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特許拒絶査定不服審判

2020-013924

照明制御システム

審判番号
2020-013924
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-058061外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年10月05日
審決日
2021年06月29日
公報発行日
2021年08月27日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015- 58061「照明制御システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月 6日出願公開、特開2016-178014、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 26項目
【理 由】

第1 手続の経緯

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本願は、平成27年3月20日の出願であって、平成30年12月19日付けで拒絶理由通知がされ、平成31年3月8日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲及び明細書について補正をする手続補正書が提出され、令和元年7月2日付けで拒絶理由通知がされ、同年8月30日に意見書が提出されるとともに、特許請求の範囲及び明細書について補正する手続補正書が提出され、同年12月25日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年2月10日に意見書が提出されたが、同年7月3日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対して同年10月5日に拒絶査定に対する審判請求をされると同時に、特許請求の範囲及び明細書について補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要

本願の請求項1~3に係る発明は、以下の引用文献1~4に記載された発明及び周知技術(例えば、以下の引用文献等5,6参照。)に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願の請求項4,5に係る発明は、以下の引用文献1~4に記載された発明及び周知技術(例えば、以下の引用文献等5~7参照。)に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願の請求項6に係る発明は、以下の引用文献1~4及び8に記載された発明及び周知技術(例えば、以下の引用文献等5~7参照。)に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願の請求項7に係る発明は、以下の引用文献1~4及び8に記載された発明及び周知技術(例えば、以下の引用文献等4~7,9参照。)に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、本願の請求項8に係る発明は、以下の引用文献2~4に記載された発明及び周知技術(例えば、以下の引用文献等5,6参照。)に基いて、本願出願前に当業者が容易に発明をすることができたものあるから、本願の請求項1~8に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・引用文献等一覧

1.特開2013-165004号公報

2.特開2006-93098号公報

3.特開2008-301523号公報

4.特開2014-72730号公報

5.特開2009-164800号公報

6.特開2012-142681号公報

7.特開2014-95685号公報

8.特開2012-169193号公報

9.特開2006-303942号公報

第3 審判請求時の補正について

審判請求時の手続補正により、請求項1,8における「前記表示部に表示させる前記受信信号強度の広さを狭い範囲から広い範囲へ変更でき」なる事項が、「作業者から前記設定器に操作が行われることによって前記表示部に表示させる前記受信信号強度の広さを狭い範囲から広い範囲へ変更できる機能と」(補正した部分に下線を付与。)なる事項へと補正されたが、該補正は、上記変更について、「作業者から前記設定器に操作が行われることによって」なる限定を追加することを含むものであって、属する技術分野や解決すべき課題を変更するものでもないから、限定的減縮を目的とするものであり、上記追加は、願書に最初に添付された明細書の「次いで、作業者が、手元の設定器10でRSSIレベルを狭くする(ステップ34)。RSSIレベル60とはデシベル表示された受信信号強度のことである。図11は、設定器の表示部を示す図である。この表示部(表示画面)は、複数の個別機器の固有IDとRSSI値(受信信号強度)を表示させるものである。作業者がRSSIレベル60を狭くすると、受信信号強度の大きい個別機器の固有IDを表示部に表示させることができ、RSSIレベル60を広くすると受信信号強度の小さい個別機器の固有IDも表示部に表示させることができる。作業者は、まずは、比較的狭いRSSIレベル60を指定する。」(【0024】、下線は当審が付与。)に基づくものであるから、新規事項の追加でない。

また、下記第6で説示するように、上記補正は、独立特許要件も満たすものである。

よって、上記補正は適法にされたものである。

第4 本願発明

本願の請求項1~8に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」~「本願発明8」という。)は、明細書、令和2年10月5日の手続補正書により補正された特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。

「【請求項1】
設定器と、
複数の個別機器と、
前記複数の個別機器を制御するコントローラと、を備え、
続きを表示(全29行)
前記設定器から前記コントローラに前記複数の個別機器の固有IDを要求すると、前記コントローラは前記複数の個別機器に電波を出し、前記複数の個別機器はID応答として、前記固有IDと前記電波の受信信号強度を前記コントローラを経由して前記設定器に返し、
前記設定器は、前記複数の個別機器に、前記固有IDよりも桁数の小さい任意のIDである任意IDを設定できるように構成され、
前記設定器には、前記複数の個別機器の固有IDと前記受信信号強度を表示させる表示部と、が設けられ、
前記設定器は、前記複数の個別機器のうち、特定の受信信号強度を返した個別機器を前記表示部に表示させる機能と、作業者から前記設定器に操作が行われることによって前記表示部に表示させる前記受信信号強度の広さを狭い範囲から広い範囲へ変更できる機能と、前記広い範囲では前記狭い範囲よりも前記設定器に返した前記受信信号強度が小さい前記個別機器を表示させる機能と、を有することを特徴とする照明制御システム。
【請求項2】
前記設定器は、前記複数の個別機器のうち、特定の受信信号強度を返し、かつ前記任意IDが未設定の個別機器だけを前記表示部に表示させる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記表示部に表示された前記固有IDの1つを選択すると、選択された前記個別機器が点滅することを特徴とする請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記電波は、920MHz帯の電波であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記ID応答には、前記個別機器の種類を示す種類情報が含まれることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記複数の個別機器には、照明器具と、画像センサと、壁スイッチが含まれ、
前記画像センサと前記壁スイッチは前記照明器具の照射光によって発電する太陽電池を備え、
前記複数の個別機器と前記コントローラは無線通信することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記複数の個別機器は、前記ID応答をする際、前記固有IDに対応した待ち時間経過後に前記固有IDと前記受信信号強度を返すことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
複数の個別機器と、
前記複数の個別機器を制御する制御部を有する設定器と、を備え、
前記設定器は、前記複数の個別機器の固有IDを要求する場合、前記複数の個別機器に電波を出し、前記複数の個別機器はID応答として、前記固有IDと前記電波の受信信号強度を前記設定器に返し、
前記設定器は、前記複数の個別機器に、前記固有IDよりも桁数の小さい任意のIDである任意IDを設定できるように構成され、
前記設定器には、前記複数の個別機器の固有IDと前記受信信号強度を表示させる表示部が設けられ、
前記設定器は、前記複数の個別機器のうち、特定の受信信号強度を返した個別機器を前記表示部に表示させる機能と、作業者から前記設定器に操作が行われることによって前記表示部に表示させる前記受信信号強度の広さを狭い範囲から広い範囲へ変更できる機能と、前記広い範囲では前記狭い範囲よりも前記設定器に返した前記受信信号強度が小さい前記個別機器を表示させる機能と、を有することを特徴とする照明制御システム。」

第5 引用文献の記載事項等

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1 引用文献1について

引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は当審が付与。以下同様。)。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御システムに関するものである。」
(2)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光源の種類は蛍光灯、LED、有機EL等、多様化が進んでおり、既存の器具に取り付けられた光源を異なる種類の光源に交換する場合があるが、このとき、光源の種類によって特性が異なることを考慮して初期照度補正を行う必要がある。また、特にLED等の特性は日進月歩であるため、光源を同じ種類の光源に交換する場合でも、光源の製品(型)によって特性が異なることを考慮して初期照度補正を行う必要がある。
【0005】
従来の照明装置は、対応する器具種類補正テーブルが記憶されていない光源の種類あるいは製品については、適切な初期照度補正を行うことができないという課題があった。
【0006】
本発明は、例えば、運用後に新たに製品化等されたものを含む様々な光源について、適切な初期照度補正を行うことを目的とする。」
(3)「【0011】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る照明制御システム10の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1において、照明制御システム10は、コントローラ11、通信ユニット12、照明装置13、人感センサ14、照度センサ15、壁スイッチ16、ワイヤレスリモコン17、設定装置18を備える。
【0013】
コントローラ11は、照明制御装置の例であり、壁スイッチ16の操作、人感センサ14の検知状態、照度センサ15によりモニタした照度値等に応じて、照明装置13の点滅(点灯/消灯)、調光状態を制御する。・・・
【0014】
通信ユニット12は、コントローラ11と無線通信又は有線通信を行う。この通信を上位通信という。また、通信ユニット12は、照明装置13、人感センサ14、照度センサ15、壁スイッチ16と信号線を介して2線式シリアル通信(双方向通信)を行う。この通信を下位通信という。通信ユニット12は、上位通信と下位通信との間のゲートウェイ機能をもつ。具体的には、通信ユニット12は、無線通信又は有線通信によりコントローラ11から受信したデータ設定、モニタリング指示、照明制御(点灯、消灯、調光等)に係る信号を2線式有線シリアル信号に変換する機能をもち、それぞれの照明装置13、人感センサ14、照度センサ15、壁スイッチ16に予め整理番号となる個別アドレスを割り付けて、個別にデータ設定、モニタリング指示、照明制御を行う。」

(4)「【0016】

照明装置13、人感センサ14、照度センサ15、壁スイッチ16は、図1に示すように、1台の通信ユニット12にそれぞれ1台の機器が接続されてもよいし、1台の通信ユニット12に複数の機器(例えば、照明装置13)が接続されてもよいし、1台の通信ユニット12にその他の任意の組み合わせで接続されてもよい。即ち、照明制御システム10の全体構成は、構築される照明システムの態様に応じて決められる。

(5)「【0022】
設定装置18は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)であり、コントローラ11や通信ユニット12と無線通信又は有線通信を行い、画面から照明装置13の光源の点灯制御や調光制御、コントローラ11や通信ユニット12を含む各機器の状態モニタやデータ設定を行う。設定装置18は、ワイヤレスリモコン17の入力部32aと同様の入力部32bを備える。」

(6)上記(3)及び(4)によれば、照明制御システム10は複数の照明装置13を備えること、及び、コントローラ11は複数の照明装置13を制御することが認められる。

(7)上記(3)(特に、【0014】)によれば、複数の照明装置13と通信ユニット12は信号線で接続されることが認められ、上記(4)も参酌すると、コントローラ11と複数の照明装置13とは通信ユニット12を介して通信することが認められる。

上記(1)~(7)によれば、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

「設定装置18と、
複数の照明装置13と
複数の照明装置13を制御するコントローラ11と、
通信ユニット12と、を備え、
複数の照明装置13と通信ユニット12は信号線で接続され、
設定装置18とコントローラ11とは無線で通信をし、コントローラ11と通信ユニット12とは無線で通信をし、コントローラ11と複数の照明装置13とは通信ユニット12を介して通信する、
照明制御システム10。」

2 引用文献2について

引用文献2には、図面とともに、以下の記載がある。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムを設定する設定方法、照明装置を設定する設定器、設定可能な照明装置、および設定器および照明装置を用いた照明システムに関する。」
(2)「【0011】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、複数の照明装置が設置されていても、任意の照明装置を特定してアドレス情報やグループ情報などの情報を容易に設定できる照明システムの設定方法、設定器、照明装置および照明システムを提供することを目的とする。」
(3)「【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
・・・
【0044】
図2に示すように、照明システムは、例えば、オフィスビルなどの各フロアや各エリアの天井に設置される複数の照明装置11を集中制御するもので、各照明装置11には固有のアドレス情報やグループ情報が設定されており、集中制御を行う図示しない主制御装置から各照明装置11に対してアドレス情報やグループ情報に対応付けて制御信号を送信することにより、各照明装置11は該当するアドレス情報やグループ情報の制御信号を受信して点灯状態を制御するように構成されている。」
(4)「【0134】
次に、図13は第5の実施の形態を示す照明システムの構成図である。
【0135】
照明システムの基本構成は第1の実施の形態と同様であるが照明装置11および設定器31の機能の一部が相違している。
【0136】
照明装置11には、出荷時に、暫定アドレス情報が予め設定されている。この暫定アドレス情報には、照明側制御部16のハードウェア上に書き込まれているハードウェア固有のアドレス情報や、ソフトウェア上で書き込まれたアドレス情報などが含まれる。照明装置11の照明側制御部16は、照明側送受信部14から設定用の無線信号を受信したときに設定用の無線信号の受信強度を検知しこの受信強度データおよび予め設定されている暫定アドレス情報の無線信号を送信させ、照明側送受信部14で該当する暫定アドレス情報とともに新たなアドレス情報の無線信号を受信したときに新たなアドレス情報を設定する機能を有している。
【0137】
設定器31の設定側制御部36は、設定側送受信部34から設定用の無線信号を送信させるとともに、照明装置11からの暫定アドレス情報とともに受信強度データの無線信号を受信し、受信強度に基づいて特定した暫定アドレス情報とともに新たなアドレス情報の無線信号を送信させる機能を有している。」
(5)「【0138】
そして、照明装置11のアドレスの設定動作について説明する。
【0139】
設定作業者は、設定器31を照明装置11が設置された場所に配置し、アドレス情報を設定する1つの照明装置11に最も近い位置で、設定器31から設定用の無線信号を送信させる。
続きを表示(全14行)
【0140】
設定器31からの無線信号の送信出力に応じた受信可能範囲に位置する各照明装置11では、設定用の無線信号を受信してその受信強度を検知し、その受信強度データおよび各照明装置11に予め設定されている暫定アドレス情報の無線信号を送信する。
【0141】
設定器31は複数の照明装置11からの暫定アドレス情報とともに受信強度データの無線信号を受信し、受信強度に基づいて、最も受信強度の強い暫定アドレス情報を最も近くに位置する照明装置11であると特定でき、この暫定アドレス情報とともに新たなアドレス情報の無線信号を送信する。
【0142】
照明装置11は、該当する暫定アドレス情報とともにアドレス情報の無線信号を受信し、自己の照明装置11のアドレス情報として照明側制御部16のメモリに登録する。
【0143】
続いて、別の特定の照明装置11のアドレス情報を設定する場合には、設定器31を次の1つの照明装置11に最も近い位置に移動し、同様に設定する。
【0144】
このように、設定器31から設定用の無線信号を送信することにより、この設定用の無線信号を受信した照明装置11が設定用の無線信号の受信強度を検知しこの受信強度データおよび予め設定されている暫定アドレス情報の無線信号を送信し、設定器31が照明装置11からの暫定アドレス情報とともに受信強度データの無線信号を受信し、受信強度に基づいて照明装置11を特定でき、特定した照明装置11の暫定アドレス情報とともに新たなアドレス情報の無線信号を送信し、特定した照明装置11が該当する暫定アドレス情報とともに新たなアドレス情報の無線信号を受信して新たなアドレス情報を設定することができ、照明装置11に対してアドレス情報を容易に設定できる。」

(6)上記(3)及び(4)によれば、照明システムは複数の照明装置11を有すると認められ、上記(5)(特に、【0144】)も参照すると、設定器31は、複数の照明装置11に設定用の無線信号を送信し、複数の照明装置11は、この設定用の無線信号の受信強度データと暫定アドレス情報を設定器31に送信すると認められる。

(7)上記(5)(特に、【0143】、【0144】)によれば、設定器31は、複数の照明装置11に、新たなアドレス情報を設定できると認められる。

上記(1)~(7)によれば、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

「複数の照明装置11と、
設定側制御部36を有する設定器31と、を有し、
設定器31は、複数の照明装置11に設定用の無線信号を送信し、複数の照明装置11は、この設定用の無線信号の受信強度データと暫定アドレス情報を設定器31に送信し、
設定器31は、複数の照明装置11に、新たなアドレス情報を設定できる、
照明システム。」

3 引用文献3について

引用文献3には、図面とともに以下の記載がある。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、行列形式のアドレスを持ち機器を制御する制御ユニット、行列形式のアドレスを持ち伝送路を分岐する分岐ユニット、これら制御ユニット及び分岐ユニットに行列形式のアドレスを割り振るアドレッシング装置を備え、オフィスビル等のフロアにおける複数の機器を制御する機器制御システムに関する。」
(2)「【0020】
図1(A)において、本実施形態に係る機器制御システムは、設定装置10と、複数の分岐ユニット11と、複数の制御ユニット12と複数の機器13と主伝送路28と分岐伝送路29とを備えて構成される。設定装置10と各分岐ユニット11とは、設定装置10から各分岐ユニット11へ主伝送路28で通信可能に順次に接続され、分岐ユニット11と各制御ユニット12とは、分岐ユニット11からこの分岐ユニット11が統括する各制御ユニット12へ分岐伝送路29で通信可能に順次に接続される。よって、設定装置10、分岐ユニット11及び制御ユニット12は、相互に通信可能に伝送路(主伝送路28及び分岐伝送路29)によって接続される。
【0021】
機器13は、建築物に複数個設置される電気機器であり、例えば、照明器具、空調機器、入退室管理装置、防犯装置、防災装置及び動力制御装置等である。制御ユニット12は、設定装置10からの制御データや他の制御ユニット12からの制御データに基づいて自己が管理する機器13を制御する装置であり、その構成・機能の詳細については後述する。分岐ユニット11は、主伝送路28における上流と下流との接続の開閉及び主伝送路28と分岐伝送路29との接続の開閉を行う装置であり、その構成・機能の詳細については後述する。なお、通信信号の伝送方向を示すために、設定装置10側を上流と呼称し、制御ユニット12の末端側を下流と呼称することとする。」
(3)「【0108】
このように動作することによって、機器制御システムの各ユニット11、12に行列形式の新アドレスが割り振られ、各ユニット11、12の制御ユニット記憶部34、44における新アドレス342、442に行列形式の新アドレスがそれぞれ格納される。そして、設定装置10のアドレッシング情報記憶部24における新旧アドレス対応表データ242にも図10(B)に示すように各ユニット11、12の旧アドレス、機種及び新アドレスがそれぞれ格納される。」

【図10】

4 引用文献4について

引用文献4には、以下の記載がある。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、設定器、およびこれを用いた通信システムに関するものである。」
(2)「【0031】
また、図5(b)に示すように、表示部33に表示される各通信端末Tの識別情報は、通信部32が受信したときの電波強度(RSSI:Received Signal StrengthIndication)が高い順にソート表示してもよい。一般に、識別情報を受信した時の電波強度が高いほど、この識別情報を送信した通信端末Tが、設定器Aの近くに存在するといえる。したがって、表示部33は、設定器Aの近くに存在する通信端末Tの識別情報を上位に表示しており、ユーザは、設定器Aから各通信端末Tまでの距離を把握しやすくなる。
【0032】
また、図5(c)に示すように、表示部33に表示される各通信端末Tの識別情報は、通信部32が受信した識別情報のうち、通信部32が受信したときの受信強度が、予め決められた閾値以上である識別情報のみを表示してもよい。この場合、設定器Aから遠くに存在する通信端末Tの識別情報は表示されず、設定器Aの近くに存在する通信端末Tの識別情報のみを表示するので、ユーザは、設定器Aが確実に通信可能な通信端末Tを把握しやすくなる。」

5 引用文献5について

引用文献5には、図面とともに以下の記載がある。

(1)「【技術分野】
【0001】
この発明は、無線機器に対して管理番地設定器より無線通信により管理番地を設定する無線機器への管理番地設定方法およびシステムに関するものである。」
(2)「【0017】
図1において、無線機器1-1~1-6は天井裏に設置され、管理番地設定器2は室内側において操作者が携帯する。無線機器1-1~1-6には、製造番号のような機器固有の識別情報(以下、識別コードと呼ぶ)が設定されている。この識別コードは、管理番地設定器2の交信圏内で重複がなければよい。」
(3)「【0025】
管理番地設定器2は、無線機器1-1~1-5から返送されてきた識別コードを画面中の識別コード選択部BL4に一覧表示する(図4(d))。この例では、受信電波強度をチェックし、受信電波強度の強い順に識別コードを上から並べて表示する。また、その識別コードに対応して、受信電波強度(強、中、弱)を表示する。これにより、管理番地設定器2に近い無線機器ほど、その識別コードが上位に表示される。この識別コードの一覧は、本発明で言う「識別情報を返送してきた無線機器の一覧」に対応する。なお、識別コードではなく、識別コードを返送してきた無線機器に仮の番号などを付けて表示するようにしたり、アイコン(絵文字)を表示するようにしたりしてもよい。」

6 引用文献6について

引用文献6には、図面とともに以下の記載がある。

(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセスポイントの探索を行うための無線アクセスポイント探索装置、その制御方法、および制御プログラムに関し、特に、無線LANステーションにおける無線LANの設定方法に関する。」
(2)「【0037】
ここでは、探索の結果、4つのAPが見つかったものとする。そして、探索結果一覧には、各APについて、電波強度、無線チャンネル(以下単にチャンネルと呼ぶ)、セキュリティ、およびSSID名称が表示される。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1における「設定装置18」、「照明装置18」、「コントローラ11」、「照明制御システム10」は、それぞれ、本願発明1における「設定器」、「個別機器」、「コントローラ」、「照明制御システム」に相当する。

そして、引用発明1における「複数の照明装置18を制御するコントローラ11」は、本願発明1における「前記複数の個別機器を制御するコントローラ」に相当する。

そうすると、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点>

「設定器と、
複数の個別機器と、
前記複数の個別機器を制御するコントローラとを、備える照明制御システム。」

<相違点1>

本願発明1は、「前記設定器から前記コントローラに前記複数の個別機器の固有IDを要求すると、前記コントローラは前記複数の個別機器に電波を出し、前記複数の個別機器はID応答として、前記固有IDと前記電波の受信信号強度を前記コントローラを経由して前記設定器に返」すのに対し、引用発明1は、そのような構成がない点。

<相違点2>

本願発明1は、「前記設定器は、前記複数の個別機器に、前記固有IDよりも桁数の小さい任意のIDである任意IDを設定できるように構成され、前記設定器には、前記複数の個別機器の固有IDと前記受信信号強度を表示させる表示部と、が設けられ」るのに対し、引用発明1は、そのような構成がない点。

<相違点3>

本願発明1は、「前記設定器は、前記複数の個別機器のうち、特定の受信信号強度を返した個別機器を前記表示部に表示させる機能と、作業者から前記設定器に操作が行われることによって前記表示部に表示させる前記受信信号強度の広さを狭い範囲から広い範囲へ変更できる機能と、前記広い範囲では前記狭い範囲よりも前記設定器に返した前記受信信号強度が小さい前記個別機器を表示させる機能と、を有する」のに対し、引用発明1は、そのような構成がない点。

(2)判断

事情を鑑み、まず、相違点3について検討する。

相違点3に係る本願発明1の構成は、表示部に表示させる前記受信信号強度の広さを狭い範囲から広い範囲へ変更できる機能を有するものであるところ、該機能については、原査定で提示された引用文献2~6のいずれにも開示されていない。例えば、引用文献4には、通信部32が受信した識別情報のうち、受信業度が予め決められた閾値以上の識別情報のみ表示することが記載されているが、該閾値は、文字通り固定されたものであり、変更可能であることは、引用文献4には記載も示唆もない。

そうすると、引用発明1において、引用文献2~6に記載のいずれの事項を適用しても、相違点3に係る本願発明1の構成とすることはできないから、相違点1及び2について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2~6に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2~7について

本願発明2~7は、本願発明1の構成を全て有するものであるから、上記1(2)に説示したのと同様に、引用発明1及び引用文献2~9に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 本願発明8について

(1)対比

本願発明8と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「照明装置11」、「設定器31」、「有」すること、「設定用の無線信号」、「受信強度データ」、「暫定アドレス情報」、「新たなアドレス情報」、「照明システム」は、それぞれ、本願発明8における「個別機器」、「設定器」、「備え」ること、「電波」、「受信信号強度」、「固有ID」、「任意ID」、「照明制御システム」に相当する。

引用発明2は、照明装置11に設定用の無線信号を送信することで、設定器31が、照明装置11から暫定アドレス情報を受信することを勘案すると、引用発明2における「複数の照明装置11に設定用の無線信号を送信」することは、本願発明8における「前記複数の個別機器の固有IDを要求する場合、前記複数の個別機器に電波を出」すことに相当し、引用発明2における「複数の照明装置11は、この設定用の無線信号の受信強度データと暫定アドレス情報を設定器31に送信」することは、本願発明8における「前記複数の個別機器はID応答として、前記固有IDと前記電波の受信信号強度を前記設定器に返」すことに相当する。

そして、引用発明2における「複数の照明装置11に、新たなアドレス情報を設定できる」ことは、本願発明8における「前記複数の個別機器に、任意IDを設定できるように構成される」ことに相当する。

そうすると、本願発明8と引用発明2との一致点及び相違点は以下のとおりとなる。

<一致点>

「複数の個別機器と、
設定器と、を備え、
前記設定器は、前記複数の個別機器の固有IDを要求する場合、前記複数の個別機器に電波を出し、前記複数の個別機器はID応答として、前記固有IDと前記電波の受信信号強度を前記設定器に返し、
前記設定器は、前記複数の個別機器に、任意IDを設定できるように構成される、照明制御システム。」

<相違点4>

設定器において、本願発明8は、「前記複数の個別機器を制御する制御部」を有するのに対し、引用発明2は、「設定側制御部36」を有する点。

<相違点5>

任意IDについて、本願発明8は、「前記固有IDよりも桁数の小さい任意のID」であるのに対し、引用発明2は、そのようなものではない点。

<相違点6>

本願発明8は、「前記設定器には、前記複数の個別機器の固有IDと前記受信信号強度を表示させる表示部が設けられ」るのに対し、引用発明2は、そのような構成がない点。

<相違点7>

本願発明8は、「前記設定器は、前記複数の個別機器のうち、特定の受信信号強度を返した個別機器を前記表示部に表示させる機能と、作業者から前記設定器に操作が行われることによって前記表示部に表示させる前記受信信号強度の広さを狭い範囲から広い範囲へ変更できる機能と、前記広い範囲では前記狭い範囲よりも前記設定器に返した前記受信信号強度が小さい前記個別機器を表示させる機能と、を有する」のに対し、引用発明2は、そのような構成がない点。

(2)判断

事情に鑑み、まず、相違点7について検討する。

相違点7に係る本願発明8の構成は、相違点3に係る本願発明1の構成と同じであるから、上記1(2)で説示したのと同様に、本願発明8も、引用発明2及び引用文献3~6に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定について

上記第2に説示したとおり、審判請求時の補正は適法であり、上記第6で説示したとおり、当業者であっても、本件発明1は、原査定において引用された引用文献1~6に記載された発明又は事項に基いて発明をすることができたものであるとはいえず、本件発明2~7は、原査定において引用された引用文献1~9に記載された発明又は事項に基いて発明をすることができたものであるとはいえず、本件発明8は、原査定に引用された引用文献2~6に記載された発明又は事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。したがって、原査定の拒絶理由を維持できない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-013924

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