最も近接するねじにおける応力集中が避けられる」ものであるのに対して、引用発明には、そのような構成がない点。 第6 判断 1 相違点の検討 上記相違点について検討する。 (1)引用文献1の記載 引用文献1には、ルーズトップ2及び基本ボディー1に設けられる雄ねじ10及び雌ねじ11に関し、次のような記載がある。 「また協力して動作する二つのねじにいろいろな仕方で変更を加えることができる。例えば、ねじが上述のように円錐の基本形をもつようにしても、あるいはまた、ねじの基本形を円筒形にすることもできる。・・・ねじの巻き数及びねじのピッチを、それぞれ変えることができる。」(上記第4の1(1)ア(カ)の段落【0035】) (2)周知技術 上記第4の2のとおり、 「雄ねじ部が含む複数のねじ山の第1のピッチと雌ねじ部が含む複数のねじ山の第2のピッチとの差を、0.005mm程度とし、雄ねじ部と雌ねじ部の組立状態で雌ねじ部の軸方向当接面に当接する軸方向当接部位に最も近接するねじにおける応力集中が避けられるようにすること。」 は、ねじ係合を伴う機器等一般において周知技術である。 (3)組み合わせについて そして、応力集中により破壊を生じやすくなることから、これを避けるように設計することは機械分野において技術常識であるところ、引用発明は、カッターおよびシャンクが雄ねじ部と雌ねじ部とのねじ係合を介して選択的に連結されるものであり、かかるねじ係合にあたり、雄ねじ部と雌ねじ部の組立状態で各ねじにおける応力集中が避けられるように構成することなどは、引用発明においても内在している技術的課題と認められる。 そうすると、上記(1)のとおり、引用文献1においてもねじの変更をし得ることが示唆されていることを踏まえると、引用発明において、かかる内在する技術的課題のもと、ねじ係合に関する周知技術を参酌し、雄ねじ部が含む第1のピッチで配置された複数のねじ山の数を適宜設定し4つ以上とすること、雄ねじ部と雌ねじ部のピッチの差を、0.002~0,010mmの範囲内である0.005mm程度とすることにより、最終的に締め付けられた状態で、接触面8aに最も近接するねじ山における応力集中が避けられるようにし、相違点に係る本願発明のように構成することは、当業者であれば容易になし得るものである。 (3)本願発明の効果について そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明及び周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 2 小括 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 審判請求人の主張について 1 審判請求人の意見書における主張 審判請求人は、令和4年4月4日に提出された意見書において、令和3年12月28日付けの拒絶理由通知書の「●理由1(進歩性)について」に対して次のように主張している(下線は当審において付した。)。 本願発明は、「雄ねじ部は、少なくとも4つ以上である複数のねじ山を含む」という特徴を有するため、ねじ部22の各ねじ山22aに応力をより均等に分配することができる」という有利な効果をするものである。 一方、引用文献1では、リアピン9を完全な雄ねじ山10が2つと少なく、ねじを大きなテーパ角の円錐の基本形を有するものとすることで、ねじを互いに係合させる前に雄ねじ山10を雌ねじ11に相当な距離だけ挿入することができ、最終的に締め付けるためにほんの一回又は数回(約1.5回)ねじをまわすだけでよいとしたものである。 そうすると引用発明のねじ山の数を増やして応力を他のねじに分散することは、引用発明の効果をなくすものであって、そのような改変を妨げるものであるし、大きなテーパ角度を有することにより、ねじ山の表面積が小さいことにより、引用文献2,3の事項を引用発明に適用すると、増加した応力に耐えるには小さすぎる表面積を有するものとなるから、引用文献1、2及び3を組み合わせることは考えられない。 2 審判請求人の主張の検討 以下、上記1の主張について検討する。 上記1の主張における、「雄ねじ部」が含む「第1のピッチで配置された複数のねじ山」の数については、上記第5の2(2)のとおり、相違点としている。 そして、引用文献1の段落【0009】には、「本発明は、・・・最適化した工具ねじ接合部が提供される。さらに、工具の二つのパーツの迅速かつ簡単な結合と分解をそれぞれ可能にするねじ接合部を含む工具が提供される。」と記載され、迅速かつ簡単な結合は、引用文献1において付加的な課題であると認められる。また、引用文献1には段落【0035】に「ねじの基本形を円筒形にすることもできる。」と記載され、引用発明のねじ山の数が少ないことや、テーパ角を有するねじとし、当該テーパ角が大きいものとすることは必ずしも引用発明において不可欠の構成ではないと認められるところ、上記第6の1(1)のとおり、引用文献1には、段落【0035】に「ねじの巻き数及びねじのピッチを、それぞれ変えることができる。」なる記載があることから、引用発明における「雄ねじ10」(雄ねじ部)が含む「所定の雄ねじ山ピッチで形成されたねじ山10」(第1のピッチで配置された複数のねじ山)の数を変えることについては示唆されていると認められる。 そうすると、上記第6の1(3)のとおり、引用発明において、雄ねじ部と雌ねじ部のピッチを変えるような周知技術を参酌し、引用発明に内在する技術的課題の応力集中を避けるようにする際の必要性に応じて、雄ねじ部が含む第1のピッチで配置された複数のねじ山を増やす等その数を変えることは、当業者であれば容易になし得るものである。 加えて、「雄ねじ部」が含む「複数のねじ山」を配置する「テーパ角」については、本願発明においても特定されていないのであるから、上記テーパ角によるねじ山の表面積に係る主張は、本願発明の特定事項に基づく主張とは認められず、採用することはできない。 したがって、審判請求人による主張を考慮に入れたとしても、やはり、上記第6のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明は、その優先日前日本国内または外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-003544

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