特許拒絶査定不服審判
2020-005248
エレベータのレール計測装置
- 審判番号
- 2020-005248
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-020828外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月17日
- 審決日
- 2021年01月06日
- 公報発行日
- 2021年02月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フジテック株式会社
- 分類
- P18 .121-WY (G01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017- 20828「エレベータのレール計測装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月16日出願公開、特開2018-128327、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成29年2月8日を出願日とする出願であって、令和元年10月7日付け(発送日:同年同月29日)で拒絶理由が通知され、同年12月4日に手続補正がなされるとともに意見書が提出されたが、令和2年1月17日付け(送達日:同年同月28日)で拒絶査定(原査定)がなされ、これに対し、同年4月17日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1~5に係る発明は、以下の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1 特開2005-60066号公報
2 特開昭63-101701号公報
以下、それぞれ「引用文献1」及び「引用文献2」という。
第3 審判請求時の補正について
本件補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
本件補正は、補正前の請求項1において、「前記柱状部は、前記レールの長手方向に伸縮自在な構成であって」を「前記柱状部は、上柱状部、中柱状部、下柱状部からなり、前記距離センサは、前記上柱状部、中柱状部、下柱状部のそれぞれに取り付けられており、前記中柱状部の距離センサと前記上柱状部の距離センサの距離と、前記中柱状部の距離センサと前記下柱状部の距離センサの距離が、常に同一になるように、前記上柱状部は前記中柱状部に、前記中柱状部は前記下柱状部に、それぞれ収納可能な構成によって前記レールの長手方向に伸縮自在な構成であって」と補正し、旧請求項2、3を削除するものであって、特許法第17条の2第5項に規定されている特許請求の範囲の減縮及び請求項の削除を目的とするものに該当する。また、図4における実施の形態を説明する【0038】~【0044】から、請求項1に係る当該補正事項のうち「前記柱状部は、上柱状部、中柱状部、下柱状部からなり、前記距離センサは、前記上柱状部、中柱状部、下柱状部のそれぞれに取り付けられており、前記中柱状部の距離センサと前記上柱状部の距離センサの距離と、前記中柱状部の距離センサと前記下柱状部の距離センサの距離が、常に同一になる」という事項は導出でき、【0041】「案内レール81は中柱状部71bに対する上柱状部71aの相対移動を案内し、案内レール82は中柱状部71bに対する下柱状部71cの相対移動を案内する。」との記載と図4(a)の収縮状態と図4(b)の伸長状態における上柱状部、中柱状部、下柱状部の位置関係(下図参照)から、請求項1に係る当該補正事項のうち「前記上柱状部は前記中柱状部に、前記中柱状部は前記下柱状部に、それぞれ収納可能な構成」という事項は導出できるから、請求項1に係る当該補正事項は新規事項を追加するものでないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1~3に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。
第4 本願発明
そうすると、本願請求項1~3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明3」という。)は、本件補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定される発明であると認められ、本願発明1は以下のとおりである。
「【請求項1】
レールの長手方向と直角方向における前記レールの頭部のひとつの面との距離を計測する3個の距離センサと、前記距離センサが取り付けられた柱状部と、前記柱状部が取り付けられて前記レールの長手方向に移動する移動体とを備えたエレベータのレール計測治具において、
前記柱状部は、上柱状部、中柱状部、下柱状部からなり、前記距離センサは、前記上柱状部、中柱状部、下柱状部のそれぞれに取り付けられており、
前記中柱状部の距離センサと前記上柱状部の距離センサの距離と、前記中柱状部の距離センサと前記下柱状部の距離センサの距離が、常に同一になるように、前記上柱状部は前記中柱状部に、前記中柱状部は前記下柱状部に、それぞれ収納可能な構成によって前記レールの長手方向に伸縮自在な構成であって、
前記距離センサは、各距離センサの上下方向の間隔を同一間隔に調整可能なように、前記柱状部に上下動可能に取り付けられることを特徴とするエレベータのレール計測装置。」
なお、本願発明2及び3は本願発明1を減縮した発明である。
第5 引用文献の記載事項及び引用発明
1 本件出願前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、「レール据付精度測定装置および方法」について、図1~6とともに、下記の事項が記載されている(下線は当審が付した。以下、同様)。
(1-ア)
「【0019】
図1に示すエレベータは、図示しない昇降路を昇降する乗りかご3と、この乗りかご3を案内する一対のガイドレール4a、4bとを備えている。一方のガイドレール4aは、レールブラケット5により支持され、基準とする鉛直な直線に合わせて微妙な位置調節が可能であるとともに、複数のガイドレール4aの端部を背板6にボルト7で互いに連結することにより、これらのガイドレール4aが昇降路の全体にわたって立設されている。また、他方のガイドレール4bも同様である。」
(1-イ)
「【0024】
そして、本実施形態のレール据付精度測定装置は、図5などに示すように、一方のガイドレール4aの長手方向と直角な方向におけるガイドレール4aとの間の距離を非接触的に計測する9個の距離センサ(変位センサ)1a~1iと、これらの距離センサ1a~1iが取付けられる測定治具2aと、他方のガイドレール4bの長手方向と直角な方向におけるガイドレール4bとの間の距離を非接触的に計測する9個の距離センサ1j~1rと、これらの距離センサ1j~1rが取付けられる他の測定治具2bと、一方のガイドレール4aに接触して移動距離を測定するエンコーダ24と、これらの距離センサ1a~1rおよびエンコーダ24が接続される信号処理部20と、この信号処理部20がA/Dボード23を介して接続されるノートパソコン21とを備えている。
【0025】
測定治具2aに取付けられる9個の距離センサ1a~1iのうち、図1に示すように3個1組の距離センサ1a、1d、1fによって一方のガイドレール4aの頂点の形状を測定して左右の局部曲がりと継ぎ目の段差を求め、他の3個1組の距離センサ1b、1e、1gによってガイドレール4aの側面形状を測定して前後の倒れと前後屈を求める。また、距離センサ1b、1cにより一方のガイドレール4aのレール対向度Twを測定するとともに、距離センサ1k、1lにより他方のガイドレール4bのレール対向度Twを測定し、距離センサ1f、1oまたは距離センサ1d、1mまたは距離センサ1a、1jのいずれかのペアを用いることにより、ガイドレール4a、4b間のレールゲージRGを測定する。なお、図1において、距離センサ1iは、背板6のボルト7の凹凸を検出して一方のガイドレール4aの継ぎ目の位置を検出し、距離センサ1hは、一方のレールブラケット5の凹凸を検出する。」
(1-ウ)
「【0027】
図1に示すように測定治具2a、2bはそれぞれ乗りかご3の縦枠部材3a、3bの上部に搭載されており、すなわち測定治具2a、2bは、計測対象となるガイドレール4a、4bの通常の使用状態にてガイドレール4a、4bに沿って走行する構造物に取付けられている。また、測定治具2a、2bはそれぞれガイドレール4a、4bの長手方向に沿って移動可能に設けられるとともに、これらの測定治具2a、2bは乗りかご3の縦枠部材3a、3bなどを介して互いに連結されている。
【0028】
縦枠部材3a、3bの上下端には、3方向からガイドレール4aに接する3輪一組のガイドローラ9が設けられており、各ガイドローラ9の軸は、ガイドレール4aに向かって図示しないばねで押されており、ガイドレール4aを3方向で挟むようにして乗りかご3を案内する機能を持つ。これらのガイドローラ9により測定治具2a、2bも案内されているので、測定治具2a、2bや距離センサ1a~1rなどがガイドレール4a、4bに衝突することを防止できる。また、測定治具2aには、ガイドレール4aに接触するローラ10が設けられ、このローラ10は、図示しない軸受が弾力のあるばねで支持され、ガイドレール4aの凹凸や曲がりを吸収可能である。ローラ10がガイドレール4aに接触することにより、エンコーダ24で所定の微小距離Δz進むごとに測定値読込のトリガを発生させるようになっている。」
(1-エ)
「【0030】
この実施形態のレール据付精度測定方法では、測定治具2a、2bをそれぞれ乗りかご3の縦枠部材3a、3bの上部に搭載した状態で、乗りかご3を昇降させることにより、測定治具2a、2bがガイドレール4a、4bの長手方向に移動しながら、距離センサ1a~1iで一方のガイドレール4aの長手方向と直角な方向におけるガイドレール4aとの間の距離を測定し、他の距離センサ1j~1rで他方のガイドレール4bの長手方向と直角な方向におけるガイドレール4bとの間の距離を測定する。」
(1-オ)
「【0034】
以上を踏まえて、図3に示す測定治具2aのより詳しい説明をする。すなわち、測定治具2aは、光線をガイドレール4aに当ててその反射光の受光状態より距離を測定する距離センサ1a、1d、1fを上下に所定の間隔L1、L2を持たせて固定し、ガイドレール4aに沿ってz軸方向に移動するものとする。また、ガイドレール4aにローラ10を接触させて、エンコーダ24により所定の微小距離Δz進むごとに測定値読込のトリガを発生させる。このようにして点P1~P3の3箇所で同時に得られる距離データをd1、d2、d3と表す。また、点Piにおけるx方向の位置はx〔i〕として格納する。ここで、iは測定回数を表すインデックス番号で、最初は「0」であり、測定を繰り返す毎に1づつ増加させた数字を与える。なお、x〔0〕の値はガイドレール4aの基準位置xoを与える。サンプリング回数に対応するインデックス番号iは、微小間隔Δzと掛け合わせてz軸方向の距離に対応させることができる。」
(1-カ)図1
(1-キ)図3
(1-ク)図4
2 本件出願前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された引用文献2には、「軌道実形状簡易測定装置」について、図1~12とともに、下記の事項が記載されている。
(2-ア)
「 第1図A及びBはこの発明の実施例で簡易測定装置の架体の例を示す平面図及び正面図である。この実形状簡易測定装置の架体21は本体フレーム22と架体21の水平位置を得るためのステー23とで構成される。本体フレーム22は伸縮可能な構造で、その本体フレーム22の両端部から摺動自在にそれぞれ副フレーム24が伸長され、この例では運搬時には約3.9mであるが、測定時には伸長されて約5.3mのフレーム長となる。
第2図A及びBは本体フレームと副フレームとの伸縮構造の例を示す平面図及び正面図である。この例では本体フレーム22はその断面が矩形状の箱体で、その箱体内部25に副フレーム24が内挿される。副フレーム24の上縁両側には庇状のガイド26が設けられ、このガイド26が2組のガイドローラ27により2カ所で挟持されることにより副フレーム24は本体フレーム22内を摺動自在に内装されている。副フレーム24は運搬時に本体フレーム22内に収納され、測定時には末端の突部28が脱落防止金具29に衝接するまで本体フレーム22外へ伸長され、本体フレーム22の上面に設けられたストッパー31が係止孔32にねじ込まれて固定される。この本体フレーム22は被測定レール33上に配される。また本体フレーム22の横に取付けられたステー23が対側レール34へ差し渡されることにより架体21の水平度が維持される。この架体21には移動用の走行車輪部35と手押し捧36とが取付けられ、検測者が手押し棒33を押すことにより被測定レール33の頭面33Aを自由に走行させることができる。」(3頁右下欄14行~4頁右上欄4行)
(2-イ)
「 第1図に示したように、架体21には3つの偏位検知器が取付けられるが、2つの偏位検知器52、53は各副フレーム24の端部に互いに5mの距離を隔てるように取付けられ、この2つの偏位検知器52及び53のちょうど中央に位置するように1つの偏位検知器54が本体フレーム22上に取付けられる。また中央の偏位検知器54に隣接して架体21の走行距離を測定する測距装置55が取付けられる。」(4頁左下欄11~19行)
(2-ウ)第1図A
3 引用発明
(1)上記記載事項(1-イ)の「【0024】・・・・・一方のガイドレール4aの長手方向と直角な方向におけるガイドレール4aとの間の距離を非接触的に計測する9個の距離センサ(変位センサ)1a~1iと、これらの距離センサ1a~1iが取付けられる測定治具2aと、他方のガイドレール4bの長手方向と直角な方向におけるガイドレール4bとの間の距離を非接触的に計測する9個の距離センサ1j~1rと、これらの距離センサ1j~1rが取付けられる他の測定治具2bと」及び「【0025】・・・・・図1に示すように3個1組の距離センサ1a、1d、1fによって一方のガイドレール4aの頂点の形状を測定して左右の局部曲がりと継ぎ目の段差を求め、他の3個1組の距離センサ1b、1e、1gによってガイドレール4aの側面形状を測定して前後の倒れと前後屈を求める。」及び図1からみて、引用文献1には「ガイドレールの長手方向と直角方向における前記ガイドレールの頂点および側面との距離を測定する3個の距離センサ」が記載されているといえる。
(2)上記記載事項(1-イ)の「【0024】・・・・・これらの距離センサ1a~1iが取付けられる測定治具2aと、・・・・・これらの距離センサ1j~1rが取付けられる他の測定治具2bと」及び図1からみて「測定治具」は「柱状」であることから、引用文献1には「距離センサが取り付けられた柱状の測定治具」が記載されているといえる。
(3)上記記載事項(1-ウ)の「【0027】図1に示すように測定治具2a、2bはそれぞれ乗りかご3の縦枠部材3a、3bの上部に搭載されており、すなわち測定治具2a、2bは、計測対象となるガイドレール4a、4bの通常の使用状態にてガイドレール4a、4bに沿って走行する構造物に取付けられている。」及び同(1-エ)の「測定治具2a、2bをそれぞれ乗りかご3の縦枠部材3a、3bの上部に搭載した状態で、乗りかご3を昇降させることにより、測定治具2a、2bがガイドレール4a、4bの長手方向に移動しながら」からみて、引用文献1には「測定治具が取り付けられてガイドレールの長手方向に移動する構造物」が記載されているといえる。
(4)上記記載事項(1-ア)の「図1に示すエレベータは、図示しない昇降路を昇降する乗りかご3と、この乗りかご3を案内する一対のガイドレール4a、4bとを備えている。」及び同(1-ウ)の「本実施形態のレール据付精度測定装置は、図5などに示すように、一方のガイドレール4aの長手方向と直角な方向におけるガイドレール4aとの間の距離を非接触的に計測する9個の距離センサ(変位センサ)1a~1iと、これらの距離センサ1a~1iが取付けられる測定治具2aと」からみて、引用文献1には「エレベータのレール据付精度測定装置」が記載されているといえる。
(5)上記記載事項(1-オ)の「測定治具2aは、光線をガイドレール4aに当ててその反射光の受光状態より距離を測定する距離センサ1a、1d、1fを上下に所定の間隔L1、L2を持たせて固定し、ガイドレール4aに沿ってz軸方向に移動するものとする。」からみて、引用文献1には「3個の距離センサが上下に所定の間隔を持たせて測定治具に固定される」ことが記載されているといえる。
(6)上記(1)~(5)によれば、引用文献1には、次の発明が記載されているものと認められる。
「 ガイドレールの長手方向と直角方向における前記ガイドレールの頂点および側面との距離を測定する3個の距離センサと、
前記3個の距離センサが取り付けられた柱状の測定治具と、
前記測定治具が取り付けられて前記ガイドレールの長手方向に移動する構造物とを備え、
前記3個の距離センサは、上下に所定の間隔を持たせて測定治具に固定される
エレベータのレール据付精度測定装置。」(以下、「引用発明」という。)
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「ガイドレールの長手方向と直角方向における前記ガイドレールの頂点及び側面との距離を測定する3個の距離センサ」は、本願発明1の「レールの長手方向と直角方向における前記レールの頭部のひとつの面との距離を計測する3個の距離センサ」に相当する。
イ 引用発明の「前記3個の距離センサが取り付けられた柱状の測定治具」は、本願発明1の「前記距離センサが取り付けられた柱状部」に相当する。
ウ 引用発明の「前記測定治具が取り付けられて前記ガイドレールの長手方向に移動する構造物」は、本願発明1の「前記柱状部が取り付けられて前記レールの長手方向に移動する移動体」に相当する。
エ 引用発明の「エレベータのレール据付精度測定装置」は、本願発明1の「エレベータのレール計測装置」に相当する。
オ 引用発明の「前記3個の距離センサは、上下に所定の間隔を持たせて測定治具に固定される」ことと、本願発明1の「前記柱状部は、上柱状部、中柱状部、下柱状部からなり、前記距離センサは、前記上柱状部、中柱状部、下柱状部のそれぞれに取り付けられて」いることとは、「前記距離センサは、前記柱状部の上方、中間、下方にて、所定間隔にて取り付けられている」点で共通する。
よって、本願発明1と引用発明とは、次の点で一致し、次の点で相違する。
(一致点)
「 レールの長手方向と直角方向における前記レールの頭部のひとつの面との距離を計測する3個の距離センサと、前記距離センサが取り付けられた柱状部と、前記柱状部が取り付けられて前記レールの長手方向に移動する移動体とを備えたエレベータのレール計測治具において、
前記距離センサは、前記柱状部の上方、中間、下方にて、所定間隔にて取り付けられている、エレベータのレール計測装置。」
(相違点)
本願発明1では、「前記柱状部は、上柱状部、中柱状部、下柱状部からなり、前記距離センサは、前記上柱状部、中柱状部、下柱状部のそれぞれに取り付けられており、
前記中柱状部の距離センサと前記上柱状部の距離センサの距離と、前記中柱状部の距離センサと前記下柱状部の距離センサの距離が、常に同一になるように、前記上柱状部は前記中柱状部に、前記中柱状部は前記下柱状部に、それぞれ収納可能な構成によって前記レールの長手方向に伸縮自在な構成であって、
前記距離センサは、各距離センサの上下方向の間隔を同一間隔に調整可能なように、前記柱状部に上下動可能に取り付けられる」のに対し、引用発明では、「3個の距離センサは、上下に所定の間隔を持たせて測定治具に固定される」点。
(2)相違点の検討
引用文献2の上記記載事項(2-ア)の「本体フレーム22は伸縮可能な構造で、その本体フレーム22の両端部から摺動自在にそれぞれ副フレーム24が伸長され、この例では運搬時には約3.9mであるが、測定時には伸長されて約5.3mのフレーム長となる。・・・・・副フレーム24は運搬時に本体フレーム22内に収納され、測定時には末端の突部28が脱落防止金具29に衝接するまで本体フレーム22外へ伸長され、本体フレーム22の上面に設けられたストッパー31が係止孔32にねじ込まれて固定される。」及び同(2-イ)の「架体21には3つの偏位検知器が取付けられるが、2つの偏位検知器52、53は各副フレーム24の端部に互いに5mの距離を隔てるように取付けられ、この2つの偏位検知器52及び53のちょうど中央に位置するように1つの偏位検知器54が本体フレーム22上に取付けられる。」からみて、引用文献2には「軌道実形状簡易測定装置において、架体を本体フレームと2本の副フレームにて構成し、伸長可能となる構造とするとともに、各フレームにそれぞれ1つの偏位検知器が取付けられ、伸長したときに、前記本体フレームに取り付けた偏位検知器が前記2本の副フレームに取り付けた2個の偏位検知器のちょうど中央に位置するようする」ことが記載されているといえる。
そうすると、引用文献2記載の「架体が伸長可能となる」点において、構成・機能上類似し、引用文献2記載の「本体フレーム」及び「2本の副フレーム」が、それぞれ、本願発明1の「中柱状部」及び「上下柱状部」に構成上対応するといえる。そして、引用文献1には、引用発明の「測定治具」(本願発明1の「柱状部」に相当する)を脱着自在とし運搬することは記載されていないものの、常時必要としない部材を取り外し可能として運搬を容易にすることは一般的な課題であって、そのように構成する、すなわち、「測定治具」を複数の部材から構成して伸縮自在とし、運搬を容易にすることは、当業者において十分に動機付けがあり、何ら困難性がないといえる。
しかしながら、引用文献2には、上記相違点に係る本願発明1の構成のうち「前記中柱状部の距離センサと前記上柱状部の距離センサの距離と、前記中柱状部の距離センサと前記下柱状部の距離センサの距離が、常に同一になるように、前記上柱状部は前記中柱状部に、前記中柱状部は前記下柱状部に、それぞれ収納可能な構成によって前記レールの長手方向に伸縮自在な構成」について記載も示唆もされていないし、周知といえる証拠もない。そして、引用文献1の(1-ク)図4のS7の式において、距離センサの、上方と中間の距離L1及び中間と下方の距離L2は任意であるから、引用発明では、距離センサの、上方と中間の距離L1と中間と下方の距離L2とを同一にする必要はない。
してみると、引用文献2記載の事項を考慮しても、引用発明において、上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることでない。
(3)まとめ
したがって、本願発明1は、引用発明、引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1を技術的に限定的に減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明及び引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明1~3は、引用発明及び引用文献2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-005248