2020-001004
飽和ダイマー酸ジエステル誘電流体
- 審判番号
- 2020-001004
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-574461外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年01月24日
- 審決日
- 2020年10月09日
- 公報発行日
- 2020年11月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (H01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続の経緯
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本願は、2015年(平成27年)5月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年6月26日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、令和1年6月26日付けで拒絶理由通知がされ、同年9月20日付けで意見書が提出されると同時に手続補正がされ、同年10月4日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和2年1月24日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、同年4月6日に審判請求人から上申書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和1年10月4日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.本願請求項1ないし10に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特表2005-500403号公報
第3 本願発明
本願請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、令和2年1月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】飽和ダイマー酸ジエステルを、誘電流体の全重量に基づいて、少なくとも95重量%含む、誘電流体。【請求項2】飽和ダイマー酸ジエステルと、続きを表示(全26行)抗酸化剤、酸化防止剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、1つ以上の添加剤と、から本質的になる、請求項1に記載の誘電流体。【請求項3】飽和ダイマー酸ジエステルと、抗酸化剤、酸化防止剤、腐食防止剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、1つ以上の添加剤と、からなる、請求項1に記載の誘電流体。【請求項4】前記飽和ダイマー酸ジエステルが、ASTM D92に従って測定した場合、少なくとも250℃の引火点を有し、前記飽和ダイマー酸ジエステルが、ASTM D92に従って測定した場合、少なくとも300℃の燃焼点を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の誘電流体。【請求項5】前記飽和ダイマー酸ジエステルが、飽和ダイマー酸のジアルキルジエステルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の誘電流体。【請求項6】前記飽和ダイマー酸ジエステルが、ダイマー酸のジ-2-エチルヘキシルジエステル、ダイマー酸のジヘキシルジエステル、ダイマー酸のジブチルジエステル、ダイマー酸のジペンチルジエステル、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の誘電流体。【請求項7】前記飽和ダイマー酸ジエステルが、-40℃で流動可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の誘電流体。【請求項8】電気部品と、請求項1~7のいずれか1項に記載の誘電流体と、を備える、デバイス。【請求項9】前記電気部品が、変圧器、コンデンサ、スイッチ、レギュレータ、回路遮断器、リクローザ、流体充填伝送線、及びそれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のデバイス。【請求項10】前記電気部品が変圧器であり、前記誘電流体の少なくとも一部が前記変圧器内に配置される、請求項8に記載のデバイス。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。下線部は当審で付したものである。
ア「【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エステルが、三量体酸又はその反応性等価物、第1多価アルコール又はその反応性等価物及び第1一価アルコール及びその反応性等価物から成る第1反応成分の反応生成物から成り;この第1一価アルコールはC8~C18一価アルコール又はその反応性等価物の群から選択し;第2エステルが、三量体酸又はその反応性等価物、第2多価アルコール又はその反応性等価物及び第2一価アルコール及びその反応性等価物から成る第2反応成分の反応生成物であり;この第2一価アルコールはC6~C10一価アルコール又はその反応性等価物の群から選択し;第1及び第2一価アルコールは同じものではない、第1及び第2のエステルブレンドから成る配合物。
【請求項2】
第1反応成分及び第2反応成分が各々更に二量体酸から成る、請求項1に記載の配合物。
・・・<略>・・・
【請求項13】
100℃で粘度30~50cStを有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の配合物。」
イ「【0024】
本明細書では、用語“三量体酸”は配合物中に重合脂肪酸の全質量に対して少なくとも20%三量体である重合カルボン酸を含有する配合物を表すために使用する。一般に三量体酸を80%より高い純度に精製することは難しい。従って、本発明の有利な三量体酸は重合脂肪酸の混合物内に含有され、ここで重合脂肪酸は二量体酸も含有し、二量体酸対三量体酸の質量比は、20:80~80:20の範囲である。」
ウ「【0025】
三量体酸の反応性等価物は、本発明のエステル化反応で実質的に同じエステル生成物を得るために使用することができる物質である。水素化三量体酸は、三量体酸の反応性等価物である。最初に形成されたように、二量体酸及び三量体酸は一般に不飽和多塩基性酸を含有する。この不飽和はある程度、二量体酸/三量体酸を好適な反応条件下で水素添加することによって取り除くことができ、その際、不飽和は水素と反応し、飽和になる。水素添加工程を施された三量体酸は、通常水素化三量体酸と称され、海軍軍需品工業で公知である。水素化三量体酸は、一般に三量体酸及び二量体酸を販売する同じ市販供給者から得ることができる。水素化三量体酸は、一般に“標準”非水素化三量体酸より淡色であり、従ってこれをエステル化工程へ使用することによって淡色のエステルが得られる。更に水素化三量体酸から製造したエステルは、一般に熱安定性を高める。従って、水素化三量体酸は本発明で使用するために有利な三量体酸である。 」
エ 「【0028】態様の一つでは、各第1反応成分及び第2反応成分は更に二量体酸から成る。例えば、第1反応成分及び第2反応成分は各々、二量体酸:三量体酸の質量比20:80~80:20で二量体酸及び三量体酸から成り、質量比は各第1及び第2反応成分で無関係に選択した。態様の一つでは、少なくとも一つの反応成分は二量体酸及び三量体酸のブレンドを使用し、その際、三量体酸は、二量体酸より多い質量%で、即ち50質量%より多く存在する。」
上記引用文献1には、上記記載事項アの下線部の記載から、さらに上記記載事項ウの下線部の記載から二量体酸/三量体酸が水素添加工程を施されて飽和することが理解できるため、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「第1エステルが、飽和三量体酸又はその反応性等価物、第1多価アルコール又はその反応性等価物及び第1一価アルコール及びその反応性等価物から成る第1反応成分の反応生成物から成り;この第1一価アルコールはC8~C18一価アルコール又はその反応性等価物の群から選択し;第2エステルが、飽和三量体酸又はその反応性等価物、第2多価アルコール又はその反応性等価物及び第2一価アルコール及びその反応性等価物から成る第2反応成分の反応生成物であり;この第2一価アルコールはC6~C10一価アルコール又はその反応性等価物の群から選択し;第1及び第2一価アルコールは同じものではない、第1及び第2のエステルブレンドから成る配合物であって、第1反応成分及び第2反応成分が各々更に飽和二量体酸から成ると共に、100℃で粘度30~50cStを有する、配合物。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明における「飽和二量体酸」は、本願発明1における「飽和ダイマー酸」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「飽和ダイマー酸エステルを含む配合物。」
(相違点)
(相違点1)飽和ダイマー酸エステルについて、本願発明1は「ジエステル」と特定するのに対し、引用発明はジエステルを含むのか不明である点
(相違点2)飽和ダイマー酸ジエステルの含有量について、本願発明1は「誘電流体の全重量に基づいて、少なくとも95重量%含む」と特定するのに対し、引用発明は不明である点
(相違点3)配合物について、本願発明1は「誘電流体」と特定されているのに対し、引用発明はそのような特定がされていない点
(2)相違点についての判断
先に、上記相違点2について検討する。
引用文献1の上記記載事項第5 1イより、引用発明において、さらに含まれても良い二量体酸は、エステルの原料である三量体酸を得る際に不可避的に混合してしまう不純物である旨が理解できる。そして、三量体酸を高い純度で得るために精製しても、三量体酸の含有量は80%が上限となり、不可避的に不純物である二量体酸が少なくとも「20%」含まれてしまう旨記載されている。また、上記記載事項第5 1エより、二量体酸の最大含有量は、「80%」であることが理解できる。
そうすると、引用発明において、不純物である、飽和二量体酸エステルの含有量について、配合物の全重量に基づいて、最大含有量である80重量%よりも多い、「少なくとも95重量%含む」と特定する動機付けもないし、阻害要因もある。
したがって、上記相違点1、3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2ないし10について
本願発明2ないし10も、本願発明1の「飽和ダイマー酸ジエステルを、誘電流体の全重量に基づいて、少なくとも95重量%含む、誘電流体。」と同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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