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特許拒絶査定不服審判

2020-010327

複合容器およびワイン製品

審判番号
2020-010327
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-131676外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年07月22日
審決日
2021年03月02日
公報発行日
2021年06月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .56 -WZ (B65D) / P18 .121-WZ (B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-131676「複合容器およびワイン製品」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日出願公開、特開2017- 13833〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
【理 由】

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成27年6月30日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 3月15日付け:拒絶理由通知
令和 1年 5月17日  :意見書、手続補正書の提出
令和 1年10月24日付け:拒絶理由通知(最後)
令和 1年12月 4日  :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 5月12日付け:補正の却下の決定、拒絶査定
令和 2年 7月22日  :審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年10月13日  :上申書の提出

第2 令和2年7月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和2年7月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)

「ワイン充填用複合容器において、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外面にプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され、
前記容器本体は、無色透明であり、
前記プラスチック製部材は、ガスバリア層を有し、
前記プラスチック製部材が、前記容器本体に、接着されることなく、密着されており、
前記プラスチック製部材は、着色剤を含んでなり、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色または白色に着色されていることを特徴とする、複合容器。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、令和1年5月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。

「ワイン充填用複合容器において、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外面にプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され、
前記プラスチック製部材は、ガスバリア層を有し、
前記プラスチック製部材が、前記容器本体に、接着されることなく、密着されていることを特徴とする、複合容器。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明特定事項である容器本体について、「無色透明」との限定を付加し、同様に、プラスチック製部材について、「着色剤を含んでなり、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色または白色に着色されて」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明

本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項

折りたたみ中(クリックで表示)

ア 引用文献1

(ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2015-9494号公報(平成27年1月19日公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

なお、理解の助けとなるように当審にて下線を付した。以下同様。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、主として飲食品等の内容液を収容する複合容器および複合容器を成形するためのブロー成形方法に関する。」
「【0026】
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられた外側収縮部材40とを備えている。」
「【0028】
他方、外側収縮部材40は、容器本体10の外面に密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。」
「【0035】
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム10a、すなわち容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。
【0036】
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを押出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。」
「【0038】
次に外側収縮部材40について説明する。外側収縮部材40は後述するようにプリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱され、2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
【0039】
外側収縮部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。図2に示すように、外側収縮部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。」
「【0046】
また外側収縮部材40は、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、酸素や水蒸気によって内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30の全域に外側収縮部材40を設け、この部分のガスバリア性を高めても良い。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD-6(ナイロン)、またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
【0047】
また外側収縮部材40は、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30の全域に外側収縮部材40を設け、この部分の紫外線バリア性を高めても良い。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。」
「【0065】
実施例
次に本実施の形態の具体的実施例について説明する。
【0066】
まず、射出成形法により18.3gのPET単層プリフォームからなるプリフォーム10aを製作した。
【0067】
次に、このプリフォーム10aに対して外側収縮部材40を設置した状態で2軸延伸ブロー成形することにより、容量180mLの複合容器10Aを得た。外側収縮部材40としては、ポリオレフィンを用いた。」

(イ)上記記載から、実施例に着目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「PET単層プリフォームからなるプリフォーム10aに対して、ポリオレフィンからなる外側収縮部材40を設置した状態で2軸延伸ブロー成形することにより得られる複合容器。」

イ 引用文献2

(ア)同じく原査定に引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2009-12443号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。

「【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素吸収性多層体及びその多層体から成る包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、包装容器としては、軽量で透明且つ易成形性等の利点を有するため、各種プラスチック容器が使用されている。
プラスチック容器は、金属容器やガラス容器と比べると、酸素バリア性が劣るため、容器内に充填された内容物の化学的酸化や好気性菌による品質低下が問題になる。
これを防止するために、プラスチック容器の中には容器壁を多層構造とし、少なくとも一層を酸素バリア性に優れている樹脂、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体の層を設けているものがある。さらには、容器内部に残存する酸素及び容器外部から侵入してくる酸素を除去するために、酸素吸収層を設けた容器がある。酸素吸収層に用いられる酸素吸収剤(脱酸素剤)には、例えば、鉄粉等の還元性物質を主剤とするもの(例えば、特許文献1参照。)がある。」
「【0034】
本発明の酸素吸収性多層包装体は、包装体壁を介して外部から透過してくる酸素を有効に遮断し、容器内に残存した酸素を吸収する。そのため、包装体内の酸素濃度を長期間低いレベルに保ち、内容物の酸素が係わる品質低下を防止し、シェルフライフを向上させる容器として有用である。特に、酸素存在下で劣化しやすい内容品、例えば、食品ではコーヒー豆、茶葉、スナック類、米菓、生・半生菓子、果物、ナッツ、野菜、魚・肉製品、練り製品、干物、薫製、佃煮、生米、米飯類、幼児食品、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、乳製品等、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、緑茶、コーヒー等、その他では医薬品、化粧品、電子部品等が挙げられるが、これらの例に限定されない。」

(イ)上記記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「包装体内の酸素濃度を長期間低いレベルに保ち、内容物の酸素が係わる品質低下を防止できるプラスチック容器にワインを充填した点。」

(3)引用発明との対比

ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「複合容器」は本件補正発明の「複合容器」に相当し、同様に「外側収縮部材40」は「プラスチック製部材」に、「2軸延伸ブロー成形」は「ブロー成形」にそれぞれ相当する。

(イ)引用発明の容器本体10は、段落【0035】を参照すると、プリフォーム10aを二軸延伸ブロー成形することにより作製することができるものであるから、引用発明の「PET単層プリフォームからなるプリフォーム10a」を「二軸延伸ブロー成形することにより」作製されたものは、本件補正発明の「プラスチック材料製の容器本体」に相当する。

(ウ)引用発明の外側収縮部材40は、段落【0038】を参照すると、プリフォーム10aの外側に設けられ、このプリフォーム10aと一体となって加熱されるものであるから、引用発明の「プリフォーム10aに対して、ポリオレフィンからなる外側収縮部材40を設置した」ことは、本件補正発明の「前記容器本体の外面にプラスチック製部材とを備え」ることに相当し、プリフォーム10aと外側収縮部材40とが2軸延伸ブローにより一体として膨張され、プリフォーム10aが2軸延伸ブロー成形されてプラスチック材料製の容器本体10となるから、引用発明の「プリフォーム10aに対して、ポリオレフィンからなる外側収縮部材40を設置した状態で2軸延伸ブロー成形すること」は、本件補正発明の「前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され」ることに相当する。

(エ)引用発明の外側収縮部材40は、段落【0028】、段落【0039】を参照すると、容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10の外面に密着されているものであるから、引用発明の「プリフォーム10aに対して、ポリオレフィンからなる外側収縮部材40を設置した状態で2軸延伸ブロー成形すること」は、本件補正発明の「前記プラスチック製部材が、前記容器本体に、接着されることなく、密着されて」いることに相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】

「複合容器において、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外面にプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され、
前記プラスチック製部材が、前記容器本体に、接着されることなく、密着されている複合容器。」

【相違点1】

複合容器について、本件補正発明は、「ワイン充填用」であるのに対し、引用発明は、ワイン充填用であることは明記されていない点。

【相違点2】

容器本体について、本件補正発明は、「無色透明」であるのに対し、引用発明は、PET製であるものの、色については特定がされていない点。

【相違点3】

プラスチック製部材について、本件補正発明は、「ガスバリア層を有し」、「着色剤を含んでなり、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色または白色に着色されている」のに対し、引用発明は、そのように特定されていない点。

(4)判断

以下、相違点について検討する。

ア 相違点1について、引用発明は、段落【0001】を参照すると、飲食品等の内容液を収容する容器であるところ、ワインを樹脂容器に充填することは周知であるから(例えば、引用文献2参照。)、引用発明の複合容器をワイン充填用として上記相違点1に係る本件補正発明の事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について、引用発明の複合容器の容器本体は、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなるものであり、容器において、ペットボトルを無色透明とすることは広く一般に知られており、リサイクルの観点から社会的な要請でもあるから、引用発明の容器本体を無色透明とすることに格別の困難性はない。

ウ 相違点3について、引用文献1の段落【0046】には、外側収縮部材40を酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなるものとすることが記載されているから、引用発明の外側収縮部材40をガスバリア性を有する材料とすることは当業者にとって格別困難ではない。

また、引用文献1の段落【0047】には、「遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。」と記載されており、プラスチック製部材に着色剤を含ませることによって紫外線等の光線バリア性を備えさせることは広く一般に行われていることであるから(必要であれば、特開2006ー168741号公報の段落【0020】参照。)、引用発明のポリオレフィンに着色剤を含ませ、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色または白色に着色することにより紫外線等の光線バリア性を備えさせることは当業者にとって格別困難ではない。

オ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の「長期間保管しても、複合容器内へ酸素が侵入することなく、ワインの酸化を効果的に防止することができる」という効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

カ したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

キ なお、請求人は、上申書において「前記容器本体の内面に蒸着膜が形成されて」いることを追加する補正案を提示するが、容器のバリア性を高めるために容器本体の内面に蒸着膜を設けることは周知の技術であるから(必要であれば、特開2002-240813号公報の段落【0061】、段落【0075】、特開2009-7039号公報の段落【0046】、段落【0059】、特開2002-205748号公報の段落【0032】参照。)、当該補正をしたとしても、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 本件補正についてのむすび

よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について

1 本願発明

令和2年7月22日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和1年5月17日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1乃至11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1乃至11に係る発明は、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1乃至引用文献5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2015-9494号公報
引用文献2:特開2009-12443号公報
引用文献3:特開2006-27701号公報
引用文献4:特開2012-101839号公報
引用文献5:特開昭57-17758号公報

3 引用文献

原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1乃至2及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「無色透明」及び「着色剤」に係る限定事項を削除したものである。

そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-010327

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