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特許拒絶査定不服審判

2020-006777

ナトリウムイオンセルの貯蔵および/または輸送

審判番号
2020-006777
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-529157外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年05月19日
審決日
2021年11月24日
公報発行日
2022年05月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H01M)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2017-529157「ナトリウムイオンセルの貯蔵および/または輸送」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月25日国際公開、WO2016/027082、平成29年10月19日国内公表、特表2017-531300〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 11項目
理 由

第1 手続の経緯

本願は、2015年8月18日(パリ条約による優先権主張 2014年8月22日、英国)を国際出願日とする出願であって、平成29年4月25日に手続補正がされ、平成30年7月19日に手続補正がされ、令和元年5月31日付けで拒絶理由通知がされ、令和元年9月10日に手続補正がされ、令和2年1月21日付けで拒絶査定され、令和2年5月19日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。

第2 本願発明

本願の請求項1ないし10に係る発明は、令和2年5月19日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される発明であり、請求項10に記載された事項により特定される発明(以下、「本願発明10」という。)は、次のとおりの発明である(なお、請求項10については、補正されていない。)。

「【請求項10】
0%~20%の充電状態にあるエネルギー貯蔵デバイスをバランスさせる方法であって、該エネルギー貯蔵デバイスが、1以上の先に充電されたナトリウムイオンセルを含み、そして、該1以上の先に充電されたナトリウムイオンセルを、充電の80ないし100%が放散するまで、-0.1ないし1ボルトまで放電し、そして、該セル電位を-0.1ないし1ボルトの範囲に維持するステップを含む、該方法。」

第3 原査定の概要

請求項10(なお、上記「第2」で述べたとおり、令和2年5月19日の手続補正では、請求項10についての補正はなされていない。)についての原査定(令和2年1月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

「2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由2(特許法第29条第2項・進歩性)について

・請求項10

・引用文献4

<引用文献一覧>

4.特開2012-079687号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献4の記載

(1)原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4(特開2012ー079687号公報)には、図面とともに、次の記載がある(下線は、当審で付与した。)。

「【0001】
本発明は、複数の単電池を直列および/または並列に接続した組電池に関する。」
「【0005】
また、リチウムイオン二次電池(単電池)を複数直列に接続して充電または放電した場合、各電池の容量差または内部抵抗差により、電池電圧のバランスが崩れ、組電池全体の電池電圧が所定範囲内にあっても、組電池を構成する単電池の一部には過充電状態や過放電状態になるものが生じてしまう場合がある。
【0006】
例えば、下限電圧3.0Vのリチウムイオン二次電池の単電池を、3個を直列に接続した組電池を放電する場合、組電池は、全体の電池電圧が9.0Vの電圧となるように放電される。この時、上記3個の単電池の容量が同じでない場合、ある単電池が3.0V以下に、他のある単電池が3.0V以上となることがある。3.0V以下の電圧となった単電池は過放電となっており、電池性能が著しく低下する。」
「【0011】
かかる状況下、本発明の目的は、保護回路を使用せずとも、過放電による電池性能の劣化が起こりづらい組電池を提供することにある。」
「【0018】
本発明の組電池は、ナトリウムイオン二次電池からなる単電池(以下、単に「単電池」と称す。)を、複数個接続してなる。
【0019】 以下、本発明の組電池の構成単位となる単電池は、ナトリウムイオンをドープ・脱ドープすることができる正極、ナトリウムイオンをドープ・脱ドープすることができる負極及び電解質を必須とし、通常、正極、負極を隔てるセパレータを有する。」
「【0049】
(組電池)
本発明の組電池は、上述の単電池を構成単位として、複数個の単電池を接続してなるものであり、単電池を直列接続のみで接続したもの、単電池を並列接続のみで接続したもの、単電池を直列接続と並列接続とを組み合わせて接続したものをすべて含む。該単電池は、円筒型、角型、ラミネート等、形式は様々である。」
「【0052】
(配置)
本発明の組電池において、複数個の単電池が直列または並列に接続された電池群は、筐体に収容される。
(・・・以下省略・・・)。」
「【0064】
実施例1(1)正極の作製
(・・・省略・・・)
【0067】
(3)単電池の作製
アルミニウム箔を下に向けて正極B2を置き、セパレータとしてのポリプロピレン多孔質膜(厚み20μm)、銅箔を上に向けて負極D2、となるように積層し、電極群を得る。電極群を10μmの厚さのフィルムからなる電池ケース(Alラミネートパック)内に挿入する。
【0068】
非水電解液としての1MのNaClO4/プロピレンカーボネート、前記の電極群挿入後の電池ケース内に、前記電解液を注液し、真空ラミネートシールをすることによって、ナトリウムイオン二次電池E6を作製する。なお、試験電池の組み立てはアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行う。単位面積あたりの負極の充電容量が単位面積あたりの正極の充電容量に対して、1.0以上2.0以下、好ましくは1.0以上1.2以下、より好ましくは1.0以上1.1以下である。となるように重量を合わせて、組み合わせる。」
「【0070】
(4)組電池の作製
ナトリウムイオン二次電池E6と同様な電池E7、E8、E9、E10を作製し、すべて並列に接続し、組電池F2を得る。
【0071】
続きを表示(全12行)
以下の条件で定電流充放電試験を実施する。
充放電条件:
充電は、4.0Vまで0.1Cレート(10時間で完全充電する速度)でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行う。放電は、該充電速度と同じ速度で、CC放電を行い、電圧1.5Vでカットオフする。次サイクル以降の充電、放電は、該充電速度と同じ速度で行い、1サイクル目と同様に、充電電圧4.0V、放電電圧1.5Vでカットオフする。充放電試験は、計10サイクル行い、10サイクル目の放電容量を放電容量1とする。
【0072】 過放電条件:
10サイクル行った電池を用いて、充電は、4.0Vまで0.1CレートでCC充電を行う。放電は、該充電速度と同じ速度で、電圧0.01VまでCC放電を行った後、電圧0.01VでCV(コンスタントボルテージ:定電圧)放電を100h行う。次サイクル以降の充電、放電は、該充電速度と同じ速度で行い、CC充放電を充電電圧4.0V、放電電圧1.5Vでカットオフして行う。過放電後の充放電試験は、計3サイクル繰り返す。
【0073】 組電池F2について、上記充放電条件にて定電流充放電試験、過放電試験を行って、各サイクルの放電容量の維持率を測定する。
放電容量維持率(%)=放電容量/放電容量1×100
結果、過放電後も、比較例1に比して放電容量維持率は減少しない。」
「【0083】
本発明にかかる組電池、及びナトリウム二次電池の用途としては例えば、携帯電話、携帯オーディオなどの携帯電子機器用電源、(・・・省略・・・)屋外/屋内自動販売機用電源などの移動体用中型電池としての用途を挙げることができる。特に、本発明にかかる組電池は、過放電による電池性能の劣化が起こりづらいという効果を有し、電気自動車の電源や、電力平準化用電源等として、有用である。」

(2)上記記載から、引用文献4には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。

ア 段落【0001】より、「複数の単電池を直列および/または並列に接続した組電池」との技術的事項を読み取ることができる。

イ 段落【0018】、【0052】より、「組電池は、ナトリウムイオン二次電池からなる単電池(以下、単に「単電池」と称す。)を、複数個接続し」、「組電池において、複数個の単電池が直列または並列に接続された電池群は、筐体に収容される。」との技術的事項を読み取ることができる。

ウ 段落【0067】、【0068】、【0070】より、「単電池」として「ナトリウムイオン二次電池E6を作製」し、「ナトリウムイオン二次電池E6と同様な電池E7、E8、E9、E10を作製し、すべて並列に接続し、組電池F2を得る。」との技術的事項を読み取ることができる。

エ 段落【0071】、【0072】、【0073】より、「充放電試験」を「10サイクル行った電池を用いて、充電は、4.0Vまで0.1CレートでCC充電を行」ない、「放電は、該充電速度と同じ速度で、電圧0.01VまでCC放電を行った後、電圧0.01VでCV(コンスタントボルテージ:定電圧)放電を100h行」ない、「過放電後の充放電試験は、計3サイクル繰り返」したが、「過放電後も、」「放電容量維持率は減少しない。」との技術的事項を読み取ることができる。

オ 段落【0071】、【0073】より、「放電容量維持率(%)=放電容量/10サイクル目の放電容量×100」であることを読み取ることができる。

カ 段落【0083】より、「電気自動車の電源や、電力平準化用電源等として、有用である。」との技術的事項を読み取ることができる。

2 引用発明

上記1(2)アないしカから、引用文献4には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「複数の単電池を直列および/または並列に接続した組電池であって、
組電池は、ナトリウムイオン二次電池からなる単電池(以下、単に「単電池」と称す。)を、複数個接続し、組電池において、複数個の単電池が直列または並列に接続された電池群は、筐体に収容され、
単電池としてナトリウムイオン二次電池E6を作製し、ナトリウムイオン二次電池E6と同様な電池E7、E8、E9、E10を作製し、すべて並列に接続し、組電池F2を得、
充放電試験を10サイクル行った電池を用いて、充電は、4.0Vまで0.1CレートでCC充電を行ない、放電は、該充電速度と同じ速度で、電圧0.01VまでCC放電を行った後、電圧0.01VでCV(コンスタントボルテージ:定電圧)放電を100h行ない、過放電後の充放電試験は、計3サイクル繰り返したが、過放電後も、放電容量維持率(放電容量維持率(%)=放電容量/10サイクル目の放電容量×100)は減少せず、
電気自動車の電源や、電力平準化用電源等として、有用である、
組電池。」

第5 対比・判断

1 対比

(1)本願発明10と引用発明を対比すると、以下のとおりである。

ア 引用発明における「ナトリウムイオン二次電池からなる単電池」が、本願発明10における「ナトリウムイオンセル」に相当する。

イ 引用発明における「組電池」は、「複数個の単電池が直列または並列に接続された電池群」を「筐体に収容」したものであって、「電気自動車の電源や、電力平準化用電源等として、有用である」から、本願発明10における「エネルギー貯蔵デバイス」に相当する。

ウ 引用発明における「組電池F2」において、「並列に接続」された「ナトリウムイオン二次電池」を「過放電」させる際、

(ア)引用発明では「充放電試験を10サイクル行った電池を用いて、充電は、4.0Vまで0.1CレートでCC充電を行な」っているから、引用発明における「組電池F2」が、「過放電」の際、「充電」された1以上の「ナトリウムイオン二次電池」を含んでいることは明らかであって、このことが、本願発明10における「該エネルギー貯蔵デバイスが、1以上の先に充電されたナトリウムイオンセルを含」むことに相当する。

(イ)引用発明では「放電は、該充電速度と同じ速度で、電圧0.01VまでCC放電を行った後、電圧0.01VでCV(コンスタントボルテージ:定電圧)放電を100h行な」っているから、引用発明における「過放電」の期間の後半に「電圧0.01V」の維持期間が設けられていることは明らかである。よって、引用発明と本願発明10とは、「該1以上の先に充電されたナトリウムイオンセルを、-0.1ないし1ボルトまで放電し、そして、該セル電位を-0.1ないし1ボルトの範囲に維持するステップ」を含む点で一致する。

しかしながら、本願発明10では、エネルギー貯蔵デバイスに含まれるナトリウムイオンセルを「充電の80ないし100%が放散するまで」放電させているのに対して、引用発明では、どの程度まで放電させているか明らかでない点で一応相違する。

エ 本願発明10では、「0%~20%の充電状態にあるエネルギー貯蔵デバイスをバランスさせる方法」であるのに対して、引用発明では、「並列に接続」された「ナトリウムイオン二次電池」を「過放電」させているものの、該「過放電」を、本願発明10におけるような「バランスさせる方法」として用いることは示されていない点で相違する。

(2)上記(1)アないしエより、本願発明10と引用発明は、以下の(一致点)で一致し、(相違点1)で一応相違し、(相違点2)で相違すると認められる。

(一致点)

「エネルギー貯蔵デバイスが、1以上の先に充電されたナトリウムイオンセルを含み、そして、該1以上の先に充電されたナトリウムイオンセルを、-0.1ないし1ボルトまで放電し、そして、該セル電位を-0.1ないし1ボルトの範囲に維持するステップを含む、方法。」

(相違点1)

本願発明10では、エネルギー貯蔵デバイスに含まれるナトリウムイオンセルを「充電の80ないし100%が放散するまで」放電させているのに対して、引用発明では、どの程度まで放電させているか明らかでない点。

(相違点2)

本願発明10では、「0%~20%の充電状態にあるエネルギー貯蔵デバイスをバランスさせる方法」であるのに対して、引用発明では、「並列に接続」された「ナトリウムイオン二次電池」を「過放電」させているものの、該「過放電」を本願発明10におけるような「バランスさせる方法」として用いることは示されていない点。

2 判断

(1)相違点1について

ア 本願明細書の段落【0018】には「放電の適切な速度を構成するものは、セル化学、電極配合物、セルデザインなどを含む多くの要因に依存し、それ故、1つのセルに対して高すぎる放電の比率は、別のセルに対してはあまり高くない可能性がある。場合によっては、放電の比率、C-レート(ナトリウムイオンセルが特定の時間内にその名目容量を送り出すことになる理論カレントドロー(theoretical current draw)で割り算された放電電流)、これは、0%~20%の充電を有するナトリウムイオンセルを製造するのに有能であるのだが、C/<1(これは、放電電流が1時間未満で全ナトリウムイオンセルを放電させることを意味する)であるが、より典型的には、より低い放電比率が好ましく、C-レートC/1がよりよく、C/5がなおよりよく、C/10がさらによりよく、C/20が理想的で、そしてC/100が最も好ましい。放電比率が減少するにつれ、アノードからのデソディエーションの量が増加し、ナトリウムイオンセルにおけるより低い残留充電が達成される。すなわち、ナトリウムイオンセルが、最後に0%充電により近くなる。1時間より小さい迅速な放電比率が、使用される状況もあるが、放電は、より便利には、1時間を超えて、さらに好ましくは5時間を超えて、特に好ましくは10時間を超えて、有利には20時間を超えて、そして理想的には100時間を超えて行われる。低い放電比率(C/20またはC/100)は、すべてまたは実質的にすべての充電が放散されるナトリウムイオンセルを製造するのに適当であり、-0.1ないし1ボルトの範囲にセル電位を維持する所望のステップを必要とする可能性がより低い。」と記載されている(下線は、当審で付与。)。

イ (ア)当業者には説明するまでもないことであるが、上記記載を読むにあたっては、

a 「C-レート」とは、上記のとおり「ナトリウムイオンセルが特定の時間内にその名目容量を送り出すことになる理論カレントドロー(theoretical current draw)で割り算された放電電流」を意味する(例えば、100mAhの名目容量に対して、理論上、1時間で放電できる電流」(=100mA)で放電させるときの放電比率を「C-レート」=「C/1」と定義すると、50mAで放電させれば、放電比率は「C/1」の半分であるので、「C/2」と表記され、これは、理論上放電に2時間(2h=100mAh/50mA)かかることを意味する。)こと、

b 上記「ア」の記載は、ゆっくりと放電させた方(放電比率が減少した方)が、放電終了時の残留容量は少なくなるという経験則を踏まえた記載であること、

を理解すべきである。

(イ)すると、本願明細書における上記段落【0018】には、「C/1」でさえ(残留容量が)「0%~20%の充電を有するナトリウムイオンセルを製造するのに有能(capable)」であるのだが、さらにゆっくりとした放電、例えば「C/5」(5時間で理論的に名目容量を放電できる、より少ない電流)で(ゆっくりと)放電させた方が(残留容量を)「0%~20%」とするのに「なおよりよく」、「C/10」(10時間で理論的に名目容量を放電できる、さらに少ない電流)で(さらにゆっくりと)放電させた方が「さらによりよく」(残留容量を)「0%~20%」にできることが記載されていることがわかる。

(ウ)よって、本願明細書における上記段落【0018】の記載、及び上記(イ)で述べたとおり「ゆっくりと放電させた方(放電比率が減少した方)が、放電終了時の残留容量は少なるなる」という経験則を踏まえれば、引用発明のとおり「0.1Cレート」(すなわち、「C/10」(10時間で理論的に名目容量を放電できる、さらに少ない電流))で、「電圧0.01VまでCC放電を行った後」では、引用発明においても「充電の80ないし100%が放散」されていると考えるのが自然である。

(エ)また、万が一「電圧0.01VまでCC放電を行った後」においても「充電の80ないし100%が放散」されることにならず、残留容量が「20%」以上の状態であったとしても、さらに加えて「電圧0.01V」というほぼ短絡した状態で「CV(コンスタントボルテージ:定電圧)放電」を行えば、「100h」待たずとも、「充電の80ないし100%が放散」されることになると考えるのが常識的である。

ウ よって、相違点1は、実質的な相違点ではない。

(2)相違点2について

ア 引用文献4の段落【0005】に「また、リチウムイオン二次電池(単電池)を複数直列に接続して充電または放電した場合、各電池の容量差または内部抵抗差により、電池電圧のバランスが崩れ、組電池全体の電池電圧が所定範囲内にあっても、組電池を構成する単電池の一部には過充電状態や過放電状態になるものが生じてしまう場合がある。」と記載されているとおり、組電池においては、組電池に含まれる各「単電池」を「バランス」させることが大切であって、そのための方法を見出すことは、当業者にとって一般的な課題である。

イ 引用発明における「ナトリウムイオン二次電池からなる単電池」は、「過放電」を行っても「放電容量」が「減少」しないのであるから、引用発明において、「単電池」を「すべて並列に接続し」た「組電池」の「過放電」を行って、「放電容量」を「減少」させることなく各「単電池」を、「電池電圧」「0.01V」、かつ(上記(1)で述べたとおり)「0%~20%の充電状態」にすることを、各単電池を「バランス」させる方法として採用することは当業者が容易に想到し得たことである。

ウ また、引用発明における「複数の単電池を直列」「に接続した組電池」についても、各単電池について「過放電」を行えば、「放電容量」を「減少」させることなく各「単電池」を、「電池電圧」「0.01V」、かつ(上記(1)で述べたとおり)「0%~20%の充電状態」に「バランス」させ得ることも当業者が容易に想到し得たことである。

エ したがって、引用発明に示された「過放電」を上記相違点2に係る方法として用いることは当業者が容易になし得たことである。

第6 むすび

以上のとおり、本願の請求項10に係る発明は、引用文献4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2020-006777

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