2020-009838
NGNを介してIPv6によるピア・ツー・ピア通信を行う方法
- 審判番号
- 2020-009838
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-106082外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年07月14日
- 審決日
- 2021年11月16日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】甲賀電子株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人みのり特許事務所
- 分類
- P18 .537-WY (H04L) / P18 .121-WY (H04L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 13項目
第1 手続の経緯
本願は、平成30年6月1日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年4月13日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1,2に記載された発明(当審注: 引用文献1が主たる引用例である。)に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、また、以下の引用文献2,3に記載された発明(当審注: 引用文献3が主たる引用例である。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第3 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和3年8月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】NGN(Next Generation Network)と、それぞれ前記NGNに通信回線を介して接続された複数の端末機器とからなり、前記通信回線に対し、識別番号として電話番号が固定的に割り当てられる一方、当該通信回線に接続された前記端末機器と前記NGNとの接続が確立される毎にIPv6アドレスが動的に割り当てられ、前記電話番号およびIPv6アドレスに基づいてIP通信がなされる通信システムにおいて前記端末機器間でIPv6によるピア・ツー・ピア通信を行う方法であって、前記端末機器間において、前記端末機器のそれぞれと前記NGNとの接続の確立により割り当てられた自己の前記IPv6アドレスを含み、相手方の前記通信回線の前記電話番号を宛先とするSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方の前記通信回線に対して送信し、前記端末機器のそれぞれにおいて相手方の通信回線から着信した前記メッセージ信号から前記相手方の前記IPv6アドレスを取得し、前記端末機器のそれぞれにおいて、取得した相手方の前記IPv6アドレスを当該相手方の電話番号と関係付けて記憶するとともに、前記IPv6アドレスに基づいて前記端末機器間で前記ピア・ツー・ピア通信を行うことを特徴とする方法。」
第4 引用文献の記載、引用発明
1 引用文献1、引用発明1
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1(特開2012-129934号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0013】図1は、本発明の一実施の形態に係るIP電話システムの概略図である。【0014】図示するように、本実施の形態に係るIP電話システムは、複数のSIP(Session Initiation Protcol)サーバ機能付IP電話端末1-1~1-n(以下、単にSIPサーバ機能付IP電話端末1とも呼ぶ)がLAN3に接続されて構成されている。LAN3はGW(ゲートウェイ)2を介してWAN4に接続されている。また、WAN4には、少なくとも1台のIP電話端末5、SIPサーバ6等が接続されている。続きを表示(全20行)【0015】本実施の形態に係るIP電話システムでは、所定のルールに従って決定されたいずれか一台のSIPサーバ機能付IP電話端末1のみがSIPサーバ機能を有効にして、自端末1を含むすべてのSIPサーバ機能付IP電話端末1を配下におく。また、SIPサーバ機能付IP電話端末1間にセッションが確立される場合、発信元および発信先のSIPサーバ機能付IP電話端末1は、SIPサーバ(SIPサーバ機能を有効にしているSIPサーバ機能付IP電話端末1)経由で接続要求およびこの接続要求に対する応答としてのアドレス通知を送受して、互いのIPアドレスを取得する。そして、互いに取得した相手端末1のIPアドレスを用いて、SIPサーバを経由せずにSIPメッセージを直接送受信することにより呼制御シーケンスを実行する。【0016】図2は、本実施の形態に係るIP電話システムにおいて、SIPサーバ機能付IP電話端末1間にセッションが確立される場合の動作を説明するためのシーケンス図である。ここでは、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2がSIPサーバ機能付IP電話端末1-3に発信する場合を例にとり説明する。なお、SIPサーバ機能付IP電話端末1-1がSIPサーバ機能を有効にしているものとする。【0017】SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、発信先(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3)の電話番号の指定を伴う発信操作を操作者から受け付けると(S101)、この電話番号を発信先電話番号とし、自端末(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2)の電話番号を発信元電話番号とする、自端末1-2のIPアドレス(発信元IPアドレス)の指定を伴うINVITEメッセージ(接続要求)を生成する。そして、このINVITEメッセージを、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1に送信する(S102)。【0018】これを受けて、SIPサーバ機能付IP電話端末1-1は、SIPサーバ機能により、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2から受信したINVITEメッセージをSIPサーバ機能付IP電話端末1-3に中継する(S103)。【0019】SIPサーバ機能付IP電話端末1-3は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1からINVITEメッセージを受信すると、このINVITEメッセージで指定されている発信元電話番号(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2の電話番号)を参照し、発信元が他のSIPサーバ機能付IP電話端末1-2であることを確認する(S104)。そして、このINVITEメッセージから発信元IPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2のIPアドレス)を取得する(S105)。それから、SIPサーバ機能付IP電話端末1-3は、このINVITEメッセージに対する応答として、自端末1-3のIPアドレスが記述された302 Redirectメッセージ(アドレス通知)を生成し、この302 Redirectメッセージを、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1に送信する(S106)。【0020】これを受けて、SIPサーバ機能付IP電話端末1-1は、SIPサーバ機能により、SIPサーバ機能付IP電話端末1-3から受信した302 Redirectメッセージを、INVITEメッセージの発信元であるSIPサーバ機能付IP電話端末1-2に中継する(S107)。【0021】SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1から302 Redirectメッセージを受信すると、この302 Redirectメッセージで指定されているIPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3のIPアドレス)を発信先IPアドレスとして取得する(S108)。【0022】それから、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、発信操作で指定された電話番号を発信先電話番号とし、自端末1-2の電話番号を発信元電話番号とするINVITEメッセージを再度生成する。そして、302 Redirectメッセージから取得した発信先IPアドレスを用いて、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1を経由させることなく直接SIPサーバ機能付IP電話端末1-3に、このINVITEメッセージを送信する(S109)。」
「【図1】」
「【図2】」
(2)引用発明1
上記(1)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「複数のSIPサーバ機能付IP電話端末1がLAN3に接続されて構成されているIP電話システムにおいて、SIPサーバ機能付IP電話端末1間にセッションを確立する方法であって、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、発信先(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3)の電話番号の指定を伴う発信操作を操作者から受け付けると、この電話番号を発信先電話番号とし、自端末(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2)の電話番号を発信元電話番号とする、自端末1-2のIPアドレス(発信元IPアドレス)の指定を伴うINVITEメッセージ(接続要求)を生成し、そして、このINVITEメッセージを、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1に送信し、これを受けて、SIPサーバ機能付IP電話端末1-1は、SIPサーバ機能により、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2から受信したINVITEメッセージをSIPサーバ機能付IP電話端末1-3に中継し、SIPサーバ機能付IP電話端末1-3は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1からINVITEメッセージを受信すると、このINVITEメッセージで指定されている発信元電話番号(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2の電話番号)を参照し、発信元が他のSIPサーバ機能付IP電話端末1-2であることを確認し、そして、このINVITEメッセージから発信元IPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2のIPアドレス)を取得し、それから、SIPサーバ機能付IP電話端末1-3は、このINVITEメッセージに対する応答として、自端末1-3のIPアドレスが記述された302 Redirectメッセージ(アドレス通知)を生成し、この302 Redirectメッセージを、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1に送信し、これを受けて、SIPサーバ機能付IP電話端末1-1は、SIPサーバ機能により、SIPサーバ機能付IP電話端末1-3から受信した302 Redirectメッセージを、INVITEメッセージの発信元であるSIPサーバ機能付IP電話端末1-2に中継し、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1から302 Redirectメッセージを受信すると、この302 Redirectメッセージで指定されているIPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3のIPアドレス)を発信先IPアドレスとして取得し、それから、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、発信操作で指定された電話番号を発信先電話番号とし、自端末1-2の電話番号を発信元電話番号とするINVITEメッセージを再度生成し、そして、302 Redirectメッセージから取得した発信先IPアドレスを用いて、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1を経由させることなく直接SIPサーバ機能付IP電話端末1-3に、このINVITEメッセージを送信する、方法。」
2 引用文献2
原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献2(特開2002-84319号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0021】本例の通信システム5においては、図2に示すような通信方法6を採用することにより、発側の端末15および着側の端末25の双方に、それぞれが配下となっているDHCPサーバ11および21により動的に割り当てられたIPアドレスφ1およびφ2を電子メールφ11およびφ22により交換でき、双方の端末15および25が相手側のIPアドレスを取得できる。このため、それ以降は、ステップ41で端末15および25のみで、それらの端末15および25の間でLAN10および20とインターネット1を介してコネクションを確立することができ、端末相互間の通信を介してして音声データなどを交換することが可能となる。」
「【図2】」
3 引用文献3、引用発明3
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献3(特開2009-260847号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0018】(システム構成)図1に、本発明の実施の形態におけるシステムの構成図を示す。図1に示すように、本実施の形態のシステムは、接続元VPNゲートウェイ装置1、接続元VPNゲートウェイ装置の配下に接続されるPC端末2、ネットワーク接続装置3、接続先VPNゲートウェイ装置4、及び接続先VPNゲートウェイ装置4の配下に接続される業務システム5を有している。ネットワーク接続装置3と接続先VPNゲートウェイ装置4はネットワーク6を介して接続されている。」
「【0026】<接続元VPNゲートウェイ装置1の機能構成>図2に、接続元VPNゲートウェイ装置1の機能構成図を示す。図2に示すように、接続元VPNゲートウェイ装置1は、DHCPクライアント機能部101、DHCPv6クライアント機能部102、情報設定機能部103、SIP?UA機能部104、IPsec機能部105、DHCPサーバ機能部106、IPv6-NDP機能部107、DHCPv6サーバ機能部108、内線電話機能部109、ボタン・表示器110、ルーティング機能部111、Ethernet I/F(112、113)を有する。【0027】続きを表示(全13行)DHCPクライアント機能部101は、ネットワーク接続装置3からIPv4アドレス、DNSサーバアドレス等のIPv4通信に必要となる情報の払い出しを受けるための機能部である。DHCPv6クライアント機能部102は、ネットワーク接続装置3からIPv6プレフィックス、DNSサーバアドレス等のIPv6通信に必要となる情報の払い出しを受けるための機能部である。情報設定機能部103は、DHCPクライアント機能部101、DHCPv6クライアント機能部102から得られた情報をIPv4通信及びIPv6通信を行うための情報として接続元VPNゲートウェイ装置1自身に設定するための機能部である。なお、IPv4通信及びIPv6通信を行うために必要な情報を、DHCPクライアント機能部101及びDHCPv6クライアント機能部102を使用せずにネットワーク接続装置3から取得する方式とすることも可能である。【0028】SIP?UA機能部104は、接続元VPNゲートウェイ装置1を、ネットワーク接続装置3のSIP端末として動作させる機能部である。より具体的には、SIP?UA機能部104は、ネットワーク接続装置3に対してREGISTERリクエストを発行してSIP端末としての登録を行い、MESSAGEリクエストのbody部を使用して、ネットワーク接続装置3及びネットワーク6を介して接続先VPNゲートウェイ装置4と通信を行うことにより、接続先VPNゲートウェイ装置4に対するVPN接続要求、VPN接続のための鍵情報の受け渡し等を行う機能を有している。【0029】IPsec機能部105は、IPsec(ESPトンネルモード)により接続元VPNゲートウェイ装置1を接続先VPNゲートウェイ装置4にVPN接続させるための機能部である。また、IPsec機能部105は、IKEv1のイニシエータの機能を有し、モードコンフィグにより、接続元VPNゲートウェイ装置4からIPアドレスの払い出しを受けることができる。また、IPsec機能部105におけるIKEの認証(本人性確認)は、接続先VPNゲートウェイ装置4により生成され、SIPメッセージにより受信した鍵情報を用いた事前共有鍵暗号方式を用いて行うことができる。もしくは、SIPメッセージにより交換された公開鍵を使用した公開鍵暗号方式を用いて行うことができる。【0030】また、ネットワーク接続装置3がNAPT機能を有している場合、IPsec機能部105は、NAPT超えを行うために、Negotiation of NAT-Traversal in the IKE (RFC3974)やUDP encapsulation of IPsec Packets (RFC3948)をサポートしてもよい。【0031】DHCPサーバ機能部106は、PC端末2からの要求によりIPv4アドレスを払い出す機能部である。IPv6-NDP機能部107は、ネットワーク接続装置3から受信したIPv6プレフィックスを元に接続元VPNゲートウェイ装置1にIPv6アドレスを設定するとともに、PC端末2に対してIPv6を払い出すための機能部である。この機能によりプレフィックスを受け取った装置は、ホスト部を自動生成し、プレフィックスと組み合わせてIPv6アドレスを生成する。DHCPv6サーバ機能部108は、PC端末2からの要求により、IPv6に関する、IPv6プレフィックス以外の情報(例えばDNSサーバアドレスなど)を払い出す機能部である。」
「【0051】<事前共有鍵暗号方式を用いる場合の動作>まず、事前共有鍵暗号方式を用いて接続元VPNゲートウェイ装置1と接続先VPNゲートウェイ装置4間でVPNを構築する場合のシーケンスについて、図4~図6を参照して説明する。なお、本例では、VPN接続においてIKEv1、Aggressiveモード、モードコンフィグを使用しているが、本発明はこれに限らず適用できる。【0052】続きを表示(全30行)接続元VPNゲートウェイ装置1を、家庭やSOHOの場所に設置してあるネットワーク接続装置3に接続し、起動する。接続元VPNゲートウェイ装置1は、まず、ネットワーク接続装置3の元でネットワーク6を利用するための設定処理を行う。図4に示す例では、DHCPによるIPアドレスの取得を行い(ステップ1)、IP電話サービスを受けるためのSIPに関する情報(接続元VPNゲートウェイ装置1が使うべき電話番号、SIP-UA機能部104に設定すべきパラメータ等)の取得を行い(ステップ2)、その後、IP電話サービスを利用可能とするためにネットワーク接続装置3に対してREGISTERリクエストにより登録処理を行う(ステップ3)。これらの処理は、ネットワーク接続装置3配下の装置がSIP通信を行えるようになるまでの通常の処理である。【0053】続いて、接続元VPNゲートウェイ装置1は、接続先VPNゲートウェイ装置4に対してVPN接続をするための処理を行う。以下の処理において、SIPメッセージに関わる処理はSIP-UA機能部104、401が実行し、VPN接続のための処理(鍵生成、IKEパケットの送受信等)はIPsec機能部105、402が実行する。【0054】まず、接続元VPNゲートウェイ装置1は、接続先VPNゲートウェイ装置4に対するアクセス先となるIPアドレスを取得するために、IP電話サービスにおいて提供されているメッセージングサービスに係るSIPメッセージ(SIP MESSAGEリクエスト)を送出する(ステップ4)。このとき、接続元VPNゲートウェイ装置1は、SIP MESSAGEリクエストの宛先として既知の接続先(接続先VPNゲートウェイ装置4)の電話番号を使用する。なお、この電話番号は、ユーザが接続元VPNゲートウェイ装置1に入力することとしてもよいし、接続元VPNゲートウェイ装置1の記憶装置に予め記憶しておき、それを読み出すこととしてもよい。【0055】また、接続元VPNゲートウェイ装置1は、上記SIP MESSAGEリクエストのbody部に、当該メッセージがVPN接続を行う要求であることを示す情報と、IPsecで使用する識別子(IDi:IPsecのパケット中で使用する識別子、もしくはIPsecで使用しようとしているIPアドレス)を記載する。【0056】なお、接続元VPNゲートウェイ装置1は、上記識別子をSIP MESSAGEリクエストのbody部に記載しなくてもよい。その場合、以降の処理では、当該識別子に相当する情報として、SIPリクエスト(SIP MESSAGEリクエスト)のヘッダの発信者情報を利用する。この発信者情報としては、IP電話網としてのネットワーク6がその確からしさ(詐称がないこと)をネットワークの機能として保証(担保)している情報を用いる。つまり、当該発信者情報を含むSIPメッセージを受信した受信側は、そのSIPメッセージが当該発信者情報に対応する正当な発信側から発信されたものであると信頼できる。そのような発信者情報としては、ネットワークによって異なるが、例えばFrom:ヘッダの情報、P-Asserted-Identity:ヘッダの情報等がある。本例では、当該発信者情報は発信者の電話番号であるものとする。【0057】接続元VPNゲートウェイ装置1から送出されたSIP MESSAGEリクエストは、ネットワーク接続装置3により中継され、ネットワーク6を介して接続先VPNゲートウェイ装置4に到達する(ステップ4~6)。【0058】そして、接続先VPNゲートウェイ装置4は、SIP MESSAGEリクエストの受信を完了した旨を示す200OKレスポンスを返送するとともに(ステップ7~9)、SIP MESSAGEリクエストのbody部の解析を行う。その結果、接続先VPNゲートウェイ装置4は、受信したSIP MESSAGEリクエストがVPN接続の要求であると判断する。【0059】そして、接続先VPNゲートウェイ装置4は、SIP MESSAGEリクエストにおける前述した発信者情報に該当する部分(電話番号)がユーザ管理部404に登録されているかどうかを確認し、当該電話番号に対応するユーザが、VPN接続を行うことが許可された正当なユーザであるかどうかの判定を行う。ここでは、当該ユーザは、VPN接続を行うことが許可された正当なユーザであると判定されたものとする。【0060】続いて、接続先VPNゲートウェイ装置4は、当該SIP MESSAGEリクエストに含まれるIPsecの識別子を、接続先VPNゲートウェイ装置4の電話番号と対応付けてユーザ管理部404に記録し、VPN接続において接続先VPNゲートウェイ装置4が使用することになる自信のIPアドレスをSIP MESSAGEリクエストのbody部に記載し、そのSIP MESSAGEリクエストを接続元VPNゲートウェイ装置1に送信する(ステップ10)。【0061】接続元VPNゲートウェイ装置1は、接続先VPNゲートウェイ装置4から送出されたSIP MESSAGEリクエストを受信し(ステップ11~13)、受信が完了したことを示す200OKレスポンスを返送するともに(ステップ14~16)、当該メッセージのbody部の解析を行う。接続元VPNゲートウェイ装置1は、当該body部から、接続先VPNゲートウェイ装置4に対するVPN接続で使用するべきIPアドレスを抽出し、そのIPアドレスをIPsec部105に渡す(ステップ17)。・・・(中略)・・・【0070】引き続き、IKEフェーズ1の第3パケットの送信(ステップ29)、モードコンフィグによるIPアドレスの設定(図6のステップ30~33)が行われ、更に、IKEフェーズ2のパケットの送受信が行われる(ステップ34~36)。これにより、VPNのセッションが生成される(ステップ37)。つまり、接続元VPNゲートウェイ装置1と接続先VPNゲートウェイ装置4間でのIPsecに基づくVPNが構築される。【0071】その後、接続元VPNゲートウェイ装置1は、当該VPN接続を用いることにより、ボタン電話主装置としての接続先VPNゲートウェイ装置4に対して内線電話機としての接続を行い(ステップ38)、セキュアに、ネットワーク6を介して遠隔で接続された内線子機として動作する(ステップ40)。【0072】更に、接続元VPNゲートウェイ装置1は、その配下に接続されたPC端末2に対して、当該VPN接続(IPsec接続)で使用できるIPアドレスを払い出す(ステップ41)。これにより、PC端末2は、接続元VPNゲートウェイ装置1と接続先VPNゲートウェイ装置間4でのIPsecに基づくVPN接続を利用して、接続先VPNゲートウェイ装置4配下に存在する業務システム5のサービスを受けることができる(ステップ43~48)。」
「【図1】」
(2)引用発明3
上記(1)から、引用文献3には次の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。なお、段落【0060】の「自信のIPアドレス」は、「自身のIPアドレス」の誤記と認められるので、その点を考慮している。
「接続元VPNゲートウェイ装置1、接続元VPNゲートウェイ装置の配下に接続されるPC端末2、ネットワーク接続装置3、接続先VPNゲートウェイ装置4、及び接続先VPNゲートウェイ装置4の配下に接続される業務システム5を有し、ネットワーク接続装置3と接続先VPNゲートウェイ装置4がネットワーク6を介して接続されているシステムであって、接続元VPNゲートウェイ装置1が、IPv6-NDP機能部107を有し、IPv6-NDP機能部107は、ネットワーク接続装置3から受信したIPv6プレフィックスを元に接続元VPNゲートウェイ装置1にIPv6アドレスを設定するとともに、PC端末2に対してIPv6を払い出すための機能部である、システムにおいて、接続元VPNゲートウェイ装置1と接続先VPNゲートウェイ装置4間でVPNを構築する方法であって、接続元VPNゲートウェイ装置1は、接続先VPNゲートウェイ装置4に対するアクセス先となるIPアドレスを取得するために、IP電話サービスにおいて提供されているメッセージングサービスに係るSIP MESSAGEリクエストを送出し、このとき、接続元VPNゲートウェイ装置1は、SIP MESSAGEリクエストの宛先として接続先VPNゲートウェイ装置4の電話番号を使用し、また、接続元VPNゲートウェイ装置1は、上記SIP MESSAGEリクエストのbody部に、当該メッセージがVPN接続を行う要求であることを示す情報と、IPsecで使用する識別子(IPsecで使用しようとしているIPアドレス)を記載し、接続元VPNゲートウェイ装置1から送出されたSIP MESSAGEリクエストは、ネットワーク接続装置3により中継され、ネットワーク6を介して接続先VPNゲートウェイ装置4に到達し、接続先VPNゲートウェイ装置4は、SIP MESSAGEリクエストのbody部の解析を行い、その結果、接続先VPNゲートウェイ装置4は、受信したSIP MESSAGEリクエストがVPN接続の要求であると判断し、続いて、接続先VPNゲートウェイ装置4は、当該SIP MESSAGEリクエストに含まれるIPsecの識別子を、接続先VPNゲートウェイ装置4の電話番号と対応付けてユーザ管理部404に記録し、VPN接続において接続先VPNゲートウェイ装置4が使用することになる自身のIPアドレスをSIP MESSAGEリクエストのbody部に記載し、そのSIP MESSAGEリクエストを接続元VPNゲートウェイ装置1に送信し、接続元VPNゲートウェイ装置1は、接続先VPNゲートウェイ装置4から送出されたSIP MESSAGEリクエストを受信し、当該メッセージのbody部の解析を行い、接続元VPNゲートウェイ装置1は、当該body部から、接続先VPNゲートウェイ装置4に対するVPN接続で使用するべきIPアドレスを抽出し、そのIPアドレスをIPsec部105に渡し、接続元VPNゲートウェイ装置1と接続先VPNゲートウェイ装置4間でのIPsecに基づくVPNが構築され、接続元VPNゲートウェイ装置1は、その配下に接続されたPC端末2に対して、当該VPN接続(IPsec接続)で使用できるIPアドレスを払い出し、これにより、PC端末2は、接続元VPNゲートウェイ装置1と接続先VPNゲートウェイ装置間4でのIPsecに基づくVPN接続を利用して、接続先VPNゲートウェイ装置4配下に存在する業務システム5のサービスを受けることができる、方法。」
第5 対比・判断
1 引用文献1を主たる引用文献とした場合について
(1)対比
ア 本願発明と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明1は、
「複数のSIPサーバ機能付IP電話端末1がLAN3に接続されて構成されているIP電話システムにおいて」、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、発信先(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3)の電話番号の指定を伴う発信操作を操作者から受け付けると、この電話番号を発信先電話番号とし、自端末(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2)の電話番号を発信元電話番号とする、自端末1-2のIPアドレス(発信元IPアドレス)の指定を伴うINVITEメッセージ(接続要求)を生成し、そして、このINVITEメッセージを、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1に送信」する手順や、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1から302 Redirectメッセージを受信すると、この302 Redirectメッセージで指定されているIPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3のIPアドレス)を発信先IPアドレスとして取得」する手順を経て、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」が、「302 Redirectメッセージから取得した発信先IPアドレスを用いて、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1を経由させることなく直接SIPサーバ機能付IP電話端末1-3に、このINVITEメッセージを送信する」ものである。
ここで、「IP電話システム」は、「LAN3」と、それぞれ「LAN3」に接続された「複数のSIPサーバ機能付IP電話端末1」とからなる通信システムであり、「発信元IPアドレス」、「発信先IPアドレス」は、それぞれ「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」に割り当てられているといえる。
また、引用発明1の「電話番号」を用いて行う上記手順は、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」が「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3のIPアドレス」を「発信先IPアドレスとして取得」するためであるから、最終的に行われる、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」が「発信先IPアドレスを用いて」、「SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1を経由させることなく直接SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」に「INVITEメッセージを送信する」ことは、「電話番号」及び「発信先IPアドレス」に基づいて行われるといえるところ、特に、「発信先IPアドレス」が「INVITEメッセージを送信する」ために直接的に用いられる点で、「IP電話システム」においてなされる当該送信は「IP通信」であって、当該送信が「SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1を経由させることなく直接」行われる点で、「SIPサーバ機能付IP電話端末1」間の「IPによるピア・ツー・ピア通信」であるといえる。
そして、引用発明1の「LAN3」と、本願発明の「NGN(Next Generation Network)」とは、「ネットワーク」である点で、引用発明1の「発信先IPアドレス」と、本願発明の「IPv6アドレス」とは、「IPアドレス」である点で、ピア・ツー・ピア通信が引用発明1において「IPによる」ものであることと、同じく本願発明において「IPv6による」ものであることとは、「IPによる」ものである点で、それぞれ共通しており、引用発明1の「SIPサーバ機能付IP電話端末1」は、本願発明の「端末機器」に相当する。
以上のことから、本願発明の
「NGN(Next Generation Network)と、それぞれ前記NGNに通信回線を介して接続された複数の端末機器とからなり、前記通信回線に対し、識別番号として電話番号が固定的に割り当てられる一方、当該通信回線に接続された前記端末機器と前記NGNとの接続が確立される毎にIPv6アドレスが動的に割り当てられ、前記電話番号およびIPv6アドレスに基づいてIP通信がなされる通信システムにおいて前記端末機器間でIPv6によるピア・ツー・ピア通信を行う」
ことに関して、引用発明1と本願発明とは、
「ネットワークと、それぞれ前記ネットワークに接続された複数の端末機器とからなり、IPアドレスが割り当てられ、電話番号およびIPアドレスに基づいてIP通信がなされる通信システムにおいて前記端末機器間でIPによるピア・ツー・ピア通信を行う」
という点で共通している。
(イ)引用発明1は、
「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、発信先(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3)の電話番号の指定を伴う発信操作を操作者から受け付けると、この電話番号を発信先電話番号とし、自端末(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2)の電話番号を発信元電話番号とする、自端末1-2のIPアドレス(発信元IPアドレス)の指定を伴うINVITEメッセージ(接続要求)を生成し、そして、このINVITEメッセージを、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1に送信し、これを受けて、SIPサーバ機能付IP電話端末1-1は、SIPサーバ機能により、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2から受信したINVITEメッセージをSIPサーバ機能付IP電話端末1-3に中継し、SIPサーバ機能付IP電話端末1-3は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1からINVITEメッセージを受信すると、このINVITEメッセージで指定されている発信元電話番号(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2の電話番号)を参照し、発信元が他のSIPサーバ機能付IP電話端末1-2であることを確認し、そして、このINVITEメッセージから発信元IPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2のIPアドレス)を取得し、それから、SIPサーバ機能付IP電話端末1-3は、このINVITEメッセージに対する応答として、自端末1-3のIPアドレスが記述された302 Redirectメッセージ(アドレス通知)を生成し、この302 Redirectメッセージを、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1に送信し、これを受けて、SIPサーバ機能付IP電話端末1-1は、SIPサーバ機能により、SIPサーバ機能付IP電話端末1-3から受信した302 Redirectメッセージを、INVITEメッセージの発信元であるSIPサーバ機能付IP電話端末1-2に中継し、SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1から302 Redirectメッセージを受信すると、この302 Redirectメッセージで指定されているIPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3のIPアドレス)を発信先IPアドレスとして取得」する
ものである。
ここで、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」が、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」の「電話番号を発信先電話番号とし」、「自端末1-2のIPアドレス(発信元IPアドレス)の指定を伴うINVITEメッセージ(接続要求)」を送信することに対応して、「SIPサーバ機能」による「SIPサーバ機能付IP電話端末1-1」の「中継」を経て、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」が「INVITEメッセージを受信する」一方、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」は、「自端末1-3のIPアドレスが記述された302 Redirectメッセージ(アドレス通知)」を送信することに対応して、「SIPサーバ機能」による「SIPサーバ機能付IP電話端末1-1」の「中継」を経て、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」から「302 Redirectメッセージを受信する」から、「INVITEメッセージ」及び「302 Redirectメッセージ」はいずれも「SIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号」であり、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」及び「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」は、両者間において、自己のIPアドレスを含む上記「メッセージ信号」を互いに「相手方」に対して送信するといえる。また、「INVITEメッセージ」は「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」の「電話番号を発信先電話番号」とするもの、すなわち「相手方」の電話番号を「宛先とする」ものである一方、「302 Redirectメッセージ」も同様に、「相手方」の電話番号(具体的には、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」の電話番号)を「宛先とする」ものであることは明らかである。
以上の点について上記(ア)も踏まえると、本願発明の
「前記端末機器間において、前記端末機器のそれぞれと前記NGNとの接続の確立により割り当てられた自己の前記IPv6アドレスを含み、相手方の前記通信回線の前記電話番号を宛先とするSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方の前記通信回線に対して送信」する
ことに関して、引用発明1と本願発明とは、
「前記端末機器間において、自己の前記IPアドレスを含み、相手方の前記電話番号を宛先とするSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方に対して送信」する
という点で共通している。
(ウ)上記(イ)で述べた引用発明1の構成のうちの、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1からINVITEメッセージを受信すると、このINVITEメッセージで指定されている発信元電話番号(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2の電話番号)を参照し、発信元が他のSIPサーバ機能付IP電話端末1-2であることを確認し、そして、このINVITEメッセージから発信元IPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2のIPアドレス)を取得」することに関して、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」は、着信した「INVITEメッセージ」から、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2のIPアドレス」を取得するといえ、また、当該取得した「IPアドレス」を、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」と関係付けて記憶することは明らかである。
一方、同じく引用発明1の構成のうちの、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2は、SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1から302 Redirectメッセージを受信すると、この302 Redirectメッセージで指定されているIPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-3のIPアドレス)を発信先IPアドレスとして取得」することに関しても同様に、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」は、着信した「302 Redirectメッセージ」から、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3のIPアドレス」を取得するといえ、また、当該取得した「IPアドレス」を、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」と関係付けて記憶することは明らかである。
以上の点について上記(ア)、(イ)も踏まえると、本願発明の
「前記端末機器のそれぞれにおいて相手方の通信回線から着信した前記メッセージ信号から前記相手方の前記IPv6アドレスを取得し、前記端末機器のそれぞれにおいて、取得した相手方の前記IPv6アドレスを当該相手方の電話番号と関係付けて記憶する」
ことに関して、引用発明1と本願発明とは、
「前記端末機器のそれぞれにおいて相手方から着信した前記メッセージ信号から前記相手方の前記IPアドレスを取得し、前記端末機器のそれぞれにおいて、取得した相手方の前記IPアドレスを当該相手方と関係付けて記憶する」
という点で共通している。
(エ)上記(ア)で述べた、引用発明1の「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」が「直接SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」に「INVITEメッセージを送信する」ことは、上記(ア)で検討した点によれば、「IPアドレス」に基づいて「ピア・ツー・ピア通信を行う」ことであるといえる。
したがって、本願発明の
「前記IPv6アドレスに基づいて前記端末機器間で前記ピア・ツー・ピア通信を行う」
ことに関して、引用発明1と本願発明とは、
「前記IPアドレスに基づいて前記端末機器間で前記ピア・ツー・ピア通信を行う」
という点で共通している。
イ 上記アから、本願発明と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「ネットワークと、それぞれ前記ネットワークに接続された複数の端末機器とからなり、IPアドレスが割り当てられ、電話番号およびIPアドレスに基づいてIP通信がなされる通信システムにおいて前記端末機器間でIPによるピア・ツー・ピア通信を行う方法であって、前記端末機器間において、自己の前記IPアドレスを含み、相手方の前記電話番号を宛先とするSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方に対して送信し、前記端末機器のそれぞれにおいて相手方から着信した前記メッセージ信号から前記相手方の前記IPアドレスを取得し、前記端末機器のそれぞれにおいて、取得した相手方の前記IPアドレスを当該相手方と関係付けて記憶するとともに、前記IPアドレスに基づいて前記端末機器間で前記ピア・ツー・ピア通信を行う方法。」
(相違点1)
本願発明では、「複数の端末機器」が接続されているものが、「NGN(Next Generation Network)」であって、「前記NGNに通信回線を介して接続され」、「メッセージ信号」の「着信」が「通信回線から」なされるのに対し、引用発明1では、「複数のSIPサーバ機能付IP電話端末1」が接続されているものが「LAN3」であり、当該「LAN3」に直接接続されている点。
(相違点2)
本願発明では、「複数の端末機器」に割り当てられて、「メッセージ信号」からの「取得」等がされて、「IP通信」や「ピア・ツー・ピア通信」の基礎とされるものが「IPv6アドレス」であって、「IPv6によるピア・ツー・ピア通信」が行われ、かつ、「IPv6アドレス」の割り当てが、「前記端末機器と前記NGNとの接続が確立される毎に」、「動的に」なされるのに対して、引用発明1では、「複数のSIPサーバ機能付IP電話端末1」に割り当てられ、「直接SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」に「INVITEメッセージを送信する」ことに用いるものが「IPアドレス」であって「IPv6アドレス」ではなく、その割り当てが「動的に」なされると特定されるものではない点。
(相違点3)
本願発明では、「電話番号」が、「前記通信回線に対し、識別番号として」「固定的に割り当てられる」ものであり、それに伴い、「電話番号」が「通信回線」のものであるのに対して、引用発明1では、「電話番号」が「直接SIPサーバ機能付IP電話端末1」のものである点。
(相違点4)
本願発明では、「相手方の前記IPv6アドレス」を「記憶」する際に「当該相手方」と「関係付け」る対象が「電話番号」であるのに対し、引用発明1では、「IPアドレス」を「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」や「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」と関連付けて記憶する際に関係付ける対象が「電話番号」であると特定されるものではない点。
(2)判断
そこで、まず、いずれも「NGN」に関連する相違点1,2についてまとめて検討する。
それぞれ通信回線を介して複数の端末機器をNGNに接続し、当該通信回線に接続された前記端末機器と前記NGNとの接続が確立される毎にIPv6アドレスが動的に割り当てられるようにするとの、相違点1,2に係る技術的事項については、引用文献1~3のいずれにも記載されていない。
また、仮に、NGNやIPv6アドレスの動的な割り当て等、上記技術的事項に含まれている個々の要素が本願出願日前における周知技術であるとしても、それらの要素に基づき、引用発明1の「複数のSIPサーバ機能付IP電話端末1がLAN3に接続された」接続形態の変更等を行って相違点1,2に係る構成とすることについて、動機付けが存在するとはいえない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明は、当業者であっても引用文献1~3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 引用文献3を主たる引用文献とした場合について
(1)対比
ア 本願発明と引用発明3とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明3の「接続元VPNゲートウェイ装置1、接続元VPNゲートウェイ装置の配下に接続されるPC端末2、ネットワーク接続装置3、接続先VPNゲートウェイ装置4、及び接続先VPNゲートウェイ装置4の配下に接続される業務システム5を有し、ネットワーク接続装置3と接続先VPNゲートウェイ装置4がネットワーク6を介して接続されているシステム」において、「システム」は、「接続元VPNゲートウェイ装置1」、「ネットワーク接続装置3」、「ネットワーク6」及び「接続先VPNゲートウェイ装置4」から構成される部分と、当該部分に接続された「PC端末2」とからなる通信システムであり、ここで、「接続元VPNゲートウェイ装置1」、「ネットワーク接続装置3」、「ネットワーク6」及び「接続先VPNゲートウェイ装置4」は、全体としてネットワークを構成しているといえ、当該ネットワークは、本願発明の「NGN(Next Generation Network)」と、「ネットワーク」である点で共通している。
また、「PC端末2」と「接続元VPNゲートウェイ装置1」とは、通信回線を介して接続されていることが明らかであり、「PC端末2」は、本願発明の「端末機器」に相当する。
以上のことから、本願発明の
「NGN(Next Generation Network)と、それぞれ前記NGNに通信回線を介して接続された複数の端末機器とからな」る「通信システム」
に関して、引用発明3と本願発明とは、
「ネットワークと、前記ネットワークに通信回線を介して接続された端末機器とからな」る「通信システム」
という点で共通している。
(イ)引用発明3は、「ネットワーク接続装置3から受信したIPv6プレフィックスを元に接続元VPNゲートウェイ装置1にIPv6アドレスを設定するとともに、PC端末2に対してIPv6を払い出すための機能部である」、「IPv6-NDP機能部107を有」する「接続元VPNゲートウェイ装置1」が、「SIP MESSAGEリクエストの宛先として既知の接続先(接続先VPNゲートウェイ装置4)の電話番号を使用」することを含む手順を経て「VPNが構築され」て、「その配下に接続されたPC端末2に対して、当該VPN接続(IPsec接続)で使用できるIPアドレスを払い出し、これにより、PC端末2は、接続元VPNゲートウェイ装置1と接続先VPNゲートウェイ装置間4でのIPsecに基づくVPN接続を利用して、接続先VPNゲートウェイ装置4配下に存在する業務システム5のサービスを受けることができる」ものである。
したがって、「PC端末2に対して」「払い出」す、「当該VPN接続(IPsec接続)で使用できるIPアドレス」、すなわち「PC端末2」に割り当てられる「IPアドレス」は、「IPv6」のアドレスであり得るといえる。また、当該アドレスは、固定的なものではなく、「VPN接続」を確立する際に「払い出」されて、動的に割り当てられることが明らかであり、当該アドレス及び「電話番号」に基づいて、「IPsecに基づくVPN接続を利用し」た通信、すなわち「IP通信」が、「IPv6」による通信として行われるといえる。
以上の点について上記(ア)も踏まえると、本願発明の
「当該通信回線に接続された前記端末機器と前記NGNとの接続が確立される毎にIPv6アドレスが動的に割り当てられ、前記電話番号およびIPv6アドレスに基づいてIP通信がなされる」
ことに関して、引用発明3と本願発明とは、
「IPv6アドレスが動的に割り当てられ、電話番号およびIPv6アドレスに基づいてIP通信がなされる」
という点で共通している。
また、本願発明の
「前記端末機器間でIPv6によるピア・ツー・ピア通信を行う」
ことに関して、引用発明3と本願発明とは、
「IPv6による通信を行う」
という点で共通している。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、本願発明の
「NGN(Next Generation Network)と、それぞれ前記NGNに通信回線を介して接続された複数の端末機器とからなり、前記通信回線に対し、識別番号として電話番号が固定的に割り当てられる一方、当該通信回線に接続された前記端末機器と前記NGNとの接続が確立される毎にIPv6アドレスが動的に割り当てられ、前記電話番号およびIPv6アドレスに基づいてIP通信がなされる通信システムにおいて前記端末機器間でIPv6によるピア・ツー・ピア通信を行う」
ことに関して、引用発明3と本願発明とは、
「ネットワークと、前記ネットワークに通信回線を介して接続された端末機器とからなり、IPv6アドレスが動的に割り当てられ、電話番号およびIPv6アドレスに基づいてIP通信がなされる通信システムにおいてIPv6による通信を行う」
という点で共通している。
(エ)引用発明3は、「ネットワーク接続装置3から受信したIPv6プレフィックスを元に接続元VPNゲートウェイ装置1にIPv6アドレスを設定するとともに、PC端末2に対してIPv6を払い出すための機能部である」、「IPv6-NDP機能部107を有」する「接続元VPNゲートウェイ装置1」について、
「接続元VPNゲートウェイ装置1は、接続先VPNゲートウェイ装置4に対するアクセス先となるIPアドレスを取得するために、IP電話サービスにおいて提供されているメッセージングサービスに係るSIP MESSAGEリクエストを送出し、このとき、接続元VPNゲートウェイ装置1は、SIP MESSAGEリクエストの宛先として接続先VPNゲートウェイ装置4の電話番号を使用し、また、接続元VPNゲートウェイ装置1は、上記SIP MESSAGEリクエストのbody部に、当該メッセージがVPN接続を行う要求であることを示す情報と、IPsecで使用する識別子(IPsecで使用しようとしているIPアドレス)を記載」する
ものである。
ここで、「接続元VPNゲートウェイ装置1」が、「接続先VPNゲートウェイ装置4」に対して「送出」する「SIP MESSAGEリクエスト」の「body部」に「記載」する、「IPsecで使用しようとしているIPアドレス」は、「接続元VPNゲートウェイ装置1」の「IPアドレス」であることが明らかであり、「接続元VPNゲートウェイ装置1にIPv6アドレスを設定する」ことから、当該「接続元VPNゲートウェイ装置1」の「IPアドレス」は、「IPv6アドレス」であり得るといえる。
また、「SIP MESSAGEリクエスト」は、「接続元VPNゲートウェイ装置1」にとって相手方の装置である「接続先VPNゲートウェイ装置4」の「電話番号」を「宛先」とするものといえる。
したがって、「接続元VPNゲートウェイ装置1」は、割り当てられた自己の「IPv6アドレス」を含み、相手方の「電話番号」を「宛先」とする「SIP MESSAGEリクエスト」を、相手方に対して送信するものである。
(オ)引用発明3は、
「接続元VPNゲートウェイ装置1から送出されたSIP MESSAGEリクエストは、ネットワーク接続装置3により中継され、ネットワーク6を介して接続先VPNゲートウェイ装置4に到達し、接続先VPNゲートウェイ装置4は、SIP MESSAGEリクエストのbody部の解析を行い、その結果、接続先VPNゲートウェイ装置4は、受信したSIP MESSAGEリクエストがVPN接続の要求であると判断し、続いて、接続先VPNゲートウェイ装置4は、当該SIP MESSAGEリクエストに含まれるIPsecの識別子を、接続先VPNゲートウェイ装置4の電話番号と対応付けてユーザ管理部404に記録し、VPN接続において接続先VPNゲートウェイ装置4が使用することになる自身のIPアドレスをSIP MESSAGEリクエストのbody部に記載し、そのSIP MESSAGEリクエストを接続元VPNゲートウェイ装置1に送信し、接続元VPNゲートウェイ装置1は、接続先VPNゲートウェイ装置4から送出されたSIP MESSAGEリクエストを受信し、当該メッセージのbody部の解析を行い、接続元VPNゲートウェイ装置1は、当該body部から、接続先VPNゲートウェイ装置4に対するVPN接続で使用するべきIPアドレスを抽出し、そのIPアドレスをIPsec部105に渡」す
ものである。
ここで、「接続先VPNゲートウェイ装置4が使用することになる自身のIPアドレス」が、上記(エ)と同様に「IPv6アドレス」であり得ること、「接続元VPNゲートウェイ装置1に送信」する「SIP MESSAGEリクエスト」が、上記(エ)と同様に「電話番号を宛先とする」ものであること、がそれぞれ明らかである。
したがって、「接続先VPNゲートウェイ装置4」は、割り当てられた自己の「IPv6アドレス」を含み、「電話番号を宛先とする」「SIP MESSAGEリクエスト」を、相手方に対して送信するものである。
(カ)上記(エ)、(オ)で述べた引用発明3の構成において、「接続先VPNゲートウェイ装置4」が「接続先VPNゲートウェイ装置4の電話番号と対応付けてユーザ管理部404に記録」する、「SIP MESSAGEリクエストに含まれるIPsecの識別子」は、「IPsecで使用しようとしているIPアドレス」であるから、「接続先VPNゲートウェイ装置4」は、「接続元VPNゲートウェイ装置1」から「着信した」、「SIP MESSAGEリクエスト」から、「接続元VPNゲートウェイ装置1」の「IPv6アドレス」(上記(オ))を「取得」し、「接続先VPNゲートウェイ装置4」において、「取得」した前記「IPv6アドレス」を「記録する」といえる。
また、「接続元VPNゲートウェイ装置1」は、「接続先VPNゲートウェイ装置4」から「着信した」、「SIP MESSAGEリクエスト」から、「接続元VPNゲートウェイ装置4」の「IPv6アドレス」を「取得」するといえ、ここで、「接続元VPNゲートウェイ装置1」において、「取得」した前記「IPv6アドレス」を「記録する」することが明らかである。
(キ)上記(エ)~(カ)から、引用発明3は、
「接続元VPNゲートウェイ装置1」と「接続先VPNゲートウェイ装置4」との間において、割り当てられた自己の「IPv6アドレス」を含み、相手方の「電話番号」を宛先とする「SIP MESSAGEリクエスト」を、互いに相手方に対して送信し、「接続元VPNゲートウェイ装置1」及び「接続先VPNゲートウェイ装置4」のそれぞれにおいて、相手方から着信した「SIP MESSAGEリクエスト」から「IPv6アドレス」を「取得」し、「接続元VPNゲートウェイ装置1」及び「接続先VPNゲートウェイ装置4」のそれぞれにおいて、「取得」した相手方の「IPv6アドレス」を「記録する」
ものである。
ここで、「接続元VPNゲートウェイ装置1」及び「接続先VPNゲートウェイ装置4」はいずれも機器であって、それぞれ、本願発明の「端末機器」と、「機器」である点で共通している。また、「SIP MESSAGEリクエスト」、「記録する」ことは、それぞれ、本願発明の「SIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号」、「記憶する」ことに相当する。
よって、本願発明の
「前記端末機器間において、前記端末機器のそれぞれと前記NGNとの接続の確立により割り当てられた自己の前記IPv6アドレスを含み、相手方の前記通信回線の前記電話番号を宛先とするSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方の前記通信回線に対して送信し、前記端末機器のそれぞれにおいて相手方の通信回線から着信した前記メッセージ信号から前記相手方の前記IPv6アドレスを取得し、前記端末機器のそれぞれにおいて、取得した相手方の前記IPv6アドレスを当該相手方の電話番号と関係付けて記憶する」
ことに関して、引用発明3と本願発明とは、
「機器間において、割り当てられた自己のIPv6アドレスを含み、相手方の前記電話番号を宛先とするSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方に対して送信し、前記機器のそれぞれにおいて相手方から着信した前記メッセージ信号から前記相手方の前記IPv6アドレスを取得し、前記機器のそれぞれにおいて、取得した相手方の前記IPv6アドレスを記憶する」
という点で共通している。
(ク)上記(イ)で述べた、引用発明3と本願発明とで共通している点によれば、本願発明の
「前記IPv6アドレスに基づいて前記端末機器間で前記ピア・ツー・ピア通信を行う」
ことに関して、引用発明3と本願発明とは、
「(端末機器の)前記IPv6アドレスに基づいて前記通信を行う」
という点でも共通している。なお、括弧書きは、「IPv6アドレス」は、上記(ア)の「端末機器」の「IPv6アドレス」であって、上記(キ)の「機器」の「IPv6アドレス」ではないことを明示する趣旨である。
イ 上記アから、本願発明と引用発明3との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「ネットワークと、前記ネットワークに通信回線を介して接続された端末機器とからなり、IPv6アドレスが動的に割り当てられ、電話番号およびIPv6アドレスに基づいてIP通信がなされる通信システムにおいてIPv6による通信を行う方法であって、機器間において、割り当てられた自己のIPv6アドレスを含み、相手方の前記電話番号を宛先とするSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方に対して送信し、前記機器のそれぞれにおいて相手方から着信した前記メッセージ信号から前記相手方の前記IPv6アドレスを取得し、前記機器のそれぞれにおいて、取得した相手方の前記IPv6アドレスを記憶するとともに、(端末機器の)前記IPv6アドレスに基づいて前記通信を行う方法。」
(相違点5)
本願発明では、「端末機器」が「複数」であり、当該「端末機器」において行われる通信が「端末機器間」の「ピア・ツー・ピア通信」であるのに対し、引用発明3では、「複数」の「PC端末2」間で通信が行われるものではなく、「PC端末2」が「業務システム5のサービスを受ける」際の通信が「ピア・ツー・ピア通信」と特定されるものでもない点。
(相違点6)
本願発明の「端末機器」が接続されているものが、「NGN(Next Generation Network)」であるのに対し、引用発明3の「PC端末2」が接続されているものは、「接続元VPNゲートウェイ装置1」、「ネットワーク接続装置3」、「ネットワーク6」及び「接続先VPNゲートウェイ装置4」から構成されるネットワークである点。
(相違点7)
本願発明では、「前記通信回線に対し、識別番号として電話番号が固定的に割り当てられ」るとともに、「SIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号」の「宛先」とする「前記電話番号」が「前記通信回線」のものであるのに対し、引用発明3では、「SIP MESSAGEリクエストの宛先」の「電話番号」が「接続先VPNゲートウェイ装置4」の「電話番号」である点。
(相違点8)
本願発明では、「端末機器」に「IPv6アドレスが動的に割り当てられ」るタイミングが「当該通信回線に接続された前記端末機器と前記NGNとの接続が確立される毎に」であり、「IPv6アドレス」が「前記端末機器」に「割り当てられ」るのが、「前記端末機器のそれぞれと前記NGNとの接続の確立により」なされるのに対して、引用発明3では、「PC端末2に対して」「IPアドレス」を「払い出」すタイミング等に関して、それらのように特定されるものではない点。
(相違点9)
本願発明では、「SIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号」を、「互いに相手方」に対して「送信」することが、「前記端末機器間において」、「相手方の前記通信回線」に対して行われ、当該「メッセージ信号」の「着信」も、「相手方の前記通信回線」からなされ、また、「相手方の前記IPv6アドレス」の「記憶」が、「前記端末機器のそれぞれにおいて」なされるのに対して、引用発明3では、「SIP MESSAGEリクエスト」の「送出」及び「記録」の双方が、「接続元VPNゲートウェイ装置1」及び「接続先VPNゲートウェイ装置4」のそれぞれでなされる点。
(相違点10)
本願発明では、「相手方の前記IPv6アドレス」を「記憶」する際に「当該相手方」と「関係付け」る対象が「当該相手方の電話番号」であるのに対し、引用発明3では、「接続先VPNゲートウェイ装置4」が「接続元VPNゲートウェイ装置1」の「IPアドレス」を「記録」する際に「対応付け」る対象が「接続先VPNゲートウェイ装置4の電話番号」である点。
(2)判断
事案に鑑みて、相違点9について先に検討する。
端末機器間において、自己のIPアドレスを含むSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方に対して送信し、前記端末機器のそれぞれにおいて相手方から着信した前記メッセージ信号から前記相手方の前記IPアドレスを取得することは、引用発明1の、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-2」が「自端末1-2のIPアドレス(発信元IPアドレス)の指定を伴うINVITEメッセージ(接続要求)」を「SIPサーバとして機能するSIPサーバ機能付IP電話端末1-1に送信」することや、「SIPサーバ機能付IP電話端末1-3」が「このINVITEメッセージから発信元IPアドレス(SIPサーバ機能付IP電話端末1-2のIPアドレス)を取得」すること等の事項が示すように、本願の出願日前において公知である。
しかしながら、相違点9に係る「SIP MESSAGEリクエスト」の「送出」及び「記録」の双方が、「接続元VPNゲートウェイ装置1」及び「接続先VPNゲートウェイ装置4」のそれぞれでなされる等の引用発明3の構成は、「PC端末2」において、「接続元VPNゲートウェイ装置1と接続先VPNゲートウェイ装置間4でのIPsecに基づくVPN接続を利用して、接続先VPNゲートウェイ装置4配下に存在する業務システム5のサービスを受けることができる」ものとするための前提となる構成であって、引用発明3に上記公知の事項を適用して当該前提となる構成を変更することについて、動機付けが存在するとはいえない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明は、当業者であっても引用文献1~3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第6 原査定についての判断
令和3年8月5日提出の手続補正書による補正の結果、本願発明は、引用発明1、引用発明3との対比で、それぞれ相違点1~4、相違点5~10に対応する発明特定事項を有するものとなっており、上記第5のとおり、少なくとも相違点1,2及び9については当業者が容易に想到し得るものとはいえないから、引用文献1~3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第7 当審拒絶理由について
1 当審が令和3年7月13日付けで通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項1において、「前記NGNから前記電話番号に基づき前記端末機器間にSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を伝送するとともに、前記端末機器間において前記端末機器のそれぞれと前記NGNとの接続の確立により割り当てられた自己の前記IPv6アドレスを含む前記SIPのメッセージ信号を互いに相手方の通信回線に対して送信し、」と記載されているが、「メッセージ信号」を、「NGN」から「前記電話番号に基づき前記端末機器間に」「伝送する」と「ともに」、「端末機器間において」「互いに相手方の通信回線に対して送信」することについては、発明の詳細な説明に記載も示唆もされていない。
2 これに対し、令和3年8月6日に提出の手続補正書により、請求項1は、「前記端末機器間において、前記端末機器のそれぞれと前記NGNとの接続の確立により割り当てられた自己の前記IPv6アドレスを含み、相手方の前記通信回線の前記電話番号を宛先とするSIP(Session Initiation Protocol)のメッセージ信号を、互いに相手方の前記通信回線に対して送信し、」と記載されているものとなり、この点については、発明の詳細な説明の段落【0025】~【0026】等に記載されている。
よって、当審拒絶理由は解消した。
第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献1~3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-009838