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特許拒絶査定不服審判

2020-000883

蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法

審判番号
2020-000883
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-230455外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2020年01月23日
審決日
2021年03月10日
公報発行日
2021年05月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H01G)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-230455「蓄電デバイス及び蓄電デバイスの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月 1日出願公開、特開2017- 98451、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年11月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和 1年 5月24日付け:拒絶理由通知 令和 1年 7月29日  :意見書、手続補正書の提出 令和 1年10月16日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。) 令和 2年 1月23日  :審判請求書、手続補正書の提出 令和 2年10月23日付け:拒絶理由通知(以下「当審拒絶理由通知」という。) 令和 2年12月21日  :意見書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和1年10月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 理由1及び理由2 ・請求項   1、3-4 ・引用文献等 A 理由2 ・請求項   2、5 ・引用文献等 A-B ・請求項   1、3-5 ・引用文献等 C-D ・請求項   2 ・引用文献等 C-D、B 引用文献等一覧 A.特開2015-19029号公報 B.特開2006-286919号公報 C.特開2008-235169号公報 D.特開2010-86788号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ・請求項   1-5 ・引用文献等 1-4 引用文献等一覧 1.特開2013-89625号公報(当審において新たに引用した文献) 2.特開2006-286919号公報(拒絶査定時の引用文献B) 3.特開平11-204144号公報(当審において新たに引用した文献) 4.特開2008-235169号公報(拒絶査定時の引用文献C) 第4 本願発明 本願の請求項1ないし5に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は、令和2年12月21日提出の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される、以下の通りの発明である。 「 【請求項1】 交互に積層される複数の正極電極及び複数の負極電極と、 前記複数の正極電極の各々と前記複数の負極電極の各々との間に介在する複数のセパレータと、 前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記複数のセパレータを内包するカバーと、 前記複数の正極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される正極端子と、 前記複数の負極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される負極端子と、 前記カバーの内部に配置されるプレドープ金属箔と、 を備えるプレドープ前の蓄電デバイスであって、 前記複数の正極電極の各々及び前記複数の負極電極の各々は、孔が形成された集電箔と、前記集電箔の少なくとも片面に配置された活物質層と、を備え、 前記複数の正極電極及び前記複数の負極電極の少なくともいずれか一方は、前記プレドープ金属箔が前記活物質層の表面に直接接触した状態でロールプレス機によるプレス加工により圧延及び圧着されたプレドープ対象電極を含み、 前記プレドープ対象電極には、前記活物質層の外周縁部分の全周に、前記活物質層の欠落が発生しうる部位であって、圧延及び圧着された前記プレドープ金属箔が配置されていない非配置部位が形成され、 前記プレドープ金属箔は、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位よりも前記活物質層の中央寄りに配置され、 前記集電箔と前記プレドープ金属箔との間に前記活物質層の欠落が発生しうる部位を有しないように、前記プレドープ金属箔は配置される、蓄電デバイス。 【請求項2】 前記プレドープ対象電極は、前記正極電極及び前記負極電極の積層方向から見た場合に、前記活物質層が配置された部位全体に対する前記プレドープ金属箔の投影面積を80%以上且つ100%未満とする、請求項1に記載の蓄電デバイス。 【請求項3】 交互に積層される複数の正極電極及び複数の負極電極と、 前記複数の正極電極の各々と前記複数の負極電極の各々との間に介在する複数のセパレータと、 前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記複数のセパレータを内包するカバーと、 前記カバーの内部に配置される電解液と、 前記複数の正極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される正極端子と、 前記複数の負極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される負極端子と、 を備える蓄電デバイスの製造方法であって、 前記複数の正極電極の各々及び前記複数の負極電極の各々は、孔が形成された集電箔と、前記集電箔の少なくとも片面に配置された活物質層と、を備え、 前記製造方法は、 前記複数の正極電極のうち少なくとも一つ又は前記複数の負極電極の少なくとも一つに対し、前記活物質層の表面にプレドープ金属箔が直接接触した状態でロールプレス機によるプレス加工により圧延及び圧着されると共に、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位であって圧延及び圧着された前記プレドープ金属箔が配置されていない非配置部位が前記活物質層の外周縁部分の全周に形成されたプレドープ対象電極を形成するプレドープ対象電極形成工程と、 前記プレドープ対象電極、前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記セパレータを積層し、前記正極端子を前記複数の正極電極に接続すると共に前記負極端子を前記複数の負極電極に接続する積層工程と、 積層された前記プレドープ対象電極、前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記セパレータを前記カバーに内包する内包工程と、 前記カバー内に前記電解液を注入し、前記プレドープ金属箔を前記複数の負極電極にプレドープするプレドープ工程と、 を備え、 前記プレドープ対象電極形成工程は、 前記プレドープ金属箔を、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位よりも前記活物質層の中央寄りに配置し、 前記集電箔と前記プレドープ金属箔との間に前記活物質層の欠落が発生しうる部位を有しないように、前記プレドープ金属箔を配置する、蓄電デバイスの製造方法。 【請求項4】 前記プレドープ対象電極形成工程は、 前記複数の正極電極のうち少なくとも一つ又は前記複数の負極電極の少なくとも一つに対し、前記活物質層の表面に直接接触した状態で前記プレドープ金属箔を配置する配置工程と、 前記配置工程により配置された前記プレドープ金属箔をロールプレス機によるプレス加工により圧延及び圧着する圧着工程と、 を備え、 前記プレドープ対象電極は、前記圧着工程により前記プレドープ金属箔が圧延及び圧着された状態において、前記活物質層の外周縁部分の全周に前記非配置部位が形成される、 請求項3に記載の蓄電デバイスの製造方法。 【請求項5】 前記蓄電デバイスの製造方法は、さらに、前記複数の正極電極及び前記複数の負極電極を製造する電極製造工程を備え、 前記圧着工程は、前記電極製造工程における活物質層の厚さ寸法をならすためのプレス加工と同時に行う、請求項4に記載の蓄電デバイスの製造方法。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について (1)記載事項 令和2年10月23日付の当審の拒絶の理由に引用された、引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「【0027】 すなわち本発明は、以下の非水系リチウム型蓄電素子の製造方法、並びに当該製造方法で製造された非水系リチウム型蓄電素子、及び蓄電モジュールを提供するものである。 上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る非水系リチウム型蓄電素子の製造方法は、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された両面正極と、貫通孔を有する負極集電体の両面にリチウムを吸蔵および脱離し得る負極活物質を含む負極活物質層が形成された両面負極とを、セパレータを介して交互に複数積層した電極積層体、ならびにリチウムイオンを含有した電解質を含む非水系電解液が外装体に収納されてなる非水系リチウム型蓄電素子の製造方法であって、前記両面負極の一方の面にのみ、前記負極活物質層の上に金属リチウム箔を圧着する圧着工程と、前記電極積層体において前記両面負極の上面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極と、前記両面負極の下面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極とを含むように、前記両面正極と前記両面負極とをセパレータを介して交互に積層する積層工程と、前記電極積層体を外装体に収納して非水系電解液を注入する注液工程と、を含むことを特徴としている。」 「【0034】 以下に、本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。 図1は、本発明を適用した非水系リチウム型蓄電素子100の一例を示す、模式図である。 一般に、蓄電素子は、正極、セパレータ、負極、電解液、及び外装体を主な構成要素とする。本発明の蓄電素子はリチウム塩を溶解させた有機溶媒(以下、「非水系電解液」という。)を電解液とする、非水系リチウム型蓄電素子100である。 【0035】 本発明を適用した非水系リチウム型蓄電素子100は、図1にその一態様を示すように、正極および負極がセパレータを介して積層されてなる電極積層体1と、外装体21と、図示しない電解液と、負極端子用リードタブ22と、正極端子用リードタブ23と、で構成される。外装体21はラミネートフィルム等で構成され、ヒートシールにより密封するようになっている。前記電極積層体1および図示しない電解液は、外装体21内に収納され、電極積層体1はラミネート外装体カップ部24内に配置されている。 【0036】 負極端子用リードタブ22は、一端が電極積層体1の図示しない負極に接続され、他端が外装体21の外部にラミネート外装体シール部25を介して引き出されている。正極端子用リードタブ23は、一端が電極積層体1の図示しない正極に接続され、他端が外装体21の外部にラミネート外装体シール部25を介して引き出されている。 リチウムプリドープ前の電極積層体1は、図2に示すように、セパレータ4を介して、負極5および正極7が交互に積層され、負極5の一方の面にはさらに金属リチウム箔6が張り付けられている。 【0037】 また、セパレータ4、負極5および正極7は略矩形状に形成され、その結果、電極積層体1は略四角柱形状を有する。そして、前記負極端子用リードタブ22および正極端子用リードタブ23は、略四角柱形状の電極積層体1の対向する2辺に対応する位置にそれぞれ配置されている。なお、負極端子用リードタブ22および正極端子用リードタブ23の配置位置はこれに限るものではなく、電極積層体1の同一の辺に対応する位置に配置してもよく、任意の位置に配置することができる。 【0038】 ここで、正極7は、正極集電体の片面または両面上に正極活物質層を形成することによって作製することができる。 通常、電極積層体1の両端以外に配置される正極7は両面正極7aとなる。電極積層体1の両端に配置される正極7は片面正極7bおよび両面正極7aのどちらでもよいが、片面正極7bであることがスペース効率上好ましい。前記正極集電体は金属箔であることが好ましく、さらに、1μm以上80μm以下の厚みのアルミニウム箔であることが好ましい。本発明の実施の形態においては、正極集電体は貫通孔がないものが使用される。」 「【0044】 一方、負極5は、負極集電体の片面または両面上に負極活物質層を形成することによって作製することができる。本発明においては、負極5は、負極活物質層が負極集電体の両面に形成される両面負極である。なお、以下、負極5または両面負極5という。 そして、負極5および正極7は、図2に示すように、負極5の片面の負極活物質層はセパレータ4を介して正極7の正極活物質層と対向し、負極5の他方の面の負極活物質層はこの負極5に張り付けられた金属リチウム箔6およびセパレータ4を順次介して正極7の正極活物質層と対向するように配置されている。」 「【0063】 本発明において、負極5の負極活物質層と金属リチウム箔6との位置関係は、図3(a)のように、負極5の負極活物質層部分よりも一回り小さく、負極活物質層の、正極7の正極活物質層と対向する部分に圧着してもよく、また、図3(b)のように負極5の負極活物質層部分を覆い尽くすように全面に圧着してもよい。また、図3(c)に示すように、負極活物質層部分に対して金属リチウム箔6が、圧着時に多少ずれたとしてもよく、金属リチウム箔6が負極5からはみ出さないように圧着すればよい。このように、負極5の負極活物質層全面からリチウムイオンを供給することにより、従来必要であったプリドープ時間を大幅に短縮することが可能になる。 【0064】 すなわち、ストライプ状にリチウムイオンを供給したり、負極活物質の一部にリチウムイオンを過剰供給したり、集電体などからリチウムイオンを供給しようとすると、負極活物質間でリチウムイオンの濃度を均一にするために多くの時間がかかる。これは、拡散距離を考えれば容易に理解されることであるが、全面から供給すれば、リチウムイオンの均一化は電極厚み方向、すなわち高々200μmの間で行われるが、全面以外からの供給であると、電極内の厚み方向だけでなく、面方向の数mmから数十cmの間で均一化が行われなければならないためである。 【0065】 金属リチウム箔6の負極5への圧着方法は、アルゴンなどの不活性ガス下で平板プレス、ロールプレスなど、通常のプレス方法によって行われる。なお、圧着前には負極5を真空乾燥して水分を除去しておくことが好ましい。 負極集電体の両面に負極活物質層を有し、かつ片面の負極活物質層上に金属リチウム箔6が圧着された負極5は、その両面がセパレータ4を介して正極7と対向するように積層されて例えばラミネートフィルムから形成された外装体21に挿入される。 【0066】 正極、負極、セパレータを積層する際には、両面負極の上面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極と、両面負極の下面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極とを含むように、両面正極と前記両面負極とをセパレータを介して交互に積層する。 好ましくは、図2に示すように、負極(両面負極)5と両面正極7aとセパレータ4とを、負極(両面負極)5/セパレータ4/両面正極7a/セパレータ4/負極(両面負極)5の順に積層した部分電極積層体2を1つ以上含むように、正極7、負極5、及びセパレータ4を積層することで電極積層体1を作製する。また、通常、電極積層体1の両端以外に配置される正極は両面正極7aを用いる。また、電極積層体1の両端に配置される正極は両面正極7aおよび片面正極7bのいずれであっても適用することができるが、スペース効率上、片面正極7bを用いることが望ましい。」 「【0081】 なお、上述の電極積層体1は、正極7、及び負極5のリードタブを導出したタブ付き電極積層体としてもよい。タブ付き電極積層体は、以下の手順で作製することができる。 まず、負極5及び正極7を、電極タブ(電極のうち、電極活物質が塗工されていない集電体のみの部分をいう。)を有するように打ち抜いた(以下、打ち抜き後のものを単に「正極」、「負極」という。)。負極5の片面の負極活物質層に接するように略同面積の金属リチウム箔6を圧着し、正極7と負極5との間にポリエチレン製のセパレータ4をはさみ込んで電極積層体1とする。ここで、正極タブが電極積層体1の片方の短辺側、負極タブが電極積層体1の対向する短辺側を向くように積層する。 【0082】 次に、電極積層体1の長辺2つを、電極積層体1の上面から下面まで積層方向に、ポリイミド製の粘着テープで固定し、粘着テープで固定されていない片方の短辺の複数の正極タブに正極端子用リードタブ(材質:アルミニウム)、対向する短辺の複数の負極タブに負極端子用リードタブ(材質:表面をニッケル鍍金された銅)を超音波溶接し、タブ付き電極積層体を作製する。以下においては、電極積層体は、タブ付き電極積層体をいうものとする。 【0083】 電極積層体1は、外装体21に収納する。上記の外装体21に使用されるラミネートフィルムは、金属箔と樹脂フィルムを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内装樹脂フィルムから成る3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロン及びポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分及びガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内装樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、ヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン又は酸変成ポリオレフィンが好適に使用できる。 【0084】 電極積層体1の厚みが厚くなるに従って、ラミネートフィルム等からなる外装体21にシワを発生させずに収納して封口するためには、前記電極積層体1の収容カップ(ラミネート外装体カップ部24)をラミネートフィルムに成形する必要がある。 一般的に、厚みが4mmまたは5mm以上となる電極積層体から収容カップ成形の必要性が増してくる。 【0085】 図2のように積層されていた電極積層体1は、金属リチウム箔6の消失に伴い電極間に無駄な隙間ができることを防ぐため、非水系電解液を注液してから電極積層体1の面を外装体21の外側から軽く押さえておくことが好ましい。 非水系電解液を注入された蓄電素子は、前記電解液の注入口を仮封口し、所定温度に調整された恒温環境で所定時間保持されることで、金属リチウム箔6がリチウムイオンになりすべて負極5に吸蔵される(プリドープ工程)。温度は、常温以上80℃以下程度が好ましく、時間は1時間以上1週間以内が好ましい。温度が常温より低く、時間が1時間より短い場合においては、前記金属リチウム箔6が充分にリチウムイオンになっていないことが予想され、反対に、80℃より高く、または1週間以上保持した場合においては、電解液や電極表面の劣化につながり、蓄電素子の内部抵抗を増加させることが予想される。 【0086】 その後、負極端子用リードタブ22、及び正極端子用リードタブ23を引き出した状態で外装体21を密閉封口することで本発明による非水系リチウム型蓄電素子が完成する。 ただし、上記作製方法は一般的な一例を示したものであって、請求項に記載される以外の作製方法を限定するものではない。 完成した非水系リチウム型蓄電素子100のたわみは、図7に示したような方法で定量化することができる。」 (2)技術的事項 上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 ア 段落【0035】によれば、「非水系リチウム型蓄電素子100」は、「正極および負極がセパレータを介して積層されてなる電極積層体1と、外装体21と、」「負極端子用リードタブ22と、正極端子用リードタブ23と、で構成され」、「電極積層体1」「は、外装体21内に収納され」る。 イ 段落【0036】によれば、「負極端子用リードタブ22は、一端が電極積層体1の」「負極に接続され、他端が外装体21の外部に」「引き出され」、「正極端子用リードタブ23は、一端が電極積層体1の」「正極に接続され、他端が外装体21の外部に」「引き出され」、「リチウムプリドープ前の電極積層体1は、」「セパレータ4を介して、負極5および正極7が交互に積層され、負極5の一方の面にはさらに金属リチウム箔6が張り付けられている」。 ウ 段落【0038】によれば、「正極7は、正極集電体の片面または両面上に正極活物質層を形成」されている。 エ 段落【0044】によれば、「負極5は、負極集電体の片面または両面上に負極活物質層を形成」されている。 オ 段落【0044】によれば、「負極5および正極7は、」「負極5の片面の負極活物質層はセパレータ4を介して正極7の正極活物質層と対向し、負極5の他方の面の負極活物質層はこの負極5に張り付けられた金属リチウム箔6およびセパレータ4を順次介して正極7の正極活物質層と対向するように配置されている」。 カ 段落【0063】によれば、「負極5の負極活物質層と金属リチウム箔6との位置関係は、」「負極5の負極活物質層部分よりも一回り小さく、負極活物質層」「に圧着」している。 また、段落【0065】によれば、「金属リチウム箔6の負極5への圧着方法は、」「ロールプレスなど、通常のプレス方法によって行われる」。 してみると、「金属リチウム箔6は、負極5の負極活物質層部分よりも一回り小さく、負極活物質層に、ロールプレスなど、通常のプレス方法によって圧着」されるといえる。 キ 段落【0035】およに【0036】によれば、「非水系リチウム型蓄電素子100」は「リチウムプリドープ前の電極積層体1」で構成されるものであるから、「リチウムプリドープ前の蓄電素子」である。 ク 段落【0027】および【0065】によれば、「非水系リチウム型蓄電素子の製造方法」は「負極活物質層の上に金属リチウム箔を圧着する圧着工程」を含み、当該工程は「ロールプレスなど、通常のプレス方法によって行われる」工程である。 ケ 段落【0027】、【0066】、【0081】および【0082】によれば、「非水系リチウム型蓄電素子の製造方法」は「積層工程」を含み、当該工程は「正極、負極、セパレータを積層する際には、両面負極の上面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極と、両面負極の下面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極とを含むように、両面正極と前記両面負極とをセパレータを介して交互に積層することで電極積層体1を作製」するものであり、「負極5及び正極7を電極タブを有するように打ち抜き、電極積層体1の片方の短辺の複数の正極タブに正極端子用リードタブ、対向する短辺の複数の負極タブに負極端子用リードタブを超音波溶接し、タブ付き電極積層体を作成」する工程である。 コ 段落【0027】、【0083】および【0085】によれば、「注液工程」を含み、当該工程は「電極積層体1は、外装体21に収納」され、「非水系電解液を注液してから電極積層体1の面を外装体21の外側から軽く押さえ」、「非水系電解液を注入された蓄電素子は、前記電解液の注入口を仮封口し、所定温度に調整された恒温環境で所定時間保持されることで、金属リチウム箔6がリチウムイオンになりすべて負極5に吸蔵される」工程である。 (3)引用発明 上記アないしキから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「正極および負極がセパレータを介して積層されてなる電極積層体1と、外装体21と、負極端子用リードタブ22と、正極端子用リードタブ23と、で構成され、電極積層体1は、外装体21内に収納され、 負極端子用リードタブ22は、一端が電極積層体1の負極に接続され、他端が外装体21の外部に引き出され、正極端子用リードタブ23は、一端が電極積層体1の正極に接続され、他端が外装体21の外部に引き出され、 リチウムプリドープ前の電極積層体1は、セパレータ4を介して、負極5および正極7が交互に積層され、負極5の一方の面にはさらに金属リチウム箔6が張り付けられた非水系リチウム型蓄電素子100であり、 正極7は、正極集電体の片面または両面上に正極活物質層を形成され、 負極5は、負極集電体の片面または両面上に負極活物質層を形成され、 負極5および正極7は、負極5の片面の負極活物質層はセパレータ4を介して正極7の正極活物質層と対向し、負極5の他方の面の負極活物質層はこの負極5に張り付けられた金属リチウム箔6およびセパレータ4を順次介して正極7の正極活物質層と対向するように配置されており、 金属リチウム箔6は、負極5の負極活物質層部分よりも一回り小さく、負極活物質層に、ロールプレスなど、通常のプレス方法によって圧着した、 リチウムプリドープ前の蓄電素子である非水系リチウム型蓄電素子100。」 また、上記アないしコから、引用文献1には、リチウムプリドープ前の蓄電素子である非水系リチウム型蓄電素子100を用いた非水系リチウム型蓄電素子の製造方法として、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「正極および負極がセパレータを介して積層されてなる電極積層体1と、外装体21と、負極端子用リードタブ22と、正極端子用リードタブ23と、で構成され、電極積層体1は、外装体21内に収納され、 負極端子用リードタブ22は、一端が電極積層体1の負極に接続され、他端が外装体21の外部に引き出され、正極端子用リードタブ23は、一端が電極積層体1の正極に接続され、他端が外装体21の外部に引き出され、 リチウムプリドープ前の電極積層体1は、セパレータ4を介して、負極5および正極7が交互に積層され、負極5の一方の面にはさらに金属リチウム箔6が張り付けられた非水系リチウム型蓄電素子100であり、 正極7は、正極集電体の片面または両面上に正極活物質層を形成され、 負極5は、負極集電体の片面または両面上に負極活物質層を形成され、 負極5および正極7は、負極5の片面の負極活物質層はセパレータ4を介して正極7の正極活物質層と対向し、負極5の他方の面の負極活物質層はこの負極5に張り付けられた金属リチウム箔6およびセパレータ4を順次介して正極7の正極活物質層と対向するように配置されており、 金属リチウム箔6は、負極5の負極活物質層部分よりも一回り小さく、負極活物質層に、ロールプレスなど、通常のプレス方法によって圧着した、 リチウムプリドープ前の蓄電素子である非水系リチウム型蓄電素子100による非水系リチウム型蓄電素子の製造方法であり、 ロールプレスなど、通常のプレス方法によって行われる、負極活物質層の上に金属リチウム箔を圧着する圧着工程と、 正極、負極、セパレータを積層する際には、両面負極の上面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極と、両面負極の下面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極とを含むように、両面正極と前記両面負極とをセパレータを介して交互に積層することで電極積層体1を作製するものであり、負極5及び正極7を電極タブを有するように打ち抜き、電極積層体1の片方の短辺の複数の正極タブに正極端子用リードタブ、対向する短辺の複数の負極タブに負極端子用リードタブを超音波溶接し、タブ付き電極積層体を作成する積層工程と、 電極積層体1は、外装体21に収納され、非水系電解液を注液してから電極積層体1の面を外装体21の外側から軽く押さえ、非水系電解液を注入された蓄電素子は、前記電解液の注入口を仮封口し、所定温度に調整された恒温環境で所定時間保持されることで、金属リチウム箔6がリチウムイオンになりすべて負極5に吸蔵される注液工程とを含む、 非水系リチウム型蓄電素子の製造方法。」 2 引用文献2について (1)記載事項 令和2年10月23日付の当審の拒絶の理由に引用された、引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「【0001】 本発明は、エネルギー密度、出力密度が高い高容量のリチウムイオンキャパシタに関する。」 「【0006】 このような問題の解決方法として、正極集電体および負極集電体がそれぞれ表裏面に貫通する孔を備え、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能であり、負極あるいは正極と対向して配置されたリチウム金属との電気化学的接触により負極にリチウムイオンが担持される有機電解質電池が提案されている(例えば、特許文献2参照)。」 「【0036】 上記負極集電体2aは、図3に示すように表裏面を貫通する孔12が設けられた多孔材で、その側端部の一部に取出し部7を備えている。図示はしないが、正極1は正極活物質層で形成する点を除いて負極2同じようにして製造できる。このように負極集電体2aと正極集電体1aを多孔材にすることによって、リチウムイオンは電極積層体11の端部から両集電体の貫通孔を通って自由に各極間を移動し、電極積層体11のすべての負極にリチウムイオンをドーピングできる。」 (2)技術的事項 上記記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 「リチウムイオンキャパシタにおいて、正極集電体及び負極集電体を、それぞれ表裏面に貫通する孔を備えた多孔材とする」技術。 3 引用文献3について (1)記載事項 令和2年10月23日付の当審の拒絶の理由に引用された、引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「【0017】次に、この負極用電極板20には図4ないし図6に示す積層装置を使って両面の各電極合剤23に金属リチウム箔50が積層される。図において51は巻き取りリールであり、ここに負極用電極板20が上方から縦型に送られて巻き取られる。この巻き取りリール51の上方には負極用電極板20の両側に位置して例えばステンレス鋼製の一対のダイス52が配置されており、内部に金属リチウムのインゴット53が収容されてピストン54により加圧できるようになっている。インゴット53が加圧されると、ダイス52の下端部に形成した1本の細いスリット55(図6参照)からリチウムが箔状に押し出される。ダイス52の下方には、負極用電極板20を両側から挟むようにしてやはりステンレス鋼製の一対の圧延ロール56が横軸形に配置されている。この圧延ロール56の内部にはヒータ57が設けられており、ここに通電して圧延ロール56を例えば80℃程度に加熱することができる。このように加熱された圧延ロール56によってリチウム箔50を負極用電極板20の表面に押しつけると、金属リチウムは本来柔らかい上に加熱されているから、金属リチウム箔50は容易に圧延されて負極用電極板20の表面に薄く拡がって密着することになる。圧延された金属リチウム箔50はこの実施形態では、約20μm以下となるように設定されている。」 (2)技術的事項 上記記載から、引用文献3には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 「圧延ロール56によってリチウム箔50を押しつけると、金属リチウムは本来柔らかいから、金属リチウム50は容易に圧延されて薄く拡が」ること。 4 引用文献4について (1)記載事項 令和2年10月23日付の当審の拒絶の理由に引用された、引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付与した。 「【0030】 まず、図2(a)のような正極電極、図2(b)のようなリチウム金属圧着済み負極電極を作製する。このとき、負極電極にリチウムを吸蔵させる方法は、公知の技術に従い、負極電極にリチウム金属を圧着して、化学的方法又は電気化学的方法により行う。次に、図3のようなセパレータを用い、図4のようなセパレータ/正極電極/セパレータのセットを作製し、さらに、図5のような負極電極(リチウム金属圧着済み)/セパレータ/正極電極/セパレータのセットを作製し、電極積層体を得る。」 ・図2(b)からは、負極電極12の活物質11よりリチウム金属13が小さく、活物質11の外周縁部分の全周にリチウム金属13が配置されていない部位が形成された負極電極が見てとれる。 (2)技術的事項 上記記載及び図2(b)から、引用文献4には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。 「リチウム金属を圧着した後において、活物質11の外周縁部分の全周に、圧着されたリチウム金属13が配置されていない部位を形成する」技術。 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1との対比を行う。 ア 引用発明1の「負極5および正極7」は、「交互に積層され」るものであるから、本願発明1の「交互に積層される複数の正極電極及び複数の負極電極」に相当する。 イ 引用発明1は「セパレータ4を介して、負極5および正極7が交互に積層され」るものであるから、引用発明1の「セパレータ」は、本願発明1の「前記複数の正極電極の各々と前記複数の負極電極の各々との間に介在する複数のセパレータ」に相当する。 ウ 引用発明1の「外装体21」は、「正極および負極がセパレータを介して積層されてなる電極積層体1」を収納するから、本願発明1の「前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記複数のセパレータを内包するカバー」に相当する。 エ 引用発明1の「正極端子用リードタブ23」は、「一端が電極積層体1の正極に接続され、他端が外装体21の外部に引き出され」るから、本願発明1の「前記複数の正極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される正極端子」に相当する。 オ 引用発明1の「負極端子用リードタブ22」は、「一端が電極積層体1の負極に接続され、他端が外装体21の外部に引き出され」るから、本願発明1の「前記複数の負極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される負極端子」に相当する。 カ 引用発明1の「金属リチウム箔6」は、「負極5」に貼り付けられたものであるから、本願発明1の「前記カバーの内部に配置されるプレドープ金属箔」に相当する。 キ 引用発明1の「リチウムプリドープ前の蓄電素子である非水系リチウム型蓄電素子100」は、本願発明1の「プレドープ前の蓄電デバイス」に相当する。 ク 引用発明1の「正極集電体」、「負極集電体」、「正極活物質層」、「負極活物質層」はそれぞれ、本願発明1の「正極電極」の「集電箔」、「負極電極」の「集電箔」、「正極電極」の「活物質層」、「負極電極」の「活物質層」に相当する。 そして、引用発明1の「正極7は、正極集電体の片面または両面上に正極活物質層を形成され」ることは、本願発明1の「前記複数の正極電極の各々」は、「集電箔と、前記集電箔の少なくとも片面に配置された活物質層と、を備え」ることに相当する。 また、引用発明1の「負極5は、負極集電体の片面または両面上に負極活物質層を形成され」ることは、本願発明1の「前記複数の負極電極の各々」は、「集電箔と、前記集電箔の少なくとも片面に配置された活物質層と、を備え」ることに相当する。 ただし、「集電箔」について、本願発明1は「孔が形成された集電箔」であるのに対して、引用発明1はその旨特定されていない点で相違する。 ケ 引用発明1は「負極5の他方の面の負極活物質層はこの負極5に張り付けられた金属リチウム箔6」を有し、「金属リチウム箔6は、」「ロールプレスなど、通常のプレス方法によって圧着した」ものであるから、引用発明1の「金属リチウム箔6」が貼り付けられた「負極5」は、金属リチウム箔6が他方の面の負極活物質層の表面に直接接触した状態でロールプレス機によるプレス加工により圧着された負極5である。 そして、引用発明1の「金属リチウム箔6」が貼り付けられた「負極5」は、本願発明1の「前記複数の正極電極及び前記複数の負極電極の少なくともいずれか一方は、前記プレドープ金属箔が前記活物質層の表面に直接接触した状態でロールプレス機によるプレス加工により圧着されたプレドープ対象電極」に相当する。 ただし、「プレドープ金属箔」について、本願発明1は「圧延及び圧着」されたものであるのに対して、引用発明1は「圧延」されたものであるとの特定がない点で相違する。 コ プレドープ金属箔が圧延及び圧着されたものである「プレドープ対象電極」について、本願発明1は「前記プレドープ対象電極には、前記活物質層の外周縁部分の全周に、前記活物質層の欠落が発生しうる部位であって、圧延及び圧着された前記プレドープ金属箔が配置されていない非配置部位が形成され、前記プレドープ金属箔は、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位よりも前記活物質層の中央寄りに配置され、前記集電箔と前記プレドープ金属箔との間に前記活物質層の欠落が発生しうる部位を有しないように、前記プレドープ金属箔は配置される」ものであるのに対して、引用発明1はその旨特定されていない点で相違する。 サ したがって、本願発明1と引用発明1は以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 「交互に積層される複数の正極電極及び複数の負極電極と、 前記複数の正極電極の各々と前記複数の負極電極の各々との間に介在する複数のセパレータと、 前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記複数のセパレータを内包するカバーと、 前記複数の正極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される正極端子と、 前記複数の負極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される負極端子と、 前記カバーの内部に配置されるプレドープ金属箔と、 を備えるプレドープ前の蓄電デバイスであって、 前記複数の正極電極の各々及び前記複数の負極電極の各々は、集電箔と、前記集電箔の少なくとも片面に配置された活物質層と、を備え、 前記複数の正極電極及び前記複数の負極電極の少なくともいずれか一方は、前記プレドープ金属箔が前記活物質層の表面に直接接触した状態でロールプレス機によるプレス加工により圧着されたプレドープ対象電極を含む、蓄電デバイス。」 〈相違点1〉 「集電箔」について、本願発明1は「孔が形成された集電箔」であるのに対して、引用発明1はその旨特定されていない点 〈相違点2〉 「プレドープ金属箔」について、本願発明1は「圧延及び圧着」されたものであるのに対して、引用発明1は「圧延」されたものであるとの特定がない点 〈相違点3〉 「プレドープ対象電極」について、本願発明1は「前記プレドープ対象電極には、前記活物質層の外周縁部分の全周に、前記活物質層の欠落が発生しうる部位であって、圧延及び圧着された前記プレドープ金属箔が配置されていない非配置部位が形成され、前記プレドープ金属箔は、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位よりも前記活物質層の中央寄りに配置され、前記集電箔と前記プレドープ金属箔との間に前記活物質層の欠落が発生しうる部位を有しないように、前記プレドープ金属箔は配置される」ものであるのに対して、引用発明1はその旨特定されていない点 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。 本願の明細書の「負極電極材料30にプレス加工を施す際、負極活物質層32のうち他の部分と比べて大きな応力が加わる外周縁部分では、負極材料どうしの結着が解除されやすく、欠落が発生しやすい。仮に、プレドープ金属箔9が配置されている部位において、活物質層の欠落が発生していると、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との接触による短絡を引き起こすおそれがある。」(段落【0039】)、「これに対し、プレドープ対象電極30aでは、負極活物質層32の外周縁部分において非配置部位33が形成され、プレドープ金属箔9は、プレドープ対象電極30aにおける負極活物質層32の外周縁部分の全域に配置されない。即ち、プレドープ金属箔9は、負極活物質層32の欠落を引き起こすおそれのある部位を避けるように配置されている。従って、プレドープ金属箔9を負極活物質層32の表面に直接接触した状態で配置する場合であっても、プレドープ金属箔9が配置されている部位において、負極活物質層32の欠落が抑制される。」(段落【0040】)、「よって、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との接触に起因する短絡の発生を防止できる。また、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との間において負極活物質層32の欠落部位を有した不具合のある蓄電デバイス100が製造されることを抑制できるので、製造コストの低減を図ることができる。」(段落【0041】)なる記載によれば、本願発明1は、本願発明1の相違点3に係る構成により、プレドープ金属箔9は、負極活物質層32の欠落を引き起こすおそれのある部位を避けるように配置され、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との接触に起因する短絡の発生を防止するものである。 これに対し、引用発明1は、「金属リチウム箔6は、負極5の負極活物質層部分よりも一回り小さく」するものであり、また、引用文献4には、「リチウム金属を圧着した後において、活物質11の外周縁部分の全周に、圧着されたリチウム金属13が配置されていない部位を形成する」技術(上記「第5」の「4(2)」参照)が記載されるものの、引用文献1および4には、活物質層の欠落について記載されておらず、また、活物質層外周部のどの程度の範囲をリチウム箔が配置されていない部位とするかは特定されていない。 してみると、引用文献1および4には、本願発明1の相違点3に係る構成とすることは、記載も示唆もされていない。 そして、本願発明1の相違点3に係る構成とすることは、引用文献2および3にも記載も示唆もされていない。 したがって、引用発明1において、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との接触に起因する短絡の発生を防止するために本願発明1の相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2について 本願発明1を引用する本願発明2も、本願発明1の相違点3に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明1及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 3 本願発明3について 本願発明3と引用発明2との対比を行う。 ア 引用発明2の「負極5および正極7」は、「交互に積層され」るものであるから、本願発明3の「交互に積層される複数の正極電極及び複数の負極電極」に相当する。 イ 引用発明2は「セパレータ4を介して、負極5および正極7が交互に積層され」るものであるから、引用発明2の「セパレータ」は、本願発明3の「前記複数の正極電極の各々と前記複数の負極電極の各々との間に介在する複数のセパレータ」に相当する。 ウ 引用発明2の「外装体21」は、「正極および負極がセパレータを介して積層されてなる電極積層体1」を収納するから、本願発明3の「前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記複数のセパレータを内包するカバー」に相当する。 エ 引用発明2の外装体21に注入する「非水系電解液」は、本願発明3の「前記カバーの内部に配置される電解液」に相当する。 オ 引用発明2の「正極端子用リードタブ23」は、「一端が電極積層体1の正極に接続され、他端が外装体21の外部に引き出され」るから、本願発明3の「前記複数の正極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される正極端子」に相当する。 カ 引用発明2の「負極端子用リードタブ22」は、「一端が電極積層体1の負極に接続され、他端が外装体21の外部に引き出され」るから、本願発明3の「前記複数の負極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される負極端子」に相当する。 キ 引用発明2の「非水系リチウム型蓄電素子の製造方法」は、本願発明3の「蓄電デバイスの製造方法」に相当する。 ク 引用発明2の「正極集電体」、「負極集電体」、「正極活物質層」、「負極活物質層」はそれぞれ、本願発明3の「正極電極」の「集電箔」、「負極電極」の「集電箔」、「正極電極」の「活物質層」、「負極電極」の「活物質層」に相当する。 そして、引用発明2の「正極7は、正極集電体の片面または両面上に正極活物質層を形成され」ることは、本願発明3の「前記複数の正極電極の各々」は、「集電箔と、前記集電箔の少なくとも片面に配置された活物質層と、を備え」ることに相当する。 また、引用発明2の「負極5は、負極集電体の片面または両面上に負極活物質層を形成され」ることは、本願発明3の「前記複数の負極電極の各々」は、「集電箔と、前記集電箔の少なくとも片面に配置された活物質層と、を備え」ることに相当する。 ただし、「集電箔」について、本願発明3は「孔が形成された集電箔」であるのに対して、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。 ケ 引用発明2の「ロールプレスなど、通常のプレス方法によって行われる、負極活物質層の上に金属リチウム箔を圧着する圧着工程」は、本願発明3の「前記複数の正極電極のうち少なくとも一つ又は前記複数の負極電極の少なくとも一つに対し、前記活物質層の表面にプレドープ金属箔が直接接触した状態でロールプレス機によるプレス加工により圧着されるプレドープ対象電極を形成するプレドープ対象電極形成工程」に相当する。 ただし、「プレドープ対象電極形成工程」が形成する「プレドープ対象電極」について、本願発明3は「圧延及び圧着されると共に、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位であって圧延及び圧着された前記プレドープ金属箔が配置されていない非配置部位が前記活物質層の外周縁部分の全周に形成された」ものであるのに対して、引用発明3はその旨特定されていない点で相違する。 コ 引用発明2の「正極、負極、セパレータを積層する際には、両面負極の上面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極と、両面負極の下面となる面に前記金属リチウム箔が圧着された両面負極とを含むように、両面正極と前記両面負極とをセパレータを介して交互に積層することで電極積層体1を作製するものであり、負極5及び正極7を電極タブを有するように打ち抜き、電極積層体1の片方の短辺の複数の正極タブに正極端子用リードタブ、対向する短辺の複数の負極タブに負極端子用リードタブを超音波溶接し、タブ付き電極積層体を作成する積層工程」は、本願発明3の「前記プレドープ対象電極、前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記セパレータを積層し、前記正極端子を前記複数の正極電極に接続すると共に前記負極端子を前記複数の負極電極に接続する積層工程」に相当する。 サ 引用発明2の「電極積層体1は、外装体21に収納され、非水系電解液を注液してから電極積層体1の面を外装体21の外側から軽く押さえ、非水系電解液を注入された蓄電素子は、前記電解液の注入口を仮封口し、所定温度に調整された恒温環境で所定時間保持されることで、金属リチウム箔6がリチウムイオンになりすべて負極5に吸蔵される注液工程」は、本願発明3の「積層された前記プレドープ対象電極、前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記セパレータを前記カバーに内包する内包工程」および「前記カバー内に前記電解液を注入し、前記プレドープ金属箔を前記複数の負極電極にプレドープするプレドープ工程」に相当する。 シ 「プレドープ対象電極形成工程」について、本願発明3は「前記プレドープ金属箔を、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位よりも前記活物質層の中央寄りに配置し、前記集電箔と前記プレドープ金属箔との間に前記活物質層の欠落が発生しうる部位を有しないように、前記プレドープ金属箔を配置する」ものであるのに対して、引用発明2はその旨特定されていない点で相違する。 ス したがって、本願発明3と引用発明2は以下の一致点及び相違点を有する。 〈一致点〉 「交互に積層される複数の正極電極及び複数の負極電極と、 前記複数の正極電極の各々と前記複数の負極電極の各々との間に介在する複数のセパレータと、 前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記複数のセパレータを内包するカバーと、 前記カバーの内部に配置される電解液と、 前記複数の正極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される正極端子と、 前記複数の負極電極に接続され、一部が前記カバーの外部に配置される負極端子と、 を備える蓄電デバイスの製造方法であって、 前記複数の正極電極の各々及び前記複数の負極電極の各々は、集電箔と、前記集電箔の少なくとも片面に配置された活物質層と、を備え、 前記製造方法は、 前記複数の正極電極のうち少なくとも一つ又は前記複数の負極電極の少なくとも一つに対し、前記活物質層の表面にプレドープ金属箔が直接接触した状態でロールプレス機によるプレス加工により圧着されるプレドープ対象電極を形成するプレドープ対象電極形成工程と、 前記プレドープ対象電極、前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記セパレータを積層し、前記正極端子を前記複数の正極電極に接続すると共に前記負極端子を前記複数の負極電極に接続する積層工程と、 積層された前記プレドープ対象電極、前記複数の正極電極、前記複数の負極電極及び前記セパレータを前記カバーに内包する内包工程と、 前記カバー内に前記電解液を注入し、前記プレドープ金属箔を前記複数の負極電極にプレドープするプレドープ工程と、 を備る、蓄電デバイスの製造方法。」 〈相違点4〉 「集電箔」について、本願発明3は「孔が形成された集電箔」であるのに対して、引用発明2はその旨特定されていない点 〈相違点5〉 「プレドープ対象電極形成工程」が形成する「プレドープ対象電極」について、本願発明3は「圧延及び圧着されると共に、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位であって圧延及び圧着された前記プレドープ金属箔が配置されていない非配置部位が前記活物質層の外周縁部分の全周に形成された」ものであるのに対して、引用発明3はその旨特定されていない点 〈相違点6〉 「プレドープ対象電極形成工程」について、本願発明3は「前記プレドープ金属箔を、前記活物質層の外周縁部分において前記活物質層の欠落が発生しうる部位よりも前記活物質層の中央寄りに配置し、前記集電箔と前記プレドープ金属箔との間に前記活物質層の欠落が発生しうる部位を有しないように、前記プレドープ金属箔を配置する」ものであるのに対して、引用発明2はその旨特定されていない点 (2)相違点についての判断 事案に鑑みて、上記相違点6について先に検討する。 本願の明細書の「負極電極材料30にプレス加工を施す際、負極活物質層32のうち他の部分と比べて大きな応力が加わる外周縁部分では、負極材料どうしの結着が解除されやすく、欠落が発生しやすい。仮に、プレドープ金属箔9が配置されている部位において、活物質層の欠落が発生していると、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との接触による短絡を引き起こすおそれがある。」(段落【0039】)、「これに対し、プレドープ対象電極30aでは、負極活物質層32の外周縁部分において非配置部位33が形成され、プレドープ金属箔9は、プレドープ対象電極30aにおける負極活物質層32の外周縁部分の全域に配置されない。即ち、プレドープ金属箔9は、負極活物質層32の欠落を引き起こすおそれのある部位を避けるように配置されている。従って、プレドープ金属箔9を負極活物質層32の表面に直接接触した状態で配置する場合であっても、プレドープ金属箔9が配置されている部位において、負極活物質層32の欠落が抑制される。」(段落【0040】)、「よって、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との接触に起因する短絡の発生を防止できる。また、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との間において負極活物質層32の欠落部位を有した不具合のある蓄電デバイス100が製造されることを抑制できるので、製造コストの低減を図ることができる。」(段落【0041】)なる記載によれば、本願発明3は、本願発明3の相違点6に係る構成により、プレドープ金属箔9は、負極活物質層32の欠落を引き起こすおそれのある部位を避けるように配置され、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との接触に起因する短絡の発生を防止するものである。 これに対し、引用発明2は、「金属リチウム箔6は、負極5の負極活物質層部分よりも一回り小さく」するものであり、また、引用文献4には、「リチウム金属を圧着した後において、活物質11の外周縁部分の全周に、圧着されたリチウム金属13が配置されていない部位を形成する」技術(上記「第5」の「4(2)」参照)が記載されるものの、引用文献1および4には、活物質層の欠落について記載されておらず、また、活物質層外周部のどの程度の範囲をリチウム箔が配置されていない部位とするかは特定されていない。 してみると、引用文献1および4には、本願発明3の相違点6に係る構成とすることは、記載も示唆もされていない。 そして、本願発明3の相違点6に係る構成とすることは、引用文献2および3にも記載も示唆もされていない。 したがって、引用発明2において、プレドープ金属箔9と負極集電箔31との接触に起因する短絡の発生を防止するために本願発明3の相違点6に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。 よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明3は、当業者であっても引用発明1及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 4 本願発明4ないし5について 本願発明3を直接または間接的に引用する本願発明4ないし5も、本願発明3の相違点6に係る構成を備えるものであるから、本願発明3と同じ理由により、当業者であっても引用発明1及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 第7 原査定についての判断 令和2年12月21日の補正により、補正後の請求項1および2は、本願発明1の相違点3に係る構成を有し、請求項3ないし5は本願発明3の相違点6に係る構成を有するものとなった。当該相違点3に係る構成又は相違点6に係る構成は、原査定における引用文献AないしDには記載されておらず、本願発明前における周知技術でもないので、本願発明1ないし5は、当業者であっても、原査定における引用文献AないしDに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはてきない。 また、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-000883

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