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意匠拒絶査定不服審判

2020-007926

輸液バッグ

審判番号
2020-007926
法域
意匠
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
意願2019-017657外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年06月09日
審決日
2020年12月08日
公報発行日
2021年02月26日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
D18 .113-WY (J7-4)
条文(本文から自動抽出・参考)
意匠法第3条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

意願2019- 17657「輸液バッグ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。

理由

目次 ▾ 8項目
【理 由】

第1 手続の経緯

令和1年(2019年)  8月 7日    意匠登録出願

同年        12月20日付け  拒絶理由通知書

令和2年(2020年)  2月17日    意見書提出

同年         2月28日付け  拒絶査定

同年         6月 9日    審判請求書提出

第2 本願の意匠

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとし、意願2019-17654を本意匠とする関連意匠の意匠登録出願であって、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「輸液バッグ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)

電気通信回線の種類    インターネット

掲載確認日(公知日)   2015年 5月26日

受入日          特許庁意匠課受入2015年 6月12日

掲載者          Dezeen Limited

表題           Audio Kultur prints magazines and posters in Armenian blood

掲載ページのアドレス

http://www.dezeen.com/2015/04/27/audio-kultur-blood-printing-magazines-posters-armenian-genocide-anniversary/

に掲載された「輸血用バッグ」として表される「輸液バッグ」のうち、当該意匠に該当する部分の意匠

(特許庁意匠課公知資料番号第HJ27006587号)

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品

本願意匠の意匠に係る物品は、医療用の器具であって、患者に薬液を投与する際、内部に薬液を注入し、点滴用スタンドのフックに吊り下げる等して用いられる「輸液バッグ」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、医療用の器具であって、患者に輸血する際、内部に血液を注入し、点滴用スタンドのフックに吊り下げる等して用いられる「輸血用バッグ」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、共通する。

(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲

本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)の用途及び機能については、両部分は、当該物品を点滴用スタンドに吊り下げるためのフラップ及びフラップから連続するバッグの両肩の外形部分である点において共通するが、本願部分は、当該フラップを折り曲げ、その上から注意事項等を記載したシールを貼り付けて使用できるものであるのに対し、引用部分は、当該シールはバッグ本体に添付され、フラップは折り曲げて使用しない点において相違する。

位置、大きさ及び範囲については、両部分ともに、バッグの上端に位置し、上面全体を占める範囲のものであるから、共通する。

(3)両部分の形態

両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。

ア 共通点

両部分は、上面視において透明な略細幅横帯状とし、正面視において外形を略横長隅丸等脚台形の突片(以下「フラップ部」という。)の両端を斜め下方向に弧状に延出して両肩部としたものである点において共通する。

イ 相違点

(ア)フラップ部及び両肩部の両角の面取りについて、本願部分は、フラップ部は小さな隅丸状とし、両肩部は大きな弧状としているのに対し、引用部分は、フラップ部、両肩部ともに、大きな弧状としている点、

(イ)フラップ部と両肩部の境目について、本願部分は、小さな隅丸状としているのに対し、引用部分は、明確な境目はなく、フラップ部から両肩部まで大きな凹弧状としている点。

2 類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品

両意匠の意匠に係る物品は、それぞれ「輸液バッグ」と「輸血用バッグ」であって、いずれも医療用の輸液バッグであるから、類似する。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲

両部分の用途及び機能は、フラップ部を折り曲げて使用するか否かにおいては相違するものであるが、どちらも点滴用スタンドに吊り下げるものであるから、類似する。

両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一である。

(3)両部分の形態

以下、両部分の形態について検討する。

ア 形態の共通点及び相違点の評価

両部分は、医療用の輸液用バッグのフラップ部及び両肩部であるから、需要者は、主に医療関係者のほか、医療機器メーカーや医療機器の取引業者が含まれる。

したがって、まず、需要者が最も注意を払う部位であるフラップ部の態様について評価し、かつそれ以外の形態も併せて、部分全体として形態を評価することとする。

イ 共通点の評価

この種物品の分野において、上面視において透明な略細幅横帯状とし、正面視において外形を略横長隅丸等脚台形のフラップ部の両端を斜め下方向に弧状に延出して両肩部としたものは、両部分の他にも見受けられるものであるから、この態様は、両部分のみに共通するものとはいえず、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。

ウ 相違点の評価

相違点(ア)について、フラップ部を小さな隅丸状とし、両肩部を大きな弧状としている本願部分と、フラップ部、両肩部ともに、大きな弧状としている引用部分とは、正面からみた視覚的印象が相違しており、需要者に異なる美感をもたらしているといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

相違点(イ)について、本願部分は、フラップ部と両肩部の境目を小さな隅丸状とし、明確に境目を表しているのに対し、引用部分は、明確な境目はなく、フラップ部から両肩部まで大きな凹弧状としているため、あたかも1本の大きな湾曲線によって表しているかのように全体が滑らかに繋がっており、相違点(イ)の態様は、相違点(ア)の態様と相まって、需要者に別異の美感を与えているから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

以上のとおり、相違点(ア)及び相違点(イ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。

3 小括

したがって、両意匠は、意匠に係る物品は類似し、両部分の位置、大きさ及び範囲は同一で、用途及び機能は類似しているものであるが、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-007926

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