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特許拒絶査定不服審判

2020-000113

紫外発光ダイオードおよびそれを備える電気機器

審判番号
2020-000113
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-214111
請求日
2020年01月06日
審決日
2021年03月29日
公報発行日
2021年07月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】国立研究開発法人理化学研究所
  • 【請求人代理人】西川 惠清
  • 【請求人代理人】坂口 武
  • 【請求人代理人】北出 英敏
  • 【請求人代理人】仲石 晴樹
  • 【請求人】パナソニック株式会社
  • 【請求人代理人】西川 惠清
  • 【請求人代理人】坂口 武
  • 【請求人代理人】北出 英敏
  • 【請求人代理人】仲石 晴樹
審判長/審判官
  • 審判長 山村 浩
  • 審判官 近藤 幸浩
  • 審判官 松川 直樹
分類
P18 .121-WZ (H01L) / P18 .537-WZ (H01L)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法36条6項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-214111「紫外発光ダイオードおよびそれを備える電気機器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日出願公開、特開2017- 85035〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成27年10月30日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成31年 2月26日付け:拒絶理由通知 同年 4月26日  :手続補正書、意見書提出 令和 元年 9月26日付け:拒絶査定 令和 2年 1月 6日  :審判請求書、手続補正書提出 同年10月 5日付け:拒絶理由通知 同年12月 7日  :手続補正書、意見書提出 第2 本願発明 令和2年12月7日の手続補正(以下「本件補正」という。)によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「【請求項1】 Inx1Aly1Ga1-x1-y1N(0≦x1<1,0<y1≦1)n型導電層と、 発光層と、 Aly2Ga1-y2N(0.8<y2<1)電子ブロック層と、 Aly3Ga1-y3N(0.6≦y3≦0.8)p型コンタクト層と をこの順に備え、 前記p型コンタクト層が前記電子ブロック層上に直接形成されており、 前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが Econtact<EEBL を満たしており、 前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが 0eV<EEBL-Econtact≦0.966eV を満たすものである、 紫外発光ダイオード。」 第3 当審における拒絶の理由 令和2年10月5日付けで当審が通知した拒絶理由は、次の内容を含むものである。 1(進歩性)本件補正前の請求項1-7に係る発明は、本願の出願前に頒布された刊行物である又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明並びに引用文献3に記載された技術的事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 〔引用文献〕 1 国際公開第2014/038106号 2 前田哲利 外1名,透明p型AlGaNを用いた高効率深紫外LEDの実現,電子情報通信学会技術研究報告,日本,2013年11月21日,114巻, 329号,pp. 87-90 3 定 昌史 外2名,高Al組成p型AlGaNコンタクト層を用いた260nm深紫外LED,電子情報通信学会技術研究報告,日本,2014年11月20日,114巻, 336号,pp. 77-80 2(サポート要件)本件補正前の請求項1~7の記載は、電子ブロック層が単一障壁でアルミニウム分率が0.9であるものに限定する旨の記載はない点について、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 当審の判断 当審は、以下のとおり、上記第3の理由によって、本願は拒絶されるべきものであると判断する。 1 進歩性について (1)引用発明の認定 ア 引用文献1の記載(下線は当審で付加。以下同様。) 当審の拒絶理由通知において引用された上記引用文献1(国際公開第2014/038106号)には、次の記載がある。 (ア)「[0001] 本発明は、シリコン基板上に窒化アルミニウム薄膜を備えたエピタキシャルウェハ及びその製造方法、紫外発光デバイスに関するものである。」 (イ)「[0030] エピタキシャルウェハ1は、III族窒化物半導体を利用した半導体デバイスの製造に利用することができ、例えば、紫外発光デバイス2(図2参照)などの製造に利用することができる。つまり、エピタキシャルウェハ1には、ウェハサイズ及び紫外発光デバイス2のチップサイズに基づいた複数の紫外発光デバイス2を形成することができる。ここにおいて、エピタキシャルウェハ1は、このエピタキシャルウェハ1上に形成されるIII族窒化物半導体層(図2の例では、下地層21、第1窒化物半導体層22、活性層23、電子ブロック層24、第2窒化物半導体層25、p形コンタクト層26)の結晶性を向上させることが可能となる。図2は、エピタキシャルウェハ1に形成された複数の紫外発光デバイス2のうちの1つに相当する部分の概略断面図であり、個々の紫外発光デバイス2に分割した後には、シリコンウェハからなるシリコン基板11が、チップサイズのシリコン基板11aとなる。 [0031] 図2に示した構成の紫外発光デバイス2は、窒化アルミニウム層16上に形成された第1導電形の第1窒化物半導体層22と、第1窒化物半導体層22上に形成された活性層23と、活性層23上に形成された第2窒化物半導体層25とを備えている。この紫外発光デバイス2は、210nm~360nmの紫外波長領域に発光波長(発光ピーク波長)を有する紫外発光ダイオードであり、活性層23(以下、発光層23と称する)の材料としてAlGaN系材料を採用している。 [0032]また、紫外発光デバイス2は、第1窒化物半導体層22に電気的に接続された第1電極27と、第2窒化物半導体層25に電気的に接続された第2電極28とを備えている。 [0033]また、紫外発光デバイス2は、第1導電形がn形、第2導電形がp形であり、第2窒化物半導体層25における発光層23側とは反対側にp形コンタクト層26が形成され、第2電極28が、p形コンタクト層26の一部の上に形成されている。要するに、紫外発光デバイス2は、第2電極28が、P形コンタクト層26を介して第2窒化物半導体層25に電気的に接続されている。ここで、紫外発光デバイス2は、発光層23と第2窒化物半導体層25との間に電子ブロック層24を設けることが好ましい。また、紫外発光デバイス2は、メサ構造を有しており、第1窒化物半導体層22における発光層23側において露出させた表面22aの一部の上に第1電極27が形成されている。 ・・・(中略)・・・ [0062]第2窒化物半導体層25は、第2導電形がp形の場合、p形窒化物半導体層となる。p形窒化物半導体層は、発光層23へ正孔を輸送するためのものである。また、p形窒化物半導体層は、p形AlyGa1-yN(0<y<1)層である。ここで、p形窒化物半導体層を構成するp形AlyGa1-yN(0<y<1)層のAlの組成であるyは、発光層23で発光する紫外光を吸収しない組成であれば、特に限定するものではない。例えば、上述のように発光層23における井戸層23bのAlの組成が0.5、障壁層23aのAlの組成が0.70の場合、p形AlyGa1-yN (0<y<1)層のAlの組成であるyは、例えば、障壁層23aのAlの組成と同じ0.70とすることができる。すなわち、発光層23の井戸層23bがAl0.5Ga0.5N層の場合、p形窒化物半導体層は、p形Al0.70Ga0.30N層とすることができる。p形窒化物半導体層のアクセプタ不純物としては、Mgが好ましい。 [0063]また、p形窒化物半導体層の正孔濃度は、特に限定するものではなく、P形窒化物半導体層の膜質が劣化しない正孔濃度の範囲において、より高い濃度のほうが好ましい。しかしながら、紫外発光デバイス2としては、p形AlyGa1-yN (0<y<1)層の正孔濃度がn形AlxGa1-xN(O<x<1)層の電子濃度よりも低いので、p形窒化物半導体層の膜厚が、厚すぎると、この紫外発光デバイス2の抵抗が大きくなりすぎる。このため、p形窒化物半導体層の膜厚は、200nm以下が好ましく、100nm以下が、より好ましい。なお、本実施形態では、一例として、p形窒化物半導体層の膜厚を25nmに設定している。」 (ウ)「[0129] (実施例2) 実施例2では、実施例1のエピタキシャルウェハ1と同じ条件で製造したエピタキシャルウェハ1に紫外発光デバイス2を形成した。 [0130] 下地層21は、Al0.70Ga0.30N層とした。下地層21は、減圧MOVPE装置により成長した。成長条件は、基板温度を1100℃、成長圧力を10kPa、アルミニウムの原料をTMA、ガリウムの原料をTMG、膜厚を300nmとした。 [0131] 第1窒化物半導体層22は、n形Al0.70Ga0.30N層とした。第1窒化物半導体層22は、減圧MOVPE装置により成長した。成長条件は、基板温度を1100℃、成長圧力を10kPa、アルミニウムの原料をTMA、ガリウムの原料をTMG、シリコンの原料をSiH4、膜厚を1μmとした。 [0132] 発光層23は、多重量子井戸構造として、障壁層23aを膜厚が10nmのAl0.70Ga0.30N層とし、井戸層23bを膜厚が2nmのAl0.50Ga0.50N層とした。発光層23は、減圧MOVPE装置により成長した。発光層23の成長条件は、基板温度を1100℃、成長圧力を10kPa、アルミニウムの原料ガスをTMA、ガリウムの原料ガスをTMG、窒素の原料ガスをNH3とした。 [0133] 電子ブロック層24は、p形Al0.90Ga0.10N層とした。電子ブロック層24は、減圧MOVPE装置により成長した。電子ブロック層24の成長条件は、基板温度を1100℃、成長圧力を10kPa、アルミニウムの原料ガスをTMA、ガリウムの原料ガスをTMG、窒素の原料ガスをNH3、p形導電性に寄与する不純物であるMgの原料ガスをCp2Mg、膜厚を25nmとした。 [0134] 第2窒化物半導体層25は、p形Al0.70Ga0.30N層とした。第2窒化物半導体層25は、減圧MOVPE装置により成長した。成長条件は、基板温度を1100℃、成長圧力を10kPa、アルミニウムの原料をTMA、ガリウムの原料をTMG、p形導電性に寄与する不純物であるMgの原料ガスをCp2Mg、膜厚を25nmとした。 [0135] p形コンタクト層26は、p形GaN層とした。p形コンタクト層26は、減圧MOVPE装置により成長した。成長条件は、基板温度を1050℃、成長圧力を10kPa、ガリウムの原料をTMG、p形導電性に寄与する不純物であるMgの原料ガスをCp2Mg、膜厚を50nmとした。 [0136] 実施例2の紫外発光デバイス2については、エレクトロルミネッセンス測定を行った。その結果、紫外発光デバイス2では、発光波長が約260nmのシングルピークが観測された。」 (エ)ここで、図2は次のものである。 イ 引用発明 以上から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる(なお、引用発明の認定に用いた段落番号等を参考までに括弧内に付してある。)。 「紫外発光デバイス2は、窒化アルミニウム層16上に形成された第1導電形の第1窒化物半導体層22と、第1窒化物半導体層22上に形成された活性層23と、活性層23上に形成された第2窒化物半導体層25と、第2窒化物半導体層25上に形成されたp形コンタクト層26とを備え、210nm~360nmの紫外波長領域に発光波長(発光ピーク波長)を有し、([0031]、図2) 第1窒化物半導体層22は、n形Al0.70Ga0.30N層であり、([0131]) 発光層23は、多重量子井戸構造であり、障壁層23aを膜厚が10nmのAl0.70Ga0.30N層とし、井戸層23bを膜厚が2nmのAl0.50Ga0.50N層としたものであり、([0132]) 電子ブロック層24は、p形Al0.90Ga0.10N層であり、([0133]) 第2窒化物半導体層25は、p形Al0.70Ga0.30N層であり、([0134]) p形コンタクト層26は、p形GaN層であり、[0135])。 紫外発光デバイス2についてのエレクトロルミネッセンス測定により、発光波長が約260nmのシングルピークが観測されたものである、([0136]) 紫外発光デバイス2。」 (2)対比 ア 本願発明と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の、 「n形Al0.70Ga0.30N層であ」る「第1窒化物半導体層22」、 「多重量子井戸構造であり、障壁層23aを膜厚が10nmのAl0.70Ga0.30N層とし、井戸層23bを膜厚が2nmのAl0.50Ga0.50N層としたものであ」る「発光層23」、 及び、 「p形Al0.90Ga0.10N層であ」る「電子ブロック層24」、 は、それぞれ本願発明の 「Inx1Aly1Ga1-x1-y1N(0≦x1<1,0<y1≦1)n型導電層」、 「発光層」、 及び、 「Aly2Ga1-y2N(0.8<y2<1)電子ブロック層」、 に相当する。 (イ)引用発明の「p形GaN層であ」る「p形コンタクト層26」と、本願発明の「Aly3Ga1-y3N(0.6≦y3≦0.8)p型コンタクト層」とは、窒化ガリウム系半導体からなる「p型コンタクト層」である点で一致する。 (ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、引用発明の、「第1導電形の第1窒化物半導体層22と、第1窒化物半導体層22上に形成された活性層23と、活性層23上に形成された第2窒化物半導体層25と、第2窒化物半導体層25上に形成されたp形コンタクト層26とを備え」ることと、本願発明の、 「Inx1Aly1Ga1-x1-y1N(0≦x1<1,0<y1≦1)n型導電層と、 発光層と、 Aly2Ga1-y2N(0.8<y2<1)電子ブロック層と、 Aly3Ga1-y3N(0.6≦y3≦0.8)p型コンタクト層と をこの順に備え、 前記p型コンタクト層が前記電子ブロック層上に直接形成されており」との構成とは、 「Inx1Aly1Ga1-x1-y1N(0≦x1<1,0<y1≦1)n型導電層と、 発光層と、 Aly2Ga1-y2N(0.8<y2<1)電子ブロック層と、」 窒化ガリウム系半導体からなる「p型コンタクト層と をこの順に備え、」 「前記p型コンタクト層が前記電子ブロック層上に」「形成されており」との構成を備える点で一致する。 (エ)引用発明においては、「電子ブロック層24は、p形Al0.90Ga0.10N層であり、」「p形コンタクト層26は、p形GaN層であ」るところ、電子ブロック層24を構成する「Al0.90Ga0.10N」のバンドギャップエネルギーが、p型コンタクト層を構成する「GaN」のバンドギャップエネルギーよりも大きいことは技術的に明らかである。 そうすると、上記引用発明に係る構成と、 本願発明の、 「前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが Econtact<EEBL を満たしており、 前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが 0eV<EEBL-Econtact≦0.966eV を満たすものである」 との構成とは、 「前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが Econtact<EEBL を満たしており、 前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが 0eV<EEBL-Econtact」 「を満たすものである」点で一致する。 (オ)引用発明の「紫外発光デバイス2」は、本願発明の「紫外発光ダイオード」に相当する。 イ 一致点 よって、本願発明と引用発明とは、 「Inx1Aly1Ga1-x1-y1N(0≦x1<1,0<y1≦1)n型導電層と、 発光層と、 Aly2Ga1-y2N(0.8<y2<1)電子ブロック層と、 窒化ガリウム系半導体からなるp型コンタクト層と をこの順に備え、 前記p型コンタクト層が前記電子ブロック層上に形成されており 前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが Econtact<EEBL を満たしており、 前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが 0eV<EEBL-Econtact を満たすものである、 紫外発光ダイオード。」 である点で一致する。 ウ 相違点 一方、両者は以下の点で相違する。 《相違点1》 「p型コンタクト層」が、本願発明は、「Aly3Ga1-y3N(0.6≦y3≦0.8)p型コンタクト層」であって、「前記電子ブロック層上に直接形成されて」いるのに対し、引用発明は、「p形GaN層」であって、「電子ブロック層24」上に直接形成されておらず、p形Al0.70Ga0.30N層からなる第2窒化物半導体層25上に直接形成されている点。 《相違点2》 本願発明は、 「前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが 0eV<EEBL-Econtact≦0.966eV を満たすものである」 との構成を備えるのに対して、引用発明は、 「前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが 0eV<EEBL-Econtact を満たすものである」 との構成は備えるものの、「EEBL-Econtact≦0.966eVを満たすものである」とまでは特定されていない点。 (3)判断 ア 相違点の判断 上記相違点1及び相違点2を併せて検討する。 (ア)紫外領域で発光する発光ダイオードにおいて、p型コンタクト層の材料としてGaNが採用されているものにあっては、前記紫外領域の発光光がGaNにより構成されたp型コンタクト層により吸収され、発光効率が損なわれるという課題があることは技術常識であるところ、当該課題を解決すべく、前記GaNにより構成されたp型コンタクト層による吸収を軽減するために、AlGaNによりp型コンタクト層を形成する技術は、例えば、当審の拒絶理由通知において提示された以下の引用文献2及び引用文献3にも記載されているように周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。 a 引用文献2には以下の記載がある。 「AlGaN系DUV-LEDの外部量子効率は、内部量子効率(IQE)、電子注入効率(EIE)および光取出し効率(LEE)の積で表わせられる。これまで、我々はサファイア基板上に低転位貰通密度AINバッファー層を成長に成功し、その上に多重量子井戸(MQW)AlGaN系構造を成長させることにより、IQEを60%以上まで到達させた(2)。また、多重量子障壁(MQB)電子ブロック層(EBL)を導入することにより、EIEを大幅に改善した[6]。しかし,EQEはまだ数%と低い。その理由は、従来からのp-GaNコンタクト層がDUV発光の吸収層となることに起因して、LEEが約8%と低いからである。もし、p-コンタクト層を透明にできるならば、すなわち、p-GaNよりもバンドギャップが大きいp-AlGaNをAlGaN系DUV-LEDのp-コンククト層に適用できるならば、DUVLEDのLEEは飛躍的に改善され、InGaN系青色LEDのEQE(60%以上)に近づけることも現実的となる。 本研究において、殺菌応用に使用可能な280nm以下の発光波長をもつDUV-LEDの高EQE化を実現するため,60%以上の高Al組成の透明p-AlGaNコンタクト層を用いたLEDの高LEE化および高EQE化に関する研究を行った。 2. 高Al組成p-AlGaNコンタクト層の開発 図1に(a)高Al組成(63%) p-AlGaNコンタクト層(組成波長265 nm)を用いた277 nm発光LEDサンプル構造図および(b)組成波長265 nmおよび270 nmのp-AlGaN コンタクト層をもつ277nm発光LEDの電流-EQE特性を示す。 作製したLEDサンプル構造は、C面サファイア基板上に高品質AlNテンプレートバッファー層を成長し、その上にn-AlGaNパッファー層, AlGaN/AlGaN 3層MQW層およびp-AlGaN MQB電子プロック層を成長した。最後に、最表面層としてp-AlGaNコンタクト層を成長した. 結晶成長は減圧有機金属気相成長法(LP-MOCVD)により行った。各層の膜厚およびAl組成は、発光波長275-280nmの効率が最大になるように、最適化を行った。また、p-AlGaNコンタクト層の膜厚は70-100nmとした。なお、p-AlGaNコンタクト層の「組成波長」とは、同じAlGaN成長条件で成長した膜厚が厚い別サンプルを用いて、室温フォトルミネッセンス測定(PL)による発光ピーク波長によって定義した。図1(b)において示すように、高Al組成(60-63 %)p-AlGaNコンタクト層を用いても、通常LED動作を確認することができた。組成波長に対応させると、265-270nmであるので、この結果は、殺菌効果が高い270-280nm DUV光に対して透明p-AlGaNコンタクト層の適用性を強く示唆する結果となった。」 (1ページ左下欄下から4行~2ページ右欄6行) b 引用文献3には以下の記載がある。 (a)「AlGaN LEDの現在の課題の1つは光取り出し効率の向上である。通常のLEDにみられる屈折率差に起因した全反射閉じ込めに加え、深紫外LEDでは金属電極およびp型コンタクト層による表面側放出光の吸収が問題となる。一般の窒化物LEDは(0001)面上に形成され、p層が表面側コンタクトを担う。この際、p-AlGaNではアクセプタの活性化エネルギーが大きく十分な正孔濃度を確保するのが難しいことから、p-GaNコンタクトが用いられている。しかしながら、深紫外域におけるp-GaNの吸収係数は大きく[2]、典型的なコンタクト層厚100 nmでほぽすべての深紫外光が吸収されてしまう。その結果、表面側からの光取り出しが困難であるだけでなく、光取り出し効率の上限も50%に制限されてしまう。それゆえ、深紫外域で透明なp-AlGaNコンタクト層を用いたLEDの開発は、実用水準の高効率化に向けて重要である。 今回われわれは、Al組成70%相当のp-AlGaNコンタクト層を有するLEDを作製し、p-GaNコンタクトと同程度の発光効率を達成した。また、260 nm帯発光においてコンタクト層の光吸収抑制による発光効率の増大を実現した。 2. 実験方法 試料は有機金屈気相成長法によりサファイア(0001)基板上に作製した。LED 構造は、AlNバッファ、n-AlGaN層、量子井戸発光層、電子プロック層、p-AlGaNコンタクト層からなる(図1)。成長圧力は76Torr、成長温度はp-AlGaNコンタクト層が1100℃、それ以外は1200℃である。p-AlGaN コンタクト層のAl組成は70%とし、240nm~の発光に対し透明を目指した。p-AlGaNコンタクト層のMgドーピング濃度は5×10 19 cm-3、厚みは100nm、成長速度は0.2μm /hである。 試料は成長後、窒素雰囲気化で900℃、50分間の熱処理を行いp層の活性化をはかった。LED構造には2種類の電極材料を用いた。1つはNi(25nm)+Au(150nm)であり、もう1つはNi(1nm)+Al(150 nm)である。Ni+Au電極は比較的良好な接触が取りやすいが、紫外光の吸収も大きい(260nmで反射率20%)。Ni+Al電極は高反射率のAlを用いつつ極薄のNi膜を挟むことで、接触性と反射率の両立を狙ったものである(同、反射率70%)。 p-AlGaN層の透過特性は重水素ランプと積分球を用いて行った。「AlN+サファイア基板」の透過光をリファレンスとし、「p-AlGaN+AlN+サファイア基板」の透過光を規格化して透過率を評価した。」 (1ページ左下欄下から3行~2ページ左欄最下行) (b)「3.2. 高Al組成p-AlGaNコンタクトを用いたLED 透明域を拡大するいっぽうで、高Al組成化によってアクセプタの活性化エネルギーは増大し正孔濃度は減少する。[6,7]そのため、高Al組成p-AlGaN層を用いた場合、電流注入がきちんと行えるかという点が懸念される。そこで、p-AIGaNコンタクト層を用いたLED構造に対しNi+Au電極を作製し電流注入の様子を調べた。図3に電流-電圧特性を示す。Ni+Au電極へのコンタクトは良好であり、電流注入に問題はなかった。」 (2ページ右欄下から11行~下から3行) (イ)そして、引用発明においても、「p形コンタクト層26は、p形GaN層」により構成されているから、当業者であれば、引用発明において上記(ア)の課題が存在することを認識できる。 (ウ)ところで、引用文献2(2ページ左欄下から13行~下から8行、図1(a))及び引用文献3(2ページ左欄5行~8行、図1)のいずれにおいても記載されているように、電子ブロック層上に直接p型コンタクト層を設けた素子構造は周知技術(以下「周知技術2」という。)である。 (エ)また、周知技術1を開示する引用文献3には、前記(ア)b(a)に摘記したとおり、「今回われわれは、Al組成70%相当のp-AlGaNコンタクト層を有するLEDを作製し、p-GaNコンタクトと同程度の発光効率を達成した。また、260 nm帯発光においてコンタクト層の光吸収抑制による発光効率の増大を実現した」との記載があり、さらに、前記(ア)b(b)に摘記したとおり、「透明域を拡大するいっぽうで、高Al組成化によってアクセプタの活性化エネルギーは増大し正孔濃度は減少する。・・・そのため、高Al組成p-AlGaN層を用いた場合、電流注入がきちんと行えるかという点が懸念される。そこで、p-AIGaNコンタクト層を用いたLED構造に対しNi+Au電極を作製し電流注入の様子を調べた。図3に電流-電圧特性を示す。Ni+Au電極へのコンタクトは良好であり、電流注入に問題はなかった。」と記載されている。 このように、引用文献3の上記記載からは、260 nm帯発光をするLEDにおいて、コンタクト層の光吸収抑制のみならず、電流注入の点からみても、Al組成70%相当のp-AlGaNコンタクト層が好ましいことがわかる。 (オ)しかるに、引用発明は、「紫外発光デバイス2についてのエレクトロルミネッセンス測定により、発光波長が約260nmのシングルピークが観測されたものであ」るとともに、Al組成が70%である「p形Al0.70Ga0.30N層」からなる「第2窒化物半導体層25」を備えているから、上記(エ)に係る技術的事項とは、ほぼ260nmで発光する紫外発光デバイスであって、Al組成が70%のAlGaN層を備えている点で共通する。 さらに、引用発明の上記Al組成が70%である「p形Al0.70Ga0.30N層」からなる「第2窒化物半導体層25」は、「電子ブロック層24」上に直接設けられているから、周知技術2に照らして、コンタクト層として使用され得る位置に配置されていることもわかる。 (カ)そうすると、当業者であれば、引用発明において、「p形コンタクト層26」である「p形GaN層」による吸収を軽減するために、周知技術1及び周知技術2並びに上記(エ)及び(オ)を勘案して、「p形コンタクト層26」である「p形GaN層」を省いて、Al組成が70%である「p形Al0.70Ga0.30N層」からなる「第2窒化物半導体層25」をp形コンタクト層として用いるようにすることは、容易に想到することである。 (キ)引用発明において上記(カ)のように構成したものは、相違点1に係る、「p型コンタクト層」が、「Aly3Ga1-y3N(0.6≦y3≦0.8)p型コンタクト層」であって、「前記電子ブロック層上に直接形成されて」いる構成を備えることになる。 また、引用発明においては、「電子ブロック層24は、p形Al0.90Ga0.10N層」であるから、上記(カ)のとおり、Al組成が70%である「p形Al0.70Ga0.30N層」からなる「第2窒化物半導体層25」をp形コンタクト層として用いるようにすることに伴い、相違点2に係る、「前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが 0eV<EEBL-Econtact≦0.966eV を満たすものである」との構成を備えるものとなることは、Al0.70Ga0.30NのバンドギャップがAl0.60Ga0.40Nのバンドギャップよりも大きいため、Al0.90Ga0.10NのバンドギャップとAl0.70Ga0.30Nのバンドギャップの差が、Al0.90Ga0.10Nのバンドギャップ(5.796eV)とAl0.60Ga0.40Nのバンドギャップ(4.830eV)との差である0.966eVよりも小さくなることから明らかである。 (ク)よって、引用発明において相違点1及び相違点2に係る構成を備えることは、引用発明並びに引用文献3に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易になしえたことである。 イ 本願発明の効果について (ア)本願発明の効果は、本願の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本願明細書等」という。)の段落【0013】の記載によれば、「本発明のいずれかの態様においては、キャリア注入効率ηINJを高め外部量子効率ηEQEが改善されたUVLEDが提供される。」とされているものである。 (イ)一方、引用発明において、前記ア(カ)のとおりにした構成では、Al組成比が0.7のp形コンタクト層を用いることで、発光光の透過性が向上するのであるから、発光効率が向上することは明らかである。 (ウ)また、引用発明の、「p形Al0.90Ga0.10N層」からなる「電子ブロック層24」と、その直上の「p形Al0.70Ga0.30N層」からなる「第2窒化物半導体層25」からなる部分のバンド構造は、本願の図4及び図6について、本願明細書等の段落【0020】~【0024】で説明されていることと同様に、キャリア注入効率が高いはずであるから、前記(ア)の、キャリア注入効率が向上するとの効果は、前記ア(カ)のようにする以前に引用発明自体が備える効果であり、格別なものではない。 (エ)上記(イ)、(ウ)から、前記(ア)の効果は、格別顕著なものとはいえない。 ウ 小括 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明並びに引用文献3に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)請求人の主張について ア 請求人は、令和2年12月7日に提出した意見書において、概ね以下の主張をする。 引用文献1に記載の発明は、p形コンタクト層26としてp形GaN層を採用し、電子ブロック層24とp形コンタクト層26との間に第2窒化物半導体層25を介在させているものであり、電子ブロック層上に直接形成されているp型コンタクト層を備えた相違点1に係る構成において、前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLの関係(バンドオフセット)を規定した相違点に係る構成を採用することを容易に想到し得るとは考えられず、また、引用文献2、3には、電子ブロック層の組成について記載されておらず、電子ブロック層とp型コンタクト層との間で決定されるバンドオフセットについて検討した記載がなく、電子ブロック層とp型コンタクト層とのバンドギャップの関係について記載されていない。 イ しかしながら、前記(3)アのとおり、引用発明において相違点1及び2に係る構成を備えることは、当業者が容易に想到することである。そして、本願発明は「紫外発光ダイオード」に係る物の発明であることを踏まえれば、そのようにして容易に想到された構成が、請求人が主張する「前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLの関係(バンドオフセット)を規定した相違点に係る構成」、すなわち、「0<EEBL-Econtact≦0.966eV」を満たし、格別の顕著な効果を認められない以上、本願発明の進歩性は否定されるというべきである。 したがって、当該関係式自体の開示がないとしても、そのこと自体は結論を左右するものではない。 ウ よって、前記アの請求人の主張は採用できない。 (5)進歩性についてのまとめ したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 サポート要件について (1)本願明細書等の記載 本願明細書等(本件補正後のもの。)には、次の記載がある。 ア「【請求項1】 Inx1Aly1Ga1-x1-y1N(0≦x1<1,0<y1≦1)n型導電層と、 発光層と、 Aly2Ga1-y2N(0.8<y2<1)電子ブロック層と、 Aly3Ga1-y3N(0.6≦y3≦0.8)p型コンタクト層と をこの順に備え、 前記p型コンタクト層が前記電子ブロック層上に直接形成されており、 前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが Econtact<EEBL を満たしており、 前記p型コンタクト層のバンドギャップエネルギーEcontactおよび前記電子ブロック層のバンドギャップエネルギーEEBLが 0eV<EEBL-Econtact≦0.966eV を満たすものである、 紫外発光ダイオード。」 (以下、「0eV<EEBL-Econtact≦0.966eV」との条件式を「本件条件式」といい、本件条件式のうち「EEBL-Econtact」の値を「本件エネルギー差」という。) イ「【発明が解決しようとする課題】 【0008】 本願の発明者らは、UVLEDにおいてキャリア注入効率ηINJの低さを克服する手法をかねてから探索してきた。その過程において、MQB層を含め、EBLを採用しても期待通りの動作が実現できない現象がしばしば観察されることに気づいた。 【0009】 本発明は、キャリア注入効率ηINJを高めるために本質的な解決策を提供することにより、外部量子効率ηEQEが改善されたUVLEDを提供し、もってUVLEDを採用する電気機器の高性能化に寄与するものである。」 ウ「【0039】 また、p型コンタクト層150のアルミニウム分率は、p型コンタクト層150のバンドギャップエネルギーEcontactが4.83eV≦Econtact≦5.45eVを満たすようなものとすると好ましい実施形態となる。p型コンタクト層150のアルミニウム分率をこのように定めれば、発光効率が特に向上する。このようなp型コンタクト層150のアルミニウム分率は、インジウム分率が小さい場合には60%~80%に相当する。 【0040】 また、p型コンタクト層150のバンドギャップエネルギーEcontactおよびEBL138のバンドギャップエネルギーEEBLが0≦EEBL-Econtact≦0.966eVを満たす実施形態は好ましいものとなる。p型コンタクト層150およびEBL138がこの条件を満たすような組成にされれば、シミュレーションにより確認された良好な動作が実現される。EBL138が単一障壁でアルミニウム分率が0.9とした上記シミュレーションに具体的に対応させれば、このようなp型コンタクト層150のアルミニウム分率は、60%~80%に相当する。なお、この組成比の範囲でEEBL-Econtact=0.966eVとなるのは、EBL138が単一障壁のEEBLが5.796eV(アルミニウム分率が0.9)、p型コンタクト層150のEcontactが4.830eV(同、0.6)となるためである。」 (2)上記(1)アの記載によると、請求項1には、「Aly2Ga1-y2N(0.8<y2<1)電子ブロック層」と記載され、電子ブロック層が単一障壁でアルミニウム分率y2に関し、0.8<y2<1のものが包含される記載となっている。 そして、上記(1)イの記載によると、請求項1に係る発明が解決しようとする課題(以下「本件課題」という。)は、UVLEDにおいてキャリア注入効率ηINJが低いこと、であると認められる。 (3)一方、上記(1)ウの記載、及び、上記ウの「EBL138が単一障壁のEEBLが5.796eV(アルミニウム分率が0.9)、p型コンタクト層150のEcontactが4.830eV(同、0.6)」であることから、5.796eV-4.830eV=0.966eVとなることによれば、本件条件式は、「EBL138が単一障壁でアルミニウム分率が0.9とした上記シミュレーションに具体的に対応させ」た上で、「p型コンタクト層150のアルミニウム分率は、60%~80%に相当する」ものといえる。 このように、本件条件式は、アルミニウム分率が0.9である単一障壁のEBL138を前提としてシミュレーションにより算出されたものであるが、本願明細書等の他の記載をみても、「EBL138が単一障壁でアルミニウム分率が0.9とした」以外の場合についての、シミュレーション等の具体的記載がない。そして、本件条件式がそのような場合であっても成立するとの技術常識を示す証拠はないし、請求項1に特定された他の特定事項をも満足すれば、本件条件式がそのような場合であっても成立するとの技術常識を示す証拠もない。 それゆえ、当業者は、「EBL138が単一障壁でアルミニウム分率が0.9とした」以外の場合において、本件条件式及び請求項1に特定された他の特定事項を満足することにより、本件課題を解決できると認識できるとはいえない。 (4)請求人の主張について ア これに対し、請求人は、令和2年12月7日に提出した意見書において、概ね以下の主張をする。 電子ブロック層が単一障壁でない多重量子障壁(MQW)の場合には、当初明細書の段落[0042]の「MQBの各層でのバンドギャップによる平均のバンドギャップエネルギーがp型コンタクト層150のバンドギャップエネルギーEcontactと等しいかより大きい場合には、さらにMQB層に強い電子ブロック機能が期待できるため好ましい」と記載されており、シミュレーション上は計算が複雑になるのを避けるため、複数層でもバンドギャップエネルギの平均値を用いて単一障壁とみなして計算しているから、請求項1が、前記「0eV≦EEBL-Econtact≦0.966eV」に関して、本願明細書に記載されていないものも包含する、との不備はない。 イ しかしながら、請求項1の記載は、「Aly2Ga1-y2N(0.8<y2<1)電子ブロック層」となっており、単一障壁であって、かつアルミニウム分率が0.9以外であるものも包含するから、上記アの主張はあたらない。 ウ よって、前記アの請求人の主張は採用できない。 (5)したがって、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、また、本願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-000113

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