2020-014446
偏光板
- 審判番号
- 2020-014446
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-216399外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年10月15日
- 審決日
- 2021年09月29日
- 公報発行日
- 2022年01月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (G02B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 8項目
第1 事案の概要
1 手続等の経緯
特願2015-216399号(以下「本件出願」という。)は、平成27年11月4日を出願日とする出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
2 本願発明
本件出願の請求項1~請求項2に係る発明は、令和3年7月26日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1~請求項2に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のものである(以下「本願発明1」という。)。
「 厚みが18μm以下である偏光子と、該偏光子の両側にそれぞれ配置されたトリアセチルセルロースフィルムで構成された保護フィルムとを有する偏光板であって、85℃~90℃の範囲で2時間以上100時間以下の条件で加熱処理が施されており、貫通穴、外縁が面方向内方に凸の略V字形状をなす部位、外縁が面方向内方に凸のアール状をなす部位、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つが形成されており、ガラス板にサイズ100mm×100mmに切り出された前記偏光板を粘着剤で貼り合わせ、該ガラス板に貼り合わせた偏光板を-40℃の雰囲気下に30分放置した後に、85℃の雰囲気下に30分放置するという操作を100回繰り返したときの透過軸方向における寸法変化率が-0.2%~+0.1%であり、該粘着剤が、85℃の貯蔵弾性率と-40℃の貯蔵弾性率との差が1×109Pa未満、かつ、25℃の貯蔵弾性率が1×105Pa以上、かつ85℃の貯蔵弾性率が1×106Pa未満のアクリル系粘着剤であり、その厚みが20μmである、偏光板。」
3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の理由1(進歩性)の概要は、本件出願の請求項1に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明及び周知技術に基づいて、本件出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
なお、引用文献12は主たる引用発明が記載された文献として引用されたものであり、引用文献3、7は、周知技術を示す文献として引用されたものである。
第2 当合議体の判断
1 引用文献の記載及び引用発明等
(1)引用文献12について
当審拒絶理由において、主引用発明が記載された文献として引用され、本件出願の出願前に頒布された刊行物である、特開平6-167611号公報(以下「引用文献12」という。)には、以下の記載事項がある。なお、合議体が発明の認定及び判断等に用いた箇所に下線を付した。
ア 「【特許請求の範囲】【請求項1】80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下であることを特徴とする偏光板。」
イ 「【発明の詳細な説明】【0001】【産業上の利用分野】本発明は偏光板に関する。【0002】続きを表示(全19行)【従来の技術および発明が解決しようとする課題】・・・省略・・・【0004】このような高温環境下での処理やチャック終了後に液晶モジュ-ルを点灯してみると、周囲が中央部に比較して明るかったり、あるいは逆に暗くなったりするいわゆる色ムラ現象が発生することがあり、この現象は液晶表示装置の温度が室温まで下がっても解消されないという問題があった。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下である偏光板を用いることにより、上記問題点を解消できることを見出し本発明に到達した。【0006】すなわち本発明は、80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下である偏光板及びこれに位相差板を貼合した楕円偏光板に関するものである。【0007】本発明の偏光板に用いられる偏光子は特に限定されるものではなく、通常のもの、例えばポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)共重合体系ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素および/または二色性染料を吸着配向させた染料系偏光子、ポリビニルアルコール系フィルムを脱水処理するかあるいはポリ塩化ビニルフィルムを脱塩酸処理するかしてポリエン配向させたポリエン系偏光子が例示でき、その厚みは通常15μm~25μm程度である。【0008】偏光子に貼合される保護フィルムも特に限定されるものではなく、通常使用されているもの、例えば透明性に優れたトリアセチルセルロースフィルム(厚さ約50μm~200μm)が例示できる。そして保護フィルムは偏光子の両面にポリビニルアルコール系接着剤等の接着剤で貼合される。【0009】こうして得られた偏光板は、熱処理、真空乾燥等の方法で80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下となるよう、予め収縮処理が施される。偏光板を収縮させる方法は特に制限されるものではなく、熱処理や真空乾燥等の方法を用いることができる。収縮処理が十分でないと80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下とならず、このような偏光板を用いた楕円偏光板を組み込んだ液晶モジュ-ルは60℃以上の高温環境下で、色ムラ現象が発生してしまう。【0010】本発明の偏光板と位相差板とからなる楕円偏光板を組み込んだ液晶モジュ-ルは通常行われる高温環境下での処理及びチェック後、色ムラ現象が発生しない。本発明の偏光板は高温環境下での寸法安定性に優れるため、偏光板が収縮しその結果位相差板に応力が加わりレターデーション値が変化してしまうようなことがないためと考えられる。【0011】本発明における80℃で2時間放置した後の収縮率は、23℃、50%RHの雰囲気に24時間サンプルを放置した後、直角四辺形を切出し、切り出した直角四辺形を80℃、20%RHで2時間放置し、次に23℃、50%RHの雰囲気で15分間放置した後、4辺の収縮率をそれぞれ次式により求め、その最大値として定義される。収縮率(%)=〔(切り出した直後の寸法)-(23℃、50%RHで15分間放置後の寸法)〕÷(切り出した直後の寸法)×100・・・省略・・・【0014】【発明の効果】本発明の偏光板を用いた楕円偏光板を使用することにより、高温環境下での処理やチェック後、液晶モジュ-ルに色ムラが発生せず、均質な表示品位を保つことができる。」
ウ 「【0015】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例1偏光子としてポリビニルアルコ-ル系フィルム(厚み20μm)を用い、その両面に保護フィルムとしてのトリアセチルセルロ-スフィルム(厚み80μm)を貼合した偏光板(商品名 スミカラン SH-1832AP 住友化学工業(株)製:80℃で2時間放置した後の収縮率 0.59%)を、80℃のオーブンで96時間放置した(80℃で2時間放置した後の収縮率 0.16%)。この偏光板を位相差板(商品名 スミカライト SEF-400453A2住友化学工業(株)製)に貼り合わせ楕円偏光板とし、液晶セルに貼合した。この液晶セルをオートクレーブ中60℃、5kg/cm2で20分間処理をし、その後、60℃で1時間、さらに80℃で2時間熱処理した。液晶セルの色ムラを目視で評価したが、色ムラは発生していなかった。実施例2偏光板(商品名 スミカラン SH-1832AP 住友化学工業(株)製:80℃で2時間放置した後の収縮率 0.59%)を、80℃のオーブンで5時間放置した(80℃で2時間放置した後の収縮率 0.44%)。この偏光板を位相差板(商品名 スミカライト SEF-400453A2住友化学工業(株)製)に貼り合わせ楕円偏光板とし、液晶セルに貼合した。この液晶セルをオートクレーブ中60℃、5kg/cm2で20分間処理をし、その後、60℃で1時間、さらに80℃で2時間熱処理した。液晶セルの色ムラを目視で評価したが、色ムラは発生していなかった。」
(2)引用文献12に記載された発明
引用文献12の記載事項ウに基づけば、引用文献12には、実施例1として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 偏光子としてポリビニルアルコ-ル系フィルム(厚み20μm)を用い、その両面に保護フィルムとしてのトリアセチルセルロ-スフィルム(厚み80μm)を貼合した偏光板を、80℃のオーブンで96時間放置した偏光板。」
2 対比及び判断
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
ア 偏光子
引用発明の「偏光子」は、「ポリビニルアルコ-ル系フィルム(厚み20μm)を用い」たものである。
その文言及び材料からみて、引用発明の「偏光子」は、本願発明1の「偏光子」に相当する。
イ トリアセチルセルロースフィルム、保護フィルム
引用発明の「保護フィルム」は、「偏光子」「の両面に」「保護フィルムとしてのトリアセチルセルロ-スフィルム」「を貼合した」ものである。
その文言からして、引用発明の「トリアセチルセルロ-スフィルム」及び「保護フィルム」は、それぞれ本願発明1の「トリアセチルセルロ-スフィルム」及び「保護フィルム」に相当する。
また、その構成及び上記アの対比結果から、引用発明の「保護フィルム」は、本願発明1の「保護フィルム」における、「該偏光子の両側にそれぞれ配置されたトリアセチルセルロースフィルムで構成された」という要件を満たす。
ウ 加熱処理
引用発明は、「偏光板を、80℃のオーブンで96時間放置した」ものである。
ここで、引用発明の「80℃のオーブンで96時間放置した」ことは、加熱処理が施されたといえる。
そうしてみると、引用発明の「80℃のオーブンで96時間放置」することは、本願発明1の「加熱処理」に相当し、引用発明は、本願発明1の「加熱処理が施されており」という要件を満たす。
エ 偏光板
引用発明の「偏光板」は、「偏光子としてポリビニルアルコ-ル系フィルム(厚み20μm)を用い、その両面に保護フィルムとしてのトリアセチルセルロ-スフィルム(厚み80μm)を貼合した」ものである。
上記構成及びその文言の意味からみて、引用発明の「偏光板」は、本願発明1の「偏光板」に相当する。
また、上記ア~ウの対比結果から、引用発明の「偏光板」は、本願発明1の「偏光板」における、「偏光子と、該偏光子の両側にそれぞれ配置されたトリアセチルセルロースフィルムで構成された保護フィルムとを有する偏光板であって」及び「加熱処理が施されており」という要件を満たす。
(2)一致点及び相違点
以上より、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致する。
ア 一致点
「 偏光子と、該偏光子の両側にそれぞれ配置されたトリアセチルセルロースフィルムで構成された保護フィルムとを有する偏光板であって、加熱処理が施されている、偏光板。」
本願発明1と引用発明とは、次の点で相違又は一応相違する。
イ 相違点
(相違点1)
「偏光子」が、本願発明1は、「厚みが18μm以下である」のに対して、引用発明では、厚み20μmである点。
(相違点2)
「偏光板」が、本願発明1は、「貫通穴、外縁が面方向内方に凸の略V字形状をなす部位、外縁が面方向内方に凸のアール状をなす部位、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つが形成され」た構成を有するのに対して、引用発明は、当該構成を有していない点。
(相違点3)
「偏光板」が、本願発明1は、「85℃~90℃の範囲で2時間以上100時間以下の条件で加熱処理が施されて」いるのに対して、引用発明では、80℃のオーブンで96時間放置したものである点。
(相違点4)
「偏光板」が、本願発明1は、「ガラス板にサイズ100mm×100mmに切り出された前記偏光板を粘着剤で貼り合わせ、該ガラス板に貼り合わせた偏光板を-40℃の雰囲気下に30分放置した後に、85℃の雰囲気下に30分放置するという操作を100回繰り返したときの透過軸方向における寸法変化率が-0.2%~+0.1%であり、該粘着剤が、85℃の貯蔵弾性率と-40℃の貯蔵弾性率との差が1×109Pa未満、かつ、25℃の貯蔵弾性率が1×105Pa以上、かつ85℃の貯蔵弾性率が1×106Pa未満のアクリル系粘着剤であり、その厚みが20μmである」のに対して、引用発明では、上記寸法変化率が不明である点。
(3) 判断
ア 相違点1について
引用文献12の【0007】には、「本発明の偏光板に用いられる偏光子は特に限定されるものではなく、」「その厚みは通常15μm~25μm程度である。」ことが記載されている。
また、偏光板の技術分野において、偏光子の厚みを薄くすることが好ましいことは、文献を挙げるまでもなく本件出願の出願前周知の事項である。
したがって、引用発明において、上記の記載及び周知の事項に基づいて、偏光子の厚みとして、18μm以下のものを採用することは、当業者が容易に想到し得たものである。
イ 相違点2について
偏光板の技術分野において、偏光板に、貫通穴、外縁が面方向内方に凸の略V字形状をなす部位、外縁が面方向内方に凸のアール状をなす部位、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つを形成することは、例えば、国際公開第2007/108244号(引用文献3)の[0048]、図8、特開2014-211548号公報(引用文献7)の【0007】、図5等に記載されているように、本件出願の出願前に周知の技術である。
したがって、引用発明に、上記本件出願の出願前に周知の技術を採用し、上記相違点3に係る構成を得ることは当業者が容易に想到し得たものである。
ウ 相違点3及び4について
相違点3及び4は、製造方法とそれによって得られる偏光板の特性であって技術的に密接に関連することから、まとめて検討する。
引用文献12の【0009】の記載によれば、引用発明の「80℃のオーブンで96時間放置」する処理は、偏光板の収縮率を抑制するために、熱処理、真空乾燥等の方法で、予め施される収縮処理である。
そうしてみると、当該[A]収縮処理を効率的に行うため又は[B]偏光板の高温環境下での寸法安定性をより高めるために、オーブンの温度を若干高く(85℃~90℃)設定し、[A]処理時間(放置時間)をその分短く設定する又は[B]処理時間を維持する等して処理条件を調整し、本願発明1の処理条件(85℃~90℃の範囲で2時間以上100時間以下)に到ること(相違点3の構成に到ること)は、当業者が通常なし得る創意工夫の範囲内の事項である。
そして、調整後の処理条件で収縮処理を施した場合、「偏光子としてポリビニルアルコ-ル系フィルム(厚み20μm)を用い、その両面に保護フィルムとしてのトリアセチルセルロ-スフィルム(厚み80μm)を貼合した偏光板」を、「80℃のオーブンで96時間放置した」ものである、引用発明の「偏光板」は、、本件出願の明細書の【0011】、【0017】、【0020】、【0023】、【0024】及び【0026】~【0028】に記載されている、偏光子の材料、厚み、保護フィルムの材料、厚み、配置及び収縮条件(特に、【0020】の「1つの実施形態においては、偏光子の厚みは20μm以下であり、好ましくは18μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。このような厚みの偏光子を用いることにより、後述の加熱処理を施さなくても上記寸法変化率を良好に達成し得る。」、【0027】の「上記偏光フィルム積層体は、代表的には、上記偏光子の片側または両側それぞれに上記保護フィルムを貼り合わせることにより作製される。」、【0028】の「必要に応じて、上記偏光フィルム積層体を収縮させる。偏光フィルム積層体を収縮させることにより、例えば、偏光子の厚みに関わらず、良好に上記寸法変化率を達成し得る偏光板を得ることができる。収縮方法としては、代表的には、偏光フィルム積層体を加熱する方法が挙げられる。加熱温度は、例えば50℃~120℃、好ましくは70℃~90℃である。このような範囲であれば、偏光フィルム積層体の光学特性(例えば、色相、透過率、偏光度)を確保しながら、効率的に収縮させることができる。加熱時間は、例えば1時間~100時間、好ましくは2時間以上、さらに好ましくは10時間以上である。」を参照。)からみて、得られる偏光板と、本願発明1の「偏光板」とは、相違点4に係る「透過軸方向の寸法変化率」において相違するものではない。
なお、「偏光子」の「厚み」を18μmに変更した偏光板(相違点1の構成を具備する偏光板)に対して、調整後の処理条件で収縮処理を施した場合においても、本件出願の明細書の【0020】の記載や2μmという調整量からみて、得られる偏光板の「寸法変化率」は、依然として本願発明1の「寸法変化率」の範囲内にあると考えられる。また、「偏光板」を、「貫通穴、外縁が面方向内方に凸の略V字形状をなす部位、外縁が面方向内方に凸のアール状をなす部位、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される1つが形成され」た構成(相違点2に係る構成)を採用したとしても、本願発明では貫通穴等の個数、大きさ及び位置について特定されていないことから、得られる「偏光板」は、依然として相違点4に係る構成を満たすといえる。
仮に、得られる偏光板と、本願発明1の「偏光板」とが、相違点4に係る「透過軸方向の寸法変化率」において相違するとしても、引用発明の「80℃のオーブンで96時間放置」する処理は、引用文献12の【0009】の記載によれば、80℃で2時間放置した後の収縮率が0.5%以下である偏光板を得るためのものであり、本件出願の明細書の【0028】の記載からみて、収縮率が小さくなればなるほど、相違点4の条件下における「透過軸方向の寸法変化率」の値も0%に近づくものと認められるから、相違点4に係る「透過軸方向の寸法変化率」を満たす偏光板とすることは、当業者が容易になし得る事項である。
(4) 発明の効果について
本件出願の発明の効果として、本件出願の明細書の【0007】には、「本発明によれば、耐久性に優れた偏光板を得ることができる。」と記載されている。
しかしながら、本件出願の発明の上記効果は、引用発明から容易に想到し得る偏光板が奏する効果であって、当業者が引用発明から予測可能な範囲のものである。
(5)審判請求人の令和3年5月24日提出の意見書の主張について
請求人は、同意見書の「(3-2)補正後の請求項1の発明と引用文献に記載の発明との対比」の「(3-2-1)引用文献12に記載された発明を主引用発明(引用発明12)とする場合」において、「引用発明12における加熱温度は80℃のみです。さらに、引用発明12における偏光子厚みは20μmです。このように、補正後の請求項1の発明は、引用発明12に比べて、事前加熱温度が高く、かつ、偏光子の厚みが薄いものとなりました。本件出願の明細書には、所定条件で事前加熱することによりヒートショック試験後の寸法変化率を小さくできること(実施例1~3と比較例1との比較)、および、偏光子の厚みを薄くすることにより事前加熱しなくても当該寸法変化率を小さくできること(実施例5~6)が明確に記載されています。」旨主張している。
しかしながら、上記(3)で述べたとおりであり、審判請求人の上記主張は、採用することができない。
(6) 小括
本願発明1は、引用文献12に記載された発明及び本件出願前の周知の技術に基づいて、本件出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
第3 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用文献12に記載された発明及び本件出願の出願前に周知の技術に基づいて、本件出願の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-014446