特許拒絶査定不服審判
2020-000031
システム入力解像度の変動なくディスプレイシステムを校正するシステムおよび方法
- 審判番号
- 2020-000031
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-023598外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年01月06日
- 審決日
- 2022年03月17日
- 公報発行日
- 2022年09月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スケーラブル ディスプレイ テクノロジーズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】栗原 弘幸
- 分類
- P18 .536-WZ (G09G) / P18 .537-WZ (G09G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-23598「システム入力解像度の変動なくディスプレイシステムを校正するシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年7月12日出願公開、特開2018-109774〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成25年4月19日を国際出願日とする外国語特許出願(特願2015-507226号)の一部を、平成30年2月13日に新たな外国語書面出願としたものであって(パリ条約による優先権主張 2012年4月19日 米国)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
平成30年 2月21日 :翻訳文の提出
平成31年 1月 9日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 7月16日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月23日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月28日 :原査定の謄本の送達)
令和 2年 1月 6日 :審判請求書の提出
同月15日付け:手続補正指令書(方式)
同年 1月29日 :手続補正書(方式)
同年 2月20日 :手続補正書(方式)
同年12月24日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 7月 6日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月24日付け:審尋書
同年12月28日 :回答書の提出
第2 当審における拒絶理由通知及び審尋について
1 令和2年12月24日付け拒絶理由通知
当審において、令和2年12月24日付けで、次の理由1~3の拒絶理由を通知した。
理由1(明確性)
本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
理由2(実施可能要件)
本願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。
理由3(委任省令要件)
本願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない。
記
理由1(明確性)について
(1)請求項1において、「スクリーン上のディスプレイユニットの総解像度と異なるシステム入力解像度を用いて1台以上のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するための方法であって」(下線は当審が付与した。以下同様。)と記載されているが、上記記載中の「システム入力解像度を用いて」はどこに係る語句であるのか不明である。
また、「1台以上のディスプレイユニットの集合体で校正を実施する」ということの意味が不明である。
この点に関し、本願の外国語書面には、上記記載に対応するものとして、「A method for performing calibration on a collection of one or more display units with a system input resolution different from the total resolution of the display units」との記載がある。 上記外国語で記載された事項を参照すると、請求項1の「スクリーン上のディスプレイユニットの総解像度と異なるシステム入力解像度を用いて1台以上のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するための方法であって」という記載は、「スクリーン上のディスプレイユニットの総解像度と異なるシステム入力解像度を有する1台以上のディスプレイユニットの集合体について校正を実施するための方法であって」と記載すべきものと思われるから、補正にあたっては、この点も考慮されたい。
請求項6にも、同様の記載があり、上述の指摘事項が同様に当てはまる。
(2)請求項1において、「b.選択された前記システム入力解像度を変えずに下記b1及びb2により前記1台以上のディスプレイユニットを校正するステップであって、前記b1は、入力ピクセルをワープして前記1台以上のディスプレイユニット全体に引き伸ばすことであり、前記b2は、カメラを用いて前記1台以上のディスプレイユニットを校正することである、前記ステップと」と記載されているところ、この部分の記載は次のア~エで説明するようにその意味を明瞭に把握することができないから、請求項1に係る発明を明確に把握することができない。
請求項6には、「前記b1は、入力ピクセルを前記1台以上のディスプレイユニットを横切って伸ばすようにワープさせることであり、」及び「b.選択された前記システム入力解像度を変えずに下記b1及びb2により前記1台以上のディスプレイユニットを校正する手段であって、前記b1は、入力ピクセルを前記1台以上のディスプレイユニットを横切って伸ばすようにワープさせることであり、」との記載があるところ、請求項1に対する指摘事項が同様に当てはまる。
ア 「ワープ」の意味が不明である。すなわち、「ワープ」とは、スクリーンに投影したときにその投影像がスクリーン上で歪んでしまうこと(歪んで見えること)を指すのか、投影する前に、プロジェクタに供給される画像信号に対して、予め歪ませておく信号処理を行うことを指すのか、それとも、これら以外のことを指すのか不明である。
イ 「引き伸ばす」の意味が不明である。すなわち、「引き伸ばす」とは、スクリーンに投影したときにその投影像がより大きく投影されることを指すのか、画像データを補完するなどして、ドット数を増やすことを指すのか、それとも、これら以外のことを指すのか不明である。
ウ 「前記システム入力解像度を変えずに」ということと、「入力ピクセルをワープして前記1台以上のディスプレイユニット全体に引き伸ばすこと」の関係が不明である。
この点に関し、明細書の段落【0034】には、「実行ステップ320に対する実施形態は図4に記載されている。ステップ420では、ワープを使用して入力ピクセルをディスプレイ全体に引き伸ばす。例として図1において、システムの入力解像度が840×700であるとしたら、ピクセルはワープに対する設定値に基づいて1024×768にスケーリングおよびリサンプリングできる。図1(当審注:「図1」は「図2」の誤記ではないかと思われる。誤記であれば補正されたい。)に示す例の場合、手順はシステムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばすことができよう。」と記載されており、この記載によれば、「システムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばす」のであるから、「引き伸ば」された「システムの入力解像度」は、「引き伸ばす」前のものとは変わっているのではないかと思われる。
すなわち、「システムの入力解像度」を「引き伸ばす」こと(「入力ピクセル」を「ワープ」すること)と、「システムの入力解像度」を「変える」ことが、どのように相違するのか本願の明細書及び図面の記載を参酌しても明確ではなく、したがって、請求項1において、「前記システム入力解像度を変えずに」ということと、「入力ピクセルをワープして前記1台以上のディスプレイユニット全体に引き伸ばすこと」の関係が不明なものとなる。
エ 「入力ピクセルをワープして前記1台以上のディスプレイユニット全体に引き伸ばすこと」という記載における「ディスプレイユニット全体」が、何を指すのか不明である。
「ディスプレイユニット全体」が「スクリーン」を指すのであれば、「ワープ」された「入力ピクセル」が「スクリーン」上に投影されるとき、その「スクリーン」上の投影画像が「引き伸ば」されて見えることを意味しているようにも思えるが、そのような理解で正しいのか、それとも、「ディスプレイユニット全体」は「スクリーン」を指すのではなく、別のものを指すのか不明である。
上記ア及びイの指摘事項については、意見書において、「入力ピクセル」を「ワープ」すること、「引き伸ばすこと」の定義を明確に説明してください。
そして、その意味であることを、明細書の記載からどうして理解できるのかについて、必要な立証を行って、意見書において明確に説明してください。
なお、補正をする場合には、新規事項の追加とならないように十分に気をつけてください。
(3)請求項5において、「前記ディスプレイユニットがフラットパネルディスプレイである請求項1記載の方法。」と記載されているが、請求項1には、「スクリーン」という構成があり、「フラットパネルディスプレイ」であることと整合しない。
(液晶パネルからなるフラットパネルディスプレイには、通常スクリーンは存在しない。)
請求項8にも、同様の記載があり、上述の指摘事項が同様に当てはまる。
以上(1)~(3)において検討したとおりであるから、請求項1~8に係る発明は明確ではない。
理由2(実施可能要件)について
上記理由1の(2)において指摘したとおり、請求項1の「b.選択された前記システム入力解像度を変えずに下記b1及びb2により前記1台以上のディスプレイユニットを校正するステップであって、前記b1は、入力ピクセルをワープして前記1台以上のディスプレイユニット全体に引き伸ばすことであり、前記b2は、カメラを用いて前記1台以上のディスプレイユニットを校正することである、前記ステップ」という記載に関して、「ワープ」の意味、「引き伸ばす」の意味、「前記システム入力解像度を変えずに」ということと、「入力ピクセルをワープして前記1台以上のディスプレイユニット全体に引き伸ばすこと」の関係、「ディスプレイユニット全体」の意味が不明であり、これらの不明点は、明細書の段落【0034】の記載についても当てはまる。
すなわち、上記段落【0034】の「ステップ420では、ワープを使用して入力ピクセルをディスプレイ全体に引き伸ばす。」、「例として図1において、システムの入力解像度が840×700であるとしたら、ピクセルはワープに対する設定値に基づいて1024×768にスケーリングおよびリサンプリングできる。」という記載の意味が不明である。
したがって、本願の発明の詳細な説明は、請求項1~8に係る発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。
上記段落【0034】の指摘箇所の意味する内容について、意見書において、その意味を明瞭に説明してください。
そして、その意味であることを、明細書の記載からどうして理解できるのかについて、必要な立証を行って、意見書において明確に説明してください。
なお、補正をする場合には、新規事項の追加とならないように十分に気をつけてください。
理由3(委任省令要件)について
請求項1において、「前記b1は、入力ピクセルをワープして前記1台以上のディスプレイユニット全体に引き伸ばすことであり、」と特定され、請求項6において、「前記b1は、入力ピクセルを前記1台以上のディスプレイユニットを横切って伸ばすようにワープさせることであり、」と特定されていることに関し、本願の発明の詳細な説明には、「【0034】 ステップ320は、多様な方法および/または装置を用いて実行できる。実行ステップ320に対する実施形態は図4に記載されている。ステップ420では、ワープを使用して入力ピクセルをディスプレイ全体に引き伸ばす。例として図1において、システムの入力解像度が840×700であるとしたら、ピクセルはワープに対する設定値に基づいて1024×768にスケーリングおよびリサンプリングできる。図1(当審注:「図2」の誤記ではないかと思われる。誤記であれば補正されたい。)に示す例の場合、手順はシステムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばすことができよう。ステップ422ではカメラを用いて自動校正を実行でき、システムを自動的に校正するために関連する校正パターンを採用できよう。」と記載されているが、入力ピクセルをワープしてディスプレイユニット全体に引き伸ばすことにどのような技術上の意義があるのか開示されておらず、発明が解決しようとする課題、その解決手段などの関係において、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が記載されているとはいえない。
よって、本願の発明の詳細な説明の記載は、請求項1~8に係る発明について、経済産業省令(特許法施行規則24条の2)で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。
2 令和3年9月24日付け審尋
当審において令和3年9月24日付けで以下の点について審尋した。
令和2年12月24日付け拒絶理由通知書において指摘した拒絶理由に対して、令和3年7月6日に意見書及び手続補正書が提出されていますが、次の(1)~(10)の事項が不明であるため、当該拒絶理由通知書で指摘した拒絶理由が全て解消しているとの心証は得られておりません。
つきましては、回答書において、次の(1)~(10)の事項について、明確となるように、明確かつ十分に説明してください。
(1)「集合体で校正を実施」の具体例と意味
補正後の請求項1には、「複数のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するための方法であって」(下線は当審が付与した。以下同様。)と記載されていますが、「複数のディスプレイユニットの集合体で校正を実施する」ということの意味が不明です。
上記拒絶理由通知書においても指摘しましたが、請求項1の「複数のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するための方法であって」という記載は、「複数のディスプレイユニットの集合体について校正を実施するための方法であって」と記載すべきものと思われます。
しかしながら、上記手続補正書において依然として補正していないのは、何らかの理由があってのことであると思いますので、その理由を説明してください。
(2)「入力解像度」の具体例と意味
補正後の請求項1において、「a.1以上の画像を投影する前記複数のディスプレイユニットのスクリーンの高さに対する幅の比率に部分的に基づいて、前記複数のディスプレイユニットのための所望の入力解像度を選択し、それによってオーバーラップ領域が定義される、ステップ」と記載されていますが、「入力解像度」とは何か説明してください。
(3)「所望の入力解像度を変えずに」の具体例と意味
補正後の請求項1において、「b.選択された前記所望の入力解像度を変えずに下記b1及びb2により前記複数のディスプレイユニットを校正するステップであって」と記載されていますが、「所望の入力解像度を変えずに」とはどのようなことを意味するのか具体的に説明してください。
(4)「スケーリング及びリサンプリング」の具体例と意味
補正後の請求項1において、「前記b1は、投影された前記1以上の画像からオーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づいて入力ピクセルをスケーリング及びリサンプリングすることにより、前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすことであり、」と記載されていますが、「入力ピクセルをスケーリング及びリサンプリングする」とは、それぞれどのようなことをするのか具体的に説明してください。
(5)「ワープ」の具体例と意味
補正後の請求項1において、「前記b1は、投影された前記1以上の画像からオーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づいて入力ピクセルをスケーリング及びリサンプリングすることにより、前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすことであり、」と記載されていますが、「入力ピクセルをワープ」するとはどのようなことをするのか具体的に説明してください。
(6)「引き伸ばす」の具体例と意味
補正後の請求項1において、「前記b1は、投影された前記1以上の画像からオーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づいて入力ピクセルをスケーリング及びリサンプリングすることにより、前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすことであり、」と記載されていますが、「複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばす」とはどのようなことをするのか具体的に説明してください。
(7)「校正」の具体例と意味
補正後の請求項1において、「前記b2は、カメラを用いて前記1台以上のディスプレイユニットを校正することである、前記ステップ」と記載されていますが、「校正」とはどのようなことをするのか具体的に説明してください。
(8)「新たなワープを算出」の具体例と意味
補正後の請求項1において、「c.前記b1におけるワープに基づいて新たなワープを算出するステップ」と記載されていますが、「新たなワープを算出する」とはどのようなことをするのか具体的に説明してください。
(9)「入力解像度を変えず」と「各々にわたって引き伸ばす」の関係
補正後の請求項1において、「選択された前記所望の入力解像度を変えずに」ということと、「入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすこと」の関係について、具体的に説明してください。
(10)後記ア~オの事項の具体例と意味
次のア~オの事項について、具体的にはどのようなことを指すのか、具体例を挙げて、明確に説明してください。
ア 補正後の請求項1において、「複数のディスプレイユニットのスクリーンの高さに対する幅の比率に部分的に基づいて、前記複数のディスプレイユニットのための所望の入力解像度を選択すること」
イ 補正後の請求項1において、「複数のディスプレイユニットのスクリーンの高さに対する幅の比率に部分的に基づいて、前記複数のディスプレイユニットのための所望の入力解像度を選択し、それによってオーバーラップ領域が定義されること」
ウ 補正後の請求項1において、「投影された前記1以上の画像からオーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づいて入力ピクセルをスケーリング及びリサンプリングすること」
エ 補正後の請求項1において、「前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすこと」
オ 補正後の請求項1において、「前記b1におけるワープに基づいて新たなワープを算出すること」
第3 本願の特許請求の範囲、明細書及び図面の記載について
1 特許請求の範囲の記載
本願の特許請求の範囲の請求項1~6の記載は、令和3年7月6日に提出された手続補正書により補正された次のとおりのものである。
「【請求項1】
複数のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するための方法であって、該方法は、
a.1以上の画像を投影する前記複数のディスプレイユニットのスクリーンの高さに対する幅の比率に部分的に基づいて、前記複数のディスプレイユニットのための所望の入力解像度を選択し、それによってオーバーラップ領域が定義される、ステップと;
b.選択された前記所望の入力解像度を変えずに下記b1及びb2により前記複数のディスプレイユニットを校正するステップであって、
前記b1は、投影された前記1以上の画像からオーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づいて入力ピクセルをスケーリング及びリサンプリングすることにより、前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすことであり、
前記b2は、カメラを用いて前記1台以上のディスプレイユニットを校正することである、
前記ステップと;
c.前記b1におけるワープに基づいて新たなワープを算出するステップと;
を含む方法
【請求項2】
さらに、校正中にディスプレイユニットの少なくとも1つで画像をフリーズすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、システムの入力ビデオ信号にコントロールポイントの位置を付加することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ディスプレイユニットがプロジェクタである請求項1記載の方法。
【請求項5】
複数のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するためのシステムであって、該システムは、
a.1以上の画像を投影する前記複数のディスプレイユニットのスクリーンの高さに対する幅の比率に部分的に基づいて、前記複数のディスプレイユニットのための所望の入力解像度を選択し、それによってオーバーラップ領域が定義される、手段と;
b.選択された前記所望の入力解像度を変えずに下記b1及びb2により前記複数のディスプレイユニットを校正する手段であって、
前記b1は、投影された前記1以上の画像から前記オーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づいて入力ピクセルをスケーリング及びリサンプリングすることにより、前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすことであり、
前記b2は、カメラを用いて前記1台以上のディスプレイユニットを校正することである、
前記手段と;
c.前記b1におけるワープに基づいて新たなワープを算出する手段と;
を含むシステム。
【請求項6】
前記ディスプレイユニットがプロジェクタである請求項5記載のシステム。」
2 明細書の記載
本願の明細書の記載は、次のとおりである。
下線は「ワープ」又は「引き伸ばす」という語句を含む箇所を明示するために当審において付した。
なお、令和3年7月6日に提出された手続補正書により、補正前の段落【0034】の「図1に示す例の場合、手順はシステムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばすことができよう。」における「図1」は、「図2」に補正された。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ、より具体的には1台以上のディスプレイユニットからなるディスプレイシステム、ならびにこのディスプレイシステムのための校正システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ、フラットパネルディスプレイおよびその他のビデオディスプレイ装置は入力ビデオ信号と必ずしも確実に同期化しない。ビデオ信号が変化すると、プロジェクタまたはLCD(フラット)パネルなどのディスプレイユニットの再同期化を余儀なくさせる。その同期化はときどき失敗し、ディスプレイはビデオ信号を見いだせなくなる。このことは、ディスプレイシステムが高い信頼性が所望されるイベントまたはミーティングで使用される場合および/または熟練オペレータが利用できないような場合に非常に不都合でありうる。互いに同期化された集合体に編成された複数のディスプレイユニットではビデオ信号の損失がさらにいっそう起こりやすい。従って、信号の損失を避けるために再同期化タスクを実行する必要を回避することが望ましい。加えて、ビデオ信号の同期化は比較的遅いプロセスであり、従って再同期化を回避すると1台以上のディスプレイユニットを有するディスプレイシステムの速度を増すことができることが望ましい。
【0003】
1台以上のディスプレイユニットからなるディスプレイシステムに対して、1台以上のディスプレイユニットへの入力源であるビデオ信号を変更するための多様な技術がある。例えば、信号に調整を加えて表示された画像のワープおよび/またはスケール、ブレンド、色補正および/またはピクセルオーバーラップ/ベゼル補正変更を変えることができる。同様に、使用される機器の動作点に変更を加えることができ、これは光学・機械・熱・電子(OMTE)パラメータと呼ばれることがある。ライェフ・J・スラティ他により公開された米国特許出願公開2008/246781Al「光学的フィードバックを用いたディスプレイ調整および画像処理により改善されたディスプレイ品質を提供するためのシステムおよび方法」はディスプレイの光学・機械・熱・電子(OMTE)パラメータを開示しており、参照によりその教示内容を有益な背景情報として本明細書に編入する。OMTEパラメータはコンピュータまたは手動制御によって修正されてよく、次に適当なマッピング機能がOMTEの変化に伴って作動する表示された画像の源信号を変換させることができる。
【0004】
源信号に変更を加えるために多様な装置および/またはモダリティを使用できる。これには生成されつつある源信号に一部の補正を実行できるドライバ/ソフトウェアを備えたコンピュータ、ビデオウォールコントローラ、ワープボックス、スケーリングボックス、EDIDボックス、ビデオウォールコントローラおよび/またはディスプレイユニット(例えばプロジェクタ)自体を含むが、これらに限られない。想定された装置のいずれも最終的に見られた画像の外観を変更するように-望ましくはより良好な全体的外観および(マルチディスプレイユニットが使用される場合は)ブレンドされた画像全体の一貫性を提供するように適合できる。しかしながら、そのような装置の使用および源信号に対するその他の信号はビデオ同期化の損失および/またはシステム速度/性能の低下のリスクを引き起こす。
【0005】
システムが変更される最も一般的な時間は校正中である。システムが手動的、半手動的または自動的に校正されようと、設定は典型的に1回以上変更される。
【0006】
ときどきピクセルオーバーラップ(例えばプロジェクタに対して)またはベゼル補正(フラットパネルに対して)を変更すると再同期化の原因となる。ときどきワープを変更し、および/またはブレンドを変更すると、再同期化の原因となることがある。それゆえディスプレイユニットを再同期化させないか、または再同期化を可能な限り少なくしてシステムを変更できるようにすることが望ましい。
【0007】
他の不利なシナリオは、あるアプリケーション(例えば自動または手動校正プログラム)がオーバーラップなどのパラメータのリセットを望むが、このパラメータを設定するためのアクセスを欠いているような場合である。そのような場合にシステムはうまく設定されていないパラメータで動作を続け、画像品質に否定的に影響することがある。従ってオーバーラップのパラメータを一度別の方法によって設定し、同パラメータをリセットする必要をなくする能力が非常に望ましい。
【0008】
加えて、システムにおけるディスプレイユニットの入力解像度を、表示された画像のアスペクト比に本質的に合致するように設定することがしばしば望ましい。これは正確な解像度を達成する努力において再同期化を伴うことがあり、再びそのような状態に対してあらゆるリスクと不利を招く。
従って、特にディスプレイシステムのルーチン動作中に再同期化を回避すること、およびより一般的には校正プロセスの速度を落とし、システム外観および/または性能を1以上の微妙な方法(例えば各ユニットにわずかに異なるタイミングを与えるなど)で変える可能性のあるパラメータの変更を回避する配置構成を提供することが非常に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/246781号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例示的にマルチユニットディスプレイシステムで使用するための、校正中に概してディスプレイシステムのシステム入力解像度/コンフィギュレーションを切り替える必要のない、校正システムを提供することによって先行技術の難点を克服する。これは再同期化ステップを実行するのを避けるために役立つ。そのようなものとして、このシステムおよび方法は、速度を増して不具合が発生する可能性を減らすことを可能にする。このシステムおよび方法は、結果としてディスプレイシステムの出力画像に影響しうる(即ち否定的に影響しうる)ディスプレイシステム設定の変更を避けるために、必要最小限の変更を用いる配置構成を提供することによりディスプレイシステムを補正する。例示的な実施形態において、このシステムおよび方法は、入力解像度に対する変更を伴わずにディスプレイユニットのシステムの校正を可能にすることができ、この解像度は特に要求されない限りは変更に抵抗するというやり方で維持される。さらに、このシステムおよび方法は、システム全体に対して集合体における離散的な個別ディスプレイユニットの入力解像度の合計と異なる解像度を可能にする。
【0011】
例示的な実施形態において、1台以上のディスプレイユニットの集合体で、ディスプレイユニットの総解像度と異なるシステム入力解像度を用いて校正を実施するためのシステムおよび方法は、(a)プロセスまたはプロセッサを用いて入力ビデオ信号の解像度の変更を伴わずに(変更なしで)システムを校正するための入力ビデオ信号を変更して、入力ビデオ信号の現在の入力解像度を維持すること;(b)校正中に、複数の設定(例えばワープ、ブレンド、OMTEパラメータまたはその他の解像度を変えないもしくは再同期化のリスクのない可変ファクタ)の少なくとも1つのプロセスまたはプロセッサによる変更を用いて現在の入力解像度の維持を少なくとも部分的に補償すること;および(c)ステップ(b)で集めたデータを用いてプロセスまたはプロセッサにより新しいシステム補正を計算し、ステップ(b)でシステムに導入されたアーチファクトを補償することを含む。ディスプレイユニットはフラットパネルディスプレイ(LCDおよび/またはLED技術などに基づく)、背面投影型ディスプレイ、フロントプロジェクタ、ラスタスキャンディスプレイ、または同種のものであることができる。例示的に、ワープを使用してシステム全体で画像ピクセルをスケーリングし、および/またはワープの使用時に校正ピクセルがディスプレイユニットの各々に送られる。システム内のディスプレイユニットの各々は、ブレンドの使用時に、および/または投影光の前に置かれた、またはプロジェクタの部分である電気的または機械的シャッタを使用してブランクアウトできる。例示的に、ディスプレイユニットの少なくとも1つの画像は、校正中にフリーズされうる。また、コントロールポイントの位置をシステムの入力ビデオ信号に付加することができる。例示的に、上記の設定がワープを含むときは、定期的に使用されるワープ(即ちディスプレイの「ワープ」)の値は「設定された」状態で維持され、それによりワープの状態が変更される回数が最小にされる。上記の設定が色補正(またはブレンド)を含むときは、定期的に使用される色補正の値は「設定された」状態で維持され、それにより色の状態が変更される回数が最小にされる。
【0012】
ここで明確にしておくと、上記のシステムおよび方法が望ましいのは、システムの入力解像度を表示された画像のアスペクト比に合致するように設定できる点である。このシステムおよび方法は、オーバーラップをオフにして校正し、次にオーバーラップをオンにし、それにより再同期化の効果を招く必要性を回避する。あるいはシステムが校正され、次にオーバーラップをオフにして作動される-その結果伸長/圧縮アーチファクトが生じる-方策が回避される。
【0013】
以下、添付の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 ディスプレイに対して最適化されるように入力システム解像度が変更されたスクリーン上で台形歪み補正された1台のプロジェクタのブロック図である。
【0015】
【図2】 ディスプレイに対して最適化されるように入力システム解像度が変更されたスクリーン上で台形歪み補正された2台のプロジェクタのブロック図である。
【0016】
【図3】 システムをセットアップし、システムの入力解像度を変更せずに校正することを説明したフローチャートである。
【0017】
【図4】 システムへの入力解像度の変更を回避するためにワープを用いて校正することを説明したフローチャートである。
【0018】
【図5】 図3におけるシステムセットアップの動作を示すシステムの系統図である。
【0019】
【図6】 システムへの入力解像度の変更を回避するためにワープを用いて校正し、プロジェクタにおいてブランク方法を使用する1方法を説明するフローチャートである。
【0020】
【図7】 システムへの入力解像度の変更を回避するためにワープを用いて校正し、ワープを可能な限り少なく変更する1方法を説明するフローチャートである。
【0021】
【図8】 ピクセルパイプライン内でビデオにコントロールポイントを付加することを説明するブロック図である。
【0022】
【図9】 システム入力解像度がディスプレイ用に変更される矩形フィル領域を生成するために、1台のフラットパネルディスプレイを部分的にブロックするシステムを説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および図2はそれぞれ1台および2台の投写型ディスプレイであり、以下に例示的な実施形態を説明するために、より具体的にはシステムの所望の入力解像度のコンセプトを示すために、例として設けられている。
【0024】
図1は、スクリーンのアウトライン100を越えて投写するプロジェクタのアウトライン101を示す。プロジェクタの一部の区画は実際にスクリーンに達しないため、実際にスクリーン上にあるピクセルの数はプロジェクタのフル解像度より少ない。プロジェクタ解像度が1024×768であれば、実際にスクリーンに達するのはおそらく約950×700である。従って、ディスプレイに対するシステム全体の解像度は1024×768よりも950×700に近いであろう。
【0025】
システムで使用される入力解像度は幾つかのプロパティを有することが望ましい。1つの重要なプロパティはしばしば「正方形」ピクセルと呼ばれる。システム上に示されるべきビデオが高さ幅比4×3を定義する場合は、典型的には物理的スクリーンに対しても4×3比を定義することが望ましい。スクリーンがこの比を定義しない場合は、入力ビデオは垂直方向か水平方向のいずれかに引き伸ばされる。スクリーンが入力ビデオと(ほぼ)同じ高さ幅比を定義する場合、オリジナルビデオで正方形のオブジェクトはスクリーンに正方形で現れる。
【0026】
第2の重要なプロパティは、システムの入力解像度をシステムの変調転送機能に合致させる試みである。入力解像度がシステムにとって低すぎると、システムはディスプレイで利用可能なピクセルを有効に利用しない。この場合、ディスプレイはディスプレイが示すことのできる最終画像にすべてのディテールを示さない。逆に、入力解像度がシステムにとって高すぎると、入力ビデオの精細なディテールは最終画像では見えないであろう。それゆえほぼ正確な解像度およびサイズのピクセルを生成して投写することが望ましい。
【0027】
第3の重要なプロパティはしばしば入力ビデオのアスペクト比である。しばしば特定の高さ幅比が所望される。
【0028】
典型的に、これらのプロパティおよびその他のプロパティは互いに妥協し合う結果となる。ユーザは一般に各プロパティをどのように設定するか、およびディスプレイシステムによって各プロパティにどれ位の重みが与えられるかの選択を迫られる。
【0029】
模範的スクリーンのアウトライン100のケースでは、スクリーン100の高さ幅比が約1.2であれば、システムに対する入力解像度は840×700が望ましいであろう。この入力解像度は実際の比1.2を提供して概ね正方形ピクセルのプロパティを満たす。この入力解像度は垂直方向では700ピクセルすべてを利用し、水平方向では950ピクセルを一般にできるだけ多く利用して、なおも概ね正方形ピクセルを生み出す。代替技術は入力解像度が明確な高さ幅比を有することを保証するものである。この場合、スクリーン上で素の比を達成するために利用可能なスクリーン面積の全部を使用せずに、異なる入力解像度を用いることもあろう。
【0030】
図2は、別の模範的スクリーンのアウトライン200と、2台のプロジェクタ201および203の重なったアウトラインを示す。この場合、プロジェクタ201と203はスクリーン上でオーバーラップ領域205において重なっている。プロジェクタはまたスクリーンの縁を越え出ている。
【0031】
システムの効果的な解像度は、大体スクリーンに到達するプロジェクタの総解像度からオーバーラップ領域を差し引いたものに等しい。システムの所望の入力解像度は、図1に示すように、正方形ピクセルおよびシステム解像度、場合により所望の入力信号の比またはその他の要因に対して最適化して計算できる。
【0032】
図3は、図1または図2において例示的な実施形態に従いシステムを校正するために使用されるブロック図である。ステップ310で、システムの所望の入力解像度が選択される。これはシステムによって与えられる入力ビデオの所望のプロパティを最適化することによって選択される。限定する趣旨ではなく、このステップ(310)は多種多様な方法(即ちプロセス、プロセッサおよび/または手順)により実行できる。ある例示的な方法は、システムの推定された変調転送機能を評価するためのカメラを用いて入力解像度を自動的に評価することを含む。代替的に最適化の計算は手動方法で実行できる。計算はコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアパッケージなどでシステムをモデリングすることによって実施できる。または、ユーザが(表示特性を動作させるコンピュータ・グラフィカルユーザインターフェース(GUI)ディスプレイ(図示しないが当技術分野で公知である)上で)スライダを動かして、どの表示/投写された画像が最良の特性を表すか主観的に決定することによって実施できる。
【0033】
特に、入力解像度が決定されおよび/または知られると、その後の校正はシステムの入力解像度の変更(即ち変化、変動など)なしで(伴わずに)実行される(ステップ320)。「校正」は当技術分野で公知のプロセスである。自動校正はライェフ・J・スラティ他により公開された米国特許第6,456,339号、「超解像ディスプレイ」に記載されており、参照によりその教示内容を有益な背景情報として本明細書に編入する。これらの教示では光センサが、プロジェクタから出る光のパターンを検出するために使用され、またはシステム内の入力ビデオからスクリーンへのマッピングおよび各ディスプレイユニットのための入力ビデオに対する補正(例えばワープ、色補正、強度補正)を検出してシステム全体の外観をより望ましいものにする(例えば幾何学的に正確、スクリーンと良く一致、ほぼ一様の強度と色など)ために使用される。補正を検出するために手動および半手動アルゴリズムを含む多くの技術が考えられるが、これらは米国特許出願番号13/296,864「手動および半手動技術を用いてディスプレイシステムを校正するためのシステムおよび方法」に記載されており、その教示内容を本明細書に含める。この出願ではプロジェクタ間の一致が検出されるが、これはモデリングされたデータを加えて、入力ビデオに対する補正を検出してシステム全体の外観をより望ましいものにするために使用できる。
【0034】
ステップ320は、多様な方法および/または装置を用いて実行できる。実行ステップ320に対する実施形態は図4に記載されている。ステップ420では、ワープを使用して入力ピクセルをディスプレイ全体に引き伸ばす。例として図1において、システムの入力解像度が840×700であるとしたら、ピクセルはワープに対する設定値に基づいて1024×768にスケーリングおよびリサンプリングできる。図2に示す例の場合、手順はシステムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばすことができよう。ステップ422ではカメラを用いて自動校正を実行でき、システムを自動的に校正するために関連する校正パターンを採用できよう。
【0035】
ステップ330では、ステップ320から得た情報を用いて新しいシステムパラメータが計算される。これは図4に示す実施形態ではステップ424で実行される。システムに対する新しいワープは、校正中に検出されたワープを用いて、校正の間オンであった(即ちワープ/ワープ値が動作可能で使用されるように「設定」されていた)ワープと最終画像におけるワープの効果を考慮して計算される。
【0036】
図5は、図3のブロック図を実現するシステム図を示す。システム入力510はビデオパイプラインまたはピクセルパイプライン520に供給される。この入力はこれにより表示するための1台以上のディスプレイユニット(1~N)530に対する入力となる。
【0037】
限定する趣旨ではなく、種々の実施形態においてシステム入力510とビデオパイプラインまたはピクセルパイプライン520との間でビデオ信号を転送するために、多数のケーブルを使用できる。同様にパイプライン520とディスプレイユニット(1~N)530との間でビデオ信号を転送するために多数のケーブルを使用できる。この可能な配置構成は図5に、多数のケーブル/伝送路の各々を多数のそれぞれのユニットと関連付ける多数の矢印によって示されている。しかしながら一般性を失うことなく、ビデオ信号は1本のケーブルで搬送でき、または1本のケーブルが1台の装置と接続され、次にこれが繰り返されて次の装置と接続されるデイジーチェーンシステムのケーブルを通して搬送できる。
【0038】
破線のボックス522は、520の境界は使用している機器物理的境界と一致しない可能性があることを示している。即ち、ビデオ信号に影響する装置は、ビデオ信号自体を生成するためのシステムと1台以上のディスプレイユニットを含むことができる。例えば別個のワープボックス内ではなく、プロジェクタ内にワープおよびブレンドプロセッサチップ(図示しないが当技術分野で公知である)があってよい。また、510内にはビデオ入力信号を生成するコンピュータがあってよいが、このコンピュータのためのドライバ(図示しないが当技術分野で公知である)は、ワープ、ブレンドおよびオーバーラップを可能にすることができ、そのため補正はビデオ信号を生成する同じ装置内で効果的に実行される。
【0039】
ボックス540は校正エンジンを示す。校正エンジンはソフトウェア、または電子処理装置/機器またはそれらを組み合わせたものであることができる。エンジンは校正しようとするシステムに入力ビデオを送り込む。限定する趣旨ではなく、これは手動校正または自動校正または半手動校正であってよい。校正を実行するために、校正エンジンはまた520のパラメータ、ビデオ信号に影響する1台以上の装置、およびビデオ信号がディスプレイスクリーン上に現れる仕方を変更する。これにより校正が実行され、図3に記載されているように新しいパラメータが計算される。
【0040】
図5に記載されているピクセルパイプライン520は、非常に多くの具体例がある。1例はオーバーラップができるコンピュータ上のビデオドライバであり、ワープおよびブレンドを実行できるボックスが出力側に配置されている。第2の例は、従来技術に従う拡張ディスプレイ認識データ(EDID)通信を用いてビデオ生成システムに所望の入力解像度を伝えるボックスであり、次に信号を多様な出力に分割してワープおよびブレンドプロセッサチップを内蔵したプロジェクタに送る。第3の例は市販されているグラフィックカードであり、当技術分野で公知のやり方で2つの出力垂直方向にオーバーラップを実行できる。各出力は水平方向にオーバーラップを実行できる公知のプロセッサ「ボックス」に供給され、次にその出力は公知のワープボックスに供給され、それからプロジェクタに供給される。第4の例は、ビデオウォールコントローラに伝送される2つの出力を有するコンピュータである。ビデオウォールコントローラはコンピュータに命令してシステムの入力解像度の半分を各々の入力にEDIDを用いて遅らせる。続いてシステムはワープボックス、それからプロジェクタへ送る。これらの他にも例示的なパイプライン520を実現するために使用できる多くのタイプの装置がある。限定する趣旨ではなく、これらはワープボックス、ブレンドボックス、キーストーン補正ボックス、色補正ボックス、スケーリングボックスおよびビデオウォールコントローラを含む。さらに、公知の技術に従いこれらと関連して使用できる多くのパラメータがある。
【0041】
図6および図7は、図4に関連して説明したのとは異なるプロセス/手順方法を採用する他の2通りの校正方法を示す。図6では、プロジェクタのブランクを使用する方法が提供される。この場合、現在のワープはステップ620で無効にされる。目標は典型的に可能な限りプロジェクタのネイティブ解像度に近いピクセルを試して示し、ワープによって引き起こされるアーチファクトがない(即ちアーチファクトが実質的または完全にない)ようにすることであり、これはさらにそれ以降のステップでの処理を必要としよう。ピクセルはスクリーン上のオーバーラップ領域で重複される。この重複範囲は図2の例では領域205であろう。そのようなシステムでは手動的または自動的に校正するのは困難であろう。なぜならこの領域では観察者とカメラの視野はいずれもほぼ同一のオーバーラップパターンを持つからである。この問題を解決するための1つの例示的な方法は、ステップ624に設けられているようにプロジェクタの1つをブランクすることである。ブランクはすべてのピクセルの強度を0に設定するためにブレンドマップを使用すること、プロジェクタ内のシャッタを使用すること、またはブランク画像を保存するためにプロジェクタ内蔵機能を使用することを含めて、多くの方法またはプロセスによって達成できる。シャッタは公知の技術を用いて電子的または機械的に実現できる。代替方法はプロジェクタの1つによって表示される画像をフリーズするものである。市販されている開発中の一部のプロジェクタは、現在の画像をフリーズする能力を備えていることが指摘される。これは特に一方のプロジェクタによって提供されるコントロールポイントを手動で校正して、他方のプロジェクタによって提供されるコントロールポイントの上部に位置決めする場合に非常に有用でありうる。このような方策は本発明の譲受け人に譲渡されたサムソン・ティモナー他による合衆国特許出願番号13/296,864「手動および半手動技術を用いてディスプレイシステムを校正するためのシステムおよび方法」で開示されており、参照によりその教示内容を有益な背景情報として本明細書に編入する。校正に必要な情報が集められたら、ワープ/ワープ値、ブレンドおよび色補正、ならびにその他任意の適当な補正に対する新しい設定がロジェクタのディスプレイドライバおよび関連するソフトウェア/ハードウェアを介してシステムに適用できる(ステップ630)。
【0042】
図7は、ワープの変更に時間がかかるか、または再同期化を引き起こす可能性がある場合の状況に対処するように適合された実施形態に従う図6の微妙な修正を示す。この場合は、以前の校正手順からのワープ(現在のワープ)はそのまま(即ち「設定」したまま)にしておき、新しい校正手順が試みられる。上述した図6のブランクおよび/またはフリーズ方法/プロセスは、新しい校正手順中に採用できる。新しい校正手順では、システムおよび方法は例示的に既存/現在のワープを補償する。特に、プロジェクタ上の出力ビデオの全部が満たされない場合は、ワープから可視範囲を越えて外挿することが望ましいことがある。いずれか一方のプロジェクタに物理的な動きが生じなければ、このタイプの外挿は典型的には必要ない。プロジェクタの小さい動きに対して外挿は正確に実行できる。
【0043】
種々の実施形態で(現在値/ワープ値が変更されない図7の実施形態と同様に)他の校正パラメータ/設定も変更されないように設定できることが想定されていることに留意されたい。変更されないでその「現在の」設定状態に留まることができる例示的な値の1つは色校正である。色校正はしばしばある校正手順と次の校正手順がほぼ同一なので、それをそのままにしておくことは無効にする時間を節約でき、また潜在的にシステムがスタートからほぼ完璧に校正されているという価値を加えることができる。
【0044】
図8は、校正手順/プロセスのために入力ビデオにコントロールポイントを付加するための系統図である。ある状況ではコントロールポイントは入力ビデオに付加できるが、別の状況ではこのプロセスは問題でありうる。それゆえ多くの状況において、校正中入力ビデオ信号にマーカを付加でき、そのため校正している間表示画像を動かせると有用である。自動校正と手動校正において、目標はしばしばディスプレイユニット上の既知の位置にマーカを動かすことである。限定する趣旨ではなく、適当なアルゴリズム/プロセスを援用して、隣接するプロジェクタがオーバーラップする位置を検出することも有用でありうる。図8では、プロセスはピクセルパイプライン内の装置との通信で始まり、より多くのコントロールポイント位置の1つを特定する(810)。図5に示されているように、この装置はパイプライン520、またはより一般的にはボックス522の一部である。ステップ820では、ピクセルパイプライン内の装置がビデオ信号および結果として生じる表示画像に模範的な「x」またはその他の基準を付加することによってスクリーン上にコントロールポイントを示す。ステップ830では、ユーザまたは他の機構が基準を正しい位置に着地するまで動かす。
【0045】
図9は例示的にフラットパネルディスプレイで図3の方法を用いる例を説明する。この場合は、矩形の切り抜きを付けたマスク903によってブロックされたフラットパネルディスプレイユニット901がある。上記の実施形態と同様に、システム入力解像度はディスプレイ解像度と同じではない。図3に記載されているように、ユーザに関心のあるディスプレイのプロパティを最適化することによってディスプレイの所望の入力解像度を見いだす。入力解像度がシステムに送られたら、校正を実行するための実施形態に図4の方法を採用できる。例えば、システムおよび方法はパネル全体にわたり入力解像度をワープでき、ディスプレイユニット内部で色と強度について校正でき、さらにワープを用いて矩形を回転および変換できる。次にシステムは校正中に導入されたワープを考慮した新しいワープを生み出すことができる。
【0046】
本明細書のための広範な教示に従い、追加の実施形態が提供されうることが明確に想定されている。上述した実施形態は、そこで論じられた種々の実施ディテールに適用するために適合される。しかしながら本明細書の教示に従い他の実施形態(例えば校正中変更されないパラメータをさらに許す実施形態)が、適当なソフトウェアとハードウェアを用いて提供されうる。
【0047】
動作可能なシステムの別の例において、コンピュータ(例えばPCまたはサーバ)は、オーバーラップ、ワープ、ブレンド、および幾つかの例では色の変更を行う能力のあるドライバが備えられる。校正プログラム(自動または手動)はコンピュータ上で実行できる。校正中、オーバーラップは変更されない(即ち現在の設定状態から変更されないままである)。それに代えて入力ビデオ信号をプロジェクタの集合体全体に引き伸ばすためにワープが使用される。このタイプのワープは例示的に各々の位置にユニークなピクセルが配置されることを可能にする。しかしながら、1台のプロジェクタによって提供されるピクセルは表示面/スクリーン全体を満たすには(ピクセルの通常/本来の高さと幅に基づき)十分ではないので、個々のピクセルはそれぞれ引き伸ばされる(典型的には「ワイドな」ディスプレイの例で幅方向にプロジェクタの表示範囲全体に引き伸ばされる。自動校正では、利用可能なソフトウェアによりコンピュータ上でパターンが生成され、観察するカメラまたはその他の光学センサに対して表示されて捕捉され、次に捕捉されたディスプレイの画像を用いてソフトウェアにより設定を操作する。手動校正では、ユーザによってコントロールポイントがスクリーン上を動かされる。校正画像が入力ビデオに伝送され、校正が完了したら、校正中に実行されたピクセ引き伸ばしを補償することによってワープが計算される。
【0048】
上記の例示的なプロセスは、入力ビデオ信号からピクセルをワープできるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む「ボックス」へのビデオ信号入力を有するコンピュータを備えたシステムでも実行できる。このワープされた信号は次にボックスによってプロジェクタに出力される。この場合、ボックスは上述したコンピュータドライバと同じやり方でワープを実行する。
【0049】
本明細書では他のワーププロセスおよび技術も想定されている。1実施形態において第1の出力(出力1)に対するビデオは第2の出力(出力2)にワープされ、逆の場合も同じである。この技術もプロジェクタオーバーラップするピクセルを表示することを可能にするが、標準オーバーラップとは異なり、各プロジェクタからのそれぞれの領域におけるピクセルは同じではない。さらに、文献から公知の方法および技術(例えばアディティ・マジャンダーによって説明されたもの)を用いて、観察するカメラによって識別されうるパターンを提供することができる。このやり方では校正は生成されたワープされた画像を用いて進めることができる。
【0050】
所望の効果を達成するために例示的な実施形態において生成できる他のワープは、表示画像を左から右へ入れ替えるワープである。しかしまた別の例示的なワープは、プロジェクタディスプレイの全体を単一のピクセルにワープするもので、これにより1台のプロジェクタを効果的にブランクする。
【0051】
別の具体例において、それぞれワーピングプロセッサチップを含んだ1台以上のプロジェクタと相互接続したディスプレイポートルータが提供されうる。ディスプレイポートルータにおいて、ビデオ信号は最初にルータに送り込まれ、個々の出力は入ってくるビデオの特定部分に対応している。この配置構成は機能的にはビデオウォールコントローラと同様である。このような実施形態において特定のプロジェクタにおけるワーピングプロセッサチップは、ルータから受け取った信号をブランクするワープを提供する。代替的に、システムおよび方法は、(ルータに基づき)プロジェクタが対応する入力ビデオディスプレイの範囲を変更するように働くことができる。例示的に、これはどのピクセルがディスプレイ上のどの位置に割り当てられるかをシステムが交換することを可能にする。特に、この技術はビデオウォールコントローラの機能と同様である。
【0052】
OMTEパラメータは、具体例においてプロジェクタを個々にアドレス指定するために同様に有用である。プロジェクタの表示色は変えることができるので、ユーザおよび/またはカメラは異なるプロジェクタのそれぞれのディスプレイを容易に識別できる。例を挙げると、プロジェクタを効果的に黒化(blacken)するために、プロジェクタ上のコントラスト設定(「ノブ」)を最小にできる(即ち端から端まで変化させる)。プロジェクタを黒化するために、プロジェクタの光路に配置された機械的シャッタが採用されてもよい。プロジェクタディスプレイを効果的にブラックアウトするために、プロジェクタワーク内のブレンドマップも使用できる。他の例では、プロジェクタランプに対する電圧を低下させてランプに著しく減少した電力を供給することにより、ディスプレイに対する黒化効果を引き起こすことができる。プロジェクタのレンズ設定(lendsetting)または物理的焦点距離を変えることにより1台以上のプロジェクタをデフォーカスすることも、集合体において1台以上のプロジェクタが他のプロジェクタから区別されて表示することを可能にする。また、あるプロジェクタは黒画像など内部に保存された特定のタイプの画像を表示する能力を提供し、能力を用いてプロジェクタ上のパラメータを設定することは例示的な校正手順において有用でありうる。
【0053】
要約すれば、プロジェクタをブラックアウトすることはあるプロジェクタを別のプロジェクタから区別するための非常に簡便な技術であると考えられるが、それは採用できる唯一の技術ではない。プロジェクタの色によって区別することは、ディスプレイの強度によって区別することと同様に効果的な技術である。プロジェクタをデフォーカスすることも、カメラ(または校正プロセスにおけるその他の手段)がプロジェクタを区別するために十分であることが分かる。
【0054】
上述したように、プロジェクタ入力をフリーズすることも、例示的な校正プロセス中に採用できる。具体例において、これはこの能力を有するシステムに「フリーズ」命令を送ることを必要とし、それによりシステムに黒画像を生成および表示させ、そしてプロジェクタがそれ以降現在のピクセルを維持する(即ち「黒」画像をフリーズする)ことを可能にする。代替的に、最初に手動校正または半手動校正に対するマーカを生成および表示し、次に他のいずれのプロジェクタにも影響なく(を伴わずに)そのマーカをディスプレイ上に固定された状態で保持するシステムによるフリーズ機能を採用できる。
【0055】
システムはまた校正中にブレンドおよび/または色マップを効果的に採用できる。具体例において、システムは関連するディスプレイドライバでブレンドマップを0に設定することによりプロジェクタ上に一時的に黒を表示できる。
【0056】
本明細書で想定されている別の例示的な実施形態は、ビデオディスプレイスクリーンを駆動するディスプレイ信号出力を有する単一のコンピュータを含み、これはまた主要な「ウォール」とは異なる画像セットを有する別個のコントロールモニタも駆動する。例えば、コントロールモニタ上の画像はディスプレイスクリーンプロジェクタのパラメータおよび設定に関係でき、またはディスプレイスクリーンによってコンテンツが提供されるのではなく、ユーザがディスプレイスクリーンのコンテンツ(例えばレポートまたはプレゼンテーション)を操作するためにアクセスできる。このタイプのシステムは上で想定された課題の多くに対応できる。ディスプレイパラメータをコントロールモニタ上で設定することも望ましいと言える。例を挙げると、上述した特定の機能、例えば校正中のコントロールモニタのブランクアウトすること、またはピクセルをコントロールモニタからワープし、およびウォールディスプレイスクリーンに向けてワープすることなどである。
【0057】
以上が、本発明の例示的な実施形態の詳細な説明である。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、種々の改変および追加を行うことができる。上述した種々の実施形態の各々の特徴は、上述した他の実施形態の特徴と組み合わされてよく、必要に応じて関連する新しい実施形態において多様な特徴の組み合わせを提供することができる。さらに、上で本発明の装置および方法の多数の別個の実施形態を説明したが、本明細書中で説明されたものは本発明の原理の応用を例示したものに過ぎない。例えば、本明細書で用いる「プロセス」および/または「プロセッサ」という言葉は広く、電子ハードウェアおよび/またはソフトウェアに基づく多様な機能およびコンポーネントを含むものと解されるべきである。さらに、上で表現されたプロセスまたはプロセッサは他のプロセスおよび/またはプロセッサと組み合わされ、または種々のサブプロセスもしくはサブプロセッサに分割され得る。そのようなサブプロセスおよび/またはサブプロセッサは記載された実施形態に従い種々に組み合わせることができる。同様に、本明細書中に記載されたいずれの機能、プロセスおよび/またはプロセッサも、電子ハードウェア、プログラム命令の非一時的コンピュータ可読媒体からなるソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組合せを用いて実現できることが明確に想定されている。また、例示的な実施形態の原理が典型的に複数の離散的ユニットを含むディスプレイの集合体で示されているが、本明細書に記載された原理は単一のユニットでも使用できることが明確に想定されており、従って「集合体」という言葉は広く、本明細書に記載された校正のためのシステムおよび方法に従って扱われるディスプレイの異なる領域を有することができる(しかし必ずしも必要ない)単一のディスプレイユニットを含むものと解されるべきである。従って、この説明は例示の方法によるものであり、本発明の範囲を別途制限することを意味するものではない。」
3 図面の記載
本願の図面の記載は、次のとおりである。
「【図1】
[図:0001387706000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001387706000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001387706000003.jpg]
」
「【図4】
[図:0001387706000004.jpg]
」
「【図5】
[図:0001387706000005.jpg]
」
「【図6】
[図:0001387706000006.jpg]
」
「【図7】
[図:0001387706000007.jpg]
」
「【図8】
[図:0001387706000008.jpg]
」
「【図9】
[図:0001387706000009.jpg]
」
第4 当審の判断
1 当審の判断の概要について
当審において通知した拒絶理由である、理由1(明確性要件)、理由2(実施可能要件)及び理由3(委任省令要件)については、以下の2及び3において詳述するとおり、意見書、手続補正書及び回答書の内容を検討しても、解消したとはいえない。
2 明確性要件について
(1) 請求項の記載
補正後の請求項1には次の記載がある。
補正後の請求項5についても同様の記載がある
(下線は当審において付与した。以下同様である。)
「 b.選択された前記所望の入力解像度を変えずに下記b1及びb2により前記複数のディスプレイユニットを校正するステップであって、
前記b1は、投影された前記1以上の画像からオーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づいて入力ピクセルをスケーリング及びリサンプリングすることにより、前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすことであり、
前記b2は、カメラを用いて前記1台以上のディスプレイユニットを校正することである、
前記ステップと;」
(2) 不明瞭な記載箇所
上記記載は、次のア~ウにおいて指摘するとおり、その意味を明瞭に把握することができない。
ア 「ワープ」の意味が不明である。すなわち、「ワープ」とは、スクリーンに投影したときにその投影像がスクリーン上で歪んでしまうこと(歪んで見えること)を指すのか、投影する前に、プロジェクタに供給される画像信号に対して、予め歪ませておく信号処理を行うことを指すのか、それとも、これら以外のことを指すのか不明である。
この点に関し、本願の明細書及び図面には、「ワープ」という語句が多くの箇所で用いられているものの、「ワープ」とは何かについて明示的に定義した記載はなく、明細書全体を通してみても、「ワープ」の意味を明瞭に把握することができない。
イ 「引き伸ばす」の意味が不明である。すなわち、「引き伸ばす」とは、スクリーンに投影したときにその投影像がより大きく投影されることを指すのか、画像データを補完するなどして、ドット数を増やすことを指すのか、それとも、これら以外のことを指すのか不明である。
この点に関し、本願の明細書及び図面には、「引き伸ばす」という語句が多くの箇所で用いられているものの、「引き伸ばす」とは何かについて明示的に定義した記載はなく、明細書全体を通してみても、「引き伸ばす」の意味を明瞭に把握することができない。
ウ(ア) 「前記所望の入力解像度を変えずに」ということと、「前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすこと」の関係が不明である。
(イ) この点に関し、明細書の段落【0034】には、「実行ステップ320に対する実施形態は図4に記載されている。ステップ420では、ワープを使用して入力ピクセルをディスプレイ全体に引き伸ばす。例として図1において、システムの入力解像度が840×700であるとしたら、ピクセルはワープに対する設定値に基づいて1024×768にスケーリングおよびリサンプリングできる。図2に示す例の場合、手順はシステムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばすことができよう。」と記載されている。
(ウ) しかしながら、上記ア及びイにおいて指摘したとおり、「ワープ」及び「引き伸ばす」の意味が不明であるから、そのような意味不明な語句を含む【0034】の記載の内容を明瞭に把握することはできない。
(エ) そうすると、【0034】の記載を参酌しても、「前記所望の入力解像度を変えずに」ということと、「前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすこと」の関係は、不明のままである。
(オ) 「ワープ」及び「引き伸ばす」の意味が不明であることはとりあえず措くとして、【0034】の記載に沿った検討をしてみても、「システムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばす」のであるから、「引き伸ば」された「入力解像度」は、「引き伸ばす」前のものとは変わっているのではないかと思われる。
(カ) 結局のところ、「入力解像度」を「引き伸ばす」こと(「入力ピクセル」を「ワープ」すること)と、「入力解像度」を「変える」ことが、どのように相違するのか本願の明細書及び図面の記載を参酌しても明確ではなく、したがって、請求項1において、「前記所望の入力解像度を変えずに」ということと、「前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすこと」の関係が不明なものとなる。
(3) 請求人の主張
ア 回答書の内容
上記(2)の指摘事項に関し、請求人は、回答書において、個々のディスプレイユニットの「入力解像度」が「1920×1080ピクセル」であり、2台のディスプレイユニットを組み合わせて、600ピクセルのオーバーラップ領域を設定し、2台のディスプレイユニットからなる「3240×1080のスクリーン」を例にして、次のように回答している。
「(5)「ワープ」について
ワープについては上記のスケーリング及びリサンプリングと同義反復的ではありますが、上述の引き伸ばしにおいて校正パターンの各部分を各ディスプレイユニットに合わせて拡大することを指します。」
「(4)「スケーリング及びリサンプリング」について
繰り返し上記の例を用いて説明します。上記の2台のディスプレイユニットからなる「3240×1080のスクリーン」を校正しようとするとき、各ディスプレイユニットには「3240×1080のスクリーン」の半分である「1620×1080ピクセル」の校正パターン(請求項における「1以上の画像」)を表示します。ここで、各ディスプレイユニットの「入力解像度」は「1920×1080ピクセル」ですから、校正パターンを「1620×1080ピクセル」から「1920×1080ピクセル」へと引き伸ばします。この引き伸ばしにおいて校正パターンの各部分を各ディスプレイユニットに合わせて拡大することをスケーリング及びリサンプリングと称しています。」
「(6)「引き伸ばす」について
上記の例のように、校正パターンを「1620×1080ピクセル」から「1920×1080ピクセル」へと引き伸ばしますことを指しています。」
「(3)「所望の入力解像度を変えずに」について
上記の、「2台の1920×1080ピクセルのディスプレイユニットから3240×1080のスクリーンを得る」例を再び用いて説明します。「所望の入力解像度を変えずに」というのは、請求項の発明(校正を実施するための方法)の実施において、各ディスプレイユニットにおける「1920×1080ピクセル」の解像度を変えない、という意味です(本願明細書0033段落冒頭文)。」
「(9)「入力解像度を変えず」と「各々にわたって引き伸ばす」の関係について
上記の例で示したとおり、校正中に各ディスプレイユニットにおける「1920×1080ピクセル」の解像度を変えない(入力解像度を変えずに)、1以上の画像(校正パターン)を1620×1080ピクセルから1920×1080ピクセルに「引き伸ばし」ています。これによって、あたかも各ディスプレイユニットのネイティブ解像度で画像を送信しているかのように見せることができます。」
イ 回答書についての当審の判断
(ア) 「ワープ」、「引き伸ばす」の意味
a まず、「ワープ」とは何かという問いに対する回答について検討すると、「ワープ」とは「スケーリング及びリサンプリング」と同義であると回答している。
b そこで、「スケーリング及びリサンプリング」についての回答をみると、「スケーリング及びリサンプリング」とは、校正パターンを「1620×1080ピクセル」から「1920×1080ピクセル」へ引き伸ばすことにおいて、校正パターンの各部分を各ディスプレイユニットに合わせて拡大することを指すと回答している。
c また、「ワープ」とは「引き伸ばしにおいて校正パターンの各部分を各ディスプレイユニットに合わせて拡大すること」を指すとも回答している。
d そうすると、結局、「引き伸ばす」ことの意味がわからなければ、「ワープ」の意味がわからないことになるところ、「引き伸ばす」とは、校正パターンを「1620×1080ピクセル」から「1920×1080ピクセル」へと引き伸ばすことであると回答している(「1620×1080ピクセル」から「1920×1080ピクセル」へどのように変更するかについての具体的内容に関しては説明されていない。)から、この回答は循環論法に陥っており、「引き伸ばす」ことの定義を何ら述べていない。
e 以上のとおりであるから、請求人は、当審において審尋した「ワープ」の意味、「引き伸ばす」の意味について正面から回答しておらず、回答書の内容を検討しても、これらの語句の意味は不明なままである。
(イ)「入力解像度を変えず」と「各々にわたって引き伸ばす」の関係
a 請求人は、「所望の入力解像度を変えずに」というのは、各ディスプレイユニットにおける「1920×1080ピクセル」の解像度を変えないという意味であると回答している。
b また、「入力解像度を変えず」と「各々にわたって引き伸ばす」の関係については、1以上の画像(校正パターン)を1620×1080ピクセルから1920×1080ピクセルに「引き伸ばす」ことによって、校正中に各ディスプレイユニットにおける「1920×1080ピクセル」の解像度を変えない(入力解像度を変えない)ことであると回答している。
c 請求人の回答によれば、2台のディスプレイユニットを組み合わせて、600ピクセルのオーバーラップ領域を設定した「3240×1080のスクリーン」の半分(1620×1080ピクセル)を引き伸ばすのであって、入力解像度(1920×1080ピクセル)の半分(960×1080ピクセル)を引き伸ばすのではないことになる。
d しかしながら、明細書の段落【0034】には「図2に示す例の場合、手順はシステムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばすことができよう。」と記載されているから、引き伸ばす前のものは、入力解像度(1920×1080ピクセル)の半分(960×1080ピクセル)でなければならないところ、請求人の回答は、この記載と明らかに整合しない。
e したがって、請求人の回答を検討しても、「前記所望の入力解像度を変えずに」ということと、「前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすこと」の関係が不明であることに変わりはない。
(4) 小括
以上検討のとおりであるから、補正後の請求項1に係る発明は明確ではない。
補正後の請求項5についても同様の記載があるから、補正後の請求項5に係る発明も明確ではない。
3 実施可能要件及び委任省令要件について
前記2(2)ア及びイにおいて指摘したとおり、「ワープ」の意味及び「引き伸ばす」の意味が不明であるから、そのような意味不明な語句を含む明細書の段落【0034】の記載の内容を明瞭に把握することはできない。
また、前記2(2)ウにおいて指摘したとおり、「前記所望の入力解像度を変えずに」ということと、「前記入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすこと」の関係について、段落【0034】は明瞭に記載していない。
したがって、本願の発明の詳細な説明は、補正後の請求項1~6に係る発明を当業者が実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。
また、「入力ピクセルをワープして前記複数のディスプレイユニットの各々にわたって引き伸ばすこと」にどのような技術上の意義があるのか、段落【0034】の記載をみても明らかではなく、本願の発明の詳細な説明は、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載したものであるとはいえない。
第5 むすび
以上検討のとおりであるから、本願は、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載が同条4項1号及び特許法施行規則24条の2に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-000031