特許拒絶査定不服審判
2020-017964
植毛ワンポイント歯ブラシ。
- 審判番号
- 2020-017964
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-161598外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年12月29日
- 審決日
- 2022年04月18日
- 公報発行日
- 2022年07月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社広栄社
- 分類
- P18 .121-WZ (A46B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-161598「植毛ワンポイント歯ブラシ。」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月18日出願公開、特開2021- 20036〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,令和元年7月26日の出願であって,その後の手続の概要は,以下のとおりである。
令和2年 1月27日付け:拒絶理由通知
令和2年 3月 2日受付:意見書,手続補正書
令和2年 6月16日付け:拒絶理由通知(最後)
令和2年 7月31日受付:意見書,手続補正書
令和2年10月22日付け:令和2年7月31日受付の手続補正書についての補正の却下の決定,拒絶査定
令和3年 1月 4日受付:審判請求,手続補正書
令和3年12月 1日付け:拒絶理由通知
令和4年 1月24日受付:意見書,手続補正書
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,令和4年1月24日受付の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,以下のとおりのものであると認められる。
「ハンドル片方先端部に一穴からなるブラシ台座部を設け,該内にブラシ毛糸束を二つ折りにした後,該中央に金属片を打ち込み固定してなる植毛ワンポイント歯ブラシにおいて,前記植毛されたブラシ毛先端各本全てに,滑らかな円錐型状の突起を設けたことを特徴とする植毛ワンポイント歯ブラシ。」
第3 当審にて通知した拒絶の理由の概要
当審にて令和3年12月1日付けで通知した拒絶の理由のうち,理由5(進歩性)の概要は,次のとおりのものである。
本願発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて,本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
(引用文献)
1.特開2016-77317号公報
2.特開2017-131333号公報
3.特開2003-319833号公報
4.特開平1-313005号公報
5.特開平8-308642号公報
6.実願昭60-82209号(実開昭61-196632号)のマイクロフィルム
7.登録実用新案第3211072号公報
8.実願昭57-174733号(実開昭59-77430号)のマイクロフィルム
第4 当審にて通知した拒絶の理由についての判断
1 引用文献の記載事項
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には,以下の事項が記載されている。
ア 「【0031】
図1,図2に示すように,シングルタフトブラシ1は,持ち手としてのハンドル部2と,ハンドル部2の先端部に連設された首部3と,首部3の先端部に設けた毛束保持部4とからなるハンドル5と,複数のフィラメント6aからなる1つの毛束6をハンドル5の毛束保持部4に形成された植毛孔9に平線7を用いて植設固定してなるブラシ部8とから構成されている。なお,毛束6の植設方法は平線7を用いる例に限らない。例えば,毛束6を植毛孔9内に接着剤で固定してもよく,他の方法で植設されていてもよい。」(下線は当審で付した。以下同様。)
イ 「【0036】
毛束6は,例えば,フィラメント6aを2つ折りにして,折り返し部の内側に金属製の平板状の平線7を挿入し,平線7とともに植毛孔9に植設固定されている。このように平線7を用いて毛束6を固定する場合には,フィラメント6aの基端部に溶融塊を形成し,ハンドルの成形空間内に溶融塊が配置されるように毛束6を固定した状態で,ハンドルを成形することで,溶融塊をハンドルに一体的に埋設固定して植設する植設方法や,複数本のフィラメントを束ねてなる毛束6の基端部に溶融塊を形成し,溶融塊に外嵌係合する固定部材を用いてハンドル先端に毛束6を固定する植設方法や,接着剤を用いた植設方法と比較して,安価に実施できるので好ましい。なお,毛束6の植設方法としては,種々の方法を用いることができ,特定の植設方法に限定されない。」
ウ 「【0037】
フィラメント6aは,直径D2が0.076~0.15mmの合成樹脂製の繊維材で構成されている。フィラメント6aの直径D2は,大きすぎると毛腰が硬くなり,小さすぎると十分な毛腰が得られないことから,0.076mm以上,0.15mm以下に設定することが好ましく,より好ましくは0.076~0.10mmであり,例えば0.085mmとされている。このように設定することで,適度な毛腰が得られて,歯肉を傷つけるなどの為害性を軽減できるとともに,歯間の細部への挿入性を高めて,歯間の細部を一層綺麗に清掃できる。」
エ 上記ア-ウ及び図1-2の図示内容を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
「ハンドル5の首部3の先端部に植毛孔9を有する毛束保持部4を設け,該植毛孔9内に複数のフィラメント6aからなる1つの毛束6を2つ折りにした後,折り返し部の内側に金属製の平線7を挿入し植設固定してなるシングルタフトブラシ1。」
(2)引用文献2の記載事項
引用文献2には,以下の事項が記載されている。
ア 「【0031】
毛束51は,ブラッシングの目的やブラシユニット5に含まれる数等によって所定の太さとすることができる。また,使用者の年齢層によって太さを設定することができる。例えば,主に歯周ポケット内の清掃に用いられるときは細く,長く,例えば,根元部分の直径を1mm~4mm,高さ(長さ)を7mm~16mmに設定することができる。また,例えば,主に歯間や奥歯と歯茎の間等の清掃に用いられる場合は,比較的太く(用毛の数を多く),根元部分の直径を3mm~6mm、高さ(長さ)を5mm~10mmに設定することができる。また,図示しないが,毛束51の先端は,中心から外周にかけて高さが漸次短くなるように形成してもよい。毛束51には,ナイロンやポリエステル等の樹脂素材又は天然素材の用毛を用いることができ,又はこれらを2種以上組み合わせたものを用いてもよい。また,毛束に用いられる用毛は,先端の形状が例えば円錐形状や円柱形状等のものを用いることができ,また,異なる形状のものを用いてもよい。さらには,二つ以上の毛束を隣接させてあたかも一つの毛束のようにしてもよい。」
(3)引用文献3の記載事項
引用文献3には,以下の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
植毛部の少なくとも一部に,毛先部に向けてテーパー部を有するテーパー用毛が植毛されている歯ブラシにおいて,少なくとも一部のテーパー用毛の毛先先端部に略錘形状塊が形成されていることを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記略錘形状塊がテーパー用毛の毛先先端部を熱溶融することにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。」
イ 「【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記問題を解決するためになされたもので,歯間部や歯と歯茎の境目などの狭い隙間への毛先の到達性に優れ,かつ,清掃効果と刷掃実感の高い歯ブラシを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため,本発明の歯ブラシは,植毛部の少なくとも一部に,毛先部に向けてテーパー部を有するテーパー用毛が植毛されている歯ブラシにおいて,少なくとも一部のテーパー用毛の毛先先端部に略錘形状塊を形成したものである。」
2 対比
本願発明と引用発明を対比すると,以下のとおりとなる。
(1)引用発明の「ハンドル5の首部3の先端部」は,本願発明の「ハンドル片方先端部」に相当し,以下同様に,「植毛孔9」は「一穴」に,「植毛孔9を有する」ことは「一穴からなる」ことに,「毛束保持部4」は「ブラシ台座部」に,「該植毛孔9内」は「該内」に,「毛束6」は「ブラシ毛糸束」に,「2つ折り」は「二つ折り」に,「折り返し部の内側」は「該中央」に,「金属製の平線7」は「金属片」に,「挿入し植設固定」は「打ち込み固定」に,「シングルタフトブラシ1」は「植毛ワンポイント歯ブラシ」に,それぞれ相当する。
(2)引用発明の「フィラメント6a」は本願発明の「植毛されたブラシ毛」に相当する。
(3)本願発明と引用発明は,次の点で一致し,相違する。
(一致点)
「ハンドル片方先端部に一穴からなるブラシ台座部を設け,該内にブラシ毛糸束を二つ折りにした後,該中央に金属片を打ち込み固定してなる植毛ワンポイント歯ブラシ。」
(相違点1)
本願発明は,「植毛されたブラシ毛先端各本全てに,滑らかな円錐型状の突起を設けた」のに対して,引用発明は,フィラメント6aの先端の形状が明らかでない点。
3 判断
上記相違点1について検討する。
歯ブラシのブラシ毛先端部に円錐型状の突起を設けることは,例えば,引用文献2(【0031】),引用文献3(請求項1-2及び図1-6),及び,特開2004-154163号公報(【0017】)に記載されるように,本願の出願日前,周知の技術(以下「周知技術」という。)であるところ,周知技術として例示した引用文献3の【0006】や【0007】に記載されるように,ブラシ毛の毛先を錘形に構成することにより歯間部や歯と歯茎の境目などの狭い隙間への毛先の到達性が優れたものとなることは当業者に明らかである。
ここで,引用発明の歯ブラシは,シングルタフト歯ブラシであるのに対し,上記周知技術として例示したものは,シングルタフト歯ブラシだけでなく,通常の歯ブラシも含んでいるが,歯間などの狭い部分にブラシ毛の先端を届きやすくすることは歯ブラシの形態等を問わず共通する周知の課題であることは,引用文献1の【0037】に歯間の細部への挿入性を高めることが記載されることからも明らかである。そして,引用文献1の【0037】の記載によれば,歯間の細部への挿入性を高めるために,フィラメント6の直径を適切に設定しようとするものであるが,さらに,歯間の細部への挿入性を高めるべく,複数のフィラメント6aの先端全てに,同じく歯ブラシに関する上記周知技術を適用し,円錐型状の突起を設けることは,当業者が容易に想到し得たことである。その際,フィラメント6aの先端の円錐型状の突起について,歯や歯茎などを傷つけないなどのために,滑らかとすることは,当業者が適宜なし得ることにすぎない。
そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
4 請求人の主張について
請求人は,令和4年1月24日受付の意見書において「本願発明の植毛ワンポイント歯ブラシ(シングルタフトブラシ)の文献と同様の,引用文献1及び2には,一本一本のブラシ毛先端を熱により成形する内容の文献は調査によっても発見することができません。」旨主張しているが,請求項には,「一本一本のブラシ毛先端を熱により成形する」ことは記載されておらず,請求人の当該主張は,請求項の記載に基づく主張ではないから,失当である。
よって,請求人の当該主張は採用できない。
5 小括
したがって,本願発明は,引用発明及び周知技術に基いて,本願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
第5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基いて,本願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2020-017964