審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2021-002611

医療画像編集

審判番号
2021-002611
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-532002外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年03月01日
審決日
2022年04月08日
公報発行日
2022年05月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-532002「医療画像編集」拒絶査定不服審判事件〔平成28年6月23日国際公開、WO2016/097920、平成30年1月11日国内公表、特表2018-500091、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 40項目
理 由

第1.手続の経緯

本願は、2015年(平成27年)12月7日(パリ条約による優先権主張 2014年12月18日 米国)を国際出願日とする出願であって、令和元年12月5日付けで拒絶理由が通知され、令和2年6月9日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月19日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)されたところ、令和3年3月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。その後当審において同年8月6日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和4年2月16日に意見書及び手続補正書(以下、これを「本件補正書」、該補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2.原査定の概要

1 拒絶の理由

原査定の概要は次のとおりである。

(1)本願請求項1~2、5~9、14~15に係る発明は、下記引用文献1~4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2)本願請求項3~4に係る発明は、下記引用文献1~5に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(3)本願請求項10~13に係る発明は、下記引用文献1~4・6に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2 引用文献等一覧

1.特表2007-508094号公報

2.特表2014-526107号公報

3.特表2010-503125号公報

4.米国特許出願公開第2011/0157042号明細書

5.特開2013-43085号公報

6.特開平7-57113号公報

第3.当審拒絶理由の概要

1 拒絶の理由

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

ア 請求項1、3~10、13~15に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

イ 請求項1~8、11,13~15に係る発明は、下記引用文献7に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、また、引用文献7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

ウ 請求項2、11に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明及び下記引用文献5・7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

エ 請求項9、10に係る発明は、下記引用文献7に記載された発明及び下記引用文献1・5の記載に裏付けられる周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

オ 請求項12に係る発明は、下記引用文献1または7に記載された発明、及び下記引用文献5・8に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

2 引用文献等一覧

1.特表2007-508094号公報

5.特開2013-43085号公報

7.特表2012-522558号公報

8.特開2003-281568号公報

第4.本願発明

本願請求項1-14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明14」という。)は、上記本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定されるとおりの発明である。

それらのうち、独立請求項に係る本願発明1及び本願発明5は次のとおりである。ここで、各構成単位冒頭の「1A」などは当審にて付した文節番号であり、該各構成単位について以下、文節番号を用いて「構成1A」などという。また、下線部は請求人による、本件補正による補正箇所を示すものである。

1 本願発明1

「1A プロセッサユニットと、
1B 出力ユニットと、
1C インターフェースユニットとを備え、
1D 前記プロセッサユニットは、関心物体の解剖学的構造の3D表面モデルを提供し、
続きを表示(全13行)
1E 前記3D表面モデルは、複数の表面小部分を含み、
1F 前記表面小部分は、それぞれがいくつかの頂点を含み、
1G 各頂点には、ランキング値が割り当てられ、
1H 前記プロセッサユニットは、決定された関心点に隣接する頂点のうちの少なくとも1つの頂点を所期の頂点として識別し、
1I 前記識別は、前記関心点に対する検出された近接距離と、選択された1つ以上のランキングカテゴリにおいて割り当てられた前記ランキング値との関数に基づくものであり、
1J 前記出力ユニットは、前記3D表面モデルの視覚的表現を提供し、
1K 前記インターフェースユニットは、ユーザのインタラクションによって、コンテキストメニューで提供される複数のランキングカテゴリの中から、1つ以上を選択すると共に、前記3D表面モデルの前記視覚的表現の中の関心点を決定し、
1L 前記所期の頂点を手動のユーザインタラクションによって変位させることによって前記3D表面モデルを修正する、
1M 医療画像編集デバイス。」

2 本願発明5

「5A 医療3D表面モデルを編集する方法であって、前記方法は、
5B 関心物体の解剖学的構造の3D表面モデルを提供するステップa)であって、
5B1 前記3D表面モデルは、複数の表面小部分を含み、
5B2 前記表面小部分は、それぞれがいくつかの頂点を含み、
続きを表示(全12行)
5B3 各頂点には、ランキング値が割り当てられる、ステップa)と、
5C ユーザのインタラクションによって前記3D表面モデルを視覚的表現の中で関心点を決定するステップb)と、
5D 決定された前記関心点に隣接する頂点のうちの少なくとも1つの頂点を所期の頂点として識別するステップc)であって、
5D1 前記識別は、前記関心点に対する検出された近接距離と割り当てられた前記ランキング値との関数に基づく、ステップc)と、
5E 前記所期の頂点を手動のユーザインタラクションによって変位させることによって前記3D表面モデルを修正するステップd)と
を含み、
5F ステップc)の前に、ユーザは、ステップc)における前記識別するステップに適用されることになる1つ以上ランキングカテゴリを、コンテキストメニューで提供される複数のランキングカテゴリの中から選択することができる、
5G 方法。」

第5.引用文献、引用発明等

1 引用文献1の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

(1)明細書の記載事項

引用文献1の明細書には次の各記載がある。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は診断撮像のシステムおよび方法に関するものである。診断医療画像のモデルベースの画像セグメンテーションとの関連で格別の用途を見出し、特にその関連で記述されることになる。例としてCT断層撮影との関連で記述するが、本発明が3D画像表現を生成するその他の診断撮像技法にも等しく適用可能であることは理解されるであろう。」
「【0004】
特定の患者の解剖学的構造に合うよう容易に適合させられる、モデルベースの画像の画像セグメンテーションを提供するための方法および装置が必要とされている。本発明は上に述べた問題その他を克服する新しく、改良された撮像装置および方法を提供する。」
「【0011】
図1を参照すると、撮像システム10の動作はオペレーターワークステーション12から制御される。オペレーターワークステーション12は、必要な画像処理機能および動作を実行するためのハードウェア手段14およびソフトウェア手段16を含んでいる。典型的には撮像システム10は非回転ガントリー20を含むCTスキャナ18のような診断撮像装置を含んでいる。X線管22が回転ガントリー24に取り付けられている。開口26がCTスキャナ18の検査領域を定義する。放射線検出器28のアレイがX線管22からの放射線を該X線が検査領域26を通過したのちに受信するために回転ガントリー24上に配置されている。あるいはまた、非回転ガントリー20上に検出器のアレイ28が配置されていてもよい。
【0012】
典型的には、撮像技師はワークステーション12を使ってスキャンを実行する。スキャナ18からの診断データは再構成プロセッサ30によって3D電子画像表現に再構成され、診断画像メモリ32に保存される。再構成プロセッサ30はワークステーション12、スキャナ18に組み込まれていてもよいし、あるいは複数のスキャナおよびワークステーションの間での共有リソースであってもよい。診断画像メモリ32は好ましくは対象者の検査領域の三次元的な画像表現を保存する。ビデオプロセッサ34はその三次元的な画像表現をビデオモニタ36上での標示のために適切なフォーマットに変換する。オペレーターは、マウス、タッチスクリーン、タッチパッド、キーボードまたはその他の装置のようなオペレーター入力装置38を使って、ワークステーション12に入力を与える。
続きを表示(全15行)
【0013】
引き続き図1を参照し、さらに図2を参照すると、器官モデルデータベース50が特定の器官の所定のモデル52および関心のある放射線療法治療領域に対応しうる関心のある領域の概略的な形状、たとえば放射線で治療すべき腫瘍形状を近似する形状を保存する。
典型的には、器官モデル52は表面を記述する一組の多角形として定義される。好ましくは多角形は三角形であり、柔軟性のある三角形メッシュ54によって表現される。基本的な構造は、(x,y,z)座標の形の頂点のリストと各多角形をなす頂点(たとえば各三角形は3つの頂点をもつ)を同定する多角形のリストである。基本的な構造およびそのような三角形構造を使っての画像の自動セグメンテーションの保存は、Weeseetal.によるImageSegmentationと題する係属中の米国特許出願第10/091,049号、公開番号第2002/0182466A1においてより完全に記載されている。
【0014】
図1の参照を続けると、ユーザーはある器官のモデルを器官モデルデータベース50からモデル選択手段60を通じて選択する。好ましくは、ソフトウェア16は、ユーザーがモデル選択を、モニタ36上で診断画像と器官モデルとの重ね合わせを見ながら器官モデルを当該画像データによって表されている対象者の解剖構造上にドラッグアンドドロップすることによってできるようにするユーザーインターフェース手段を含んでいる。さまざまな表示が考えられる。ある有利な表示フォーマットでは、ある共通点で交わる3D画像内の3つの直交スライスがモニタの各象限に同時に表示される。その交点をずらしたり、および/または器官モデルをドラッグしたりすることによって、三方向すべてにおける適合が容易にチェックされる。
【0015】
ユーザーは、当該画像上でモデル全体に変換を適用する一組のグローバルツール62を使ってモデルの器官への最良のあてはめを行う。グローバルツール62は回転、並進およびスケーリングツールを含んでおり、ユーザーはそれによりモデルを回転、並進およびスケーリングさせることができる。グローバルツール62はモデルの各(x,y,z)方向上でのマウス38の使用によって適用される。たとえばマウスの移動が並進、スケーリングまたは回転に変換され、モデル中のすべての頂点がその定義された並進、スケーリングまたは回転によって変換されるようにされる。
【0016】
自動セグメンテーション手段または工程64は、前記最良あてはめモデルを、関心のある解剖学的構造の境界に適応させる。前記交点をスライドさせることにより、ユーザーはさまざまな方向およびスライスにおいてあてはめをチェックすることができる。ユーザーが、自動セグメンテーション工程64の結果が、たとえば所望のセグメンテーション精度が達成されていないなど満足いくものでないと判定した場合、ユーザーは画像修正手段66を通じた画像修正を開始する。画像修正手段66は、ユーザーがモデル52の局所的領域を操作して画像データをより精度よく一致させる、あるいはユーザーの嗜好に一致させることができるようにする一組の手動ローカルツール68を含んでいる。あるいはまた、ユーザーが自動セグメンテーションが可能でないと判断したときには、自動セグメンテーション工程64はスキップされる。ローカルツール68は3つの主要機能を有している:修正すべき局所的領域(頂点)の選択、頂点を変換する方法、およびマウスの動きを前記変換を定義するパラメータに翻訳することである。
【0017】
頂点の選択は、マウス位置からの距離に基づいて、あるいはマウス位置に最も近い頂点からの近隣頂点層に基づいて行われる。前者の場合、マウスからある指定された距離範囲内のすべての頂点が選択される。後者の場合、マウスに最も近い頂点が選択される。最初の頂点と三角形を共有するすべての頂点は近隣とみなされ、第一の近隣層をなす。第二の近隣層は、第一層の頂点のいずれかと三角形を共有するすべての頂点である。この場合、変形されるべき頂点の選択は、使用される近隣層の数に基づく。」
「【0020】
引き続き図1を参照し、さらに図3~4を参照すると、ガウス型の引っ張りツール72が、諸局所的頂点を、マウス動きdにガウス型重みをかけた距離だけ引っ張ることによって器官モデルを変形する。よって、マウスの初期位置74にある頂点はマウスの動きdと同じ距離dだけ動いて位置76にくる。マウスの動きからさらに遠く離れた頂点は、マウスの動きのガウス関数による縮小に基づいてより短い距離しか動かない。典型的には、ガウス型ツール72は、ガウス関数の広がりの幅を定義する単一のガウス半径によって制御される。あるいはまた、ガウス型ツール72は別々のxおよびyガウス半径によって制御され、x半径はマウスの移動平面内において使われ、y半径は描画平面に直交する方向に使われるようにすることができる。別の実施形態では、ガウス型ツール72は、選択された頂点の変換を達成するために、適切なパラメータの組をもち1から0になめらかに移行する三角関数、放物線などの関数によって制御される。
【0021】
ある実施形態では、ガウス型引っ張りツール72はガウス型の(または1から0になめらかに移行する他の関数型の)ゆがみを引っ張るが、該ゆがみが引っ張られる距離はマウス位置の器官モデルからの距離から導かれる。器官モデル52はマウス位置まで直接引っ張られる。これにより、器官をつかんで引き延ばすためにマウスをクリックしたり放したりする必要なく、スムーズなドローイングが可能となる。
続きを表示(全14行)
【0022】
引き続き図1を参照しつつ、さらに図5~6を参照すると、球形押しツール80はマウス位置84のまわりの指定された半径Rの球82に含まれるすべての頂点を検索する。球82の内部の各頂点は、マウス位置84からもとの頂点位置を通るベクトル86に沿って球の表面に移動する。マウスが位置84を動かすことによって押しツール80を動かすと、器官モデル52は、マウス位置84に対する頂点の位置に依存して内側または外側に押される。球形ツール80を制御するのは単一の球半径パラメータで、これは好ましくは個々の器官モデルと一緒に保存される。このようにして、所定の半径の球形の器具を柔らかい粘土の表面に押し当てるのと同様の仕方で表面が変形される。しかし、コンピュータ上では、ツール80はモデルの内部に置かれて外側に押すことも、モデルの外部に置かれて内側に押すこともできる。もちろん、楕円のような所定の形状をもつその他の表面形も考えられる。任意的に、モデル表面は表面修正ののち、変形した器官表面をなめらかにするために三角形分割をやり直すこともできる。
【0023】
図1を参照しつつ、さらに図7~9を参照すると、ペンシルドローツール90が器官モデルのもとの境界92を描画パスすなわちマウスの描画移動の実際の境界94に揃うように変形するために使われる。ユーザーがセグメント化されるべき構造の実際の境界94に沿って線を描くと、マウスの移動面内では、モデルのもとの境界92は描画パス94に一致するよう変形する。マウスの移動面外では、器官モデルはモデル内でなめらかな遷移を実行するよう変形する。完全なパス94を描くのではなく、描画パス94は一連の点を用いて近似してもよい。
【0024】
ペンシルドローツール90は各マウスステップの始点96および終点98を認識して、マウス移動面内に法線ベクトルがあるベクトルを通じた捕捉面100を定義する。始点および終点96、98において定義される2つの端平面102、104が、マウス動きベクトルのまわりの捕捉範囲106を同定する。この捕捉範囲106の中に位置する頂点が捕捉面100に向かって引っ張られる。面100上にある頂点は引っ張られて面100上にくる。マウス移動面からより離れたところにある頂点は、マウス移動面からの距離に基づいて捕捉面100への距離にガウス型重みをかけた距離をもって引っ張られる。
【0025】
ある実施形態では、ペンシルツール90は、ある特定の器官についての輪郭の所定のセットに器官モデルをシュリンクフィットさせるために使われる。そこでは、マウス移動はあらかじめ決められた輪郭の一連の頂点で置き換えられる。
【0026】
好ましくは、ペンシルドローツール90を制御するものとして、ペンシルツール90によって捕捉されるべき頂点について器官モデルの頂点とマウスとの間の最大距離を定義するIn-DrawPlane距離、ならびに、モデル52が描画面に直交する方向に変形される仕方を規定し、頂点が移動する距離に重みをかけるのに使われるガウス関数の幅を表すFrom-DrawPlaneパラメータがある。ある実施形態では、ペンシルドローツール90は、描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数によって制御される。」

(2)図面の記載事項

ア 図1は次のとおりである。

[図:0001383749000001.jpg]

イ 図2は次のとおりである。

[図:0001383749000002.jpg]

(3)看取・認定事項

ア 図1からは、手動画像修正手段66とデータメモリ70とは、前者から後者に向けた矢印を付した線で結ばれ、データメモリ70とビデオプロセッサ34とは、前者から後者に向けた矢印を付した線で結ばれ、ビデオプロセッサ34とビデオモニタ36とも、前者から後者に向けた矢印を付した線で結ばれていることが看取される。

この看取事項から、手動画像修正手段66からのデータは、データメモリ70に保存され、データメモリ70に保存されたデータはビデオプロセッサ34に供給されることが認められる。

イ 図1では、ハードウェア手段14から延出された楕円の中に「器官モデルデータベース50」、「モデル選択手段60」、「グローバルツール62」、「自動セグメンテーション手段64」、「手動画像修正手段66」、「手動ツール68」、「データメモリ70」、「ガウス型引っ張りツール72」、「球形押しツール80」、及び「ペンシルドローツール90」なる各手段が四角囲みで示されていることが看取される。

これは、ハードウェア手段14に前記楕円内の各手段が含まれることを表していると理解される。

ウ 図2については【0013】に、「器官モデルデータベース50が特定の器官の所定のモデル52および関心のある放射線療法治療領域に対応しうる関心のある領域の概略的な形状、たとえば放射線で治療すべき腫瘍形状を近似する形状を保存する。・・・器官モデル52は表面を記述する一組の多角形として定義される。好ましくは多角形は三角形であり、柔軟性のある三角形メッシュ54によって表現される。基本的な構造は、(x,y,z)座標の形の頂点のリストと各多角形をなす頂点(たとえば各三角形は3つの頂点をもつ)を同定する多角形のリストである。」との説明がある。

図2は、「54」と図示されるように、前記器官モデル52の三角形メッシュ54を二次元的に描いたものと解される。

引用文献1に記載されたビデオモニタ36は、三次元標示のための何らかの手段(ホログラムなど)を備えるとの記載またはその示唆は引用文献1の明細書の記載中になく、図1においても、面状(二次元)の一般的なモニタとして描かれていることが看取できる。

(4)引用文献1に記載された発明

以上から、引用文献1には次の各発明(以下「引用発明1-1」などという。また、引用文献1について認定した発明を総称して「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。ここで、文節番号については上記第4.と同様である。また、各構成単位末尾の括弧内は、引用文献1の引用元を示す(以下引用文献の認定において同様。)。

ア 引用発明1-1

「1-1a ワークステーション12に含まれ、必要な画像処理機能および動作を実行するためのハードウェア手段14とソフトウェア手段16と、(【0011】)
1-1b ビデオモニタ36及びビデオプロセッサ34と、(【0012】)
1-1c グローバルツール62及び画像修正手段66と、を備え、(【0015】~【0017】)
1-1d-1 ハードウェア手段14の器官モデルデータベース50は、特定の器官の所定の器官モデル52および関心のある放射線療法治療領域に対応しうる関心のある領域の概略的な形状、たとえば放射線で治療すべき腫瘍形状を近似する形状を保存し、(【0013】、看取・認定事項(3)イ)
続きを表示(全20行)
1-1d-2 また、ハードウェア手段14の画像修正手段66においてユーザーによりセグメント化された諸画像はハードウェア手段14のデータメモリ70に保存され(【0019】、看取・認定事項(3)イ)
1-1e 前記器官モデル52は柔軟性のある三角形メッシュ54によって表現され、(【0013】、看取・認定事項(3)イ)
1-1f 前記三角形メッシュの基本的な構造は、(x,y,z)座標の形の頂点のリストと各多角形をなす頂点(たとえば各三角形は3つの頂点をもつ)を同定する多角形のリストであり、(【0013】)
1-1g ハードウェア手段14のペンシルドローツール90によって捕捉されるべき頂点について器官モデル52の頂点とマウスとの間の最大距離を定義するIn-DrawPlane距離、ならびに、器官モデル52が描画面に直交する方向に変形される仕方を規定し、頂点が移動する距離に重みをかけるのに使われるガウス関数の幅を表すFrom-DrawPlaneパラメータがあり、描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数によって制御することを含み、(【0026】、看取・認定事項(3)イ)
1-1h 前記画像修正手段66は、セグメンテーションにあたり、ユーザーが器官モデル52の局所的領域を操作して画像データをより精度よく一致させる、あるいはユーザーの嗜好に一致させるため、頂点の選択を、マウス位置からの距離に基づいて、あるいはマウス位置に最も近い頂点からの近隣頂点層に基づいて行い、(【0016】、【0017】、看取・認定事項(3)イ)
1-1i-1 前者の場合、マウスからある指定された距離範囲内のすべての頂点が選択され、
1-1i-2 後者の場合、マウスに最も近い頂点が選択され、最初の頂点と三角形を共有するすべての頂点は近隣とみなされ、第一の近隣層をなし、第二の近隣層は、第一層の頂点のいずれかと三角形を共有するすべての頂点であり、(【0016】、【0017】)
1-1i-3 前記ペンシルドローツール90によって捕捉されるべき頂点について、描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数によって制御され、(【0026】)
1-1j-1 前記画像修正手段66においてユーザーによりセグメント化された諸画像はデータメモリ70に保存され、(【0019】)
1-1j-2 前記データメモリ70の保存画像は、三次元的な画像表現を適切なフォーマットに変換してビデオモニタ36上で標示するビデオプロセッサ34に供給され、(【0012】、看取・認定事項ア・イ)
1-1j-3 ビデオモニタ36には、診断画像と器官モデル52との重ね合わせが標示され、(【0014】)
1-1k ハードウェア手段14のグローバルツール62は、器官モデル52の各(x,y,z)方向上でのマウスの使用によって、マウスの位置を入力し、(【0015】、【0017】、看取・認定事項(3)イ)
1-1l 前記画像修正手段66は、ユーザーが器官モデル52の局所的領域を操作して画像データをより精度よく一致させる、あるいはユーザーの嗜好に一致させることができるようにする一組の手動ローカルツール68により、修正すべき局所的領域(頂点)を選択し、頂点を変換し、マウスの動きを前記変換を定義するパラメータに翻訳し、(【0016】)
1-9b ローカルツール68は、器官モデル52のもとの境界92を描画パスすなわちマウスの描画移動の実際の境界94に揃うように変形するために使われ、その際、描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数によって制御するペンシルドローツール90のほかに、(【0026】)
局所的頂点を、マウス動きにガウス型重みをかけた距離だけ引っ張ることによって器官モデル52を変形するガウス型の引っ張りツール72、及びマウス位置84のまわりの指定された半径Rの球82に含まれるすべての頂点を検索する球形押しツール80を備える、(【0020】~【0022】、看取・認定事項イ)
1-1m 撮像装置。(【0001】)」

イ 引用発明1-5

「1-5a 特定の患者の解剖学的構造に合うよう容易に適合させられる、モデルベースの画像の画像セグメンテーションを提供するための方法であって、(【0004】)
1-5b-1 ハードウェア手段14の器官モデルデータベース50が、特定の器官の所定の器官モデル52および関心のある放射線療法治療領域に対応しうる関心のある領域の概略的な形状、たとえば放射線で治療すべき腫瘍形状を近似する形状を保存し、(【0013】、看取・認定事項(3)イ)
1-5b-2 また、ハードウェア手段14の画像修正手段66においてユーザーによりセグメント化された諸画像はハードウェア手段14のデータメモリ70に保存し、(【0019】、看取・認定事項(3)イ)」

1-5b1 前記器官モデル52は柔軟性のある三角形メッシュ54によって表現され、(【0013】、看取・認定事項(3)イ)

1-5b2 前記三角形メッシュの基本的な構造は、(x,y,z)座標の形の頂点のリストと各多角形をなす頂点(たとえば各三角形は3つの頂点をもつ)を同定する多角形のリストであり、(【0013】)

1-5b3 ハードウェア手段14のペンシルドローツール90によって捕捉されるべき頂点について器官モデル52の頂点とマウスとの間の最大距離を定義するIn-DrawPlane距離、ならびに、器官モデル52が描画面に直交する方向に変形される仕方を規定し、頂点が移動する距離に重みをかけるのに使われるガウス関数の幅を表すFrom-DrawPlaneパラメータがあり、描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数によって制御することを含み、(【0026】、看取・認定事項(3)イ)

1-5c ソフトウェア16は、ユーザーがモデル選択を、モニタ36上で診断画像と器官モデル52との重ね合わせを見ながら器官モデルを当該画像データによって表されている対象者の解剖構造上にドラッグアンドドロップすることによってできるようにするユーザーインターフェース手段を含み、ハードウェア手段14のグローバルツール62が、器官モデル52の各(x,y,z)方向上でのマウスの使用によって、マウスの位置を入力し、(【0015】、【0017】、看取・認定事項(3)イ)

1-5d 前記画像修正手段66が、セグメンテーションにあたり、ユーザーが器官モデル52の局所的領域を操作して画像データをより精度よく一致させる、あるいはユーザーの嗜好に一致させるため、頂点の選択を、マウス位置からの距離に基づいて、あるいはマウス位置に最も近い頂点からの近隣頂点層に基づいて行い、(【0016】、【0017】、看取・認定事項(3)イ)

1-5d1-1 前者の場合、マウスからある指定された距離範囲内のすべての頂点が選択され、

1-5d1-2 後者の場合、マウスに最も近い頂点が選択され、最初の頂点と三角形を共有するすべての頂点は近隣とみなされ、このとき、第一の近隣層をなし第二の近隣層は、第一層の頂点のいずれかと三角形を共有するすべての頂点であり、(【0016】、【0017】)

1-5d1-3 前記ペンシルドローツール90によって捕捉されるべき頂点について、描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数によって制御され、(【0026】)

1-5e 前記画像修正手段66が、ユーザーが器官モデル52の局所的領域(頂点)を操作して画像データをより精度よく一致させる、あるいはユーザーの嗜好に一致させることができるようにする一組の手動ローカルツール68により、修正すべき局所的領域(頂点)を選択し、頂点を変換し、マウスの動きを前記変換を定義するパラメータに翻訳し、(【0016】)

1-9a ローカルツール68は、器官モデル52のもとの境界92を描画パスすなわちマウスの描画移動の実際の境界94に揃うように変形するために使われ、その際描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数によって制御するペンシルドローツール90のほかに、(【0026】)

局所的頂点を、マウス動きにガウス型重みをかけた距離だけ引っ張ることによって器官モデル52を変形するガウス型の引っ張りツール72、及びマウス位置84のまわりの指定された半径Rの球82に含まれるすべての頂点を検索する球形押しツール80を備える、(【0020】~【0022】、看取・認定事項イ)

1-5f 方法。」

2 引用文献7の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

(1)明細書等の記載事項

引用文献7の特許請求の範囲、及び明細書には次の各記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的構造を区分けする方法であって:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加する段階と;一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;を有する、方法。
【請求項2】
続きを表示(全41行)
前記表面メッシュの中で直接に、前記表面メッシュの頂点及びエッジに対応する頂点及びエッジを含む体積のメッシュを形成する段階をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択された一点から、前記選択された一点からの距離に基づくタイムスタンプを前記表面メッシュの頂点のそれぞれに割り当てるfastmarching法を実行する段階をさらに有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
タイムスタンプ値の閾値に基づいてポリゴンの一区画を選択する段階をさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記相互作用の点は前記表面メッシュの前記表面上の前記選択された一点である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
引きバネは前記区画の頂点のそれぞれに追加される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記引きバネの第一の端部は前記表面メッシュの頂点に付され、さらに前記引きバネの第二の端部は前記体積のメッシュの対応する頂点に付される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記引きバネのそれぞれは静止長がゼロである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記引きバネのバネ係数は対応する前記タイムスタンプ値に基づいて重み付けされる、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記頂点のそれぞれの質点は、対応する前記タイムスタンプ値に基づいて重み付けされる、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記頂点のそれぞれの質点は、画像勾配に基づいて重み付けされる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記解剖学的構造の、互いに接続される複数の点を含む2Dの輪郭を描画する段階をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記2Dの輪郭の複数の点の一つを、前記表面メッシュの表面上の選択された一点と接続する段階をさらに有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
解剖学的構造を区分けするシステムであって:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始し;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる;プロセッサと、前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する;ディスプレイと;ユーザが前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加できるよう構成され、一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させるユーザインターフェースと;を有する、システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記表面メッシュの中で直接に、前記表面メッシュの頂点及びエッジに対応する頂点及びエッジを含む体積のメッシュを形成する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記選択された一点から、前記選択された一点からの距離に基づくタイムスタンプを前記表面メッシュの頂点のそれぞれに割り当てるfastmarching法を実行する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ユーザインターフェースは、ユーザがタイムスタンプ値の閾値に基づいてポリゴンの一区画を選択できるよう構成され、プロセッサは、引きバネを前記区画の中の頂点のそれぞれに追加する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ユーザインターフェースは、ユーザが前記解剖学的構造の、互いに接続される複数の点を含む2Dの輪郭を描画できるよう構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザインターフェースは、ユーザが前記2Dの輪郭の複数の点の一つを、前記表面メッシュの表面上の選択された一点と接続できるよう構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
コンピュータに:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加する段階と;一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT、MRI等を通して取得される体積の画像における、標準的な生体構造の区分けのためのシステム及び方法に関する。」
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像の断片の手描きによる輪郭を用いる区分けは、しかしながら、多大な時間を必要とし、一般的な正確さはおよそ2から3ミリメートル以下ほどである。輪郭を手描きするとき、臨床医は、しばしば多くの画像を調査する必要がある。また、手描きによる輪郭は、臨床医によって異なり得る。さらに、自動化アルゴリズムは、全ての標準的な区分けの課題を解くためには、しばしば十分に信頼できない。自動化アルゴリズムによって取得された結果に修正を施すことは困難であり、直感に反する可能性がある。
続きを表示(全13行)
【0004】
多くの自動区分けアルゴリズムの結果、多数の三角形からなるメッシュとして表現される、三次元表面が得られる。その結果に修正を加えるために、直感的なメッシュの相互作用(interaction)のツールが必要である。例えば、頂点の明示的な変異(explicitdisplacement)のような、メッシュとの相互作用に対するいくつかのアプローチは、特定の領域において、不規則な表面あるいは大きな三角形/ポリゴン(polygon)を有するメッシュをしばしばもたらす。さらに、画像の二次元の再配列された(reformatted)断片の表示において修正を行うことが好ましいため、画像における望ましくない変更が、しばしば再配列された面から離れて発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
解剖学的構造を区分けする方法は:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネ(pullspring)を前記表面メッシュに追加する段階と;一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;を有する。
【0006】
解剖学的構造を区分けするシステムは:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始し;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる;プロセッサと、前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する;ディスプレイと;ユーザが前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加できるよう構成され、一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させるユーザインターフェースと;を有する。
【0007】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加する段階と;一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;を実行させるためのプログラムを記録する。」
「【0012】
ステップ230において、プロセッサ102は、表面メッシュの頂点及びエッジに、質点及びバネ(spring)をそれぞれ割り当てる。表面メッシュのそれぞれの頂点が質点に対応するとともに、表面メッシュのそれぞれのエッジはバネに対応する。それぞれのバネの静止長は、表面メッシュの対応するエッジの長さと実質的に等しくなり得る。簡単なバージョンでは、それぞれの質点は単位質量を有し、それぞれのバネは同一のバネ係数を有する。しかしながら、当業者は、質点とバネ係数は、表面メッシュが表現する臓器又は他の解剖学的構造についての予備知識に従って変化し得ることを理解するだろう。例えば、臓器又は構造のいくつかの部分は、他の部分より、より堅く、あるいはより強固であり得る。さらに、鏡像力(imageforce)が、画像勾配に基づき、頂点の質点の重み付けにより追加され得る。画像勾配は、高い質点が高い画像勾配である頂点に割り当てられるような一つの対象境界を表し、頂点が画像化された臓器の表面に対応する場合には不要な移動を防ぐ。ステップ240において、再配列された2Dの表示は、ディスプレイ106上に表示される。再配列された2Dの表示は、画像化された臓器とともに表面メッシュの2Dの表示を含む。当業者は、再配列された2Dの表示が、表面メッシュ及び画像化された臓器の2D画像を表示するために再配列されている、一連の体積の画像からの一画像であることを理解するだろう。当業者は、表面メッシュが、表示される画像の中の画像化された臓器の位置に対応する位置に表示されることも理解するだろう。」
「【0015】
ステップ260において、プロセッサは、表面メッシュ上でfast-marching法を実行し、ユーザにより選択された点から開始する。当業者は、fast-marching法が、境界値の公式化(formulation)の方法であることを理解するだろう。fast-marching法は、タイムスタンプを表面メッシュ上の頂点のそれぞれに割り当てる。それぞれの頂点のタイムスタンプは、選択された点からの頂点の距離によって決定される。したがって、選択された点からより遠い頂点は、より高いタイムスタンプが割り当てられるとともに、選択された点により近い頂点は、より低いタイムスタンプが与えられる。fast-marching法は、表面メッシュの表面のポリゴン(例えば、三角形)の局所方向も考慮に入れる。例えば、面法線(surfacenormal)の差は、高い時間コストを招き得る。一度、fast-marching法が実行されていると、表面メッシュの一区画は、ステップ270において、時間閾値に基づいて選択される。例えば、選択された一区画は、特定の時間の中で到達される全てのポリゴンを含む。当業者は、時間閾値は、使用に先立ってユーザによりあらかじめ定められ得ることを理解するだろう。したがって、プロセッサ102は、所定の閾値に従って、区画を自動的に選択し得る。当業者は、しかしながら、その区画は、使用している間にユーザにより定められる閾値に基づいて、ユーザにより選択され得ることを理解するだろう。
【0016】
ステップ280において、引きバネが区画の中の頂点のそれぞれに付される。引きバネは、引きバネの第一の端部が表面メッシュの頂点に付され、同時に引きバネの第二の端部が体積のメッシュの対応する頂点に付される。それぞれの引きバネの静止長はゼロであるだろう。それぞれの引きバネのバネ係数は、対応する頂点の対応するタイムスタンプに従って重み付けされる。例えば、引きバネは、より近い引きバネに関してダウン加重(down-weighted)であり得る。あるいは、より高いタイムスタンプを有する頂点は、より高い質量と一致し、頂点が移動できないよう固定され得る。当業者は、より高い質量又は固定の頂点は、頂点が移動できないように、相互作用についての選択された点からはかけ離れた表面メッシュへの直感的でない変更を妨げることを理解するだろう。当業者は、ステップ270が必須でないことも理解するだろう。一区画が選択されない場合、引きバネは単に、選択された点から、選択された点に最も近い表面メッシュの頂点に最も近い頂点に付される。
【0017】
ステップ290において、ユーザは、相互作用の点を通じて表面メッシュの表面を相互作用的に移動させる。相互作用の点は、ステップ250において選択された点であり得る。相互作用の点は、点(例えば、角の特徴)又は輪郭(例えば、勾配の特徴)についての一般的な特性を示す特徴点でもあり得る。相互作用の点は、所望の位置へと移動させられる。所望の位置は、再配列された2Dの表示における、画像化された臓器の表面上の対応する点であり得る。当業者は、相互作用の点が特徴点に近い場合、特徴点は相互作用の点の移動を可能にするために削除され得る。相互作用の間に、数値ソルバ(numericalsolver)は、選択された点の移動が、頂点のそれぞれに付された引きバネを通じて、表面メッシュの表面を移動させるように、表面メッシュのそれぞれの頂点に対して、継続的にニュートン方程式を解く。それぞれの引きバネは、タイムスタンプに基づいて異なるバネ係数が割り当てられ得るので、当業者は、それぞれの頂点が、表面メッシュの表面が直感的な方法で移動するように、変動する距離を移動させ得ることを理解するだろう。頂点のそれぞれが移動させられる距離は、ニュートン方程式F=maを用いて計算される。ここで、a=d(dx/dt)であり、Fは頂点上で働く力であり、mは頂点の質量であり、xは頂点の位置である。したがって、当業者は、頂点のそれぞれによって移動させられる距離は、選択された点(すなわち、相互作用の点)からの距離に基づいて決定されることを理解するだろう。
プロセッサ102は、例えばオイラールンゲ・クッタ法のような、あらゆる標準的なソルバを用いる。ソルバは、システム100のメモリ108にプリロードされるか、又は利用可能となっている。当業者は、ステップ250-290が、表面メッシュが要望通り修正されるまで繰り返され得ることを理解するだろう。
【0018】
他の一つの実施形態において、ステップ290の相互作用の点は、表面メッシュの形態に基づいて選択される。例えば、表面メッシュがギザギザである場合、表面メッシュのギザギザの角が選択され、角の端部の距離マップが決定され、ギザギザのエッジを減らすように差し引かれる。さらなる一つの一実施形態において、ステップ290の相互作用の点は、ユーザインターフェース104を通じてユーザによって移動させられる可動型ボール(steerableball)又は点である。可動型ボールは、二次元か三次元であり、可動型ボールの球の中に収まるあらゆる頂点は、可動型ボールの運動と調和して頂点を移動させるために、引き付けられ、あるいは跳ね返されるように、引力/斥力を作る。例えば、引力/斥力の力は、公式を用いて決定される。」

(2)引用文献7に記載された発明

以上から、引用文献7には次の各発明が記載されていると認められる(下記、引用文献7について認定した発明を総称して「引用発明7」という。)。

ア 引用発明7-1

「7-1a プロセッサと、
7-1b ディスプレイと、
7-1c ユーザインタフェースと、を備え、(【0006】)
7-1d プロセッサは、一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始し;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、(【請求項14】、【0006】)
続きを表示(全11行)
7-1g さらに質量値を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当て、(【請求項14】、【0006】)
7-1h 選択された点からの頂点の距離によって決定されるタイムスタンプ値に基づき、選択された点に最も近い頂点のみ、または選択された点に予めユーザーにより定められた時間閾値の中で到達できる全てのポリゴンの一区画の頂点を選択し、(【請求項17】、【0015】、【0016】)
7-1i 前記一区画は、予め定められた時間閾値にしたがって選択されるとともに、高い質量又は固定の頂点は、頂点が移動できないように、相互作用についての選択された点からはかけ離れた表面メッシュへの直感的でない変更を妨げるようにし、(【0015】、【0016】)
7-1j ディスプレイは、前記表面メッシュの2Dの表示を行い、(【請求項1】、【0006】
7-1k 前記選択された点は、ユーザインターフェース104を通じて、ユーザにより選択されるものであり、(【0013】)
7-1l ユーザは、選択された点や可動型ボールを移動させることで、相互作用の点を通じて表面メッシュの頂点を相互作用的に移動させる、(【請求項14】、【0017】、【0018】)
7-1m CT、MRI等を通して取得される体積の画像における、標準的な生体構造の区分けのためのシステム。(【0001】)」

イ 引用発明7-5

「7-5a CT、MRI等を通して取得される体積の画像における、標準的な生体構造の区分けを行い三次元表面を得て、該表面の一部分を移動させるための方法であって、(【0001】、【0004】)
7-5b 一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の三次元表面メッシュを生成するステップ、(構成7-1d)
7-5b1 前記表面メッシュは、複数のポリゴンから形成されるものであり、(構成7-1d)
7-5b2 前記ポリゴンは頂点及びエッジを含むものであり、(構成7-1d)
7-5b3 前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれには質量値が割り当てられ、(構成7-1g)
7-5c ユーザインターフェース104を通じて、ユーザにより、選択された点が選択され、(構成7-1k)
7-5d 選択された点に最も近い頂点のみ、または選択された点に予めユーザーにより定められた時間閾値の中で到達できる全てのポリゴンの一区画の頂点が選択され、(構成7-1h)
7-5d1 前記一区画は、予め定められた時間閾値にしたがって選択されるとともに、高い質量又は固定の頂点は、頂点が移動できないように、相互作用についての選択された点からはかけ離れた表面メッシュへの直感的でない変更を妨げるようにされるものであり、(構成7-1i)
7-5e ユーザは、選択された点や可動型ボールを移動させることで、相互作用の点を通じて表面メッシュの頂点を相互作用的に移動させる、(構成7-1l)
7-5f 方法。」

3 引用文献5の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

引用文献5の特許請求の範囲及び明細書には次の記載がある。

「【請求項9】
三次元(3D)画像から関心のある三次元(3D)ボリュームを抽出するためのシステムであって、ユーザー・インターフェースと、前記ユーザー・インターフェースに結合されたプロセッサであって、複数の画像スライスを含む3D画像データセットにアクセスし、前記3D画像データセット内の関心のある3Dボリュームを3Dメッシュによって包囲し、前記3Dメッシュに基づいて前記関心のある3Dボリュームを自動的に抽出し、前記抽出された関心のある3Dボリュームの3D画像を生成するように構成されているプロセッサと、を有するシステム。
【請求項10】
前記3Dメッシュは、前記関心のある物体を実質的にカプセル化するように構成されている、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記3Dメッシュは複数の三角形を有しており、この場合、前記プロセッサは更に、前記複数三角形を3つの直交二次元(2D)平面上に投影し、次いで、各々の三角形について、前記それぞれの三角形を境界とする一組の2D格子点を識別するように構成されている、請求項9記載のシステム。」
「【技術分野】
【0001】
本書に記載の内容は、一般的に云えば、三次元(3D)画像データセットを処理することに関し、より詳しく云えば、3D画像データセットをナビゲートし、セグメント化し、抽出するための方法及びシステムに関するものである。」
「【0036】
メッシュ214をサイズ変更するため、従って不所望の領域を除去し又は所望の領域を追加するため、オペレータは、図4の画像に示された点242のような、任意の1つの2D画像上の任意の点に、カーソル230を位置決めすることができる。例えば、一実施形態では、オペレータは、カーソルを、図3に示されているように点230に手動で位置決めすることができる。矢状方向ビューにおける点230の対応する位置が、図4に示されている。明らかなように、点230の近くの幾分かの脳領域がセグメンテーション・メッシュによって切断されている。オペレータは、セグメンテーション・メッシュを到達させたい点230近くの点242を手動でクリックすることができる。メッシュ214は、基準として点242を用いて3つの次元において自動的にサイズ変更される。または更に、修正された3D画像及び一組の修正された2D画像が自動的に表示される。例えば、図9は、サイズ変更されたメッシュ214に基づいた3Dセグメンテーションの結果を表す修正された3D画像250を示す。また更に、図10は、サイズ変更されたメッシュ214に基づいて生成されて表示された2D画像252であり、これは、カーソル位置230によって指示された修正された位置に配置されたメッシュ214を含む。この場合でも、サイズ変更されたメッシュ214の矢状方向ビューのみが示されているが、模範的な実施形態では、修正されたメッシュ214の冠状方向ビュー又は軸方向ビューが、画像2452として示された矢状方向ビューと同時に表示され得ることを理解されたい。
【0037】
模範的な実施形態では、段階310で、メッシュ214は、反復的な幾何学に基づく画像操作法(GIMMIE)を用いてサイズ変更することができる。動作において、GIMMIEは、オペレータが、関心のある器官の3D画像を、該器官の上にオーバーレイされたセグメンテーション・メッシュ214と共に観察できるようにする。そこで、オペレータは、画像及びメッシュ214を観察しながら、メッシュ214を手動で操作することができる。GIMMIEは、オペレータが、点242のような「引張り点(pullpoint)」を選択できるようにする。次いで、GIMMIEは、オペレータによって選択された基準点242の位置に基づいてメッシュ214を自動的にサイズ変更する。別の実施形態では、オペレータは、任意の1つの2D画像でメッシュをサイズ変更するために引張り点を選択することができる。GIMMIEは、画像の特性とは独立に動作する。メッシュ操作が完了した後、所望のVOI(関心のあるボリューム)が抽出されて、関心のある器官の修正された3D画像を生成するために用いられる。
続きを表示(全29行)
【0038】
模範的な実施形態では、GIMMIEを用いて、メッシュ214のような模範的なメッシュのサイズまたは場所を修正することは、図11に示されている方法400によって行うことができる。図11に示されているように、段階402で、3D画像データセットの少なくとも1つのビュー、好ましくは、複数のビューが、各々のビュー上にオーバーレイされた最初の3D表面メッシュ350と同時に表示される。例えば、図12は、模範的な矢状方向画像360を、その上にオーバーレイされたメッシュ350と共に例示する。図13は、模範的な軸方向画像362を、その上にオーバーレイされたメッシュ350と共に例示する。図14は、模範的な冠状方向画像364を、その上にオーバーレイされたメッシュ350と共に例示する。
【0039】
図11及び図15について説明すると、段階404で、最初の3Dメッシュ350上の(引張り点242のような)引張り点が、前に述べたようにオペレータによって選択される。説明を簡単にするために、引張り点242を本書では「端点」242とも呼び、これは、オペレータがメッシュ350の一部分を位置決めし直すことを望んでいる場所を表す。段階406で、引張り点242に最も近いメッシュ表面上の一点が識別される。模範的な実施形態では、図15に示されているメッシュ点240が、引張り点242に最も近いと決定される。
【0040】
段階408で、メッシュ点240の調節距離が、引張り点242の座標とメッシュ点240の座標との間の差を計算することによって決定される。調節方向もまた点242及び240によって決定される。次いで、点240における頂点を引張り点242まで移動させる。メッシュ表面上の更新領域の有効半径は、予め選択するか、又は画像表面の形状を分析することによって計算することができる。画像表面上の更新領域は、メッシュ点240を中心とする。段階410で、図12~図14に示されている修正された3D画像200及び修正された3Dメッシュを同時に表示しながら、更新領域内の全ての頂点が計算されて、引張り点242によって指示された修正された位置へ調節されるまで、段階404~段階408が繰り返される。より具体的に述べると、各々の引張り点242がオペレータによって選択されたとき、メッシュ350の修正された場所を示す3D画像200及び2D画像が実時間で自動的に更新されて、メッシュ350の修正された場所を反映する。
再び図11について説明すると、段階412で、オペレータが位置決めし直すことを望んでいるメッシュ350の各部分について、段階404~段階410が繰り返される。ここで、メッシュ350の各部分は、オペレータがメッシュを移動させたいと望んでいる画像上の点に引張り点を手動で選択することによって、位置決めし直すことができることを理解されたい。段階414で、位置決めし直されたメッシュによって囲まれた領域が、以下により詳しく説明するように抽出される。
【0041】
模範的な実施形態では、最初のメッシュ350のサイズを調節するために、引張り点242と選択された点240(これは、点242に最も近い頂点を表す)との間の距離を計算する。引張り点242と点240との間に画成された領域内の各頂点について、頂点シフト距離及びシフト方向を計算する。次いで、計算されたシフト距離及びシフト方向を利用することにより、最初のメッシュ350の視覚可能な場所を実時間で更新する。
【0042】
例えば、図15は、メッシュ350の最初の位置を例示する。メッシュ350は複数の頂点またはメッシュ点220によって定められる。従って、複数のメッシュ点220は、最初の位置において最初のメッシュ350の表面352を画成する。表面352は、メッシュ点240によって指示されたメッシュ350の場所を表す。模範的な実施形態では、メッシュ350は、各頂点が多数の近隣の頂点を持つ三角形または正方形のような複数の多角形によって画成することができる。また更に、点242は、オペレータがそこまでメッシュ350の一部分を移動させたいと望む3D空間内の点を表す。従って、動作において、オペレータは引張り点242をクリックする。セグメンテーション・アルゴリズムは、メッシュ点240の周りの局部領域356を自動的に識別して、局部領域352を修正された領域356へ移行させる。模範的な実施形態では、領域352と領域356との間の移行は実質的に滑らかであり、更新された局部表面領域356の縁部は元の(最初の)メッシュ表面352へ滑らかに移行する。
【0043】
模範的な実施形態では、最初のメッシュ350は任意の形状を持つことができる。本書で述べる実施形態では、メッシュ350の表面352は、脳202と合致する形状にする。しかしながら、メッシュ表面352は、任意の形状を持つ器官と合致する任意の形状を持つことができることを理解されたい。従って、動作において、メッシュ内の各頂点について、その近隣の頂点が計算される。次いで、最初のメッシュ350が、自動変形のために頭部画像200内に配置される。次いで自動変形法により、脳メッシュ214上の各頂点を脳表面へ向かって移動させて、最終のメッシュ358を含む画像を生成する。例えば、図16は、メッシュ点240における最初のメッシュ350の場所を示している模範的な画像380を例示する。更に、図17は、本書で述べたように自動的に調節された後の引張り点242における最終のメッシュ358の場所を示している模範的な画像382を例示する。動作において、最初のメッシュ350を点240から点242へシフトまたは移動させる段階は、唯一回だけのクリックによって、メッシュ表面352上の数百又は数千の頂点を三次元で編集する段階を含む。一実施形態では、編集には、数百又は数千の頂点よりも多い又は少ない数の頂点を編集することを含むことができる。
【0044】
より具体的に、再び図15を参照して説明すると、動作において、オペレータが引張り点242を選択する。引張り点242の座標が、例えば、セグメンテーション・モジュール32を用いて、識別される。段階408で、引張り点242とその最も近いメッシュ点240との間の調節距離が、引張り点242の座標とメッシュ点240の座標との間の差を計算することによって決定される。最初のメッシュ350の複数の頂点が、図12~図14に示されている修正された3D画像200及び修正された画像を同時に表示しながら、調節される。
【0045】
より具体的に述べると、動作において、オペレータが引張り点242を選択する。次いで、モジュール32が、引張り点242に最も近いメッシュ表面上の頂点(例えば、頂点240)を検索する。次いで、更新領域392の半径方向寸法が表面352の曲率によって決定されるか、又は所定の値を用いる。一実施形態では、更新領域392の寸法が比較的大きい場合、更新領域392の半径方向寸法は、例えば、約80~100mmに選択される。随意選択により、更新領域392の半径方向寸法が比較的小さい場合、更新領域392の半径方向寸法は、例えば、約40~60mmに選択することができる。ここで、更新領域392が、ここで述べた模範的なサイズ(寸法)とは異なるサイズを持ち得ることを理解されたい。セグメンテーション・モジュール32が、例えば、半径方向移動及び変化の大きさを指示する方向ベクトルを用いて、点242への点240の移動に基づいて表面更新の方向を計算する。
【0046】
例えば、更新方向244は、点240と点242との間に伸びる線に平行である。模範的な実施形態では、更新領域392内の複数の頂点は平行にシフトされる。表面352と表面358との間の滑らかな移行を生成するため、各頂点のシフト距離が、更新半径によって決定されるダンピング(damping)係数σを用いて相次いで計算される。従って、3D更新が、1D計算として簡単化される。
【0047】
模範的な実施形態では、複数の頂点を平行移動させるために利用されるシフト関数は、次の数式(1)に従って計算される。
【0048】
【数1】
・・・
ここで、l(エル)は、端点242と最も近い頂点との間の距離である。また、d(vi)は、頂点viから、点240と点242とを結ぶ線までの距離である。更に、σは、更新領域392内の各頂点についてのシフト距離のダンピングを制御するために利用されるダンピング係数である。」

4 引用文献8の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

(1)明細書の記載事項

「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、ディスプレイ上の仮想空間内に表示する3次元ポリゴンメッシュモデルをユーザの操作に追従して変形させる場合に用いて好適な画像処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。」
「【0042】
なお、ステップS11において、例えば図9に示すように、変形領域51の中に3Dポリゴンモデル22を構成するポリゴンの頂点が存在すると判定された場合、変形領域51の中に存在する頂点が移動頂点に指定されて、ステップS12の処理はスキップされる。
なお、図9において、変形領域51の中に存在するポリゴンの頂点(すなわち、移動頂点)には丸印を付している。」

(2)図面の記載事項

ア 図1、図2は次のとおりである。

[図:0001383749000003.jpg]

イ 図9は次のとおりである

[図:0001383749000004.jpg]

(3)看取事項

図9からは、【0042】の記載事項を参照すれば、黒丸で表示されたポリゴンの各頂点のうち、破線で表示された変形領域5内部の頂点は白丸で囲まれ、また、変形領域内には変形領域ポインタ21も表示されていることを看取できる。

第6.対比・判断

1 本願発明1について

(1)本願発明1と引用発明1-1との対比

ア 構成1-1a~1-1cの「ハードウェア手段14」、「ビデオモニタ36及びビデオプロセッサ34」、「グローバルツール62及び画像修正手段66」はそれぞれ、構成1Aの「プロセッサユニット」、構成1Bの「出力ユニット」、構成1Cの「インターフェースユニット」に相当する。

イ 構成1-1d-1の「特定の器官の所定の器官モデル52および関心のある放射線療法治療領域に対応しうる関心のある領域の概略的な形状、たとえば放射線で治療すべき腫瘍形状を近似する形状」、構成1-1d-2の「ハードウェア手段14の画像修正手段66においてユーザーによりセグメント化された諸画像」は共に、構成1Dの「関心物体の解剖学的構造の3D表面モデル」に相当する。

ウ 構成1-1eの「器官モデル52は柔軟性のある三角形メッシュ54によって表現され」ることは、構成1Eで「3D表面モデルは、複数の表面小部分を含」むことに相当する。

エ 構成1-1fの「三角形メッシュの基本的な構造は、(x,y,z)座標の形の頂点のリストと各多角形をなす頂点(たとえば各三角形は3つの頂点をもつ)を同定する多角形のリストであ」ることは、構成1Fの「前記表面小部分は、それぞれがいくつかの頂点を含」むことに相当する。

オ 構成1-1gにおいて、「頂点が移動する距離に重みをかけるのに使われるガウス関数の幅を表すFrom-DrawPlaneパラメータ」に対し、「ペンシルドローツール90によって捕捉されるべき頂点について器官モデル52の頂点とマウスとの間の最大距離を定義するIn-DrawPlane距離」のほかに、「器官モデル52が描画面に直交する方向に変形される仕方を規定し、頂点が移動する距離に重みをかけるのに使われるガウス関数の幅を表すFrom-DrawPlaneパラメータ」を設け「画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数によって制御すること」は、マウスとの距離とは別に、描画面に対する各頂点の位置(描画面にあるかないか)によって移動距離に1~0にわたる掛け数の「値」を与えることであるから、構成1Gで各頂点に「ランキング値が割り当てられ」ることに相当する。

カ 構成1-1hの「マウス位置」、「頂点の選択を、マウス位置からの距離に基づいて、あるいはマウス位置に最も近い頂点からの近隣頂点層に基づいて行」うことは、それぞれ構成1Hの「関心点」、「決定された関心点に隣接する頂点のうちの少なくとも1つの頂点を所期の頂点として識別」すること、に相当する。

キ(ア)構成1-1i-1の「マウスからある指定された距離範囲内のすべての頂点が選択され」ることは、マウス位置と頂点との距離に応じて頂点を選択するか否かが決定されることであるから、例えば、頂点が選択されるなら「1」、選択されないなら「0」となる関数を定義した場合に、これが前記距離の関数となっているといえる。

また、構成1-1i-2の「マウスに最も近い頂点が選択され、最初の頂点と三角形を共有するすべての頂点は近隣とみなされ、このとき、第一の近隣層をなし、第二の近隣層は、第一層の頂点のいずれかと三角形を共有するすべての頂点であ」ることは、少なくとも「マウスに最も近い頂点」の選択において、各頂点がマウス位置と頂点との距離そのものを値とする関数値(すなわち該距離の関数)を持ち、該関数値の大小により該頂点の選択が行われることといえる。

よって、前記各構成における頂点の選択はいずれも、構成1Iで、「識別は、前記関心点に対する検出された近接距離・・・の関数に基づくものであ」ることに相当するといえる。

(イ)また、構成1-1i-3の「前記ペンシルドローツール90によって捕捉されるべき頂点について、描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付けを実行するために、1から0までなめらかに移行する関数」「によって制御され」ることは、マウスによる頂点の移動距離に対し、マウスと頂点との距離以外に、頂点の描画平面に対する位置に応じた0から1までの移動距離の掛け数を与えることを意味し、ここで、移動距離の掛け数が0とされた頂点はマウスとの距離如何に関わらず移動しない、即ち、当該頂点は実質的に前記選択に漏れたことになる。そうすると、構成1-1i-1~3では、頂点の選択はマウスと頂点との距離と、上記本願発明の「ランキング値」に相当する「描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付け」との関数に基づいているといえる。

(ウ)また、構成1-9bによれば、「ペンシルドローツール90」を含む「ローカルツール68」にはほかに、前記「描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付け」を行わない「ガウス型の引っ張りツール72」及び「球形押しツール」が含まれ、それらが選択的に用いられるものであることが明らかであるといえる。そして、「ローカルツール68」として「ペンシルドローツール90」を選択することは、他の「ローカルツール68」が備えない、「描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付け」なる「ランキング値」を用いる「ランキングカテゴリ」の使用を選択することでもあるといえる。そうすると、構成1-1i-3において、該選択された「ペンシルドローツール90」を用いることは、構成1Iにおける、「ランキング値」を「選択された1つ以上のランキングカテゴリにおいて割り当てられた」ものとする点に相当するといえる。

(エ)以上のとおりであるから、構成1-1i-1~3は、構成1Iに相当する。

ク 構成1-1j-1~3では、「前記画像修正手段66においてユーザーによりセグメント化された諸画像はデータメモリ70に保存され、」「前記データメモリ70の保存画像は、三次元的な画像表現を適切なフォーマットに変換してビデオモニタ36上で標示するビデオプロセッサ34に供給され、」「ビデオモニタ36には、診断画像と器官モデル52との重ね合わせが標示され」る。

また、構成1-1d-2で画像修正手段66によりセグメント化され、データメモリ70に保存される画像は、修正された「器官モデル52」であり、これが構成1-1j-2において、「三次元的な画像表現を適切なフォーマットに変換してビデオモニタ36上で標示」される。

引用発明1-1におけるこれらの、「器官モデル52」を「ビデオモニタ36」に「標示」されることは、構成1Jの「前記出力ユニットは、前記3D表面モデルの視覚的表現を提供」すること、に相当するといえる。

ケ 構成1-1kの「マウスの使用によって」、「マウスの位置を入力」は、それぞれ構成1Kの「ユーザのインタラクションによって」、「関心点を決定」に相当する。

コ 構成1-1lの「ユーザーが器官モデル52の局所的領域を操作」、「一組の手動ローカルツール68により、修正すべき局所的領域(頂点)を選択」はいずれも、構成1Lの「前記所期の頂点を手動のユーザインタラクションによって変位させること」に相当する。

また、構成1-1lの「頂点を変換し、マウスの動きを前記変換を定義するパラメータに翻訳する」ことは、構成1Lの「3D表面モデルを修正する」ことに相当する。

サ 構成1-1mの「撮像装置」は構成1Mの「医療画像編集デバイス」に相当する。

(2)一致点・相違点

上記(1)によれば、本願発明1と引用発明1-1とは、次のアの点で一致し、イの点で相違する。

ア 一致点

「1A プロセッサユニットと、
1B 出力ユニットと、
1C インターフェースユニットとを備え、
1D 前記プロセッサユニットは、関心物体の解剖学的構造の3D表面モデルを提供し、
続きを表示(全13行)
1E 前記3D表面モデルは、複数の表面小部分を含み、
1F 前記表面小部分は、それぞれがいくつかの頂点を含み、
1G 各頂点には、ランキング値が割り当てられ、
1H 前記プロセッサユニットは、決定された関心点に隣接する頂点のうちの少なくとも1つの頂点を所期の頂点として識別し、
1I 前記識別は、前記関心点に対する検出された近接距離と、割り当てられた前記ランキング値との関数に基づくものであり、
1J 前記出力ユニットは、前記3D表面モデルの視覚的表現を提供し、
1K 前記インターフェースユニットは、ユーザのインタラクションによって、前記3D表面モデルの前記視覚的表現の中の関心点を決定し、
1L 前記所期の頂点を手動のユーザインタラクションによって変位させることによって前記3D表面モデルを修正する、
1M 医療画像編集デバイス。」

イ 相違点1-1(構成1I・1K)

本願発明1と引用発明1-1との相違点1-1は下記(ア)のとおり。この相違点につき(イ)、(ウ)に詳説する。

(ア)相違点1-1

本願発明1の「インターフェースユニット」は、「ユーザのインタラクションによって、コンテキストメニューで提供される複数のランキングカテゴリの中から、1つ以上を選択する」ものであるのに対し、引用発明1-1では相当する構成を備えない点。

(イ)すなわち、引用発明1-1は、ユーザーが「ローカルツール68」として「ペンシルドローツール90」、「ガウス型の引っ張りツール72」、「球形押しツール80」を選択的に用いることができる構成を備える(構成1-9a)とは認められるものの、それらのうち本願発明1の「ランキングカテゴリ」に関係するものは「ペンシルドローツール90」のみである。

そうすると、上記「ローカルツール68」の選択は、ランキングカテゴリに関係する「ペンシルドローツール90」と、ランキングカテゴリと関係しない他のツールとの択一であるとはいえても、「複数のランキングカテゴリの中から1つ以上を選択」することに相当するとはいえない。

(ウ)また、上記(イ)を措くとしても、引用発明1-1において、「ローカルツール68」(の中からの「ペンシルドローツール90」)の選択手段は明らかでなく、引用発明1-1が、本願発明1の構成1Kで特定される、「複数のランキングカテゴリ」を「コンテキストメニューで提供」することに相当する構成を備えるとはいえない。

(3)相違点1-1について

ア 「ランキング」に相当する技術事項として、引用文献5には、

・「引張り点242を本書では「端点」242とも呼び、これは、オペレータがメッシュ350の一部分を位置決めし直すことを望んでいる場所を表す。段階406で、引張り点242に最も近いメッシュ表面上の一点が識別される。模範的な実施形態では、図15に示されているメッシュ点240が、引張り点242に最も近いと決定される。」(【0039】)

・「段階408で、メッシュ点240の調節距離が、引張り点242の座標とメッシュ点240の座標との間の差を計算することによって決定される。調節方向もまた点242及び240によって決定される。次いで、点240における頂点を引張り点242まで移動させる。」(【0040】)

・「オペレータは引張り点242をクリックする。セグメンテーション・アルゴリズムは、メッシュ点240の周りの局部領域356を自動的に識別して、局部領域352を修正された領域356へ移行させる。」(【0042】)、

・「動作において、オペレータが引張り点242を選択する。次いで、モジュール32が、引張り点242に最も近いメッシュ表面上の頂点(例えば、頂点240)を検索する。次いで、更新領域392の半径方向寸法が表面352の曲率によって決定されるか、又は所定の値を用いる。」(【0045】、

・「表面352と表面358との間の滑らかな移行を生成するため、各頂点のシフト距離が、更新半径によって決定されるダンピング(damping)係数σを用いて相次いで計算される。」(【0046】)

なる一連の記載がある。

この記載において、「更新半径」とはオペレータが選択した引っ張り点のイチに基づいて移動される頂点の含まれる範囲を示し、該「更新半径」は所定値(固定値)または、メッシュ表面の曲率によって決定される値であることが理解される。

そうすると、メッシュ表面の曲率は、メッシュ(3D表面モデル)の形状により局所的に(頂点ごとに)定まる係数であるから、メッシュ表面は頂点ごとにその曲率に応じ異なる「移動させられやすさ」を保有しているということができ、これは、本願発明1の「ランキング」値に相当するといえる。

また、前記一連の記載からは、該「移動させられやすさ」について、曲率により決定されるか、または所定の値(定数)か、の選択肢が存在することも読み取ることができる(【0045】)。

しかし、1の装置において該選択肢がオペレータの選択可能な状態で提供されるものであるかについては引用文献5に言及がないし、まして、その提供が「コンテキストメニュー」の形で提供されることについて開示はない。

また、仮に該選択肢が選択的に提供されると解せるとしても、引用文献5に開示されるのは、3D表面モデルの頂点に対し、「移動させられやすさ」の相違を持たせるか持たせないか、すなわち、ランキングを設定するか否か、選択肢であり、複数のランキング態様の提示を行うものとはいえないから、構成1Kの「複数のランキングカテゴリの中から、1つ以上を選択する」ことに相当するとはいえない。

そして、他の引用文献(引用文献7、8)には、ランキングカテゴリやその選択に係る技術事項の開示は認められない。

また、相違点1-1に係る構成が周知技術や設計事項であるともいえない。

イ したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1-1及び引用文献5・7・8に記載された技術事項に基づいて容易に発明することができたものであるとはいえない。

ウ さらに、上記イのとおり、相違点1-1に係る本願発明1の特定事項は、当審拒絶理由で提示した引用文献1、5、7、8いずれの引用文献にも開示がないのであるから、引用発明7-1など、他の引用文献に記載された発明に基づいても、相違点1-1と同様の相違点が存在することとなり、本願発明1が当業者であっても容易に発明することができたものであるとはいえない。

2 本願発明5について

(1)本願発明5と引用発明1-5との対比

ア 構成1-5aの「特定の患者の解剖学的構造に合うよう容易に適合させられる、モデルベースの画像の画像セグメンテーションを提供する」ことは、構成5Aの「医療3D表面モデルを編集する」に相当する。

イ 方法の発明である本願発明5の構成5B、5B1、5B2、5B3、5D、5Eは、それぞれおおむね、装置の発明である本願発明1の構成1D、1E、1F、1G、1H、1Lに対応する。

また、引用発明1-5の構成1-5b-1~2、1-5b1、1-5b2、1-5b3、1-5d、1-5d1-1~3、1-5eも、それぞれ引用発明1-1の構成1-1dー1~2、1-1e、1-1f、1-1g、1-1h、1-1i-1~3、1-1lに対応する。

よって、本願発明5の構成5B、5B1、5B2、5B3、5D、5Eについては、上記1(1)イ~カ・コと同様の対比により、それぞれ構成構成1-5b-1~2、1-5b1、1-5b2、1-5b3、1-5dが相当する。

ウ 構成1-5cの「(器官モデル52の各(x,y,z)方向上での)マウスの使用」は、ユーザの操作によるものであるから、構成5Cの「ユーザのインタラクション」に相当する。

また、構成1-5cの「器官モデル52」、「マウスの位置」は、それぞれ構成5Cの「3D表面モデル」、「関心点」に相当する。

また、構成1-5cにおける「マウスの使用によって、マウスの位置を入力」することは、「ユーザーがモデル選択を、モニタ36上で診断画像と器官モデル52との重ね合わせを見ながら器官モデル52を当該画像データによって表されている対象者の解剖構造上にドラッグアンドドロップ」されたモニタの表示上で行われるものであるから、構成5Cの「視覚的表現の中で関心点を決定する」ことに相当するといえる。

エ 構成5D1と構成1Iとは、本件補正により構成1Iに加入された「選択された1つ以上のランキングカテゴリにおいて」なる特定事項の有無及びカテゴリの相違を除きおおむね対応する。

また、構成1-5d-1~3と構成1-1i-1~3とはカテゴリの相違以外概ね対応する。

そうすると、上記1(1)キ(ア)・(イ)と同様の理由により、構成1-5d-1~3は構成5D1に相当する。

オ(ア)構成1-9aによれば、「ペンシルドローツール90」を含む「ローカルツール68」にはほかに、前記「描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付け」を行わない「ガウス型の引っ張りツール72」及び「球形押しツール」が含まれ、それらが選択的に用いられるものであることが明らかであるといえる。

(イ)そして、「ローカルツール68」として「ペンシルドローツール90」を選択することは、他の「ローカルツール68」が備えない、「描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付け」なる「ランキング値」を用いる「ランキングカテゴリ」の使用を選択することでもあるといえる。

(ウ)そうすると、構成1-5d1-3において「ペンシルドローツール90」が使用、すなわち選択されることは、「ローカルツール68」として上記(ア)に挙げた複数のツールから、他の「ローカルツール68」が備えない、「描画面上にない頂点について頂点移動の距離への重み付け」なる「ランキング値」を用いる「ランキングカテゴリ」の使用を選択することでもあり、該選択できることは、構成5Fにおける「ステップc)の前に、ユーザは、ステップc)における前記識別するステップに適用されることになるランキングカテゴリを選択することができる」ことに相当するといえる。

カ 構成1-5fの「方法」が構成5Gの「方法」に相当することは明らかである。

(2)一致点・相違点

上記(1)によれば、本願発明5と引用発明1-5とは、次のアの点で一致し、イの点で相違する

ア 一致点

「5A 医療3D表面モデルを編集する方法であって、前記方法は、
5B 関心物体の解剖学的構造の3D表面モデルを提供するステップa)であって、
5B1 前記3D表面モデルは、複数の表面小部分を含み、
5B2 前記表面小部分は、それぞれがいくつかの頂点を含み、
続きを表示(全12行)
5B3 各頂点には、ランキング値が割り当てられる、ステップa)と、
5C ユーザのインタラクションによって前記3D表面モデルを視覚的表現の中で関心点を決定するステップb)と、
5D 決定された前記関心点に隣接する頂点のうちの少なくとも1つの頂点を所期の頂点として識別するステップc)であって、
5D1 前記識別は、前記関心点に対する検出された近接距離と割り当てられた前記ランキング値との関数に基づく、ステップc)と、
5E 前記所期の頂点を手動のユーザインタラクションによって変位させることによって前記3D表面モデルを修正するステップd)と
を含み、
5F ステップc)の前に、ユーザは、ステップc)における前記識別するステップに適用されることになるランキングカテゴリを選択することができる、
5G 方法。」

イ 相違点1-5

本願発明5と引用発明1-5との相違点1-5は、下記(ア)のとおり。この相違点についての詳説は、上記1(2)イ(イ)・(ウ)で説示したものと同様である。

(ア)相違点1-5(構成5F)

本願発明5における、「ステップc)における前記識別するステップに適用されることになる」「ランキングカテゴリの選択」は、「1つ以上」のランキングカテゴリを「コンテキストメニューで提供される複数のランキングカテゴリの中から」選択するものであるのに対し、引用発明1-5では、頂点移動(選択)ツールである複数の「ローカルツール68」からの選択を通じ、各頂点に「ランキング値」を設定するツールである「ペンシルドローツール90」を選択するか否か、の選択であり、「複数のランキングカテゴリ」の中から「1つ以上」を選択するものでもなく、該「複数のランキングカテゴリ」が「コンテキストメニューで提供される」ものでもない点。

(3)相違点1-5について

上記1(3)アに説示したとおり、相違点1-5に係る、ランキングカテゴリやその選択に係る技術事項の開示は、引用文献5、7、8になく、該技術事項が周知技術や設計事項であるともいえない。

したがって、本願発明5は、当業者であっても、引用発明1-1及び引用文献5・7・8に記載された技術事項に基づいて容易に発明することができたものであるとはいえない。

さらに、前記のとおり、相違点1-5に係る特定事項は、当審拒絶理由で提示した引用文献1、5、7、8いずれにも開示がないのであるから、引用発明7-5など、他の引用文献に記載された発明に基づいても、相違点1-5と同様の相違点が存在することとなり、本願発明5が当業者であっても容易に発明することができたものであるとはいえない。

3 本願発明2~4、6~14について

本願発明2~4は本願発明1の特定事項の全てを含み、これをさらに減縮したものである。

本願発明6~14は本願発明5の特定事項の全てを含み、これをさらに減縮したものである。

本願発明1及び5については上記のとおり、当審拒絶理由で提示した引用文献1、5、7、8及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではない。よって、本願発明1・5と前記関係にある本願発明2~4、6~14についても、当審拒絶理由で提示した引用文献1、5、7、8及び本願優先日前における周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものではないことが明らかである。

第7 原査定についての判断

本件補正により補正された請求項1~14は上記のとおり相違点1-1、相違点1-5に係る技術事項を備えるに至り、当該技術事項は原査定における引用文献1~6(うち引用文献1、5は当審拒絶理由における引用文献1・5と共通)に記載がなく、本願優先日前における周知技術でもない。よって、本願発明1~14は、当業者であっても、原査定における引用文献1~6に基づいて容易に発明することができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっても、当審拒絶理由によっても、本願を拒絶することはできない。

他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2021-002611

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決676件(コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ)
  • 2025-016706拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)医療装置のための放熱構成及び関連する装置、システム、及び方法
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2025-017720拒絶査定不服審判 / 2026-08-17 / 原査定取消(特許/登録すべき)コンピュータ断層撮像における動きアーティファクトの抑制
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2025-010540拒絶査定不服審判 / 2026-07-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)酸素PEPカニューレ
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2024-016354拒絶査定不服審判 / 2026-07-22 / 原査定取消(特許/登録すべき)電気パーソナルケア装置
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
  • 2024-020307拒絶査定不服審判 / 2026-07-14 / 原査定取消(特許/登録すべき)誘発応答の定量化に基づいて感覚刺激を与える方法及びシステム
    同じ当事者: コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)1,956件(121・A61B)
  • 2024-014320拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)生理学的データのモニタリング方法
    共通の審決分類: 121・A61B
  • 2025-010743拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)乳房の病変を同定する方法及びモデル
    共通の審決分類: 121・A61B
  • 2024-019207拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)少なくとも1つの呼吸パラメータを決定するための測定装置及び方法
    共通の審決分類: 121・A61B
  • 2025-016546拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)診断デバイス
    共通の審決分類: 121・A61B
  • 2025-015249拒絶査定不服審判 / 2026-08-24 / 原査定取消(特許/登録すべき)感情推定装置
    共通の審決分類: 121・A61B

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存