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特許無効審判

2019-800045

ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法

審判番号
2019-800045
法域
特許
審判種別
無効審判(無効の審決)
出願番号
特願2015-094477
登録番号
特許第6245215号(P6245215)
請求日
2019年07月05日
審決日
2020年06月22日
公報発行日
2020年11月27日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】有限会社 三宝金型製作所
  • 【請求人代理人】楠本 高義
  • 【請求人代理人】三雲 悟志
  • 【請求人代理人】中川 茂樹
  • 【請求人代理人】平松 拓郎
  • 【被請求人】株式会社 羽根
  • 【被請求人代理人】柳野 隆生
  • 【被請求人代理人】柳野 嘉秀
  • 【被請求人代理人】森岡 則夫
  • 【被請求人代理人】関口 久由
  • 【被請求人代理人】中川 正人
審判長/審判官
  • 審判長 須藤 康洋
  • 審判官 加藤 友也
  • 審判官 植前 充司
分類
P1113.113-YAA(B29C) / P1113.121-YAA(B29C) / P1113.161-YAA(B29C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条の2特許法123条1項2号特許法169条2項民事訴訟法61条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第134条の2第9項、特許法第134条の2第1項、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条の2、特許法第131条の2、特許法第134条の2第3項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第5項、特許法第2条第3項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条、特許法第169条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

上記当事者間の特許第6245215号発明「ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 特許第6245215号の特許請求の範囲及び明細書を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び明細書のとおり、訂正後の請求項[1-7]について訂正することを認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6245215号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし7に係る発明についての出願は、平成27年 5月 2日(国内優先権主張 平成26年 5月 7日)の出願であって、平成29年11月24日に特許権の設定登録がされたものである。 そして、その後の主な経緯は次のとおりである。 令和 1年 7月 5日受付:無効審判請求(請求人) 同年 8月 6日受付:手続補正書(請求人) 同年10月10日提出:審判事件答弁書(以下、「審判事件答弁書               (第1回)」という。) 及び訂正請求書(被請求人) 同年 同月31日提出:手続補正書(被請求人) 同年12月12日受付:審判事件弁駁書(請求人) 令和 2年 1月21日付け:審理事項通知書(特許庁審判長から請求人 及び被請求人双方に対して) 同年 2月14日受付:口頭審理陳述要領書(請求人) 同年 同月14日提出:口頭審理陳述要領書(被請求人) 同年 3月 2日  :第1回口頭審理及び特許法第131条の2               第2項(補正の許可)の決定 同年 同月26日提出:審判事件答弁書(以下、「審判事件答弁書               (第2回)」という。)(被請求人) 同年 5月22日付け:審理終結通知 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 訂正請求書において、被請求人が求めた訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 本件特許の請求項1に、 「コア型及びキャビティ型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型であって、 削り出し及び/又は鋳造により形成された立体形状の前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すための、前記金型自体に直接形成したスリット状の蒸気孔を有し、 前記スリット状の蒸気孔が、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより形成されたものであることを特徴とするビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。」 と記載されているのを、 「コア型及びキャビティ型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、 削り出し及び/又は鋳造により、前記一対の金型を立体形状に形成する工程と、 立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより直接形成する工程と、 を含むことを特徴とするビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 に訂正する。 (2) 訂正事項2 本件特許の請求項2に、 「前記スリット状の蒸気孔のうち、前記金型の取付けフランジ部に設けられたものが、外部に対して開放されている請求項1に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。」 と記載されているのを、 「前記スリット状の蒸気孔のうち、前記金型の取付けフランジ部に設けられたものが、外部に対して開放されている請求項1に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 に訂正する。 (3) 訂正事項3 本件特許の請求項3に、 「前記スリット状の蒸気孔が、少なくとも前記金型の曲面状部分に設けられている請求項1又は2に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。」 と記載されているのを、 「前記スリット状の蒸気孔が、少なくとも前記金型の曲面状部分に設けられている請求項1又は2に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 に訂正する。 (4) 訂正事項4 本件特許の請求項4に、 「前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の表面形状変化部分に沿って設けられている請求項1又は2に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。」 に記載されているのを、 「前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の表面形状変化部分に沿って設けられている請求項1又は2に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 に訂正する。 (5) 訂正事項5 本件特許の請求項5に、 「前記金型の側面に配置される前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の開閉方向に沿って設けられている請求項1記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。」 と記載されているのを、 「前記金型の側面に配置される前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の開閉方向に沿って設けられている請求項1記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 に訂正する。 (6) 訂正事項6 本件特許の請求項6に、 「前記スリット状の蒸気孔の幅が、0.1mm~0.7mmの範囲である請求項1~5の何れか1項に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。」 と記載されているのを、 「前記スリット状の蒸気孔の幅が、0.1mm~0.7mmの範囲である請求項1~5の何れか1項に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 に訂正する。 (7) 訂正事項7 本件特許の請求項7に、 「請求項1~6の何れか1項に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥することにより所要形状の発泡合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法。」 と記載されているのを、 「請求項1~6の何れか1項に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法により製造された前記金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥することにより所要形状の発泡合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法。」 に訂正する。 (8) 訂正事項8 本件特許明細書を以下のア~コのように訂正する。 ア 本件特許明細書の【発明の名称】に、 「ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法」 と記載されているのを 「ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法」 に訂正する。 イ 本件特許明細書の【0001】に、 「本発明は、断熱容器、包装材等に使用されるビーズ法発泡合成樹脂を成形するための金型、及びそれを用いて発泡合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法に関する。」 と記載されているのを、 「本発明は、断熱容器、包装材等に使用されるビーズ法発泡合成樹脂を成形するための金型の製造方法、及びそれを用いて発泡合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法に関する。」 に訂正する。 ウ 本件特許明細書の【0009】に 「そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、金型の製造コストの低減、金型の加熱冷却時間の短縮及び軽量化、成形品の表面性状の美麗化、並びに冷却・乾燥工程の時間短縮が可能なビーズ法発泡合成樹脂成形用金型を提供する点にある。」 と記載されているのを、 「そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、金型の製造コストの低減、金型の加熱冷却時間の短縮及び軽量化、成形品の表面性状の美麗化、並びに冷却・乾燥工程の時間短縮が可能なビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法を提供する点にある。」 に訂正する。 エ 本件特許明細書の【0011】に 「すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。 〔1〕コア型及びキャビティ型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型であって、 削り出し及び/又は鋳造により形成された立体形状の前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すための、前記金型自体に直接形成したスリット状の蒸気孔を有し、 前記スリット状の蒸気孔が、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより形成されたものであることを特徴とするビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。 〔2〕前記スリット状の蒸気孔のうち、前記金型の取付けフランジ部に設けられたものが、外部に対して開放されている前記〔1〕に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。 〔3〕前記スリット状の蒸気孔が、少なくとも前記金型の曲面状部分に設けられている前記〔1〕又は〔2〕に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。 〔4〕前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の表面形状変化部分に沿って設けられている前記〔1〕又は〔2〕に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。 〔5〕前記金型の側面に配置される前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の開閉方向に沿って設けられている前記〔1〕記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。 〔6〕前記スリット状の蒸気孔の幅が、0.1mm~0.7mmの範囲である前記〔1〕~〔5〕の何れかに記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型。 〔7〕前記〔1〕~〔6〕の何れかに記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥することにより所要形状の発泡合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法。」 と記載されているのを、 「すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。 〔1〕コア型及びキャビティ型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、 削り出し及び/又は鋳造により、前記一対の金型を立体形状に形成する工程と、 立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより直接形成する工程と、 を含むことを特徴とするビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 〔2〕前記スリット状の蒸気孔のうち、前記金型の取付けフランジ部に設けられたものが、外部に対して開放されている前記〔1〕に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 〔3〕前記スリット状の蒸気孔が、少なくとも前記金型の曲面状部分に設けられている前記〔1〕又は〔2〕に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 〔4〕前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の表面形状変化部分に沿って設けられている前記〔1〕又は〔2〕に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 〔5〕前記金型の側面に配置される前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の開閉方向に沿って設けられている前記〔1〕記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 〔6〕前記スリット状の蒸気孔の幅が、0.1mm~0.7mmの範囲である前記〔1〕~〔5〕の何れかに記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 〔7〕前記〔1〕~〔6〕の何れかに記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法により製造された前記金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥することにより所要形状の発泡合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法。」 に訂正する。 オ 本件特許明細書の【0012】に 「本発明に係るビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法によれば、主に以下のような顕著な作用効果を奏する。 (1)金型の蒸気孔が切削加工等によりスリット状に形成されているので、多数のベントホールにコアベントを打ち込む打込み作業が不要になるため、前記打込み作業に基づく金型の変形や損傷がなくなるとともに、前記打込み作業に伴う金型の変形や騒音がなくなる。 (2)金型の蒸気孔が切削加工等によりスリット状に形成されているので、金型に多数のベントホールを形成する孔あけ作業が不要であるため強度の低下が生じ難い。また、前記コアベントの打込み作業、及び金型表面(成形面)を平滑にするための研磨作業が不要になるため、金型の製造コストを低減できる。 (3)蒸気孔がスリット状であるので、成形品表面の蒸気孔の痕が目立たないため、表面性状が美麗な成形品を成形できるとともに、金型の肉厚を薄くできることから、金型の熱容量が小さくなるため加熱冷却時間を短縮できるともに、金型の重量を小さくできる。 (4)蒸気孔を金型の所要箇所に切削加工等によりスリット状に形成するので、成形空間内へ多量の蒸気を効率的に供給できるように蒸気孔開口率を高める必要がある場合においても、スリット状蒸気孔の長さ及び幅並びに隣接する前記蒸気孔の間隔の少なくとも一つを変更することにより、蒸気孔開口率を容易に高めることができる。」 と記載されているのを、 「本発明に係るビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法によれば、主に以下のような顕著な作用効果を奏する。 (1)金型の蒸気孔が横型マシニングセンターの主軸に取り付けられたメタルソーによる切削加工によりスリット状に形成されているので、多数のベントホールにコアベントを打ち込む打込み作業が不要になるため、前記打込み作業に基づく金型の変形や損傷がなくなるとともに、前記打込み作業に伴う金型の変形や騒音がなくなる。 (2)金型の蒸気孔が前記切削加工によりスリット状に形成されているので、金型に多数のベントホールを形成する孔あけ作業が不要であるため強度の低下が生じ難い。また、前記コアベントの打込み作業、及び金型表面(成形面)を平滑にするための研磨作業が不要になるため、金型の製造コストを低減できる。 (3)蒸気孔がスリット状であるので、成形品表面の蒸気孔の痕が目立たないため、表面性状が美麗な成形品を成形できるとともに、金型の肉厚を薄くできることから、金型の熱容量が小さくなるため加熱冷却時間を短縮できるともに、金型の重量を小さくできる。 (4)蒸気孔を金型の所要箇所に前記切削加工によりスリット状に形成するので、成形空間内へ多量の蒸気を効率的に供給できるように蒸気孔開口率を高める必要がある場合においても、スリット状蒸気孔の長さ及び幅並びに隣接する前記蒸気孔の間隔の少なくとも一つを変更することにより、蒸気孔開口率を容易に高めることができる。」 に訂正する。 カ 本件特許明細書の【0019】に 「なお、蒸気孔4,4,…がスリット状であるので、ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型1(コア型2及びキャビティ型3)の曲面状部分である角R部(隅R部)に蒸気孔4,4,…を形成しても前記角R部(隅R部)が面一になるため、図1に示すように曲面状部分Cである角R部(隅R部)にも蒸気孔4,4,…を形成できる。 このように、立体的な工作物の加工に適した横型マシニングセンターを用いて、コア型2又はキャビティ型3に対し、水平の主軸に取り付けたメタルソー7を回転させながら、メタルソー7の外周面の切れ刃によりスリット状蒸気孔4,4,…を効率的に加工できる。 このようなスリット状蒸気孔4,4,…の形成は、ツールとしてメタルソーを取り付けたマシニングセンターによる切削加工、特に水平の主軸にメタルソーを取り付けた横型マシニングセンターにより行うのが好ましいものであるが、レーザ加工機又はワイヤ放電加工機による除去加工により行うこともできる。」 と記載されているのを、 「なお、蒸気孔4,4,…がスリット状であるので、ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型1(コア型2及びキャビティ型3)の曲面状部分である角R部(隅R部)に蒸気孔4,4,…を形成しても前記角R部(隅R部)が面一になるため、図1に示すように曲面状部分Cである角R部(隅R部)にも蒸気孔4,4,…を形成できる。 このように、立体的な工作物の加工に適した横型マシニングセンターを用いて、コア型2又はキャビティ型3に対し、水平の主軸に取り付けたメタルソー7を回転させながら、メタルソー7の外周面の切れ刃によりスリット状蒸気孔4,4,…を効率的に加工できる。」 に訂正する。 キ 本件特許明細書の【0030】に 「図7の端面図は、球面状の金型の曲面状部分Cである球面にスリット状蒸気孔4,4,…を設けた例を示している。 ここで、図8の端面図のようにベントホール8,8,…にコアベント9,9,…を打ち込む構造の球面状の金型においては、ベントホール8,8,…へのコアベント9,9,…の適正な打ち込みが困難である。その上、コアベント9,9,…の端面が平面状であることから、成形空間側の球面におけるコアベント9,9,…の箇所には円形の平面部が形成されてしまうので、成形品に滑らかな球面が形成されない。 それに対して、図7に示す曲面状部分Cである球面へのスリット状蒸気孔4,4,…の形成は、ツールとしてメタルソーを取り付けたマシニングセンターによる切削加工等により比較的簡単に行うことができる。 また、図7のように球面に形成されたスリット状蒸気孔4,4,…は、幅が狭いので(例えば0.1mm~0.7mm)、成形品に比較的滑らかな球面が形成されるとともに、成形品における蒸気孔4,4,…の痕が目立たない。」 と記載されているのを、 「図7の端面図は、球面状の金型の曲面状部分Cである球面にスリット状蒸気孔4,4,…を設けた例を示している。 ここで、図8の端面図のようにベントホール8,8,…にコアベント9,9,…を打ち込む構造の球面状の金型においては、ベントホール8,8,…へのコアベント9,9,…の適正な打ち込みが困難である。その上、コアベント9,9,…の端面が平面状であることから、成形空間側の球面におけるコアベント9,9,…の箇所には円形の平面部が形成されてしまうので、成形品に滑らかな球面が形成されない。 それに対して、図7に示す曲面状部分Cである球面へのスリット状蒸気孔4,4,…の形成は、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーによる切削加工により比較的簡単に行うことができる。 また、図7のように球面に形成されたスリット状蒸気孔4,4,…は、幅が狭いので(例えば0.1mm~0.7mm)、成形品に比較的滑らかな球面が形成されるとともに、成形品における蒸気孔4,4,…の痕が目立たない。」 に訂正する。 ク 本件特許明細書の【0033】に 「また、本発明のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型1(コア型2及びキャビティ型3)の構成によれば、金型1の蒸気孔4,4,…が切削加工等によりスリット状に形成されているので、金型のベントホールにコアベントを打ち込んで形成される従来の一般的なビーズ法発泡合成樹脂成形用金型のように、多数のベントホールにコアベントを打ち込む打込み作業が不要になるため、前記打込み作業に基づく金型の変形や損傷がなくなるとともに、前記打込み作業に伴う騒音がなくなる。 その上、金型に多数のベントホールを形成する孔あけ作業、前記打込み作業、及び金型表面(成形面)を平滑にするための研磨作業が不要になるため、金型の製造コストを低減できる。」 と記載されているのを、 「また、本発明のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型1(コア型2及びキャビティ型3)の構成によれば、金型1の蒸気孔4,4,…が前記切削加工によりスリット状に形成されているので、金型のベントホールにコアベントを打ち込んで形成される従来の一般的なビーズ法発泡合成樹脂成形用金型のように、多数のベントホールにコアベントを打ち込む打込み作業が不要になるため、前記打込み作業に基づく金型の変形や損傷がなくなるとともに、前記打込み作業に伴う騒音がなくなる。 その上、金型に多数のベントホールを形成する孔あけ作業、前記打込み作業、及び金型表面(成形面)を平滑にするための研磨作業が不要になるため、金型の製造コストを低減できる。」 に訂正する。 ケ 本件特許明細書の【0034】に 「さらに、特許文献1のように、ベントホールの内径をベント金具の外径よりも僅かに大きくするとともに、ベント金具に接着剤を収容する周溝を形成し、ベント金具をベントホールに手作業で挿入して接着するものに対して、金型1の蒸気孔4,4,…が切削加工等によりスリット状に形成されているので、周溝を形成した特殊形状のベント金具の使用は不必要であり、前記ベント金具とのクリアランスが0.05mm~0.1mmの範囲になるようにベントホールを形成する孔あけ加工も不要になるとともに、前記ベント金具の周溝への接着剤の塗布作業が不要であるため、金型の製造コストを低減できる。 さらにまた、特許文献2のように、通常のパンチング加工によって蒸気穴が穿設された一対の金型のキャビティ側の面に金属板を接合し、金属板に蒸気穴に連通する細溝状の蒸気スリットを形成するものに対して、金型1の蒸気孔4,4,…が切削加工等によりスリット状に形成されているので、多数の円形の蒸気孔が形成された金型に金属板を接合する必要がなく、金型に金属板を接合した後に金属板に蒸気スリットを形成する必要も無いことから、金型への円形の蒸気孔の孔あけ加工、金型への金属板の接合、並びに金型に接合された金属板への蒸気スリットの加工を行う必要が無いため、金型の製造コストを低減できる。」 と記載されているのを、 「さらに、特許文献1のように、ベントホールの内径をベント金具の外径よりも僅かに大きくするとともに、ベント金具に接着剤を収容する周溝を形成し、ベント金具をベントホールに手作業で挿入して接着するものに対して、金型1の蒸気孔4,4,…が前記切削加工によりスリット状に形成されているので、周溝を形成した特殊形状のベント金具の使用は不必要であり、前記ベント金具とのクリアランスが0.05mm~0.1mmの範囲になるようにベントホールを形成する孔あけ加工も不要になるとともに、前記ベント金具の周溝への接着剤の塗布作業が不要であるため、金型の製造コストを低減できる。 さらにまた、特許文献2のように、通常のパンチング加工によって蒸気穴が穿設された一対の金型のキャビティ側の面に金属板を接合し、金属板に蒸気穴に連通する細溝状の蒸気スリットを形成するものに対して、金型1の蒸気孔4,4,…が前記切削加工によりスリット状に形成されているので、多数の円形の蒸気孔が形成された金型に金属板を接合する必要がなく、金型に金属板を接合した後に金属板に蒸気スリットを形成する必要も無いことから、金型への円形の蒸気孔の孔あけ加工、金型への金属板の接合、並びに金型に接合された金属板への蒸気スリットの加工を行う必要が無いため、金型の製造コストを低減できる。」 に訂正する。 コ 本件特許明細書の【0036】に 「また、前記従来の一般的なビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、特許文献1及び2のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型に対して、金型の成形空間と反対側の面に、冷却工程で散水された冷却水が滞留する窪みが無いか、あるいは、金型の取付けフランジ部及び/又は水が貯まっても自然に抜ける部位を除いて、金型の成形空間と反対側の面に、冷却工程で散水された冷却水が滞留する窪みが無いので、乾燥工程に掛かる時間を短縮できる。 さらに、前記従来の一般的なビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、特許文献1及び2のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型に対して、蒸気孔を金型の所要箇所に切削加工等によりスリット状に形成するので、成形空間内へ多量の蒸気を効率的に供給できるように蒸気孔開口率を高める必要がある場合においても、スリット状蒸気孔の長さ及び幅並びに隣接する前記蒸気孔の間隔の少なくとも一つを変更することにより、蒸気孔開口率を容易に高めることができる。」 と記載されているのを、 「また、前記従来の一般的なビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、特許文献1及び2のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型に対して、金型の成形空間と反対側の面に、冷却工程で散水された冷却水が滞留する窪みが無いか、あるいは、金型の取付けフランジ部及び/又は水が貯まっても自然に抜ける部位を除いて、金型の成形空間と反対側の面に、冷却工程で散水された冷却水が滞留する窪みが無いので、乾燥工程に掛かる時間を短縮できる。 さらに、前記従来の一般的なビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、特許文献1及び2のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型に対して、蒸気孔を金型の所要箇所に前記切削加工によりスリット状に形成するので、成形空間内へ多量の蒸気を効率的に供給できるように蒸気孔開口率を高める必要がある場合においても、スリット状蒸気孔の長さ及び幅並びに隣接する前記蒸気孔の間隔の少なくとも一つを変更することにより、蒸気孔開口率を容易に高めることができる。」 に訂正する。 なお、訂正前の請求項2ないし7は訂正前の請求項1を直接又は間接的に引用していることから、訂正前の請求項1ないし7は一群の請求項であり、本件訂正は、一群の請求項ごとにされており、特許法第134条の2第3項の規定に適合するものである。 2 訂正の目的の適否、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものか否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1) 訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1の記載は、「…ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型」であるから、訂正前の請求項1に係る発明の対象は、「金型」という「物」であることは明らかである。 そして、訂正前の請求項1には、「削り出し/及び鋳造により形成された」及び「横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより形成された」と特定されていることから、「金型」に関し、その「製造方法」が記載されている。 ここで、「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号にいう『発明が明確であること』という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である」(最高裁第二小法廷判決平成27年6月5日(平成24年(受)第1204号))と判示されている。 そこで、上記判示事項を踏まえて検討すると、訂正前の請求項1には、「削り出し/及び鋳造により形成された」及び「横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより形成された」と、「金型」の製造方法が記載されているから、「発明が明確であること」という要件を欠くおそれがあるものである。 そして、訂正事項1は、「発明が明確であること」という要件を欠くおそれがある訂正前の請求項1を、「コア型及びキャビティ型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法」として、「削り出し及び/又は鋳造により、前記一対の金型を立体形状に形成する工程」と、「立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより直接形成する工程」を特定する訂正後の請求項1に訂正するものであって、「発明が明確であること」という要件を満たすものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて 本件の願書に添付した明細書の段落【0011】には、訂正後の請求項1発明に対応する、立体形状の前記金型が、「削り出し及び/又は鋳造により形成され」ること、さらに、スリット状の蒸気孔が、「横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより形成され」ることが記載されているから、訂正事項1は、本件の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。 ウ 訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるか否かについて (ア) 発明が解決しようとする課題とその解決手段について 特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項は、第134条の2第1項に規定する訂正がいかなる場合にも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならない旨を規定したものである。 また、特許法第36条第4項第1号の規定により委任された特許法施行規則の第24条の2には、「特許法第36条第4項第1号の経済産業省令で定めるところによる記載は、発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない。」と規定されているから、訂正前の請求項1に係る発明と訂正後の請求項1に係る発明において、発明が解決しようとする課題及びその解決手段が、実質的に変更されたものか否かにより、訂正後の請求項1に係る発明の技術的意義が、訂正前の請求項1に係る発明の技術的意義を実質上拡張し、又は変更されたものであるか否かについて検討する。 訂正前の本件特許明細書の段落【0006】~【0011】の記載から、訂正前の請求項1に係る発明の課題は、「金型の製造コストの低減、金型の加熱冷却時間の短縮及び軽量化、成形品の表面性状の美麗化、並びに冷却・乾燥工程の時間短縮」ことであり、その解決手段は「金型」について、「削り出し及び/又は鋳造により形成された」「立体形状の前記金型の所要箇所」に、「前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すための、前記金型自体に直接形成したスリット状の蒸気孔」を設けること、「前記スリット状の蒸気孔が、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより形成されたものであること」である。 一方、訂正後の本件特許明細書の段落【0006】~【0011】の記載から、訂正後の請求項1に係る発明の課題は、「金型の製造コストの低減、金型の加熱冷却時間の短縮及び軽量化、成形品の表面性状の美麗化、並びに冷却・乾燥工程の時間短縮」ことであり、その解決手段は「金型の製造方法」について、「削り出し及び/又は鋳造により」「立体形状に形成された前記金型の所要箇所」に、「前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔」を、「横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより直接形成する」ことである。 してみると、訂正前の請求項1に係る発明と訂正後の請求項1に係る発明の課題には、何ら変更はなく、訂正前の請求項1に係る発明と訂正後の請求項1に係る発明における課題解決手段も、実質的な変更はない。 したがって、訂正後の請求項1に係る発明の技術的意義は、訂正前の請求項1に係る発明の技術的意義を実質上拡張し、又は変更するものではない。 (イ) 訂正による第三者の不測の不利益について 特許請求の範囲は、「特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべて」が記載されたもの(特許法第36条第5項)である。 また、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項は、第134条の2第1項に規定する訂正がいかなる場合にも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならない旨を規定したものであって、訂正前の特許請求の範囲には含まれないとされた発明が訂正後の特許請求の範囲に含まれることとなる、言い換えれば、訂正前の発明の「実施」に該当しないとされた行為が訂正後の発明の「実施」に該当する行為となる場合、第三者にとって不測の不利益が生じるおそれがあるため、そうした事態が生じないことを担保したものである。 以上を踏まえ、訂正前の請求項1に係る発明と訂正後の請求項1に係る発明において、それぞれの発明の「実施」に該当する行為の異同により、訂正後の請求項1に係る発明の「実施」に該当する行為が、訂正前の請求項1に係る発明の「実施」に該当する行為を実質上拡張し、又は変更するものであるか否かについて検討する。 ここで、特許法第2条第3項第1号に規定された「物の発明」(訂正前の請求項1に係る発明)及び第3号に規定された「物を生産する方法の発明」(訂正後の請求項1に係る発明)の実施について比較する。 「物の発明」の実施(第1号)とは、「その物の生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為」であり、「物を生産する方法」の実施(第3号)とは、「その方法の使用をする行為」(第2号)のほか、その方法により生産した「物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為」である。ここで、「物を生産する方法」の実施における「その方法の使用をする行為」とは、「その方法の使用により生産される物の生産をする行為」と解されることから、「物の発明」の実施における「その物の生産」をする行為に相当する。 すると、「物の発明」の実施においては、物の生産方法を特定するものではないのに対して、「物を生産する方法の発明」の実施においては、物の生産方法を「その方法」に特定している点で相違するが、その実施行為の各態様については、全て対応するものである。 そして、訂正前の請求項1に係る発明は、「削り出し/及び鋳造により形成された」及び「横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより形成された」という製造方法(以下「特定の製造方法」という)により「金型」という物が特定された「物の発明」であるから、前記特定の製造方法により製造された「金型」に加え、前記特定の製造方法により製造された「金型」と同一の構造・特性を有する物も、特許発明の実施に含むものである。 一方、訂正後の請求項1に係る発明は、上記特定の製造方法により「金型の製造方法」という方法が特定された「物を生産する方法の発明」であるから、前記特定の製造方法により製造された「金型」を、特許発明の実施に含むものである。 したがって、訂正後の請求項1に係る発明の「実施」に該当する行為は、訂正前の請求項1に係る発明の「実施」に該当する行為に全て含まれるので、第三者にとって不測の不利益が生じるおそれはないから、訂正前の請求項1に係る発明の「実施」に該当する行為を実質上拡張し、又は変更するものとはいえない。 エ 小括 訂正後の請求項1に係る発明の技術的意義は、訂正前の請求項1に係る発明の技術的意義を実質上拡張し、又は変更するものではなく、訂正後の請求項1に係る発明の「実施」に該当する行為は、訂正前の請求項1に係る発明の「実施」に該当する行為を実質上拡張し、又は変更するものとはいえないから、訂正事項1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。 (2) 訂正事項2ないし7の訂正について 上記「(1)」と同様の理由により、当該訂正事項は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、また、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項、第6項の規定に適合する。 (3) 訂正事項8の訂正について 上記訂正事項8は、上記訂正事項1~7の訂正に伴って、特許請求の範囲と明細書の記載の整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 したがって、当該訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当し、また、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第5項、第6項の規定に適合する。 3 むすび 以上のとおり、上記訂正事項1ないし8は、特許法第134条の2第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合するものであるから、本件訂正を認める。 したがって、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲及び明細書を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲及び明細書のとおり、訂正後の請求項[1-7]について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、順に、「本件発明1」のようにいう。また、総称して、「本件発明」という。)は、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 コア型及びキャビティ型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、 削り出し及び/又は鋳造により、前記一対の金型を立体形状に形成する工程と、 立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより直接形成する工程と、 を含むことを特徴とするビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 【請求項2】 前記スリット状の蒸気孔のうち、前記金型の取付けフランジ部に設けられたものが、外部に対して開放されている請求項1に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 【請求項3】 前記スリット状の蒸気孔が、少なくとも前記金型の曲面状部分に設けられている請求項1又は2に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 【請求項4】 前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の表面形状変化部分に沿って設けられている請求項1又は2に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 【請求項5】 前記金型の側面に配置される前記スリット状の蒸気孔が、前記金型の開閉方向に沿って設けられている請求項1記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 【請求項6】 前記スリット状の蒸気孔の幅が、0.1mm~0.7mmの範囲である請求項1~5の何れか1項に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。 【請求項7】 請求項1~6の何れか1項に記載のビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法により製造された前記金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥することにより所要形状の発泡合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法。」 第4 請求人の主張の概要及び証拠方法 1 請求人の主張の概要 請求人は、「特許第6245215号の請求項1から7に係る発明についての特許を無効にする、審判請求の費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由として、おおむね次の無効理由(第1回口頭審理において整理されたもの)を主張している。 (1) 無効理由1(新規性及び進歩性) 本件発明1ないし7は、いずれも、特開2002-264163号公報(甲第1号証)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるか、あるいは、甲第1号証に記載された発明に基づいて、本件特許の優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらについての特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。 (2) 無効理由2(拡大先願) 本件発明1ないし7は、いずれも、特開2015-160400号公報(甲第2号証、特願2014-37815号)の出願当初の明細書又は図面に記載された発明と同一であり、かつ、本件発明と甲第2号証の発明者あるいは出願人のいずれもが同一ではなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、それらについての特許は、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とされるべきである。 2 証拠方法 請求人は、審判請求書とともに下記甲第1ないし7号証を証拠方法として提出し、審判事件弁駁書とともに下記甲第8ないし9号証を証拠方法として提出し、口頭審理陳述要領書とともに下記甲第8号証の1、甲第9号証の1及び甲第10ないし15号証を証拠方法として提出した。 甲第1号証 特開2002-264163号公報 甲第2号証 特開2015-160400号公報 甲第3号証 特開2004-230590号公報 甲第4号証 特開2004-230590号公報の図1の拡大図 甲第5号証 特開2009-166344号公報 甲第6号証 実公昭62-18433号公報 甲第7号証 実願平1-18032号(実開平2-108019号)のマイクロフィルム 甲第8号証 型技術協会編、「型技術便覧」、第212頁ないし第215頁、日刊工業新聞社、1990年7月30日初版第2刷発行 甲第8号証の1 型技術協会編、「型技術便覧」、第212頁ないし第215頁に手書きで図番等を付したもの、日刊工業新聞社(手書き部分は請求人代理人楠本高義による)、令和 2年 2月13日 甲第9号証 「ダイヤ VS-300 金型仕様書」、株式会社ダイセン工業、1989年12月28日ファクシミリにて入手 甲第9号証の1 「ダイヤ VS-300 金型仕様書」に手書きで図番等を付したもの、株式会社ダイセン工業(手書き部分は請求人代理人楠本高義による)、令和 2年 2月13日 甲第10号証 有限会社三宝金型製作所のウェブページ(https://sanpou-kanagata.jp/servce)、令和 2年 2月 1日出力 甲第11号証 堺IPC PRESS、公益財団法人 堺市産業振興センター、2018年7月 甲第12号証 三興技研株式会社のウェブページ(https://www.sanko-gk.co.jp/business.php)、令和 2年 2月 1日出力 甲第13号証 フリー百科事典「ウィキペディア」のウェブページ(https://ja.wikipedia.org/wiki/)、令和 2年 2月 1日出力 甲第14号証 特開2006-326708号公報 甲第15号証 特開2003-220513号公報 (以下、順に「甲1」のようにいう。) 第5 被請求人の主張の概要及び証拠方法 1 被請求人の主張の概要 被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、その理由として、請求人が主張する上記無効理由1及び2はいずれも理由がない旨主張している。 2 証拠方法 被請求人は、審判事件答弁書(第1回)、口頭審理陳述要領書を提出し、審判事件答弁書(第2回)とともに下記乙第1ないし4号証を提出した。 乙第1号証 特開平8-20035号公報 乙第2号証 特願2001-064172号の出願に対して、平成22年 7月 9日付けで通知された拒絶理由通知書 乙第3号証 特開平11-156800号公報 乙第4号証 大阪機工株式会社の立型マシニングセンターVMシリーズのカタログの抜粋、大阪機工株式会社、平成 8年 4月 3日 (以下、順に「乙1」のようにいう。) 第6 当審の判断 1 主な証拠の記載 当事者が提出した主な証拠には、それぞれ、次の記載がある。なお、審決の便宜上、証拠の写しの一部をそのまま貼付する場合がある。 (1) 甲1 「【請求項1】 発泡性樹脂粒子を予備発泡させた発泡粒子を金型内に充填し、金型内に蒸気を吹き出すことにより発泡粒子を融着させて消失模型用発泡樹脂ブロックを製造する金型であって、前記金型の蒸気吹き出し孔の最大開孔幅が0.8mm以下であり、また、少なくとも正面と背面の対向二面の蒸気吹き出し孔の開孔率が、当該面の全面積の4~25%であることを特徴とする消失模型用発泡樹脂ブロック製造用金型。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造用消失模型を作製するのに適した発泡樹脂ブロック及び同発泡樹脂ブロックを製造するための金型に関する。」 「【0004】一方、発泡ポリスチレンブロック等の製造は、蒸気により発泡性樹脂粒子を予備発泡させて発泡粒子を製造した後、この発泡粒子を密封金型に充填して金型内に蒸気を吹き出すことにより、発泡粒子を融着させてブロック化する方法が一般的であるが、この際の発泡粒子の融着率も、切削時の模型表面の凹凸の発生に影響し、融着率が80%程度以上であると、切削スピードを上げても比較的表面が綺麗であり、80%程度以下であると、表面の凹凸が激しくなるような傾向にある。しかしながら、このような融着は、発泡粒子の粒径が大きいほど粒子間に蒸気が入り易くなって、例えば予備発泡前の発泡性樹脂粒子の粒径が1.0mm程度以上のものは比較的容易に製造出来るものの、発泡性樹脂粒子の粒径が0.4~0.9mm程度の小さいものを使用して、例えば400mm程度以上の厚みのブロックを製造しようとすると、中心部等では粒子間に蒸気が入り込みにくくなって、融着率を80%程度以上にするのが非常に難しかった。このような場合、融着率を上げるため、蒸気元圧力を上げるか、蒸気加熱時間を上げるような方法が考えられるが、この場合は、作業性を低下させるだけでなく、いずれも成形品の外観が収縮してしまいNCマシンにセットしずらくなったり、切削後の成形品の寸法変化が大きなものとなってしまう等の問題がある。すなわち、融着率が高くまた粒径が小さい場合には、切削スピードを上げても模型の表面を綺麗に維持することが出来るが、このような消失模型用発泡樹脂ブロックを成形することは困難であった。 【0005】そこで本発明は、予備発泡前の発泡性樹脂粒子の粒径が0.4~0.9mm程度の小さいものを使用してブロックを製造する際、成形後の収縮が少ない発泡面圧でも融着率が80%以上確保出来るようにすることを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明は、発泡性樹脂粒子を予備発泡させた発泡粒子を金型内に充填し、金型内に蒸気を吹き出すことにより発泡粒子を融着させて消失模型用発泡樹脂ブロックを製造する金型において、金型の蒸気吹き出し孔の最大開孔幅を0.8mm以下とし、また、少なくとも正面と背面の対向二面の蒸気吹き出し孔の開孔率を、当該面の全面積の4~25%であるようにした。」 「【0010】また、前記金型を、通常使用されているような金属板で作製する場合には、一般的には蒸気吹き出し孔を切削加工により形成するため、この場合には、少なくとも正面と背面の対向二面の蒸気吹き出し孔の開孔率を、当該面の全面積の4~8%にすることが好ましい。」 「【0014】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。ここで図1は本発明に係る発泡樹脂ブロック製造用金型の一例を示す斜視図、図2は図1のA-A線断面図、図3は図1のB-B線断面図、図4は本発明に係る発泡樹脂ブロックの一例を示す斜視図である。」 「【0018】発泡樹脂ブロック製造用金型1は、図1に示すように、一面側が開放されたボックス型の固定型2と、この固定型2の開放面を遮蔽または開放自在な可動型3を備えており、固定型2の上部附近には、予備発泡した発泡粒子を充填するための複数の充填口4が設けられるとともに、固定型2の裏面側には、成形した樹脂ブロック製品を押出すための押出しピン5が設けられ、また、固定型2や可動型3には、型内に蒸気を吹き出すための蒸気吹き出し孔としてのスリット溝6が多数設けられている。 【0019】そして、このような固定型2、可動型3は、実施例の場合、アルミニウム板にスリット溝6を設けることにより構成され、またスリット溝6の両端コーナ部は、図2、図3に示すように、型の内外方向に向けてテーパ部tが形成され、型の外側の長さより型の内側の長さの方が広がるようにされている。これは、発泡ブロック製品を製造した後、製品を押出す際、スリット溝6に食い込んだ粒子等がコーナ部に引っ掛かって脱落するのを防止し、目詰まり等を生じにくくするためである。 【0020】また、スリット溝6の開孔幅がhで、実質開孔長さがiで、例えば図1の可動型3において、全域に亘って合計n個のスリット溝6が形成されている場合、可動型の横幅がa、縦長がbであるとすれば、この面の開孔率は、(h×i×n)/(a×b)であり、本実施例では、開孔幅hを0.8mm以下にし、また可動型3の面とその対向面の開孔率を4%以上8%以下にし、側面等の開孔率を4%以下の2~3.5%程度にしている。また、固定型2の厚みcは400mm以上にし、成形する発泡樹脂ブロックRの厚みが400mm以上になるようにしている。 【0021】そして、不図示の予備発泡型を使用して、粒径が0.4~0.9mm程度の発泡性樹脂粒子を発泡させ、次いで、この予備発泡した発泡粒子を充填口4から金型1に充填し、充填口4を封止した後、最初に可動型3の面及びその対向面のスリット溝6から蒸気を吹き付ける。この可動型3の面及びその対向面は、蒸気成形に重要な大面積であり、この最初の蒸気流入により粒子間の空気を排除して側面のスリット溝6からこれを排出し、融着を促進させる。次いで、約10秒程度経過後、側面のスリット溝6からも蒸気を吹き出して全体の融着度を高める。 【0022】そして、融着が完了すると、可動型3を開いて押出しピン5によりブロック製品を押出すと、図4に示すような発泡樹脂ブロックRが取出される。そしてこの発泡樹脂ブロックRの表面には、蒸気開孔跡模様mが形成されており、この蒸気開孔跡模様mは、スリット溝6の金型内部側の形状が転写されたものとなり、例えば金型のスリット溝6の開孔率が4%程度の場合、蒸気開孔跡模様mの面積率は4.5%程度となる。」 「【図1】 」 (2) 甲2 「【請求項1】 発泡樹脂成形体を製造するためのコア型及びキャビティ型からなる金型であり、 コア型とキャビティ型との間に形成される成形室側及び蒸気室側に開口するスリットが穿設され、 少なくとも成形室側に開口するスリットの幅は成形室に充填される樹脂ビーズの直径よりも狭く、 スリットの両側壁は連結部で部分的に連結されているとともに、 スリット内部であって連結部の少なくとも成形室側には用役収集・拡散通路が設けられていることを特徴とする発泡樹脂成形金型。」 「【0001】 本発明は発泡樹脂成形金型に係り、更に詳しくは、品質が均一で強度に優れた発泡成形体を提供するとともに、成形サイクルを短縮して製造効率を向上させ、エネルギーの利用効率を高めることができる発泡樹脂成形金型に関する。 【背景技術】 【0002】 発泡樹脂成形体を製造する方法としては、金型内の成形室内に、ブタンやペンタンなどの低沸点炭化水素を含浸させ所定の発泡倍率で発泡させてなる熱可塑性樹脂のビーズ(以下、単に樹脂ビーズと称する)を充填し、蒸気により樹脂を軟化させると共に低沸点炭化水素を熱膨張させ、樹脂ビーズ同士を融着させた後、冷却し、離型させる、所謂ビーズ法が広く用いられている。」 「【図面の簡単な説明】 【0018】 【図1】図1は本発明の金型を示す概略断面図である。 【図2】図2は図1の金型における成形室を明示した概略斜視図である。 【図3】図3は図1の金型におけるコア型を示す概略断面図である。 【図4】図4は図1の金型におけるキャビティ型を示す概略断面図である。 【図5】図5は、本発明の金型における要部拡大図である。 【図6】図6(a)は、図5のA-A断面図であり、(b)はB-B断面図であり、(c)はC-C断面図である。 【図7】図7(a)(b)(c)は、連結部の形状及び配置を変更した例を示す概略断面図である。 【図8】図8は連結部に通孔を設けた状態を示す概略図であり、(a)は成形室側から見た正面図、(b)は(a)におけるD-D断面図である。 【図9】図9(a)(b)は横向きのスリットの形状を示す概略断面図で、(b)は(a)のE-E断面図である。 【図10】図10(a)は、用役を導入する場合の用役の流れを示す概略説明図であり、(b)は用役を排出する場合の用役の流れを示す概略説明図である。 【図11】図11は従来の金型におけるスリット溝の構造と、用役の導入する場合の流れ及び用役を排出する場合の流れを示す概略断面図である。」 「【0038】 実施例1 まず、一般に3キロ箱と呼ばれる成形体(外寸法:320×484×全高100mm、内寸法:280×444×深さ82mm)を8個取りするための金型を作成した。この金型は、厚さ10mmの鍛造アルミ板から削りだしたパーツを組み立てることにより作成した。 この金型に溝切り機(商品名:VM7 III 型、大阪機工社製)で、コア型及びキャビティ型それぞれの成形室側にスリット2を穿設し、図1~4に示すような金型を製造した。 スリット2の幅Wは0.8mm(スリット2の成形室7側から蒸気室8側まで同じ)、連結部3の長さL1は10mm、連結部3間(開口部4)の距離L2は30mm、スリット2の長さL3はコア型及びキャビティ型に周設された全周長、スリット2間の距離L4は6mm、用役収集・拡散通路5の深さD2は5mm(スリット2の深さD1(=アルミ板の厚さ)10mmの50%)、開口率は約13%である。」 「【0040】 (製造試験) 上記実施例1、比較例1の金型を用い、3キロ箱を製造した(実施例1a、1b、比較例1a、1b、1c)。 実施例1についてはクラッキングを行わない方法(実施例1a)、2mmクラッキングする方法(実施例1b)と2種の方法で製造した。 一方、比較例1については、クラッキングを行わない方法(比較例1a)、3mmクラッキングする方法(比較例1b)、6mmクラッキングする方法(比較例1c)と3種の方法で製造した。 製造方法における各工程の詳細な条件を表1に示す。 なお、3キロ箱の原料としては、発泡倍率58倍の発泡スチロール樹脂ビーズ(商品名:エスレンビーズHDMSF、積水化成品製、平均粒径4mm)を用い、成形機としては、ACE30(株式会社積水工機製作所製、取り数8、フレーム:標準凹200H、凸120H)を用いた。」 「【図1】 」 「【図2】 」 「【図3】 」 「【図4】 」 (3) 甲8の1 「 」 (4) 甲9の1 「 」 (5) 甲10 「 」 (6) 甲11 「 」 (7) 甲12 「 」 (8) 甲13 「 」 (9) 甲14 「【請求項1】 円板状の基体の外周縁に多数個の刃が等間隔に配設された外径の等しいメタルソーの複数枚が駆動系の回転軸に取り付けられて同時に回転される多連メタルソーであって、前記複数枚の各メタルソーが刃の位置を円周方向へずらして前記回転軸に取り付けられていることを特徴とする多連メタルソー。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は複数枚のメタルソーが回転軸に取り付けられている多連メタルソー、更に詳しくは、複数枚のメタルソーが刃の位置をずらして回転軸に取り付けられている多連メタルソー、及び多連メタルソーによって溝加工する防着板の製造方法に関するものである。」 「【0041】 図6は、横型マシニングセンタ21に8枚のメタルソー1からなる多連メタルソーMをセットして、鉛直な姿勢とした防着板41の面に同時に8本の縦方向の溝42aを加工している状態を示す斜視図である。この横型マシニングセンタ21は、X方向移動台22と、X方向移動台22の表面上をX方向に移動するY方向移動柱23と、Y方向移動柱23の側面上をY方向へ移動することができ、かつ多連メタルソーMを取り付けたツール31をZ方向に移動し得る機構を内部に備えた駆動部24とからなり、これにATC(自動ツールチェンジャ)25が付属しているものである。被加工体である防着板41は角度90度の円直面を有する定盤26に固定される。」 「【0055】 また実施例1においては、横型マシニングセンタ21を使用したが、縦型マシニングセンタや縦型フライス盤によっても同様な溝加工は可能である。また、横型マシニングセンタ21を使用して防着板に溝42aを切削加工する場合には、その駆動部24にツール31Pを装着し、溝42aと直角に交差する溝42bを切削加工する場合には、ツール31Pと交換してツール31Qを駆動部24に装着したが、2基の駆動部を備えたマシニングセンタの駆動部にツール31Pとツール31Qの両者を装着し、それぞれによって溝加工することも可能である。」 (10) 甲15 「【請求項1】 工作機械を用い、工具とワークとを相対移動させて、底面が円弧状凹曲面をなす溝を前記ワークに加工する方法であって、 半径が前記溝底面の曲率半径より小径のメタルソーを前記工具として使用するとともに、該メタルソーをその軸中心に非回転となし、 前記メタルソーを、前記ワークに対して所定の切り込み量を有するようにその半径方向に位置決めした後、 前記メタルソーの外周に形成された刃部が、前記切り込み量に応じて仮想的に設定される円弧状の加工軌跡と接するように、前記メタルソーとワークとを相対的に移動させて、前記ワークに底面が円弧状凹曲面をなす溝を形成するようにしたことを特徴とする円弧溝の加工方法。」 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械を用い、工具とワークとを相対的に移動させて、底面が円弧状凹曲面をなす溝を前記ワークに加工する溝加工方法に関する。」 「【0024】上述の例では、立形マシニングセンタ1を用いた際の円弧溝の加工方法をその一例として説明したが、これに限られるものではなく、例えば、横形マシニングセンタを用いた加工にも、これを適用することができる。」 (11) 乙4 「 」 2 無効理由1(新規性及び進歩性)について (1) 甲1発明 ア 甲1について、段落【0010】、【0018】ないし【0022】の記載を中心に整理すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 「一面側が開放されたボックス型の固定型と、この固定型の開放面を遮蔽または開放自在な可動型とを有する発泡樹脂ブロック製造用金型であり、該金型内に発泡粒子を充填し、前記発泡粒子に蒸気を吹き出すことにより、発泡粒子を融着させて、発泡樹脂ブロックを得る発泡樹脂ブロック製造用金型の製造方法であって、 前記金型は金型内に蒸気を吹き出すための蒸気吹き出し孔を有するものであり 前記金型を金属板で作製する工程を有する、 発泡樹脂ブロック製造用金型の製造方法。」 イ 請求人は、甲1には、次の発明が記載されていると主張する(審判事件弁駁書7.C)(1)-1)。 「(a-1)平板状の型及びキャビティ型からなる一対の金型より形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、 (b-1)削り出しにより、前記一対の金型を立体形状に形成する工程と、 (c-1)立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、切削加工により直接形成する工程と、 (d-1)を含むことを特徴とするビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 しかし、甲1には、「削り出しにより、前記一対の金型を立体形状に形成する工程」や、「立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、切削加工により直接形成する工程」の記載はなく,またこれら記載に係る構成についての示唆もないから、甲1の記載から請求人が主張するような発明を直ちに認定することはできない。 (2) 本件発明1について ア 対比 甲1発明の「一面側が開放されたボックス型の固定型」は、本件発明1の「キャビティ型」に相当するとともに、甲1発明の「固定型の開放面を遮蔽又は開放自在な可動型」は、本件発明1の「コア型」と型であるという意味において対応し、また甲1発明の「固定型」と「可動型」とは「一対の金型」を「立体形状」に形成していることが明らかである。 また、甲1発明の「金型内」、「発泡粒子」、「スリット溝」、「発泡樹脂ブロック」は、本件発明1の「金型により形成される成型空間」、「発泡ビーズ」、「スリット状の蒸気孔」、「発泡合成樹脂の成形品」に相当する。 さらに、甲1発明は、「発泡粒子に蒸気を噴き出すことにより、発泡粒子を融着させて、発泡樹脂ブロックを得る」ものであるから、「ビーズ法発泡合成樹脂成形」法にあたることは明らかであり、その工程上、発泡粒子を融着させた後、当然、冷却及び乾燥させるものである。 以上の点をふまえ、本件発明1と甲1発明を対比すると、両者は、 「型及びキャビティ型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、 前記一対の金型を立体形状に形成する工程と、 前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を形成する工程と、 を含むビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 で一致し、次の点で相違する。 ・相違点1-1 本件発明1は、一対の金型を「コア型」と「キャビティ型」からなると特定するのに対して、甲1発明は、「可動型」と「固定型」からなると特定する点。 ・相違点1-2 本件発明1は、金型を立体的に形成する工程が「削り出し及び/又は鋳造」によるものであるのに対し、甲1発明は、そのような特定事項を有しない点。 ・相違点1-3 スリット状の蒸気孔を形成する工程について、本件発明1は、「立体形状に形成された前記金型の所要箇所に」「横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより直接形成する」ものであるのに対し、甲1発明にはそのような特定事項を有しない点。 イ 判断 まず、相違点1-1について検討する。 「実用プラスチック用語辞典」(株式会社プラスチックス・エージ、1989年9月10日 改訂第3版)の第210頁には、「コア core」との用語について、「成形品の内面を形成するための金型の突起部分、雄型」と記載されている。してみると、本件発明1の「コア型」とは、成形品の内面を形成するための突起部を有する型を指すものと解される。 これに対し、甲1発明の「固定型の開放面を遮蔽または開放自在な可動型」について、甲1には、第1図の図中符号3にあるように、平板状のものが具体的に示されているにとどまる。 そして、甲1発明により製造される金型は、「発泡樹脂ブロックを得る発泡樹脂ブロック成形用金型」であることからみて、そのような金型を構成する「固定型の開放面を遮蔽又は開放自在な可動型」について,これを平板状の型から突起部を有する型、つまり、コア型に変更する動機があるともいえない。 この点について、請求人は、甲8(甲8の1)、甲9(甲9の1)を挙げつつ、金型において、「標準割金型」と「背面割金型」が周知であって、どちらの金型を採用するかは当業者が任意に行い得ることであること、さらに、甲9(甲9の1)では、「キャビティ型」に対しては「凹インサイドコアー」、「コア型」及び「平板状の型」に対しては「凸インサイドコア-」としていて、「コア型」も「平板状の型」も、同じものとして扱っている旨主張している(審判事件弁駁書7.C(1)-1-1○1(「○1」は○の中に1を表す。以下同様)、口頭審理陳述要領書第3 1)。 しかしながら、甲8、甲9は、甲1のように発泡樹脂ブロックといった直方体のブロックを形成するためのものではない。 また、甲9(甲9の1)は、いわゆる「キャビティ型」も含め「インサイドコア-」と称しているものであり、一般的呼称であるとはいえない。そして、「コア型」とは、「成形品の内面を形成するための金型の突起部分、雄型」を示すものと解するのが相当であるのは,上述のとおりである。 請求人の上記主張は採用できない。 したがって、本件発明1と甲1発明は、相違点1-1において実質的に相違するものであり、また、甲1発明において、相違点1-1に係る本件発明1の発明特定事項は当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。 次いで、相違点1-2について検討する。 甲1(例えば段落【0014】~【0029】)には、発泡樹脂ブロック製造用金型をどのような方法で立体的に形成したのかについての記載はない。 また、段落【0010】には、「前記金型を、通常使用されているような金属板で作製する場合」との記載があり、図1~4からは、金属板を組み合わせて金型を形成している様が看取できる。 してみると、甲1発明の方法により製造される金型は、金属板を組み合わせて立体的に形成したものであり、「削り出し及び/又は鋳造」によるものとはいえない。 また、甲1発明は、直方体のブロックを作製するための金型であることから見ても、金型をあえて、「削り出し及び/又は鋳造」で作製する動機付けもない。 この点について,請求人は、甲10ないし12を示しつつ、甲1の段落【0010】には、「前記金型を、通常使用されているような金属板で作製する場合には、一般的には蒸気吹き出し孔を切削加工により形成するため、」との記載があり、金属板で明細書又は図面に示す金型を作製するには「削り出し」で行う以外には方法はないこと、さらに、「鋳造」については、金型メーカーであれば内作又は外注を含め、金型の素材を鋳造で製造することは日常的に行われていることにすぎない旨を主張する(審判事件弁駁書7.C(1)-1-1○3、口頭審理陳述要領書第3 2-1)。 しかしながら、甲1の段落【0010】の記載は、蒸気吹き出し孔を切削加工により形成することを示すものであって、金型を立体的に形成するにあたり切削加工することを示すものではない。 また、甲1発明は、上述のとおり、金属板を組み合わせて立体的に形成したものであり、直方体のブロックを作製するための金型であることから見ても、金型をあえて、「削り出し及び/又は鋳造」で作製する動機付けもない。 請求人の上記主張は採用できない。 したがって、本件発明1と甲1発明は、相違点1-2において実質的に相違するものであり、かつ、甲1発明において、相違点1-2に係る本件発明1の発明特定事項を当業者が容易に想到することができたものであるとはいえない。 以上の検討のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件発明2ないし7について 本件発明2ないし7はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。 そして、上記(2)のとおり、本件発明1は、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2ないし7についても同様に、甲1に記載された発明ではなく、また、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないと判断される。 (4) むすび したがって、本件発明1ないし7についての特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるとはいえず、同法第123条第1項第2号に該当するものではないので、無効理由1は理由がない。 3 無効理由2(拡大先願)について (1) 甲2発明 ア 甲2について、【請求項1】及び実施例1の記載を中心に整理すると、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 「コア型及びキャビティ型からなる金型であり、コア型とキャビティ型との間に形成される成形室に熱可塑性樹脂ビーズを充填し、前記熱可塑性樹脂ビーズを蒸気により軟化させると共に低沸点炭化水素を熱膨張させ、樹脂ビーズ同士を融着させた後、冷却し、発泡樹脂成形体を製造するのに用いる前記金型の製造方法であって、 鍛造アルミ板から削りだしたパーツを組み立てることにより前記金型を作成する工程と、 前記金型のコア型とキャビティ型との間に形成される成形室側及び蒸気室側に開口するスリットを、溝切り機(商品名:VM7 III型、大阪機工社製)により穿設する工程と、 を有する、発泡樹脂成形金型の製造方法。」 イ 請求人は、甲2には、次の発明が記載されていると主張する(審判事件弁駁書7.C)(1)-2)。 「(a-2)コア型及びキャビティ型からなる一対の金型より形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、 (b-2)削り出しにより、前記一対の金型を立体形状に形成する工程と、 (c-2)立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、直接形成する工程と、 (d-2)を含むことを特徴とするビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 しかし、甲2には、「削り出しにより、前記一対の金型を立体形状に形成する工程」や、「立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、直接形成する工程」等の記載はなく、またこれら記載に係る構成についての示唆もないから、甲2の記載から請求人が主張するような発明を直ちに認定することはできない。 (2) 本件発明1について ア 対比 甲2発明の「コア型及びキャビティ型からなる金型」、「成形室」は、本件発明1の「コア型及びキャビティ型からなる一対の金型」、「成型空間」に相当する。 また、甲2発明の「熱可塑性樹脂ビーズ」、「スリット」は、本件発明1の「熱可塑性樹脂の発泡ビーズ」、「スリット状の蒸気孔」に相当し、甲2発明の「パーツを組み立てることにより前記金型を作成する工程」は、本件発明1の「金型を立体形状に形成する工程」に相当する。 そして、乙4から、甲2発明の「溝切り機(商品名:VM7 III型、大阪機工社製)」は立型マシニングセンターであると解されるから、甲2発明の「前記金型のコア型とキャビティ型との間に形成される成形室側及び蒸気室側に開口するスリットを、溝切り機(商品名:VM7 III型、大阪機工社製)により穿設する工程は、「立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、マシニングセンターより直接形成する工程」との限りにおいて本件発明1と一致する。 さらに、甲2発明は、「熱可塑性樹脂ビーズを蒸気により軟化させると共に低沸点炭化水素を熱膨張させ、樹脂ビーズ同士を融着させた後、冷却し、発泡樹脂成形体を製造する」ものであるから、本件発明1の「ビーズ法発泡合成樹脂成形」法にあたることは明らかであり、その工程上、発泡粒子を融着させた後、当然、冷却及び乾燥させるものである。 以上の点をふまえ、本件発明1と甲2発明とを対比すると、両者は、 「コア型及びキャビティ型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡ビーズを充填し、前記発泡ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、 前記一対の金型を立体形状に形成する工程と、 立体形状に形成された前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すためのスリット状の蒸気孔を、マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーより直接形成する工程と、 を含むビーズ法発泡合成樹脂成形用金型の製造方法。」 で一致し、次の点で相違する。 ・相違点2-1 金型を立体的に形成する工程が、本件発明1は、「削り出し及び/又は鋳造」によるものであるのに対し、甲2発明は、「パーツを組み立てる」ものである点。 ・相違点2-2 スリット状の蒸気孔を形成する工程について、本件発明1は、「横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソー」を用いるものであるのに対し、甲2発明は「溝切り機(商品名:VM7 III型、大阪機工社製)」、つまり、立型マシニングセンターを用いるものである点。 イ 判断 まず、相違点2-1について検討する。 金型を立体的に形成する方法として、削り出し及び/又は鋳造によるものと、パーツを組み立てるものとでは、方法として明らかに相違する。 なお、請求人は、「削り出し及び/又は鋳造」により金型を形成することは、相違点1-2における主張(上記2(2))と同様に、周知技術にすぎない旨主張する。 しかしながら、仮に、「削り出し及び/又は鋳造」により金型を形成することが周知であったとしても、金型の製造方法において、「削り出し及び/又は鋳造」による方法とパーツを組み立てる方法とでは、方法としては明らかに異なる。また、得られた金型自体も、「削り出し及び/又は鋳造」によるものと、複数のパーツ(部材)を組み立てたものからなる金型とは異なるものとなることからみても、上記相違点は、単なる周知・慣用技術の付加・転換にあたるものとはいえない。 請求人の上記主張は採用できない。 したがって、本件発明1と甲2発明は、相違点2-1において実質的に相違するものである。 次に、相違点2-2について検討する。 横型マシニングセンターと立型マシニングセンターは、どちらも「マシニングセンター」であるものの、具体的な装置構成としては、被処理物を固定するパレットやテーブルの構成・機能が異なる(甲13の「マシニングセンタの種類」の「横形マシニングセンタ」の「特徴」の項、「立形マシニングセンタ」の「特徴」の項を参照。)。 してみると、金型の製造方法として、横型マシニングセンターを用いて加工する場合と、立型マシニングセンターを用いて加工する場合では、その加工工程は異なるものといわざるを得ない。 そして、本件発明1は、横型マシニングセンターを用いることで、立型マシニングセンターを用いる場合に比べて、被処理物の複数の被加工面を効率的に処理すること、つまり、製造効率が向上するものである。 この点について、請求人は、甲14、15を挙げつつ、「横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソー」は公知公用の周知技術にすぎず(審判事件弁駁書7.C(1)-2-1)、さらに、マシニングセンタの中でどのタイプを採用するかは任意であり、加工において、横型(形)マシニングセンターと立(縦)型(形)マシニングセンターがともに利用可能である旨主張する(口頭審理陳述要領書第3 2-2)。 しかしながら、甲14は防着板の製造方法に関するものであり、また、甲15はワークに円弧溝を加工するものであって、金型の加工に関するものではない。 また、横型マシニングセンターと立型マシニングセンターがともに利用できるとしても、その加工方法は異なるものであるから、同じ製造方法とはいえないし、上述のとおり、製造効率の点でも異なるから、具現化手段における微差であるということもできない。 請求人の上記主張は採用できない。 したがって、本件発明1と甲2発明は、相違点2-2においても実質的に相違するものである。 以上の検討のとおりであるから、本件発明1は、甲2発明と同一ではない。 (3) 本件発明2ないし7について 本件発明2ないし7はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件発明1の特定事項を全て有するものである。 そして、上記(2)のとおり、本件発明1は、甲2発明と同一ではないから、本件発明2ないし7についても同様に、甲2発明と同一ではない。 (4) むすび したがって、本件発明1ないし7についての特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであるとはいえず、同法第123条第1項第2号に該当するものではないので、無効理由2は理由がない。 第7 結語 以上のとおり、無効理由1ないし2は何れも理由がなく、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明1ないし7についての特許を無効とすることはできない。 なお、請求人は、審理終結通知の後である令和 2年 6月 4日に審判事件弁駁書(2)を提出したが、その内容を見ても、審理再開の必要は認められない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。

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2019-800045

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