特許拒絶査定不服審判
2021-000462
動力式ホイール付きボード
- 審判番号
- 2021-000462
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-547383
- 請求日
- 2021年01月13日
- 審決日
- 2022年05月31日
- 公報発行日
- 2022年11月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】レイザー・ユーエスエー・エルエルシー
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】実広 信哉
- 【請求人代理人】阿部 達彦
- 審判長/審判官
- 審判長 吉村 尚
- 審判官 藤本 義仁
- 審判官 比嘉 翔一
- 分類
- P18 .113-Z (A63C) / P18 .121-Z (A63C) / P18 .45 -Z (A63C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2017-547383「動力式ホイール付きボード」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月 2日国際公開、WO2016/086066、平成29年12月 7日国内公表、特表2017-536222〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成27年11月24日(パリ条約による優先権主張2014年11月26日、2015年3月24日、米国)の出願であって、令和1年11月20日付けで拒絶理由が通知され、令和2年5月18日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月3日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされたのに対し、令和3年1月13日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、同年1月15日に手続補正書(方式)が提出されたものである。
第2 令和3年1月13日に提出された手続補正書による補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
令和3年1月13日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の請求項16(すなわち、令和2年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項16)を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項16へと補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)
(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項16】
動力式パーソナルモビリティビークルであって、
デッキを有する本体であって、前記デッキはユーザーを支持するよう構成されており、前記デッキは前部と後部とを有する本体と、
前記デッキと連結されたキャスターアセンブリと、
前記キャスターアセンブリと連結されかつ第1の軸線を中心として回転可能な少なくとも一つのフロントホイールと、
前記本体に連結されかつ第2の軸線を中心として回転可能なリアホイールと、
前記本体に連結されかつ前記フロントホイールおよび前記リアホイールの少なくとも一方に回転力を伝達するよう構成されたモーターと
を備え、
前記前部および前記後部は、前記前部および前記後部の両方よりも横方向に幅狭なネック部分によって離間させられ、これによって前記デッキは、前記ネックを通る前記ビークルの前後方向軸線の周りで、ねじれるかあるいは撓むことが可能となっている、動力式パーソナルモビリティビークル。」
(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項16】
動力式パーソナルモビリティビークルであって、
デッキを有する本体であって、前記デッキはユーザーを支持するよう構成されており、前記デッキは前部と後部とを有する本体と、
前記デッキと連結されたキャスターアセンブリと、
前記キャスターアセンブリと連結されかつ第1の軸線を中心として回転可能な少なくとも一つのフロントホイールと、
前記本体に連結されかつ第2の軸線を中心として回転可能なリアホイールと、
前記本体に連結されかつ前記本体に推進力を提供するよう構成されたモーターと
を備え、
前記前部および前記後部は、前記前部および前記後部の両方よりも横方向に幅狭なネック部分によって離間させられ、これによって前記デッキは、前記ネックを通る前記ビークルの前後方向軸線の周りで、ねじれるかあるいは撓むことが可能となっている、動力式パーソナルモビリティビークル。」
2 本件補正について
(1)補正目的について
特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明瞭でない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。
そこで、本件補正について、以下、検討する。
本件補正により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項16の「動力式パーソナルモビリティビークル」の「前記フロントホイールおよび前記リアホイールの少なくとも一方に回転力を伝達するよう構成されたモーター」との特定事項が、「前記本体に推進力を提供するよう構成されたモーター」と補正された(以下「補正事項」という。)。
上記補正事項は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項16の「前記フロントホイールおよび前記リアホイールの少なくとも一方に回転力を伝達する」との特定事項を削除するものであり、また、「前記フロントホイールおよび前記リアホイールの少なくとも一方に回転力を伝達する」との特定事項を「前記本体に推進力を提供する」と補正することで本件補正前の請求項16の発明特定事項である「モーター」をさらに特定するものには該当しないから、上記補正事項は、同項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、上記補正事項2が、同項第1、3、4の各号に掲げられた、いずれの目的とするものにも該当しないことは明らかである。
(2)小括
よって、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定を満たすものではない。
なお、審判請求人は、令和3年1月15日付け手続補正書(方式)において、上記補正事項は、‘請求項16に関する補正は、令和2年9月3日起案の拒絶査定における「なお、請求項16における補正は、新規事項を含むものとなっているので、審査を継続されるのであれば、留意されたい。」との指摘に対応するためのものである。…さらに当該補正は、本願の当初明細書の段落[0019]、段落[0023]の記載に基づくものであり、新規事項の追加には該当しない。’と主張する。
しかし、審判請求人は、本件補正の補正目的が特許法第17条の2第5項の規定を満たすか否かについては、何ら主張するところがないのであるから、上記(2)のとおり、判断する。
(3)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和2年5月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
動力式ボードビークルであって、
前部および後部を有するフレキシブルデッキと、
前記前部の下方で前記デッキに連結された少なくとも一つのフロントホイールであって、前記フロントホイールは、第1の軸線を中心として旋回しかつ第2の軸線を中心として回転するよう構成された、少なくとも一つのフロントホイールと、
前記デッキと連結されかつ前記デッキに対して固定アライメント状態の動力式リアホイールと
を備え、
前記デッキは、前記デッキの前後方向軸線を中心とした交互方向に、ユーザーが前記後部に対して前記前部をねじることを可能とするために、前記後部に対する前記前部の回転を可能とする、動力式ボードビークル。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の理由は、
(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された特開平10-211313号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
という理由を含むものである。
3 引用例
原査定の拒絶の理由において引用された特開平10-211313号公報(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「【請求項1】ボード本体に搭乗した搭乗者自身の体重移動、バランス調整等の操作によって、駆動される走行用の後輪で走行し、左右に旋回操作させる前輪で方向転換するようにした自走式ローラーボードにおける操舵装置であって、ボード本体に連繋された操舵ベースシャーシ上に左右側部が上下方向に揺動自在になって載置され、搭乗者の足が載せられる揺動操舵盤と、操舵ベースシャーシの前部に連繋された前輪支持シャーシと、この前輪支持シャーシの左右に支承配置した左右の前輪と、揺動操舵盤の揺動を左右の前輪相互に対して伝達して方向転換させるステアリング機構とを備えていることを特徴とする自走式ローラーボードにおける操舵装置。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は手軽な移動手段、運搬手段として、またスポーツ的に遊戯走行するいわゆるスケートボードとして使用される駆動源を備えている自走式のローラーボードにおいて、その走行方向の方向転換操作を簡単に行なえるようにした自走式ローラーボードにおける操舵装置に関する。」
(3)「【0005】そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、自走式ローラーボードの走行中における方向転換に際し、水平面での回動操作によることなく、ローラーボードに対する左右方向での傾きすなわち横向きに搭乗する搭乗者自身が前後に傾くことで、その傾き側に走行方向を転換できるようにし、例えば搭乗者が前あるいは後にのめるように傾くときの重心が掛かる側に方向転換することで搭乗者を助け起こす方向に操舵させ、搭乗者自身に安定した姿勢を与えるものとして体勢の立て直しを容易にさせることができるようにし、操舵性を一層向上させて簡単確実、安定的に操作できるようにした自走式ローラーボードにおける操舵装置を提供することを目的とする。」
(4)「【0008】【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明するに、図1乃至図6において示される符号10は充電池等の電源12を内蔵してあるボード本体であり、このボード本体10の後部には走行用の後輪26を駆動する走行用モータ23を備えた駆動装置20が一体状にして連結されており、また、前部には走行方向における左右への方向転換のために左右の前輪54を走行面で左右方向に旋回自在に操作する操舵装置30が連繋されている。そして図1に示すように従来と同様に、駆動装置20と操舵装置30とに跨がった運転操作者である搭乗者Hの両足が載せられた状態で搭乗させ、搭乗者H自身の体重移動、バランス調整等によって後部の駆動装置20側、前部の操舵装置30側のいずれかに負荷される荷重の重量差の大小、平衡の有無等によって駆動装置20における正逆転駆動で停止、前進、後退更には速度調整が制御され、また、操舵装置30における方向転換操作で走行方向が案内されて定められるようになっている。」
(5)「【0010】駆動装置20は、後輪サスペンション機構27によって走行面の凹凸を緩衝し、制御手段における検知部によって左右で差動を生じさせるように左右対称的に形成された一対のモータ駆動式の車輪構造のものとなっている。すなわちボード本体10における本体シャーシ11と一体的に形成された駆動ベースシャーシ21と、この駆動ベースシャーシ21上に載置され、搭乗者Hの足が載せられる足載せ盤(フットベース)22と、駆動ベースシャーシ21に固定配置された走行用モータ23と、この走行用モータ23の駆動力で伝動手段24を介して従動回転されるよう後輪車軸25に支承した後輪26と、後輪車軸25を上下方向で弾撥的に支持する後輪サスペンション機構27とを備えて成り、走行用モータ23、伝動手段24、後輪26、後輪サスペンション機構27を左右に対称的にして配置形成してある。
【0011】一方、操舵装置30は、ボード本体10に連繋された操舵ベースシャーシ31と、この操舵ベースシャーシ31上に左右側部が上下方向に沿って揺動自在になって載置され、搭乗者Hの足が載せられる揺動操舵盤(フットリング)37と、操舵ベースシャーシ31の前部に連繋された前輪支持シャーシ45と、この前輪支持シャーシ45の左右に支承配置した左右の前輪54と、揺動操舵盤37の揺動を左右の前輪54相互に対して伝達して方向転換させるステアリング機構61とを備えて成り、揺動操舵盤37上に載った搭乗者Hの足によって直接に揺動操作することで左右の前輪54の方向を転換させるものである。」
(6)「【0019】前輪ホーク56は、その前ホーク傾斜部分に回転自在に支承した前輪車軸を介して前輪54を支持し、その水平部分に固定するサスペンションシャフト57を前輪54の直上に配置することで直進方向性、荷重支持の安定性を図っており(図3、図5参照)、水平部分と下部のサスペンション支持ベース48との間に設定された所定の間隔によって前輪54の上下動をなすサスペンション作用が得られるようにしてある。」
(7)「【0026】次に本発明ローラーボードにおける操舵装置30の使用の一例を説明すると、メインスイッチの投入によって待機させておき、停止状態にあるときに駆動装置20の足載せ盤22、操舵装置30の揺動操舵盤39にボード本体10を跨ぐようにして両足を載せるのであり、そのときに負荷される体重等の荷重によって作用される制御手段によって従来同様に前進あるいは後退走行、停止、走行時の速度調整更には方向転換等を行なうのである。そして方向転換に際しては足が載せられている揺動操舵盤39を、方向転換する方向側に傾斜揺動させるように左右側部を上下に揺動させればよく、例えば右足を揺動操舵盤39上に、左足を足載せ盤22上に夫々載せて走行するとき、右方向に転換するには図6(A)に示すように揺動操舵盤39においての右足の爪先側が下方傾斜するように前屈み状になればよく、逆に左方向に転換するには図6(C)に示すように揺動操舵盤39においての右足の踵側が下方傾斜するように後ろ反り返り状になればよく、また直進する場合には図6(B)に示すように揺動操舵盤39をほぼ水平状に維持すればよいものである。」
(8)「【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施の一形態における自走式ローラーボードに組み込んだ状態における全体の側断面図である。」
(9)「【図1】
[図:0001390070000001.jpg]
」
(10)「【図5】
[図:0001390070000002.jpg]
」
(11)「【図6】
[図:0001390070000003.jpg]
」
(12)上記(4)、(8)及び(9)より、自走式ローラーボードはボード本体10、駆動装置20及び操舵装置30からなるものと認める。
(13)(5)、(10)及び(11)より、駆動装置20に対して、揺動操舵盤37は回転可能であるといえる。
(14)上記(5)、(9)より、駆動ベースシャーシ21には、走行用モータ23のみならず、搭乗者Hの足が載せられる足載せ盤(フットベース)22、後輪26、及び後輪サスペンション機構27が固定されている配置されているものと認められる。
そうすると、上記(1)乃至(11)の記載事項及び(12)乃至(14)の認定事項から、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「ボード本体10、駆動装置20及び操舵装置30からなる自走式ローラーボードであって、
駆動装置20は、ボード本体10における本体シャーシ11と一体的に形成された駆動ベースシャーシ21と、この駆動ベースシャーシ21上に固定載置された搭乗者Hの足が載せられる足載せ盤22と、駆動ベースシャーシ21に固定配置された走行用モータ23、この走行用モータ23の駆動力で伝動手段24を介して従動回転されるよう後輪車軸25に支承した後輪26、及び後輪車軸25を上下方向で弾撥的に支持する後輪サスペンション機構27とを備えて成り、 操舵装置30は、ボード本体10に連繋された操舵ベースシャーシ31と、この操舵ベースシャーシ31上に左右側部が上下方向に沿って揺動自在になって載置され、搭乗者Hの足が載せられる揺動操舵盤37と、操舵ベースシャーシ31の前部に連繋された前輪支持シャーシ45と、この前輪支持シャーシ45の左右に支承配置した左右の前輪54と、揺動操舵盤37の揺動を左右の前輪54相互に対して伝達して方向転換させるステアリング機構61とを備えて成り、揺動操舵盤37上に載った搭乗者Hの足によって直接に揺動操作することで左右の前輪54の方向を転換させるものであり、
方向転換に際しては足が載せられている揺動操舵盤39(「37」の誤記と認める。)を、方向転換する方向側に傾斜揺動させるように左右側部を上下に揺動させるもので、駆動装置20に対して、揺動操舵盤37は回転可能である、
自走式ローラーボード。」
4 対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
(1) 後者の「自走式ローラーボード」、「揺動操舵盤37」、「駆動装置20」、「前輪54」及び「走行用モータ23の駆動力で伝動手段24を介して従動回転されるよう後輪車軸25に支承した後輪26」は、それぞれ、前者の「動力式ボードビークル」、「前部」、「後部」、「フロントホイール」及び「動力式リアホイール」に相当する。
(2) 後者の「自走式ローラーボード」は、ボード本体10、駆動装置20及び操舵装置30からなるところ、操舵装置30の揺動操舵盤37は、搭乗者Hの足が載せられて揺動し、駆動装置20の足載せ盤22には搭乗者Hの足が載せられるものであるから、後者の揺動操舵盤37を備える操舵装置30、足載せ盤22を備える駆動装置20及びボード本体10は、前者の「フレキシブルデッキ」に相当する。
(3) 後者の「前輪54」が自転のための軸を有することは明らかなところ、揺動操舵盤37上に載った搭乗者Hの足によって直接に揺動操作することで左右の前輪54の方向を転換させるものであるから、上記自転のための軸と異なる方向を転換するための軸を有するともいえる。
してみると、前者の「フロントホイール」と後者の「前輪54」とは、「前部の下方でデッキに連結された」ものであって、「第1の軸線を中心として旋回しかつ第2の軸線を中心として回転するよう構成された」ものとの概念で一致する。
(4) 後者の「後輪26」は、ボード本体10における本体シャーシ11と一体的に形成された駆動ベースシャーシ21に固定配置されたたものであるから、前者の「リアホイール」と後者の「後輪26」とは、デッキと連結されかつデッキに対して固定アライメント状態であるとの概念で一致する。
(5) 後者の「自走式ローラーボード」の「揺動操舵盤37」は、方向転換に際して、駆動装置20に対して、回転可能であるところ、回転軸を有することは明らかであるのだから、前者の「デッキ」と後者の「ボード本体10、駆動装置20及び操舵装置30からなる自走式ローラーボード」とは、「前後方向軸線を中心とした交互方向に、ユーザーが前記後部に対して前記前部をねじることを可能とするために、前記後部に対する前記前部の回転を可能とす」るものとの概念で一致する。
してみると,本願発明と引用発明との間に相違するところはないから,本願発明は,引用例に記載された発明に該当する。
なお、審判請求人は、令和3年1月15日付け手続補正書(方式)において、‘引用文献1には、本願の請求項1に係る発明が具備する「前記デッキは、前記デッキの前後方向軸線を中心とした交互方向に、ユーザーが前記後部に対して前記前部をねじることを可能とするために、前記後部に対する前記前部の回転を可能とする」との特徴は微塵も開示されていない。
確かに、引用文献1には、乗員Hが左右前輪54の方向を変えることを可能にする操舵装置30が開示されていると認められる。ところが、引用文献1に開示された自走式ローラーボードでは、ボード本体10及び駆動装置20のアセンブリに対して乗員Hによって回転させられるのは、「操舵装置30」ではなく、「揺動操舵段部37」に過ぎない(引用文献1の図5、図6(A)及び図6(C)参照)。
さらに言えば、引用文献1に開示された自走式ローラーボードでは、操舵装置30は連結シャフト14及びコイルスプリング34を介して、ボード本体10の前部に連結されている。ところが、引用文献1に記載された発明におけるこの構成は、決して、本願の請求項1に記載された「前記デッキは、前記デッキの前後方向軸線を中心とした交互方向に、ユーザーが前記後部に対して前記前部をねじることを可能とするために、前記後部に対する前記前部の回転を可能とする」との特徴を意味あるいは示唆するものではない。これは、引用文献の段落[0012]及び[0013]の記載から明らかである。
引用文献1の段落[0012]には「・・・。そのため本体シャーシ11前部に一体状にして突設した連結シャフト14を操舵ベースシャーシ31の後側部から中間ビーム32に貫挿し、連結シャフト14の前端を中間ビーム32側面に係合するストッパー部材33にて固定すると共に、操舵ベースシャーシ31内部において連結シャフト14周面に一端を固着したコイルスプリング製の捻り弾性部材34の他端を操舵ベースシャーシ31の後側部内側面に係合固着する。」と、そして引用文献1の段落[0013]には「こうすることで例えば走行面に起伏が存在しているとき、ボード本体10及び駆動装置20に対して操舵装置30における左右側部が捻り状に傾動されることで走行方向の左右における走行面上での不規則な起伏、凹凸部分に対応でき、円滑に走行させることができる。」と記載されている。
これらの記載に鑑みれば、本願発明とは対照的に、引用文献1に開示された、接続シャフト14及びコイルスプリング34を含む接続機構は、走行面のうねりや凹凸に対処することのみを目的としていることは明らかである。よって、上述したように、引用文献1に、本願の請求項1に係る発明が具備する「前記デッキは、前記デッキの前後方向軸線を中心とした交互方向に、ユーザーが前記後部に対して前記前部をねじることを可能とするために、前記後部に対する前記前部の回転を可能とする」との特徴が開示されていないことは明白である。さらに、引用文献2ないし引用文献4にいずれにも、本願の請求項1に係る発明が具備する当該特徴は微塵も開示されていない。
本願発明においては、デッキは、ユーザーがフレキシブルデッキの「後部」に対してフレキシブルデッキの「前部」をねじることを可能とするために、「後部」に対する「前部」の回転を可能とする。すなわち、前部のねじれはユーザーによって能動的に引き起こされる。一方、引用文献1に記載された発明においては、操舵装置30の左及び右側部のねじれは、走行面の起伏によって受動的に生じる。この事実に鑑みれば、引用文献1に、本願の請求項1に係る発明が具備する「前記デッキは、前記デッキの前後方向軸線を中心とした交互方向に、ユーザーが前記後部に対して前記前部をねじることを可能とするために、前記後部に対する前記前部の回転を可能とする」との特徴が開示されていないことは明白である。’と主張する。
しかし、上記4のとおり、本願発明の「前部」に相当する引用発明の構成は「揺動操舵盤37」であって、揺動操舵盤37上に載った搭乗者Hの足によって直接に揺動操作することで左右の前輪54の方向を転換させるものであるのであるから、引用発明には、本願発明の「前記デッキは、前記デッキの前後方向軸線を中心とした交互方向に、ユーザーが前記後部に対して前記前部をねじることを可能とするために、前記後部に対する前記前部の回転を可能とする」との構成は示されているといえる。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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