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特許拒絶査定不服審判

2020-010977

無燃料動力源装置

審判番号
2020-010977
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-192947
請求日
2020年06月30日
審決日
2021年03月17日
公報発行日
2021年07月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】岩崎 好祐
審判長/審判官
  • 審判長 柿崎 拓
  • 審判官 佐々木 芳枝
  • 審判官 窪田 治彦
分類
P18 .561-Z (H02N) / P18 .14 -Z (H02N) / P18 .536-Z (H02N) / P18 .537-Z (H02N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項特許法36条4項1号特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第17条の2第3項、特許法第159条第1項、特許法第68条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018-192947「無燃料動力源装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 4月 2日出願公開、特開2020- 54212〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成30年9月21日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 元年10月23日付け:拒絶理由通知 令和 2年 5月29日付け:拒絶査定 令和 2年 7月 1日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和2年7月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和2年7月1日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正の内容 本件補正は、明細書の【図面の簡単な説明】において、 「【図5】無燃料動力装置の上部に発電タービンを固定設置した物 図1 【図6】単加磁力反応図2 【図7】単加磁力反応図3 【図8】請求項2の追加図面動力源棒詳細図4 【図9】請求項2の追加図面動力源棒詳細図5」 との事項を追加するとともに、図5ないし図9を追加するものである。 2 補正の適否 本件補正によって追加された事項が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであるか否かを判断する。 (1)当初明細書等の記載 当初明細書等には、以下の記載がある。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 動力源棒(上部には、永久磁石設置)をエアサスペンションにより回転体に設置している永久磁石の磁場のある所まで上昇させ、磁石の吸着、反発の力を利用して回転体を回転させる無燃料動力装置 【請求項2】 動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで、床下に落下させる事で、緊急停止させる事」 イ 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 この発明により、動力源棒(上部に永久磁石設置)をエアサスペンションで回転体に設置の永久磁石の磁場に反応させ、磁石の吸着、反発の力を利用し回転体を回転させる。 【0002】 この発明により、動力源棒(上部に永久磁石設置)のA-偶数の物をエアサスペンションで床下に落下させる事で緊急停止させる事が出来る。」 ウ 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【無燃料での発電が可能になる】」 エ 「【課題を解決するための手段】 【回転体の上に発電タービンを設置する事で、無燃料での発電が可能となる。】」 オ 「【発明の効果】 【無燃料での発電する為、化石燃料の削減になる。】」 カ 「【図面の簡単な説明】 【図1】A1~A74 動力源棒 上部に永久磁石を設置 奇数N極 偶数S極 B1~B74 回転体内に設置された永久磁石 全て底部がS極 A1~A74 動力源棒 下部にエアサスペンション設置 回転体底部GLにベアリング設置 【図2】A1~A74 動力源棒 A偶数の物を床下に落下させる事で回転体の緊急停止 【図3】B1~B74 永久磁石を含む回転体単体図 回転体底部GLにベアリング設置 【図4】A1~A74 動力源棒、エアサスペンションのみの図」 キ 「【発明を実施するための形態】 【発電プラントでの発電装置】 【実施例】 【無燃料動力装置の回転体の上に発電タービンを設置し発電する】」 ク 「【符号の説明】 [1.A1~A74 動力源棒 2.B1~B74 回転体設置永久磁石 3.C ベアリング 4.D エアサスペンション 図面上動力源棒の下に設置ですが省略 5.FL 床上 〔符号の説明続き〕 6.GL グランドライン 7.aa ライン動力源棒永久磁石上部最大限高さ 8.ab ライン動力源棒永久磁石底部最大限高さ 9.ba ライン回転体設置永久磁石上部高さ 10.bc ライン回転体設置永久磁石底部高さ」 (2)本件補正の適否の判断 本件補正により追加された図8には、動力源棒が上昇位置にあることが図示され、また、本件補正により追加された図9には、動力源棒が下降位置にあることが図示されている。そして、図8に示されるように、装置の下部にあるエアポンプが動力源棒の下部の空間に空気を供給することで、動力源棒が上昇し、図9に示されるように、動力源棒の下部の空間の下にある電磁弁により、動力源棒の下部の空間から空気が排出されることで、動力源棒が落下すると考えられる。 しかしながら、当初明細書等には、「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで床下に落下させる(請求項2)」ことや「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで、床下に落下させる(段落【0002】)」ことが記載されるのみであって、動力源棒の一部だけを落下させるためのエアサスペンションの具体的な機構として、図8及び図9に示されるように、吸気口、エアポンプ、逆止弁、電磁弁、排気口等を配置することは何ら記載されておらず、当初明細書等の記載から自明でもない。特に、請求項2に記載された「動力源棒の一部だけを落下させる」ための具体的構成を明らかにすべく本件補正がされたものと解されるところ、「動力源棒の一部だけを落下させる」ために図8及び図9に示されるような電磁弁を用いることは当初明細書等には何ら記載がなく、当初明細書等の記載から自明な事項でもない。 そうすると、図8及び図9を追加する補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。 したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 第3 本願の請求項1及び請求項2について 1 本願の請求項1及び請求項2の記載 本願の請求項の記載は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1及び2は、上記「第2 2(1)ア」に記載されたとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 1.(発明該当性)この出願の請求項1及び2に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。 2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の請求項2の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 3.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由1(発明該当性)について 特許請求の範囲の請求項1には「動力源棒(上部には、永久磁石設置)をエアサスペンションにより回転体に設置している永久磁石の磁場のある所まで上昇させ、磁石の吸着、反発の力を利用して回転体を回転させる無燃料動力装置」との記載があり、明細書には「無燃料での発電が可能になる」、「回転体の上に発電タービンを設置する事で、無燃料での発電が可能となる」との記載があるから、請求項1及び2に係る無燃料動力装置は、外部からエネルギーを追加することなく、回転体を回転させ、その回転体から永続的にエネルギーを取り出すことを意図していると理解できる。 しかしながら、本願の請求項1及び2に係る無燃料動力装置において、最初に与えられた回転体の回転エネルギー以上の新たなエネルギーが、磁石の吸着や反発の力によって生まれることはない。 本願の請求項1及び2に係る無燃料動力装置が、外部からエネルギーを追加することなく、回転体を回転させ、その回転体から永続的にエネルギーを取り出すことを意図しているとすれば、それは自然法則の一つであるエネルギー保存の法則に反することになる。 そして、そのような自然法則に反する発明は、特許法上の「発明」ということはできず、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たさないため、特許を受けることができない。 ●理由2(明確性)について 請求項2には、「・・・緊急停止させる事」と記載されているが、この記載では、請求項2が意図する発明が、緊急停止させることができる「装置」(すなわち、物)の発明であるのか、それとも装置を緊急停止させることができる「方法」の発明であるのかが、明確に判断できず、請求項2に係る発明は、その発明が属するカテゴリ(物か、方法か)が不明確である。 ●理由3(実施可能要件)について 請求項2には、「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで、床下に落下させる」と記載され、また、これに関連して明細書には、「動力源棒(上部に永久磁石設置)のA-偶数の物をエアサスペンションで床下に落下させる事で緊急停止させる」との記載がある。 しかしながら、明細書の発明の詳細な説明や図面には、エアサスペンションがどのような構造をしているのか、さらにはエアサスペンションが動力源棒をどのように支持するものなのかが、当該技術分野における通常の知識を有する者が理解できる程度に明確かつ十分に記載されていない。 特に、床に落下させない動力源棒と床に落下させることを可能とした動力源棒とで、エアサスペンションによる支持の方法がどのように異なるのか、さらには、動力源棒の一部だけを落下させることをどのようにエアサスペンションで実現させるのかが、当該技術分野における通常の知識を有する者が理解できる程度に明確かつ十分に明細書の発明の詳細な説明や図面に記載されていない。 3 当審の判断 (1)発明該当性について 特許請求の範囲の請求項1には「動力源棒(上部には、永久磁石設置)をエアサスペンションにより回転体に設置している永久磁石の磁場のある所まで上昇させ、磁石の吸着、反発の力を利用して回転体を回転させる無燃料動力装置」との記載がある。 ここで、請求項1の記載、及び、発明の詳細な説明の段落【0001】の記載を参照すると、図1ないし図4に示された装置は、全体が円筒状に配置された複数の動力源棒A1~A75(【符号の説明】においてはA1~A74とされている。)であって、当該動力源棒A1~A75のうち奇数の動力源棒(A1,A3,・・・,A75)の上部にN極の永久磁石、偶数の動力源棒(A2,A4,・・・,A74)の上部にS極の永久磁石が配されていることが理解できる。また、同記載から、図1ないし図4に示された装置は、全体が円筒状に配置された回転体に設置された永久磁石B1~B75(【符号の説明】においてはB1~B74とされている。)であって、当該回転体に設置された永久磁石B1~B75の底部がS極となるように設置されていることが理解できる。 そして、請求項1には、「動力源棒(上部には、永久磁石設置)をエアサスペンションにより回転体に設置している永久磁石の磁場のある所まで上昇させ、磁石の吸着、反発の力を利用して回転体を回転させる」との記載があるものの、具体的に、動力源棒A1~A75をエアサスペンションによりどのように上昇させるのか、また、「回転体に設置している永久磁石の磁場のある所」とはいかなる場所であるか、発明の詳細な説明を参照しても明らかでないが、回転体に設置された永久磁石B1~B75の底部がS極であるから、回転体に設置された永久磁石B1~B75の上部はN極であると解され、そうすると、請求項1の「動力源棒(上部には、永久磁石設置)をエアサスペンションにより回転体に設置している永久磁石の磁場のある所まで上昇させ」ることは、動力源棒A1~A75が、これらの上部に配された永久磁石が回転体に設置された永久磁石B1~B75の上部に対向する位置まで上昇することを意味すると解される。さらに、請求項1における「磁石の吸着、反発の力を利用して回転体を回転させる」こととは、動力源棒A1~A75のうち奇数の動力源棒(A1,A3,・・・,A75)の上部に配されたN極の永久磁石が、回転体に設置された永久磁石B1~B75の上部のN極と反発し、偶数の動力源棒(A2,A4,・・・,A74)の上部に配されたS極の永久磁石が回転体に設置された永久磁石B1~B75の上部のN極に吸着することで、回転体を回転させることを意味すると解される。 しかしながら、請求項1に記載された装置において、動力源棒A1~A75が、これらの上部に配された永久磁石が回転体に設置された永久磁石B1~B75の上部に対向する位置まで上昇した場合、両者の磁石の吸着、反発により、(360/74)度の範囲内において、回転体がわずかに回動することはあっても、両者の磁石の吸着力と反発力が釣り合う位置において停止すると考えられる。 ここで、【発明の詳細な説明】を参照すると、【発明が解決しようとする課題】には「無燃料での発電が可能になる」との記載があり、【課題を解決するための手段】には「回転体の上に発電タービンを設置する事で、無燃料での発電が可能となる」との記載がある。これらの記載からすれば、請求項1に記載された「無燃料動力装置」は、燃料源棒が上昇した際に、回転体がわずかに回動すれば足りるものではなく、無燃料で発電タービンを回転させて電力を得ること、すなわち、外部からエネルギーを供給することなく、回転体を回転させ、その回転体から永続的にエネルギーを取り出すことを意図していると理解できる。 そして、エネルギーを外部から供給しない限り、請求項1に記載された回転体が永続的に回転することがないことは、エネルギー保存の法則に照らして明らかであり、エネルギーを外部から供給することなく、回転体を回転させ、その回転体から永続的にエネルギーを取り出すことは、エネルギー保存の法則に反することとなる。 したがって、本願の請求項1に記載された「無燃料動力装置」は、外部からエネルギーを供給することなく、永続的にエネルギーを取り出そうとするものであり、エネルギー保存の法則という物理法則に反するものであるから、自然法則を利用したものではなく、特許法第29条第1項柱書の「発明」ではない。 請求項2に記載された「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで、床下に落下させる事で、緊急停止させる事」については、記載上請求項1を引用しないものとなっているが、仮に、請求項1を引用するものであるとすると、上記請求項1について示したと同様の理由により、自然法則を利用したものではなく、特許法第29条第1項柱書の「発明」ではない。 (2)明確性について 上記(1)で示したとおり、請求項1に記載された「無燃料動力装置」は特許法第29条第1項柱書の「発明」ではなく、また、仮に、請求項2が請求項1を引用するものであるとすれば、同様に、特許法第29条第1項柱書の「発明」ではないが、仮に、「発明」に該当するものとして、請求項2の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たすか検討する。 ここで、特許法第68条で「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する」とし、第2条第3項では「実施」を物の発明、方法の発明及び物を生産する方法の発明に区分して定義している。これらを考慮すれば、請求項に係る発明の属するカテゴリーが不明確である場合又は請求項に係る発明の属するカテゴリーがいずれのカテゴリーともいえない場合に、そのような発明に特許を付与することは権利の及ぶ範囲が不明確になり適切でない。 そして、請求項2の記載をみると、「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで、床下に落下させる事で、緊急停止させる事」とあり、上記したように仮に請求項2が請求項1の「無燃料動力装置」を引用するものであるとしても、請求項2に記載されたものが、「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで、床下に落下させる事で、緊急停止させる、請求項1記載の無燃料動力装置」であるのか、「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで、床下に落下させる事で、緊急停止させる、請求項1記載の無燃料動力装置の緊急停止方法」であるのか、明らかでない。したがって、請求項2の記載では、当該記載から把握されるものが、「方法」の発明であるのか、「物」の発明であるのか不明であり、そのため、発明の権利が及ぶ範囲が不明確である。 したがって、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 審判請求書には、「請求項2 請求項1に記載している回転している回転体に動力源棒1~75の内の奇数番号のみの動力源棒を回転体中段の高さに上昇させN極上部の偶数の動力源棒を回転体中段のS極磁石までに上昇しN極とS極を吸着させこの磁力ガウスを利用し、回転体の底辺装置のベアリングを緊急停止させ、S極の動力源棒をFLの高さまで低下させ緊急停止させる事が出来る事が可能。」と記載されていることから、請求項2は、請求項1を引用することを意図していると解される一方で、同審判請求書には、「請求項2の通り、請求項1との独立した物を意図しています。」との記載があり、請求項1とは独立した請求項であるとも解され、審判請求書の記載を参照しても、請求項2が請求項1を引用するものであるのか否かは判然としない。 しかしながら、請求項に係る発明は、当該請求項に記載された事項から把握すべきものであるから、仮に、審判請求人が、審判請求書において、請求項2は、請求項1を引用することを意図していることを主張するものであるとしても、請求項2の記載に基づかない主張であり、採用できない。 (3)実施可能要件について 実施可能要件とは、その発明が属するカテゴリー(物の発明、方法の発明及び物を生産する方法の発明)を把握した上で判断すべきものであるところ、そもそも、上記(2)で示したとおり、請求項2に記載された事項のカテゴリーは不明であるから、何を以て、請求項2に記載された事項の実施とすべきか不明であるが、仮に、請求項2が請求項1を引用する「無燃料動力装置」であるとして、請求項2に記載された特定事項を備えた無燃料動力装置を製造し、使用することが可能であるか、以下、判断する。 請求項2には、「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部だけをエアサスペンションで、床下に落下させる事で、緊急停止させる事」と記載されており、これに関して、発明の詳細な説明の段落【0002】には、「この発明により、動力源棒( 上部に永久磁石設置) のA - 偶数の物をエアサスペンションで床下に落下させる事で緊急停止させる事が出来る。」と記載されており、請求項2に記載された「動力源棒(上部には、永久磁石)の一部」とは、図1、図2及び図4に記載された動力源棒A1~A75のうち、偶数の動力源棒(A2,A4,・・・,A74)を意味し、これらを偶数の動力源棒(A2,A4,・・・,A74)だけをエアサスペンションで床下に落下させることで、図1及び図2に示された装置を緊急停止させることを意図するものであると解される。 しかしながら、明細書全体及び図面を参照しても、動力源棒A1~A75のうち、偶数の動力源棒(A2,A4,・・・,A74)を床下に落下させるためのエアサスペンションの具体的な構造が不明であり、また、エアサスペンションが具体的にどのように動力源棒A1~A75を支持し、緊急停止に際し、動力源棒A1~A75のうち、偶数の動力源棒(A2,A4,・・・,A74)だけをエアサスペンションによりどのように床下に落下させるのか不明である。 そうすると、発明の詳細な説明は、当業者がこの発明を製造し、使用することができる程度に記載したものであるとはいえない。 ここで、上記「第2 令和2年7月1日にされた手続補正についての補正の却下の決定」のとおり、令和2年7月1日にされた手続補正は却下されたが、念のため、当該補正により補正された発明の詳細な説明が、当業者が請求項2に記載された発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるか検討する。 上記「第2 2(2)」に記載したとおり、図8に示されるように、装置の下部にあるエアポンプが動力源棒の下部の空間に空気を供給することで、動力源棒が上昇し、図9に示されるように、動力源棒の下部の空間の下にある電磁弁により、動力源棒の下部の空間から空気が排出されることで、動力源棒が落下すると考えられるが、さらに、図8及び図9を参照しても、動力源棒で構成されていると思われる部分がエアサスペンションのピストンに相当する軸に接続されていることが示されているのみであって、この構造で動力源棒の下部の空間から空気を排出すると、すべての動力源棒が落下すると考えられ、どのように、動力源棒A1~A75のうち、偶数の動力源棒(A2,A4,・・・,A74)だけを落下させるのか、依然として不明である。 そうすると、発明の詳細な説明は、当業者が請求項2に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえず、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 むすび 以上のとおり、本願の請求項1及び2に記載されたものは、特許法第29条第1項柱書の「発明」に該当せず、また、本願は、特許請求の範囲の記載が同法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、さらに、本願は、発明の詳細な説明の記載が同法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する

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2020-010977

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