特許拒絶査定不服審判
2020-017533
情報処理システムおよびプログラム
- 審判番号
- 2020-017533
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-181120
- 請求日
- 2020年12月22日
- 審決日
- 2021年12月15日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社エムティーアイ
- 【請求人代理人】林 茂則
- 審判長/審判官
- 審判長 渡邊 聡
- 審判官 相崎 裕恒
- 審判官 中野 浩昌
- 分類
- P18 .121-WY (G16H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-181120「情報処理システムおよびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 4月 8日出願公開、特開2021- 56912、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年10月1日の出願であって、令和2年3月13日付けで拒絶理由が通知され、同年7月1日に手続補正書が提出され、同年9月28日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月22日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年9月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-12に係る発明は、以下の引用文献1-3に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2019-101834号公報
2.特開2011-107779号公報
3.特開2015-97066号公報
第3 本願発明
本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、令和2年7月1日にされた手続補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
サービスの利用者が使用する利用者端末、または、前記利用者が利用している医療機関の医療従事者が使用する医療機関端末から、前記利用者の医療情報を受信し、受信した前記医療情報を記録する医療情報記録部と、
前記利用者端末からのアクセスキー発行要求に応答して、前記医療情報を閲覧するためのアクセスキーを、前記医療機関に紐付けて発行し、発行した前記アクセスキーを前記利用者端末に送信するアクセスキー発行部と、
前記医療機関端末からの前記アクセスキーを伴う閲覧要求に応答して、前記医療情報に含まれる情報項目のうち開示が許可に設定されている情報項目に係る情報を前記医療情報記録部から抽出し、抽出した前記情報項目に係る情報を前記医療機関端末に送信する医療情報抽出部と、
を有し、
前記アクセスキーの有効期限を設けない、
情報処理システム。」
なお、本願発明2-12の概要は以下のとおりである。
本願発明2-11は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明12は、システムの発明である本願発明1に対応するプログラムの発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)
「【0059】
図1に示すように、この医療支援サービスは、その利用を希望する患者P、患者関係者R又は医療従事者Mが、所定の方法でユーザー登録をした後、患者Pが所有する患者端末10や、医療従事者Mが操作する医療従事者端末11、あるいは、患者関係者Rが所有する患者関係者端末12(以下、これらの端末をまとめて「ユーザー端末」ということがある)から、通信ネットワークであるインターネット20を介して利用するようになっている。
【0060】
ユーザー登録をした患者P、患者関係者R又は医療従事者Mは、この医療支援サービスの「ユーザー」となる。この医療支援サービスは、医療支援システム30によって実現されているから、この医療支援サービスの「ユーザー」は医療支援システム30の「ユーザー」と言うこともできる。ユーザー登録をしていない患者P、患者関係者R又は医療従事者Mは、この医療支援サービスを利用できない。
【0061】
いずれかのユーザー端末10、11又は12からインターネット20を介して医療支援システム30に指示を送ると、医療支援システム30内に設置されたハードウェアとソフトウェアの動作により、後述する「ユーザー登録」や「グループの生成」、「グループへの招待」、「メッセージの送受信(コミュニケーション)」、「かかりつけ登録」、「医療情報の閲覧」といった種々の動作や機能が実行される。また、そうすることで、患者一人ひとりの医療情報や交換されたメッセージを、患者Pのプライバシーを守りながら、複数の医療従事者Mの間で、もしくは患者Pと医療従事者Mの間で、又は患者Pと医療従事者Mと患者関係者Rの間で共有することが可能となり、その共有された医療情報やメッセージに基づいて個々の患者Pに、より良質の医療サービスを提供できるようになる。
【0062】
患者端末10と患者関係者端末12は、通常、携帯電話やスマートフォンのような携帯端末とされ、個々の患者Pや患者関係者Rが自分専用の端末を所有するが、デスクトップ型あるいはノート型のパーソナル・コンピューター(パソコン)や、タッチパネル型の端末も使用可能である。医療従事者端末11は、医療関連施設に設置されることが多いので、通常はデスクトップ型あるいはノート型のパソコンとされるが、タッチパネル型の端末や携帯端末も使用可能であることは言うまでもない。要するに、これらの端末10、11及び12は、インターネット20を介して医療支援システム30との間で情報の送信、受信及び表示ができる端末装置であればよく、その形態や構成は問わない。」
「【0126】
(医療支援システムの動作)
以上の構成を持つ医療支援システム30では、医療情報とメッセージの共有のために、個々の患者Pの疾患毎にグループGが登録・生成される。グループGの作成は、上述したように、医療従事者Mによる患者グループ登録、又は、患者Pによるかかりつけ登録によって行われる。また、グループGのグループ・メンバーは、デフォルトメンバーを除き、必要に応じて患者Pや医療従事者M、患者関係者Rを招待することで追加され、また、必要に応じてグループGから削除される。医療支援システム30のこれら動作の詳細は特許文献1に記載されているが、これらは本実施形態に係るサービス構築支援システム100とは関係がないため、それらの説明は省略する。」
「【0145】
ヒアリング・モジュール213は、所定の対象者への一連の質疑応答(例えば患者に対する問診)を行うための機能を開発者Dに提供するためのモジュールである。この機能は、所望のタイミングで医療支援システム30のユーザー(例えば医療従事者M)が所定の対象者(例えば患者P)に一連の質問を行うことで、それら質問に対応する所望の情報(例えば、患者Pの最近の体調や症状に関する情報)を回答として入手し記録するという動作を可能とする。そのために、ヒアリング・モジュール213には、一連の質問の見本(質問テンプレート群)と回答の見本(回答テンプレート群)とが用意されており、それらのテンプレート群を利用すれば、所望の質問文とそれに適した回答様式を簡単に作ることができるようになっている。具体例を挙げると、ヒアリング・モジュール213の機能をアプリケーション220内に記述すれば、その実行時に、例えば、図25に示した「気になる症状の確認」、「食生活の確認」等の機能設定で、それらのタイトルに対応して予め用意された質問群(質問テンプレート群)に基づいて、所望の質問文が自動作成され、それらの質問文(質問情報)を、医療支援システム30が持つメッセージ投稿機能を用いて、所望のタイミングで、対象者である患者Pの所属するグループGのタイムライン(患者側)に投稿して回答するように促す、という動作を容易に実現することができる。そして、該当する患者Pから回答が入力されると、医療支援システム30の機能を使って、その回答の内容(回答情報)をアプリケーション保存部332に自動記憶する、という動作を容易に実現することができる。前記質問情報の指定と前記回答情報用の回答様式の指定は、後述する「ユーザー設定プロセス」において実行される。
【0146】
アプリケーション220に組み込まれたヒアリング・モジュール213の機能を使用するには、ノート・モジュール211及びレコード・モジュール212の場合と同様に、初期設定が必要であるため、使用開始時にシステム管理者Aによる「管理者設定プロセス」において所定の初期設定が実行される。また、当該機能の使用開始後に行われる設定変更も、必要に応じて、同管理者Aによる「管理者設定プロセス」において実行される。
【0147】
ブック・モジュール214は、種々の情報をファイル形式で「コンテンツ」として所定の記憶手段(具体的にはアプリケーション保存部332)に記憶する機能を開発者Dに提供するためのモジュールである。この機能は、医療支援システム30の特定のユーザー(例えば患者P、医療従事者M又は患者関係者R)に役立つ情報(有益情報)を「コンテンツ」としてまとめた種々の形式のファイル(例えばpdf、xls、doc、jpg、mp4等)を予め記憶しておき、医療支援システム30が持つメッセージ投稿機能を用いることで、所望のタイミングで、指定されたコンテンツを特定のグループGのタイムライン(患者側)に投稿して表示させる、という動作を、容易に実現することができる。具体例を挙げると、この機能をアプリケーション220内に記述すれば、その実行時に、例えば、図25に示した「糖尿病アドバイス(食事)」、「糖尿病アドバイス(運動)」等の機能設定で、それらのタイトルに対応して予め用意されたコンテンツ(ファイル)を、医療支援システム30が持つメッセージ投稿機能を用いて、所望のタイミングで、対象者である患者Pの所属するグループGのタイムライン(患者側)に投稿して表示するという動作を、容易に実現することができる。これにより、例えば該当する患者Pまたは患者関係者Rは最適なタイミングで容易に有益な情報を入手することが可能となる。前記コンテンツ(ファイル)の用意・記憶と指定は、後述する「ユーザー設定プロセス」において実行される。」
「【0185】
具体的に言うと、前記新アプリケーション220では、(a)その目的(例えば糖尿病服薬支援)を達成するために、4つのモジュール211、212、213及び214の特定機能をどのような順序でどのように組み合わせて所望の質問情報や提示情報を作成するか、そして、(b)それらモジュール211、212、213及び214の特定機能を実施する際に、どのような情報を指定・追加するか(例えば質問に使用する薬品名とその摂取量や、収集・記録する検査項目、各項目に付けるタイトル等)、前記の情報の指定・追加を誰に依頼するか(例えばシステム管理者Aか特定のユーザーか)、こうして作成した質問情報や提示情報をどのタイムラインにどのような順序・タイミングで投稿(表示)するか、といった点について記述することで、前記新アプリケーション220においてプログラミング言語を使って記述する箇所を大幅に減少させることができるのである。ここで、「質問情報」とは、特定のユーザーに対する何らかの質問を含む情報であり、「提示情報」とは、特定のユーザーに提示する何らかのメッセージ等の情報を含み、且つ質問を含まない情報である。」
「【0190】
こうして前記新アプリケーション220の実行(前記新サービスの提供)が開始されると、例えば、前記新サービスについての利用要求を送ったユーザーが所属するグループGのタイムラインに、所定の質問情報や提示情報を投稿・表示したり、同タイムライン上で同グループGの指定ユーザーにより投稿された回答情報を保存したり、といった一連の処理が、実行中の前記新アプリケーション220の指示するところに沿って順次、実行される。こうしてすべての処理が実行されると、前記新アプリケーション220は動作を終了する(ステップS18)。以上のようにして、前記新サービス(付加サービス)は、前記新アプリケーション220の実行中に前記グループGに属する指定ユーザーに対して提供される。
【0191】
例えば、前記新アプリケーション220により、前記グループGのタイムラインに、所定の質問情報や提示情報が所定のスケジュールにしたがって順次投稿・表示され、指定されたユーザーとしての患者Pと患者関係者Rに所定の情報(例えば起こりうる合併症やその他症状、検査結果)を所望のタイミングで通知することができる。また、同タイムラインに投稿された質問情報(例えば気になる症状や食生活や残薬の確認)に対して、前記グループに係る患者P又は患者関係者Rが回答情報を提供すると、その回答情報は同タイムラインに投稿・表示されると同時に自動的に記憶されるので、同グループGの医療従事者Mがその回答情報を確認することが可能となる。その結果、医療支援システム30が提供している既存の医療サービスに対して、容易に種々の新サービス(例えば服薬支援サービス)を構築して付加的に提供することができ、しかも、それら新サービスにおいても同システム30の特徴、すなわち、「医療サービスの対象者(患者)毎に生成されたグループに、前記医療サービスの1又は複数のユーザー(患者だけでなく医療従事者を含む)を選択的にグループ・メンバーとして所属させると共に、前記グループに係る前記対象者の医療情報を前記グループ・メンバーに限定して閲覧可能とすることで、前記対象者のプライバシーを確保しながら前記対象者に係る医療情報を前記グループ・メンバー間で共有できる」という特徴を活かすことが可能となる。
【0192】
(アプリケーションにより提供される新サービスの利用形態)
次に、以上のようにして新アプリケーション220により提供される付加サービスの具体的な利用形態の一例について、図17?図47を参照しながら説明する。
【0193】
図17は、サービス構築支援システム100に新アプリケーション220を開発者端末13からアップロードしてインストールし、使用可能となった状態で、医療支援システム30が提示する「ホーム画面」のタイムラインの例を示す。この「ホーム画面」に表示されている複数のメッセージの中から、特定の患者P3(ここでは山本XXさんで、糖尿病の治療を受けている)に対するメッセージを、患者P3(山本XXさん)の主治医である医療従事者Mがクリックすると、患者P3の糖尿病治療グループG31が選択され、その医療従事者Mの医療従事者端末11に図18に示すようなグループG31Gのタイムライン(医療従事者側)が表示される。このタイムライン(医療従事者側)は、図9のグループG11のタイムラインの医療従事者共有エリア51bに対応し、患者P3の糖尿病治療グループG31のグループ・メンバーである医療従事者Mだけが閲覧可能であり、患者P3やその患者関係者Rは閲覧できない。図18の表示画面には、「オプション」ボタン(オプション起動ボタン)が表示されている。そこで、前記医療従事者Mが「オプション」ボタンをクリックすると、図19に示すアプリケーション選択用のオプション選択画面(医療従事者側)か、図20に示すリクエスト選択用のオプション選択画面(医療従事者側)が、同医療従事者端末11に表示される。図19のオプション選択画面は、同画面で「アプリ」タブを選択した場合に表示され、図20のオプション選択画面は、「リクエスト」タブを選択することで表示される。
【0194】
患者P3の糖尿病治療グループG31のグループ・メンバーである医療従事者Mは、図19のオプション選択画面(医療従事者側)から、同画面に表示されている「生活習慣改善」、「服薬管理」、「糖尿病服薬支援」という3つの付加サービス(これらは該当するアプリケーション220が提供する)のうちの1つ又はそれ以上を選択して利用することができる。また、図20のオプション選択画面(医療従事者側)から、同画面に表示されている「入院」、「退院」、「往診」、「連携」という4つの付加サービス(これらも該当するアプリケーション220が提供する)のうちの1つ又はそれ以上を選択して利用することができる。
【0195】
他方、図17の「ホーム画面」で、患者P3に対するメッセージを、患者P3自身がクリックすると、患者P3の糖尿病治療グループG31が選択され、山本さんの患者端末10に図21に示すような同グループG31のタイムライン(患者側)が表示される。このタイムライン(患者側)は、図9のグループG11のタイムラインの全員共有エリア51aに対応し、患者P3のグループG31のグループ・メンバー全員(患者P3、患者関係者R及び医療従事者M)が閲覧可能である。この画面には、「アプリ」ボタン(アプリ起動ボタン)が表示されている。そこで、「アプリ」ボタンをクリックすると図22に示すアプリケーション選択用のオプション選択画面(患者側)が、患者P3の患者端末10に表示される。
【0196】
患者P3は、図22のアプリケーション選択画面(患者側)から、同画面に表示されている「生活習慣改善」、「服薬管理」、「糖尿病服薬支援」という3つの付加サービス(これらは該当するアプリケーション220が提供する)のうちの1つ又はそれ以上を選択して利用することができる。なお、この画面は患者側に表示されたものであるから、医療従事者側の画面に表示されていた「入院」、「退院」、「往診」、「連携」という4つの付加サービスは表示されず、したがって、当然のことであるが、患者P3はこれらの付加サービスは利用することができない。
【0197】
患者P3のグループG31のグループ・メンバーである患者関係者Rも、図22のアプリケーション選択画面(患者側)から、同画面に表示されている「生活習慣改善」、「服薬管理」、「糖尿病服薬支援」という3つの付加サービスのうちの1つまたはそれ以上を選択して利用することができる。」
「【0219】
図37-図45は、上述した糖尿病服薬支援アプリケーション220が提供する糖尿病服薬支援サービスを受ける際に、患者P3の糖尿病治療グループG31のタイムライン(患者側)に表示される画面の例を示す。
【0220】
図37は、上述した糖尿病服薬支援サービスの利用開始を伝えるメッセージ(提示情報)が、患者P3の糖尿病治療グループG31のタイムライン(患者側)に投稿(表示)された状態を示す画面である。このメッセージは、医療支援システム30のメッセージ投稿機能を利用して実現されている。図37から分かるように、このグループG31に属するグループ・メンバーは、患者P3本人、患者P3の主治医(医療従事者M)、そして、患者P3の家族(患者関係者R)の合計3名であり、全員がそのメッセージを閲覧可能となっている。これは、図16(d)に示すアプリケーションテーブルに示すように、上述した糖尿病服薬支援アプリケーション220(アプリケーションID=1)が、患者P3の糖尿病治療グループG(グループID=10003)と関連付けられているからであり、また、図23の「システム管理者用のアプリケーション管理画面」に示すように、「利用範囲設定」の項目で「患者側タイムライン」が選択されているからである。
【0221】
図37の糖尿病服薬支援サービス利用開始メッセージには、「患者ノート」の項目に「合併症、その他症状」の文字と「確認する。」の文字が表示されており、「確認する。」の文字をクリックすると、「合併症、その他症状」の内容が別ウィンドウで表示されるので、患者P3本人と患者P3の家族(患者関係者R)は、それを読み取ることによって容易に合併症やその他症状を確認できるようになっている。図38は、その「合併症、その他症状」の内容が、患者P3のグループG31のタイムラインに投稿された状態を示す。このようにタイムライン上でも読むことができる。これらは、「合併症、その他症状」というタイトルの上記ノート機能(図25参照)を用いて実現されている。該当する症状がある場合は、図38の画面から担当の医療従事者Mに返信(回答)することができる。その返信に使用される回答画面の例を図42に示す。この回答画面において、2つのラジオボタンのいずれか一方を選択し、メッセージ入力欄に適当なメッセージを記入すればよい。
【0222】
図37のサービス利用開始メッセージの「お薬の用法・用量」の項目には、図24の「システム管理者用のアプリケーション管理画面」で指定した医薬品とその用法が反映されている。
【0223】
図37のサービス利用開始メッセージの「検査値」の項目には、図31の「システム管理者用のアプリケーション管理画面」で指定した検査の記録項目が反映されている。
【0224】
図39は、上述した糖尿病服薬支援サービスにおいて、「気になる症状の確認」及び「食生活の確認」という2つの質問メッセージが、患者P3のグループG31のタイムライン(患者側)に投稿された状態を示す。これらの質問メッセージは、上述した「気になる症状の確認」及び「食生活の確認」という2つのヒアリング機能と、医療支援システム30のメッセージ投稿機能を利用して実現されている。同図から分かるように、各々の質問メッセージ上に表示された「回答する」ボタンをクリックすることで、患者P3又はその家族(患者関係者R)がそれらの質問に回答することができる。「気になる症状の確認」という質問に対する回答に使用される回答画面の例を図43に示す。この回答画面は記述式になっており、メッセージ入力欄に適当なメッセージを記入でき、ファイルのアップロードも可能である。また、「食生活の確認」という質問に対する回答に使用される回答画面の例を図44に示す。この回答画面は4個の選択肢から1個を選ぶ多肢選択式になっている。
【0225】
図40は、上述した糖尿病服薬支援サービスにおいて、「残薬の確認」及び「運動週間の確認」という2つの質問メッセージが、患者P3のグループG31のタイムライン(患者側)に投稿された状態を示す画面である。これらの質問メッセージは、上述した「残薬の確認」及び「運動週間の確認」という2つのヒアリング機能と、医療支援システム30のメッセージ投稿機能を利用して実現されている。同図から分かるように、各々の質問メッセージ上に表示された「回答する」ボタンをクリックすることで、患者P3又はその家族(患者関係者R)がそれらの質問に回答することができる。「残薬の確認」という質問に対する回答に使用される回答画面の例を図45に示す。この回答画面は記述式になっており、メッセージ入力欄に適当なメッセージを記入でき、ファイルのアップロードも可能である。
【0226】
図41は、上述した糖尿病服薬支援サービスにおいて、「食事上の注意」という提示メッセージと、「服薬確認」という質問メッセージが、患者P3のグループG31のタイムライン(患者側)に投稿された状態を示す画面である。「食事上の注意」のメッセージは、上述した「糖尿病アドバイス(食事)」というブック機能と、医療支援システム30のメッセージ投稿機能を利用して実現されている。「服薬確認」という質問メッセージは、上述した「服薬確認」というヒアリング機能と、医療支援システム30のメッセージ投稿機能を利用して実現されている。同図から分かるように、「服薬確認」の質問メッセージ上に表示された「回答する」ボタンをクリックすることで、患者P3又はその家族(患者関係者R)がその質問に回答することができる。」
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「患者が所有するスマートフォンのような患者端末や医療関係施設に設置されて医療従事者が操作する医療従事者端末等のユーザ端末からインターネットを介して指示を送られて医療情報の閲覧等の機能が実行される医療支援システムであって、
医療情報とメッセージの共有のために、個々の患者の疾患毎に患者や医療従事者等からなるグループが登録・生成され、
ヒアリング・モジュールにより、医療従事者が患者質問を行うことで、それら質問に対応する、患者の最近の体調や症状に関する情報を回答として入手し、患者からの回答の内容(回答情報)を自動記録する機能が実現されており、当該機能を実施する際に、どのような情報を指定・追加するかといった点が記述されており、
患者毎に生成されたグループに係る患者の医療情報をこのグループのメンバーに限定して閲覧可能とすることで、患者のプライバシーを確保しながら患者に係る医療情報をグループのメンバー間で共有できるものであり、
例えば、「気になる症状の確認」及び「食生活の確認」という2つの質問メッセージを用いたヒアリング機能が実現されて、患者はメッセージの記入やファイルのアップロードによってこれらの質問に回答することができる、
医療支援システム。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。)
「【0038】
TUS発行モジュール26は、ユーザ端末からの発行要求をユーザインタフェース21が受信した場合に、他のサーバに問い合わせ等を行うことなくWeb連携サーバWFS1-WFSm内で一時ユーザ指定子(以下、TUS:Temporary User Specifierと呼称する)を発行するもので、図4に示すようにTUS文字列生成処理部261と、暗号化処理部262とからなる。
【0039】
TUS文字列生成処理部261は、TUSの発行を要求したユーザを識別するための情報と、TUSの有効期間を表す情報と、乱数を含むTUS文字列を生成する。またTUS文字列には、ユーザ属性と、発行元となるWeb連携サーバWFS1-WFSmのプロバイダIDと、表示名を含めることも可能である。
【0040】
図2にTUSの構成要素を示す。発行要求元ユーザを識別するための情報としては、システムユーザID、仮名等が用いられる。乱数は8桁のランダムな数値からなる。有効期間は有効期限開始日時とその終了日時とにより表される。ユーザ属性は、ログインユーザの所属組織情報とロール情報からなる。所属組織情報には、ログインユーザが所属する機関(病院、診療所、自治体等)を表す情報が含まれる。ロール情報には、ログインユーザが保有するロール(医療従事者資格など)が含まれる。
【0041】
TUSにユーザ属性を埋め込むことは、特に医療従事者資格を有するプロユーザがTUSを発行する場合において有用である。例えば、一般ユーザが自らのアクセス制御ルールに「A病院の医師には自分の情報を開示する」というルールを記述したい場合、TUSに組織やロールを含めることによって、ユーザIDの設定と同様に所属組織とロール情報を設定することが可能となる。すなわち、TUSはその目的により使い分けることができる。図3はその目的別のTUSの種類を示すものである。また、TUSにプロバイダIDを埋め込むことで、TUS発行元のWeb連携サーバWFS1-WFSm以外でもTUS解決を受け付けることが可能となる。
【0042】
さらに、TUSにニックネームや質問/回答等の表示名を埋め込むと、後述するTUSの解決処理時に、TUSに埋め込んだニックネームを解決要求元のユーザ端末に表示して発行元のユーザを確認させることができる。また、質問に対する回答を要求することにより、発行要求元のユーザが、本当に自分が意図する相手のTUSであることを解決要求元のユーザ端末に確認させることができる。すなわち、TUSに埋め込まれたユーザ識別情報が本当にTUSを渡された実在の人物を指しているのかを解決要求元のユーザ端末が確認することができる。
【0043】
暗号化処理部262は、上記生成されたTUS文字列を認証サーバIDPの公開鍵を用いて暗号化する。またその際、セキュリティをさらに強化するため、Web連携サーバWFS1-WFSmの秘密鍵を用いてTUS文字列に署名を付与する。この暗号化処理がなされたTUSは、ユーザインタフェース21から発行要求元のユーザ端末へ返送される。
【0044】
TUS解決要求モジュール27は、ユーザ端末から送信された暗号化TUSの解決要求をユーザインタフェース21が受信した場合に、このユーザから受け取った暗号化TUSを認証サーバIDPへ転送してTUSの解決を要求する。そして、解決処理により変換されたTUSを認証サーバIDPから受信し、ユーザインタフェース21から要求元のユーザ端末へ返送する。」
「【0083】
(2)他者によるユーザの医療関係情報の取得(利用シーンB)
ここでは、例えばデータプロバイドサーバDPS1で管理されているユーザAの医療関係情報を、例えばその家族或いは担当医師であるユーザBが取得する場合を例にとって説明する。図9乃至図11はそのシーケンスを示す図である。
【0084】
(2-1)TUSの発行
医療関連情報を取得させようとするユーザAは、自身のユーザ端末において、図9に示すように先ずシステムに対しログインする(ステップS91)。そうすると認証サーバIDPにおいて上記ログインユーザの認証処理が行われ(ステップS92)、ログインユーザの正当性が認められるとその応答がログイン元のユーザ端末に返送される。
【0085】
この状態で、ユーザAがユーザ端末においてTUSの発行を要求するための操作を行ったとする(ステップS93)。この要求操作も、先に(1)で述べたアクセス制御ルールへのユーザ情報の登録の場合と同様に、ユーザ端末には操作画面が表示され、ユーザAは表示されたメニューの中で「TUS発行」を選択する。そして、TUSに含めるための図2に示した各構成要素(パラメータ)を任意に入力する。そうすると、ユーザ端末ではTUS発行要求が生成され、このTUS発行要求はWeb連携サーバWFS2へ送信される。
【0086】
Web連携サーバWFS2は、上記TUS発行要求を受信するとステップS94においてTUSを発行して要求元のユーザ端末へ返送する。このTUSの発行処理は以下のように行われる。
すなわち、Web連携サーバWFS2は、ユーザ端末から送信されたTUS発行要求をユーザインタフェース21で受信すると、TUS発行モジュール26により、先ず受信されたTUS発行要求に含まれる入力パラメータ(図2の項番3-7)をチェックする。そして、情報流通モジュール23を呼び出し、情報流通モジュール23が管理する要求元ユーザの認証結果情報を取得する。
【0087】
例えば、先ず入力パラメータにてロール情報(ロールID)又は所属組織情報(所属組織コード)が指定されている場合には、これらが上記認証結果情報の中に存在するか否かを判定する。この判定の結果、認証結果情報に含まれていれば、Web連携サーバWFS2のローカルユーザIDと認証サーバIDPのプロバイダIDを検索キーとしてローカルユーザデータベース28に対しアクセスし、ローカルユーザIDに相当する仮名を読み出す。続いて、情報流通モジュール23を呼び出し、この情報流通モジュール23が管理するWeb連携サーバ(自プロバイダ)WFS2のプロバイダIDを取得する。そして、TUSを生成する各構成要素、つまり上記ユーザ端末から受信した入力パラメータ、上記取得された仮名及び乱数を連結する。
【0088】
次に、上記連結されたTUSの構成要素を認証サーバIDPの公開鍵で暗号化する。そして、この生成された暗号化文字列に認証サーバIDPのプロバイダIDと、上記取得た自己のWeb連携サーバWFS2のプロバイダIDを連結してTUSとする。なお、暗号化にはRSA暗号などを使用する。最後に、上記生成された暗号化TUSを、ユーザインタフェース21から要求元のユーザ端末へ返送する。
なお、上記TUSの受信後にユーザBがログアウト操作を行うと(ステップS95)、認証サーバIDPにおいてログアウトが受け付けられて、ログアウト処理される(ステップS96)。
【0089】
(2-2)発行されたTUSの受け渡し
Web連携サーバWFS2から送られたTUSは、図12に示すようにユーザAのユーザ端末からユーザBのユーザ端末へ例えば電子メールにより送信される(ステップS101,S102)。なお、上記TUSの受け渡しは、TUSをFDやUSBメモリ等の記憶媒体に保存し、この記憶媒体をユーザAからユーザBに手渡しすることで行ってもよい。このTUSの受け渡しの具体例としては、発行されたTUSのみ又はTUSを発行したWeb連携サーバWFS2のURLと発行されたTUSを埋め込んだURLを作成し、このURLを記述した電子メールをユーザAの端末からユーザBの端末へ送信する。
【0090】
(2-3)TUSの解決とその利用
ユーザAの医療関連情報を取得しようとするユーザBは、自身のユーザ端末において、図11に示すように先ずシステムに対しログインする(ステップS111)。そうすると認証サーバIDPにおいて上記ログインユーザの認証処理が行われ(ステップS112)、ログインユーザの正当性が認められるとその応答がログイン元のユーザ端末に返送される。
【0091】
この状態で、ユーザBがユーザ端末において、ユーザAから渡されたTUSの解決を要求するための操作を行ったとする(ステップS113)。そうすると、ユーザ端末ではTUS解決要求が生成され、このTUS解決要求はWeb連携サーバWFS1へ送信される。Web連携サーバWFS1は、上記TUS解決要求を受信するとステップS114によりこのTUS解決要求を認証サーバIDPへ転送する。認証サーバIDPは、転送されたTUSを解決し(ステップS115)、その結果を要求元のユーザBのユーザ端末へ返送する。
【0092】
Web連携サーバWFS1は、ユーザ端末から送信されたTUS解決要求をユーザインタフェース21により受信すると、TUS解決要求モジュール27が要求されたTUSに含まれる入力パラメータをチェックする。そして、情報流通モジュール23を呼び出し、情報流通モジュール23が管理する要求元ユーザの認証結果情報を取得する。続いて、認証サーバIDPに送付するTUS解決要求電文を作成し、上記取得した要求元ユーザの認証結果と、上記作成されたTUS解決要求電文とを引数として情報流通モジュール23を呼び出し、認証サーバIDPへTUS解決要求電文を送信する。
【0093】
認証サーバIDPは、Web連携サーバWFS1から送信されたTUS解決要求電文を情報流通モジュール33により受信すると、TUS解決モジュール35が上記受信されたTUS解決要求電文をチェックする。そして、TUS解決要求電文よりTUSを取得し、認証サーバIDPの秘密鍵で復号する。
【0094】
次に、TUS解決モジュール35は、上記復号されたTUSの有効期限をチェックする。このチェックの結果、有効期限開始日時が設定されない場合には、すでに解決処理が開始されているものとして扱う。また、有効期限終了日時が設定されない場合には無期限として扱う。
【0095】
続いて、TUS解決モジュール35は、上記復号されたTUSがTUS失効リストデータベース38に記憶されていないか否かを判定する。つまり、上記復号されたTUSが失効していないかどうかを確認する。この判定の結果、解決を要求されたTUSが失効していなければ、上記復号されたTUSの仮名と、TUS解決要求電文に含まれるTUS発行元のWeb連携サーバWFS2のプロバイダIDを検索キーとして、情報流通モジュール33を介してシステムユーザデータベース37に対しアクセスし、仮名及びプロバイダIDに対応するシステムユーザIDを取得する。
【0096】
続いて、TUS解決モジュール35は、上記取得されたシステムユーザIDと、TUS解決要求電文にTUS解決要求元のWeb連携サーバWFS1のプロバイダIDを検索キーとして、情報流通モジュール33を介してシステムユーザデータベース37に対しアクセスし、これによりシステムユーザIDに該当する仮名を取得する。この処理により、TUS発行元のWeb連携サーバWFS2とは異なるWeb連携サーバWFS1でも、TUS解決要求を行うことができる。
【0097】
続いて、TUS解決モジュール35は、上記取得された仮名と、TUSから抽出したロール情報(ロールID)、所属組織情報(所属組織コード)および表示名とを含む応答電文を作成する。そして、この作成された応答電文を情報流通モジュール33から要求元のWeb連携サーバWFS1へ返送する。
【0098】
認証サーバIDPから応答電文を受け取ると、Web連携サーバWFS1のTUS解決要求モジュール27は、上記受け取ったTUS解決応答電文からTUSの構成要素である仮名、所属組織情報、ロール情報、表示名を取得し、TUSの発行元ユーザのユーザ識別子を生成する。そして、この生成されたTUSの発行元ユーザのユーザ識別子をユーザインタフェース21から解決要求元のユーザ端末へ返送する。
【0099】
上記TUSの発行元ユーザのユーザ識別子を受信すると、ユーザBはこの受信したユーザ識別子をもとにユーザAの医療関連情報を取得するための操作を行う(ステップS116)。例えば、このときユーザ端末には操作画面が表示され、ユーザBは表示されたメニューの中で「情報取得」を選択する。そうすると、ユーザ端末では情報取得要求が生成され、この情報取得要求はWeb連携サーバWFS1へ送信される。
【0100】
Web連携サーバWFS1は、上記ユーザ端末から送信された情報取得要求をユーザインタフェース21により受信すると、情報取得要求モジュール25が、ユーザBの認証結果情報と、上記受信された情報取得要求に含まれるユーザAのユーザ識別子を引数として、情報流通モジュール23を介して認証サーバIDPからデータプロバイドサーバ向けのユーザA及びユーザBの識別子を取得する。そして、この取得したデータプロバイドサーバ向けのユーザB及びユーザAの識別子をもとに、アクセス先のデータプロバイドサーバDPS1へ情報流通モジュール23から情報取得要求を送信する(ステップS117)。
【0101】
データプロバイドサーバDPS1は、Web連携サーバWFS1から送信された情報取得要求を情報流通モジュール12により受信すると、情報提供モジュール13が、上記要求に応じてローカルユーザデータベース17から該当するユーザAのローカルユーザIDを読み出す。そして、この読み出されたローカルユーザIDをもとに医療関連情報データベース15に対しアクセスし、上記ユーザAの該当する医療関連情報を読み出す。そして、この読み出された医療関連情報を、情報流通モジュール12から要求元のWeb連携サーバWFS1へ送信する(ステップS118)。
【0102】
Web連携サーバWFS1は、上記データプロバイドサーバDPS1から送信された医療関連情報を情報流通モジュール23で受信すると、情報取得要求モジュール25の制御の下で、この受信された医療関連情報をユーザインタフェース21からユーザBのユーザ端末へ転送する。」
したがって、上記引用文献2には、
「ユーザAの医療関係情報を担当医師であるユーザBが取得するにあたって、
ユーザAは、自身のユーザ端末において、システムにログインして、一時ユーザ指定子(TUS)の発行を要求するための操作を行って、Web連携サーバから送信されたTUSをユーザBのユーザ端末へ送信し、
ユーザBは、自身のユーザ端末において、システムにログインして、ユーザAから渡されたTUSの解決を要求するための操作を行い、Web連携サーバから発行元ユーザ(ユーザA)のユーザ識別子を受信して、ユーザAの医療関連情報を取得するための操作を行い、
TUSは、TUSの発行を要求したユーザを識別するための情報と、TUSの有効期間を表す情報と、乱数を含むTUS文字列を認証サーバの公開鍵を用いた暗号化処理と、Web連携サーバの秘密鍵を用いて署名が付与されることを含む暗号化処理がなされたものが発行要求元のユーザ端末に返送されるものであり、TUS文字列には、さらに、ユーザ属性と、発行元となるWeb連携サーバのプロバイダIDと、表示名を含めることも可能であり、
Web連携サーバは、
ユーザAのユーザ端末からのTUS発行要求を受信して、TUSを発行して要求元のユーザ端末へ返送し、
ユーザBのユーザ端末からのTUS解決要求を受信して、このTUS解決要求を認証サーバへ転送し、認証サーバから応答電文を受け取ると、応答電文からTUSの発行元ユーザ(ユーザA)のユーザ識別子を生成して解決要求元(ユーザB)のユーザ端末へ返送し、ユーザBのユーザ端末から情報取得要求を受信してデータプロバイドサーバからユーザAの該当する医療関連情報を受信してユーザBのユーザ端末に転送し、
認証サーバは、TUS解決要求電文よりTUSを取得して、認証サーバの秘密鍵で復号し、復号されたTUSの有効期限をチェックし、その際、有効期限開始日時が設定されない場合には、すでに解決処理が開始されているものと扱い、有効期限終了日時が設定されない場合は無期限として扱い、上記応答電文を要求元のWeb連携サーバに返送する、
システム」
の技術的事項が記載されていると認められる。
3.引用文献3について
引用文献3には、病院利用支援システムにおいて、患者タブレット端末1の操作に応じて患者情報の閲覧を医師タブレット端末2を操作する医師に許可すること、医師は医師タブレット端末2から患者の患者情報を閲覧して、患者に対して診察の推奨や診察予約を行うこと(段落[0012]-[0040]、[0076]-[0085]、図1等)が記載されている。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「患者」、「患者端末」、「医療従事者」、「医療関係施設」及び「医療従事者端末」は、本願発明1における「サービスの利用者」、「利用者端末」、「医療従事者」、「医療機関」及び「医療機関端末」にそれぞれ相当する。
イ 引用発明における「患者の最近の体調や症状に関する情報」である「回答情報」は、記録されるサービスの利用者の医療情報である点で、本願発明1の「利用者の医療情報」に相当しており、両者は利用者の医療情報を受信し、受信した医療情報を記録する医療情報記録部を有する点で一致する。
ウ 引用発明における「指示」のうち、グループのメンバーである医療従事者の医療機関端末からの利用者の医療情報の共有を求めるための「指示」と本願発明1の「閲覧要求」とは、利用者の医療情報を医療機関端末に送信するための医療機関端末からの閲覧要求である点で共通しており、両者は、医療機関端末からの閲覧要求に応答して医療情報記録部から抽出された情報を当該医療機関端末に送信する医療情報抽出部を有する点で共通するといえる。
エ 引用発明の「医療支援システム」と本願発明1の「情報処理システム」とは、下記の相違点を除いて、共通しているといえる。してみると、両者は、次の一致点で一致するといえる。
(一致点)
「サービスの利用者が使用する利用者端末、または、前記利用者が利用している医療機関の医療従事者が使用する医療機関端末から、前記利用者の医療情報を受信し、受信した前記医療情報を記録する医療情報記録部と、
前記医療機関端末からの閲覧要求に応答して、情報を前記医療情報記録部から抽出し、抽出した情報を前記医療機関端末に送信する医療情報抽出部と、
を有する、
情報処理システム。」
オ そして、両者は、次の相違点1~相違点3で相違している。
(相違点)
(相違点1)
本願発明1は「 前記利用者端末からのアクセスキー発行要求に応答して、前記医療情報を閲覧するためのアクセスキーを、前記医療機関に紐付けて発行し、発行した前記アクセスキーを前記利用者端末に送信するアクセスキー発行部」を有し、「アクセスキーの有効期限を設けない」のに対し、引用発明はアクセスキー発行部を有しない点。
(相違点2)
本願発明1の医療期間端末からの閲覧要求は「医療機関端末からのアクセスキーを伴う」ものであるのに対し、引用発明の閲覧要求は有効期限を設けないアクセスキーを伴うものでなく、患者毎に生成されたグループに係る患者の医療情報をこのグループのメンバーに限定して閲覧可能としている点。
(相違点3)
本願発明1の閲覧要求に応答して抽出されて医療期間端末に送信される情報は、「医療情報に含まれる情報項目のうち開示が許可に設定されている情報項目に係る情報」であるのに対し、引用発明では、そうではない点。
(2)相違点についての判断
ア 上記相違点1、2は、関連しているので、まとめて検討する。
原査定における副引例である引用文献2の記載事項は、「第4 引用文献、引用発明等」の「2.引用文献2について」に記載のとおりであり、要するに、引用文献2には、ユーザAの医療関係情報を担当医師であるユーザBが取得するにあたってユーザAの要求により発行された「一時ユーザ指定子(TUS)」をユーザBが解決要求することによって、取得が可能となる技術が記載されている。ここで、引用文献2の「一時ユーザ指定子(TUS)」は、「TUSの発行を要求したユーザを識別するための情報」、「TUSの有効期間を表す情報」、「乱数」を含むものであり、さらに、「ユーザ属性」、「発行元Web連携サーバのプロバイダID」、「表示名」を含むことが可能であり、「認証サーバの公開鍵を用いて暗号化」されるとともに「Web連携サーバの秘密鍵を用いて署名が付与」されているものである。
しかしながら、相違点1、2に係る本願発明1の「アクセスキー」は、「医療機関に紐付けて」発行されるとともに「有効期限を設けない」ものであり、これにより本願発明1は、「医師にとってはアクセスキーが患者に固有のものとして管理することが可能となり使い勝手が向上する。また、利用者(患者)にとっても、診察に度に新しいアクセスキーを医師に提示する必要が無く、一度提示するだけで、以降の自己の医療情報を医師が任意に閲覧可能となり、使い勝手の向上とともに、何時でも医師により見守られている安心感を得ることができ」(明細書段落【0042】)るという効果を奏するものであるのに対し、引用文献2には、「一時ユーザ指定子(TUS)」について、医療機関に紐付けて発行されることは記載されておらず、さらに、有効期限とともに暗号化され署名が付与されているものであるから、両者は、異なる機能を有するものである。
イ また、請求項10、11(補正前の請求項9、10)について引用された文献である引用文献3の記載事項は、「第4 引用文献、引用発明等」の「3.引用文献3について」に記載のとおりであり、引用文献3にも、相違点1、2に係る「アクセスキー」に係る技術的事項の記載はない。
よって、当業者といえども、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項から、相違点1、2に係る本願発明1の構成を容易に想到することはできない。
ウ なお、原査定では、引用文献2において「一時ユーザ指定子(TUS)」について、有効期限終了日時が設定されない場合には無期限と扱うことが記載されていること、医療関係情報の利用形態は医療業務の実態に応じて様々なものが想定され、必要に応じて医療関係情報へのアクセスを複数の医師に対して無期限に許容する必要性が発生することも想定されることを示して、引用発明と引用文献2に記載された技術的事項から容易想到である旨を説示している。
しかしながら、引用文献2には、「一時ユーザ指定子(TUS)」について、有効期限終了日時が設定されない場合には無期限と扱うことが記載されているものの、この記載は、何らかの原因で有効期限終了日時が設定されていない場合にTUSの解決ができなくなることを避ける旨を示すにとどまり、有効期限をあえて設定しない趣旨を示す記載ではない。また、本願発明1の「アクセスキー」は「医療機関に紐付け」されているものであるのに対して引用文献2の「一時ユーザ指定子(TUS)」がそのようなものでないことに照らせば、必要に応じて医療関係情報へのアクセスを複数の医師に対して無期限に許容する必要性があることは、相違点1、2についての容易想到性判断と無関係である。
エ したがって、上記相違点3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2.本願発明2-11について
本願発明2-11は、本願発明1を減縮した発明であり、上記相違点1、2に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3.本願発明12について
本願発明12は、システムの発明である本願発明1に対応するプログラムの発明であるり、上記相違点1、2に係る本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-12は、当業者が引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-017533