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特許異議申立

2019-700369

ティリロサイド及びアルギニンを含有する飲料

審判番号
2019-700369
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-066680
登録番号
特許第6420009号(P6420009)
請求日
2019年05月07日
審決日
2020年01月16日
公報発行日
2020年02月28日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】サントリーホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】小野 新次郎
  • 【権利者代理人】山本 修
  • 【権利者代理人】宮前 徹
  • 【権利者代理人】中西 基晴
  • 【権利者代理人】中村 充利
  • 【権利者代理人】武田 健志
  • 【異議申立人】田中 亜実
審判長/審判官
  • 審判長 佐々木 秀次
  • 審判官 神野 将志
  • 審判官 冨永 みどり
分類
P1651.111-Y (A23L) / P1651.112-Y (A23L) / P1651.536-Y (A23L) / P1651.537-Y (A23L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第2条第3項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項、特許法第29条第1項第1号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6420009号発明「ティリロサイド及びアルギニンを含有する飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6420009号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6420009号の請求項1ないし3に係る特許についての出願は、平成30年3月30日の出願であって、同年10月19日に特許権の設定登録がされ、同年11月7日にその特許公報が発行されたものである。 その後、令和1年5月7日に、田中 亜実(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされ、当審は、令和1年8月21日付けで、取消理由を通知した。それに対し、特許権者は、令和1年10月25日に意見書を提出した。 第2 特許請求の範囲の記載 特許第6420009号の請求項1ないし3に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 なお、以下、これらを「本件特許発明1」、「本件特許発明2」、「本件特許発明3」といい、まとめて「本件特許発明」という場合もある。 「【請求項1】 ティリロサイド0.01~1.0mg/100mL及びアルギニン0.1~8mg/100mLを含み、pHが4.5~7である、飲料。 【請求項2】 アルギニン以外のアミノ酸をさらに含有し、飲料中のアミノ態窒素の濃度が18~60mg/100mLである、請求項1に記載の飲料。 【請求項3】 甘味度が2以下である、請求項1又は2に記載の飲料。」 第3 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 本件の請求項1ないし3に係る特許に対して、当審が令和1年8月21日に、特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである(その際に、後記2の証拠を提出した。)。 (1)特許法第36条第6項第1号(以下、「理由1」という。) 本件特許発明1ないし3は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2 証拠方法 刊行物1(甲第4号証):特許第6297735号公報 3 刊行物1に記載された事項 刊行物1には、次の事項が記載されている。 (1a)「【0005】 上述した通り、ティリロサイド及びこれを含むローズヒップ抽出物は、体脂肪の減少作用等を通じて肥満の解消が期待できる有効な素材である。しかしながら、本発明者らによるティリロサイドの飲料への利用検討において、ティリロサイドの独特の苦味や収斂味が感じられること、特に可溶性固形分濃度が低い飲料ではティリロサイドの苦味や収斂味が顕著であることが判明した。 【0006】 そこで、本発明は、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味が改善された飲料を提供することを目的とする。」 (1b)「【0039】 (2)エタノール添加の検討 下表に示した量(濃度)となるように、ティリロサイド(フナコシ製、純度99%)及びエタノール(和光純薬工業)を水に溶解し、容器に充填して容器詰め飲料を得た(いずれの飲料もBrix値は0~0.1程度)。得られた飲料はいずれも無色透明な外観であり、分光光度計(UV-1600(島津製作所))による波長660nmにおける吸光度は0.06以下、測色色差計(ZE2000(日本電色工業))による純水に対する透過光のΔEは3.5以下であった。なお、飲料のpHは、クエン酸(ナカライテスク)及びクエン酸三ナトリウム(ナカライテスク)を用いてpH3.0に調整した。 【0040】 得られた飲料について、香味の官能評価を行った。香味については、ティリロサイド特有の苦味及び収斂味、またはエタノール特有の風味の観点から主に評価した。具体的には、十分に訓練を受けた3名の専門パネリストにより、下記の通り評価した。なお、評価用の飲料は、室温にて調製された容器詰め飲料をそのまま使用した。 5点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味が大きく緩和されている。 4点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味が緩和されている。 3点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味がやや緩和されている。 2点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味、またはエタノール特有の風味があり、後味に残る。 1点:ティリロサイド特有の苦味及び収斂味、またはエタノール特有の風味が強く、後味に大きく残る。」 (1c)「【0042】 【表3】 」 4 当審の判断 理由1について (1)サポート要件の考え方について 特許法第36条第6項は、「第二項の特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。」と規定し、その第一号において「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」と規定している。同号は、明細書のいわゆるサポート要件を規定したものであって、特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)特許請求の範囲に記載された発明 特許請求の範囲には、上記「第2」で示したように本件特許発明1ないし3が記載されている。 (3)発明の詳細な説明の記載 (3a)「【発明が解決しようとする課題】 【0007】 本発明者らは、ティリロサイドを含有する飲料について研究開発を進めていたところ、ティリロサイドが飲料に含まれると、ティリロサイドの苦味が後味として残りやすく、飲料の嗜好性が低下する傾向があることに気が付いた。特に飲料が中性である場合には、その傾向が強くなった。 【0008】 そこで、本発明は、ティリロサイドを含有していながらも、後味においてティリロサイドの苦味が感じられにくい飲料を提供することを目的とする。」 (3b)「【0014】 本発明の飲料において、ティリロサイドの含有量は0.015mg/100mL以上が好ましく、0.02mg/100mL以上がより好ましい。一方、飲料中のティリロサイド含有量が1.0mg/100mLを超えると、ティリロサイドの苦味が強くなりすぎて本発明の効果が得られないことがある。効果及び香味の観点から、飲料中のティリロサイドの含有量は0.8mg/100mL以下が好ましく、0.5mg/100mL以下がより好ましく、0.1mg/100mL以下がさらに好ましい。飲料中のティリロサイドの含有量は、HPLCを用いて測定することができる。HPLCによる測定条件を以下に示す。・・・(略)・・・」 (3c)「【0020】 本発明の飲料におけるアルギニンの含有量は0.1~10mg/100mlである。所望する効果の大きさから、飲料中のアルギニンの含有量は0.15mg/100ml以上が好ましく、0.18mg/100ml以上がより好ましい。また、香味的な観点から、飲料中のアルギニンの含有量は8mg/100ml以下が好ましく、5mg/100ml以下がより好ましい。なお、本発明において、アルギニンの量というときには、遊離アルギニンに換算した量をいう。飲料中のアルギニンの含有量は、後述の実施例に示したようにHPLCを用いて測定することができる。」 (3d)「【0030】 (飲料) 本発明の飲料は、特定量のティリロサイド及びアルギニンを含有する飲料であり、後味として残りやすいティリロサイドの苦味を所定量のアルギニンを用いることで低減し、飲料の嗜好性を向上させるものである。本発明者らの検討によると、後味におけるティリロサイドの苦味は、特に飲料が中性である場合に強くなる傾向にある。飲料が酸性(pH4.0以下)であると、酸味成分によりティリロサイドの苦味が好適に抑制され、後味として残りにくくなると推測される。したがって、本発明の飲料は、pHが4.5以上であるティリロサイド含有飲料を対象とする。具体的には、本発明の飲料は、pH4.5~7であり、好ましくはpH5~7であり、より好ましくはpH5.5~7である。」 (3e)「【0042】 実験1:ティリロサイド含有飲料の評価(1) ティリロサイドとしてフナコシ製のもの(純度99%)を使用した。水溶液中のティリロサイド濃度が、表1に記載の濃度となるように、ティリロサイドを水(pH7のイオン交換水)に溶解した。種々の濃度のティリロサイド溶液(pH:7、甘味度:0)について、3名のパネルにより、後味におけるティリロサイドに由来する苦味の有無を評価した。評価は、ティリロサイド由来の苦味の有無について各自が実施した後、パネル全員で協議して決定した。 【0043】 結果を表1に示す。ティリロサイドを0.01mg/100ml以上の濃度で含有する溶液は、ティリロサイドの苦味が後味として残りやすく、飲料の嗜好性が低下して飲みにくくなることが判明した。 【0044】 【表1】 」 (3f)「【0045】 実験2:ティリロサイド含有飲料の評価(2) ティリロサイド(フナコシ、純度99%)、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを用いて、種々のpHとなるようにティリロサイド含有飲料を調製した。実験1と同様にして、苦味の有無を評価した。 【0046】 結果を表2に示す。酸性飲料(pH4.0以下の飲料)では、酸味成分によりティリロサイドの不快味がマスキングされ、ティリロサイドの苦味が後味に残らなかった。pH4.5以上ではティリロサイドの苦味が後味に残りやすく、pH5.0以上ではパネル全員が苦味が残ると評価した。 【0047】 【表2】 」 (3g)「【0048】 実験3:ティリロサイドの苦味低減作用(1) ティリロサイド(フナコシ、純度99%)及びアルギニン(味の素ヘルシーサプライ、L-アルギニン)を用いて、表3に記載の濃度となるように、ティリロサイドとアルギニンとを含有する飲料を調製した。各飲料は、pH調整剤(炭酸水素ナトリウム、クエン酸)を用いてpHを7に調整した。pH調整後の飲料は500mLのPETボトル容器に充填して、容器詰め飲料とした。各種容器詰め溶液(pH:7、甘味度:0)について、3名のパネルにより官能評価を行った。各パネルは最初に試料3-1を評価し、ティリロサイドの苦味の程度を各自が認識し、そしてパネル間で苦味の感覚を共有化させた上で、残りの試料を評価した。官能評価は、飲料の後味におけるティリロサイドの苦味の有無を調べ、各パネルが評価した結果に基づいて、苦味を感じないパネルの人数をカウントした((例)3点:パネル3名が苦味を感じない、0点:パネル3名が苦味を感じる)。 【0049】 結果を表3に示す。ティリロサイドを0.02mg/100mlの濃度で含有する飲料は、ティリロサイドの苦味を後味に強く感じる飲みにくい飲料であるが、0.1mg/100ml以上のアルギニンを含有させることによって、ティリロサイドの苦味を低減(抑制)できることが分かった。 【0050】 【表3】 」 (3h)「【0055】 実験5:ティリロサイド含有茶飲料(1) アルギニンを含むアミノ酸の供給源として茶抽出物を用いた。茶抽出物は以下の方法により製造した。 アルギニンを含むアミノ酸の供給源として茶抽出物を用いた。茶抽出物は以下の方法により製造した。 (i)茶抽出物の製造 まず、アミノ酸を含有する植物抽出物として茶抽出物を製造した。10gの緑茶葉に対し熱水(70~80℃)1000mLを用いて5分間抽出処理を行った後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕組織や茶粒子などの固形分を除去して、緑茶抽出液を得た。この抽出液を希釈して、アミノ態窒素濃度が15mg/100mLとなる緑茶抽出液(抽出液A)を製造した。なお、抽出液A中のアルギニン濃度は、0.05mg/100mLであった。 【0056】 (ii)ティリロサイド含有茶飲料の製造 抽出液Aに0.02mg/100mLとなるようにティリロサイド(フナコシ、純度99%)を配合して、ティリロサイド含有茶飲料(甘味度:0)を調製した(試料5-1)。これに、アルギニン(味の素ヘルシーサプライ、L-アルギニン)を添加して、溶液中のアルギニン濃度が0.1mg/mLとなる茶飲料を調製した(試料5-2)。また、テアニン濃度が20mg/mLとなるように、試料5-2にテアニン(太陽化学、サンテアニン)を添加し、溶液中のアミノ態窒素濃度が18.5mg/100mLとなる茶飲料を調製した(試料5-3)。なお、各飲料は、pH調整剤(炭酸水素ナトリウム、クエン酸)を用いてpHを6.5に調整した。これら飲料を135℃で30秒間加熱殺菌した後、500mLのPETボトル容器に充填し、容器に蓋をして密封して容器詰め緑茶飲料を製造した。 【0057】 得られた各容器詰め緑茶飲料について、実験3と同様に官能評価を行なった。なお、実験3と同様に、上記の試料3-1を用いてパネル間でティリロサイドの苦味の感覚を共有化させた上で、官能評価を実施した。 【0058】 結果を表5に示す。中性の茶飲料において、ティリロサイドの苦味が残ったが、所定量のアルギニンを含有させることで苦味が低減されることが示された。また、所定量のアルギニンを含有する飲料中のアミノ態窒素含有量を18mg/100mL以上とすることで、ティリロサイドの苦味をより低減することができた。パネル全員が、試料5-2よりも試料5-3の方が効果的に苦味を低減できており、後味においてティリロサイドの苦味はより感じられにくいと評価した。 【0059】 【表5】 」 (3i)「【0060】 実験6:ティリロサイド含有茶飲料(2) 【0061】 (i)茶濃縮物の製造 特許第5624633号公報(実施例3)に記載の方法に準じて茶濃縮物を製造した。すなわち、第一工程としてカラム型抽出機に10gの緑茶葉を封入し、抽出機上部から25℃のイオン交換水を100mL加え、緑茶葉を浸漬させた。そこに25℃のイオン交換水を50mL/minの流量にて連続的に20分通液し、低温抽出液を得た(試料B1)。第二工程として、試料B1抽出後の抽出残渣に75℃のイオン交換水を100mL加えた上で、75℃のイオン交換水を50mL/minの流量にて連続的に40分通液し、高温抽出液を得た(試料B2)。第三工程として、試料B2抽出後の抽出残渣に、酵素としてプロテアーゼ及びペクチナーゼを各0.2gずつ添加し、40℃のイオン交換水を加え総重量160gに調整し、40℃に保持したまま50mL/minにて16時間循環通液を行い、酵素処理(反応)を行った。その後、得られた酵素処理液を90℃で10分加熱して酵素を失活させ、酵素抽出液を得た(試料B3)。第四工程として、上記試料B1及びB3全量を混合し、茶抽出液の混合物を得た(茶濃縮物B)。茶濃縮物Bは苦味や渋味がなく、コクや厚みのある豊かな旨みを有するものであり、アミノ態窒素濃度は91mg/100mL、アルギニン濃度は1.82mg/100mLであった。 【0062】 (ii)ティリロサイド含有茶飲料の製造 実験5で用いた抽出液Aにティリロサイド(フナコシ、純度99%)を配合してティリロサイド含有茶飲料(甘味度:0)を調製し(試料6-1)、これに茶濃縮物Bを添加して、アルギニン及びアミノ態窒素の濃度の異なる茶飲料(甘味度:0)を調製した(試料6-2~6-8)。各飲料は、実験5と同様にしてpHを6.5に調整し、実験5と同様の方法で容器詰め緑茶飲料とした。そして、各容器詰め緑茶飲料について、実験3と同様に官能評価した。なお、実験3と同様に、上記の試料3-1を用いてパネル間でティリロサイドの苦味の感覚を共有化させた上で、官能評価を実施した。 【0063】 結果を表6に示す。ティリロサイドを含有する中性の茶飲料において、飲料中のアルギニン含有量を0.1mg/100mL以上、アミノ態窒素含有量を18mg/100mL以上とすると、ティリロサイドの苦味が効果的に低減でき、後味においてティリロサイドの苦味は感じられにくかった。 【0064】 【表6】 」 (3j)「【0066】 実験7:ティリロサイド含有茶飲料(3) ティリロサイドの濃度を0.1mg/100mLに変えること以外は、実験6と同様にして容器詰め緑茶飲料を製造し、実験3と同様に官能評価した。なお、実験3と同様に、上記の試料3-1を用いてパネル間でティリロサイドの苦味の感覚を共有化させた上で、官能評価を実施した。 【0067】 結果を表7に示す。ティリロサイド濃度が0.1mg/100mLの場合も、飲料中のアルギニン含有量を0.1mg/100mL、アミノ態窒素含有量を18mg/100mL以上となるように調整することにより、ティリロサイドの苦味が効果的に低減でき、後味においてティリロサイドの苦味は感じられにくくなった。 【0068】 【表7】 」 (3k)「【0070】 実験8:ティリロサイド含有茶飲料(4) ティリロサイドの濃度を0.5mg/100mLに変えること以外は、実験7の試料7-6と同様にして容器詰め緑茶飲料を製造し、実験3と同様に官能評価した(事前に、上記試料3-1を用いてパネル間でティリロサイドの苦味の感覚を共有化させた)。評価結果は2点であり、ティリロサイドが高濃度の場合にも、所定量のアルギニン及びアミノ態窒素を含有させることで苦味が低減できた。」 (4)判断について 本件特許発明の課題は、摘記(3a)に記載されているとおり、ティリロサイドの苦味が後味として残りやすいところ、後味においてティリロサイドの苦味が感じられにくい飲料の提供と認められる。 本件明細書には、ティリロサイドの含有量、アルギニンの含有量、pHについて、下記のとおり記載されている。 「本発明の飲料において、ティリロサイドの含有量は0.015mg/100mL以上が好ましく、0.02mg/100mL以上がより好ましい。一方、飲料中のティリロサイド含有量が1.0mg/100mLを超えると、ティリロサイドの苦味が強くなりすぎて本発明の効果が得られないことがある。効果及び香味の観点から、飲料中のティリロサイドの含有量は0.8mg/100mL以下が好ましく、0.5mg/100mL以下がより好ましく、0.1mg/100mL以下がさらに好ましい。」(摘記(3b)の一部)、 「本発明の飲料におけるアルギニンの含有量は0.1~10mg/100mlである。所望する効果の大きさから、飲料中のアルギニンの含有量は0.15mg/100ml以上が好ましく、0.18mg/100ml以上がより好ましい。また、香味的な観点から、飲料中のアルギニンの含有量は8mg/100ml以下が好ましく、5mg/100ml以下がより好ましい。」(摘記(3c)の一部)、 「本発明者らの検討によると、後味におけるティリロサイドの苦味は、特に飲料が中性である場合に強くなる傾向にある。飲料が酸性(pH4.0以下)であると、酸味成分によりティリロサイドの苦味が好適に抑制され、後味として残りにくくなると推測される。したがって、本発明の飲料は、pHが4.5以上であるティリロサイド含有飲料を対象とする。具体的には、本発明の飲料は、pH4.5~7であり、好ましくはpH5~7であり、より好ましくはpH5.5~7である。」(摘記(3d)の一部)。 上記記載をみると、効果や香味等を考慮してティリロサイドの含有量、アルギニンの含有量及びpHの数値範囲が決定されることが理解でき、その裏付けとして、摘記(3g)ないし摘記(3k)が具体的に開示されているから、各パラメータにおいて、数値範囲の上限値や下限値に近づくと効果が少なくなり得るとしても、本件特許発明により期待する程度で、後味においてティリロサイドの苦味が感じられにくい飲料の提供ができると当業者が認識できると認められる。 また、特許権者は、意見書とともに乙第1号証(実験成績証明書)を提出し、数値範囲の上限、下限においても実際に上記課題が解決できることを示した。 当該実験成績証明書の内容を以下に示す(実験例は2例あり、それぞれ、「(乙1-1)」、「(乙1-2)」という。)。 (乙1-1)「 」(第2頁)、 (乙1-2)「 」(第3頁) 上記(乙1-1)から、本件実施例(摘記(3k))の再現性についてサンプル1-1において確認でき、サンプル1-2及びサンプル1-3から、サンプル1-1と同じ条件でティリロサイドの濃度のみを上限値にまで振った(苦味がより強くなると考えられる)としても苦味の低減について同程度の効果が奏されていることが確認でき、その上、サンプル1-4では、アミノ態窒素を含まずアルギニンの含有量がより少ない値でも効果が奏されることが認識できる。 また、(乙1-2)からは、ティリロサイドが0.01mg/100mLでpHが4.5であっても(pHが小さいと苦味が感じにくくなると考えられる)、苦味を感じるということ、また、アルギニンを所定量加えることで苦味が改善することがそれぞれ認識できる。 上記のとおり、(乙1-1)及び(乙1-2)の実験結果をみても、ティリロサイドを上限値で用いた場合であっても本件特許発明の課題が解決でき、pHを下限値付近とした場合であっても後味におけるティリロサイド由来の苦味が感じられ、当該課題が本件発明の構成によって解決されることが認識できるといえる。 なお、刊行物1における摘記(1b)及び(1c)のNo.8の結果と、本件明細書における摘記(3f)の試料2-7の結果が一見矛盾しているともとれることについては、本件特許発明は、摘記(3a)等にも記載されたとおり、後味におけるティリロサイドの苦味を改善することを目的としている一方で、刊行物1は、摘記(1a)のとおり、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味を改善することを目的とする技術が記載されており、後者においては、苦味として後味の苦味が特定されず収斂味が加わっている点で苦味の対象が相違しており、本件明細書と刊行物1のそれぞれに記載された評価結果が異なることは十分あり得ることであり、特段矛盾しているとはいえない。 (5)小括 上記のとおりであるから、本件特許発明に係る特許は、理由1によって取り消すべきものではない。 第4 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立理由A(公知、公然実施)及び申立理由B(進歩性)について (1)申立理由A及び申立理由Bの概要 申立人は、下記甲第1号証ないし甲第3号証を掲げて、本件特許発明1ないし3は、公然知られた発明、公然実施された発明または、当業者が容易になし得た発明であることを主張する。 記 甲第1号証:産経ニュース、「セブンとコカ・コーラ、機能性緑茶のPB 体脂肪減らすローズヒップ成分配合」、株式会社産経新聞社、2017年5月18日、[平成31年4月22日検索]、インターネット<https://www.sankei.com/economy/print/170518/ecn1705180039-c.html> 甲第2号証:商品名「一(はじめ)緑茶 一日一本」の消費者庁・機能性表示食品制度届出データベースにおける表示見本、日本コカ/コーラ株式会社、2017年3月1日届出[平成31年3月18日検索]、インターネット<https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc07/hyouji_mihon?hyoujimihonFile=B179%255CB179_hyouji_mihon.pdf> 甲第3号証:後藤哲久、外4名、「化学成分から見た市販緑茶の品質」、茶業研究報告、80号、1994年、第23頁~第28頁 (以下、「甲第1号証」ないし「甲第3号証」を「甲1」ないし「甲3」等ともいう。) (2)各甲号証の記載 ア 甲1の記載 甲1には、下記の記載がされている。 「日本コカ・コーラとセブン&アイ・ホールディングスは18日、共同企画した機能性表示食品「一(はじめ)緑茶 一日一本」(500ミリリットル、想定税込価格127円)を、今月22日発売すると発表した。ハーブの一種であるローズヒップから、体脂肪を減らす効果があるとされる成分「ティリロサイド」を抽出し、1本当たり0.1ミリグラム配合。」と記載されている。 イ 甲2の記載 甲2には、下記のとおり記載されている。 「品名 緑茶 ・・・ 原材料名 ・・・ビタミンC ・・・ 栄養成分表示(1本(500ml)当たり)・・・食塩相当量0.1g 機能性関与成分・・・ティリロサイド0.1mg」 ウ 甲3の記載 甲3には、下記のとおり記載されている。 「表3 市販茶の主な個別遊離アミノ酸含有量 」 (3) 甲1及び甲2に記載された発明 甲1には、上記(2)アのとおり、 「日本コカ・コーラとセブン&アイ・ホールディングスは18日、共同企画した機能性表示食品一(はじめ)緑茶 一日一本」(500ミリリットル、想定税込価格127円)を、今月22日発売すると発表した。ハーブの一種であるローズヒップから、体脂肪を減らす効果があるとされる成分「ティリロサイド」を抽出し、1本当たり0.1ミリグラム配合。」 と記載されている。 また、甲2には、上記(2)イのとおり、 「品名 緑茶 ・・・ 原材料名 ・・・ビタミンC ・・・ 栄養成分表示(1本(500ml)当たり)・・・食塩相当量0.1g 機能性関与成分・・・ティリロサイド0.1mg」 したがって、甲1及び甲2には下記の発明が記載されているといえる。 「500ミリリットル中にティリロサイドを0.1ミリグラム配合した緑茶」(以下、「甲1発明」という。) そして、甲1及び甲2の記載から、甲1発明の製品が、本件特許出願前に、日本国内において販売されたことを把握することができるから、甲1発明は、本件特許出願前において公然知られた発明、公然実施された発明である。 (4) 申立理由A(公知、公然実施)について ア 対比 甲1発明の「緑茶」は本件特許発明1の「飲料」に相当する。 また、甲1発明の「500ミリリットル中にティリロサイドを0.1ミリグラム配合」する構成は、100ミリリットル中にティリロサイドを0.02ミリグラム配合と換算でき、これは、本件特許発明1の「ティリロサイド0.01~1.0mg/100mL」を含む構成に相当する。 そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは、 「ティリロサイドティリロサイド0.01~1.0mg/100mLを含む、飲料」の点で一致し、下記の点で相違する。 相違点1:本件特許発明1はアルギニン0.1~8mg/100mLを含むのに対して、甲1発明はアルギニンを含むことについて特定されていない点。 相違点2:本件特許発明1は、pHが4.5~7であるのに対して、甲1発明は、pHについて特定されていない点。 イ 判断 相違点1及び相違点2が認められるから、本件特許発明1は、公然知られたものではなく、公然実施されたものでもない。 また、申立人は、商品を購入し、測定したところ、アルギニン含有量及びpHの値は本件特許発明1の範囲内であった旨主張する。 しかし、当該測定は、どの時点でどのように測定されたものかも明らかでなく、単に、商品を購入して測定したところ範囲に含まれていたと主張をするのみである。 また、上記主張の際に用いられた商品についても、出願時既に存在したものか否かが明らかでなく、そのような商品から得られた数値をもとに、公然知られた又は公然実施されたとすることはできない。 よって、申立人の主張を採用することはできず、本件特許発明1は公然知られたものではなく、公然実施されたものでもない。 ウ 小括 上記のとおりであるから、相違点1及び相違点2は、実質的な相違点とするのが相当であり、本件特許発明1は、公然知られたものでもなく、公然実施されたものでもないから特許法第29条第1項第1号ないし第2号に該当しない。 (5) 申立理由B(進歩性)について ア 対比 本件特許発明1と甲1発明とを対比すると、上記(4)アで検討したとおりの一致点及び相違点を有する。 イ 判断 相違点1について 甲3に記載された表3において、アルギニン(Arg)の含有量をみてみると、ほうじ茶の0.14や番茶の0.34から抹茶(平均)の7.50(単位はmg/g)まで種々の値が記載されている。 しかし、甲3においては、単に市販の茶のアルギニンの量を測定した値が記載されているのみで、そのアルギニンをティリロサイドが含まれる茶に添加しようという動機付けについては全く記載がされていないから、当業者が、甲3のアルギニンを甲1発明と組み合わせる動機付けがあったとはいえない。 さらに、甲3の測定値は、茶葉に関するものであって、飲料としての茶としたときにどの程度のアルギニンが含まれるかは甲3からは明らかではなくそこから、本件特許発明1の、アルギニン0.1~8mg/100mLとすること、さらに、それによってティリロサイドの苦味を抑えようとすることは当業者にとって困難である。 したがって、甲1発明において、アルギニン0.1~8mg/100mLを含むようにすることは、当業者であっても容易に想到することはできない。 相違点2について 甲1ないし甲3には、pHの値を調整することについて記載も示唆もされていないし、ティリロサイドを含む飲料について、pHの値を調整することが技術常識であったともいえない。 また、効果について検討しても、甲1ないし甲3には、pHの値を調整することでティリロサイドを含む飲料において、その苦味が低減されることについて記載も示唆もされていない。 さらに、申立人は、pHの値を調整することが容易であることについての主張もしていない。 したがって、甲1発明において、pHを4.5~7とすることは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。 ウ 小括 上記のとおり、相違点1及び相違点2について、当業者であっても容易に想到することはできないから、本件特許発明1は、甲1発明及び甲1ないし甲3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件特許発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとはいえない。 また、本件特許発明1を引用する本件特許発明2及び3についても同様である。 2 申立理由C(サポート要件及び実施可能要件)について (1)申立人は、本件特許発明1に係る飲料はティリロサイドの含有量、アルギニンの含有量及びpHを規定しただけであり、ティリロサイド以外の苦味を呈する成分を含む場合、ティリロサイドに起因する後味としての苦味が改善されたことを確認することは不可能である旨主張している。 しかし、摘記(3g)ないし摘記(3k)に記載されたとおり、pHやアルギニンを所定の値とすることで、本件特許発明において定められた量のティリロサイドの苦味を低減できることが理解できる。特に、摘記(3h)ないし摘記(3k)は、茶について実施されており、ティリロサイド以外の物質も含まれるものでも効果が得られていることが把握できるから、ティリロサイド以外の苦味を呈する成分を含む場合であっても、本件特許発明の課題である、後味においてティリロサイドの苦味が感じられにくい飲料の提供が達成され、課題が解決されたと認識でき、サポート要件は満たしている。 また、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、物の発明について実施をすることができるとは、その物を生産することができ、かつ、その物を使用することができることであると解され、摘記(3e)ないし摘記(3k)に記載されたとおり、本件特許発明で定められたティリロサイド、アルギニンの含有量、pHの値を満たすものは生産することができ、飲料として使用することができるから、実施可能要件も満たしている。 (2)申立人は、ティリロサイドを含有する市販の飲料製品を飲んでティリロサイド由来の苦味や収斂味を確認したところ、ティリロサイド由来の苦味や収斂味がどのようなものか理解できなかったから、本件特許発明が包含する全ての飲料において、本件特許発明の課題が存在することが認められないのであるから、本件特許発明の効果を奏することも認められない旨主張する。 しかし、摘記(3b)及び摘記(3e)のとおり、ティリロサイドは一定以上の濃度となったときに苦味が感じられることは本件特許明細書に記載されており、本件特許発明の構成を採用することで、後味においてティリロサイドの苦味が感じられにくい飲料の提供が達成され、課題が解決されたと認識でき、サポート要件を満たしている。 また、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、物の発明について実施をすることができるとは、その物を生産することができ、かつ、その物を使用することができることであると解され、摘記(3g)ないし摘記(3k)に記載されたとおり、本件特許発明で定められたティリロサイド、アルギニンの含有量、pHの値を満たすものは生産することができ、飲料として使用することができるから、実施可能要件を満たしている。 (3)申立人は、上記第3 2で示した、刊行物1(甲第4号証)を提出して、摘記(1c)及び(1c)のNo.8において、pH3.0でティリロサイド0.04mg/100mLのとき、苦味があることが記載されており、これは同じ条件である、本件明細書の摘記(3f)の試料2-7において苦味がないという結果と矛盾しており、よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、発明が包含する全範囲にわたって発明の効果を奏するようには記載されていない旨主張する。 しかし、上記第5(4)イで示したとおり、本件特許発明は、摘記(3a)等にも記載されたとおり、後味におけるティリロサイドの苦味を改善することを目的としている一方で、刊行物1には、摘記(1a)のとおり、ティリロサイドに起因する苦味や収斂味を改善することを目的とする技術が記載されており、後者においては、苦味として後味の苦味が特定されず収斂味が加わっている点で苦味の対象が相違している。したがって、本件明細書と刊行物1のそれぞれに記載された評価結果が異なることは十分あり得ることであり、特段矛盾していない。 一方で、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、物の発明について実施をすることができるとは、その物を生産することができ、かつ、その物を使用することができることであると解され、摘記(3e)ないし摘記(3k)に記載されたとおり、本件特許発明で定められたティリロサイド、アルギニンの含有量、pHの値を満たすものは生産することができ、飲料として使用することができるから、実施可能要件を満たしている。 (4)申立人は、本件特許発明にはアルギニン以外の不特定の成分を含むことを許容しており、本件特許発明において、苦味を呈する他の成分や苦味をマスキングし得る成分が存在する場合、ティリロサイドに起因する苦味の後味を改善できるのか否かは明らかではなく、その効果も明らかではない旨主張している。 しかし、本件実施例においては、摘記(3g)のように水にティリロサイドを配合した場合でも、摘記(3h)ないし摘記(3k)のように茶にティリロサイドを配合したときでもどちらも苦味を低減できたことが理解できる。 すなわち、本件実施例においては、ティリロサイド以外に苦味成分がないと考えられる水の場合と、ティリロサイド以外に苦味成分又はマスキング成分を含み得る茶の場合のどちらでも所期の効果が奏されたと理解することができるから、申立人の主張のように、その他の成分が含まれていたとしても上記構成を採用することで、本件特許発明の課題である、後味においてティリロサイドの苦味が感じられにくい飲料の提供が達成され、課題が解決されたと認識でき、サポート要件を満たしている。 また、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、物の発明について実施をすることができるとは、その物を生産することができ、かつ、その物を使用することができることであると解され、摘記(3e)ないし摘記(3k)に記載されたとおり、本件特許発明で定められたティリロサイド、アルギニンの含有量、pHの値を満たすものは生産することができ、飲料として使用することができるから、実施可能要件を満たしている。 (5)申立人は、本件特許発明は、飲料がどのような飲料であるかも特定されていない一方で、甘味度が0より高い飲料や、水又は茶飲料以外の飲料は、何ら実施例が示されておらず、さらに、本件明細書の【0032】には、「また、本発明者らの検討によると、甘味度が一定以下に抑えられている低甘味度の飲料では、それよりも甘味度が高い飲料と比較して、ティリロサイドの苦味が目立ちやすい傾向にある。・・・(略)・・・」と記載されていることも鑑みると、発明の効果を奏するかは不明である旨主張している。 しかし、本件明細書には、摘記(3g)ないし(3k)に記載されたとおり、種々の実施例が示され、少なくとも、水又は茶の場合に課題が解決されることは認識できる。 また、甘味度が0より高いものについては、後味においてティリロサイドの苦味が感じられにくいという効果が奏されないと認められるだけの証拠、技術常識があるともいえない。 そうしてみると、甘味度が0より高いものでも本件特許明細書で示されたとおりの効果が奏され、課題が解決されると解することが相当であるといえ、申立人の主張は採用できない。 (6)申立人は、知財高裁の裁判例を引用して、苦味が改善されたとの風味を得るために、ティリロサイド含有量、アルギニン含有量、およびpHを特定すれば足り、他の成分及び物性の特定は要しないことを、当業者が理解できるとはいえないこと等を理由に、ティリロサイド含有量、アルギニン含有量及びpHが本件特許発明の数値範囲にあることにより、ティリロサイドに起因する苦味が改善されるという風味が得られることが裏付けられていることを当業者が理解できない旨主張する。 しかし、本件特許明細書の実施例には、摘記(3g)ないし(3k)に示されたように、専門のパネルによって、ティリロサイド含有量、アルギニン含有量、およびpHの特定により、ティリロサイドに起因する苦味が改善されるという効果が奏されることが示されている。一方で、それらの特定のみではティリロサイドに起因する苦味が改善されないという証拠や技術常識も存在しない。 そうしてみると、申立人の主張は採用できず、本件特許発明は、本件明細書の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであると認識できる。 第5 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1ないし3に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2019-700369

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