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特許拒絶査定不服審判

2021-001725

鑑識用シート

審判番号
2021-001725
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-501000外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月08日
審決日
2022年01月28日
公報発行日
2022年08月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (A61B) / P18 .537-WY (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-501000「鑑識用シート」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月31日国際公開、WO2017/145478、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 25項目
理 由

理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本件出願(以下「本願」と記す。)は、2016年(平成28年)11月29日(優先権主張 平成28年2月23日)を国際出願日とする出願であって、令和2年5月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年7月29日付けで手続補正がされ、同年12月2日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年2月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年7月5日付けで上申書が提出され、同年10月6日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、同年11月29日付けで手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和2年12月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-14に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。

引用文献等一覧

A.特開2010-169618号公報

B.特開2007-181599号公報

C.特開2009-187065号公報

D.特開2007-182483号公報

E.国際公開第2015/056761号

第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1-12に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることが出来ない。

引用文献等一覧

1.特開2007-181599号公報(拒絶査定時の引用文献B)

2.特開2015-063107号公報(当審において新たに引用した文献)

3.特開2015-051625号公報(当審において新たに引用した文献)

4.特開2009-187065号公報(拒絶査定時の引用文献C)

5.特開2007-182483号公報(拒絶査定時の引用文献D)

6.国際公開第2015/056761号明細書(拒絶査定時の引用文献E)

2.本願請求項1-12に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではなく、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明

本願請求項1-10に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、令和3年11月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-2は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
第1識別マークがマーキングされている支持シートと、
前記支持シートに対して着剥可能な粘着剤層および基材層を含む積層構造を有し、且つ、第2識別マークがマーキングされている、粘着シートと、を備える鑑識用シートであって、
前記第1識別マークおよび前記第2識別マークは、それぞれ、凹タイプマークまたは印刷マークであり、
前記粘着剤層は主剤としてポリウレタン又はアクリル系ポリマーを含み、
前記支持シートは記入面を有し、
前記粘着シートは記入面を有しない、鑑識用シート。」
「 【請求項2】
第1識別マークがマーキングされている第1外面、および、当該第1外面とは反対の側の支持面、を有する支持シートと、
前記支持シートの前記支持面に対して着剥可能な粘着剤層および基材層を含む積層構造を有し、且つ、前記基材層における前記粘着剤層とは反対の側に、第2識別マークがマーキングされている第2外面を有する、粘着シートと、を備える鑑識用シートであって、
前記第1識別マークおよび前記第2識別マークは、それぞれ、凹タイプマークまたは印刷マークであり、
前記粘着剤層は主剤としてポリウレタン又はアクリル系ポリマーを含み、
前記支持シートは記入面を有し、
前記粘着シートは記入面を有しない、鑑識用シート。」

なお、本願発明3-10は、本願発明1または2を減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

(1)引用文献1の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

当審拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。

ア 「【0001】
本発明は、指紋や足跡、タイヤ跡等の採取に使用するための鑑識用粘着シートに関し、特に、指紋・足跡等を採取した後に、証拠となる鑑識用粘着シートの改ざんを防止するための技術に関する。」
イ 「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、コストをほとんど増加させずに証拠の改ざん防止機能を付与でき、しかも剥離した粘着シート層の取扱いの制限がなく、切断使用にも対応することができる鑑識用粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の鑑識用粘着シートは、支持体の片面に粘着剤層を有する粘着シート層と、前記粘着剤層に再貼付可能に貼り合わせられる台紙層とを備えた鑑識用粘着シートにおいて、
前記粘着シート層における支持体の粘着剤層を有しない側の表面の一部に、表面記入欄を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の鑑識用粘着シートによると、粘着シート層の支持体の表面の一部に表面記入欄が設けられているため、採取した指紋・足跡等と表面記入欄は粘着シート層として、常に、一体化しており、採取した指紋・足跡等と表面記入欄とを分離することができないため、証拠の改ざんを確実に防止することができる。しかも、粘着シート層を台紙層から完全に分離できるので、剥離した粘着シート層の取扱いの制限がない。また、別途印刷等する工程やその情報を管理する工程が必要なく、コストをほとんど増加させずに証拠の改ざん防止機能を付与できる。更に、鑑識用粘着シートを分割・切断して使用する場合でも、所定の分割領域に応じて、粘着シート層の支持体の表面の一部に表面記入欄を設けるだけで、容易に対応できる。」
ウ 「【0015】
上記鑑識用粘着シートにおいて、前記台紙層は、裏面に記入欄を有することができる。台紙層の裏面に設ける裏面記入欄は、従来と同様に、裏面全面に設けることができ、指紋等に係わる採取物の情報を詳細に記入することができる。また、表面記入欄と裏面記入欄の項目に、それぞれ、識別情報欄を設けておいて、当該識別情報欄に同じ記号、符号等を用いること等により、表面記入欄と裏面記入欄の情報を一致させて、鑑識用粘着シートの改ざん防止機能や、台紙と粘着シートが入り乱れて混乱するのを防止することができる。また、このように、表面記入欄と裏面記入欄を設けることにより、表面記入欄の大きさを小さく制御でき、指紋・足跡等の採取、採取後の識別等を容易に行うとともに、鑑識用粘着シートの改ざん防止を防止することができる。」
エ 「【0017】
本発明の鑑識用粘着シートは、図1(A)に示すように、支持体1aの片面に粘着剤層1bを有する粘着シート層1と、前記粘着剤層1bに再貼付可能に貼り合わせられる台紙層2とを備えるものである。そして、粘着シート層1における支持体1aの粘着剤層1bを有しない側の表面1sの一部に、表面記入欄3を有するものである。」
オ 「【0020】
鑑識用粘着シートにおける粘着剤層1bとしては、タックが低くいにも係わらず指紋等の凹凸に良好に追従して正確に痕跡の採取が行える観点から、ウレタン系粘着剤を用いたものが好ましい。」
カ 「【0022】
好ましい台紙層2としては、例えば、ポリプロピレン製などの合成紙や上質紙、ケント紙等からなる基材層2cと、基材層2cの表面側に設けられて黒色又は白色などに着色された印刷層2bと、その表面に設けられた剥離層2aとからなるものが挙げられる。また図1(B)に示すように、基材層2cの裏面側にも、裏面記入欄としての印刷や表示が可能な印刷層2dを設けることができる。」

(2)引用文献1の図面

引用文献1には次の図面がある。

ア 【図1(A)】

[図:0001386742000001.jpg]

イ 【図1(B)】

[図:0001386742000002.jpg]

(3)引用発明

ア 上記「(1)」の「イ」及び「ウ」の「台紙層」及び「表面記入欄」と、上記「(1)」「エ」の「台紙層2」及び「表面記入欄3」とは、それぞれ、同じものを示していることから、「台紙層2」及び「表面記入欄3」として整理した。

イ 上記アを踏まえると、上記「(1)」及び「(2)」より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「支持体1aの片面に粘着剤層1bを有する粘着シート層1と、
粘着剤層1bに再貼付可能に貼り合わせられる印刷層2dを含む台紙層2と、を備える鑑識用粘着シートであって、
粘着シート層1における支持体1aの粘着剤層1bを有しない側の表面1sの一部に、表面記入欄3を有し、
台紙層2の印刷層2dには、指紋等に係わる採取物の情報を詳細に記入することができる裏面記入欄が、裏面全面に設けられ、
表面記入欄3と裏面記入欄の項目に、それぞれ、識別情報欄が設けられ、
当該識別情報欄に同じ記号、符号等を用いること等により、表面記入欄と裏面記入欄の情報を一致させて、鑑識用粘着シートの改ざん防止機能や、台紙と粘着シートが入り乱れて混乱するのを防止することができ、
鑑識用粘着シートにおける粘着剤層1bとして、ウレタン系粘着剤が用いられ、
別途印刷等する工程やその情報を管理する工程が必要なく、コストをほとんど増加させずに証拠の改ざん防止機能を付与でき、また、鑑識用粘着シートを分割・切断して使用する場合でも、所定の分割領域に応じて、粘着シート層の支持体の表面の一部に表面記入欄3を設けるだけで、容易に対応できる、鑑識用粘着シート。」

2.引用文献2について

(1)引用文献2の記載事項

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当審拒絶理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。

ア 「【0015】
本発明によれば、各紙片を分離した後、他の用紙の紙片と混在した場合であっても、容易に対応する紙片を整合させることが可能となる。」
イ 「【0022】
図1(a)に示すように、第1紙片1a表面の記入欄3、第2紙片1b表面の複写欄7a、第3紙片1c表面の複写欄7b、第4紙片1d表面の複写欄7cの下方近傍には、識別情報6が印刷されている。識別情報6は、複写シートを識別するための情報であり、同一複写シートの全ての紙片には、完全に同一の情報が付されている。
【0023】
識別情報6としては、ある複写シートを他の複写シートと区別可能な情報であれば、数字、記号、アルファベット等様々な情報の組合せとすることができるが、本実施形態では、数字だけの単純な番号としている。図1(a)の例では、第1紙片1a、第2紙片1b、第3紙片1c、第4紙片1dの全てに、“No.(ナンバー)”の後に同一の識別情報“123456”が印刷されている。」

(2)引用文献2の図面

引用文献2には次の図面がある。

ア 【図1(a)】

[図:0001386742000003.jpg]

3.引用文献3について

(1)引用文献3の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

当審拒絶理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。

ア 「【0048】
(印刷領域P201~P203)
図4に示すように、トップ紙210の上面は、3つの第一印刷領域P201、第二印刷領域P202、第三印刷領域P203を備える。なお、断面図には、便宜上、印刷領域P201~P203を太線で示すが、これらの領域に何かの層が積層されているわけではない。
これら3つの印刷領域P201~P203は、複写方式を用いずに直接印刷される印刷領域である。
3つの印刷領域P201~P203には、対応付けられた情報として、帳票201を識別するための同じ帳票番号250(図6(A)等参照)が印刷される。帳票番号250は、帳票201毎に異なる固有情報である。つまり、帳票番号250は、被検者を識別するための情報である。
・・・
【0052】
このように、帳票201の第一分離片241、第二分離片242、第三分離片243には、全て帳票番号250の印刷を含む。そのため、これらは、分離後にも帳票番号250によって、対応付けられた状態を維持される。」

(2)引用文献3の図面

引用文献3には次の図面がある。

ア 【図6】

[図:0001386742000004.jpg]

4.引用文献4について

(1)引用文献4の記載事項

当審拒絶理由に引用された引用文献4には、次の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下同様。)。

ア 「【0003】
ダイレクトマーキングの手法としては、刻印を形成する部品の材質・用途等に応じて、エアペンによる打刻、レーザ光の照射による彫刻、インクジェットによるプリント等が用いられている。」

5.周知技術

(1)周知技術1

上記「2.」及び「3.」より、次の技術は周知の技術(以下「周知技術1」という。)であると認められる。

「シート部材の識別マークを印刷によりあらかじめマーキングしておく技術。」

(2)周知技術2

上記「4.」より、次の技術は周知の技術(以下「周知技術2」という。)であると認められる。

「エアペンマーク、レーザーマークによりマーキングを行う技術。」

第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

(ア)引用発明は、「台紙層2の印刷層2d」には「裏面記入欄」が設けられ、「裏面記入欄の項目」に「識別情報欄が設けられ」、「当該識別情報欄に同じ記号、符号等を用いること等により、表面記入欄と裏面記入欄の情報を一致させて、鑑識用粘着シートの改ざん防止機能や、台紙と粘着シートが入り乱れて混乱するのを防止する」ものである。そうすると、引用発明の「裏面記入欄」に設けられた「識別情報欄」の「記号、符号等」は、本願発明1の「第1識別マーク」に相当し、また、引用発明の「裏面記入欄」に設けられた「識別情報欄」に「記号、符号等」が記入された「台紙層2」と、本願発明1の「第1識別マークがマーキングされている支持シート」とは、「第1識別マーク」がある「支持シート」である点で共通する。

(イ)引用発明において、「粘着シート層1」は「支持体1aの片面に粘着剤層1b」を有し、「台紙層2」は「粘着剤層1bに再貼付可能に貼り合わせられる」。この引用発明の「粘着剤層1b」、「支持体1a」は、それぞれ、本願発明1の「前記支持シートに対して着剥可能な粘着剤層」、「基材層」に相当し、また、引用発明の「粘着シート層1」は、本願発明1の「前記支持シートに対して着剥可能な粘着剤層および基材層を含む積層構造を有」する「粘着シート」に相当する。

(ウ)引用発明は、「粘着シート層1」は「表面記入欄3」を有し、「表面記入欄3」の「項目」に「識別情報欄が設けられ」、「当該識別情報欄に同じ記号、符号等を用いること等により、表面記入欄と裏面記入欄の情報を一致させて、鑑識用粘着シートの改ざん防止機能や、台紙と粘着シートが入り乱れて混乱するのを防止する」ものである。そうすると、引用発明の「表面記入欄」に設けられた「識別情報欄」の「記号、符号等」は、本願発明1の「第2識別マーク」に相当し、また、引用発明の「表面記入欄」に設けられた「識別情報欄」に「記号、符号等」が記入された「粘着シート層1」と、本願発明1の「第2識別マークがマーキングされている、粘着シート」とは、「第2識別マーク」がある「粘着シート」である点で共通する。

(エ)ウレタン系粘着剤は通常は主剤としてポリウレタンを含むから、引用発明の「粘着剤層1bとして、ウレタン系粘着剤が用いられ」る点は、本願発明1の「前記粘着剤層は主剤としてポリウレタン」「を含」む点に相当する。

(オ)引用発明の「台紙層2の印刷層2d」に「裏面記入欄」が設けられる点は、本願発明1の「前記支持シートは記入面を有し」に相当する。

(カ)引用発明の「鑑識用粘着シート」は、本願発明1の「鑑識用シート」に相当する。

イ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

【一致点】

「第1識別マークがある支持シートと、
前記支持シートに対して着剥可能な粘着剤層および基材層を含む積層構造を有し、且つ、第2識別マークがある粘着シートと、を備える鑑識用シートであって、
前記粘着剤層は主剤としてポリウレタンを含み、
前記支持シートは記入面を有する、鑑識用シート。」

【相違点1】

本願発明1は、

「第1識別マーク」及び「第2識別マーク」は、「マーキングされ」、「凹タイプマークまたは印刷マークであり」、

「前記粘着シートは記入面を有しない」のに対し、

引用発明は、

「裏面記入欄」に設けられた「識別情報欄」の「記号、符号等」(「第1識別マーク」に相当)、及び、「表面記入欄3」に設けられた「識別情報欄」の「記号、符号等」(「第2識別マーク」に相当)は、記入されるものであり、

「粘着シート層1」(「粘着シート」に相当)は「表面記入欄3」を有する点。

(2)相違点についての判断

上記相違点1について検討する。

上記「第4」「5.」において周知技術1、2として示したとおり、シート部材の識別マークを印刷によりあらかじめマーキングすることや、エアペンマーク、レーザーマークによりマーキングを行うことは、周知の技術であると認められる。

他方で、引用発明は、表面記入欄と裏面記入欄とで同じ記号、符号等を用いることにより鑑識用粘着シートの改ざんを防止するとともに、粘着シート層1に表面記入欄3を設けることで、別途印刷等する工程やその情報を管理する工程を不要とすることや、鑑識用粘着シートを分割・切断して使用する場合でも容易に対応可能にすることをも目的としたものであると認められる。

このような引用発明において、粘着シート層1や台紙層2に記号、符号等を付与する際に周知技術1、2を適用して記号、符号等を印刷等によりマーキングしたとしても、さらに、表面記入欄3を設けないようにすることは、そうすると引用発明の粘着シート層1に表面記入欄3を設けることによる上記目的を達成できないことは明らかであるから、当業者は採用し得ない構成である。

よって、引用発明において粘着シート層1に表面記入欄3を設けないことは当業者が容易に想到できたことではない。

したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2について

本願発明2は、実質的に本願発明1において「第1識別マークがマーキングされている支持シート」、「前記支持シートに対して着剥可能な粘着剤層および基材層を含む積層構造を有し、且つ、第2識別マークがマーキングされている、粘着シート」を、それぞれ、「第1識別マークがマーキングされている第1外面、および、当該第1外面とは反対の側の支持面、を有する支持シート」、「前記支持シートの前記支持面に対して着剥可能な粘着剤層および基材層を含む積層構造を有し、且つ、前記基材層における前記粘着剤層とは反対の側に、第2識別マークがマーキングされている第2外面を有する、粘着シート」と限定したものであり、本願発明1を減縮した発明である。

したがって、本願発明2も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明3-10について

本願発明3-10も、本願発明1または2と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1または2と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 特許法第36条第6項第1号に関する当審拒絶理由について

1.「粘着剤層」の「主剤」について

当審では、請求項1-2の「前記粘着剤層は主剤としてポリウレタン及び/又はアクリル系ポリマーを含む」のうちポリウレタン及びアクリル系ポリマーをともに主剤として使用する点は、発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年11月29日付けの補正において、「前記粘着剤層は主剤としてポリウレタン又はアクリル系ポリマーを含み」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2.「記入面」について

当審では、「支持シートは記入面を有する」という発明特定事項を有さない請求項1-7に係る発明及び請求項8に従属しない請求項9-12に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年11月29日付けの補正により、請求項1、2において「前記支持シートは記入面を有し」が特定されたことから、この拒絶の理由は解消した。

第8 原査定についての判断

令和3年11月29日付けの補正により、補正後の請求項1-10は「前記粘着シートは記入面を有しない」という技術的事項を有するものとなった。当該「前記粘着シートは記入面を有しない」は、原査定における引用文献A-Eには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-10は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Eに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび

以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-001725

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