特許拒絶査定不服審判
2021-002217
カラーテーブル圧縮
- 審判番号
- 2021-002217
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-065671
- 請求日
- 2021年02月19日
- 審決日
- 2022年04月26日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
- 【請求人代理人】古谷 聡
- 【請求人代理人】大西 昭広
- 【請求人代理人】細井 玲
- 【請求人】パーデュ リサーチ ファンデーション
- 【請求人代理人】古谷 聡
- 【請求人代理人】大西 昭広
- 【請求人代理人】細井 玲
- 審判長/審判官
- 審判長 五十嵐 努
- 審判官 千葉 輝久
- 審判官 川崎 優
- 分類
- P18 .1 -WY (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第2条第1項、特許法第29条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 65671「カラーテーブル圧縮」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月10日出願公開、特開2020-142517、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)11月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2016年(平成28年)7月8日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願である特願2018-561527号の一部を令和2年4月1日に新たな特許出願としたものであって、令和2年9月7日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年10月28日付けで手続補正がされたが、令和2年12月18日付けで拒絶査定がされたものであり、これを不服とし、令和3年2月19日に本件審判請求がされた。
第2 原査定(令和2年12月18日付け拒絶査定)の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1-15に記載されたものは発明に該当せず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから特許を受けることができない、というものである。
第3 本願の請求項の記載
本願の請求項1-15の記載は、令和2年10月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された以下のとおりである。
【請求項1】
プロセッサを有する印刷装置に動作可能に結合されるプリントカートリッジであって、
前記印刷装置のためのカラーテーブルを復元するためのデータを含むメモリデバイスを含み、前記データが、
前記メモリデバイスに記憶された圧縮ビットストリームを含み、前記圧縮ビットストリームが、
差分カラーテーブルの複数の差分ノードの不可逆圧縮から得られた複数の量子化された係数であって、前記量子化された係数が、選択されたステップサイズを使用して量子化されており、復元されたカラーテーブルを得るために、前記差分カラーテーブルの前記量子化された係数が、前記印刷装置上の基準テーブルと共に使用可能であり、前記量子化された係数から復元された前記差分カラーテーブル上の各ノードの値が、前記印刷装置に記憶された前記基準テーブルの対応するノードの値に加算されるべきものである、複数の量子化された係数と、
前記基準テーブルのノードに対応する、残余値を用いて修正されるべき一組のノードについての補正情報であって、前記補正情報が、残余値と、前記残余値を用いて修正されるべき前記一組のノードの位置についてのノード位置情報とを含む、補正情報と
を含み、
前記圧縮ビットストリームに含まれる前記量子化された係数及び前記補正情報が、圧縮されており、
前記メモリデバイスが、さらなる情報として前記選択されたステップサイズを含み、
前記圧縮ビットストリームが、前記プロセッサによって前記メモリデバイスから読み出され、
前記復元されたカラーテーブルを得るために、前記量子化された係数及び前記補正情報が、前記基準テーブルと共に、前記プロセッサによって使用され、
印刷時に色空間の間の色変換を実施するために、前記復元されたカラーテーブルが、前記プロセッサによって使用されるものである、プリントカートリッジ。
【請求項2】
前記プロセッサによって、
前記圧縮ビットストリームが圧縮解除されることにより、前記量子化された係数及び前記補正情報が得られ、
前記量子化された係数に係数ビット割当てテーブルが適用されることにより、DCT係数が復元され、
前記復元されたDCT係数が、逆DCT変換を使用して、もとの係数に変換され、
前記もとの係数に前記選択されたステップサイズが乗算され、最小の整数に丸められることにより、最初に復元された差分カラーテーブルが得られ、
前記補正情報が前記最初に復元された差分カラーテーブルに適用されることにより、圧縮解除された差分カラーテーブルが得られ、
前記基準テーブルが前記圧縮解除された差分カラーテーブルに加算されることにより、前記復元されたカラーテーブルが得られるものである、請求項1に記載のプリントカートリッジ。
【請求項3】
前記圧縮ビットストリームは、可逆圧縮を用いて圧縮されており、前記選択されたステップサイズでの離散コサイン変換(DCT)から得られた量子化された係数のデータストリームを含む、請求項1または請求項2に記載のプリントカートリッジ。
【請求項4】
トナーまたはインクのリザーバを含む、請求項1~3の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項5】
前記差分カラーテーブルの前記量子化された係数のデータストリームは、量子化された係数の一次元データストリームである、請求項3、または、請求項3を引用する請求項4に記載のプリントカートリッジ。
【請求項6】
前記差分カラーテーブルの前記量子化された係数は、前記不可逆圧縮の反転に基づいて復元された差分カラーテーブルを生成することに使用可能である、請求項1~5の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項7】
前記基準テーブルは、複数のカラールックアップテーブルに基づく、請求項1~6の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項8】
前記係数ビット割当てテーブルは、前記差分カラーテーブルの前記量子化された係数の各々に割り当てられたビットの数に関連する情報を含む、請求項2、及び請求項2を直接的または間接的に引用する請求項3~7の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項9】
前記係数ビット割当てテーブルは、前記メモリデバイスまたは前記印刷装置に含まれる、請求項2及び請求項2を直接的または間接的に引用する請求項3~8の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項10】
前記トナーまたはインクのリザーバは、前記差分カラーテーブルに対応する色を有する、請求項4、及び請求項4を直接的または間接的に引用する請求項5~9の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項11】
前記プリントカートリッジは、黒のインクまたはトナーを貯蔵するためのリザーバを含み、前記差分カラーテーブルは、前記黒のインクまたはトナーに対応し、または
前記プリントカートリッジは、カラーのインクまたはトナーを貯蔵するためのリザーバを含み、前記差分カラーテーブルは、前記カラーのインクまたはトナーに対応する、請求項10に記載のプリントカートリッジ。
【請求項12】
前記差分カラーテーブルの前記複数の量子化された係数、前記複数の差分ノード、及び前記補正情報は、パッケージに含まれ、前記メモリデバイスは、複数の別個のパッケージを含み、各パッケージが、前記差分カラーテーブルの別個の複数の量子化された係数、別個の複数の差分ノード、及び別個の補正情報を含む、請求項1~11の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項13】
各差分ノードは、カラーテーブルのノードの値と前記基準テーブルの対応するノードの値との差である値を表している、請求項1~12の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項14】
前記複数の差分ノードは、選択された圧縮率において誤差閾値外の色差を有する一組のノードを含む、請求項1~13の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
【請求項15】
前記圧縮ビットストリームに含まれる前記量子化された係数及び前記補正情報は、可逆圧縮を用いて圧縮されている、請求項1~14の何れか一項に記載のプリントカートリッジ。
第4 当審の判断
請求項1に記載されたものは、「プロセッサを有する印刷装置に動作可能に結合されるプリントカートリッジであって、
前記印刷装置のためのカラーテーブルを復元するためのデータを含むメモリデバイスを含み、・・・
印刷時に色空間の間の色変換を実施するために、前記復元されたカラーテーブルが、前記プロセッサによって使用されるものである、プリントカートリッジ」である。
すなわち、請求項1に記載されたものは、「プリントカートリッジ」であり、「印刷装置に動作可能に結合される」ものである。
「プリントカートリッジ」とは、典型的には、印刷装置に動作可能に結合されるものであって、印刷装置で印刷に用いられるインクやトナーなどの印刷材料を蓄えたものであることは当業者によく知られたことであり、請求項1に記載されたものも同様のものである。
また、請求項1の「プリントカートリッジ」は、「前記印刷装置のための“カラーテーブルを復元するためのデータ”を含むメモリデバイス」を含むものであり、印刷装置に動作可能に結合されると、上記“カラーテーブルを復元するためのデータ”を用いて復元されたカラーテーブルを使用して、印刷装置が印刷時に色変換を実施するものである。
以上によれば、カラーテーブルによる色変換がインクに依存するという課題(明細書の【0010】を参照)を解決するために、請求項1に記載されたものは、課題解決手段として、印刷に用いられる印刷材料を蓄えた従来の「プリントカートリッジ」に、印刷時に実施される色変換に用いる特定の“カラーテーブルを復元するためのデータ”を含むメモリデバイスを含ませることで、印刷装置に動作可能に結合したときに、印刷時に実施される色変換を改良し、例えば、上記メモリデバイスが含む上記データを変えることで、印刷時の色変換を個々のプリントカートリッジごとに変えることができるなどの効果を奏することを主要な技術的な特徴とするものである。
この主要な技術的な特徴を有するプリントカートリッジ、すなわち、上記メモリデバイスが含む上記データを変えて印刷装置に動作可能に結合することで、印刷時の上記色変換を変えることができるメモリデバイスを含むプリントカートリッジは、自然法則を利用した技術的思想の創作といえる。
よって、請求項1に記載されたものは、自然法則を利用した技術的思想の創作といえ、特許法第2条第1項に規定された「発明」に該当する。
また、請求項2-15に記載されたものは、請求項1の特定事項をすべて含み、さらに、特定事項を付加するものであるから、請求項1と同じ理由により、自然法則を利用した技術的思想の創作といえ、特許法第2条第1項に規定された「発明」に該当する。
第5 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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