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特許拒絶査定不服審判

2020-010199

閉鎖フラップ付きのアクセス開口部を含むパッケージ

審判番号
2020-010199
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-532679外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年07月21日
審決日
2021年05月21日
公報発行日
2021年07月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第17条第6項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2017-532679「閉鎖フラップ付きのアクセス開口部を含むパッケージ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年6月23日国際公開、WO2016/097298、平成30年2月1日国内公表、特表2018-502784、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 16項目
【理 由】

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成27年12月18日(パリ条件による優先権主張 2014年12月19日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和元年9月6日付けで拒絶理由通知がされ、令和元年11月27日に意見書及び誤訳訂正書が提出され、令和2年3月13日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされた。これに対し、令和2年7月21日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書(以下、当該手続補正書による補正のことを「審判請求時の補正」という。)が提出されたものである。

第2 原査定の概要

原査定の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願請求項1~14に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧

1.米国特許第2445001号明細書

2.国際公開第2014/016964号

3.国際公開第2013/068500号

第3 審判請求時の補正について

審判請求時の補正は、補正前の請求項1の「上部壁」が、「前記ハウジングの前記前部壁から延び、かつ一体型の後方部分および側部部分を含む上方上部壁パネル」及び「前記ハウジングの前記側壁の上端から延び、かつ前記上方上部壁パネルの前記側部部分の下にあり且つ前記側部部分に接着される一対の下方上部壁パネル」を備える点(以下、「補正事項1」という。)、が新たに追加された。当該補正について検討すると、補正事項1は、補正前の請求項1に係る発明と補正後の請求項1に係る発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、また、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)の段落【0035】、【0036】、【0041】、図2に記載されているから、当該補正は新規事項を追加するものでなく、同条第3項の規定に適合するものである。

また、審判請求時の補正のうち、補正事項1以外のものは、補正前の請求項8、12~14を削除すると共に、項番及び引用関係を整理するものであるから、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1~10に係る発明(以下、それぞれ「本件補正発明1」~「本件補正発明10」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

第4 本件補正発明

本願補正発明1~10は、審判請求時の補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

【請求項1】

厚紙、板紙、又はカードの単一の層状ブランクで形成される、ボックスを備える消費財のためのパッケージであって、前記ボックスが、

前部壁と、

前記前部壁の反対側の後部壁と、

底部壁と、

対向する側壁と、

前記パッケージ内の前記消費財にアクセスするための開口部を中に有する上部壁であって、前記開口部がその前部端から前記上部壁を横切って延び、かつ前記アクセス開口部の周辺が前記上部壁の後部端および側端から離間し、その結果前記上部壁が前記開口部の後方および側部の周りに延びる、上部壁と、

前記後部壁の上端に沿って前記後部壁にヒンジ連結されたフラップであって、前記フラップが前記開口部を覆う閉位置と前記開口部が覆われない開位置との間で移動可能であるフラップと、を備え、

前記上部壁が、前記ハウジングの前記前部壁から延び、かつ一体型の後方部分および側部部分を含む上方上部壁パネルと、前記ハウジングの前記側壁の上端から延び、かつ前記上方上部壁パネルの前記側部部分の下にあり且つ前記側部部分に接着される一対の下方上部壁パネルとを備える、パッケージ。

【請求項2】

前記開口部が前記上部壁の前記前部端から前記前部壁の下に途中まで延び、前記フラップが、前記フラップが前記閉位置にある時には前記上部壁の上にある上部フラップ部分と、前記フラップが前記閉位置にある時に少なくとも部分的に前記前部壁の上にある前部フラップ部分と、を備える、請求項1に記載のパッケージ。

【請求項3】

前記開口部が前記上部壁の前記前部端からその前記後部端に向かって前記上部壁の奥行きの80パーセント未満にわたって延びる、請求項1または2に記載のパッケージ。

【請求項4】

前記ハウジングの前記上部壁内の前記開口部の表面積が前記パッケージの前記上部の70パーセント未満である、請求項1、2または3に記載のパッケージ。

【請求項5】

前記開口部の前記表面積が、前記パッケージの前記上部の前記表面積の少なくとも5パーセントである、請求項1~4のいずれか1項に記載のパッケージ。

【請求項6】

前記フラップを前記閉位置で前記ハウジングの前記前部壁の後ろに受けることができる、請求項1~5のいずれか1項に記載のパッケージ。

【請求項7】

前記フラップがその内部表面の少なくとも一部分の上に再び封じることができる接着剤を含み、その結果、前記閉位置で前記閉鎖フラップを前記パッケージの前記前部壁へと再び封じることができるように貼り付けることができる、または前記閉位置で前記フラップを前記パッケージの前記前部壁の中のスリットもしくは切り抜きの中に受けることができる、請求項1~5のいずれか1項に記載のパッケージ。

【請求項8】

前記ボックスの中に喫煙物品の束を収容する、請求項1~7のいずれか一項に記載のパッケージ。

【請求項9】

請求項1~8のいずれか1項に記載のパッケージを外側ハウジング内に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。

【請求項10】

請求項1~8のいずれか1項に記載のパッケージのための厚紙、板紙、又はカードの層状ブランクであって、前記ブランクが、

前部壁パネル、後部壁パネル、第一の側壁パネル、第二の側壁パネル、および開口部を含む上部壁パネルを含むボックス画定部分であって、かつその中で前記上部壁パネルの前記前部端から前記開口部が延び、かつその中で前記開口部の前記後方および前記側部の周りに前記上部壁パネルが延びる、ボックス画定部分と、

前記後部壁パネルの前記上端に沿って前記ボックス画定部分の前記後部壁パネルへとヒンジ連結されたフラップと、を備える、ブランク。

第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された本願優先日前に公知である引用文献1には、次の事項が記載されている。以下に、日本語訳を示す。

ア.「この発明は、たばこのケースの改良に関するものである。」(第1欄第1-2行目)

イ.「図5は、容器の形状を決定するように適合され、図4に示されるブランクによって周囲が覆われるライナーの縮小された斜視図である。」(第1欄第40-43行目)

ウ.「本発明の改良されたたばこケースの形状は、図5に示すライナーによって主に決定され、このライナーは、好ましくは厚紙の1つ又はそれ以上の層で形成された開放端ボックスを有し、・・・」(第1欄第48-51行目)

エ.「図4に示される柔らかく、薄いレザーブランクは、ライナーの周囲を覆い、底部から頂部を形成し、部分15はライナーの下端を閉じて底壁を形成し、部分16は前壁を覆い、部分17は後壁を覆い、部分18はノッチ13aを覆っている。

レザーブランクの横方向に延びる部分20は、ライナーの側壁11の被覆位置に折り畳まれ、・・・」(第2欄第1-10行目)

オ.「上端フラップ23は、通常、ライナー側壁11aに隣接するケースの内容物の上で内側に折り返される。

2層のブランクから形成される部分25は、内側カバーとして機能し、その上にブランクの他端にある部分26がケースの外側カバーまたは上壁として機能する。

これらのカバー部分25及び26は、それぞれ、前壁部分16および後壁部分18との接合部において折り目が付けられ、ヒンジ連結されて図3に示されるように、容易に上方に揺動することができる。」(第2欄第16-29行目)

カ.「部分25には、少なくとも1本のたばこ、好ましくは一度に1本のたばこを引き出すことができる開口部35を備えている。この開口部は、露出したたばこの引き出しを容易にするために、端部が前壁16の上端にわずかに延びるように配置されている。」(第2欄第48-54行目)

キ.「しかし、内容物が補充される場合、図3に示されるように、フラップ23とともにカバー部26、25の両方が持ち上げられ、上端全体が開く。」(第3欄第8-11行目)

ク.「図2

図3

」

ケ.図2から、開口部35がその前部端からカバー部25を横切って延び、かつ開口部35の周辺がカバー部25の後部端および側端から離間し、その結果カバー部25が開口部35の後方及び側方の周りに延びるようにカバー部25が形成されることが看取できる。

以上の摘記事項ア~キ、クの図示、並びに、認定事項ケから、引用文献1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という)。

(引用発明)

「レザーブランクで形成されるカバー及び厚紙で形成されるライナーにより、容器の形状が特定されるたばこのためのケースであって、容器が、
前壁10及び前壁10を覆う部分16と、
前壁10の反対側の後壁12及び後壁12を覆う部分17と、
底壁を形成する部分15と、
対向する側壁11及び側壁11を覆う部分20と、
容器内のたばこを一度に1つのたばこを引き出すことができる開口部35を中に有するカバー部25であって、開口部35がその前部端からカバー部25を横切って延び、かつ開口部35の周辺がカバー部25の後部端および側端から離間し、その結果カバー部25が開口部35の後方及び側方の周りに延びる、カバー部25と、
後壁12を覆う部分17の上端に沿って部分17にヒンジ連結されたカバー部26であって、カバー部26が開口部35を覆う閉位置と開口部35が覆われない開位置との間で移動可能であるカバー部26と、を備え、
カバー部25が、前壁10を覆う部分16から延び、かつ一体型の後方部分および側部部分を含み、
側壁11を覆う部分20の上端から延び、かつカバー部25の側部部分の下にあるフラップ23とを備える、たばこケース」

2.引用文献2、3について

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2、3には、それぞれ次の事項が記載されている。

(1)引用文献2

ア.「[0022] 図1に示すように、タングリッド3が閉じられる際には、タング32は、ケース本体2の前壁21に重なり合うとともに、タング32の差し込み片32aが差し込み開口部27に差し込まれる。これにより、ケース本体2の開口面20をリッド31が塞ぎ、パッケージ1に収容されている被収容物であるシガレットへのアクセスが規制されることになる。」

イ.「図1

」

以上の摘記事項ア、イの図示から、当該引用文献2には、タングリッド型のパッケージにおいて、前壁21の中の差し込み開口部27に差し込み片32aを差し込むことでタングリッド3を再び封じるという技術的事項が記載されていると認められる。

(2)引用文献3

ア.「蓋の前部壁121の内側には第1接着部材14aが設けられている。内側フレーム11aの前側壁に接着される第2接着部材14bが設けられている。

内側フレーム11aの前側壁は、パックの後側壁114に実質的に対応して位置する。内側フレーム11aの前側壁は、第2接着部材14bが蓋の前部壁121の内側に位置する第1接着部材14aと契合するように位置する。」(第6欄第20-23行目)

以上の摘記事項アから、当該引用文献3には、蓋の前側壁の内側に接着部材を含み、閉位置において接着部材によってパックを封じ込めるように貼り付けるという技術的事項が記載されていると認められる。

第6 対比・判断

1.本件補正発明1について

(1)対比

本件補正発明1と引用発明とを対比する。

構成及び作用からみて引用発明における「容器」、「前壁10を覆う部分16」、「後壁12を覆う部分17」、「底壁を形成する部分15」、「側壁11を覆う部分20」、「開口部35」、「カバー部25」、「カバー部26」、「フラップ23」及び「たばこケース」は、それぞれ本件補正発明1における「ボックス」あるいは「ハウジング」、「前部壁」、「後部壁」、「底部壁」、「側壁」、「開口部」、「上部壁」、「フラップ」、「下方上部壁パネル」及び「消費財のためのパッケージ」に相当する。

また、引用発明のカバー部25は、前壁10を覆う部分16から延び、かつ一体型の後方部分および側部部分を含むことから、本件補正発明1の「上方上部壁パネル」に相当する。

なお、本件補正発明1にかかる「ハウジング」に関して、本願の当初明細書等には、「・・・、ハウジングの上部壁内の開口部の表面積は、・・・」(【0008】)「・・・、フラップをハウジングの前部壁の後ろ、・・・」(【0009】)「・・・、ハウジングの前部壁から延び、・・・、ハウジングの側壁の上端から延び、・・・」(【0011】)なる記載がされており、「ハウジングの」が修飾する「上部壁」、「前部壁」、「側壁」は、いずれも「ボックス」に備わる構成である(【0005】、【0032】参照。)ことに鑑みれば、本件補正発明1における「ハウジング」と「ボックス」は同じ構成を指すものである。

したがって、本件補正発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>

「ボックスを備える消費財のためのパッケージであって、前記ボックスが、
前部壁と、
前記前部壁の反対側の後部壁と、
底部壁と、
対向する側壁と、
前記パッケージ内の前記消費財にアクセスするための開口部を中に有する上部壁であって、前記開口部がその前部端から前記上部壁を横切って延び、かつ前記アクセス開口部の周辺が前記上部壁の後部端および側端から離間し、その結果前記上部壁が前記開口部の後方および側部の周りに延びる、上部壁と、
前記後部壁の上端に沿って前記後部壁にヒンジ連結されたフラップであって、前記フラップが前記開口部を覆う閉位置と前記開口部が覆われない開位置との間で移動可能であるフラップと、を備え、
前記上部壁が、前記ハウジングの前記前部壁から延び、かつ一体型の後方部分および側部部分を含む上方上部壁パネルと、前記ハウジングの前記側壁の上端から延び、かつ前記上方上部壁パネルの前記側部部分の下にある一対の下方上部壁パネルとを備える、パッケージ。」

<相違点1>本件補正発明1は厚紙、板紙、又はカードの単一の層状のブランクで形成されるのに対し、引用発明はレザーブランクで形成されるカバー及び厚紙で形成されるライナーの2つの層で形成される点。

<相違点2>本件補正発明1は一対の下方上部壁パネルが上方上部壁パネルの「前記側部部分に接着される」という構成を備えるのに対し、引用発明は下方上部壁パネルに相当するフラップ23が上方上部壁パネルに相当するカバー部25と接着するものであるか明らかでない点。

(2)当審の判断

事案に鑑み、上記相違点2から検討する。

引用文献1には、上記第5の1.キに摘記したとおり、「内容物が補充される場合、図3に示されるように、フラップ23とともにカバー部26、25の両方が持ち上げられ、上端全体が開く。」ことが記載され、図3からは、カバー部25とフラップ23とが互いに離れた位置に持ち上げられることが看取できる。

ここで、引用発明のカバー部25とフラップ23とを接着して固定すると、図3に示される位置にカバー部25とフラップ23を移動させることができなくなり、内容物の補充が不可能となることから、カバー部25とフラップ23とを接着して固定することには阻害要因が存在する。

また、仮に、引用発明を内容物の補充を行わない1回の使用で廃棄する形態で採用したとしても、相違点2に係る本件補正発明1の一対の下方上部壁パネルが上方上部壁パネルの「前記側部部分に接着される」という構成は、使用時のパッケージのゆがみを最小化し、より大きい剛直性を有するパッケージを提供するという効果をすでに奏するところ、引用発明は、上記第5の1.イ及びウに摘記したとおり、「ライナー」を設けることにより形状の安定化が達成されたものであるから、更に相違点2に係る本件補正発明1の一対の下方上部壁パネルが上方上部壁パネルの「前記側部部分に接着される」という構成を採用する動機が存在しない。

また、引用文献2及び3のいずれにも、この動機付けについて示唆する記載はない。

したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本件補正発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2及び3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本件補正発明2~10について

本件補正発明2~10も、本件補正発明1の一対の下方上部壁パネルが上方上部壁パネルの「前記側部部分に接着される」という同一の発明特定事項を備えるものであるから、本件補正発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.小括

以上のとおりであるから、本件補正発明1~10は、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明であり、特許法第17条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

第7 原査定に対する判断

上記のとおり、本件補正発明1~10は審判請求時の補正により、一対の下方上部壁パネルが上方上部壁パネルの「前記側部部分に接着される」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。

したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび

以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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