2020-000209
ピクセル化された容量制御ESC
- 審判番号
- 2020-000209
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-115588外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年01月08日
- 審決日
- 2021年11月10日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】安齋 嘉章
- 分類
- P18 .121-WY (H01L) / P18 .537-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 22項目
第1 手続の経緯
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本願は、2015年(平成27年)2月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年3月5日 米国、2014年5月13日 米国)を国際出願日とする出願である特願2016-529443号の一部を平成29年2月17日に新たな特許出願とした特願2017-27532号の一部を平成29年6月13日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 6月13日 上申書の提出
平成30年12月28日付け 拒絶理由通知書
令和 元年 9月 2日付け 拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和 2年 1月 8日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 2年12月23日付け 拒絶理由通知書
令和 3年 6月15日 意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和元年9月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1 この出願は、特許請求の範囲の請求項1ないし9の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
2 この出願の請求項1ないし9に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2002-134600号公報
2.特開2005-340760号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2013-105543号公報(周知技術を示す文献)
4.特表2008-516441号公報(周知技術を示す文献)
5.特表2009-541985号公報(周知技術を示す文献)
第3 当審の拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
この出願は、特許請求の範囲の請求項1ないし10の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
第4 本願発明
本願請求項1ないし10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、令和3年6月15日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】静電チャック(ESC)用のチャッキング回路であって、チャッキング回路は、ワークピース支持面を有する誘電体本体であって、誘電体本体は、内部に配置されたチャッキング電極と、誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極とを含む誘電体本体とを含み、チャッキング回路は、基板をワークピース支持面に静電チャックするように動作可能であるチャッキング回路。」
なお、本願発明2ないし10は、本願発明1を減縮した発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。以下同じ。)
「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、主に半導体産業において使用される静電チャックに関し、特には、温度制御手段を有し、被処理物を吸着する面の均熱性、並びに、チャック力の均一性および強度に優れる静電チャックに関する。」
「【0020】【発明の実施の形態】図1は、本発明の静電チャックの一実施形態を模式的に示した縦断面図であり、図2は、図1に示した静電チャックにおけるA-A線断面図であり、図3は、図1に示した静電チャックにおけるB-B線断面図であり、図4は、図1に示した静電チャックにおけるC-C線断面図である。【0021】この静電チャック101では、円板形状のセラミック基板1の表面に、半円弧状部2aと櫛歯部2bとからなるチャック正極静電層2と、同じく半円弧状部3aと櫛歯部3bとからなるチャック負極静電層3とからなる静電電極層が、櫛歯部2bと櫛歯部3bとを交差させるように対向して形成されており、この静電電極層を含むセラミック基板1上に薄いセラミック誘電体膜4が形成されている。【0022】また、このチャック正極静電層2およびチャック負極静電層3には、それぞれ直流電源の+側と-側とが接続され、直流電圧V2 が印加されるようになっている。また、この静電チャック101上には、シリコンウエハ9が載置され、接地されている。【0023】一方、セラミック基板1の内部には、シリコンウエハ9の温度をコントロールするために、図4に示したような平面視同心円形状の抵抗発熱体5が設けられており、抵抗発熱体5の両端には、外部端子ピン6が接続、固定され、電圧V1が印加されるようになっている。なお、抵抗発熱体5は、セラミック基板の底面に形成されていてもよい。【0024】また、抵抗発熱体5と上記静電電極層との間には、抵抗発熱体5から発生した熱を均一に分散し、吸着面100に温度分布が発生することを防止するために、図3に示したような平面視格子状のRF電極10が設けられており、このRF電極10には、交流電圧が印加されるようになっている。また、図1~3には示していないが、このセラミック基板1には、図4に示したように、測温素子を挿入するための有底孔11とシリコンウエハ9を支持して上下させるリフターピン(図示せず)を挿通するための貫通孔12とが形成されている。なお、交流電圧は、静電チャック中のRF電極10と、これと対向するようにウエハ加熱面の上下に形成された電極との間に印加することとなる。【0025】そして、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との間に直流電圧V2 を印加すると、シリコンウエハ9は、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との静電的な作用(クーロン力)により、セラミック誘電体膜4に吸着され、固定され、シリコンウエハ9にエッチング等の種々の処理が施される。【0026】従来、吸着面100に温度分布が発生していた。これは、抵抗発熱体5で発生した不均一な熱の流れは、セラミック基板1中を伝搬するに従って拡散を繰り返し、徐々に均一な流れとなるものであったが、近年のセラミック基板1の大口径化に伴って、熱が完全に均一な流れになる前に吸着面100に到達してしまうからであると考えられる。【0027】しかしながら、静電チャック101の静電電極と抵抗発熱体5との間にRF電極10、または、後述するグランド電極を設けることで、吸着面100の温度を均一な状態にすることができる。この理由は明確ではないが、以下の通りであると考えられる。すなわち、抵抗発熱体5で発生した熱が、RF電極、グランド電極等に伝搬する。RF電極およびグランド電極は導電物質なので、熱の伝搬が早く、セラミックに熱が伝搬するよりも早く温度分布が均一化する。均一な温度分布の電極から加熱面に熱が伝達するため、加熱面が均一になると推定している。【0028】図3に示したRF電極10は、上述した通り、抵抗発熱体5と静電電極層との間に設けられており、通常、平面視格子状に形成されている。RF電極10の形状はこれに限定されず、例えば、同心円形状、渦巻き状、簀子状等を挙げることができ、また、プラズマを用いたドライエッチング装置に使用される従来公知のRF電極を用いることもできる。また、そのサイズとしては特に限定されず、後述する抵抗発熱体5と同程度のサイズであることが望ましい。抵抗発熱体5から発生した熱を確実に分散させるためである。また、グランド電極を設ける場合も同様である。」
【図1】
【図2】
【図3】
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「静電チャックに関しチャック力の均一性および強度に優れる静電チャック101であって、円板形状のセラミック基板1の表面に、半円弧状部2aと櫛歯部2bとからなるチャック正極静電層2と、同じく半円弧状部3aと櫛歯部3bとからなるチャック負極静電層3とからなる静電電極層が、櫛歯部2bと櫛歯部3bとを交差させるように対向して形成されており、この静電電極層を含むセラミック基板1上に薄いセラミック誘電体膜4が形成され、セラミック基板1の内部には、シリコンウエハ9の温度をコントロールするために、平面視同心円形状の抵抗発熱体5が設けられており、抵抗発熱体5と上記静電電極層との間には、平面視格子状のRF電極10が設けられており、このRF電極10には、交流電圧が印加されるようになっており、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との間に直流電圧V2 を印加すると、シリコンウエハ9は、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との静電的な作用(クーロン力)により、セラミック誘電体膜4に吸着され、固定され、シリコンウエハ9にエッチング等の種々の処理が施されることができる、静電チャック101。」
2 引用文献2について
引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】【0001】本発明は、高周波電力により処理ガスをプラズマ化し、そのプラズマにより基板に対してエッチング等の処理を施すプラズマ処理装置に関する。」
「【0028】図2は、図1のプラズマ処理装置において高周波電流に対する等価回路である。処理容器2はインダクタンス成分とみなすことができるのでインダクタとして表示してある。C1は上部電極3及び下部電極5間のプラズマを容量成分として記載したものであり、C2は上部電極3及び処理容器2の壁部の間のプラズマを容量成分として表したものである。【0029】そしてこの実施の形態の狙いは、プラズマのキャパシタンス(C1)及び下部電極5から処理容器2の上部に至るまでの経路のインダクタンス(L)をインピーダンス調整部6の容量成分(C)により相殺させることで、前記経路のインピーダンスをj(-1/ωC1+ωL-1/ωC)として、上部電極3→プラズマ→処理容器2の壁部を含むいわば異常な経路のインピーダンスよりも小さくすることにある。このためインピーダンス調整部6は容量成分を含むものであり、その形態としては例えば図3に示すように容量可変コンデンサ61を用いる(a)、固定容量のコンデンサ62と容量可変コンデンサ61とを組み合わせる(b)、固定容量コンデンサ62を用いる(c)、容量可変コンデンサ61とインダクタ63とを組み合わせる(d)、インダクタンスを可変できるインダクタ64と固定容量コンデンサ62を用いる(e)など種々の構成を採用することができる。固定容量コンデンサ62のみを用いた場合でも容量の異なるコンデンサと交換することによりインピーダンス値を調整できる。続きを表示(全20行)【0030】上記の正常な経路のインピーダンスを小さくするにあたっては、後述の実験例からインピーダンス調整部6のインピーダンス値を種々変えて当該経路を流れる電流値を求め、それが最大値となるように設定すること、つまり正常な経路のインピーダンスが最小になるように設定することが理想であるが、実際には電流の最大値の2%以内であることが好ましく、少なくとも電流の最大値の10%以内となるように設定することが好ましい。【0031】このような実施の形態の作用効果について述べる。先ずゲートバルブ24を開いて図示しないロードロック室から図示しない搬送アームにより基板10を処理容器2内に搬入し、下部電極5内を貫通する図示しない昇降ピンとの間の協同動作により基板10が下部電極5の上に受け渡される。次いでゲートバルブ24を閉じ、処理ガス供給部33から上部電極3を通じて処理容器2内に処理ガスを供給すると共に、真空排気手段22により真空排気することにより処理容器2内を所定の圧力に維持する。そして高周波電源4から例えば10MHz~30MHz、10kWの高周波電力を上部電極3及び下部電極5の間に印加することで処理ガスが励起されてプラズマが生成する。処理ガスとしては例えばハロゲンを含むガス例えばハロゲン化合物からなるガス、酸素ガス及びアルゴンガスなどが用いられる。【0032】プラズマの発生により高周波電流が上部電極3→プラズマ→下部電極5→インピーダンス調整部6→処理容器2→マッチングボックス42→同軸ケーブル44の外層部43→接地のいわば正常な経路を流れるが、このとき当該経路のインピーダンス値がほぼ最小値となるように設定されていて、上部電極3→プラズマ→処理容器2→マッチングボックス42→同軸ケーブル44の外層部43→接地経路のインピーダンス値よりも小さくなっているため、上部電極3と処理容器2の壁部との間でプラズマが立ちにくくなっている。この結果上部電極3と下部電極5との間にプラズマが集中し、基板10上のプラズマは面内均一性の高いものとなる。基板10の表面はこのプラズマにより例えばエッチング処理が行われるが、プラズマの面内均一性が高いことから、エッチング速度の面内均一性が高く、従って面内で均一なエッチングを行うことができる。また処理容器2の内壁や内部部品の損傷あるいは消耗を抑えることができる。【0033】更に本発明では、図4に示すように処理の種別毎にインピーダンス調整部6における適切な調整値を制御部7の記憶部に例えばテーブルとして記憶しておき、処理の種別を選択したときにその処理に対応する前記適切な調整値をデータ例えばテーブルから読み出し、インピーダンス調整部6のアクチェータ例えば容量可変コンデンサのトリム機構を駆動するモータに制御部7から制御信号を出力するようにしてもよい。この場合の具体例としては、互いに異なるエッチング処理を連続して行う場合において各エッチング処理毎に前記適切な設定値を決めておく例、あるいは連続成膜プロセスを行う場合に各成膜処理毎に前記適切な設定値を決めておく例などが挙げられる。【0034】更にまた本発明では、図5(a)、(b)に示すように、インピーダンス調整部6を複数例えば3個のインピーダンス調整部6A、6B、6Cを設け、これらインピーダンス調整部6A、6B、6Cの一端側を下部電極5における横方向に互いに離れた部位PA、PB,PCに夫々接続するようにすることが好ましい。概略的な説明をすると、角型の基板10を例えば図5(b)の鎖線で示すように3個に分割し、各分割領域毎に処理容器2との間のインピーダンスを適切な値に設定する。この適切な値とは、均一性の高いプラズマが得られる値であり、例えば予め試行錯誤を繰り返すことにより各処理毎に各インピーダンス調整部6A、6B、6Cの適切な値を見つけておく。【0035】より模式的な例を挙げると、例えばプラズマが中央で強い場合には、中央部に対応するインピーダンス調整部6Bの容量値を大きくして中央部における下部電極5及び処理容器2の間のインピーダンス値を大きくし、かつ周縁部に対応するインピーダンス調整部6A、6Bの容量値を小さくし、これによりプラズマの強い部分を中央から周縁側にシフトさせるといった調整を行う。つまりこのような実施の形態では、インピーダンス調整部6A、6B、6Cの並列接続回路のインピーダンス値を含めて既述の正常な経路のインピーダンス値が、上部電極3→プラズマ→処理容器2の壁部の異常な経路のインピーダンス値よりも小さくなるようにインピーダンス調整部6A、6B、6Cの各々のインピーダンス値を設定することが前提となるが、その条件を満足しつつ更に各インピーダンス値を調整することにより基板10の面方向におけるプラズマの強さをきめ細かく調整することができ、このためサイズの大きい基板を扱う場合には、均一性の高いプラズマを生成する上で極めて有効な技術である。本発明者は、この基板のサイズとして、例えばフラットパネル用の角型基板について、例えば基板の面積が1m2 以上もの大型の基板になると、プラズマを面内で均一性の高い状態とすることが困難であることから、プラズマの分布をきめ細かく調整できるようにすれば、均一性を高めることができ、また局所的な異常放電の発生も抑えられることを把握している。そして特にその高周波電力の合計値が10kW以上と大きい場合には、異常放電が起こりやすいことから、複数個のインピーダンス調整部を設ける構成は極めて有効である。【0036】図5に示すように、インピーダンス調整部6A、6B、6Cを設けるにあたっては、前記部位PA、PB,PCに対応する位置にて夫々支持部51の下面から伸びるように保護管52A~52Cを設けると共に、各保護管52A~52C毎に独立した支持板53を設け、更に各支持板53と処理容器2との間に図1に既述したようにベローズ体54を設けている。【0037】このような下部電極5のインピーダンス調整領域を分割するにあたっては、3分割に限らず例えば縦横に2等分して全体で4分割し、各分割領域毎にインピーダンス調整部を設けるようにしてもよい。」
3 引用文献3について
引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】【0001】本発明は、平行平板型のプラズマ処理装置として構成される基板処理装置に関する。」
「【0025】インピーダンス調整回路8は、図3に示すように、伝送路9の入力側と出力側とを繋ぐ伝送ライン31と、伝送ライン31に設けられた可変コンデンサ(可変容量)32と、固定コンデンサ(固定容量)33とを有する。可変コンデンサ32はインピーダンス変換および機差の調整に用いられるものであり、そのポジション(容量)は手動で調整される。また、固定コンデンサ33は、高周波回路を構成する各部材の組みつけ方の微妙な違いにより、高周波の経路ごと、あるいは処理装置ごとにばらつきの発生する容量を微調整するためのものであり、例えば切替タップで切り替え可能に設けられており、必要に応じていずれか一つまたは2つ以上の固定容量を選択することができる。なお、図3では固定コンデンサ33は3個設けられているが、1個以上であればよい。1個の場合にはオンオフ可能として容量の調整を行うようにすればよい。また、可変コンデンサ32で微調整可能な場合は可変コンデンサ32のみでもよい。 」
4 引用文献4について
引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】【0001】本発明は、可変インピーダンスマッチングにおいて使用するためのデバイスに関する。」
「【0007】第2の傾向は、組み立てコストを減少させ、フロントエンドの集積構造を可能にするとともに、更なる機能を与えることができるように、構成要素の集積化へと向かっている。これは、通信プロトコルが更に幅広くなって多くなる傾向を考えると特に望ましい。この目的を達成するため、マイクロ電気機械システム(MEMS)の構成要素に関して多くの研究が行われている。これらのMEMS構成要素は、可変コンデンサ及びスイッチの両方として使用することができる。それと共に、これらのMEMS構成要素は、可変インピーダンスマッチングを可能にするだけでなく、フロントエンド内のバンドスイッチングとインピーダンスマッチングとの統合も可能にする。しかしながら、MEMS構成要素は、高い駆動電圧を必要とするとともに、極端な位置のうちの一つにビーム(梁)が存在しない場合に歪みを与える傾向がある。また、MEMS構成要素の製造及びパッケージングは、ビーム及び適切なパッケージの製造のために必要とされる多数のプロセスステップの結果としてあまり安価ではない。【非特許文献1】ガルトら(Galt et al.)の論文「電圧-同調可能キャパシタのマイクロ波同調品質及び電力取り扱い:半導体バラクタに対するBa1-XSrXTiO3膜(Microwave tuning quality and power handling of voltage-tunable capacitor:semiconductor varactors versus Ba1-XSrXTiO3 films)」(Mat.Res.Soc.Symp.Proc.Vol.493(1998),341-346頁)」
5 引用文献5について
引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【発明が解決しようとする課題】【0005】受動構成部品のさらなる集積のための開発の途上で、さらなる改良に達するために、パワーアンプ・アセンブリを大幅に修正する必要があることが判明した。このことが本発明の目的である。」
「【0017】相互接続部120及びボンドパッド95に加えて、受動素子111~113が受動IC100の第1面101上に規定される。これらのボンドパッドの一部は、担体基板150へのボンドワイヤ90を設けられ、他のボンドパッドは、受動IC100上に組み付けられた電気デバイス50へのハンダボール92を設けられている。その代わりに、例えばボンドワイヤ、TABホイル等の他の接続部を、任意の電気デバイス50と受動IC100との間に設けることができる。電気デバイス50の例は、パワーアンプ、電力制御集積回路、スイッチ、バルク弾性波フィルタのようなバンドパスフィルタ、及びインピーダンスマッチング・ネットワーク(回路網)、特にMEMS素子またはバラクタの形態の可変コンデンサを有するインピーダンスマッチング・ネットワークである。パワーアンプをフリップチップ技術でプラットフォームデバイス100に取り付ければ、特に電力消散のためになる。このことは、熱放散に適し、そしてパワーアンプとプラットフォームデバイスとの間の低抵抗の接続を保証することが判明している。後者の場合は、バンプのアレイを単一接点のプラットフォームデバイスへの結合に利用することができる。有利なことに、ビア上バンプとも称する垂直相互接続部の上方のバンプがバンプのアレイの一部である場合に、このビア上バンプを垂直相互接続部上に組み付けることができることが判明している。孤立したバンプを垂直相互接続部上に取り付けることは、相互接続の機械的な弱さにより勧められない。このことは特に、何らかの材料を完全に充填されていないウェットエッチングしたビアの場合である。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「シリコンウエハ9」は、本願発明1の「ワークピース」に相当する。
そして、引用発明の「シリコンウエハ9」は「セラミック誘電体膜4」に吸着され、固定されるのであるから、この「セラミック誘電体膜4」の「シリコンウエハ9」を吸着し、固定する面は、本願発明1の「ワークピース支持面」に相当する。
イ 引用発明は、「チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との間に直流電圧V2 を印加すると、シリコンウエハ9は、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との静電的な作用(クーロン力)により、セラミック誘電体膜4に吸着され、固定され」るのであるから、この「チャック正極静電層2」と「チャック負極静電層3」は、本願発明1の「チャッキング電極」に相当する。
そして、引用発明は、「円板形状のセラミック基板1の表面に、半円弧状部2aと櫛歯部2bとからなるチャック正極静電層2と、同じく半円弧状部3aと櫛歯部3bとからなるチャック負極静電層3とからなる静電電極層が、櫛歯部2bと櫛歯部3bとを交差させるように対向して形成されており、この静電電極層を含むセラミック基板1上に薄いセラミック誘電体膜4が形成され」ているのであるから、「チャック正極静電層2」と「チャック負極静電層3」は、「円板形状のセラミック基板1」と「円板形状のセラミック基板1」上に形成された薄い「セラミック誘電体膜4」に囲まれているといえる。
加えて、引用発明の「円板形状のセラミック基板1」と「セラミック誘電体膜4」は、誘電体であることは明らかであるから、引用発明の「円板形状のセラミック基板1」と「セラミック誘電体膜4」からなる誘電体は、本願発明1の「誘電体本体」に相当する。
そうすると、引用発明の「チャック正極静電層2」と「チャック負極静電層3」が「円板形状のセラミック基板1」と「円板形状のセラミック基板1」上に形成された「セラミック誘電体膜4」に囲まれていることは、本願発明1の「チャッキング電極」が「誘電体本体の内部に配置され」ることに相当する。
ウ また、引用発明の「RF電極10」は、「セラミック基板1」の内部に設けられた「抵抗発熱体5」と、「チャック正極静電層2」と「チャック負極静電層3」とからなる静電電極層の間に設けられているから、「円板形状のセラミック基板1」と「セラミック誘電体膜4」からなる誘電体内に配置されているといえる。
そうすると、引用発明の「RF電極10」と、本願発明1の「誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極」とは、「誘電体本体内に配置された電極」である点で共通する。
エ そして、引用発明の「静電チャック101」は、「静電チャック101」を形成する「円板形状のセラミック基板1」と「セラミック誘電体膜4」からなる誘電体の内部に上記「チャック正極静電層2」、「チャック負極静電層3」、「抵抗発熱体5」、「平面視格子状のRF電極10」を含んでおり、これらの内部に含まれる電極や発熱体により回路が形成されているといえる。
加えて、引用発明の「静電チャック101」は、「チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との間に直流電圧V2 を印加すると、シリコンウエハ9は、チャック正極静電層2とチャック負極静電層3との静電的な作用(クーロン力)により、セラミック誘電体膜4に吸着され、固定され」るのであるから、このことは、本願発明1の「基板をワークピース支持面に静電チャックするように動作」することに相当する。
そうすると、引用発明の「静電チャック101」は、本願発明1の「静電チャック(ESC)用のチャッキング回路」に対応する。
オ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「静電チャック(ESC)用のチャッキング回路であって、チャッキング回路は、ワークピース支持面を有する誘電体本体であって、誘電体本体は、内部に配置されたチャッキング電極と、誘電体本体内に配置された電極を含む誘電体本体とを含み、チャッキング回路は、基板をワークピース支持面に静電チャックするように動作可能であるチャッキング回路。」
[相違点1]
本願発明1は、「誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極」を有するのに対して、引用発明の「RF電極10」は、交流電流が印加されるものであり、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であることや、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるとの特定はされていない点。
(2)判断
上記相違点1について検討する。
引用文献2ないし5には、相違点1に係る「誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極」は記載されておらず、また、この構成が本願優先日前において周知の構成であるともいえない。
そうすると、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2ないし5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし10について
本願発明2ないし10も、本願発明1の「誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極」と同一の構成を含むものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明、引用文献2ないし5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
1 理由1(特許法第36条第6項第2号)について、
原査定では、補正前の請求項1に記載された「チャッキング回路」の構成が明確でないとしたが、令和3年6月15日付けの補正において、補正後の請求項1には
「静電チャック(ESC)用のチャッキング回路であって、チャッキング回路は、ワークピース支持面を有する誘電体本体であって、誘電体本体は、内部に配置されたチャッキング電極と、誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極とを含む誘電体本体とを含み、チャッキング回路は、基板をワークピース支持面に静電チャックするように動作可能であるチャッキング回路」
と記載されており、「チャッキング回路」の構成は明確となったことから、原査定の理由1を維持することはできない。
2 理由2(特許法第29条第2項)について
原査定では、補正前の請求項1ないし9に係る発明は、上記引用文献1ないし5に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとした。
しかしながら、上記第6の1(2)で検討したように、令和3年6月15日付けの補正において、特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された発明は、「誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、原査定において引用された引用文献1ないし5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
第8 当審拒絶理由について
当審では、補正前の請求項1の「誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極」は、発明の詳細な説明に記載されていないとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年6月15日付けの補正により「誘電体本体内に配置されたピクセル電極であって、ピクセル電極は、浮いた状態と、コンデンサを介して接地された状態との間で切り換え可能であり、ピクセル電極は、接地された状態のときにグランドまでの電圧制御可変コンデンサ回路に電気的に結合されるピクセル電極」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-000209