意匠拒絶査定不服審判
2019-015368
トイレブース
- 審判番号
- 2019-015368
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-022442外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年11月18日
- 審決日
- 2020年04月23日
- 公報発行日
- 2020年06月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .121-WY (L3-2)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条、意匠法第4条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2018- 22442「トイレブース」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成30年(2018年)10月12日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成31年(2019年) 3月26日付け 拒絶理由の通知
令和 1年(2019年) 5月 7日 意見書の提出
同年 8月 9日付け 拒絶査定
同年 11月18日 審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとし、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「トイレブース」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠
原審における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下、「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は、トイレブースにかかるものですが、この種トイレブースにおいて、表面に木目を表すことは例を挙げるまでもなく極普通に行われており、また、ドア及びドア枠のエッジ部分に正背面視において直線状に表れる別部材を配したものは、例えば、【意匠1】に見られるように、本願の出願前に公然と知られているところです。
そうすると、本願の意匠は、本願の出願前に公然と知られた【意匠2】をほとんどそのまま表し、そのドア及びドア枠のエッジ部分に正背面視において直線状に表れる表面が木目の別部材を配した程度にすぎませんので、当業者であれば容易に創作をすることができた意匠と認められます。
なお、本願意匠は、木目材部分について、【参考斜視図】とその他の図面とで整合しておりませんが、各木目材部分は、少なくとも正背面視において直線状に表れるものと扱っています。
<意匠1>(当審注:別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
平成 6年特許出願公開第229060号
図1~4 10、10a、10b、10c及び関連する記載から導きだされる『エッジ』の意匠
<意匠2>(当審注:別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2017-218850
図1 及び関連する記載から導きだされる『トイレブース』の意匠」
第4 当審の判断
以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
意匠に係る物品は、壁で仕切った複数のブースに片開きの扉を1つずつ取り付けた「トイレブース」である。
(2)本願部分
願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容から、本願部分の用途及び機能、位置、大きさ及び範囲、並びに形態は、以下のとおりである。
ア 本願部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分の用途及び機能は、多連式のトイレブースの扉及び扉を取り付けている間仕切りであり、
その位置、大きさ及び範囲は、
(ア)横に等間隔に3つ並んだトイレブースの扉(以下「ドア部」という。)のうち、各ドア部の正背面の左右端部と平底面の左右端部を縦長帯状に囲んだ範囲及び左右の側面(以下「エッジ部」という。)と、
(イ)各ドア部に接するドア枠(以下、「ドア枠部」といい、ドア部とあわせて「両部」ともいう。)の正背面の端部と平底面の端部をそれぞれ縦長帯状に囲んだ範囲及びこれと連続する側面(以下「ドア枠エッジ部」という。)である。
イ 本願部分の形態
本願部分は、正面視において、4つのドア枠部の間に3つのドア部を配置したトイレブースのうち、ドア部とドア枠部の端部の形態であって、両部は、正背面において面一に形成し、ドア部は、ドア枠部よりやや高さが低く、両部の下端の高さを揃えて上端を段差状としている。
両部の具体的な形態は、以下のとおりである。
(ア)ドア部
各ドア部は、いずれも同じ形態で、左右のエッジ部とこれに接する正背面及び平底面を縦長の矩形帯状に囲んだ部分であって、左のエッジ部(戸尻側)は、上面視、略凸弧状の縦長長方形で、右のエッジ部(戸先側)は、上面視、真ん中から下側を弧状に切り欠いて略「J」字状とする縦長長方形である。また、エッジ部全体に柾目模様を施している。
(イ)ドア枠部
ドア枠部は、各ドア部の左右端部と接する左右のドア枠エッジ部とこれに接する正背面及び平底面を縦長の矩形帯状に囲んだ左右対称形の部分であって、左のエッジ部と接するドア枠エッジ部(戸尻側)は、上面視、エッジ部の湾曲にあわせて略凹弧状とし、その上下端部を垂直状とする縦長長方形で、右のドア枠エッジ部(戸先側)は、上面視、エッジ部の形状にあわせて真ん中から下側をやや略弧状に突出し、下端部を垂直状とする縦長長方形である。また、ドア枠エッジ部全体に柾目模様を施している。
2 引用意匠の認定
引用意匠の認定にあたり、本願意匠の図の向きに、引用意匠の図の向きを合わせるものとする。
(1)意匠1
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、トイレ室等の間仕切パネルの側面に取り付けられる「間仕切用のエッジ」である。
イ 形態
ドア部とドア枠部のエッジの形態であって、具体的には、以下のとおりである。
(ア)ドア部
右のエッジ部(戸尻側)は、上面視、略凸弧状の略縦長長方形板で、左のエッジ部(戸先側)は、上面視、略逆「J」字状に内側に湾曲した略縦長長方形板である。
(イ)ドア枠エッジ部
右のエッジ部と接するドア枠エッジ部(戸尻側)は、上面視、エッジ部の湾曲にあわせて略凹弧状とする略縦長長方形板で、左のドア枠エッジ部(戸先側)は、上面視、エッジ部の形状にあわせて略逆「J」字状に外側に湾曲した略縦長長方形板である。
(2)意匠2
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、壁で仕切った複数のブースに片開きの扉を1つずつ取り付けた「トイレブース」である。
イ 形態
正面視において、4つのドア枠部の間に3つのドア部を配置したトイレブースであって、両部は下端の高さを揃えて、ドア部の上方を開放状としている。
3 本願意匠の創作性の検討
この物品の属する分野において、ドア枠部を4つ配し、その間に、上方を開放状としてドア部を3つ配置したトイレブースは、意匠2のとおり、本願出願前よりごく普通に見受けられるものであり、また、左右のエッジ部及びドア枠エッジ部を双方の形状にあわせて湾曲状としたものも意匠1に示すとおり、本願出願前から広く知られており、さらに、その表面を木目調とすることも、意匠1の公開特許公報に記載(【発明の詳細な説明】の【0003】)されるとおり、広く知られた手法であることから、これらの態様は、当業者にとって、格別の創作を要したものということはできない。
しかしながら、本願部分は、ドア枠エッジ部の上面視の形態において、左のドア枠エッジ部の上下端部を垂直状とし、右のドア枠エッジ部の下端部を垂直状とすることにより、隣接するエッジ部の端部が細幅の縦帯状に表れ、これによって、ドア部を開いた状態でしか視認することができないエッジ部の柾目模様を正背面側から部分的に視認できるようにしたものであって、この態様は、上記の引用意匠にはみられないものであり、一定の創作を有するものといわざるを得ない。
そうすると、本願部分のドア枠エッジ部の態様は、この種物品分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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